JP4174333B2 - 車両用乗員保護装置 - Google Patents

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琢也 根崎
博儀 山口
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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用乗員保護装置に係り、特に、自動車等の車両に搭載され衝突時に乗員の下肢を拘束する車両用乗員保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の車両に搭載され衝突時に乗員の下肢を拘束する車両用乗員保護装置においては、衝突時に乗員に対する後退速度を検出し、この後退速度が所定値を越えた場合に、電磁シリンダに駆動信号を出力し、下肢拘束装置を作動させ、乗員の膝部を押え込む必要がある場合にのみ、下肢拘束装置で膝部が跳ね上がる前に膝部を押え込む構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−221276号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術では、下肢拘束装置における意匠面と、インストルメントパネルの意匠面とが別部材になっているため、両者の境に隙間等が発生し見栄えが良くなく、インストルメントパネルにおける下肢拘束装置配設部の外観品質が低下する。また、単に、インストルメントパネルと下肢拘束装置における意匠面とを一体化しても、下肢拘束装置が作動した際の、インストルメントパネルと下肢拘束面側の部位との分離位置(シアライン)が、下肢拘束面に近いと両者の分離の影響を受け、下肢拘束装置の下肢拘束面や緩衝材が損傷する恐れがある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、インストルメントパネルにおける下肢拘束装置配設部の外観品質を向上でき、且つ作動時における下肢拘束装置の損傷を防止できる車両用乗員保護装置を得ることが目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、車両減速度を検出する減速度検出手段と、
下肢拘束面をインストルメントパネルと一体で構成し、乗員の下肢を拘束する下肢拘束装置と、
前記下肢拘束面を含み前記下肢拘束面より大きな範囲を破断する前記インストルメントパネルの位置に設けられたシアラインと、
前記減速度検出手段の出力信号を受けて前記下肢拘束装置を作動させる駆動装置と、
を有すると共に、前記シアラインと前記下肢拘束面との間の前記シアライン側に前記インストルメントパネルの一般面の板厚より厚い厚肉部を設け、前記厚肉部よりも前記下肢拘束面側の前記インストルメントパネルの裏面に前記厚肉部に沿って凹部を設けたことを特徴とする。
【0007】
従って、下肢拘束装置の下肢拘束面をインストルメントパネルと一体で構成したため、下肢拘束装置が格納状態にある場合には、ニーボルスター配設部の外観品質を向上できる。また、減速度検出手段の出力信号を受けて駆動装置が下肢拘束装置を作動させると、下肢拘束装置が移動し乗員の下肢を拘束する。この場合、下肢拘束面を含み下肢拘束面より大きな範囲を破断するインストルメントパネルの位置に設けたシアラインにおいて、インストルメントパネルが分離されるため、分離位置と下肢拘束面との距離が大きくなる。この結果、作動時における下肢拘束装置における下肢拘束面の損傷を防止できる。また、シアラインに沿って分割された部位の外周部に荷重が作用した場合に、シアラインと下肢拘束面との間のシアライン側に設けたインストルメントパネルの一般面の板厚より厚い厚肉部が、厚肉部よりも下肢拘束面側のインストルメントパネルの裏面側に厚肉部に沿って設けた凹部を起点にして容易に変形する。この結果、分割時に下肢拘束面の外周部に発生する恐れがあるエッジを乗員の下肢から遠ざけることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における車両用乗員保護装置の一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
【0011】
なお、図中矢印FRは車両前方方向を、矢印UPは車両上方方向を示す。
【0012】
図5に示される如く、本実施形態の車両用乗員保護装置は、車両10の減速度を検知し車両10の衝突を検出する減速度検出手段としての加速度センサ12を備えている。また、加速度センサ12は、左右のフロントサイドメンバにそれぞれ配設されており、マイクロコンピュータを備えた制御手段としての制御回路14に接続されている。
【0013】
車体10のインストルメントパネル18には、フロントシート(運転席)20のシートクッション22の斜め前方上側となる部位に、アクティブニーボルスター24が配設されている。アクティブニーボルスター24は、シート20に着座した乗員28の下肢(特に、膝部)28Aを車両前方斜め上側から拘束する本体30と、本体30を乗員28の下肢28A側へ移動するアクチュエータ32とで構成されている。
【0014】
アクティブニーボルスター24の本体30は、乗員28の左右の下肢28Aをそれぞれ保持するように左右一対あり、アクティブニーボルスター24の本体30における基板31の乗員側面には、ウレタン等からなるEA材33が配設されている。
【0015】
また、アクティブニーボルスター24のアクチュエータ32は、制御回路14に接続されたスクイブにより作動するインフレータからのガスで作動するシリンダで構成されており、アクチュエータ32が作動すると、本体30が基板31の下部に車幅方向に沿って配設した車体側との連結軸34を中心に図5に実線で示す格納位置から、乗員28の下肢28A側(図5の矢印A方向)へ回転移動し、図5に二点鎖線で示す拘束位置へ移動するようになっている。
【0016】
図1に示される如く、アクティブニーボルスター24の本体30における、EA材33の乗員側面には樹脂等からなる下肢拘束面35が形成されており、下肢拘束面35は、インストルメントパネル18の一般面18Aの一部を構成している。即ち、アクティブニーボルスター24の本体30における下肢拘束面35は、インストルメントパネル18と一体で構成されている。
【0017】
図4に示される如く、インストルメントパネル18の一般面18Aには、アクティブニーボルスター24が作動した際に、破断するシアライン36が形成されている。シアライン36は、乗員28の左右の下肢28Aの前方となる部位に左右一対形成されており、下方に開口部を向けたコ字状となっている。また、シアライン36は、アクティブニーボルスター24の本体30における下肢拘束面35を含み下肢拘束面35より大きな範囲を破断する位置に設けられている。
【0018】
図1に示される如く、インストルメントパネル18の裏面18B側には、シアライン36の外周部にシアライン36に沿って補強リブ38が形成されており、シアライン36の破断が補強リブ38に沿って確実に行われるようになっている。また、インストルメントパネル18の裏面18B側には、シアライン36の内周部にシアライン36に沿って厚肉部40が形成されている。厚肉部40の厚さM1は、インストルメントパネル18の一般面の板厚M2より厚くなって(M1>M2)おり、シアライン36の破断が厚肉部40に沿って確実に行われるようになっている。
【0019】
インストルメントパネル18の裏面18B側には、厚肉部40の内周部に厚肉部40に沿って断面U字状の凹部(薄肉部)42が形成されている。即ち、シアライン36と下肢拘束面35との間には、シアライン36側に厚肉部40が設けられており、下肢拘束面35に凹部42が設けられている。
【0020】
インストルメントパネル18の裏面18B側には、凹部42の内周部に凹部42に沿って壁部44が立設されている。
【0021】
図3に示される如く、壁部44は、ブロック形状とされたEA材33の外周壁部33Aを囲む矩形状に形成されており、壁部44には、周方向に沿って所定の間隔で複数の係合爪46が突出形成されている。これらの係合爪46の係合部46Aは、EA材33における基板31に隣接する部位に形成された段差部48に係合可能となっている。
【0022】
なお、基板31の車両前方側の面31Aには、ブラケット50が固定されており、ブラケット50に車幅方向に沿って配設した軸52にアクチュエータ32のロッド32Aの先端部が回転可能に軸支されている。
【0023】
また、本実施形態では、図5に示される如く、インストルメントパネル18の上部18C及びステアリングホイール54に、助手席用及び運転席用のエアバッグ56が配設されており(図5では運転席用のエアバッグのみを示している)、これらのエアバッグ56を作動させるインフレータは、それぞれ制御回路14に接続されている。
【0024】
なお、図5の符号58はシートベルトを示している。
【0025】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0026】
本実施形態では、アクティブニーボルスター24の本体30における下肢拘束面35を、インストルメントパネル18と一体で構成したため、アクティブニーボルスター24の本体30が格納状態にある場合には、インストルメントパネル18におけるニーボルスター配設部に隙間、段さ等が無く、外観品質を向上できる。
【0027】
また、車両が衝突した場合には、制御回路14は、先ず、加速度センサ12からの入力信号に基いて、減速度が所定値以上か否かを判定する。
【0028】
減速度が所定値以上と判定した場合には、制御回路14は、アクティブニーボルスター24のアクチュエータ32を作動する。また、アクチュエータ32が作動し、本体30が基部31の下部に車幅方向に沿って配設した車体側との連結軸34を中心に、乗員28の下肢28A側(図5の矢印A方向)へ回転移動すると、図2に示される如く、インストルメントパネル18がシアライン36に沿って破断し、本体30が図5に二点鎖線で示す拘束位置へ移動する。
【0029】
この際、本実施形態では、アクティブニーボルスター24の本体30における下肢拘束面35を含み下肢拘束面35より大きな範囲を破断する位置に設けたシアライン36において、インストルメントパネル18が分離(以下、分離という)される。
【0030】
この結果、分離位置と下肢拘束面35との距離が大きくなり、分離時に発生する破断荷重が下肢拘束面35に作用し難い。このため、分離によって発生する恐れがあるアクティブニーボルスター24の本体30における下肢拘束面35及びEA材33の損傷を防止できる。
【0031】
また、本実施形態では、壁部44がEA材33の外周壁部33Aを囲む矩形状に形成されており、壁部44がEA材33の外周壁部33Aを拘束しているため、この点においても、分離によって発生する恐れがあるアクティブニーボルスター24の本体30におけるEA材33の損傷を防止できる。
【0032】
また、本実施形態では、図2に二点鎖線で示される如く、乗員28の下肢28Aが、シアライン36に沿って分割されたアクティブニーボルスター24の本体30における下肢拘束面35の外周部に当接し、下肢拘束面35の外周部に押圧荷重が作用した場合に、厚肉部40が凹部42を起点にして図2に二点鎖線で示す位置から図2に実線で示す壁部44に接近した位置に容易に変形する。
【0033】
この結果、分割時にアクティブニーボルスター24の本体30における下肢拘束面35の外周部に発生する恐れがあるエッジ60を乗員28の下肢28Aから遠ざけることができる。
【0034】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記各実施形態では、本発明の車両用乗員保護装置を運転席側の車両用乗員保護装置に適用したが、本発明の車両用乗員保護装置は助手席用等の他の車両用乗員保護装置にも適用可能である。
【0035】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明は、車両減速度を検出する減速度検出手段と、下肢拘束面をインストルメントパネルと一体で構成し、乗員の下肢を拘束する下肢拘束装置と、下肢拘束面を含み下肢拘束面より大きな範囲を破断するインストルメントパネルの位置に設けられたシアラインと、減速度検出手段の出力信号を受けて下肢拘束装置を作動させる駆動装置と、を有すると共に、シアラインと下肢拘束面との間のシアライン側にインストルメントパネルの一般面の板厚より厚い厚肉部を設け、厚肉部よりも下肢拘束面側のインストルメントパネルの裏面に厚肉部に沿って凹部を設けたため、インストルメントパネルにおける下肢拘束装置配設部の外観品質を向上でき、且つ作動時における下肢拘束装置の損傷を防止できるという優れた効果を有する。また、分割時に発生する恐れがあるエッジを乗員の下肢から遠ざけることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用乗員保護装置を示す平断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両用乗員保護装置の作動状態を示す平断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車両用乗員保護装置を示す車両斜め前方から見た斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車両用乗員保護装置が適用された車室前部を示す車両斜め後方から見た斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る車両用乗員保護装置を示す側断面図である。
【符号の説明】
12 加速度センサ(減速度検出手段)
14 制御回路
18 インストルメントパネル
24 アクティブニーボルスター(下肢拘束装置)
30 アクティブニーボルスターの本体
31 アクティブニーボルスターの基板
32 アクティブニーボルスターのアクチュエータ(駆動装置)
33 EA材
35 下肢拘束面
36 シアライン
38 補強リブ
40 厚肉部
42 凹部

Claims (1)

  1. 車両減速度を検出する減速度検出手段と、
    下肢拘束面をインストルメントパネルと一体で構成し、乗員の下肢を拘束する下肢拘束装置と、
    前記下肢拘束面を含み前記下肢拘束面より大きな範囲を破断する前記インストルメントパネルの位置に設けられたシアラインと、
    前記減速度検出手段の出力信号を受けて前記下肢拘束装置を作動させる駆動装置と、
    を有すると共に、前記シアラインと前記下肢拘束面との間の前記シアライン側に前記インストルメントパネルの一般面の板厚より厚い厚肉部を設け、前記厚肉部よりも前記下肢拘束面側の前記インストルメントパネルの裏面に前記厚肉部に沿って凹部を設けたことを特徴とする車両用乗員保護装置。
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