JP4173304B2 - 錠剤振出し容器 - Google Patents
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Description
【発明の利用分野】
本発明は、錠剤振出し容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、錠剤は、容器本体の口頚部にキャップを螺合させた容器に収納することが多く、上記キャップを螺脱させた後に容器体を傾けて掌の上などに取り出していた。
【0003】
しかし、容器体を倒し過ぎることで所要数以上の錠剤を取り出してしまうことが多く、余剰の錠剤を容器体内に戻すのは面倒であると共に、利用者の手に触れることで雑菌が付着する虞があるから、不衛生である。
【0004】
本発明は、容器体口頚部外面へ嵌合させたキャップ本体の頂壁に振出し孔を開口すると共に、該振出し孔周囲の頂壁部分に錠剤導入口を形成し、かつ、上記振出し孔の中心から上記口頚部内壁面までの最短距離を少なくとも上記錠剤の直径(断面楕円形状の錠剤であれば短径部分直径)よりも大とすることで、容器体を一回傾けることで1個の錠剤だけを振り出すことができるように設けた振出し容器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の手段は、口頚部を起立する容器体と、上記口頚部外面へ嵌合させたキャップ本体の頂壁に振出し孔を開口すると共に、該振出し孔を開閉自在に蓋板で密閉するキャップとから成る、断面円形ないし楕円形状の錠剤振出し容器において、
上記振出し孔16周囲の頂壁部分下面を、該頂壁他部との間に段差31を有する下面開口の凹部32とすることで、該凹部内を上記振出し孔16内への錠剤導入口18に形成すると共に、上記振出し孔16の直径を錠剤短径部分直径とほぼ同径とし、かつ、該振出し孔の中心から上記口頚部3内壁面までの最短距離を少なくとも上記錠剤の短径部分直径よりも大とし、
上記容器の倒立状態において上記錠剤導入口の段差 31 に対して2個の錠剤が係止することが可能となるように錠剤導入口18の下端直径Dを上記錠剤短径部分直径の2倍弱以上で2.5倍以下とし、
さらに上記倒立状態で錠剤導入口18内に入った上記錠剤が上記段差31への係止により錠剤導入口18外方へ転動しないように設けた。
【0006】
第2の手段は、上記振出し孔 16 周囲の頂壁部分上面を、上端大径でかつ下端小径の凹状の錠剤滑落用斜面 41 とした。
【0008】
【発明を実施するための態様】
図1から図3は、本発明の参考例を示している。
【0009】
1は、断面円形ないし楕円形の錠剤Tを収納するための容器体であり、胴部2から口頚部3を起立している。
【0010】
該口頚部3外面には、キャップ11を嵌合させる。該キャップは、キャップ本体12と蓋板13とからなる。
【0011】
キャップ本体12は、上記口頚部3外面へ嵌合する周壁14を頂壁15周縁から垂下すると共に、上記口頚部3内面よりも内方の頂壁15部分には、錠剤の短径部分の直径とほぼ同径の振出し孔16を開口している。尚、本明細書において錠剤の直径とは、断面円形ないし楕円形状の錠剤における直径ないし短径方向の直径をいうものとする。上記振出し孔16の中心と上記口頚部3内壁面との最短距離Lは、上記錠剤の直径以上とする。他方、上記口頚部3内面よりも外方の頂壁15部分上面からは、上記蓋板係止用の係合筒17を起立している。
【0012】
上記振出し孔16周囲の頂壁部分下面には、錠剤導入口18を形成する。該錠剤導入口は、振出し孔周囲の頂壁部分を、下端大径で上端小径の凹状(図示例ではテーパ形)の傾斜面18aとして、該傾斜面が囲成する空間で形成している。該錠剤導入口18の下端における直径は、上記錠剤の短径部分直径の約2倍以上として、図2が示すように容器体倒立時に上記傾斜面18aの振出し孔両側部分上にそれぞれ載置された2個の錠剤が相互に当接することで上記振出し孔を実質的に閉塞可能に設ける。
【0013】
上記蓋板13は、天板部19周縁から垂下する筒部20の下端一部をヒンジ21を介して上記キャップ本体周壁14上端に連結すると共に、上記天板部裏面から垂下した栓22を上記振出し孔16内に嵌合させている。また、上記筒部20は上記係合筒17外面へ嵌合させると良い。
【0014】
以上の構成において、上記蓋板13を開蓋し、容器体1を逆さまにすると、容器体1内に収納された多数の錠剤T…は、キャップ本体頂壁15裏面へ落下し、そのうち図3(A)に示すように上記錠剤導入口18内へ落下した錠剤T…は、図3(B)の如く該導入口の傾斜面18a及び上方から落下する他の錠剤との衝突を繰り返したり、或いは図3(C)の如く上記傾斜面18a上を滑落ながら、振出し孔16へと集中する。このとき、振出し孔16は錠剤の直径とほぼ同径であるから、複数の錠剤が同時に振出し孔16を通過することができず、最初の一つの錠剤T1が振出し孔16を通過する間に他の錠剤T2,T3…は錠剤導入口18の下部に溜まり、図3(D)の如く最初の錠剤T1が抜け落ちた後に相互に支えあって錠剤導入口18の出口を事実上閉塞する。
【0015】
以上の過程において上記錠剤導入口18を設けた意味を明らかにするため、仮に上記振出し孔16を平坦なキャップ本体裏面に直接開口させた場合を考察する。この場合には図9(A)に示す如く、振出し孔16付近に静止する少なくとも左右二つの錠剤T11,T12(より現実的には前後左右の4つの錠剤)の上に他の錠剤T13が乗ったときには、この上の錠剤の重さで下の二つの錠剤が水平方向外方へ離れようとして、安定した振出し孔閉塞状態を作ることができない。上記二つの錠剤の水平方向外方への離間を阻止するためには、図9(B)に示す如くその周囲を他の錠剤が取り囲んでいる必要があり、図9(A)から図9(B)に至る間には振出し孔16は閉塞されていないこととなる。これに対して、上記本実施形態では図9(A)に対応する図3(D)で振出し孔16が閉塞するので、1つの錠剤が吐出された後、後続の錠剤の吐出を確実に阻止できる。
【0016】
図4乃至図6は、本発明の実施形態を示している。
【0017】
該実施形態は、第1実施形態における錠剤導入口18の形状を変更したものである。
【0018】
即ち、上記振出し孔16周囲の頂壁部分下面を、該頂壁他部との間に段差31を有する下面開口の凹部32とすることで、該凹部内を上記振出し孔16内への錠剤導入口18に形成すると共に、容器の倒立状態において錠剤導入口18内に入った上記錠剤が上記段差31への係止により錠剤導入口18外方へ転動しないように設けている。
【0019】
更に上記錠剤導入口18の下端直径は、上記錠剤短径部分直径の約3倍以下とする。図4及び図5では、上記錠剤導入口18の下端直径を、上記錠剤短径部分直径の約2.5倍程度とすることで、図示の如く少なくとも上記段差31に係止した左右2つの錠剤の上に1つの錠剤が乗った状態で振出し孔16を閉塞することができるように設けている。また、変形例である図6では、上記錠剤導入口18の下端直径を、上記錠剤短径部分直径の2倍弱とすることで2個の錠剤が上記導入口内に係止するように設けている。
【0020】
尚、図示例では錠剤導入口18上方の頂壁15部分上面を浅く陥没させて、該陥没部と錠剤導入口との間の頂壁部分を肉薄としているが、上記陥没部は設けなくとも良い。
【0021】
図7及び図8は、本発明の他の参考例を示している。
【0022】
該実施形態は、上述の振出し孔16周囲のキャップ本体頂壁部分上面を、上端大径でかつ下端小径の凹状の錠剤滑落用斜面41として、余分に取り出された錠剤を図8の如く上記滑落用斜面41上へ落下させることにより該斜面上を錠剤が滑落し、容器体内へ戻すことができるように設けたものである。その他の構造は、図示の例にあっては第1実施形態とほぼ同じであるので、同一の符号を付することで説明に代える。
【0023】
もっとも、上記図示例では、第1実施形態の如く錠剤導出口の上端面及び下端面の中心軸と振出し孔16の中心軸とが一致するテーパ状ではなく、図7の如く錠剤導入口の下端面の中心が振出し孔の中心からキャップ本体ヒンジ21へずれた形状となっている。
【0024】
また、図示の如く第1実施形態の構成において上記滑落用斜面41を形成する代わりに、上記第2実施形態の構成において錠剤導入口18上方の頂壁部分に設けた上記陥没部を、上記の滑落用傾斜面41とすることもできる。
【0025】
尚、図示例ではキャップ本体頂壁15上面に上記滑落用斜面を形成すると共に、頂壁下面に錠剤導入口を設けているが、錠剤導入口を設けずに滑落用斜面を設けても良い。
【0026】
尚、図示した構成においては、上記キャップ本体頂壁15上面に上記錠剤滑落用斜面を形成すると共に、上記頂壁下面に上記錠剤導入口18を設けているが、該錠剤導入口を設けずに、余分の錠剤を容器体内へ戻すためのみの機構として上記錠剤滑落用斜面41だけを設けることも可能である。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、如上の構成のものであり、請求項1の発明によればキャップ本体頂壁15に開口した振出し孔16周囲の頂壁部分に上述の錠剤振出し口18を形成すると共に、上記振出し孔の中心から上記口頚部3内壁面までの最短距離Lを少なくとも上記錠剤の直径よりも大としたから、容器体を傾けたときに錠剤を一つづつ取り出すことができる。
【0028】
請求項2の発明によれば、上記振出し孔16周囲の頂壁部分上面を、上端大径でかつ下端小径の凹状の錠剤滑落用斜面41としたから、余分に取りだした錠剤を該滑落用斜面41に置くだけで、錠剤が斜面上を滑落して容器体内へ戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例に係る容器の縦断面図である。
【図2】 図1容器の使用状態を示す要部縦断図である。
【図3】 図1容器の作用説明図である。
【図4】 本発明の第1の実施形態に係る容器の縦断面図である。
【図5】 図4容器の使用状態を示す要部断面図である。
【図6】 図4容器の変形例の説明図である。
【図7】 本発明の他の参考例に係る容器の縦断面図である。
【図8】 図7容器の作用説明図である。
【図9】 図1容器の作用との対比のため該容器の構成から錠剤導入口を省略した容器の作用説明図である。
【符号の説明】
1…容器体 2…胴部 3…口頚部
11…キャップ 12…キャップ本体 13…蓋板 14…周壁
15…頂壁 16…振出し孔 17…係合筒 18…錠剤導入口
19…天板部 20…筒部 21…ヒンジ 22…栓
18a…傾斜面 31…段差 32…凹部 41…錠剤滑落用斜面
Claims (2)
- 口頚部を起立する容器体と、上記口頚部外面へ嵌合させたキャップ本体の頂壁に振出し孔を開口すると共に、該振出し孔を開閉自在に蓋板で密閉するキャップとから成る、断面円形ないし楕円形状の錠剤振出し容器において、
上記振出し孔16周囲の頂壁部分下面を、該頂壁他部との間に段差31を有する下面開口の凹部32とすることで、該凹部内を上記振出し孔16内への錠剤導入口18に形成すると共に、上記振出し孔16の直径を錠剤短径部分直径とほぼ同径とし、かつ、該振出し孔の中心から上記口頚部3内壁面までの最短距離を少なくとも上記錠剤の短径部分直径よりも大とし、
上記容器の倒立状態において上記錠剤導入口の段差 31 に対して2個の錠剤が係止することが可能となるように錠剤導入口18の下端直径Dを上記錠剤短径部分直径の2倍弱以上で2.5倍以下とし、
さらに上記倒立状態で錠剤導入口18内に入った上記錠剤が上記段差31への係止により錠剤導入口18外方へ転動しないように設けたことを特徴とする、錠剤振出し容器。 - 上記振出し孔16周囲の頂壁部分上面を、上端大径でかつ下端小径の凹状の錠剤滑落用斜面41としたことを特徴とする、請求項1記載の錠剤振出し容器。
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