JP4172103B2 - メラトニンの測定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術】
本発明は、組織抽出液、血清、血漿、尿などの試料中に含まれる5−メトキシインドール化合物類の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般式(1)(式中、R1は水素原子またはヒドロキシル基、M1は側鎖を示す)で示される5−メトキシインドール化合物の中で、R1が水素、側鎖M1が2−メチルアミドエチル基(−CH2−CH2−NH−CO−CH3)である化合物をメラトニンと呼び、日内リズムに関する生体内の重要な物質である。
【0003】
【化6】
Figure 0004172103
【0004】
メラトニンは、従来、抗体を用いた方法(吉岡正則ら、蛋白質核酸酵素 VOL.26 No.9 (1981)p1184)、電気化学検出器を用いた液体クロマトグラフによる方法(Shisufumi Ebihara, et al. SCIENCE VOL.231(1986)p491)により測定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
メラトニンの従来の測定方法には、次のような課題がある。まず抗体を用いる方法では、類似化合物との交差反応を避けることが困難であるため、メラトニンの値を正確に知ることができない。次に、電気化学検出器を用いた液体クロマトグラフによる方法では、抗体を用いる方法のように交差反応が問題となることはないが、電気化学検出器にはメンテナンスを頻繁に行う必要があるという課題がある。このメンテナンスを怠ると測定結果に悪影響が出てしまうため、測定を一定時間に渡って実施した後には、装置の運転を止めて前記検出器をメンテナンスしなければならない。この結果、装置当たりの稼働時間が短くなり、大量の検体についての迅速な測定を行うには不適当である。
【0006】
そこで本発明の目的は、メラトニンを含む5−メトキシインドール化合物を、類似化合物との交差反応を生じず、しかも検出器等の装置メンテナンスを頻繁に行う必要のない測定法法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、特異的蛍光誘導体化試薬を用いてプレカラム又はポストカラム測定方法によりメラトニン等を測定する方法を完成した。
【0008】
即ち本発明は、前記一般式(1)(式中、R1は水素原子またはヒドロキシル基、M1は側鎖を示す)で示される5−メトキシインドール化合物を液体クロマトグラフにより測定する方法であって、カラムによる分離前又は分離後に5−メトキシインドール化合物を一般式(2)(式中、Arはアリール基、Lは脱離基を示す)で示される蛍光誘導体化試薬と接触させて蛍光誘導体化することを特徴とする測定方法である。
【0009】
【化7】
Figure 0004172103
【0010】
また本発明は、前記一般式(1)(式中、R1は水素原子またはヒドロキシル基、M1は側鎖を示す)で示される5−メトキシインドール化合物及び/又は一般式(3)(式中、M2は側鎖を示す)で示される5−ヒドロキシインドールを液体クロマトグラフにより測定する方法であって、両者をカラムにより分離した後に、両方又は一方を前記一般式(2)(式中、Arはアリール基、Lは脱離基を示す)で示される蛍光誘導体化試薬と接触させて蛍光誘導体化することを特徴とする前記測定方法である。
【0011】
【化8】
Figure 0004172103
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
前記一般式(2)(式中、Arはアリール基、Lは脱離基を示す)示される蛍光誘導体化試薬のうち、1,2−ジフェニルエチレンジアミンは、カテコールアミン類、バニリルマンデル酸、ホモバニリン酸、セロトニン、5−ヒドロキシインドール酢酸に対する蛍光誘導体化試薬として、ベンジルアミンは、セロトニン、5−ヒドロキシインドール酢酸に対する蛍光誘導体化試薬として知られているが、メラトニンに代表される、一般式(1)(式中、R1は水素原子またはヒドロキシル基、M1は側鎖を示す)で示される5−メトキシインドールを蛍光誘導体化するための試薬としては知られていない。
【0014】
前記一般式(2)(式中、Arはアリール基、Lは脱離基を示す)示される蛍光誘導体化試薬(アリールアミノメチル誘導体)において、Arで示されるアリール基としては、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基(例えばメチルナフチル基、メトキシルナフチル基等)、ピリジル基、フリル基又はビフェニル基などが例示できる。前記置換フェニル基の置換基としては、例えば2−、3−又は4−位メトキシル基、エトキシル基、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、クロル基、フルオロ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、3,4−位ジメトキシル基、ジクロル基、メチレンジオキシル基などが例示できる。
【0015】
一般式(2)中のLで示される脱離基としては、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基(例えば、クロル基、フルオロ基、ブロム基など)、置換アシル基、置換スルホニル基、ヒドロキシル基、チオール基又はアリールアミノメチル基等が例示できる。前記置換アシル基及び置換スルホニル基の置換基としては、アルキル基(例えばメチル基、エチル基など)、アミノ基、アミノ置換基(例えばカルボキシルアルキル基、アルコキシカルボニル基、アミノアルキルカルボニル基、アミノアリールスルホニル基、スルホアリール基、アミノカルボキシアリール基又はアミノアルコキシカルボニルアルキル基など)が例示できる。ここで、前記アリールアミノメチル基のアリール基としては、フェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基(例えばメチルナフチル基、メトキシルナフチル基等)、ピリジル基、フリル基又はビフェニル基などが例示できる。また前記置換フェニル基の置換基としては2−、3−又は4−位メトキシル基、エトキシル基、ヒドロキシル基、メチル基、エチル基、クロル基、フルオロ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、3,4−位ジメトキシル基、ジクロル基、メチレンジオキシル基等が例示できる。
【0016】
一般式(1)で示される、測定物質されるべき5−メトキシインドール化合物は、R1が水素原子であり、側鎖M1が2−メチルアミドエチル基(−CH2−CH2−NH−CO−CH3)であるメラトニンを例示できる。またメラトニンの代謝産物も本発明の方法により測定することができる。例えばR1がヒドロキシル基で、側鎖M1が2−メチルアミドエチル基(−CH2−CH2−NH−CO−CH3)である、6−ヒドロキシメラトニンや、R1が水素原子であり、側鎖M1がそれぞれ2−アミノエチル基(−CH2−CH2−NH2)、カルボキシメチル基(−CH2−COOH)である5−メトキシトリプタミン、5−メトキシインドール酢酸等を具体的に例示できる。
【0017】
検体中の5−メトキシインドール化合物と上記蛍光誘導体化試薬が接触すると、5−メトキシインドール化合物は蛍光誘導体化される。5−メトキシインドール化合物の蛍光誘導体化は、検体中の5−メトキシインドール化合物を液体クロマトグラフ用カラムで分離する前であっても、分離した後であっても良い。分離前に検体と上記蛍光誘導体化試薬を接触させる方法は、いわゆるプレラベル測定法でであり、分離後に接触させる方法は、いわゆるポストラベル測定法である。
【0018】
本発明においては、通常のプレラベル測定法又はポストラベル測定法を実施するための液体クロマトグラフ装置をそのまま使用することができ、蛍光誘導体化された5−メトキシインドール化合物の検出は通常の蛍光検出器を用いることができる。
【0019】
前記一般式(2)のアリールアミノメチル誘導体をプレラベル蛍光誘導体化試薬とし、5−メトキシインドール化合物を蛍光誘導体化した後、該蛍光誘導体を分離し測定する場合には、液体クロマトグラフ用カラムとして、イオン交換カラム、逆相カラム等を使用すれば良い。
【0020】
検体中の5−メトキシインドール化合物において、一般式(1)中のR1が水素原子であり、その側鎖M1と同じ側鎖M2を持つ一般式(3)の5−ヒドロキシインドール化合物が試料中に存在する場合は、この5−ヒドロキシインドール化合物を5−メトキシインドールと分離した後にラベル化反応を行う必要がある。これは、5−メトキシインドール化合物とアリールアミノメチル誘導体との反応機構が、まずその6位のメトキシル基が酸化され、ヒドロキシル基になり、誘導体化反応が起こるためである。すなわち、一般式(1)の5−メトキシインドール化合物のR1が水素原子であり、その側鎖M1と同じ側鎖M2を持つ一般式(3)の5−ヒドロキシインドール化合物が共存する場合、これらがアリールアミノメチル誘導体と反応すると、分離できない蛍光物質が産生されるからである。
【0021】
具体的には、例えばメラトニンについてプレラベル蛍光誘導体化法により測定する場合には、試料中にN−アセチルセロトニンが含まれないか、測定上無視できる濃度であればそのまま測定することが可能であるが、N−アセチルセロトニンの存在が予想される場合には、まず例えば逆相カラムやイオン交換カラムを用いてN−アセチルセロトニンとメラトニンを分離し、次に蛍光誘導体化を行い、そして液体クロマトグラフにより測定する。液体クロマトグラフカラムで検体中の5−メトキシインドール化合物を分離した後、分離した5−メトキシインドール化合物を蛍光誘導体化し測定するポストラベル測定法の場合は、前記例で述べれば、あらかじめメラトニンとN−アセチルセロトニンが分離されているため、検体中にメラトニンとN−アセチルセロトニンの両者が共存していても、メラトニンの測定に支障はない。
【0022】
一般式(2)で示されるアリールアミノメチル誘導体による、一般式(1)で示される5−メトキシインドール化合物の蛍光誘導体化反応は、酸化剤が共存すると速やかに進むことから、本発明においても両者が酸化剤共存下で接触するようにすることが好ましい。酸化剤としては、例えばKIO4、NaIO4、NaIO3、KIO3、K3Fe(CN)6等を例示することができる。例えば、NaIO4とK3Fe(CN)6を併用し、それぞれの最終濃度を3.3mmol/L、1mmol/Lとするこにより、蛍光誘導体化反応を速やかに進行させることができる。更に、5−メトキシインドール化合物を蛍光誘導体化する際には、メタノール、エタノール、アセトニトリル、2−プロパノール等の水溶性有機溶媒を共存させることにより、蛍光誘導体化をより速やかに生じさせることができる。
【0023】
蛍光誘導体化に要する反応温度や時間は、反応温度が低ければ反応温度が高い場合に比べて長時間を要するという関係にある。本発明者の知見によれば、反応温度が90℃であれば、反応時間は1から3分程度とすることが望ましい。上記以外に蛍光誘導体化反応を促進させるためには、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸塩、ニオブ酸塩又はクロム酸塩などの金属酸化物イオンを触媒として加えてることが例示できる。
【0024】
前記したように、検体中に5−メトキシインドール化合物と5−ヒドロキシインドール化合物が共存する場合、両者を液体クロマトグラフ用カラムで先に分離しておけば、5−メトキシインドール化合物のみを測定し、5−ヒドロキシインドール化合物のみを測定し、又は、5−メトキシインドール化合物と5−ヒドロキシインドール化合物の両者を測定することが可能である。この場合にも、蛍光誘導体化反応を促進するために酸化剤を用いることが好ましいが、5−ヒドロキシインドール化合物については、最終濃度で1mmol/L程度の酸化剤を用いれば充分である。また前記同様に、水溶性有機溶媒や金属酸化物イオンを加えることによっても、蛍光誘導体化反応を促進することができる。更に反応温度については、例えば、反応温度が90℃であれば、反応時間は1から3分が好ましい。
【0025】
本発明により測定される5−ヒドロキシインドール化合物は、一般式(3)で示される化合物であり、側鎖M2が2−アミノエチル基(−CH2−CH2−NH2)、カルボキシメチル基(−CH2−COOH)である場合は、それぞれセロトニン、5−ヒドロキシインドール酢酸である。カルチノイド、ダンピング症候群の患者では尿中のセロトニン、5−ヒドロキシインドール酢酸が、片頭痛の発作時には尿中の5−ヒドロキシインドール酢酸が、それぞれ高値になることが知られていることから、これらを測定することには臨床的な意義がある。
【0026】
この他にも、側鎖M2がそれぞれ2−メチルアミドエチル基(−CH2−CH2−NH−CO−CH3)、アルデヒドメチル基(−CH2−CHO)、2−アミノ3−カルボキシエチル基(−CH2−CH(NH2)−COOH)、2−ヒドキシルエチル基(−CH2−CH2−OH)である化合物N−アセチルセロトニン、5−ヒドロキシインドールアルデヒド、5−ヒドロキシトリプトファン、5−ヒドロキシトリプトフォール等が、5−ヒドロキシインドール化合物として知られている。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0028】
実施例 1
図1に示した構成の装置を用いてプレラベル測定を実施した。1は、10mM酢酸ナトリウム、150mM硝酸アンモニウム及び10%アセトニトリルからなる溶離液(pH4.5)であり、2は、10mM酢酸ナトリウム、150mM硝酸アンモニウム及び50%アセトニトリルからなる溶離液(pH4.5)である。
【0029】
ポンプ3はマルチポンプCCPM(東ソー(株)製、商品名)、ミキサ4はダイナミックミキサMX810(東ソー(株)製、商品名)、オートサンプラ5はオートサンプラAS−8010(東ソー(株)製、商品名)、カラム6はTSKgel ODS−80Ts(東ソー(株)製、商品名、4.6mmI.D.×150mm、逆相カラム)、蛍光検出器7は蛍光検出器FS−8010(東ソー(株)製、商品名)を用いた。
【0030】
試料は、0.5μmol/mlの濃度の5−ヒドロキシインドール酢酸又はメラトニンを用いた。試料は0.01N塩酸溶液により調製した。2種類の反応試薬(A;40mmol/Lベンジルアミン、1%ナトリウムメチラート及び50%アセトニトリルを含む反応試薬、B;6mmol/Lフェリシアン化カリウム及び20mmol/L NaIO4を含む反応試薬)を調製し、使用した。
【0031】
前記試料100μL、6%過塩素酸溶液2.5μL、反応試薬A50μL、そして、反応試薬B50μLを密栓付きガラスバイヤルに入れ、90℃で2分間反応させ、測定に供した。なお、オートサンプラのインジェクション量は20μLとした。溶離液は、溶離液1と2を4:6の割合になるようにポンプ3にて送液し、その流量は1.0ml/minである。また蛍光検出は、励起波長345nm、蛍光検出波長481nmで行った。
【0032】
5−ヒドロキシインドール酢酸とメラトニンそれぞれの測定結果を、図3及び4にそれぞれ示す。
【0033】
実施例2
図2に示した構成の装置を用いてポストラベル測定を実施した。8は、10mM酢酸ナトリウム、150mM硝酸アンモニウム及び10%アセトニトリルからなる溶離液(pH4.5)であり、9は、10mM酢酸ナトリウム、150mM硝酸アンモニウム及び50%アセトニトリルからなる溶離液(pH4.5)である。
【0034】
ポンプ10はマルチポンプCCPM(東ソー(株)製、商品名)、ミキサ11はダイナミックミキサMX810(東ソー(株)製、商品名)、オートサンプラ12はオートサンプラAS−8010(東ソー(株)製、商品名)、カラム13はTSKgel ODS−80Ts(東ソー(株)製、商品名、4.6mmI.D.×150mm、逆相カラム)、カラムオーブン14はカラムオーブンCO−8010(東ソー(株)製、商品名)、反応コイル15はテフロン管(0.4mmI.D.×25m)、冷却コイル16ハテフロン管(0.4mmI.D.×2m)、蛍光検出器17は蛍光検出器FS−8010(東ソー(株)製、商品名)、ポンプ18はデュアルポンプDP−8020(東ソー(株)製、商品名)を用いた。
【0035】
標準試料は、5−ヒドロキシトリプトファン、セロトニン、5−ヒドロキシインドール酢酸、5−ヒドロキシトリプトフォール、N−アセチルセロトニン、メラトニンの全てが83nmol/mlとなるように、0.01N塩酸溶液により調製した。血漿試料は、EDTA2K採血管を用い採血した血漿に対し、半分量の6%過塩素酸溶液を加え混合し、遠心分離した上清を用いた。反応試薬19は、40mmol/Lベンジルアミン、1%ナトリウムメチラート及び50%アセトニトリルを含み、反応試薬2は、6mmol/Lフェリシアン化カリウム及び20mmol/L NaIO4を含み、オートサンプラのインジェクション量は20μLとした。
【0036】
溶離液は、0から25分までは溶離液8を100%送液し、25から27分にかけて溶離液8と9が6:4の割合となるようにグラディエント操作を行い、27分以降は溶離液8と9を6:4の割合で、ポンプ10で送液した。流量は1.0ml/minであるが、反応液19、20の流量は、どちらも0.25ml/minとした。また反応温度(カラムオーブン14の設定温度)は90℃とした。蛍光検出は、励起波長345nm、蛍光検出波長481nmで行った。
【0037】
標準試料と血漿試料それぞれの測定結果を図5及び6に示す。血漿試料(図6)では、セロトニンのピークが確認され、標準試料に含まれる他の成分は感度以下であった。
【0038】
実施例3
反応試薬19として、40mmol/L 1,2−ジフェニルエチレンジアミン、1%ナトリウムメチラート及び50%アセトニトリルを含む試薬を用いた以外は、実施例2と同一の操作を行った。測定結果を図7に示す。
【0039】
実施例4
溶離液1と2を7:3の割合になるようにポンプ3にて送液した以外は、実施例1と同一の操作を行った。なお試料は、6−ヒドロキシメラトニン、メラトニン両者が濃度250nmol/mlになるように、0.01N塩酸溶液により調製したものである。測定結果を図8に示す。
【0040】
【発明の効果】
本発明は、一般式(2)で示される蛍光誘導体化試薬を用いてメラトニンに代表される5−メトキシインドール化合物を蛍光誘導体化し、これを通常の液体クロマトグラフ用の蛍光検出器で測定するものである。
【0041】
本発明でポストラベル化測定を実施すれば、5−メトキシインドール化合物のみを測定し、5−ヒドロキシインドール化合物のみを測定し、或いは5−メトキシインドール化合物と5−ヒドロキシインドール化合物を一度の操作で同時に測定することが可能である。
【0042】
従来の抗体を用いた測定と比較すると、本発明は、類似化合物との交差反応によって測定精度が影響されるようなことはなく、しかも抗体を用いた測定では実施が困難な、5−メトキシインドール化合物と5−ヒドロキシインドール化合物の同時測定をも実現することができる。また従来の電気化学検出器を用いる方法と比較すると、本発明は、一般に使用されているプレラベル又はポストラベルの手法によって実施可能であり、また頻繁なメンテナンスを必要とする電気化学検出器を必要としないから、実施が容易で、しかも大量の検体(血液や尿等の生体試料)を次々に間隙なく測定することが可能である。
【0043】
このように本発明は、5−メトキシインドール化合物及び/又は5−ヒドロキシインドール化合物を、より短時間内に、しかも連続してより大量に処理可能とするから、測定コストを低減するとともに、臨床データの蓄積をすすめ、上記化合物を測定することによる各種疾病の早期発見、早期治療に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1及び4で使用したプレラベル測定装置の概要図を示すものである。
【図2】図2は、実施例2及び3で使用したポストラベル測定装置の概要図を示すものである。
【図3】図3は、実施例1の5−ヒドロキシインドール酢酸の測定結果である。図中の5HIAAは5−ヒドロキシインドール酢酸を示す。
【図4】図4は、実施例1のメラトニンの測定結果である。図中のMLTはメラトニンを示す。
【図5】図5は、実施例2の標準試料の測定結果である。図中の5HTP、5HT、5HIAA、5HTOL、N−Ac5HT、MLTは、それぞれ5−ヒドロキシトリプトファン、セロトニン、5−ヒドロキシインドール酢酸、5−ヒドロキシトリプトフォール、N−アセチルセロトニン、メラトニンを示す。
【図6】図6は、実施例2の血漿試料の測定結果である。図中の5HTはセロトニンを示す。
【図7】図7は、実施例3の標準試料の測定結果である。図中の5HTP、5HT、5HIAA、5HTOL、N−Ac5HT、MLTは、それぞれ5−ヒドロキシトリプトファン、セロトニン、5−ヒドロキシインドール酢酸、5−ヒドロキシトリプトフォール、N−アセチルセロトニン、メラトニンを示す。
【図8】図8は、実施例4の測定結果である。図中の6HMLT、MLTはそれぞれ6−ヒドロキシメラトニン、メラトニンを示す。
【符号の説明】
1・2・8・9 溶離液、3・10・18 ポンプ、4・11 ミキサ、5・12 オートサンプラ、6・13 カラム、7・17 蛍光検出器、10 ポンプ、14 カラムオーブン、15 反応コイル、16 冷却コイル、19・20 反応試薬

Claims (3)

  1. 一般式(1)(式中、R1は水素原子またはヒドロキシル基、M1は側鎖を示す)で示される5−メトキシインドール化合物を液体クロマトグラフにより測定する方法であって、カラムによる分離前又は分離後に5−メトキシインドール化合物を一般式(2)(式中、Arはアリール基、Lは脱離基を示す)で示される蛍光誘導体化試薬と接触させて蛍光誘導体化することを特徴とする前記測定方法。
    Figure 0004172103
    Figure 0004172103
  2. 一般式(1)(式中、R1は水素原子、M1は側鎖を示す)で示される5−メトキシインドール化合物及び一般式(3)(式中、M2はM1と同じ側鎖を示す)で示される5−ヒドロキシインドールが共存した試料を液体クロマトグラフにより測定する方法であって、両者をカラムにより分離した後に、両方又は5−メトキシインドール化合物を一般式(2)(式中、Arはアリール基、Lは脱離基を示す)で示される蛍光誘導体化試薬と接触させて蛍光誘導体化することを特徴とする前記測定方法。
    Figure 0004172103
    Figure 0004172103
    Figure 0004172103
  3. 蛍光誘導体化試薬とともに酸化剤を共存させることを特徴とする、請求項1項又は請求項2項の測定方法。
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