以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
実施形態のエアバッグ10は、図1〜4に示すように、車両に搭載される頭部保護エアバッグ装置Mに使用されるものであり、エアバッグ10は、エアバッグ本体11の折り畳まれた状態がラッピング材25・26に巻き付けられて維持され、その状態で、車内側のドアや窓部の開口Wの上縁側周縁のフロントピラー部FP、ルーフサイドレール部RR、及び、リヤピラー部RPにわたって、配設されている。
頭部保護エアバッグ装置Mは、エアバッグ10、インフレーター34、取付ブラケット35・38・41・44、及び、エアバッグカバー8、を備えて構成されている。
インフレーター34は、図1・5に示すように、折り畳まれたエアバッグ10に膨張用ガスを供給するものであり、シリンダタイプとしている。インフレーター34には、エアバッグ10(エアバッグ本体11)の後述するガス流入部12の接続口部15が外装されている。
取付ブラケット35は、板金製として、図1・5に示すように、インフレーター34とエアバッグ本体11の接続口部15とを、リヤピラー部RPの車内側における車体(ボディ)1に取り付けるものであり、インフレーター34に外装された接続口部15を、外周側から挟持し、2本の取付ボルト36を利用して、ボディ1側の板金製のインナパネル2に、取り付けている。
エアバッグカバー8は、フロントピラー部FPに配置されるピラーガーニッシュ4の下縁側のリッド4aと、ルーフサイドレール部RRに配置されるルーフ内装材5の下縁側のリッド5aと、から構成されている。
ルーフ内装材5は、合成樹脂製として、図1〜4に示すように、図示しない取付手段によって、ルーフサイドレール部RRの車内側Iにおけるボディ1のインナパネル2に、取り付けられている。ルーフ内装材5の下縁側のリッド5aは、展開膨張時のエアバッグ本体11を突出可能に、下端5b側が車内側Iに開く。なお、リッド5aの下端5bは、図3・4に示すように、リヤピラー部RPやセンタピラー部CPでは、リヤピラーガーニッシュ6やセンターピラーガーニッシュ7の上端6a・7aの車外側Oに侵入している。そして、リッド下端5bは、それらの上端6a・7aに係止されている。
フロントピラーガーニッシュ4も、合成樹脂製として、フロントピラー部FPの車内側におけるボディ1のインナパネル2に、取り付けられている。ガーニッシュ4のリッド4aも、エアバッグ本体11の展開膨張時、エアバッグ本体11を突出可能に、車内側Iに開く。
エアバッグ10は、図1・8に示すように、エアバッグ本体11と、破断可能な折り崩れ防止用のラッピング材25・26と、から構成されている。エアバッグ本体11は、可撓性を有した袋状とし、ポリアミド糸等を使用した袋織りによって、形成されている。なお、エアバッグ本体11の織成後には、エアバッグ本体11の耐熱性を向上させるために、外表面側に、シリコン等のコーティング剤が塗布されている。なお、耐熱性を考慮しなければ、エアバッグ本体11の外表面に、コーティング剤を塗布しなくても良い。
このエアバッグ本体11は、図7に示すように、インフレーター34からの膨張用ガスを流入可能なガス流入部12と、膨張用ガスを流入させない非流入部17と、から構成されている。
ガス流入部12は、膨張用ガスの流入時に、前席の車外側の側方に展開膨張する前膨張部13と、後席の車外側の側方に展開膨張する後膨張部14と、後膨張部14の後端上部から後方へ突出する略円筒状の接続口部15と、を備えて構成されている。なお、接続口部15の後端部位には、袋織りでエアバッグ本体11を織成した当初、折り畳んだエアバッグ本体11を順次連結させて、ラッピング作業を行えるように、連結部21が形成されている。この連結部21は、図12−1・12−2・13−1・13−2に示すように、連結ピン23を利用して後続のエアバッグ本体11の連結部22と連結され、ラッピング作業終了後、連結ピン23とともに除去されることとなる。そして、連結部21の除去後における接続口部15は、後端を開口させて、インフレーター34を挿入可能としている。連結ピン23は、ピン本体23aと、ピン本体23aを挿入係止する止め輪23bと、から構成されている。
非流入部17は、ガス流入部12の周囲を囲むように配設されており、上縁側には、エアバッグ本体11をボディ1のインナパネル2に取り付けるための複数の取付部18を配設させている。また、非流入部17は、前膨張部13や後膨張部14の領域内に配置される規制部19を備えて構成され、規制部19は、ガス流入部12の膨張時における車内側壁部と車外側壁部とを連結するように配設されて、膨張時の前・後膨張部13・14の厚さを略均等にし、かつ、膨張完了時のエアバッグ本体11に、前端側の取付部18Aから後端側の取付部18Fにかけて、車両前後方向のテンションを生じさせるために、配設されている。
なお、エアバッグ本体11の前端側の取付部18Aは、実施形態の場合、連結部22と兼用とされ、この連結部22は、ラッピング作業時の前方側に位置するエアバッグ本体11の連結部21に対して、連結されることとなる。
また、エアバッグ本体11内での膨張用ガスGの流れを説明すると、図7に示すように、膨張用ガスGが、インフレーター34を外装させた接続口部15からガス流入部12内に流入すると、まず、ガスGは、後部側の後膨張部14の上部を経て、前部側の前膨張部13の上部側に流れ、ついで、前膨張部13の下部側に流れて、前膨張部13の全体が膨張し、同時に、ガスGは、後膨張部14の上部側から下部側に流れて、後膨張部14の全体が膨張し、その結果、エアバッグ本体11の膨張が、完了することとなる。
各取付部18は、それぞれ、中央に、取付孔18aを備え、各取付孔18aには、取付ボルト39(図2・3参照)が挿通されることとなる。各取付孔18aは、エアバッグ本体11の袋織り後に、孔明け加工により形成されている。
また、各取付部18には、図1〜3・5に示すように、板金製の取付ブラケット38・41・44が固定されている。ブラケット38・41・44は、折り畳まれたエアバッグ本体11を、強固に、ボディ1側のインナパネル2に取り付けるためのものである。
取付ブラケット38は、板金製として、図1・2・5に示すように、前部側の2つの取付部18A・18Bをそれぞれ挟持する車内側Iの内プレート38aと車外側Oの外プレート38bとを備えて、構成されている。内・外プレート38a・38bは、各取付部18A・18Bの取付孔18aに対応するように、取付孔38cを備えている。そして、各取付部18A・18Bは、図2に示すように、取付ボルト39とブラケット38とを使用して、インナパネル2に取り付けられている。各ボルト39は、取付孔38c・18aに挿通させて、インナパネル2の取付孔2a周縁に固着されたナット2bに螺合されている。
取付ブラケット41は、図1・5に示すように、後部側の2つの取付部18E・18Fをそれぞれ挟持するものであり、ブラケット38と同様に、車内側Iの内プレート41aと車外側Oの外プレート41bとを備えて構成され、リヤピラー部RPにおける車内側Iのガーニッシュ41の上方位置に配置されている。内・外プレート41a・41bは、各取付部18E・18Fの取付孔18aに対応する取付孔41cを備えている。
取付ブラケット44は、図1・3・5に示すように、前後方向の中間の2つの取付部18C・18Dをそれぞれ挟持するように、取付ブラケット38と同様に、車内側Iの内プレート44aと車外側Oの外プレート44bとを備えて構成され、センターピラー部CPにおける車内側Iのガーニッシュ43の上方位置に配置されている。内・外プレート44a・44bには、各取付部18C・18Dの取付孔18aに対応する取付孔44cが貫通されている。
また、2つの取付ブラケット41は、外プレート41b・41bの下縁側で、相互に連結されている。同様に、2つの取付ブラケット44も、外プレート44b・44bの下縁側で、相互に連結されている。これらの連結部位は、図3〜5に示すように、規制部42・45を構成して、エアバッグ本体11の展開膨張の初期に、ガーニッシュ6・7の車外側Oに、エアバッグ本体11が侵入することを防止するために、配設されるものである。そして、各規制部42・45は、折り畳まれたエアバッグ10の下面側を支持する部位と車外側の面を支持する部位とを備えた断面L字形としている。
ラッピング材25・26は、それぞれ、ポリエステル糸・ポリアミド糸・ウレタン糸等の糸を複数集めて、形成されている。実施形態の場合には、図11−1・11−2・11−3・13−1・13−2に示すように、ポリエステル糸25a・26aを3本ずつ使用して、構成されている。また、実施形態の場合には、ラッピング材25・26は、糸の表面に、加熱硬化型の接着剤28が塗布されて、構成されている(図10参照)。なお、各ラッピング材25・26の引張強度は、包んだエアバッグ本体11の展開膨張時に破断可能に、適宜、0.49〜98N(50gf〜10kgf)の範囲内で、破断するように設定されている。
そして、各ラッピング材25・26は、図8・10に示すように、折り畳まれて略棒状としたエアバッグ本体11(折り畳み済み本体30とする)の軸方向Xに沿いかつ軸方向Xと斜め交差するように、折り畳み済み本体30の略全長にわたる外周に、巻き付けられている。実施形態の場合、各ラッピング材25・26は、本体30の前端側から後部側にかけて、螺旋状に巻き付けられている。
さらに、実施形態の場合には、ラッピング材25・26は、相互に交差するように、折り畳み済み本体30の外周に巻き付けられるとともに、ラッピング材25・26の交差部位における本体30の外表面上の上方側に位置するラッピング材25若しくはラッピング材26が、隣接する交差部位相互で、異なるラッピング材26・25となるように、本体30の外周に巻き付けられている。すなわち、実施形態の場合には、編組層を有した補強ホースのその編組層の形成時に、補強糸を二条のブレード巻きするように、ラッピング材25・26を本体30に巻き付けており、本体30の前端から後端にかけての所定の前方側の交差部位において、例えば、図10・11−1に示すように、ラッピング材25が、ラッピング材26を押えるように、ラッピング材26より本体30の外表面上の上方側に配置されていれば、その直後の交差部位では、図11−2に示すように、ラッピング材26が、ラッピング材25を押えるように、上方位置に配置され、さらに、その直後の交差部位では、図11−3に示すように、ラッピング材25が、ラッピング材26を押えるように、ラッピング材26より上方位置に配置されて、巻き付けられている。
さらにまた、実施形態の場合、ラッピング材25・26の折り畳み済み本体30を螺旋状に巻くピッチP1は、ラッピング材25・26が、各取付部18と干渉せずに、各取付部18を外れた位置で本体30に巻き付けられるように、設定されている。また、折り畳み済み本体30の厚さの薄い部分のピッチP2は、ラッピング材25・26の使用量を少なくできるように、広く設定されている。
ラッピング材25・26の巻き始め部位及び巻き終わり部位について、エアバッグ本体11の連結部22の側を巻き始め部位とし、エアバッグ本体11の接続口部15の側を巻き終わり部位として説明する。
実施形態の場合、ラッピング材25・26の巻き始め部位として、図5〜7に示すように、エアバッグ本体11の略帯状の連結部22における、折り畳まれない部分22b(さらに詳しくは、図7におけるM1で示される範囲)の略同じ位置で2回巻き付けられ、その上にテープ材48を巻き付けて、容易に解けないようにしっかりと保持されている。前述の巻き付け回数は、テープ材48を巻くまでの間に、ラッピング材25・26が解けなければ2回より少ない回数(例えば1.5回巻きや、1回巻きなど)に減じても良い。また、必要に応じて、前述の巻き付け回数を、2回を超える回数(例えば2.5回巻きや、3回巻きなど)に増やしても良い。さらに、前述したようにラッピング材25・26の表面に、加熱硬化型の接着剤28が塗布されている場合は、連結部の折り畳まれない部分22bに耐熱性コーティング剤を塗布しないようにして、該部分22bにラッピング材25・26を接着させても良く、この場合は、テープ材48を省略しても良い。また、該部分22bには、図5・6に示されるように、エアバッグ本体11の折り畳まれる部位における、ラッピング材25・26の通常の巻き方が掛っていても良い。
また、エアバッグ本体11の連結部22における、折り畳まれない部分22b(さらに詳しくは、図7におけるM1で示される範囲)は、後述する折り目Cの幅寸法H0以下、望ましくは、該H0より小さい幅寸法H1に設定する。また、該部分22bは、折り目Cを跨ぐことのないように、エアバッグ本体11に配置することが望ましい。
ラッピング材25・26の巻き終わり部位としては、図5・9に示すように、エアバッグ本体11とインフレーター34とを接続する、エアバッグ本体11の接続口部15(さらに詳しくは、図5・9におけるM4で示される範囲)の略同じ位置で2回巻き付けられ、その上にテープ材48を巻き付けて、容易に解けないようにしっかりと保持されている。前述の巻き付け回数は、テープ材48を巻くまでの間に、ラッピング材25・26が解けなければ2回より少ない回数(例えば1.5回巻きや、1回巻きなど)に減じても良い。また、必要に応じて、前述の巻き付け回数を、2回を超える回数(例えば2.5回巻きや、3回巻きなど)に増やしても良い。さらに、前述したようにラッピング材25・26の表面に、加熱硬化型の接着剤28が塗布されている場合は、接続口部15(さらに詳しくは、図5・9におけるM4で示される範囲)に耐熱性コーティング剤を塗布しないようにして、該接続口部15にラッピング材25・26を接着させても良く、この場合は、テープ材48を省略しても良い。また、該接続口部15には、図9に示されるように、エアバッグ本体11の折り畳まれる部位における、ラッピング材25・26の通常の巻き方が掛っていても良い。
なお、図5・9におけるM4で示される範囲は、インフレーター34の外周部分に、エアバッグ本体11の接続口部15が外装されて、オーバーラップしている部分を指している。
ここでは説明を判り易くするために、ラッピング材25・26の巻き始め部位及び巻き終わり部位について、連結部22の側を巻き始め部位、連結部21の側を巻き終わり部位として説明したが、当然、連結部21の側を巻き始め部位、連結部22の側を巻き終わり部位としても差支えない。
つぎに、実施形態の頭部保護エアバッグ装置Mの組立てについて説明する。まず、エアバッグ本体11を折り畳む。このエアバッグ本体11を折り畳む際には、図7に示すように、非膨張状態の平らに展開した状態から、略上下方向に折り重ねられる蛇腹折りで、折り畳む。すなわち、エアバッグ本体11は、上縁11aと平行な折目Cを付けて、下縁11b側が上縁11a側に接近するように、蛇腹折りで、折り畳む。さらに、折り畳んだ後には、折り畳み済み本体30にラッピング材25・26を巻き付けて、巻き付け完了エアバッグ31を形成する。
実施形態の場合、エアバッグ本体11の折り畳みには、特開平11−43004号公報等で公知の所定の折り装置52を使用し、ラッピング材25・26を使用するラッピング作業には、折り装置52に接続されたラッピング装置54を使用している。
ラッピング装置54は、図13−1・13−2に示すように、編組層を有した補強ホースのその編組層の形成時に使用する編み機と同様なものであり、補強ホースを6個のボビン56を保持して回転するボビンキャリア55と、折り畳まれたエアバッグ本体11(折り畳み済み本体30)をボビンキャリヤ55の中央の挿通孔58に案内するテーパ管状のガイド59と、挿通孔58から離脱してラッピング材25・26を巻き付けた巻き付け完了エアバッグ31を案内する略四角環状のガイド60と、本体11若しくは巻き付け完了エアバッグ31を搬送させる搬送手段61と、を備えて構成されている。ボビンキャリヤ55には、ラッピング材25・26を構成する6本のポリエステル糸25a・26aを巻き付けて保持する保持部材としてのボビン56が、配設されるとともに、各糸25a・26aに加熱硬化型の接着剤28を塗布する接着剤塗布ローラ57が、配設されている。また、ボビンキャリヤ55とガイド60との間には、接着剤28を昇温させて接着剤28に接着力を生じさせる加熱装置65が、配設されている。
搬送手段61は、折り装置52側に配置されて、回転駆動されることにより、折り畳み済み本体30をボビンキャリヤ55の挿通孔58に挿入させる搬送ローラ62と、ボビンキャリヤ55の前方側に配置されて、回転駆動されることにより、巻き付け完了エアバッグ31をボビンキャリヤ55の挿通孔58から引き出す搬送ローラ63と、を備えて構成されている。さらに、搬送手段61は、ガイド60の前方側から、ガイド60・ボビンキャリヤ55の挿通孔58・ガイド59を挿通させて、ラッピング作業時における先頭の折り畳み済み本体30を把持して引っ張り、ラッピングしつつ搬送ローラ63の部位まで、本体30を搬送可能なフック64を、備えて構成されている。
そして、このラッピング装置54を使用するラッピング作業は、搬送手段61や加熱装置65を作動させて、折り装置52によって折り畳んだ本体30を、順に連結させて、順次、搬送させ、ラッピング材25・26の糸25a・26aを繰り出させつつボビンキャリヤ55を、挿通孔58の周方向に回転させて行う。
各本体30の連結は、先頭の折り畳み済み本体30が、フック64や搬送ローラ62によって搬送され、後続の折り畳み済み本体30が、折り装置52から排出される際、先頭の本体30における後方側の連結部21と、後続の本体30における前方側の連結部22と、を連結させる。連結部21・22相互の連結は、各連結部21・22の連結孔21a・22a(18a)に、連結ピン23のピン本体23aを挿入させ、ピン本体23aの先端に止め輪23bを嵌めて、行う。
そして、折り畳み済み本体30が、回転するボビンキャリヤ55の挿通孔58を通過すれば、ラッピング材25・26による二条ブレード巻きによって、各本体30にラッピング材25・26が巻き付けられていく。なお、ラッピング材25・26は、接着剤28を塗布されて、本体30に巻き付けられ、その後、加熱装置65によって硬化し、交差部位で相互に接着されることとなる。また、エアバッグ本体11の外表面には、シリコンからなるコーティング剤が塗布されており、ラッピング材25・26自体は、折り畳み済み本体30の外周面に強固に接着され難くなっている。なお、その接着強度の点を考慮しなければ、エアバッグ本体11の外表面にコーティング剤を塗布しなくても良い。
ラッピング材25・26を巻き付けられた巻き付け完了エアバッグ31が、連続してガイド60から排出されたならば、連続している巻き付け完了エアバッグ31の連結部位におけるラッピング材25・26を切断するとともに連結部21を切除して、連結孔21a・22aから連結ピン23を抜き取り、連続していた前方側のエアバッグ31(エアバッグ10)を、順次、ラッピング装置54から取り出す(図13−2・図8参照)。
そして、ラッピング終了後には、巻き付け完了エアバッグ31の前部側の取付部18A・18Bにそれぞれ取付ブラケット38を取り付け、また、中間部位の取付部18C・18Dに、規制部45を備えた取付ブラケット44を取り付け、さらに、後部側の取付部18E・18Fに規制部42を備えた取付ブラケット41を取り付ける。また、ブラケット41・44とエアバッグ31とが分離しないように、規制部41・45の周囲に、エアバッグ31ごと、破断可能なテープ材47を巻き付ける。
テープ材47を巻き付けた後には、ラッピング材25・26の巻きを、図5・9におけるM4の範囲内で部分的に解いて、接続口部15の折りを解消し、接続口部15にインフレーター34を挿入して、接続口部15の外周側に取付ブラケット35を取り付ける。その後、図8に示すラッピング材の巻きを部分的に解いた部分25c・26cを、インフレーター34の外周部分に外装されるエアバッグ本体11の接続口部15(さらに詳しくは、図5・9におけるM4で示される範囲)の略同じ位置に2回巻き付け、その上にテープ材48を巻き付けて、容易に解けないようにしっかりと保持する。そして、エアバッグ本体11の連結部22における、折り畳まれない部分22bにおいても、(図示はしないが)ラッピング25・26の巻きを、図7におけるM1で示される範囲内で部分的に解いた後、該解いたラッピング材を、エアバッグ本体11の連結部22における、折り畳まれない部分22b(さらに詳しくは、図7におけるM1で示される範囲)の略同じ位置に2回巻き付け、その上にテープ材48を巻き付けて、容易に解けないようにしっかりと保持する。これによって、図5に示すように、エアバッグ組立体50が形成される。なお、テープ材48は、ラッピング材25・26を保持するのに必要な強度が得られれば、テープ材47と同じ物を使用しても良い。
その後、各取付ブラケット35・38・41・44をインナパネル2の所定位置に配置させ、各取付孔18a・38c・41c・44cを挿通させるボルト36・39を利用して、各取付ブラケット35・38・41・44をインナパネル2に固定すれば、エアバッグ組立体50を、ボディ1に取り付けることができる。ついで、フロントピラーガーニッシュ4やルーフ内装材5を、ボディ1に取り付け、さらに、リヤピラーガーニッシュ6やセンターピラーガーニッシュ7を、ボディ1に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Mを、車両に搭載させることができる。
車両への装置Mの搭載後、インフレーター34が作動されれば、インフレーター34からの膨張用ガスが、接続口部15からガス流入部12の前・後膨張部13・14に流れて、エアバッグ本体11が、折りを解消させつつ、膨張し始め、ラッピング材25・26・テープ材47を破断させ、さらに、エアバッグ本体11は、フロントピラーガーニッシュ4やルーフ内装材5のリッド4a・5aを押し開いて、図1〜4の二点鎖線で示すように、開口Wを覆うように、大きく膨張することとなる。
そして、実施形態のエアバッグ10では、長尺状のラッピング材25・26が、図8・10に示すように、折り畳まれて略棒状としたエアバッグ本体11(折り畳み済み本体30)の軸方向Xに沿って、断続的に配置されるわけではなく、折り畳み済み本体30の軸方向Xと斜め交差するように、本体30の略全長にわたる外周に、螺旋状に巻き付けられている。すなわち、折り畳み済み本体30の略全長にわたって、本体30の軸回り方向の少なくとも一箇所で、ラッピング材25・26が折り畳み済み本体30の外周面を押える態様となることから、エアバッグ本体11をコンパクトに折り畳んだ状態を、折り畳み済み本体30の軸方向Xに沿って、均一に維持することが可能となる。また、ラッピング作業は、ラッピング材25・26を、折り畳み済み本体30の軸方向Xに対して斜め交差するように、折り畳み済み本体30の外周に対して、螺旋状に巻くだけであり、簡単に行える。
したがって、実施形態のエアバッグ10では、簡便なラッピング作業により、エアバッグ本体11のコンパクトに折り畳まれた状態を、折り畳み済み本体30の略全長にわたって、均一に維持することができる。
そして、実施形態では、二条のラッピング材25・26が、相互に、交差するように、折り畳み済み本体30の外周に巻き付けられているため、交差部位を除いて、折り畳み済み本体30における軸回り方向の外周面が、ラッピング材25・26の数に応じた二箇所で、かつ、相互に離れた箇所で、各ラッピング材25・26によって押えられることから、一層、コンパクトなエアバッグ本体11の折り畳み状態を維持することができる。
なお、交差部位を設けてラッピング材を巻く際には、ラッピング材を三条以上として(ラッピング材を三本以上使用して)、巻いてもよい。また、上記の点を考慮せずに、ラッピング材25・26の一方だけを使用して、折り畳み済み本体30の外周面に対して、取付部18の部位を外し、取付部18以外の部位でのピッチを狭めて、螺旋状にラッピング材を巻き付けてもよい。この場合でも、折り畳み済み本体30の略全長にわたって、本体30の軸回り方向の少なくとも一箇所で、ラッピング材が折り畳み済み本体30の外周面を押える態様となることから、コンパクトに折り畳んだ折り畳み済み本体30の状態を、折り畳み済み本体30の軸方向Xに沿って、均一に維持することが可能となる。ちなみに、このように、ラッピング材の巻くピッチを狭くするような場合には、ラッピング材を構成する糸の数を少なくして、一本としてもよい。
さらに、実施形態では、ラッピング材25・26の交差部位におけるエアバッグ本体11の外表面上の上方側に位置するラッピング材25若しくはラッピング材26が、隣接する交差部位相互で、異なるラッピング材26・26となるように、折り畳まれたエアバッグ本体11の外周に巻き付けられている。そのため、例えば、巻き付け完了エアバッグ31の前後方向の略中間部位で、一つのラッピング材25が、切断しても、切断箇所を間にする両側で、他のラッピング材26が、切断したラッピング材25を押えているため、切
断されたラッピング材25は、エアバッグ本体11の全長にわたって解けることが防止される。したがって、切断されたラッピング材25は、切断された箇所を間にする交差部位間を除いて、エアバッグ本体11のラッピングに寄与することができる。
また、実施形態では、エアバッグ本体11が、車体に取り付けるための取付部18を、折り畳まれたエアバッグ本体11の軸方向Xに沿って、複数配設させていても、ラッピング材25・26が、巻き付けるピッチP1を調整して、各取付部18を外れた位置で、折り畳まれたエアバッグ本体11の外周に巻き付けているため、ラッピング材25・26と干渉することなく、各取付部18にブラケット338・41・44を取り付けることができて、さらに、各取付部18を使用して、エアバッグ10を円滑にボディ1に取り付けることができる。
なお、図14に示すエアバッグ10Aのように、巻き付けるラッピング材25・26のピッチP3を狭くするような場合には、取付部18ごと、ラッピング材25・26を巻き付けて、取付部18と干渉している位置のラッピング材25若しくはラッピング材26を部分的に切断して、取付ブラケット38・41・44を取り付けてもよい。この場合、ラッピング材25・26が、ブレード巻きされているため、切断された箇所S付近の交差部位で、切断されていないラッピング材26若しくはラッピング材25によって、切断されたラッピング材25若しくはラッピング材26が押えられるため、取付部18付近から、ラッピング材25・26の巻きが解けることは防止される。
さらに、実施形態では、ラッピング材25・26に接着剤28が塗布されて、交差部位で、ラッピング材25・26相互が接着されている。そのため、ラッピング材25・26の両方を破断させても、破断部位に隣接する交差部位で、ラッピング材25・26の破断が停止されるため、ラッピング材25・26の巻きの解ける距離を短くすることできる。特に、このように構成しておけば、巻き付け完了エアバッグ31の前後両端のラッピング材25・26の端末処理に関して、別途、ラッピング材25・26の端部を、エアバッグ本体11に接合させなくとも、ラッピング材25・26の端末が解けないことから、ラッピング材25・26の端末処理が容易となる。
そのため、図15に示す複数(図例では四条)のラッピング材25・26・27A・27Bを巻き付けたエアバッグ10Bのように、交差部位のラッピング材25・26・27A・27Bを交互にエアバッグ本体11の外周面上での上方側に位置させるブレード巻きでなく、相互に交差するものの、エアバッグ本体11の外周面上で一定の配置関係となるスパイラル巻きで、ラッピング材25・26・27A・27Bをエアバッグ本体11に巻き付けてもよく、この場合でも、交差部位でラッピング材25・26・27A・27Bが結合されることから、巻き付け完了エアバッグ31の前後両端での端末処理が、容易となる。
勿論、エアバッグ本体11の外表面に接着可能な接着剤28が、ラッピング材25・26・27A・27Bに塗布されておれば、ラッピング材25・26・27A・27Bの交差部位を設けずに、折り畳み済み本体30の外周面に、ラッピング材25・26・27A・27Bを巻き付けてもよい。この場合、ラッピング材は、複数でなく、一条でも良い。
そしてまた、実施形態のエアバッグ10では、折り畳んだエアバッグ本体11(折り畳み済み本体30)に対してラッピング材25・26を螺旋状に巻き付ける際、編み機のようなラッピング装置54を使用して、ラッピング材25・26を繰り出させつつボビン56を挿通孔58の周方向に回転させるとともに、折り畳み完了状態のエアバッグ本体30を、連結部21・22や連結ピン23を使用して、エアバッグ本体30の軸方向Xに沿って連続させて、挿通孔58に挿通させ、順次、各エアバッグ本体30の外周にラッピング材25・26を螺旋状に巻き付けている。その際、各ラッピング材25・26は、巻き付け途中では、切断すること無く、連続する各エアバッグ本体30に巻き付けることができることから、先頭の本体30に接続された二番目以降の後続のエアバッグ本体30では、ラッピング材25・26を切断して、それらの端末を、巻き付けるエアバッグ本体30に新たに結合させること無く、単に、先頭のエアバッグ本体30の後ろに続けて、挿通孔58に挿通させれば、順次、ラッピング材25・26が巻き付けられていくことから、極めて効率的に、ラッピング作業を行うことができる。
なお、実施形態のエアバッグ10では、ラッピング材25・26を折り畳み済み本体30の軸方向Xに沿って螺旋状に巻き付けた場合を示したが、ラッピング材25・26が、折り畳まれて略棒状としたエアバッグ本体11(折り畳み済み本体30)の軸方向Xに沿いかつ軸方向Xと斜め交差するように、折り畳み済み本体30の略全長にわたる外周に、巻き付けられていれば、図16・17に示すエアバッグ10Dのように構成してもよい。
このエアバッグ10Dは、ラッピング材25・26が、折り畳み済み本体30の上部側と下部側とで、それぞれ、ジクザグ状となる千鳥縫いして包むように、折り畳み済み本体30に巻き付けられている。このような巻き付けは、工業用ミシンを利用して、容易に行える。
さらにまた、図18〜20に示すエアバッグ10Eのように、ラッピング材25・26をエアバッグ本体11に縫い付けてもよい。
このエアバッグ10Eは、折り畳み済み本体30の上部側に配置されるラッピング材25が、折り畳み済み本体30の下部側に配置されるラッピング材26より、引張強度を高くして、構成されている。そして、ラッピング材25・26が、折り畳み済み本体30を包むように千鳥縫いする際、展開膨張時のエアバッグ本体11における車内側に露出しない位置、例えば、エアバッグ本体11の上縁11A側の非流入部17に対して、縫着されている。なお、実施形態の場合には、ラッピング材26が、エアバッグ本体上縁11A側の非流入部17に縫い付けられて、ラッピング材25を非流入部17に縫着させるとともに、ラッピング材26自体が、非流入部17に縫着されている。そして、引張強度を低くしたラッピング材26が、縫着部位間において、折り畳み済み本体30の下部側を包むとともに、引張強度を高くしたラッピング材25に巻き掛けられている。
このエアバッグ10Eでは、車両搭載後におけるエアバッグ本体11の展開膨張時、図20に示すように、折り畳み済み本体30の下部側に配置されたラッピング材26が、ラッピング材25に巻き掛けられた箇所Sで破断しても、ラッピング材26が、エアバッグ本体上縁側11aに対して、縫着された箇所で結合されており、車内に飛散することを防止することができる。勿論、この縫着箇所は、エアバッグ本体11における展開膨張時に車内側に露出しない位置であるため、切断後のラッピング材26やその端末26bが乗員と接触することも、極力、抑えることができる。
なお、実施形態では、ラッピング材25・26として、複数本の糸を集合させて構成した場合を示したが、それぞれ、一本の糸から構成したり、あるいは、可撓性を有した帯状・紐状の部材から、ラッピング材を構成してもよい。
さらに、ラッピング材としては、複数使用しなくとも、一条で螺旋状に巻いてもよい。この場合、ラッピング時に、折り畳まれたエアバッグ本体11(折り畳み済み本体30)がねじれる虞れがあることから、ラッピング装置54のガイド59・60の内周形状を、折り畳み済み本体30の外形形状に極めて近似させて形成して、折り畳み済み本体30のねじれを防止することが望ましい。
また、実施形態のエアバッグ10では、ラッピング材25・26を螺旋状に巻くピッチP1・P2を変えて、折り畳んだ部位の厚みが薄く、スプリングバックが生じ難い部では、ピッチP2を広くして、折り畳んだ部位の厚みが厚く、スプリングバックが生じやすい部位では、ピッチP1を狭くしており、ラッピング材25・26を経済的に使用することができる。勿論、ラッピング材を巻くピッチを変える場合には、図15に示すエアバッグ10Bのように、エアバッグ本体11における車体に取り付けるための取付部18の箇所で、ラッピング材25・26・27A・27Bを巻くピッチPLを、他の部位のピッチPSより広くして、ラッピング材25・26・27A・27Bが取付部18と干渉しないように、ラッピング材25・26・27A・27Bを折り畳み済み本体30に巻き付けてもよく、適宜、所定部位で、巻き付けるピッチを変えてもよい。ちなみに、実施形態のラッピング装置54を使用して、ラッピング作業を行う場合には、搬送手段61の駆動速度を調整し、折り畳み済み本体30の搬送速度を変えれば、極めて容易に、ピッチを調整することができる。
さらに図21に示すエアバッグ10Fのように、連結部22をエアバッグ本体11と別の部材で構成しても良い。また、図7におけるM1の部分を、図21におけるM2のように短くして、エアバッグ本体11と幅広く結合できる部分22cを設けても良い。さらに、連結部22がエアバッグ本体11と一体となったエアバッグ10・10A・10B・10D・10Eにおいても、同様にM1の部分を短くして、幅広の部分を設けるようにしても良い。
さらに図22に示すエアバッグ10Gのように、接続口部15とは別に、折り畳まれない部分21b(さらに詳しくは、図22におけるM3で示される範囲)を持つ、略帯状の連結部21を備える構成としても良い。この場合、連結部21は取付部18Gとして、連結部22と同様に取付ブラケット38を介してボディ1側のインナパネル2に取り付けるようにしても良い。連結部21を取付部18Gとした場合は、エアバッグ本体11の展開膨張時に、連結部22の取付部18Aと、連結部21の取付部18Gとの間でテンションが掛る状態となり、エアバッグ本体の展開膨張時の状態を、より一層安定させることができる。また、この場合は、連結部22の場合と同様に、該部分21bは、折り目Cの幅寸法H0以下、望ましくは、該H0より小さい幅寸法H2に設定する。また、該部分21bは、折り目Cを跨ぐことのないように、エアバッグ本体11に配置することが望ましい。また、M3の部分を短くして、幅広の部分を設けるようにしても良い。さらに、この場合の連結部21も、エアバッグ10Fにおける連結部22と同様に別の部材で構成しても良い。またさらに、エアバッグ10Fにおける連結部22と同様にM3の部分を短くして、エアバッグ本体11と幅広く結合できる部分を設けても良い。
いずれのエアバッグの場合も、折り畳まれない部位21b・22bは略帯状のものとして説明してきたが、これに限られず、紐状のものや、鎖状のもの、棒状のものなどで構成されても良い。