JP4164302B2 - 汚濁液噴出装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
【０００１】
本発明は、現金収納ケース、ＡＴＭ装置、自動販売機等で盗難などの不慮の被害に遭遇した場合に、紙幣束を着色インキ液等の汚濁液で使用不能状態に汚損させる汚濁液噴出装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
この種の汚濁液噴出装置として、例えば、現金輸送用防犯ケースの内部に装備された紙幣汚損用汚濁液噴出装置が特開平７−３０３５１１号公報などに公知である。この汚濁液噴出装置は、着色インク等の汚濁液が加圧状態に充填されたインク収納容器に、インクを紙幣束に指向して噴出させるインク噴出装置が取り付けられる。インク噴出装置は、弁機構及び該弁機構を開放動作させる開弁機構を備えて、インク収納容器本体の口部にねじ込み固定されている。前記弁機構は封板、破封爪、弁軸、及びピストン等からなる弁体を備え、この弁体の入口側通路にサイホン管の基端部を、出口側通路にインク放出管の基端部をそれぞれ接続し、そのインク放出管の先端に噴射ノズルを取り付けている。前記開弁機構はインク噴出装置の弁体にこれを起動するガス発生器を備えている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、弁機構及び開弁機構を備えたインク噴出装置がインク収納容器本体の口部にねじ込み固定される構造の上記汚濁液噴出装置では、インク収納容器としてインク噴出装置をねじ込み可能にする特殊な形状に加工する必要があり、また弁機構及び開弁機構の複雑さ、需要数量が多くない等の理由によりコスト的に高価となり、量産化も難しいものであった。
これに対し、通常、市販されているエアゾール容器は、殺虫剤や化粧品等の内容物を霧状に噴出させる容器として、またスプレー式の防犯具や消火具等の容器として幅広い範囲で大量生産され、その量産化により非常に安価に入手でき、しかもそれらの多くの需要により技術レベルアップし、品質、信頼性に富むものである。
【０００４】
そこで、本発明は、通常市販されているエアゾール容器を汚濁液貯蔵容器として使用可能になすことにより量産化、低コスト化を図れる汚濁液噴出装置を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明の汚濁液噴出装置は、止め弁を上端口部に備えた汚濁液貯蔵容器、前記止め弁を開放動作させる開弁機構、該開弁機構を起動する起動装置、及び先端に汚濁液噴出ノズルを備えた配管により構成される。
前記汚濁液貯蔵容器は、汚濁液を加圧状態に充填した汚濁液貯蔵容器本体の上端口部の開口縁に、該上端口部を封口するキャップの外周縁をかしめており、前記キャップはこれの中央に貫通孔を有する弁蓋を膨出状に一体形成するとともに、この弁蓋の外周と前記外周縁との間に環状凹溝を形成している。
前記止め弁は、前記弁蓋の内側に固定された弁胴体と、この弁胴体の内部に上下方向に摺動自在にかつスプリングで常に押上げ付勢されて前記弁蓋の内面の弁座に気密状に当接した弁体、及び該弁体の上端に一体形成されて前記弁蓋の貫通孔から上方へ突出された弁棒により構成されており、前記弁胴体の液流入口側にサイホン管の上端部を接続している。
前記開弁機構は、シリンダーと、前記弁棒の上端部に結合されて前記シリンダー内を上下方向に摺動するピストンにより構成されて、前記シリンダーの下端部を前記キャップの環状凹溝に嵌合固定している。
前記シリンダーの下端部は、前記キャップの外周縁の上に座して張出状に形成された鍔部と、前記鍔部より下方に形成され、前記キャップの環状凹溝に圧入により嵌合固定される外径部とを備える。
前記起動装置は、前記シリンダーに取り付けられ、起動電気信号を入力して所定量のガスを発生しこのガス圧で前記ピストンを下降させて前記弁体を弁座から離して開くガス発生器により構成されている。
前記ガス発生器は、ガス発生室と、前記ガス発生室内に設けられた爆薬と、前記ガス発生室内に設けられた起爆用電熱体とを備える。ガス発生室は、前記シリンダーの上端部に直交状にねじ込み結合されて前記シリンダー内と連通する。
前記配管の基端部が前記シリンダーの周壁の開口内を遊嵌状に挿通されて前記止め弁の液流出口側に連通するよう前記ピストンに一体的に結合されている。
【０００６】
【作用】
上記構成の汚濁液噴出装置によれば、起動電気信号がガス発生器に入力されると、ガス発生器が所要量のガスを発生し、そのガス圧がピストンに作用してピストンが下降し、これによって弁棒及び弁体がスプリングに抗し下降して弁体が弁座から離されて開放し、汚濁液貯蔵容器本体内の汚濁液がサイホン管、止め弁の開放路、配管を経て汚濁液噴出ノズルに圧送されて、該噴出ノズルから紙幣束に向けて勢いよく噴出され、紙幣が使用不能状態に汚損される。
【０００７】
開弁機構及びこれに取り付けられた起動装置は、開弁機構のシリンダーの下端部を汚濁液貯蔵容器のキャップの環状凹溝に嵌合固定することにより汚濁液貯蔵容器に簡単かつ確実に取り付けることができる。
【０００８】
上記のように構成された汚濁液貯蔵容器本体、キャップ、止め弁、サイホン管を含む汚濁液貯蔵容器は、通常市販されているエアゾール容器の構造と同じ構造に構成したうえで、その容器が持つキャップの環状凹溝を利用してこれに開弁機構のシリンダーの下端部を嵌合固定するものとしたので、エアゾール容器自体に何ら改変を加えることなく、そのまま使用することができて安価で品質上信頼性に優れる汚濁液噴出装置の量産を可能にすることになる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図１は本発明に係る汚濁液噴出装置全体の縦断正面図、図２は汚濁液噴出装置の組付け状態の要部拡大図、図３は汚濁液噴出装置の組付け途上の状態を示す要部拡大図である。
【００１０】
図１、図２において、本発明の汚濁液噴出装置は、通常市販されているエアゾール容器もしくはそれと同一構造の容器からなる、止め弁１を備えた汚濁液貯蔵容器２と、止め弁１を開放動作させる開弁機構３と、開弁機構３を起動する起動装置４、および先端に汚濁液噴出ノズル３９を備えた配管４０により構成される。以下、これら止め弁１、汚濁液貯蔵容器２、開弁機構３、起動装置４、配管４０の各構造について詳述する。
【００１１】
汚濁液貯蔵容器２は、着色インク等の汚濁液と共に窒素ガス等の加圧用ガスが充填される円筒状の汚濁液貯蔵容器本体５の上端口部６の断面外巻き形状の開口縁７に、該上端口部６を封口するキャップ８の断面逆Ｕ形状の外周縁９をシール材１０を介在し被せて気密状にかしめ付けている。キャップ８は中心に貫通孔１１を有する弁蓋１２を中央部に上向きに膨出状に形成するとともに、この弁蓋１２の外周と外周縁９との間に環状凹溝１３を形成している。
【００１２】
キャップ８の弁蓋１２には止め弁１を取り付ける。止め弁１は弁蓋１２の内部に垂下状に固定された弁胴体１４、弁胴体１４の内部に上下方向に摺動自在にかつスプリング１５で常に押上げ付勢された弁体１６、弁体１６の上端に一体に形成されて弁蓋１２の貫通孔１１から上方へ突出された弁棒１７により構成される。弁蓋１２の内面の貫通孔１１周囲にはガスケット１８により弁座１９が形成され、この弁座１９に弁体１６の上端面が気密を保持すべく当接している。弁棒１７には液流出口２０を軸方向に形成している。
【００１３】
弁胴体１４の下端の液流入口２１側にはサイホン管２２の上端部が接続され、サイホン管２２の下端部２３は汚濁液貯蔵容器本体５の内方に隆起する断面山形状の内底面２４に達して該内底面２４上の周辺の最深凹部２５に臨ませている。
【００１４】
開弁機構３は、弁棒１７及び弁体１６をスプリング１５に抗して押し下げて開放動作させるものであり、下端開放状のシリンダー２６と、弁体２６の上端部に結合されてシリンダー２６内を上下方向に摺動するピストン２７とにより構成される。ピストン２７はこれの下端面にキャップ８の中央の弁蓋１２が遊嵌する凹部２８を形成し、かつ該凹部２８内に弁棒１７の上端部１７ａが挿入結合する垂直の液流出路２９を形成するとともに、該液流出路２９に直交状に連通する水平の液流出路３０を形成している。
シリンダー２６の開放下端寄り部にはキャップ８の外周縁９の上に座する鍔部３１を張出状に形成し、この鍔部３１より下方の外径部３２はキャップ８の環状凹溝１３に圧入により嵌合固定できる寸法、形状に形成されている。
【００１５】
開弁機構３を起動する起動装置４は起動電気信号を入力して所定量のガスを発生して所定のガス圧を前記ピストン２７に作用させるガス発生器３３により構成される。ガス発生器３３は、シリンダー２６の上端部に直交状にねじ込み結合されて、シリンダー２６内と連通するガス発生室を内部に有するガス発生器本体３４と、このガス発生器本体３４の外端部に螺合された蓋３５と、この蓋３５に一体に取り付けられた爆薬３６及び起爆用電熱体３７と、その起爆用電熱体３７から蓋３５を貫通して外部へ導出されたリード線３８とにより構成されている。起動電気信号がリード線３８を介して起爆用電熱体３７に印加されると、爆薬３６からガスを発生してガス発生器本体３４内のガス圧力が増大し、そのガス圧がピストン２７に作用して該ピストン２７が所定ストロークだけ下降するよう構成している。
【００１６】
先端に汚濁液噴出ノズル３９を備えた配管４０はこれの基端部がシリンダー２６の周壁一部に形成した開口４１内に通されてピストン２７の水平の液流出路３０に管継手（エルボ）４２を介して連通するよう一体的に結合されている。シリンダー２６の開口４１は、配管４０がピストン２７と同行するとき配管４０の基端部がシリンダー２６と干渉することないような融通性をもつ開口大きさに形成されている。
【００１７】
このように構成された開弁機構３及びこれに一体的に取り付けられた起動装置４を汚濁液貯蔵容器２に取り付けるには、図３の取付け前の状態から開弁機構３のピストン２７の液流出路２９の下端に弁棒１７の上端部を挿入結合するとともに、シリンダー２６の下端部を汚濁液貯蔵容器２のキャップ８の環状凹溝１３に嵌合固定することにより図２に示すごとく開弁機構３及び起動装置４は汚濁液貯蔵容器２に確実、強固に取り付けることができる。その際、キャップ８の環状凹溝１３に対しシリンダー２６の下端部を嵌合固定するだけでは一体結合力が不十分である場合は、図２中、仮想線Ｆで示すごとくシリンダー２６の鍔部３１周辺と汚濁液貯蔵容器本体５の開口縁７部との重合部を金属製の締結リング部材４３で離脱不能に締結固定することができる。
【００１８】
上記構成の汚濁液噴出装置において、起動電気信号が起動装置４のガス発生器３３に入力されると、ガス発生器３３が所要量のガスを発生し、そのガス圧がピストン１３に作用してピストン１３が下降し、これによって弁棒１７及び弁体１６がスプリング１５に抗し下降して弁体１６が弁座１９から離されて開弁し、汚濁液貯蔵容器本体５内の汚濁液がサイホン２２、弁胴体１４の液流入口２１、弁棒１７の液流出口２０よりなる液流出口、ピストン１３の液流出路３０、配管４０を経由して汚濁液噴出ノズル３９に圧送されて、該噴出ノズル３９から紙幣束に向けて噴出させることができる。
【００１９】
【発明の効果】
本発明の汚濁液噴出装置によれば、その一構成部材である汚濁液貯蔵容器に通常市販されている安価でかつ品質、信頼性に優れるエアゾール容器を用いることができ、しかもその容器が備えたキャップの環状凹溝に開弁機構のシリンダーの下端部を嵌合固定するだけの簡単な手段で安価で品質上信頼性に優れる汚濁液噴出装置を量産できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の汚濁液噴出装置全体の縦断正面図である。
【図２】汚濁液噴出装置の組付け状態の要部拡大図である。
【図３】汚濁液噴出装置の組付け途上の状態を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
１ 止め弁
２ 汚濁液貯蔵容器
３ 開弁機構
４ 起動装置
５ 汚濁液貯蔵容器本体
６ 上端開口部
７ 開口縁
８ キャップ
９ 外周縁
１１ 貫通孔
１２ 弁蓋
１３ 環状凹溝
１４ 弁胴体
１５ スプリング
１６ 弁体
１７ 弁棒
１９ 弁座
２１ 液流入口
２２ サイホン管
２６ シリンダー
２７ ピストン
３３ ガス発生器
３９ 汚濁液噴出ノズル
４０ 配管
４１ 開口
【０００１】
本発明は、現金収納ケース、ＡＴＭ装置、自動販売機等で盗難などの不慮の被害に遭遇した場合に、紙幣束を着色インキ液等の汚濁液で使用不能状態に汚損させる汚濁液噴出装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
この種の汚濁液噴出装置として、例えば、現金輸送用防犯ケースの内部に装備された紙幣汚損用汚濁液噴出装置が特開平７−３０３５１１号公報などに公知である。この汚濁液噴出装置は、着色インク等の汚濁液が加圧状態に充填されたインク収納容器に、インクを紙幣束に指向して噴出させるインク噴出装置が取り付けられる。インク噴出装置は、弁機構及び該弁機構を開放動作させる開弁機構を備えて、インク収納容器本体の口部にねじ込み固定されている。前記弁機構は封板、破封爪、弁軸、及びピストン等からなる弁体を備え、この弁体の入口側通路にサイホン管の基端部を、出口側通路にインク放出管の基端部をそれぞれ接続し、そのインク放出管の先端に噴射ノズルを取り付けている。前記開弁機構はインク噴出装置の弁体にこれを起動するガス発生器を備えている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、弁機構及び開弁機構を備えたインク噴出装置がインク収納容器本体の口部にねじ込み固定される構造の上記汚濁液噴出装置では、インク収納容器としてインク噴出装置をねじ込み可能にする特殊な形状に加工する必要があり、また弁機構及び開弁機構の複雑さ、需要数量が多くない等の理由によりコスト的に高価となり、量産化も難しいものであった。
これに対し、通常、市販されているエアゾール容器は、殺虫剤や化粧品等の内容物を霧状に噴出させる容器として、またスプレー式の防犯具や消火具等の容器として幅広い範囲で大量生産され、その量産化により非常に安価に入手でき、しかもそれらの多くの需要により技術レベルアップし、品質、信頼性に富むものである。
【０００４】
そこで、本発明は、通常市販されているエアゾール容器を汚濁液貯蔵容器として使用可能になすことにより量産化、低コスト化を図れる汚濁液噴出装置を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明の汚濁液噴出装置は、止め弁を上端口部に備えた汚濁液貯蔵容器、前記止め弁を開放動作させる開弁機構、該開弁機構を起動する起動装置、及び先端に汚濁液噴出ノズルを備えた配管により構成される。
前記汚濁液貯蔵容器は、汚濁液を加圧状態に充填した汚濁液貯蔵容器本体の上端口部の開口縁に、該上端口部を封口するキャップの外周縁をかしめており、前記キャップはこれの中央に貫通孔を有する弁蓋を膨出状に一体形成するとともに、この弁蓋の外周と前記外周縁との間に環状凹溝を形成している。
前記止め弁は、前記弁蓋の内側に固定された弁胴体と、この弁胴体の内部に上下方向に摺動自在にかつスプリングで常に押上げ付勢されて前記弁蓋の内面の弁座に気密状に当接した弁体、及び該弁体の上端に一体形成されて前記弁蓋の貫通孔から上方へ突出された弁棒により構成されており、前記弁胴体の液流入口側にサイホン管の上端部を接続している。
前記開弁機構は、シリンダーと、前記弁棒の上端部に結合されて前記シリンダー内を上下方向に摺動するピストンにより構成されて、前記シリンダーの下端部を前記キャップの環状凹溝に嵌合固定している。
前記シリンダーの下端部は、前記キャップの外周縁の上に座して張出状に形成された鍔部と、前記鍔部より下方に形成され、前記キャップの環状凹溝に圧入により嵌合固定される外径部とを備える。
前記起動装置は、前記シリンダーに取り付けられ、起動電気信号を入力して所定量のガスを発生しこのガス圧で前記ピストンを下降させて前記弁体を弁座から離して開くガス発生器により構成されている。
前記ガス発生器は、ガス発生室と、前記ガス発生室内に設けられた爆薬と、前記ガス発生室内に設けられた起爆用電熱体とを備える。ガス発生室は、前記シリンダーの上端部に直交状にねじ込み結合されて前記シリンダー内と連通する。
前記配管の基端部が前記シリンダーの周壁の開口内を遊嵌状に挿通されて前記止め弁の液流出口側に連通するよう前記ピストンに一体的に結合されている。
【０００６】
【作用】
上記構成の汚濁液噴出装置によれば、起動電気信号がガス発生器に入力されると、ガス発生器が所要量のガスを発生し、そのガス圧がピストンに作用してピストンが下降し、これによって弁棒及び弁体がスプリングに抗し下降して弁体が弁座から離されて開放し、汚濁液貯蔵容器本体内の汚濁液がサイホン管、止め弁の開放路、配管を経て汚濁液噴出ノズルに圧送されて、該噴出ノズルから紙幣束に向けて勢いよく噴出され、紙幣が使用不能状態に汚損される。
【０００７】
開弁機構及びこれに取り付けられた起動装置は、開弁機構のシリンダーの下端部を汚濁液貯蔵容器のキャップの環状凹溝に嵌合固定することにより汚濁液貯蔵容器に簡単かつ確実に取り付けることができる。
【０００８】
上記のように構成された汚濁液貯蔵容器本体、キャップ、止め弁、サイホン管を含む汚濁液貯蔵容器は、通常市販されているエアゾール容器の構造と同じ構造に構成したうえで、その容器が持つキャップの環状凹溝を利用してこれに開弁機構のシリンダーの下端部を嵌合固定するものとしたので、エアゾール容器自体に何ら改変を加えることなく、そのまま使用することができて安価で品質上信頼性に優れる汚濁液噴出装置の量産を可能にすることになる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図１は本発明に係る汚濁液噴出装置全体の縦断正面図、図２は汚濁液噴出装置の組付け状態の要部拡大図、図３は汚濁液噴出装置の組付け途上の状態を示す要部拡大図である。
【００１０】
図１、図２において、本発明の汚濁液噴出装置は、通常市販されているエアゾール容器もしくはそれと同一構造の容器からなる、止め弁１を備えた汚濁液貯蔵容器２と、止め弁１を開放動作させる開弁機構３と、開弁機構３を起動する起動装置４、および先端に汚濁液噴出ノズル３９を備えた配管４０により構成される。以下、これら止め弁１、汚濁液貯蔵容器２、開弁機構３、起動装置４、配管４０の各構造について詳述する。
【００１１】
汚濁液貯蔵容器２は、着色インク等の汚濁液と共に窒素ガス等の加圧用ガスが充填される円筒状の汚濁液貯蔵容器本体５の上端口部６の断面外巻き形状の開口縁７に、該上端口部６を封口するキャップ８の断面逆Ｕ形状の外周縁９をシール材１０を介在し被せて気密状にかしめ付けている。キャップ８は中心に貫通孔１１を有する弁蓋１２を中央部に上向きに膨出状に形成するとともに、この弁蓋１２の外周と外周縁９との間に環状凹溝１３を形成している。
【００１２】
キャップ８の弁蓋１２には止め弁１を取り付ける。止め弁１は弁蓋１２の内部に垂下状に固定された弁胴体１４、弁胴体１４の内部に上下方向に摺動自在にかつスプリング１５で常に押上げ付勢された弁体１６、弁体１６の上端に一体に形成されて弁蓋１２の貫通孔１１から上方へ突出された弁棒１７により構成される。弁蓋１２の内面の貫通孔１１周囲にはガスケット１８により弁座１９が形成され、この弁座１９に弁体１６の上端面が気密を保持すべく当接している。弁棒１７には液流出口２０を軸方向に形成している。
【００１３】
弁胴体１４の下端の液流入口２１側にはサイホン管２２の上端部が接続され、サイホン管２２の下端部２３は汚濁液貯蔵容器本体５の内方に隆起する断面山形状の内底面２４に達して該内底面２４上の周辺の最深凹部２５に臨ませている。
【００１４】
開弁機構３は、弁棒１７及び弁体１６をスプリング１５に抗して押し下げて開放動作させるものであり、下端開放状のシリンダー２６と、弁体２６の上端部に結合されてシリンダー２６内を上下方向に摺動するピストン２７とにより構成される。ピストン２７はこれの下端面にキャップ８の中央の弁蓋１２が遊嵌する凹部２８を形成し、かつ該凹部２８内に弁棒１７の上端部１７ａが挿入結合する垂直の液流出路２９を形成するとともに、該液流出路２９に直交状に連通する水平の液流出路３０を形成している。
シリンダー２６の開放下端寄り部にはキャップ８の外周縁９の上に座する鍔部３１を張出状に形成し、この鍔部３１より下方の外径部３２はキャップ８の環状凹溝１３に圧入により嵌合固定できる寸法、形状に形成されている。
【００１５】
開弁機構３を起動する起動装置４は起動電気信号を入力して所定量のガスを発生して所定のガス圧を前記ピストン２７に作用させるガス発生器３３により構成される。ガス発生器３３は、シリンダー２６の上端部に直交状にねじ込み結合されて、シリンダー２６内と連通するガス発生室を内部に有するガス発生器本体３４と、このガス発生器本体３４の外端部に螺合された蓋３５と、この蓋３５に一体に取り付けられた爆薬３６及び起爆用電熱体３７と、その起爆用電熱体３７から蓋３５を貫通して外部へ導出されたリード線３８とにより構成されている。起動電気信号がリード線３８を介して起爆用電熱体３７に印加されると、爆薬３６からガスを発生してガス発生器本体３４内のガス圧力が増大し、そのガス圧がピストン２７に作用して該ピストン２７が所定ストロークだけ下降するよう構成している。
【００１６】
先端に汚濁液噴出ノズル３９を備えた配管４０はこれの基端部がシリンダー２６の周壁一部に形成した開口４１内に通されてピストン２７の水平の液流出路３０に管継手（エルボ）４２を介して連通するよう一体的に結合されている。シリンダー２６の開口４１は、配管４０がピストン２７と同行するとき配管４０の基端部がシリンダー２６と干渉することないような融通性をもつ開口大きさに形成されている。
【００１７】
このように構成された開弁機構３及びこれに一体的に取り付けられた起動装置４を汚濁液貯蔵容器２に取り付けるには、図３の取付け前の状態から開弁機構３のピストン２７の液流出路２９の下端に弁棒１７の上端部を挿入結合するとともに、シリンダー２６の下端部を汚濁液貯蔵容器２のキャップ８の環状凹溝１３に嵌合固定することにより図２に示すごとく開弁機構３及び起動装置４は汚濁液貯蔵容器２に確実、強固に取り付けることができる。その際、キャップ８の環状凹溝１３に対しシリンダー２６の下端部を嵌合固定するだけでは一体結合力が不十分である場合は、図２中、仮想線Ｆで示すごとくシリンダー２６の鍔部３１周辺と汚濁液貯蔵容器本体５の開口縁７部との重合部を金属製の締結リング部材４３で離脱不能に締結固定することができる。
【００１８】
上記構成の汚濁液噴出装置において、起動電気信号が起動装置４のガス発生器３３に入力されると、ガス発生器３３が所要量のガスを発生し、そのガス圧がピストン１３に作用してピストン１３が下降し、これによって弁棒１７及び弁体１６がスプリング１５に抗し下降して弁体１６が弁座１９から離されて開弁し、汚濁液貯蔵容器本体５内の汚濁液がサイホン２２、弁胴体１４の液流入口２１、弁棒１７の液流出口２０よりなる液流出口、ピストン１３の液流出路３０、配管４０を経由して汚濁液噴出ノズル３９に圧送されて、該噴出ノズル３９から紙幣束に向けて噴出させることができる。
【００１９】
【発明の効果】
本発明の汚濁液噴出装置によれば、その一構成部材である汚濁液貯蔵容器に通常市販されている安価でかつ品質、信頼性に優れるエアゾール容器を用いることができ、しかもその容器が備えたキャップの環状凹溝に開弁機構のシリンダーの下端部を嵌合固定するだけの簡単な手段で安価で品質上信頼性に優れる汚濁液噴出装置を量産できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の汚濁液噴出装置全体の縦断正面図である。
【図２】汚濁液噴出装置の組付け状態の要部拡大図である。
【図３】汚濁液噴出装置の組付け途上の状態を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
１ 止め弁
２ 汚濁液貯蔵容器
３ 開弁機構
４ 起動装置
５ 汚濁液貯蔵容器本体
６ 上端開口部
７ 開口縁
８ キャップ
９ 外周縁
１１ 貫通孔
１２ 弁蓋
１３ 環状凹溝
１４ 弁胴体
１５ スプリング
１６ 弁体
１７ 弁棒
１９ 弁座
２１ 液流入口
２２ サイホン管
２６ シリンダー
２７ ピストン
３３ ガス発生器
３９ 汚濁液噴出ノズル
４０ 配管
４１ 開口
Claims (2)
- 止め弁を上端口部に備えた汚濁液貯蔵容器、前記止め弁を開放動作させる開弁機構、該開弁機構を起動する起動装置、及び先端に汚濁液噴出ノズルを備えた配管により構成されており、
前記汚濁液貯蔵容器は、汚濁液を加圧状態に充填した汚濁液貯蔵容器本体の上端口部の開口縁に、該上端口部を封口するキャップの外周縁をかしめており、前記キャップはこれの中央に貫通孔を有する弁蓋を膨出状に一体形成するとともに、この弁蓋の外周と前記外周縁との間に環状凹溝を形成しており、
前記止め弁は、前記弁蓋の内側に固定された弁胴体と、この弁胴体の内部に上下方向に摺動自在にかつスプリングで常に押上げ付勢されて前記弁蓋の内面の弁座に気密状に当接した弁体、及び該弁体の上端に一体形成されて前記弁蓋の貫通孔から上方へ突出された弁棒により構成されており、前記弁胴体の液流入口側にサイホン管の上端部を接続してあり、
前記開弁機構は、シリンダーと、前記弁棒の上端部に結合されて前記シリンダー内を上下方向に摺動するピストンにより構成されて、前記シリンダーの下端部を前記キャップの環状凹溝に嵌合固定してあり、
前記シリンダーの下端部は、
前記キャップの外周縁の上に座して張出状に形成された鍔部と、
前記鍔部より下方に形成され、前記キャップの環状凹溝に圧入により嵌合固定される外径部とを備え、
前記起動装置は、前記シリンダーに取り付けられ、起動電気信号を入力して所定量のガスを発生しこのガス圧で前記ピストンを下降させて前記弁体を弁座から離して開くガス発生器により構成されており、
前記ガス発生器は、
前記シリンダーの上端部に直交状にねじ込み結合されて前記シリンダー内と連通するガス発生室と、
前記ガス発生室内に設けられた爆薬と、
前記ガス発生室内に設けられた起爆用電熱体とを備え、
前記配管の基端部が前記シリンダーの周壁の開口内を遊嵌状に挿通されて前記止め弁の液流出口側に連通するよう前記ピストンに一体的に結合されていることを特徴とする、汚濁液噴出装置。 - 前記汚濁液貯蔵容器がエアゾール容器により構成されている、請求項１記載の汚濁液噴出装置。
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