JP4164287B2 - 記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録装置及びその記録装置の記録制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の記録装置は、画像情報に基づいて、紙等の被記録材(記録媒体)上にドットパターンからなる画像を記録していくように構成されている。このような記録装置のうち、記録ヘッドの吐出口からインク液を吐出させて、これを記録媒体に付着させて記録するように構成されるインクジェット方式の記録装置は、高速記録、機器構成を簡素化できるという利点、高画像品質に応える記録装置として、急速に普及している。
【0003】
従来における記録装置は、インクの吐出量に起因する記録ムラを軽減するために記録ヘッドをマルチパスに走査して記録を行い、記録画像の品質ムラを軽減していた。この方式では、複数の液滴を記録媒体上の実質的に同一の箇所に着弾させて1つのドット(画素)を形成し、着弾させる液滴の個数を変えることにより階調表現が可能となる。
【0004】
この際、記録ヘッドから吐出されるインク滴で記録をするための吐出パターンに対応してマスクパターンを設定するが、通常このデータの管理は1バイト単位以上で作成され管理され、このマスクパターンは記録モードに従った複数のパターンをあらかじめ作成しておき、記録中はそれを選択しながら使うことにより記録処理を行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように予め作成されたマスクパターンを選択して使用する場合には記録媒体内での送り量がいくつであるかが決まっていることが条件となる。しかしながら、記録中に記録媒体の物理的な状態の変化により、またはメカ的な要因により一時的に送り量を変化させることがある。このような場合は、記録ヘッドを走査する方向(主走査方向)と、記録媒体を搬送する方向(副走査方向)と、選択するべきマスクパターンと、が同調できなくなるり高品位の記録画像の形成において問題となっていた。
【0006】
この場合、記録媒体の状態変化量の種類が多い場合は、それに合わせたマスクパターンをすべて作成することは記録装置のメモリー容量の関係から困難であり、メモリー量の増加により解決を図ったとしても、記録装置の低コスト化に反する結果となる。
【0007】
この問題を回避するためには記録パス毎に、その都度最適なマスクを作成することが考えられが、この場合、記録媒体の送り方向にデータを管理するマスクデータでは1バイト単位で管理を行うと、記録媒体の送り量が8の倍数に制限されてしまい制約のあるシステムになっていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するべく、マスクパターンの生成をパス毎に、ビット単位に行なうことにより、記録媒体の送り量に限定されることなく管理することを可能とし、不必要なマスクパターンデータを保持する必要のないメモリ効率の優れた記録装置及びその装置の記録制御方法を提供することを目的とする。この目的を達成する本発明にかかる記録装置は主として以下の構成を備えることを特徴とする。
【0009】
すなわち、記録媒体を搬送する方向に複数の記録素子配列した記録ヘッドを、前記記録媒体上の単位領域に対して、前記記録媒体を搬送する方向と直交する方向に複数回走査させることにより記録を行う記録装置は、
前記単位領域に記録すべき画像データを前記複数回の走査に分割するためのマスクパターンを第1のマスク生成テーブル、第2のマスク生成テーブルを用いて生成する生成手段と、
前記生成手段により生成されたマスクパターンおよび前記単位領域ごとの画像データに基づき記録ヘッドに記録を行わせる制御手段とを有し、
前記第1のマスク生成テーブルは、8個の前記記録素子に対応する画像データを分割するためのマスクパターンを生成するためのマスク生成テーブルであり、
前記第2のマスク生成テーブルは、1個の前記記録素子に対応する画像データを分割するためのマスクパターンを生成するためのマスク生成テーブルであり、
前記生成手段は、前記単位領域に記録すべき画像データが8の整数倍である前記記録素子に対応する画像データの場合に第1のマスク生成テーブルのみを用い、前記単位領域に記録すべき画像データが8の整数倍でない前記記録素子に対応する画像データの場合に前記第1のマスク生成テーブル及び前記第2のマスク生成テーブルを用いることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
なお、以下に説明する実施形態では、記録装置としてインクジェット記録ヘッドを用いた記録装置を例に挙げて説明する。
【0019】
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0020】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0021】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0022】
<記録システムの構成(図1)>
図1は本実施形態における記録システムの構成を示すブロック図である。記録システムは、ネットワーク60を介して接続するホストコンピュータ20と記録装置40から構成され、ホストコンピュータ20から送信される記録ジョブを記録装置40で記録する。この記録ジョブの実行のためにホストコンピュータ20は記録ジョブを制御するための記録制御データを生成する。
【0023】
ホストコンピュータ20はCPU21により全体的な処理が制御され、CPU21はシステムバス24に接続した各デバイスを総括的に制御する。
【0024】
ROM23には、CPU21によって実行される制御プログラムであるオペレーティングシステムプログラム(以下OS)などが格納されている。また、ROM23に記憶された文書処理プログラムなどに基づき、図形、イメージ、文字、表(表計算などを含む)などが混在した文書の処理がCPU21により実行される。
【0025】
RAM22はCPU21の主メモリ、ワークエリアなどとして機能する。キーボードコントローラ(KBC)25はキーボード29や図示しないポインティングデバイスからのキー入力を制御する。CRTコントローラ(CRTC)26はCRTディスプレイ(CRT)30の表示を制御する。
【0026】
ディスクコントローラ(DKC)27は、ハードディスク(HD)、フロッピーディスク(FD)などの外部メモリ31とのアクセスを制御する。外部メモリ31には、ブートプログラム、各種アプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、文字イメージデータ生成プログラム、記録装置制御コマンド生成プログラム(以下、記録装置ドライバという)などが記憶されている。
【0027】
28は記録装置コントローラ(PRTC)であり、所定の双方向性インターフェース(以下、「インターフェース」)を介して記録装置40に接続され、記録装置との通信制御処理を実行することが可能である。本実施形態では、ネットワークコントローラ32(NETC)が、所定の双方向インターフェースを介してネットワーク60に接続した記録装置40や他のコンピュータとの通信制御処理を実行する。
【0028】
一方、記録装置40は記録装置用のCPU42を有し、ROM43に記憶された制御プログラムに基づき、システムバス45に接続した記録部インターフェース(I/F)46を介して記録部(プリンタエンジン)47に出力情報としての画像信号を出力する。
【0029】
ROM43には、CPU42によって実行される制御プログラムなどが格納されている。CPU42は記録装置各部の動作の制御処理やデータ処理等を実行し、入力部48を介してホストコンピュータ20と通信処理が可能である。記録ジョブに関するデータ、その記録ジョブを実行するための記録制御情報を受信し、記録装置40内のジョブ処理ステータス、装置情報などをホストコンピュータ20に通信する。本実施形態では、入力部48を双方向のインターフェースとして、ネットワーク60に接続したホストコンピュータ20やその他のコンピュータあるいは他の記録装置に対してデータの送受信が可能となっている。
【0030】
記録装置40のRAM49はCPU42の主メモリ、ワークエリアなどとして機能する。外部メモリ44は、ICカード等であり、メモリコントローラ(MC)50によりアクセス制御される。また、操作部41には、操作パネルで操作するためのスイッチおよびLED表示器などが配されており、操作部41を用いて外部メモリ44に記録装置に関するモード設定情報を記憶させることができる。また図1はネットワーク60に接続した記録装置40を想定しているが、本実施形態にかかる記録システムはこのような接続形態に限定されるものではなく、ホストコンピュータ20からインタフェース(例えば、図1のネットワークコントローラ32(NETC))を介して直接に記録装置40と接続するシステムにおいても適用は可能である。
【0031】
<記録装置の概略(図2)>
図2は、本実施形態における記録装置を示す外観斜視図である。図2において、キャリッジ201上には記録ヘッド202が搭載されており、そのキャリッジ201はガイドレール上203,204にガイドされて、キャリアモータ(後述)の駆動によりキャリッジ201を主走査方向に往復走査させる。205は搬送ローラ部で、搬送ローラ205は搬送モータ(後述)によって駆動され、記録媒体206を副走査方向に搬送する。
【0032】
記録装置はカラープリント、白黒プリントの両方の記録が可能であり、記録ヘッド202にはブラック(K)のインク、或いは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のインクを収容したインクカートリッジが装着可能である。そして、それぞれのインクカートリッジからシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のインクが供給される。また、多数の導線を配列したフレキシブルケーブル(不図示)を介して記録ヘッドにおける各ノズルの駆動信号が供給される。
【0033】
<記録装置の制御部(図3)>
図3は、図2に示した記録装置の制御回路を示すブロック図である。図3において、CPU42は上述のように記録装置各部の動作の制御やデータ処理等を実行し、ROM43には制御プログラム等が格納され、RAM49は上記の処理実行のワークエリアとして用いられる。記録ヘッド202は、例えば、インクを吐出するインクジェット記録ヘッドであり、そのインク吐出は、CPU42が電気熱変換体の駆動データおよび駆動制御信号をヘッドドライバ102Aに供給することにより行われる。すなわち、電気熱変換体が発生する熱エネルギーによりインクに膜沸騰が生じて、そのインクが吐出口から吐出するようになっている。さらにCPU42は、キャリッジ201を主走査方向に走査させるためのキャリッジモータ200や搬送ローラ部205を回転駆動させるための搬送モータ50を、それぞれキャリッジモータドライバ20Aおよび搬送モータドライバ50Aを介して制御する。
【0034】
<画像処理>
図11は、入力画像データから、マスクパターン生成、記録処理の流れを説明するフローチャートである。
【0035】
この画像処理のプロセス(S1101)はハード(不図示の画像処理ボード)で実行するように構成することも可能であり、ソフトで実行するように構成することも可能である。ソフトで画像処理を実行するためには、画像処理プログラムをROM43に格納し、CPU42の制御により、このプログラムが実行されることで、以下のプロセスが実行される。
【0036】
ユーザがホストコンピュータ20から所望の画像の記録を指示すると、画像データは記録装置の入力部48を介して記録装置40に受信される。この受信された画像データに従い、各画素ごとの濃度変換処理が行なわれる(S1102)。
【0037】
インク分配処理では、濃度変換された画素に対して重ね打ちをするインクの組合わせデータ、パスの回数データを生成し、インクの吐出、不吐出の2値信号を決定し(S1103)、各ヘッド毎の吐出パターンを生成する(S1104)。
【0038】
ステップS1105では、インク吐出のパターンに対応したマスクパターンを生成する。図12はマスクパターン生成の流れを概略的に説明するフローチャートである。ステップS1210で、パス数を設定する。ここで設定されたパス数によりマスク生成テーブルが選択される。ステップS1220では、マスク生成テーブルからデータを読み出すためのオフセット値を設定し、このデータに基づいて所定の単位でデータが読み出され(S1230)、パス毎のマスクパターンのデータが設定される(S1250)。全パス分の処理が終了した場合(S1250−Yes)は処理を終了し、終了していない場合は(S1250−No)、処理をステップS1230に戻し、該当するパスのマスク生成テーブルからデータの読み出しを続行し、データを設定する。
【0039】
ここで処理されるマスクの生成は、ページ単位で予めマスクパターンを準備するのではなく、記録をする際、パス毎にデータを作成し、マスクパターン作成の単位を記録するべきデータに応じてビット単位若しくはバイト単位に管理することでメモリ効率を向上させ、記録媒体の搬送単位に限定されないでマスク生成をすることが可能になる。この詳細は後に説明する。
【0040】
<記録ヘッドのインク吐出、不吐出>
図4は記録ヘッドに対するインクの吐出、不吐出の割り当てを説明する図である。同図において、データ401は記録ヘッドを構成するノズル列に対してインク吐出、不吐出の情報を与える8ビットのデータである。データ401において、ビット情報として「1」は各吐出口(ノズル)のインク吐出を指示し、「0」はインクの不吐出を指示する。402は記録ヘッドに構成されるノズル列の内、ドット8画素分の吐出口を示しており、上述のビット情報「1」に対応する吐出口を「●」で、ビット情報「0」に対応する吐出口を「○」で表示してている。
【0041】
403は8ビットのデータ401をバイト単位(00)で表した図であり、バイト単位の情報が8バイト分配列した状態を示している。403のデータ配列のうち、「00」から「07」の数字はメモリにデータを格納する際のアドレス番号であり、連続したメモリアドレスにデータは格納される。
【0042】
404はインク吐出口の配列を示し、402のようにドット8画素分を1つのブロックとした場合に8つのブロック(64画素分)がシリアルに配列した状態を示す。そして、403で示すように、各バイトの情報(00、01、・・・、07)は、各インク吐出口のブロック(▲1▼、▲2▼、・・・、▲8▼)に対応して順番に割り当てられる。
【0043】
<マスク処理>
図5はマスクの処理の内容を説明する図であり、2回の走査により1つの記録画像を形成する2パス記録を例としている。
【0044】
1パス目の記録において、501は記録データであり、502はマスクパターン502であり、CPU42は両データの論理積の演算を実行し、その結果をヘッドドライバ102Aに出力する。ヘッドドライバ102Aは記録ヘッド202を制御して、503に示す吐出を行なう。
【0045】
2パス目の記録においては、記録データ501と同じデータ504を使用し、1パス目の記録で適用したマスクパターン502と補完関係(対応するビット情報の和が1になる関係)にあるマスクパターン505を生成し、記録データ504と、このマスクパターン505との論理積の演算結果に従い、ヘッドドライバ102Aは記録ヘッド202を制御して、506に示す吐出を行う。
【0046】
同一の記録位置において2回の走査で507に示すインク吐出が実行される。次に、上述のマスクパターン502、505の具体的なデータの設定について説明する。
【0047】
<記録媒体の送りとマスクの対応関係>
図6は記録媒体の送りとマスクパターンの対応関係を説明する図である。この図では、データを4回重ねることにより記録を完成させる4パスによる記録を例示している。まず、4パス用のマスクパターンを生成するために、4つのマスク生成テーブル601〜604を準備する。これらのマスクテーブルに格納されるデータは各テーブルの同一アドレスに相当するデータを相互に補完する関係にあり、テーブル1(601)〜テーブル4(604)のデータの和が「1」(100%)となる。この関係は図5で示したマスクパターン502と505の関係と同じである。
【0048】
例えば図6で、マスク生成テーブルの先頭アドレスから一定のOFFSET値(固定値)を設定し、(OFFSET)×6倍のアドレスに格納されているデータ(OFFSET×6)605を参照すると、このアドレスに格納されているテーブルの値は、
(テーブル1+テーブル2+テーブル3+テーブル4)=1(=100%)
という関係を満たす。同様にOFFSET×7に対応する領域のデータも同様に上記のような補完関係を満たす。テーブル間で横断的にこのような関係を満たすマスク生成テーブルを使用して、4パス分に相当するデータの配列を取得する。マスク生成テーブルから取得するアドレスをここでは、OFFSET×6、OFFSET×7として、以下のように各パスのマスクデータを設定する。
【0049】
<1パス目>
1パス目のデータ607をマスク生成テーブル4(604)のアドレスOFFSET×6及びOFFSET×7から取得して、相当する領域(オフセット6,7)に格納する。このようにオフセット値をずらして設定するのは少ないマスク生成テーブルのデータに基づいてデータを生成する際のランダム性を向上させるためである。なお、1パス目のデータ配列607において、オフセット0から7に対応して8つに分割された領域は1バイト(8ビット)分のデータが対応するものとする。
【0050】
<2パス目>
2パス目のデータ608において、記録媒体の送り量が2×8=16ラスター分の送り量とする(記録媒体の送り量を8の倍数単位)。そして、16ラスター分のマスク領域をシフトさせて、上述の1パス記録時にマスク生成テーブル4(604)のデータを設定した領域に対応する領域(ハッチングを付した領域)に、マスク生成テーブル3(603)からOFFSET×6、OFFSET×7に相当するアドレスデータを取得して設定する。
【0051】
<3パス目>
3パス目に対応するデータ609において、記録媒体の送り量が1×8=8ラスター分の送り量とした場合、8ラスター分のマスク領域をシフトさせて、1パス記録時にデータを設定した領域に対応する領域(ハッチングを付した領域)に、マスク生成テーブル2(602)からOFFSET×6、OFFSET×7に相当するアドレスデータを取得して設定する。
【0052】
<4パス目>
4パス目に対応するデータ610も上述の設定と同様に、記録媒体の送り量が3×8=24ラスター分の送り量とした場合、24ラスター分を送り、1パス記録時にマスク生成テーブル4(604)のデータを設定した領域に対応する領域(ハッチングを付した領域)に、マスク生成テーブル1(601)からOFFSET×6、OFFSET×7に相当するアドレスデータを取得して設定する。
【0053】
以上のデータ操作により4パス記録に対応したパス毎のマスクデータが設定できる。
【0054】
<マスク生成テーブルからのデータの取得(図7)>
図7は各マスク生成テーブルからのデータの取得と、そのデータの格納を示した図である。701はあるパス数に対応するマスク生成テーブルに格納されたデータを例示するものである。このテーブル701に格納されるデータAdr0(703)、Adr1(704)、・・・・、EndAdr(709)は1バイトのデータである。702は記録ヘッドのインク吐出口の配列に対応させたマスクパターンのデータ配列を例示し、テーブル701に格納されているデータがどのような対応関係でマスクパターン702を構成するかを示すものである。
【0055】
702において、縦の長さはヘッドの副走査方向の長さあるいは記録する縦幅に対応する。そしてテーブル(701)の先頭に格納されているデータAdr0703(1バイト単位)を取得し、これをマスクパターン(702)の配列706に対応させてデータを格納する。このデータの格納処理は、記録装置40のCPU42の制御の下に行なうことも、記録システムにおけるホストコンピュータ20側の制御により行なうことも可能である。
【0056】
続いてテーブル701から、先にデータを取得したAdr703と連続しているアドレスのデータAdr1(704)を取得し、マスクパターン702のアドレス707に格納する。この際、Adr1(704)の格納領域は先に格納したAdr0(703)の先頭アドレスに対して702の縦の長さ分のオフセット(Offset)分を加えたアドレスAdr+Offset×1に対応するアドレス707にデータを格納する。以下、同様にこの操作を繰り返す。そしてテーブル701の最後のデータEndAdrの読み取りが完了した場合は、テーブル1の先頭に格納されているデータAdr(703)に読み取りの対象をシフトさせて、再びデータを格納していく。このとき、テーブル701のデータ量は任意でよく、テーブル701のデータ量が大きければマスクパターンとして配列されるデータのランダム性を上げることが可能であるし、少なければメモリーサイズの節約に貢献できる。
【0057】
<ビット単位のマスクパターン生成(図9、10)>
先に説明した図6では、各パスにおいて記録するための記録媒体の送り量は8ラスター単位(8の倍数単位)の例を示したが、送り量は必ずしも8ラスターを単位とする1バイト(8ビット)の情報に限られるものでなく、ビット単位に制御する場合もある。これに対応するために、記録媒体の送り量を8ラスター単位(8の倍数単位)に制限をしない場合のデータの格納を図9により説明する。同図において、904、905,906は、ビット単位のデータを示し、四角の中の数字はビット数を示している。したがって、904は2ビット、905は1ビット、906は3ビット分のデータを示し、各ビット分が記録媒体の送り量となる。
【0058】
図9では、図6との対比をわかりやすくするために、データを4回重ねることにより記録を完成させる4パスによる記録を例示している。まず、4パス用のマスクパターンを生成するために、4つのマスク生成テーブル902a〜dを準備する。これらのマスクテーブルに格納されるデータは図6で説明したように、各テーブルの同一アドレスに相当するデータを相互に補完する関係にあり、テーブル1(902a)〜テーブル4(902d)のデータの和は「1」となる。
【0059】
マスク生成テーブルからデータを取得するためのオフセット(OFFSET)値は、マスクパターン8ビット(1バイト)分のデータに対して固定して、この8ビット分のデータに関しては同じオフセット値を使用して各テーブルからデータを読み出すものとする。このOFFSET量は必ずしも8ビットに固定ではなく、任意に設定することが可能であり、生成するマスクパターンに設定するためのデータの単位に応じて、ビット単位若しくはバイト単位等で管理するか否かを切替えることが可能である。
【0060】
1パス目のデータ907aをマスク生成テーブル4(902d)のアドレスOFFSET×7から2ビット分のデータを取得して、領域950,951に格納する。2パス目のデータ907bにおいて、記録媒体の送り量2×1=2ビット分の送りに対応して格納領域をシフトさせて、上述の1パス記録時にデータを設定した領域に対応する領域(907bのハッチングを付した領域)に、マスク生成テーブル3(902c)からOFFSET×7に相当するアドレスデータを2ビット分取得して設定する。
【0061】
以下、同様に、ビット単位の送りに対応して、マスク生成テーブルから、ビット単位のデータを操作して、所定の領域にデータを設定することが可能となる(907a〜907d)。このようにマスクパターンの生成をパス毎に、ビット単位に行なうことにより、記録媒体の送り量、例えば1バイト単位(=8ビット(8の倍数単位))、に限定されることなく管理することが可能となる。また、不必要なマスクパターンデータを保持する必要がなくなりメモリの効率的利用が可能となる。更に、記録の状態に適合したマスクパターンを逐次生成することで、高品位な記録が可能となる。
【0062】
図10は記録媒体の送り量が8ラスターあるいは8ラスタ以上となる場合のマスクパターンの生成を説明する図である。図6、図9と同様に4つのマスク生成テーブル1003a〜1003dを準備した場合、これらのマスク生成テーブルに格納されるデータは各テーブルの同一アドレスに相当するデータを相互に補完する関係にあり、テーブル1(1003a)〜テーブル4(1003d)のデータの和は「1」となる。図9で説明したように、マスク生成テーブルからデータを読み取るためのオフセット値の設定は、データの読み取り効率の観点からマスクパターン8ビット(1バイト)分のデータに対して固定し、8ビット分のデータに関しては同じオフセット値を使用して各マスク生成テーブルからデータを読み出すことにより、生成されるマスクパターンにおけるデータの同一の記録領域に対する補完関係は維持できる。この際、オフセット値を変えてしまうと、補完の関係が成立しなくなるために生成したマスクは正常に機能しなくなる。
【0063】
8ラスター(8ビット)以上の送りが生じる場合には、データの読み取りを8ラスター単位で区切り、8ラスター単位にマスク生成テーブル1003a〜dからデータを読み出して所定のマスクパターンの領域に格納することによりデータを設定することが可能となる。図10の場合は、8ラスターの送りにおいて、オフセット値を(Offset×6)としてマスク生成テーブル(1003a〜d)のデータを1004aからdに格納する状態を示す図である。
【0064】
1パス目のマスクパターン1004aとして、マスク生成テーブル4(1003d)のアドレスOFFSET×6からデータを取得して、相当する領域にデータを8ラスター分(8ビット分)格納する。次に、2パス目のデータ1004bにおいて、8ラスター分を送り格納領域をシフトさせて、上述の1パス記録時にマスク生成テーブル4(1003d)のデータを設定した領域に対応する領域に、マスク生成テーブル3(1003c)からOFFSET×6に相当するアドレスデータを取得して設定する。
【0065】
第3、第4パスに対応するデータの格納についても同様に8ラスター分の送りによりデータの格納領域をシフトさせて(1004c,d),その格納領域にマスク生成テーブル(1003a,b)から読み出したデータをビット単位に設定することにより、記録媒体の送り単位に拘束されることなく、パス毎にマスクパターンを生成することが可能となる。
【0066】
各パス毎の画像データが8ビットの整数倍で生成される場合は、マスクパターンの生成をビット単位の情報からバイト単位の処理に切替えることが可能である。記録装置のCPU42は、生成されたパス毎の画像データに基づき、この切り替えを選択的に判断する。従って、生成される画像データによっては、バイト単位にマスクデータが生成される部分と、ビット単位にマスクパターンが生成される部分とがある。
【0067】
図10は8ラスターの送りに対してデータの設定を説明した図であるが、この場合に限られず、例えば、16ビット(2バイト)単位、32ビット(4バイト)単位でも、ビット情報のデータをマスク生成テーブルのデータから読み出して設定することも可能である。この場合、1度に大きい単位でデータの設定を行なうことにより、マスクパターンを生成するための処理効率の向上が図れる。
【0068】
<パス数の切り替え(図8)>
マスクパターンの生成において、パス数が切替えられた場合に、複数種のパス用テーブルを参照してマスクパターンを生成することも可能である。図8の801は4パス用マスク生成テーブルであり、このテーブルからデータを読み出して、マスクパターン803を生成する。この際、データの格納処理は上述の説明のとおりである。パス数が4パスから6パスに切替えられた場合は、記録装置のCPU42は参照すべきテーブルを6パス用のテーブル802に切替えて各6パス用のテーブルからデータを読み出してマスクパターンを生成することが可能である。
【0069】
この場合においても、同様にビット単位の送りに対応して、マスク生成テーブルから(801a〜d、802a〜f)、ビット単位のデータを操作して、所定の領域にデータを設定することが可能となる(803)。このようにマスクパターンの生成をパス毎に、ビット単位に行なうことにより、記録媒体の送り量に限定されることなく管理することが可能となる。
【0070】
また、不必要なマスクパターンデータを保持する必要がなくなり、メモリの効率的利用が可能となる。
【0071】
また、記録の状態に適合したマスクパターンを逐次生成することで、高品位な記録が可能となる。
【0072】
なお、以上の実施形態において、記録ヘッドから吐出される液滴はインクであるとして説明し、さらにインクタンクに収容される液体はインクであるとして説明したが、その収容物はインクに限定されるものではない。例えば、記録画像の定着性や耐水性を高めたり、その画像品質を高めたりするために記録媒体に対して吐出される処理液のようなものがインクタンクに収容されていても良い。
【0073】
以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0074】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状をすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0075】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0076】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても良い。
【0077】
さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0078】
加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0079】
また、以上説明した記録装置の構成に、記録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加することは記録動作を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などがある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0080】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
【0081】
以上説明した実施の形態においては、インクが液体であることを前提として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化もしくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30°C以上70°C以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0082】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いても良い。いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0083】
さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を取るものであっても良い。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、マスクパターンの生成をパス毎に、ビット単位に行なうことにより、記録媒体の送り量に限定されることなく管理することが可能となる。
【0085】
また、不必要なマスクパターンデータを保持する必要がなくなりメモリの効率的利用が可能となる。
【0086】
更に、記録の状態に適合したマスクパターンを逐次生成することで、高品位な記録が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】記録システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の代表的な実施形態であるインクジェット記録装置の構成を示す斜視図である。
【図3】図2に示す記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図4】記録ヘッドに対するインクの吐出、不吐出の割り当てを説明する図である。
【図5】マスクの処理の内容を説明する図であり、2回の走査により1つの記録画像を形成する2パス記録を例としている。
【図6】記録媒体の送りとマスクパターンの対応関係を説明する図である。
【図7】各マスク生成テーブルからのデータの取得と、そのデータの格納を説明する図である。
【図8】複数種のパス用テーブルを参照してマスクパターンを生成する処理を説明する図である。
【図9】ビット単位のデータの管理によるマスクパターンの生成を説明する図である。
【図10】8ラスターの記録媒体の送りに対して、ビット単位のデータ送りが発生した場合のマスク生成方法を示した図
【図11】記録処理の流れを説明するフローチャートである。
【図12】マスクパターン生成の流れを概略的に説明するフローチャートである。

Claims (1)

  1. 記録媒体を搬送する方向に複数の記録素子配列した記録ヘッドを、前記記録媒体上の単位領域に対して、前記記録媒体を搬送する方向と直交する方向に複数回走査させることにより記録を行う記録装置であって、
    前記単位領域に記録すべき画像データを前記複数回の走査に分割するためのマスクパターンを第1のマスク生成テーブル、第2のマスク生成テーブルを用いて生成する生成手段と、
    前記生成手段により生成されたマスクパターンおよび前記単位領域ごとの画像データに基づき記録ヘッドに記録を行わせる制御手段とを有し、
    前記第1のマスク生成テーブルは、8個の前記記録素子に対応する画像データを分割するためのマスクパターンを生成するためのマスク生成テーブルであり、
    前記第2のマスク生成テーブルは、1個の前記記録素子に対応する画像データを分割するためのマスクパターンを生成するためのマスク生成テーブルであり、
    前記生成手段は、前記単位領域に記録すべき画像データが8の整数倍である前記記録素子に対応する画像データの場合に第1のマスク生成テーブルのみを用い、前記単位領域に記録すべき画像データが8の整数倍でない前記記録素子に対応する画像データの場合に前記第1のマスク生成テーブル及び前記第2のマスク生成テーブルを用いることを特徴とする記録装置。
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