JP4163990B2 - ピンチバルブ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体を制御するピンチバルブに関する。
【0002】
【従来の技術】
流体を制御するピンチバルブは、例えば、飲料水供給装置、人工透析濾過装置、高速気腹装置などに使用されるが、ここでは、人工透析装置に使用されるピンチバルブについて説明する。図10は、人工透析濾過装置90の一例を示す概略構成図である。図11は、人工透析濾過装置90に取り付けられたピンチバルブ100の拡大図である。
【0003】
腎臓には、体の老廃物を外に出す機能、体内の余分な水分を外に出す機能、血液をつくるためのホルモンを作る機能、骨をつくるためのビタミンを作る機能があることが一般的に知られており、図10に示す人工透析濾過装置90は、主として体の老廃物を外に出す機能及び体内の余分な水分を外に出す機能を機械的に代替する。人工透析濾過装置90による人工透析治療は、1回につき約4〜5時間要し、それを週に3回程度行う必要があるため、設備的・時間的制約等から一般家庭でも行われ、それに伴って人工透析濾過装置90が一般家庭でも使用されつつある。
【0004】
人工透析濾過装置90は、人体から採取した血液を循環させる血液循環経路上に設置され、人工透析部に供給された血液と透析液との間で透析濾過を行うことにより血液中の有害物質や過剰水分等を除去し、さらに、透析後の血液を再び人体に戻している。人工透析濾過装置90のピンチバルブ100には、図11に示すように、血液循環経路を構成するチューブTが組み付けられ、血液中に気泡が発生した場合やその他人工透析濾過装置90に異常が発生した場合などに、チューブTを狭圧して血液循環経路を圧閉し、血液を人体に戻さないようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図12は、従来のピンチバルブ100の断面図である。
ピンチバルブ100は、駆動力を発生するソレノイド部101と、チューブTを狭圧又は開放するピンチ部102とを備える。ソレノイド部101は、コイルボビン111にコイル112を巻き付け、コイルボビン111の一端開口部に固定コア113が固設され、他端開口部からプランジャ114が摺動可能に挿入されている。固定コア113とプランジャ114との間には、復帰バネ115が縮設され、プランジャ114に固定コア113から離間する方向(図中上方向)の力が常時作用している。
【0006】
ピンチ部102は、チューブTを位置決め保持する支持部材121がソレノイド部101に固定されている。支持部材121は、プランジャ114と同軸上に中空孔が形成され、その中空孔にピンチ部材122が摺動可能に挿通されている。ピンチ部材122は、ソレノイド部101のプランジャ114と連結され、プランジャ114を介して復帰バネ115により固定コア113と反対方向(図中上方向)の力が常時作用している。支持部材121には、チューブTを挿入して保持するための挿入部123が設けられ、チューブTに対して直交するようにピン124が架設されている。ピンチ部材122は、支持部材121の挿入部123に対して開口する狭圧部125が設けられ、ピン124と狭圧部125との間でチューブTを狭圧又は開放するようになっている。
【0007】
従って、ピンチバルブ100は、人工透析濾過装置90を停止させているときに、手動でチューブTを取り付けられる。すなわち、ピンチ部材122を復帰バネ115に抗してソレノイド部101側に押圧して、ピンチ部材122の狭圧部125を支持部材121の挿入部123に位置合わせした後、チューブTを支持部材121の挿入部123に挿通し、さらにピンチ部材122の押圧を解除して、ピンチ部材122を復帰バネ115の弾圧力で原位置に自動復帰させる。これにより、ピンチバルブ100は、ピン124とピンチ部材122の狭圧部125との間でチューブTを狭圧密閉し、チューブTを取り付けられる(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−218042号公報(段落0059〜0062、第9図。)。
【特許文献2】
特開平6−117552号公報(段落0002〜0003、第6,7図。)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のピンチバルブ100は、ソレノイド部101のコイル112に通電している間、ピンチ部材122がソレノイド部101側に移動して狭圧部125を支持部材121の挿入部123まで移動させるため、図13に示すように、チューブTが支持部材121から露出していた。このとき、チューブTを支持部材121の挿入部123から引き抜く方向に引っ張ると、チューブTがピンチバルブ100から簡単に脱落してしまっていた。特に、人工透析濾過装置90を一般家庭で使用する場合には、チューブTがピンチバルブ100から脱落すると、透析治療を受けている患者自身がチューブTを取り付け直さなければならないため問題である。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、流体制御中にチューブが脱落することを防止できるピンチバルブを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るピンチバルブは、上記課題を解決するため、以下の特徴を有する。
(1)プランジャが固定コアから離間する方向に復帰バネで付勢されたソレノイド部と、ソレノイド部に固設され、チューブを挿入する挿入部が設けられた支持部材と、支持部材に摺動可能に収納され、プランジャに連結するピンチ部材と、ピンチ部材と対向配置されるピンチガイド部材と、を備え、ピンチ部材を復帰バネに抗して押圧し、挿入部からピンチ部材とピンチガイド部材との間にチューブを挿入して取り付けるピンチバルブにおいて、挿入部を開閉する開閉部材を有すること、を特徴とする。
【0012】
上記構成を有する発明によれば、チューブを取り付ける場合には、開閉部材で支持部材の挿入部を開放した後、ピンチ部材を復帰バネに抗して固定コア側に押圧し、ピンチガイド部材から離間させる。そして、チューブを支持部材の挿入部からピンチ部材とピンチガイド部材との間に挿入し、開閉部材で支持部材の挿入部を閉鎖する。ピンチ部材への押圧を解除すると、ピンチ部材は、復帰バネの弾圧力で原位置に自動復帰し、ピンチガイド部材との間でチューブを狭圧密閉する。
【0013】
その後、ソレノイド部に通電すると、固定コアがプランジャを吸引して、ピンチ部材をピンチガイド部材から離間させる方向に移動させ、チューブを開通させる。このとき、支持部材の挿入部は、開閉部材により閉鎖されてるので、ソレノイド部の作動中にチューブを支持部材の挿入部側に引っ張っても、チューブが開閉部材に係止され、ピンチ部材とピンチガイド部材との間から抜けない。そして、ソレノイド部への通電を停止すると、プランジャが復帰バネに付勢されて原位置に復帰して、ピンチ部材とピンチガイド部材との間でチューブを狭圧密閉する。
【0014】
チューブを取り外す場合には、開閉部材で支持部材の挿入部を開放した後、プランジャを復帰バネに抗して固定コア側に押圧して、ピンチ部材をピンチガイド部材から離間させ、チューブをピンチ部材とピンチガイド部材との間から支持部材の挿入部へと引っ張れば、チューブをピンチ部材とピンチガイド部材との間から抜き出すことができる。
【0015】
このように、本発明によれば、開閉部材で支持部材の挿入部を開閉してチューブを着脱しており、ピンチ部材とピンチガイド部材との間に挿通したチューブを開閉部材で係止して抜け止めするので、流体制御中にチューブが脱落することを防止できる。
【0016】
(2)(1)に記載の発明において、開閉部材は、支持部材とピンチ部材との間に移動可能に配設されていること、を特徴とする。
すなわち、支持部材と摺動部材との間で開閉部材を移動させて支持部材の挿入部を開閉するので、チューブの脱落防止構造をコンパクトにすることができる。
【0017】
(3)(2)に記載の発明において、開閉部材を復帰バネと同一方向に付勢する付勢部材を有し、開閉部材は、付勢部材に付勢されているときに、挿入部を閉鎖する一方、付勢部材に抗して移動したときに、挿入部を開放すること、を特徴とする。
【0018】
上記構成を有する発明では、開閉部材を付勢部材に抗して押圧すると、支持部材の挿入部を開放して、チューブを着脱可能にし、その後、開閉部材への押圧を解除すると、開閉部材が付勢部材により原位置に自動復帰して、チューブの着脱を制限するので、チューブをいわゆるワンタッチで着脱することができ、作業性を良好にすることができる。
【0019】
(4)(1)乃至(3)の何れか1つに記載の発明において、開閉部材の位置検出を行い、開閉部材が挿入部を閉鎖する位置にある場合にのみソレノイド部を駆動させること、を特徴とする。
すなわち、例えば、開閉部材がチューブを噛み込んで、支持部材の挿入部を閉鎖する位置まで移動していない場合には、検知手段は、その開閉部材の位置を検出し、ソレノイド部を駆動させないので、チューブの取り付け不良を検出し、チューブの脱落をより確実に防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1実施の形態)
次に、本発明に係るピンチバルブの第1実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、ピンチバルブ1Aの正面図である。
本実施の形態のピンチバルブ1Aも、従来のピンチバルブ100と同様に、図10に示す人工透析濾過装置90に使用される。ピンチバルブ1Aは、駆動力を発生するソレノイド部2と、チューブTを狭圧又は開放するピンチ部3Aとを備え、支持部材31Aの挿入部32を保護カバー(「開閉部材」に相当するもの。)50Aによって開閉するよう構成されている。
【0021】
図2は、ピンチバルブ1Aの断面図である。
中空円筒形状のコイルボビン21には、コイル22が巻き付けられ、コイルボビン21の一端開口部から固定コア23が装填されている。プランジャ24は、コイルボビン21の他端開口部から固定コア23と同軸上に挿入されている。コイルボビン21と固定コア23及びプランジャ24との間には、非磁性体のパイプ25がピンチ部3Aに突き出すように配設され、プランジャ24の摺動に対する剛性が確保されている。固定コア23とプランジャ24との間には、復帰バネ26が縮設され、プランジャ24に固定コア23から離間する方向(図中上方向)の力を常時作用させている。
【0022】
コイルボビン21の周りには、磁気枠(磁気フレーム)27が設けられ、固定コア23をかしめ固定している。コイル22は、図示しない整流回路を介してハウジング4(図1参照)に接続し、人工透析濾過装置90(図10参照)の図示しないコントローラに接続される。これらの各部材は、組立後にカバー28を被せられ、カバー28内に樹脂からなる充填材を注入されることにより、ソレノイド部2を構成している。
【0023】
ピンチ部3Aは、支持部材31A、ピンチ部材40A、保護カバー50Aなどから構成される。支持部材31Aは、ソレノイド部2に対して固定され、ソレノイド部2のプランジャ24と同軸上に中空孔が形成されている。支持部材31Aは、チューブTを挿通されて位置決め保持する挿入部32が形成され、挿入部32に保持されるチューブTに対して直交するようにスプリングピン(「ピンチガイド部材」に相当するもの。)33が幅方向に架設されている。挿入部32は、チューブTと略同径を有する保持孔34,34が支持部材31Aの側面に対向して形成され、その保持孔34,34を溝35で結んだものである。溝35は、チューブTの直径より小さい幅で形成され、溝35から弾性変形させて挿入したチューブTを保持孔34で復元させて位置決め保持するようになっている。このような支持部材31Aは、ソレノイド部2と対向する側面に穿設された嵌合孔36にソレノイド部2のパイプ25が嵌め合わされ、パイプ25からプランジャ24の連結部29が突き出している。
【0024】
支持部材31Aは、嵌合孔36と同軸上に案内管37が設けられ、案内管37に円柱形状のピンチ部材40Aが摺動可能に保持されている。ピンチ部材40Aは、縮径部41がプランジャ24の連結部29に連結し、プランジャ24と一体的に移動するよう構成されており、プランジャ24を介して復帰バネ26によって、ソレノイド部2と反対方向(図中上方向)の力が常時作用している。従って、ピンチ部材40Aは、ソレノイド部2への非通電時に復帰バネ26に抗して押し下げられた後、復帰バネ26の付勢力によって原位置に自動復帰することができる。尚、ピンチ部材40Aは、クッションゴム等の緩衝部材42を装着され、摺動時に支持部材31Aに衝突する衝撃力を緩和して、動作音を小さくしている。
【0025】
ピンチ部材40Aは、スプリングピン33を貫き通すための貫通孔43が幅方向に穿設されている。貫通孔43は、軸方向に長く形成され、ピンチ部材40Aがスプリングピン33で回転止めされて摺動するようになっている。ピンチ部材40Aは、貫通孔43の周りに狭圧部44がコの字状に切りかかれて設けられており、スプリングピン33と狭圧部44との間にチューブTを挿通できるようになっている。狭圧部44は、チューブTを滑らかに変形させるため、チューブTと接触する接触面44aを山形に形成されている。
【0026】
かかる支持部材31Aとピンチ部材40Aとの間には、隙間が設けられ、その隙間に保護カバー50Aが摺動可能に配設されている。保護カバー50Aは、有底円筒形状をなし、ピンチ部材40Aに被せるようにして支持部材31Aに装填されている。保護カバー50Aは、スプリングピン33を貫き通される長孔51,51が軸方向に長く形成され、スプリングピン33で回転止めされてピンチ部材40Aと同一方向に摺動するよう保持されている。保護カバー50Aと支持部材31Aとの間には、復帰バネ52が縮設され、保護カバー50Aにソレノイド部2と反対方向(図中上方向)の力を常時作用させている。従って、保護カバー50Aは、ピンチ部材40Aと独立して摺動し、復帰バネ52に抗して押し下げられ、復帰バネ52の付勢力で原位置に自動復帰するよう構成されている。尚、保護カバー50Aの閉端面とピンチ部材40Aの図中上端面との間には、軸方向にクリアランスが設けられ、保護カバー50Aの摺動が直ちにピンチ部材40Aに伝達されるのを防止している。
【0027】
こうした保護カバー50Aの側面には、支持部材31Aの挿通部32を開放するための連通部53が設けられている。連通部53は、支持部材31Aの保持孔34と重なるように係止孔54,54が保護カバー50Aの側面に対向して設けられ、その係止孔54,54を連通溝55で結んだものである。連通溝55は、保護カバー50Aがピンチ部材40Aと一体的にソレノイド部2側に移動したときに、支持部材31Aの溝35とピンチ部材40Aの狭圧部44とを連通させるよう設けられている。
【0028】
図3は、ピンチ部3Aの分解斜視図である。
ピンチ部3Aは、次のようにして組み立てられる。先ず、支持部材31Aをパッキン6を介してソレノイド部2にネジ7で固定する。このとき、パッキン6が支持部材31Aとソレノイド部2との間で押し潰され、取付ガタを吸収する。そして、支持部材31Aの開口部からピンチ部材40Aを挿入して、縮径部41をプランジャ24の連結部29に連結する。そして、支持部材31A内周面とピンチ部材40A外周面との間に復帰バネ52を挿入した後、保護カバー50Aをピンチ部材40Aに被せるように支持部材31Aに装填する。そして、保護カバー50Aを復帰バネ52に抗してソレノイド部2側に加圧して、ピンチ部材40Aの貫通孔43と保護カバー51の長孔51とを位置合わせし、スプリングピン33を支持部材31A、保護カバー50Aの長孔51、ピンチ部材40Aの貫通孔43に貫き通し、支持部材31A、ピンチ部材40A、保護カバー50Aを連結する。
【0029】
図4は、ピンチバルブ1Aの側面図である。
このようにして組み立てられたピンチバルブ1Aは、保護カバー50Aの位置検出を行う磁気センサ(「検知手段」に相当するもの。)8を備える。磁気センサ8は、人工透析濾過装置90の図示しない制御装置に接続し、保護カバー50Aの側面に貼着された図示しない磁石を検出することにより、保護カバー50Aの位置検出を行い、その検出結果を図示しない制御装置に送信している。図示しない制御装置は、保護カバー50Aが支持部材31Aの挿入部32を閉鎖する位置まで移動しているときにのみ、ソレノイド部2に通電するようになっている。
【0030】
かかるピンチバルブ1Aを備える人工透析濾過装置90は、次のように作用する。図5〜図7は、ピンチ部3Aの動作説明図である。
人工透析濾過装置90は、人工透析を行っていない間、チューブTの塑性変形等を防止するためにチューブTをピンチバルブ1Aなどから取り外している。このとき、ピンチバルブ1Aは、図2に示すように、ソレノイド部2に電流を供給されていないため、プランジャ24が復帰バネ26に付勢されて固定コア23から離間する方向(図中上方向)に移動し、ピンチ部材40Aを押し上げている。また、保護カバー50Aは、復帰バネ52に押し上げられて、スプリングピン33に係止されている。
【0031】
そのため、人工透析を行う場合には、チューブTをピンチバルブ1Aに取り付ける必要がある。この場合、先ず、図5に示すように、保護カバー50Aをソレノイド部2側に押圧してピンチ部材40Aと係合させ、さらに、保護カバー50Aとピンチ部材40Aを復帰バネ52,26に抗して一体的にソレノイド部2側に向かって摺動させる。保護カバー50Aが支持部材31Aに係止されるまで移動すると、支持部材31Aの溝35が保護カバー50Aの連通溝55を介してピンチ部材40Aの狭圧部44と連通する。
【0032】
そこで、チューブTを支持部材31Aの溝35から保持孔34に向かって挿入して、ピンチ部材40Aの狭圧部44とスプリングピン33との間に配設し、保護カバー50Aへの押圧を解除する。すると、図6に示すように、ピンチ部材40Aは、プランジャ24を介して復帰バネ26に押し上げられて原位置に自動復帰し、スプリングピン33と狭圧部44の接触面44aとの間でチューブTを狭圧密閉する。一方、保護カバー50Aは、復帰バネ52の付勢力でソレノイド部2と反対方向(図中上方向)に移動し、原位置に自動復帰する。これにより、保護カバー50Aは、支持部材31Aの溝35から連通溝55をずらして、支持部材31Aの溝35を閉鎖するとともに、支持部材31Aの保持孔34に保持されるチューブTに係止孔54をソレノイド部2側から受けるように係合させる。
【0033】
このようにしてチューブTをピンチバルブ1Aに取り付け、その他必要な準備が完了したら、人工透析濾過装置90を作動させる。人工透析濾過装置90は、作動開始と同時に磁気センサ8から検出信号を受信したか否かを確認する。
【0034】
このとき、例えば、チューブTが支持部材31Aの保持孔34に正しく嵌め込まれず、保護カバー50AがチューブTを噛み込んでいる場合には、保護カバー50Aが原位置まで復帰することができない。そのため、図示しない制御装置は、ソレノイド部2に通電せず、ピンチバルブ1AでチューブTを狭圧密閉し続ける。そこで、チューブTの噛み込みを解消するように、チューブTを支持部材31Aの保持孔34に正しく取り付け直すと、保護カバー50Aが原位置に復帰して支持部材31Aの挿入部32を閉鎖する。図示しない制御装置は、磁気センサ8から検知信号を入力し、ピンチバルブ1Aのソレノイド部2に通電する。
【0035】
ピンチバルブ1Aのソレノイド部2に通電すると、固定コア23が復帰バネ26に抗してプランジャ24を吸引し、図7に示すように、ピンチ部材31Aをソレノイド部2方向(図中下方向)に移動させる。これにより、狭圧部44の接触面44aがスプリングピン33から離間し、チューブTは、復元して血液循環経路を開通させる。このとき、保護カバー50Aは、復帰バネ52で押し上げられたまま摺動せず、支持部材31Aの溝35を閉鎖し続ける。そのため、人工透析濾過装置を使用する患者が、姿勢を変える際などに、チューブTを支持部材31Aの溝35側に引っ張っても、チューブTが保護カバー50Aの側面に係止されて脱落しない。
【0036】
人工透析が完了したら、人工透析濾過装置90を停止してピンチバルブ1AからチューブTを取り外す。ピンチバルブ1Aは、ソレノイド部2に通電されていないため、図6に示すように、チューブTをピンチ部材40Aの狭圧部44とスプリングピン33との間で狭圧密閉している。そこで、保護カバー50Aをソレノイド部2側に押圧し、保護カバー50Aとピンチ部材40Aを復帰バネ52,26に抗してソレノイド部2側に向かって摺動させる。これにより、図5に示すように、ピンチ部材40Aの狭圧部44が、支持部材31Aの溝35に保護カバー50Aの連通溝55を介して連通するので、チューブTを支持部材31Aの保持孔34から溝35に向かって引っ張って抜き出し、保護カバー50Aへの押圧を解除する。すると、図2に示すように、ピンチ部材40Aが復帰バネ26の付勢力で原位置に自動復帰するとともに、保護カバー50Aが復帰バネ52の付勢力で原位置に自動復帰する。
【0037】
従って、本実施の形態のピンチバルブ1Aによれば、プランジャ24が固定コア23から離間する方向に復帰バネ26で付勢されたソレノイド部2と、ソレノイド部2に固設され、チューブTを挿入する挿入部32が設けられた支持部材31Aと、支持部材31Aに摺動可能に収納され、プランジャ24に連結するピンチ部材40Aと、ピンチ部材40Aと対向配置されるスプリングピン33と、を備え、ピンチ部材40Aを復帰バネ26に抗して押圧し、溝35からピンチ部材40Aとスプリングピン33との間にチューブTを挿入して取り付けるものであって、挿入部32を開閉する保護カバー50Aを有しているので、流体制御中にチューブTが脱落することを防止できる。
【0038】
また、本実施の形態のピンチバルブ1Aによれば、保護カバー50Aは、支持部材31Aとピンチ部材40Aとの間に摺動可能に配設されているので、チューブの脱落防止構造をコンパクトにすることができる。
【0039】
また、本実施の形態のピンチバルブ1Aによれば、保護カバー50Aを復帰バネ26と同一方向に付勢する復帰バネ52を有し、保護カバー50Aは、復帰バネ52に付勢されているときに、支持部材31Aの挿入部32を閉鎖する一方、復帰バネ52に抗して摺動したときに、支持部材31Aの挿入部32を開放するので、チューブTをいわゆるワンタッチで着脱することができ、作業性を良好にすることができる。
【0040】
また、本実施の形態のピンチバルブ1Aによれば、保護カバー50Aの位置検出を行い、保護カバー50Aが溝35を閉鎖する位置にある場合にのみソレノイド部2を駆動させるので、チューブTの取り付け不良を検出し、チューブTの脱落をより確実に防止することができる。
【0041】
(第2実施の形態)
続いて、本発明のピンチバルブに係り、第2実施の形態について説明する。図8は、ピンチバルブ1Bの正面図である。図9は、ピンチバルブ1Bの断面図である。
本実施の形態のピンチバルブ1Bは、保護カバー50Bを手動で原位置まで移動させる点で、保護カバー50Aを原位置に自動復帰させる第1実施の形態のピンチバルブ1Aと相違する。よって、ここでは、第1実施の形態と相違する点について説明し、共通する点について説明を省略する。尚、第1実施の形態のピンチバルブ1Aと同様の構造には、図面に同一符号を用いている。
【0042】
ピンチバルブ1Bは、図9に示すように、支持部材31Bにピンチ部材40Bが摺動可能に装填され、支持部材31Bとピンチ部材40Bとの間に円筒形状の保護カバー50Bが摺動可能に設けられている。保護カバー50Bは、両端部が開口し、ピンチ部材40Bを直接加圧するようになっている。保護カバー50Bのソレノイド部2側端部には、チューブTの直径と同じ幅又は広い幅で係止溝71が軸方向に切り欠かれて設けられており、支持部材31Bの保持孔34に挿通したチューブTに係止溝71を上方から嵌め合わせるよう構成されている。つまり、支持部材31Bの溝35を保護カバー50Bの側面で閉鎖するようになっている。
【0043】
かかるピンチバルブ1BにチューブTを取り付けるときには、スプリングピン33に係止されるまで保護カバー50Bをソレノイド部2と反対方向(図中上方向)に引き上げ、支持部材31Bの溝35を開口する。その後、ピンチ部材40Bをソレノイド部2側に押圧し、ピンチ部材40Bの狭圧部44を支持部材31Bの溝35まで移動させる。これにより、ピンチ部材40Bの接触面44aがスプリングピン33から離間するので、チューブTを支持部材31Bの溝35から保持孔34に向かって挿入し、ピンチ部材40Bの押圧を解除する。ピンチ部材40Bは、復帰バネ26の付勢力で原位置に自動復帰し、スプリングピン33と狭圧部44の接触面44aとの間でチューブTを狭圧密閉する。それから、保護カバー50Bをソレノイド部2側に手動で移動させ、支持部材31Bの溝35を保護カバー50Bの側面で閉鎖し、取り付けたチューブTの脱落を防止する。尚、チューブTを取り外すときには、逆の動作をすればよい。
【0044】
従って、本実施の形態のピンチバルブ1Bによれば、支持部材31Bの挿入部32を開閉する保護カバー50Bを有しているので、流体制御中にチューブTが脱落することを防止できる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、上記実施の形態では、ピンチバルブ1A,1Bを人工透析濾過装置90に使用したが、使用用途はこれに限定されるものではなく、チューブTを狭圧又は開放する用途のあるものであれば適用することができる。
【0046】
【発明の効果】
本発明のピンチバルブによれば、プランジャが固定コアから離間する方向に復帰バネで付勢されたソレノイド部と、ソレノイド部に固設され、チューブを挿入する挿入部が設けられた支持部材と、支持部材に摺動可能に収納され、プランジャに連結するピンチ部材と、ピンチ部材と対向配置されるピンチガイド部材と、を備え、ピンチ部材を復帰バネに抗して押圧し、挿入部からピンチ部材とピンチガイド部材との間にチューブを挿入して取り付けるものにおいて、挿入部を開閉する開閉部材を有しているので、流体制御中にチューブが脱落することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係り、ピンチバルブの正面図である。
【図2】同じく、ピンチバルブの断面図である。
【図3】同じく、ピンチ部の分解斜視図である。
【図4】同じく、ピンチバルブの側面図である。
【図5】同じく、ピンチ部の動作説明図であって、保護カバーが支持部材の挿入部を開放している状態を示している。
【図6】同じく、ピンチ部の動作説明図であって、保護カバーが支持部材の挿入部を閉鎖している状態を示している。
【図7】同じく、ピンチ部の動作説明図であって、流体制御状態を示している。
【図8】本発明の第2実施の形態に係り、ピンチバルブの正面図である。
【図9】同じく、ピンチバルブの断面図である。
【図10】人工透析濾過装置の一例を示す概略構成図である。
【図11】人工透析濾過装置に取り付けられたピンチバルブの拡大図である。
【図12】従来のピンチバルブの断面図である。
【図13】従来のピンチバルブの正面図である。
【符号の説明】
1A ピンチバルブ
1B ピンチバルブ
2 ソレノイド部
24 プランジャ
23 固定コア
26 復帰バネ
31A 支持部材
31B 支持部材
32 挿入部
33 スプリングピン
40A ピンチ部材
40B ピンチ部材
50A 保護カバー
50B 保護カバー
T チューブ

Claims (2)

  1. プランジャが固定コアから離間する方向に復帰バネで付勢されたソレノイド部と、前記ソレノイド部に固設され、チューブを挿入する挿入部が設けられた支持部材と、前記支持部材に摺動可能に収納され、前記プランジャに連結するピンチ部材と、前記ピンチ部材と対向配置されるピンチガイド部材と、を備え、前記ピンチ部材を前記復帰バネに抗して押圧し、前記挿入部から前記ピンチ部材と前記ピンチガイド部材との間に前記チューブを挿入して取り付けるピンチバルブにおいて、
    前記挿入部を開閉する開閉部材を備え
    前記開閉部材の位置検出を行う検知手段を有し、
    前記検知手段が、前記開閉部材が前記挿入部を閉鎖する位置にあることを検知しているときに、前記ソレノイド部を駆動させること、
    を特徴とするピンチバルブ。
  2. プランジャが固定コアから離間する方向に復帰バネで付勢されたソレノイド部と、前記ソレノイド部に固設され、チューブを挿入する挿入部が設けられた支持部材と、前記支持部材に摺動可能に収納され、前記プランジャに連結するピンチ部材と、前記ピンチ部材と対向配置されるピンチガイド部材と、を備え、前記ピンチ部材を前記復帰バネに抗して押圧し、前記挿入部から前記ピンチ部材と前記ピンチガイド部材との間に前記チューブを挿入して取り付けるピンチバルブにおいて、
    前記挿入部を開閉する開閉部材を有すること、
    前記開閉部材を前記復帰バネと同一方向に付勢する付勢部材を有し、
    前記開閉部材は、前記支持部材と前記ピンチ部材との間に移動可能に配設されているとともに、前記付勢部材に付勢されているときに、前記挿入部を閉鎖する一方、前記付勢部材に抗して移動したときに、前記挿入部を開放すること、
    を特徴とするピンチバルブ。
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