JP4163388B2 - Inverter device - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシレスDCモータを周波数制御するインバータ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より3相4極ブラシレスDCモータを回転数制御する駆動装置として、120゜通電制御(矩形波通電制御)の方式で駆動するものと、180゜通電制御(正弦波通電制御)方式で駆動するものとがある。120゜通電制御方式については例えば特許第2642357号公報に開示され、180゜通電制御方式については例えば特開平7−245982号公報や特開平7−337079号公報に開示されている。
【0003】
上記の120゜通電方式は、モータ巻線の誘起電圧のゼロクロス信号を直接検出する方式であり、このゼロクロス信号に基づいて転流信号を変化させている。ゼロクロス信号の検出は、モータ巻線各相の誘起電圧と基準電圧とを比較することにより行なわれる。3相4極ブラシレスDCモータでは、ゼロクロス信号はモータ回転子一回転中に3相で12回発生する。すなわち、機械角30゜(電気角60゜)毎に発生する。導通角が120゜のとき、ゼロクロス信号はモータ巻線の各相の非導通期間すなわち電気角で60゜(=180゜−120゜)の範囲で連続して検出することができる。
【0004】
図16に、従来の120゜通電制御を用いて、モータ1を駆動したときの一つの相に流れる電流(相電流)の波形を示す。この図では、電気角に対する相電流を示しており、この場合、電流の全く流れない区間(例えば、150゜から210゜の区間)が電気角1周期において一相あたり2回存在する。モータ1が半回転する間、3相全体では電流が流れない区間は6回存在する。したがって、モータ1の一回転中には3相合計で12回存在する。このような電流が流れない区間において、電流が流れない相(U、V、Wの各相のうちいずれか一つ)に対してモータ1の誘起電圧を確認することができ、誘起電圧のゼロクロス位置を見つけることができる。
【0005】
一方、上記の180゜通電方式では、モータ巻線の中性点電位と、3相のインバータ出力電圧に対して3相Y結線した抵抗の中性点電位との差分電圧を増幅し、それを積分回路に入力し、その積分回路の出力信号と、その出力信号をフィルタ回路により処理し、直流カットした信号とを比較することにより、120°通電方式の誘起電圧に対応する位置検知信号を得る。この位置検知信号は、モータ一回転中に12回発生する。すなわち、機械角30゜(電気角60゜)毎に発生する。この方式では積分回路を用いるため、誘起電圧がゼロクロスする絶対的な位置は把握できず、位相補正等の複雑な位相制御が必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、120゜通電方式では、前述のようにモータ巻線の誘起電圧と基準値とを比較することによりのゼロクロスを検出しているため、モータ負荷の急変や電源電圧の急変がおきると、誘起電圧のゼロクロス信号が、モータ駆動電圧の領域内に隠れてしまい、検出できなくなることがある。このような状態になると、まず脱調現象が発生し、モータ駆動システムが停止してしまう。
【0007】
また、120゜通電方式において、モータ運転時の音・振動を軽減するためには、導通期間を拡大すればよいため、例えば、通電角を150゜程度に拡大して運転させようとすると、モータ巻線各相の誘起電圧を検出できる範囲が電気角で30゜(=180゜−150゜)と狭まり、その範囲内ではゼロクロスの検出ができない場合がある。このため、運転時においても脱調する危険性が増加し、また乱調等の不安定現象も発生し易くなる傾向がある。このことは、導通角をより大きくするほど、すなわち、導通角を180゜に近づけるほど安定したモータ運転がより困難になることを意味する。
【0008】
一方、180゜通電方式では、前述のように積分回路を用いるため、誘起電圧のゼロクロスの絶対的な位置の把握ができず、また、運転状態によってはゼロクロス位置と位置検知信号の位相差が大きく変化するため、位相補正等の複雑な制御が必要であり、その位相補正調整が困難であったり、また、制御演算が複雑になったりする。また、モータに中性点出力端子が必要であり、誘起電圧波形の3次高調波成分を利用しているため正弦波着磁マグネットを使用したモータでは使用不可能という問題がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決すべきなされたものであり、その目的とするところは、簡単なシステム構成で、機械的電磁ピックアップセンサの必要としない通電角180゜近傍の運転が可能とすることにより、機械系の音・振動を小さくし、機械系の防音、振動対策を簡略化でき、さらには、安価で信頼性の高いインバータ装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るインバータ装置は、スイッチング素子を含み、そのスイッチング素子の開閉により直流電圧を疑似交流電圧に変換し該疑似交流電圧をモータに対して出力する直流交流変換手段と、モータの巻線電圧を検出する電圧検出手段と、直流交流変換手段が出力する疑似交流電圧のPWM制御におけるデューティ比を制御するPWMデューティ制御手段と、PWM制御におけるオン区間のときに、電圧検出手段の出力電圧を入力し、所定の時間間隔毎にサンプリングしてデジタル値に変換し、サンプリング電圧として出力するA/D変換手段と、A/D変換手段からのPWM制御におけるオン区間にサンプリングされた2点以上のサンプリング電圧を相加平均処理することによりモータ巻線の誘起電圧を確定し、確定された誘起電圧によりモータの誘起電圧のゼロクロス位置を演算するとともにサンプリング指令を出力する制御演算手段と、制御演算手段からのサンプリング指令により前記誘起電圧の電圧振動成分に基づいて前記A/D変換手段のサンプリング時間ΔTsとサンプリング回数nとを制御するサンプリング時間制御手段とを有する。サンプリング時間制御手段は、PWM制御におけるオン区間の直後の誘起電圧に発生するリンギングの周波数をf L として、サンプリング時間ΔTsを、ΔTs≦1/f L を満足するように設定する。
【0014】
また、サンプリング時間制御手段は、PWM制御におけるオン区間の誘起電圧をサンプリングするように、サンプリング回数nを設定してもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を用いて本発明に係るインバータ装置の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
<インバータ装置の構成>
図1に本発明に係るインバータ装置の制御ブロック図を示す。インバータ装置は、3相4極ブラシレスDCモータ(以下「モータ」と略す。)1を回転数制御するモータ駆動装置である。この図において、インバータ装置は、直流電圧を疑似交流電圧に変換しモータ1に出力する直流交流変換部2と、モータ1の誘起電圧を検出する電圧検出部3と、電圧検出部3からのアナログ検出信号をデジタル信号に変換するA/D変換部4と、A/D変換部4からのデジタル信号からモータ1の誘起電圧のゼロクロス位置を検出する制御演算部5と、モータ1を回転数制御するための印加電圧・周波数・位相を制御するPWMデューティ信号を出力するPWMデューティ制御部6と、制御演算部5の指令によりA/D変換部4のサンプリング点(サンプリング時間ΔTs、サンプリング回数n)を制御するサンプリング時間制御部7とを備える。直流交流変換部2は高速に開閉する6つのスイッチング素子を有する。
【0021】
<インバータ装置の動作>
以上のように構成されたインバータ装置では、直流電圧が直流交流変換部2に入力され、周波数・位相可変の疑似交流電圧に変換されてモータ1に出力される。モータ1の回転数は、直流交流変換部2から出力される疑似交流電圧の周波数(以下「インバータ周波数」という。)、位相を変化させることにより制御される。このインバータ周波数はPWMデューティ制御部6により制御される。
【0022】
次に、インバータ装置の各部の動作を具体的に説明する。
電圧検出部3はモータ1の各相誘起電圧を降下させ、A/D変換部4にアナログ出力する。図2に電圧検出部3の構成を示す。電圧検出部3は、抵抗10a、10bとコンデンサ11で構成される。通常コンデンサ11はなくてもよいが、ノイズ除去用として、誘起電圧の波形がなまらない小さな時定数であればコンデンサ11を挿入するのが好ましい。直流交流変換部2に入力される直流電圧の値がVDCとすると、2つの抵抗10a、10bの抵抗値できまる分圧比kにより、検出される誘起電圧のアナログ電圧の振幅値はk×VDCとなる。なお、ここでは、説明の簡単化のため、k=1とする。
【0023】
直流交流変換部2は、高速に開閉する6つのスイッチング素子を含み、PWMデューティ制御部6からの制御信号を受け、その制御信号に基いてスイッチング素子の開閉動作を制御することにより、モータ1の駆動電圧を生成する。駆動電圧の大きさはPWM(パルス幅変調)制御され、デューティ比に応じて変化する。このため、PWMデューティ制御部6はPWM制御された制御信号(以下「PWMデューティ信号」という。)を出力する。
【0024】
A/D変換部4では、電圧検出部3からのアナログ出力電圧をサンプリングし、デジタル信号に変換し制御演算部5に出力する。
【0025】
制御演算部5は、サンプリングを実行させるための指令であるサンプリング指令をサンプリング時間制御部7に出力する。サンプリング時間制御部7は、サンプリング指令を受けると、サンプリング時間ΔTsとサンプリング回数nに関する制御指令をA/D変換部4に出力する。A/D変換部4はその制御指令情報に基き、電圧検出部3からの出力電圧をサンプリングする際のサンプリング点を決定する。また、制御演算部5は、A/D変換部4によりサンプリングされた電圧から誘起電圧を求め、それに基いてゼロクロス位置を演算し、ベースパターン信号と、PWM制御のための情報を含む回転位相情報とをPWMデューティ制御部6に出力する。
【0026】
PWMデューティ制御部6は、直流交流変換部2の各スイッチング素子の開平を制御するベースパターン信号を出力し、駆動電圧のインバータ周波数を制御する。
【0027】
直流交流変換部2の各スイッチング素子はベースパターン信号に応じて例えば以下のように制御される。すなわち、第1のベースパターンでは、U相上アームスイッチング素子と、V相下アームスイッチング素子がオンされる。第2のベースパターンでは、U相上アームスイッチング素子と、W相下アームスイッチング素子がオンされる。第3のベースパターンでは、V相上アームスイッチング素子と、W相下アームスイッチング素子がオンされる。第4のベースパターンでは、V相上アームスイッチング素子と、U相下アームスイッチング素子がオンされる。第5のベースパターンでは、W相上アームスイッチング素子と、U相下アームスイッチング素子がオンされる。第6のベースパターンでは、W相上アームスイッチング素子と、V相下アームスイッチング素子がオンされる。このように、ベースパターンが切り替わることにより、駆動電圧が印加されるモータの電機子巻線の相も切り替わる。
【0028】
制御演算部5は、これらのベースパターンの転流切換ための回転位相情報を出力する。すなわち、制御演算部5は、モータ1の3相誘起電圧のゼロクロス位置を演算し、ゼロクロス信号を出力する。このゼロクロスはモータ回転子が機械的に一回転する間に12回発生する。モータ1が等速回転を行っていれば、ゼロクロス信号は、ほぼ機械角30゜刻みで発生する。制御演算部5は、A/D変換部4のサンプリング電圧からゼロクロス位置を演算し、PWMデューティ制御部6はそのゼロクロス位置に基づいてベースパターンを順次切り換えながら、PWMデューティ信号を出力する。PWMデューティ信号はベースパターン信号にPWM情報(デューティ比)が重畳した信号である。
【0029】
以上のように、インバータ装置においては、PWMデューティ制御部6が制御演算部5からの回転位相情報に基き直流交流変換部2のインバータ周波数を変化させながら、モータ1を回転数制御する。このとき、モータ1の回転子の磁極位置は誘起電圧のゼロクロス位置からは電機子反作用の影響により直接確定することはできず、それらの間には位相差が生ずる。この位相差は運転負荷に依存するため、真の磁極位置を誘起電圧のゼロクロス位置からマイコン演算により特定することは困難である。しかし、真の磁極位置は特定できなくても、誘起電圧のセロクロス位置のみによりモータ1を回転数制御することは十分可能である。
【0030】
<インバータ装置の通電制御>
図3は、本実施形態のインバータ装置による120°通電制御における電機子巻線の一つの相における電流(相電流)波形を示した図である。図3では、通電角をWxとし、電気角Xから電気角(X+Wx)までの間通電を行ない、その後、電気角Yから通電角Wxの間通電を行っている。すなわち、本実施形態のインバータ装置では、電気角(X+Wx)から電気角Yの間は通電は行なわず、この間にゼロクロス検出のための誘起電圧の検出を行なうようにしている。図3でWx=120゜とすると、図16に示す従来技術の場合と同様となる。ここで、通電角Wxは次式を満たすように設定する。
Wx<180゜ (1)
すなわち、上式を満たせば、電気角の(180゜−Wx)の範囲でモータ1の誘起電圧を確認することができる。このため、モータ1の運転において回転子位置を検出するための位置センサが不要となる。
【0031】
なお、導通角Wxが次式を満たすときは、120゜通電制御で説明した6通りのベースパターン信号に加えて、3相正弦波駆動用のベースパターン信号を追加する必要がある。
150゜<Wx<180゜ (2)
つまり、基本的には、3相のうちのいずれか1つにおいて電流がオフとなる電気角の区間において、上記の120゜通電制御用の6つのベースパターンを使用する。それ以外の区間では、3相正弦波駆動用のベースパターンを使用する。3相正弦波駆動用のベースについては、通常の3相正弦波PWM制御として周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0032】
<ゼロクロス位置の検出>
次に、インバータ装置における回転子位置の検出のためのゼロクロス位置の特定方法について説明する。前述のように、ゼロクロス位置検出のためのモータ1の誘起電圧の検出は、相電流が流れていない区間に行なわれる。例えば、図3において、電気角で−Xから+Xまでの区間、又は、電気角で(X+Wx)からYまでの区間に行なわれる。以下、このような相電流が流れていない区間を「相電流オフ区間」という。
【0033】
制御演算部5は、相電流オフ区間の所定の点(電気角)においてモータ巻線の誘起電圧を検出し、その検出値と、ゼロクロスであると判断する基準電圧値(本例では、VDC/2)との差を求め、その差に基いてゼロクロスが発生する点(電気角)を予測して検出する。このように、相電流オフ区間の任意の点で検出された誘起電圧に基いてゼロクロス位置を検出するため、相電流オフ区間において誘起電圧が検出される限り、相電流オフ区間内に実際のゼロクロス発生点が存在するか否かにかかわらずゼロクロス位置を検出することができる。したがって、相電流オフ区間が確保される限り、通電角を180゜近くまで十分広く確保することができ、より円滑なモータ運転が可能となる。
【0034】
図4は、相電流オフ区間におけるモータ1の一つの相の誘起電圧波形を拡大して示した図である。この図において電気角で−Xから+Xまでの区間が、モータ1の誘起電圧12を確認できる区間である。このような誘起電圧を確認できる区間は、3相分で考えると電気角60゜の領域毎に一回存在し、モータ1の一回転中では12回存在する。また、リカバリ電流回復角Rx(≧0)の区間では、回生電流が流れているため、誘起電圧をサンプリングすることはできない。このため、サンプリングが可能となる電気角は次式を満たす必要がある。
−X+Rx<サンプリング可能な電気角<X (3)
X=(180゜−Wx)/2 (4)
【0035】
次に、ゼロクロス点検出時のA/D変換部4と制御演算部5の動作を説明する。なお、図4において、位置(電気角)"Z"がゼロクロス点の位置であるとする。
【0036】
まず、A/D変換部4は、電気角(−X+TS0)にて誘起電圧をサンプリングしてデジタル値V0に変換する。ここで、TS0はウエイト角を示し、制御演算部5からのサンプリング指令によって与えられ、PWMデューティ信号のデューティパルスがオンとなる区間(以下「PWMオン区間」という。)の部分でサンプリングできるようにサンプリングのタイミングは制御される。したがって、図4に示すように、PWMオン区間Ton内でサンプリングが行なわれ、PWMデューティ信号のデューティパルスがオフとなる区間(以下「PWMオフ区間」という。)Toffではサンプリングは行なわれないようになっている。
【0037】
また、ウェイト角TS0とリカバリ電流回復角Rxとは次式の関係を満たすように設定し、これにより、リカバリ電流回復角Rxの区間での検出を行なわないようにしている。
TS0>Rx (5)
【0038】
図4において、誘起電圧のゼロクロス位置は位置Zであり、サンプリングした電圧V0と、ゼロクロス位置Zでの電圧VDC/2との電圧差ΔV0は、
ΔV0=V0−VDC/2 (6)
で求める。
【0039】
制御演算部5は上記のようにして電圧差ΔV0を計算した後、さらに、その電圧差ΔV0と、インバータ角周波数ω1と、モータ1のマグネットの誘起電圧定数E0とを用いて、サンプリング位置とゼロクロス位置との位相差Δθ0を求める。|Δθ0|≒0であれば、誤差Δθ0は一般に次式で与えられる。
Δθ0≒2/(1/√3・ω1・E0)・ΔV0 (7)
式(7)によって位相差Δθ0が求まれば、サンプリング位置と位相差Δθ0とからゼロクロス位置を検出することができる。
【0040】
上記のようにしてゼロクロス位置が検出できれば、誘起電圧のみの観測(3相分の観測)でモータ1の回転位相制御が可能となる。
【0041】
ここで、電圧差ΔV0を得るための必要条件は、相電流オフ期間においてPWMオン区間が少なくとも1つ含まれることである。このため、直流交流変換部2のスイッチング素子の開閉周波数(=キャリア周波数)fc、インバータ周波数f1、通電角Wxが次の関係を満たす必要がある。
fc≧f1×360゜/(180゜−Wx−Rx) (8)
【0042】
上式をみたすようにキャリア周波数fcを設定することにより、相電流オフ期間すなわち相電流オフ期間開始角から相電流オフ期間終了角の間に、PWM制御におけるキャリア周期が少なくとも1つ含まれる。このため、PWMオン区間が少なくとも1回は存在し、サンプリング電圧V0すなわち電圧差ΔV0を得ることが可能となる。
【0043】
(モータの等価回路)
図5はモータ1の等価回路図である。R1は巻線一次抵抗、Lu・Lv・Lwは各相のインダクタンス(合成分)、Eu・Ev・Ewは各相の界磁誘起電圧、Iu・Iv・Iwは各相の相電流を表している。ここで、界磁誘起電圧とは、モータ1が回転したときに、マグネット(界磁)のみによる発生する誘起電圧を意味している。
【0044】
同図において、W−V相間に直流電圧VDCが印加されている場合を考える。この時、W相の電位はVDC、V相の電位は0、U相は解放となり誘起電圧Vu21が観測される。なお、巻線中性点22は各相の中点である。W−V相間の電位差はPWM制御によりVDCと0Vを交互に繰り返す。また、PAM制御時には、常時電位差がVDCとなる。この時の誘起電圧Vu21の電圧波形は図4の誘起電圧に対応している。図4の相電流オフ開始角17と相電流オフ終了角18の区間は、W−V相に直流電圧VDCが印加されてPWM制御が行われている。
【0045】
また、この状態において、図5に示す界磁誘起電圧EuとU相インダクタンスLuの電気角に対する電気的特性は、図6に示す界磁誘起電圧Eu24とU相インダクタンスLu23となる。図6に示すように、界磁誘起電圧Eu24は、振幅がω1・E0となる正弦波状交流電圧であり、U相インダクタンスLu23は、最大値がLq、最小値がLd(Lq≧Ld>0)、そのDC成分が(Lq+Ld)/2となる正弦波状交流電圧である。
【0046】
界磁誘起電圧Eu24が最大値Lqもしくは最小値Ldをとるとき、U相インダクタンスLu23も最大値Lqをとる。界磁誘起電圧Eu24がゼロとなるときは、U相インダクタンスLu23は最小値Ldをとる。
【0047】
界磁誘起電圧Eu24のゼロクロス位置25はモータ1のマグネットの磁極位置に完全対応している。しかしながら、誘起電圧Vu21すなわち誘起電圧12は、U相インダクタンスLu23の電機子反作用の影響により、ゼロクロス位置14と、界磁誘起電圧Eu24のゼロクロス位置25との電気角は一致せず、ある位相角をもつ。この位相角はモータ1の運転状態によって変化するので、その位相角特定は困難である。
【0048】
図5において、W−V相に直流電圧VDCが印加されてPWM制御もしくはPAM制御が行われており、かつW−V相の電位差がVDC、かつIu=0であるなら誘起電圧を検出できるため、サンプリング電圧(位置Zでの)を得ることができる。
【0049】
<ゼロクロス検出に用いる誘起電圧の検出>
インバータ装置は一般的に、抵抗、インダクタンス及びマグネットの磁気回路で構成されるモータ1と、キャパシタンスを含むスイッチング素子とを含み、その誘起電圧に関する回路方程式は二階線形常微分方程式で与えられる。また、その方程式は虚根をもつ。従って、PWMオン区間(Tonの区間)に現れる誘起電圧の波形は、正確には図7に示すような、時間の経過とともに振動しながら一定値に収束する振動波形となる。図7において、V0mj(j≧1の整数)は誘起電圧12の極大点・極小点を示し、tmjはそれらの点における時刻を示す。電圧V00は誘起電圧12の収束電圧を示し、真の誘起電圧である。
【0050】
図7に示す波形を時間tに関して数式化すれば次式となる。
V0≒V00・(1−exp(−k・t)・sin(2π・fL・t−φ)) (9)
ここで、k(≧0)とφ(≧0)は定数であり、fL(≧0)は図7において電圧振動成分の周波数を意味し、しばしばリンギング周波数と呼ばれる。これらの諸量は制御システムが決まれば自動的に決まる数値であるため定数として扱える。
【0051】
このように一般的に誘起電圧はある時区間においては振動しているすなわち過渡状態にあるため、任意の時間に求めたサンプリング電圧は必ずしも、真の誘起電圧数値である収束電圧V00を表しているとは限らない。誘起電圧に基いてゼロクロス位置が検出され、それによりスイッチング素子の切替えタイミングが決定されることから、誘起電圧のデータ信頼性・精度は、制御システム全体の動作に大きく影響する。故に、この誘起電圧は正確に求められることが望まれる。
【0052】
そこで、本インバータ装置では、以下に示す種々の方法で誘起電圧を正確かつ容易に検出する。なお、以下の制御において、サンプリング時間ΔTsとサンプリング回数nの設定はサンプリング時間制御部5により、誘起電圧検出値の確定については制御演算部7により行なわれる。
【0053】
(誘起電圧の検出方法1)
本方法では、図8に示すように所定のサンプリング時間毎に検出電圧をサンプリングし、そのサンプリング電圧のうちの最後にサンプリングされた電圧を誘起電圧12の収束値として確定する。図8において、サンプリング電圧30をV0Sy、サンプリングする時刻をtsy、各サンプリング時間(間隔)をΔTsxy(x,yは、0≦x≦n−1、1≦y≦nを満たす整数)としたとき、サンプリング時間ΔTsxy(>0)とサンプリング回数nとは次の関係を満たすように設定される。
ΔTsxy ≦Ton (10)
Σ(ΔTsxy)≦Ton (Σ:n個の総和) (11)
このようにすれば、PWMオン区間において誘起電圧を必ずサンプリングすることが可能となる。特に、
Σ(ΔTsxy)=Ton (12)
を満足するように各サンプリング時間ΔTsxyとサンプリング回数nを設定する。そして、サンプリング電圧V0Syの最終値であるV0Snを誘起電圧V0と確定する。これにより得られる電圧値V0は、収束電圧V00とほぼ等しい値であると考えられる。このようにすれば、容易に収束電圧V00を求めることができる。
【0054】
このため、サンプリング時間制御部7は、制御演算部5のサンプリング指令に基きサンプリング時間ΔTsとサンプリング回数nをA/D変換部4に出力する。A/D変換部4はそのサンプリング指令情報に基づき、誘起電圧12をn回(n≧1)サンプリングしてサンプリング電圧を得る。制御演算部5は上記の方法で、最終のサンプリング電圧値から誘起電圧12を確定する。
【0055】
(誘起電圧の検出方法2)
本方法では、図9に示すように、検出方法1においてn=1とし、すなわち、1回だけサンプリングするようにし、且つ、そのサンプリングを所定時間(ΔTMIN)の経過後に行なうようにする。サンプリング時間ΔTs01は次式を満足するように設定する。
ΔTs01=ts1=Ton≧ΔTMIN (13)
ここで、ΔTMINは、誘起電圧の電圧振動成分の極大値と極小値の差が、ほぼ収束したと考えられる所定範囲内に収まるようになるまでの時間に設定する。また所定範囲とは、誘起電圧の電圧振動の過渡状態がほぼ終了し、定常状態に移行したと考え得る範囲である。このようにして求めたサンプリング電圧31(V0S1)は誘起電圧12(V0)の真の値とほぼ等しいと考えられる。
【0056】
(誘起電圧の検出方法3)
本方法では、図10に示すように、検出方法1においてn=1とし、すなわち、1回だけサンプリングするようにし、且つ、そのサンプリングを振動が収束したと考えられる所定時間(ΔTMAX)経過後に行なう。サンプリング時間ΔTs01は次式を満足するように設定する。
ΔTMAX≦ΔTs01≦Ton (14)
このようにして求めたサンプリング電圧32の値V0S1は、
V0S1=V00=V0 (15)
をみたすと考えられる。したがって、ΔTMAXは誘起電圧の電圧振動が定常状態になったと考えられる時間に、具体的には、V00=V0S1を満足するサンプリング時間ΔTsの最小値に設定する。
【0057】
また検出方法1において、n個のサンプリング電圧V0Syを求め、これらを相加平均して誘起電圧V0を次のように求めて確定することもできる。
V0=Σ(V0Sy)/n (16)
この場合、外乱ノイズに対し影響の受けにくい誘起電圧V0を確定できる。
【0058】
(誘起電圧の検出方法4)
本方法では、図11に示すように、検出方法1においてn=1とし、すなわち、1回だけサンプリングするようにし、このサンプリング値と式(9)を用いて誘起電圧(収束電圧V0)を求める。この場合、k、fL、φを事前に求めておき、これらの値とサンプリング電圧33(V0S1)と、次式とにより収束電圧V0を求める。
V0=V0S1/(1−exp(−k・ts1)・sin(2π・fL・ts1−φ)) (17)
【0059】
また、検出方法1においてn=4とし、4回サンプリングして電圧V0S1、V0S2、V0S3、V0S4を得るようにしてもよい。この場合には、式(9)を用いて以下の連立方程式を立て、それらを解くことにより、k、fL、φが未知の場合にもV0を確定できる。
V0=V0S1/(1−exp(−k・ts1)・sin(2π・fL・ts1−φ)) (18a)
V0=V0S2/(1−exp(−k・ts2)・sin(2π・fL・ts2−φ)) (18b)
V0=V0S3/(1−exp(−k・ts3)・sin(2π・fL・ts3−φ)) (18c)
V0=V0S4/(1−exp(−k・ts3)・sin(2π・fL・ts3−φ)) (18d)
【0060】
(誘起電圧の検出方法5)
本方法では、検出方法1において次式を満足するようにサンプリング時間ΔTsを設定したものである。
ΔTs≦1/fL (19)
このようにすれば、図12に示すようにリンギング成分をもつ誘起電圧期間を、時間軸上において高分解能にサンプリングすることができるので、上述したいずれのV0を確定する方法をも適用できる。
【0062】
(誘起電圧の検出方法6)
ここでは、上記の検出方法5において、サンプリング時間ΔTsをリンギング周波数の逆数に対して十分に小さく設定し、極大点、極小点のサンプリング電圧を、収束電圧決定のためのサンプリング電圧として採用する。図13に示すように、サンプリング電圧35をV0smy、サンプリング時刻をtsmy(yは正の整数)としている。tsmyは、サンプリング時間ΔTsの1次関数で表される。
【0063】
(誘起電圧の検出方法7)
本方法では、図14に示すように極大点をサンプリングして誘起電圧V0を確定する。サンプリング電圧が極大点となる時には、誘起電圧の電圧方程式は、y=1とすると、以下の方程式となる。
よって、
となる。
【0064】
従って、定数kのみ既知であれば、極大点となる一つのサンプリング電圧36(V0sm1)により、誘起電圧V0を確定できることになる。つまり、リンギング周波数fLやφに全く依存せずにV0を確定できるので、精度よく誘起電圧を求めることが可能である。
【0065】
さらに、y=3とすると、そのサンプリング電圧により以下の電圧方程式となる。
ここで、記号「^」は階乗を表す。上式より、α1を消去すればV0が確定できる。すなわち、極大点のサンプリング電圧V0sm1とV0sm3により、定数kにも依存せずにV0を確定できるため、さらに一層精度良く誘起電圧を求めることができる。
【0066】
(誘起電圧の検出方法8)
本方法では、図15に示すように極小点をサンプリングして誘起電圧V0を確定する。サンプリング電圧37が極小点である場合には、誘起電圧の電圧方程式は、y=2とし、サンプリング電圧V0sm2により以下のようになる。
よって、
となる。従って、定数kが既知であれば、極小点となる一つのサンプリング電圧37(V0sm2)により、誘起電圧V0を確定できることになる。つまり、リンギング周波数fLやφに全く依存せずにV0を確定できるので、精度よく誘起電圧12を求めることが可能である。
【0067】
さらに、y=4とすると、以下の電圧方程式が得られる。
上式より、α2を消去すればV0が確定できる。すなわち、極小点のサンプリング電圧Vsm2とVsm4により、定数kにも依存せずにV0を定できるため、さらに精度良く誘起電圧を求めることができる。
【0068】
以上のような方法でサンプリング点の決定を行なうことにより、電圧検出の精度を向上できるため、より精度よいモータ制御が実現できる。
【0069】
【発明の効果】
本発明のインバータ装置は、モータ巻線の誘起電圧の検出のためのA/D変換手段のサンプリング時間ΔTsとサンプリング回数nとを適宜制御する。これにより、モータ電流の通電角を簡単な回路構成にて180゜近傍まで拡大した場合でも、精度よくモータ回転子位置に基くモータ駆動制御ができるので、モータが発生する音・振動を低減し、機械系の防音、振動対策を簡略化でき、回路コストが安価なインバータ装置を実現できる。
【0071】
また、サンプリング時間ΔTsを、PWM制御におけるオン区間の直後の誘起電圧に発生するリンギングの周波数がfLのときに、ΔTs≦1/fLを満足するように設定する。これにより、高周波なリンギング成分をもつ誘起電圧を高分解能に電圧サンプリングできるので、誘起電圧を正確に確定できる。また、サンプリングされた電圧を相加平均処理することにより、誘起電圧上にノイズ電圧等の外乱電圧が瞬間的に印加されたとしても、大きな影響を受けないため精度よく誘起電圧を確定でき、インバータシステムの安定性と性能をさらに高めることができる。
【0073】
また、サンプリング回数nを、PWM制御におけるオン区間の誘起電圧をサンプリングするように設定してもよい。これにより、正常な誘起電圧以外の電圧要素をサンプリングすることが全くなくなり、誘起電圧サンプリングエラーによるインバータシステムの異常停止を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るインバータ装置の制御ブロック図。
【図2】 インバータ装置の電圧検出部の構成図。
【図3】 ブラシレスDCモータの一の相の電気角に対する相電流波形を示した図。
【図4】 制御演算部においてサンプリング電圧V1から位相差Δθ1を算出するための動作を説明するための図。
【図5】 ブラシレスDCモータの等価回路図。
【図6】 ブラシレスDCモータにおいて、U相インダクタンスLu及び界磁誘起電圧Euの電気角に対する特性を示した図。
【図7】 相電流オフ区間の誘起電圧波形を説明するための図。
【図8】 制御演算部が誘起電圧の確定のために用いるサンプリング点を説明するための図(検出方法1)。
【図9】 制御演算部が誘起電圧の確定のために用いるサンプリング点を説明するための図(検出方法2)。
【図10】 制御演算部が誘起電圧の確定のために用いるサンプリング点を説明するための図(検出方法3)。
【図11】 制御演算部が誘起電圧の確定のために用いるサンプリング点を説明するための図(検出方法4)。
【図12】 制御演算部が誘起電圧の確定のために用いるサンプリング点を説明するための図(検出方法5)。
【図13】 制御演算部が誘起電圧の確定のために用いるサンプリング点を説明するための図(検出方法6)。
【図14】 制御演算部が誘起電圧の確定のために用いるサンプリング点を説明するための図(検出方法7)。
【図15】 制御演算部が誘起電圧の確定のために用いるサンプリング点を説明するための図(検出方法8)。
【図16】 従来の120゜通電制御における相電流波形を示した図。
【符号の説明】
1 ブラシレスDCモータ(BDM)
2 直流交流変換部
3 電圧検出部
4 A/D変換部
5 制御演算部
6 PWMデューティ制御部
7 サンプリング時間制御部[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an inverter device that controls the frequency of a brushless DC motor.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, as a driving device for controlling the rotation speed of a three-phase four-pole brushless DC motor, a driving device driven by a 120 ° energization control (rectangular wave energization control) method and a driving device driven by a 180 ° energization control (sine wave energization control) method. There is a thing. The 120 ° energization control method is disclosed in, for example, Japanese Patent No. 2642357, and the 180 ° energization control method is disclosed in, for example, Japanese Patent Laid-Open Nos. 7-245982 and 7-337079.
[0003]
The 120 ° energization method is a method for directly detecting the zero cross signal of the induced voltage of the motor winding, and the commutation signal is changed based on the zero cross signal. The zero cross signal is detected by comparing the induced voltage of each phase of the motor winding with the reference voltage. In a three-phase four-pole brushless DC motor, the zero cross signal is generated 12 times in three phases during one rotation of the motor rotor. That is, it occurs every 30 ° mechanical angle (60 ° electrical angle). When the conduction angle is 120 °, the zero cross signal can be detected continuously in the non-conduction period of each phase of the motor winding, that is, the electrical angle in the range of 60 ° (= 180 ° -120 °).
[0004]
FIG. 16 shows a waveform of a current (phase current) flowing in one phase when the
[0005]
On the other hand, the above 180 ° energization method amplifies the differential voltage between the neutral point potential of the motor winding and the neutral point potential of the resistor connected in three phases to the three-phase inverter output voltage. A position detection signal corresponding to the induced voltage of the 120 ° energization method is obtained by inputting to the integration circuit, comparing the output signal of the integration circuit with the output signal, processing the output signal with a filter circuit, and comparing the DC cut signal. . This position detection signal is generated 12 times during one rotation of the motor. That is, it occurs every 30 ° mechanical angle (60 ° electrical angle). Since this method uses an integration circuit, the absolute position where the induced voltage crosses zero cannot be grasped, and complicated phase control such as phase correction is required.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, in the 120 ° energization method, as described above, the zero crossing is detected by comparing the induced voltage of the motor winding with the reference value. Therefore, if the motor load suddenly changes or the power supply voltage suddenly changes, The voltage zero-cross signal may be hidden in the motor drive voltage region and cannot be detected. In such a state, a step-out phenomenon first occurs and the motor drive system stops.
[0007]
In order to reduce noise and vibration during motor operation in the 120 ° energization method, it is only necessary to extend the conduction period. For example, when the operation angle is increased to about 150 °, the motor is operated. The range in which the induced voltage of each phase of the winding can be detected is as narrow as 30 ° (= 180 ° -150 °) in electrical angle, and zero crossing may not be detected within that range. For this reason, the danger of stepping out during operation increases, and unstable phenomena such as turbulence tend to occur. This means that the larger the conduction angle, that is, the closer the conduction angle is to 180 °, the more difficult the stable motor operation becomes.
[0008]
On the other hand, in the 180 ° energization method, since the integration circuit is used as described above, the absolute position of the zero cross of the induced voltage cannot be grasped, and the phase difference between the zero cross position and the position detection signal is large depending on the operating state. Therefore, complicated control such as phase correction is necessary, and the phase correction adjustment is difficult, and the control calculation is complicated. In addition, the motor requires a neutral point output terminal and uses the third harmonic component of the induced voltage waveform, so that there is a problem that it cannot be used in a motor using a sine wave magnetized magnet.
[0009]
The present invention has been made to solve the above-mentioned problems, and its object is to enable operation near a conduction angle of 180 ° which does not require a mechanical electromagnetic pickup sensor with a simple system configuration. Therefore, it is possible to reduce the sound and vibration of the mechanical system, to simplify the soundproofing and vibration countermeasures of the mechanical system, and to provide an inexpensive and highly reliable inverter device.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
An inverter device according to the present invention includes a switching element, a DC / AC conversion means for converting a DC voltage into a pseudo AC voltage by opening and closing the switching element and outputting the pseudo AC voltage to the motor, and a winding voltage of the motor The voltage detection means for detecting the voltage, the PWM duty control means for controlling the duty ratio in the PWM control of the pseudo AC voltage output from the DC / AC conversion means, and the output voltage of the voltage detection means during the ON period in the PWM control. A / D conversion means that samples at predetermined time intervals, converts it to a digital value, and outputs it as a sampling voltage, and A / D conversion meansTwo or more points sampled during the ON interval in PWM controlSampling voltageBy arithmetic mean processingA control calculation means for determining an induced voltage of the motor winding, calculating a zero-cross position of the induced voltage of the motor based on the determined induced voltage and outputting a sampling command, and a voltage of the induced voltage by a sampling command from the control calculation means Sampling time control means for controlling the sampling time ΔTs of the A / D conversion means and the number of sampling times n based on the vibration component.The sampling time control means sets the frequency of ringing generated in the induced voltage immediately after the ON period in PWM control to f L Assuming that the sampling time ΔTs is ΔTs ≦ 1 / f L Set to satisfy.
[0014]
Further, the sampling time control means may set the number of times of sampling n so as to sample the induced voltage in the ON section in the PWM control.
[0019]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of an inverter device according to the present invention will be described in detail with reference to the accompanying drawings.
[0020]
<Configuration of inverter device>
FIG. 1 is a control block diagram of an inverter device according to the present invention. The inverter device is a motor driving device that controls the rotational speed of a three-phase four-pole brushless DC motor (hereinafter abbreviated as “motor”) 1. In this figure, the inverter device includes a DC /
[0021]
<Operation of inverter device>
In the inverter device configured as described above, a DC voltage is input to the DC /
[0022]
Next, the operation of each part of the inverter device will be specifically described.
The
[0023]
The DC /
[0024]
In the A /
[0025]
The
[0026]
The
[0027]
Each switching element of the DC /
[0028]
The
[0029]
As described above, in the inverter device, the PWM
[0030]
<Inverter power supply control>
FIG. 3 is a diagram showing a current (phase current) waveform in one phase of the armature winding in the 120 ° energization control by the inverter device of the present embodiment. In FIG. 3, the energization angle is Wx, energization is performed from the electrical angle X to the electrical angle (X + Wx), and then energization is performed from the electrical angle Y to the energization angle Wx. That is, in the inverter device according to the present embodiment, the energization is not performed between the electrical angle (X + Wx) and the electrical angle Y, and the induced voltage for the zero cross detection is detected during this period. If Wx = 120 ° in FIG. 3, it is the same as in the case of the prior art shown in FIG. Here, the conduction angle Wx is set so as to satisfy the following equation.
Wx <180 ° (1)
That is, if the above equation is satisfied, the induced voltage of the
[0031]
When the conduction angle Wx satisfies the following equation, it is necessary to add a base pattern signal for driving a three-phase sine wave in addition to the six base pattern signals described in the 120 ° energization control.
150 ° <Wx <180 ° (2)
That is, basically, the above six base patterns for 120 ° energization control are used in the electrical angle section where the current is turned off in any one of the three phases. In other sections, a base pattern for driving a three-phase sine wave is used. The base for driving the three-phase sine wave is well-known as normal three-phase sine wave PWM control, and thus detailed description thereof is omitted.
[0032]
<Detection of zero cross position>
Next, a method for specifying the zero-cross position for detecting the rotor position in the inverter device will be described. As described above, the detection of the induced voltage of the
[0033]
The
[0034]
FIG. 4 is an enlarged view of the induced voltage waveform of one phase of the
-X + Rx <Sampling electrical angle <X (3)
X = (180 ° −Wx) / 2 (4)
[0035]
Next, operations of the A /
[0036]
First, the A /
[0037]
Further, the wait angle TS0 and the recovery current recovery angle Rx are set so as to satisfy the relationship of the following equation, thereby preventing the detection in the section of the recovery current recovery angle Rx.
TS0> Rx (5)
[0038]
In FIG. 4, the zero cross position of the induced voltage is the position Z, and the
ΔV0 = V0−VDC / 2 (6)
Ask for.
[0039]
After calculating the
Δθ0 ≒ 2 / (1 / √3 ・ ω1 ・ E0) ・ ΔV0 (7)
If the phase difference Δθ0 is obtained by the equation (7), the zero-cross position can be detected from the sampling position and the phase difference Δθ0.
[0040]
If the zero-cross position can be detected as described above, the rotational phase of the
[0041]
Here, a necessary condition for obtaining the voltage difference ΔV0 is that at least one PWM ON section is included in the phase current OFF period. For this reason, the switching frequency (= carrier frequency) fc, inverter frequency f1, and conduction angle Wx of the switching element of the DC /
fc ≧ f1 × 360 ° / (180 ° −Wx−Rx) (8)
[0042]
By setting the carrier frequency fc so as to satisfy the above equation, at least one carrier period in PWM control is included between the phase current off period, that is, the phase current off period start angle and the phase current off period end angle. For this reason, the PWM ON section exists at least once, and the sampling voltage V0, that is, the voltage difference ΔV0 can be obtained.
[0043]
(Equivalent circuit of motor)
FIG. 5 is an equivalent circuit diagram of the
[0044]
In the figure, consider a case where a DC voltage VDC is applied between the W-V phases. At this time, the W-phase potential is VDC, the V-phase potential is 0, the U-phase is released, and the induced voltage Vu21 is observed. The winding
[0045]
In this state, the electric characteristics of the field induced voltage Eu and the U phase inductance Lu shown in FIG. 5 with respect to the electrical angle are the field induced voltage Eu24 and the U phase inductance Lu23 shown in FIG. As shown in FIG. 6, the field induced voltage Eu24 is a sinusoidal AC voltage having an amplitude of ω1 · E0, and the U-phase inductance Lu23 has a maximum value of Lq and a minimum value of Ld (Lq ≧ Ld> 0). , A sinusoidal AC voltage whose DC component is (Lq + Ld) / 2.
[0046]
When the field induced voltage Eu24 has the maximum value Lq or the minimum value Ld, the U-phase inductance Lu23 also has the maximum value Lq. When the field induced voltage Eu24 becomes zero, the U-phase inductance Lu23 takes the minimum value Ld.
[0047]
The zero cross position 25 of the field induced voltage Eu24 completely corresponds to the magnetic pole position of the magnet of the
[0048]
In FIG. 5, the DC voltage VDC is applied to the WV phase to perform PWM control or PAM control, and the induced voltage can be detected if the potential difference of the WV phase is VDC and Iu = 0. , The sampling voltage (at position Z) can be obtained.
[0049]
<Detection of induced voltage used for zero cross detection>
The inverter device generally includes a
[0050]
When the waveform shown in FIG. 7 is formulated with respect to time t, the following expression is obtained.
V0≈V00 · (1-exp (−k · t) · sin (2π · fL · t−φ)) (9)
Here, k (≧ 0) and φ (≧ 0) are constants, and fL (≧ 0) means the frequency of the voltage oscillation component in FIG. 7, and is often called a ringing frequency. These quantities can be handled as constants because they are automatically determined when the control system is determined.
[0051]
As described above, the induced voltage generally oscillates in a certain time interval, that is, is in a transient state. Therefore, the sampling voltage obtained at an arbitrary time does not necessarily represent the convergence voltage V00 that is a true induced voltage value. Not necessarily. Since the zero-cross position is detected based on the induced voltage and the switching timing of the switching element is thereby determined, the data reliability and accuracy of the induced voltage greatly affect the operation of the entire control system. Therefore, it is desired that this induced voltage is obtained accurately.
[0052]
Therefore, in the present inverter device, the induced voltage is accurately and easily detected by the following various methods. In the following control, the sampling time ΔTs and the number of samplings n are set by the sampling
[0053]
(Induced voltage detection method 1)
In this method, as shown in FIG. 8, the detection voltage is sampled every predetermined sampling time, and the last sampled voltage among the sampling voltages is determined as the convergence value of the induced
ΔTsxy ≤ Ton (10)
Σ (ΔTsxy) ≦ Ton (Σ: total of n pieces) (11)
In this way, it is possible to always sample the induced voltage in the PWM on period. In particular,
Σ (ΔTsxy) = Ton (12)
Each sampling time ΔTsxy and the number of sampling times n are set so as to satisfy the above. Then, V0Sn which is the final value of the sampling voltage V0Sy is determined as the induced voltage V0. The voltage value V0 obtained by this is considered to be a value almost equal to the convergence voltage V00. In this way, the convergence voltage V00 can be easily obtained.
[0054]
For this reason, the sampling
[0055]
(Induction voltage detection method 2)
In this method, as shown in FIG. 9, in the
ΔTs01 = ts1 = Ton ≧ ΔTMIN (13)
Here, ΔTMIN is set to a time until the difference between the maximum value and the minimum value of the voltage oscillation component of the induced voltage falls within a predetermined range considered to have converged. The predetermined range is a range in which it is considered that the transient state of the voltage oscillation of the induced voltage has almost ended and the state has shifted to the steady state. The sampling voltage 31 (V0S1) thus obtained is considered to be substantially equal to the true value of the induced voltage 12 (V0).
[0056]
(Induction voltage detection method 3)
In this method, as shown in FIG. 10, n = 1 in the
ΔTMAX ≦ ΔTs01 ≦ Ton (14)
The value V0S1 of the
V0S1 = V00 = V0 (15)
It is considered to meet. Therefore, ΔTMAX is set to the minimum value of the sampling time ΔTs that satisfies V00 = V0S1 at a time when the voltage oscillation of the induced voltage is considered to be in a steady state.
[0057]
In the
V0 = Σ (V0Sy) / n (16)
In this case, an induced voltage V0 that is less susceptible to disturbance noise can be determined.
[0058]
(Induction voltage detection method 4)
In this method, as shown in FIG. 11, in the
V0 = V0S1 / (1-exp (−k · ts1) · sin (2π · fL · ts1−φ)) (17)
[0059]
Further, in
V0 = V0S1 / (1-exp (-k.ts1) .sin (2π.fL.ts1-.phi.)) (18a)
V0 = V0S2 / (1-exp (-k.ts2) .sin (2.pi..fL.ts2-.phi.)) (18b)
V0 = V0S3 / (1-exp (-k.ts3) .sin (2.pi..fL.ts3-.phi.)) (18c)
V0 = V0S4 / (1-exp (-k.ts3) .sin (2.pi..fL.ts3-.phi.)) (18d)
[0060]
(Induced voltage detection method 5)
In this method, the sampling time ΔTs is set in the
ΔTs ≦ 1 / fL (19)
In this way, as shown in FIG. 12, the induced voltage period having a ringing component can be sampled with high resolution on the time axis, so that any of the above-described methods for determining V0 can be applied.
[0062]
(
Here, in the
[0063]
(Induced voltage detection method 7)
In this method, as shown in FIG. 14, the maximum voltage is sampled to determine the induced voltage V0. When the sampling voltage reaches the maximum point, the voltage equation of the induced voltage is as follows when y = 1.
Therefore,
It becomes.
[0064]
Therefore, if only the constant k is known, the induced voltage V0 can be determined by one sampling voltage 36 (V0sm1) which becomes the maximum point. That is, since V0 can be determined without depending on the ringing frequency fL or φ, the induced voltage can be obtained with high accuracy.
[0065]
Furthermore, when y = 3, the following voltage equation is obtained by the sampling voltage.
Here, the symbol “^” represents the factorial. From the above equation, V0 can be determined by eliminating α1. That is, the induced voltage can be obtained with higher accuracy since V0 can be determined by the sampling voltages V0sm1 and V0sm3 at the maximum points without depending on the constant k.
[0066]
(Induced voltage detection method 8)
In this method, as shown in FIG. 15, the minimum voltage is sampled to determine the induced voltage V0. When the sampling voltage 37 is a minimum point, the voltage equation of the induced voltage is y = 2, and is as follows according to the sampling voltage V0sm2.
Therefore,
It becomes. Therefore, if the constant k is known, the induced voltage V0 can be determined by one sampling voltage 37 (V0sm2) which is a minimum point. That is, since V0 can be determined without depending on the ringing frequency fL or φ, the induced
[0067]
Further, when y = 4, the following voltage equation is obtained.
From the above equation, V0 can be determined by eliminating α2. That is, since V0 can be determined by the sampling voltages Vsm2 and Vsm4 at the minimum points without depending on the constant k, the induced voltage can be obtained with higher accuracy.
[0068]
Since the accuracy of voltage detection can be improved by determining the sampling points by the method as described above, more accurate motor control can be realized.
[0069]
【The invention's effect】
The inverter device of the present invention appropriately controls the sampling time ΔTs and the number of samplings n of the A / D conversion means for detecting the induced voltage of the motor winding. As a result, even when the energization angle of the motor current is expanded to near 180 ° with a simple circuit configuration, the motor drive control based on the motor rotor position can be performed with high accuracy, so that the noise and vibration generated by the motor can be reduced. It is possible to simplify the mechanical soundproofing and vibration countermeasures, and to realize an inverter device with low circuit cost.
[0071]
Further, the sampling time ΔTs is set so that ΔTs ≦ 1 / fL is satisfied when the frequency of the ringing generated in the induced voltage immediately after the ON period in the PWM control is fL.To do.As a result, the induced voltage having a high-frequency ringing component can be voltage-sampled with high resolution, so that the induced voltage can be accurately determined.In addition, by arithmetically averaging the sampled voltage, even if a disturbance voltage such as a noise voltage is instantaneously applied to the induced voltage, the induced voltage can be determined with high accuracy because it is not greatly affected. System stability and performance can be further increased.
[0073]
Further, the sampling number n may be set so as to sample the induced voltage in the ON section in the PWM control. As a result, voltage elements other than the normal induced voltage are not sampled at all, and an abnormal stop of the inverter system due to an induced voltage sampling error can be prevented.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a control block diagram of an inverter device according to the present invention.
FIG. 2 is a configuration diagram of a voltage detection unit of the inverter device.
FIG. 3 is a diagram showing a phase current waveform with respect to an electrical angle of one phase of a brushless DC motor.
FIG. 4 is a diagram for explaining an operation for calculating a phase difference Δθ1 from a sampling voltage V1 in a control calculation unit.
FIG. 5 is an equivalent circuit diagram of a brushless DC motor.
FIG. 6 is a diagram showing characteristics of a U-phase inductance Lu and a field induced voltage Eu with respect to an electrical angle in a brushless DC motor.
FIG. 7 is a diagram for explaining an induced voltage waveform in a phase current off period.
FIG. 8 is a diagram for explaining sampling points used by a control calculation unit for determining an induced voltage (detection method 1).
FIG. 9 is a diagram for explaining sampling points used by the control calculation unit to determine the induced voltage (detection method 2).
FIG. 10 is a diagram for explaining sampling points used by the control calculation unit to determine the induced voltage (detection method 3).
FIG. 11 is a diagram for explaining sampling points used by a control arithmetic unit for determining an induced voltage (detection method 4).
FIG. 12 is a diagram for explaining sampling points used by a control calculation unit for determining an induced voltage (detection method 5).
FIG. 13 is a diagram for explaining sampling points used by the control calculation unit to determine the induced voltage (detection method 6).
FIG. 14 is a diagram for explaining sampling points used by the control calculation unit to determine the induced voltage (detection method 7).
FIG. 15 is a diagram for explaining sampling points used by the control calculation unit to determine the induced voltage (detection method 8).
FIG. 16 is a diagram showing a phase current waveform in conventional 120 ° energization control.
[Explanation of symbols]
1 Brushless DC motor (BDM)
2 DC-AC converter
3 Voltage detector
4 A / D converter
5 Control calculation part
6 PWM duty controller
7 Sampling time controller
Claims (2)
前記モータの巻線電圧を検出する電圧検出手段と、
前記直流交流変換手段が出力する前記疑似交流電圧のPWM制御におけるデューティ比を制御するPWMデューティ制御手段と、
PWM制御におけるオン区間のときに、前記電圧検出手段の出力電圧を入力し、所定の時間間隔毎にサンプリングしてデジタル値に変換し、サンプリング電圧として出力するA/D変換手段と、
該A/D変換手段からのPWM制御におけるオン区間にサンプリングされた2点以上のサンプリング電圧を相加平均処理することによりモータ巻線の誘起電圧を確定し、該確定された誘起電圧により前記モータの誘起電圧のゼロクロス位置を演算するとともにサンプリング指令を出力する制御演算手段と、
該制御演算手段からのサンプリング指令により前記誘起電圧の電圧振動成分に基づいて前記A/D変換手段のサンプリング時間ΔTsとサンプリング回数nとを制御するサンプリング時間制御手段とを有し、
上記サンプリング時間制御手段は、PWM制御におけるオン区間の直後の誘起電圧に発生するリンギングの周波数をf L として、サンプリング時間ΔTsを、ΔTs≦1/f L を満足するように設定することを特徴とするインバータ装置。DC / AC conversion means that includes a switching element, converts the DC voltage into a pseudo AC voltage by opening and closing the switching element, and outputs the pseudo AC voltage to the motor;
Voltage detecting means for detecting the winding voltage of the motor;
PWM duty control means for controlling a duty ratio in PWM control of the pseudo AC voltage output by the DC / AC conversion means;
A / D conversion means for inputting an output voltage of the voltage detection means at the time of an on period in PWM control, sampling at predetermined time intervals, converting it to a digital value, and outputting it as a sampling voltage;
The induced voltage of the motor winding is determined by arithmetically averaging two or more sampling voltages sampled during the ON period in the PWM control from the A / D conversion means, and the motor is determined by the determined induced voltage. Control calculation means for calculating the zero-cross position of the induced voltage and outputting a sampling command;
Have a sampling time control means for controlling the sampling time ΔTs and the sampling number n of the A / D converting means based a sampling command from the control arithmetic unit to a voltage oscillating component of the induced voltage,
The sampling time control means includes a feature that the frequency of the ringing from the induced voltage immediately after the ON period in the PWM control as f L, the sampling time .DELTA.Ts, set so as to satisfy the ΔTs ≦ 1 / f L Inverter device.
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