JP4160675B2 - 界磁有向性エレベータモータ駆動における回転子時定数と磁化電流の自動微同調 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ/駆動装置システムの自動校正に係り、特に界磁有向性(又はベクトル制御)エレベータモータ駆動装置における回転子時定数の微同調に関する。
【0002】
同時出願中の米国特許出願No.8/996,234(社内整理番号OT−3066)、No.8/996,265(社内整理番号OT−3064)、社内整理番号(OT−3054)、No.8/996,264(社内整理番号OT−4047),No.8/996,266(社内整理番号OT−4046)は、ここに述べられていることに関連する主題を含んでいる。
【0003】
【従来の技術】
間接的な界磁有向性(又はベクトル制御)モータ駆動装置がインダクションモータ駆動装置の高性能なトルク制御を行うことは、知られている。エレベータインダクションモータを制御するために、間接的な界磁有向性駆動装置を使用することも、エレベータモータ制御装置の分野で知られている。そのような駆動装置は、多速可変周波数駆動装置である。そのような駆動装置が、界磁有向性を確立するために、モータの回転子時定数の正確な知識を必要とすることも、知られている。
【0004】
回転子時定数を正確に決めるための一つの技術は、高価な試験設備と技術者の延べ時間を使用してエンジニアリング実験室においてモータを解析することである。しかしながら、現代化の又はレトロフィットの適用にあたって、新しい駆動装置が現存するエレベータシステムの古い駆動装置と取り替えられるものであり、回転子時定数パラメータを評価するために、モータをエレベータから取り外すことは、不都合であり費用がかかる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
回転子時定数を決めるための他の技術は、特別な試験設備を使用してモータに駆動装置を同調させるために、高度な熟練技術者を現場に急送するものである。しかしながら、そのような技術は、費用がかかり時間の浪費であり、エレベータモータ駆動装置を現代化することを、ビルディング所有者にとって魅力のないものにしている。
【0006】
また、種々の技術がモータの回転子時定数を設計するために述べられている。一つの技術は、T.M.ローワン(Rowan)による“インダクションマシンの間接界磁有向性の簡単なオン−ライン適応”、産業応用に関するIEEE会報、1991年7月/8月号、第27巻No.4、に述べられている。しかしながら、そのような技術は、例えば双方向性であるエレベータモータで生じるようにモータの回転方向が逆である時、正確なゲイン調節ができない。他の技術は、C.ワング(Wang)らによる“間接界磁有向性駆動装置用の自動化回転子時定数測定システム”産業応用に関するIEEE会報、1988年1月/2月号、24巻No.1で述べられている。しかしながら、そのような技術は、トルク定数と負荷慣性が前もって正確に知られることを、必要とする。
【0007】
本発明の目的は、モータをエレベータシステムから取り外し又は切り離す必要がない、エレベータ用の界磁有向性駆動装置における、モータの回転子時定数パラメータの現場での自動微同調を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の方法は、界磁有向性制御装置によって動作させられるエレベータモータの回転子時定数(τR)を計算する方法であって、a)τRを初期値に設定するステップと、b)エレベータを第1の方向に走行させるステップと、c)エレベータ走行中にエラー信号(VdERR)を次式のように計算し、VdERR=Vd−R1Id+(ωR+Iq/(IdτR))LσIq、ここで、Id=d軸電流、Iq=q軸電流、Vd=d軸電圧、ωR=モータ速度、R1=モータ固定子抵抗、Lσ=モータ過渡インダクタンス、であり、ここでVd,Id,Iq,ωRは界磁有向性制御装置によって供給される信号であり、ここでR 1 ,Lσは所定のモータ定数である、ステップと、d)エレベータ走行中に、次式、DXDERR=VdERR×(Iqの符号)×(ωRの符号)によって、符号調節されたエラー信号(DXD ERR )を計算するステップと、e)τRを変え、ステップ(b)−(d)を実行し、かつ所定の公差内でDXDERRがゼロに等しいτRの値を決めるステップと、によって構成されていることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の方法は、前記ステップ(e)が、f)DXDERRが符号を変えるまでτ R を変えるステップと、g)DXDERRが所定の公差内でゼロと交差するτRの値を決めるために、調査アルゴリズムを行うステップと、によって構成されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、ライン9の左側にエレベータ制御装置7の一部が示されている。エレベータ制御装置は、運動制御回路10を含み、運動制御回路10は、操作制御回路(図示せず)からライン8のフロア目的地指令を受けると共に、モータ制御装置14にライン12の速度プロフィルωREFを供給する。モータ制御装置14は速度ループ補償ロジック16によって構成され、速度ループ補償ロジック16は界磁有向性電流調整器/モータ駆動回路20に、ライン18の電流基準信号IqREFを供給する。回路20は、モータ24例えば3相インダクションモータ,にライン22の3相駆動電圧VX,VY,VZを供給する。モータ24は、該モータ24の回転速度を示すライン36上の速度フィードバック信号ωRを制御装置7に供給する。
【0011】
本発明で使用される3相ACインダクションモータの2つの例は、ギヤ方式の、定格電力45KW,定格電圧355ボルト,定格速度1480,定格周波数50Hzを有するロハー(Loher)によるモデルLUGA−225LB−04Aと、タツング(Tatung)(台湾)による定格電力40KW,定格電圧500ボルト,定格速度251,および定格周波数16.7Hzを有するギヤレス方式のモデル156MSTである。必要ならば、他の定格パラメータを有する他のモータを使用することもできる。
【0012】
モータ24は、機械的なリンケージ26例えばシャフトおよび/若しくはギヤボックスによって、シーブ28に接続されている。ロープ又はケーブル30は、シーブ28に巻装され、エレベータかご32に接続された一端と、カウンターウェイト34に接続された他端を持っている。カウンターウェイトの重さは、一般に、空のかごの重さにかごの最大負荷の40〜50%を加えたものに等しい。
【0013】
必要ならば、他のエレベータシスタム構造、すなわち、カウンターウェイトの有無、ギヤボックスの有無によるものを、モータ24の出力トルクをエレベータかご32の動きに変換するために使用できる。当該他のエレベータシスタム構造としては、例えば、二重リフト、ドラムマシン等があり、二重リフトでは、2つのエレベータかごが単一のロープに接続され、かごは反対方向に動き、各かごは他のかごに対してカウンターウェイトとなる。また、ドラムマシンとしては、モータによって駆動されるドラムのまわりにロープが巻装される。
【0014】
速度ループ補償ロジック16は、一つ又はそれ以上の制御ループを有するいかなるモータ制御補償ロジック、例えば本願と同時出願中の米国特許出願(社内整理番号No.OT−3054)で述べられているような比例積分外部ループ制御装置、比例内部ループ制御 装置であってもよい。他のモータ速度制御補償を使用することもできる。モータ速度制御補償の種類は、本発明にとって重要ではない。
【0015】
図2に示すように、界磁有向性モータ制御において、2つの軸に対応する電流および電圧パラメータを使用することは周知である。特に、図1の界磁有向性電流調整器/モータ駆動装置20は2つの電流制御ループによって構成され、一つはd軸電流Id用であり、他の一つはq軸電流Iq用である。Idループはライン14上の供給されるIdREF 信号を加減算器102の正入力で受ける。ライン104の測定された又はフィードバックd軸電流信号Idは加減算器102の負入力に供給される。加減算器102の出力はライン106のエラー信号IdERRであり、このエラー信号は、比例一積分(P−I)電流ループ制御装置のような制御補償ロジック108に供給される。必要ならば、他の電流ループ制御補償を使用してもよい。ロジック108はライン110にd軸電圧指令信号VdCMDを供給する。
【0016】
q軸に対して、Iqループは、ライン18の供給されるIqREF信号を加減算器114の正入力で受ける。ライン116の測定された又はフィードバックq軸電流信号Iqは加減算器114の負入力に供給される。加減算器114の出力は、ライン118のエラー信号I qERR であり、ロジック108と同様に、制御補償ロジック120例えば比例一積分ロジックに供給される。ロジック120の出力は、ライン122のq軸電圧指令信号VqCMDである。
【0017】
電圧信号VdCMDとVqCMDは、周知の界磁有向性3相変換ロジック124に供給され、3相変換ロジック124は、d軸電圧指令とq軸電圧指令を、ライン126の3相電圧指令VXCMD,VYCMD,VZCMDに変換する。位相電圧指令VXCMD,VYCMD,VZCMDは、周知の3相駆動回路(又はインバータ)128に供給され、3相駆動回路128は、それぞれ位相電圧VX ,VY ,VZ を、ライン130,132,134に供給して、モータ24(図1)を駆動する。
【0018】
駆動回路128(詳細は示されていない)内で、ライン126の電圧指令VXCMD,VYCMD,VZCMDは、対応する入力電圧レベルを示すパーセント・デューティ・サイクル指令に変換される。パーセント・デューティ・サイクルはパルス幅変調駆動信号に変換され、パルス幅変調駆動信号によってパワートランジスタが駆動され、それぞれライン130,132,134にパルス幅変調可変周波数3相電圧VX,VY,VZが供給される。駆動装置128内での変換は、モータ駆動回路の分野で周知の電子構成要素および/若しくはソフトウェアを使用して行われる。入力電圧指令を受け出力位相電圧を供給する駆動回路は他のタイプのものでも使用でき、位相電圧はパルス幅変調でなくてもよい。
【0019】
それぞれ電圧VX,VY,VZに関連する位相電流IX,IY,IZは、それぞれ周知の電流センサ136,138,140例えば閉ループホール効果電流センサ(例えばLEMS)によって測定され、それぞれライン141,142,143に供給される。位相電流IX,IY,IZは3相界磁有向性変換ロジック150に供給され、界磁有向性変換ロジック150は位相電流をライン104,116のd軸電流Idとq軸電流Iqに変換し、d軸電流とq軸電流は、それぞれ、加減算器102,114にフィードバック電流として供給される。
【0020】
コンバータ124,150は、D.ノボトニィ(Novotny)らによる“AC駆動装置のベクトル制御およびダイナミックス”、オックスフォード大学出版、1996,第5章、203〜251頁で述べられているような、ベクトル(d軸およびq軸)パラメータと位相パラメータとの間の周知の変換を行う。コンバータ124,150は、そのような変換を、マイクロプロセッサなどを用いてソフトウェアで実行する。
【0021】
モータの回転子時定数τR の値を制御することが、界磁有向性d軸とq軸への変換およびそれらからの変換を行うのに必要であることは、界磁有向性駆動装置の分野では知られている。特に、τRは、界磁有向性を達成するために、正しいすべり周波数ωSを確立する場合に使用される。回転子時定数τRの値はライン144上の2つのコンバータ124,150に供給される。
【0022】
図1に示すように、本発明は自動校正ロジック48によって構成され、ロジック48は、後述するように、回転子時定数τR の正しい値を自動的に決める。ロジック48は、本願に記載した機能を実行可能な、マイクロプロセッサ,インターフェース回路,メモリ,ソフトウェア,および/若しくはファームウェアを含む公知の電子構成要素によって構成される。
【0023】
図3と図4を参照すると、界磁有向性駆動モータ用のq軸変数とd軸変数のための結合回路図180,182は次に規定する回路パラメータを持っている。すなわち、Id=d軸(又は磁化)電流、Iq=q軸(又はトルク)電流、Vd=d軸電圧、Vq=q軸電圧、R1=固定子抵抗、L1s=固定子漏れインダクタンス、L1r=回転子漏れインダクタンス、Lm=相互インダクタンス、λds=d軸固定子磁束、λdr=d軸回転子磁束、λqs=q軸固定子磁束、λqr=q軸回転子磁束、ωs=すべり周波数、ωE=モータ電流の電気周波数、およびR2は回転子抵抗である。
【0024】
周知のように、界磁有向性条件が存在するためには、図3と図4のインダクションモータ結合回路図は、λqr=0,λdr=LmId,λqs=LσIq,およびλds=LsIdであることを必要とし、ここでLs=Lm+L 1s であり、ここでLσはモータの過渡インダクタンスである。
【0025】
ここで述べられている可変周波数駆動装置は一定の磁化電流Idで動作する。添え字“r”又は“R”によって示されている全ての電流および電圧モータパラメータは回転子パラメータであり、他の全ての電流および電圧モータパラメータは、特に規定されていない限り、固定子パラメータである。
【0026】
また、界磁有向性駆動装置では、周知のように、制御装置基準枠は、d軸が回転子磁束と位置合せされるように、配置される。図4に示すように、定常状態において、過渡状態は安定化されており(すなわち、dId/dt=0およびdIq/dt=0)、コイルの両端の電圧は0ボルトである。したがって、界磁有向性駆動装置用d軸固定子電圧Vdの式は、
Vd=R1Id−ωELσIq ………(1)
ここでLσはモータの過渡インダクタンス、R1 は固定子抵抗、ωEはモータ電流の電気周波数、IdとIqは、それぞれ、d軸とq軸固定子電流である。ωS=ωE−ωRおよびωS=Iq/(IdτR)、ここでωRは電気基準枠についての回転子の回転速度、ωSはすべり周波数であることも知られている。これを式1に代入すると
Vd=R1Id−(ωR+Iq/(IdτR))LσIq ………(2)
式(2)の右辺を左辺に移項することによって、新しいパラメータVdERR を定義する。
【0027】
VdERR=Vd−R1Id+(ωR+Iq/(IdτR))LσIq ………(3)
VdERRのゼロ値は、駆動が界磁有向性であること、すなわち、モータ鉄心損を無視できるとき式(1)が満たされることを示す。VdERRの極性(正または負)は、モータの回転方向(ωRの符号)、トルクの方向(Iqの符号)および回転子時定数パラメータτRが正しい値よりも大きいか小さいかによる。次の表は、VdERRが正であるかまたは負であるかを決定する条件を要約したものである。
【0028】
【表1】
【0029】
次のような積:
DXDERR=VdERR×Iq×ωR … (4)
を作ると、DXDERRの符号(または極性)は、トルク又は方向に拘わらず、回転子時定数τRパラメータが非常に低いとき正であり、τRが非常に高いとき負であることがわかった。それ故に、モータ負荷条件(たとえば空のかご)で、信号DXDERRは、τRをその正しい値に調節し、界磁有向性を達成するための正しい方向を示すことが分かった。式(4)でωRを使用する代わりに、望むならば、ω E を使用することができる。
【0030】
また、DXDERRの値をエレベータ走行にわたって積分すると、その結果であるXD ERR の符合が、どのようにτ R を調節して正しい値を得るかを示すことが分かった。XDERRの値が正であれば、回転子時定数パラメータは下降方向に調節される。値が負であれば、τR は上昇方向に調節される。XDERRの符号が変わると、τRの値はその正しい値を通っており、τRの値は、周知の直線補間技術を使用して、XDERRの前と現在の値と、τRの前と現在の値とに基づいて補間される。
【0031】
図1に示すように、さらに詳しくは、自動校正ロジック48はVdERR計算ロジック50によって構成され、このVdERR計算ロジック50は式(3)を使用してVdERRを演算するために必要なパラメータを受ける。VdERRの値はライン52上の乗算器54に供給され、乗算器54は、VdERRを速度パラメータωRによって掛け算するとともに、掛け算結果をライン56に供給し、ライン56の掛け算結果は、乗算器58によってq軸電流パラメータIqと掛け算され、ライン60に信号DXDERRを形成する。信号DXD ERRは積分器62に供給され、積分器62は積分された出力信号XDERRをライン64に供給し、ライン64の積分された信号はDXDERRの積分を示す。積分された信号XDERRはτR計算ロジック66に供給される。
【0032】
ωRとIqの値(および符号)でVdERRを掛け算する代わりに、これらの値のいずれか又は両方はその値の符号だけによって置き換えられる。また、乗算器54において、ωRを使用する代わりに、望むならば、ωEを使用することができる。モータ速度周波数ωR(又はωE)で乗算することによって、追加された利点が得られる、すなわち、この乗算は、電圧測定がより正確でありかつモータが定格速度にある高周波数においてVdERR 信号に、より重く重みをつけることになる。
【0033】
ロジック66はライン68上のリセット信号を積分器62に供給し、エレベータ走行間に積分器62を0にリセットする。ロジック66は一定のLσとR1をライン76上のVdERR計算ロジック50に供給する。ロジック66は回転子時定数τRを演算し、回転子時定数τRは、ライン144を通して電流調整器/モータ駆動回路20とVDERR計算ロジック50に供給される。
【0034】
また、ロジック66は、ライン71,72でMODE信号とFLRCMD信号を、それぞれ、運動制御ロジック10に供給する。MODEフラグにより、運動制御ロジック10は、ライン72上のFLRCMD信号からのフロア指令を受ける。
【0035】
FLRCMD信号は、後述するように、モータ制御装置10におけるωREFに対する標準の予め定められた速度プロフィル(図6)を使用して、指令された階数(又は特定の目的フロア)に対して、指令された方向にエレベータを走行させるように、運動制御装置10に指令する。また、運動制御ロジック10は、エレベータ走行中に故障が発生したかどうかを示すモータ制御装置故障信号MCFAULTをロジック66にライン73で供給する。エレベータの走行中に、エレベータは、正常な安全性を有する空のかごを使用して正常な速度プロフィルで走行する。
【0036】
図6を参照すると、運動制御ロジック10によって与えられるωREFに対する標準の速度プロフィル400は、ランプアップ(上昇傾斜)領域A,定速度領域B(ここでモータは所定の適用のためのデューティ又は請負い速度で回転する),およびランプダウン(下降傾斜)領域Cを有する。定速度部Bの継続時間は、FLRCMD信号によって指令される階数(又は目的階)に基づくものである。ここでエレベータの上昇又は下降走行が指令されるときはいつでも、指令された階数は、エレベータ走行の定速度部Bが、システムの過渡性を安定させるのに充分に長い時間、例えば少なくとも約3秒であり、ビルディングのフロアの高さに応じて約3又は4階分に相当するものとなる、ような階数となる。プロフィル400は単なる例示にすぎないものであり、システムの過渡性を安定させるのに充分に長い継続時間を有する定速度部があれば、他のランプアップ/ダウン速度,デューティ速度,および全体のプロフィルを使用できる。階数又は目的階はリンク82を介してサービス・ツール80によって与えられる。
【0037】
また、計算ロジック66は直列リンク82を介してサービス・ツール80と通信する。サービスツール80は、ディスプレイ84と、データをサービスツール80内におよびリンク82を介して制御装置7に入力するキーパッド(又はキーボード)86とを含んでいる。特に、ロジック66は、サービスツール80からリンク82を通して、それぞれいつ自動校正を始めるか又は停止する(または中断する)かを制御する始動指令および停止指令を受ける。また、ロジック66は、後述するように、自動校正ロッジク48を実行するために必要なパラメータを受ける。ロッジク66は、また、DONE信号とFAULT信号を、リンク82を介してサービス・ツール80に供給する。DONE信号は自動校正が完了した時点を示し、FAULT信号は自動校正中に故障が検出された時点を示す。エレベータ運動指令(目的階)はサービス・ツール80を使用して手動で入力されるか、又はエレベータはサービス・ツール80を使用して2つの予め定められた階の間を巡回するように設定される。また、実施を簡単にしかつ安全性を最大にするために、エレベータの全ての運動は通常のエレベータ制御システムの制御によるものであり、全ての通常の昇降路安全機能は有効である。
【0038】
図5に示すように、自動校正ロジック66用のトップレベルフロー図は、ステップ200で始まり、始動指令がサービス・ツール80(図1)から受けられているかどうかをチェックする。始動指令が受けられていなければ、ロジック66は終わる。始動指令が受けられていれば、ステップ202で、自動校正ロジック48を実行するのに必要なパラメータ、例えばLσ,R1,IdINIT,τR-INIT (τ R の初期値)を要求すると共に、サービス・ツール80からそれらを受ける。
【0039】
パラメータR 1 ,Lσ,τR-INIT,IdINIT の一部または全ては、例えば同時出願の米国特許出願No.8/996,265(社内整理番号OT−3064)に記載されているものなどによる他のモータテストによって予め計算されたR1,Lσ,τR,IdRATED の値に基づいてそれぞれ設定することができる。ここで、
RS(又はR1)=固定子巻線抵抗
LS=固定子巻線インダクタンス
Lr=回転子巻線インダクタンス
Lm=相互インダクタンス
Rr=回転子巻線抵抗
Lσ=Ls−Lm2/Lr=過渡インダクタンス
Lφ=Lm 2/Lr=磁化インダクタンス
ωE=入力電流I1の電気周波数
ωR=電気基準フレームについてのモータ出力回転速度(ラジアン/秒)
S=すべり=(ωE−ωR)/ωE
ωS=すべり周波数=ωE−ωR=(1/τR)(Iq/Id)
ここで、τR=回転子時定数、Iq=q軸(又はトルク)電流、Id=d軸(又は磁化)電流、 R2=(Lm2/Lr2)*Rr
である。
【0040】
また、回転子時定数τRとモータトルク定数KT*は、次のように回路90のパラメータに関連する。
【0041】
τR=Lr/Rr=Lφ/R2
KT*=(3/2)(P/2)LφId=トルク/電流
ここで、P=極数である。
【0042】
図8を参照すると、ロジックのトップレベルフロー図はステップ1200で始まる。ステップ1200では、始動指令がサービス・ツールから受けられているか否かをチェックする。始動指令が受けられていなければ、ロジックは終わる。始動指令が受けられていれば、ステップ1202でモータパラメータを要求してリンクを介してサービス・ツールからモータパラメータを受ける。モータパラメータは整備員によって入力される。受けられたモータパラメータは、定格モータシャフト出力(PWR_RATED)(ワット),定格モータ速度(RPM_RATED)(rpm),定格rms線間電圧(VLL_RATED)(ボルト),定格周波数(HZ_RATED)(ヘルツ),および極数(POLES)であり、これらは全てモータネームプレートデータから得られる。
【0043】
それから、ステップ1203では、MODE=1,ブレーキで回転子をロックするためのBRK=1,およびIdREF2=0アンペアをセットする。ここで述べられているテストの各々に対して、回転子はロックされたままであり(回転子速度ωR=0)、IdREF2 =0アンペアである。ωR=0,IdREF2 =0,すべりS=1の時、モータ電流I1はq軸電流Iqに等しく、モータ電圧V1はq軸電圧Vqに等しい。Iq=0の時、回路によってモータは単相運転で動作する。
【0044】
次に、ステップ1204では、正弦波電流信号を周波数FHIGHで基準電流IqREF2のq軸に供給することによって、過渡インダクタンスLσを測定する。ここで、FHIGHは、モータインピーダンスが過渡インダクタンスLσによって支配される程充分に高く、例えば31.25ヘルツである。必要ならば、他の周波数例えば30Hzを超えるものも使用できる。正弦波入力信号は、信号処理装置、たとえばディジタル信号処理装置、たとえば5KHzの更新(またはサンプリング)速度を有するモトローラDSP56002プロセッサによって、ディジタル的に発生される。他のハードウェアおよび/若しくはソフトウェア技術または更新速度を、正弦波入力信号を発生させるために使用できる。ステップ1204では、q軸フィードバック電流Iqとq軸出力電圧Vq(前述のように、それぞれ、モータ電流I1とモータ電圧V1に等しい)を読み出す。
【0045】
次に、ステップ1204では、前述のディジタル信号処理装置を使用して、IqとVqの離散フーリエ変換(DFT)を行い、第1の調波フーリエ係数を決める。DFTからの測定された信号の基本または第1の調波成分はAsin(ωt)+Bcos(ωt)であり、ここでω=2πfは入力周波数(ラジアン/秒)である。第1の調波が主としてインピーダンスを計算するために使用されるので、システムにおける非線形性によって計算がひずむことはない。
【0046】
周知のように、DFTを演算するために、テスト周波数での単位振幅の標準の正弦波と余弦波は、ロジック内で発生される。測定された信号(Iq,Vq)は標準の正弦波によって乗じられ、積は信号のフーリエ級数係数Aを生じさせるために1励磁期間にわたって積分される。標準の余弦波によって信号を乗算しかつ積分することにより、B係数が生じる。入力信号の15期間にわたって積分することは、システム応答におけるいかなる過渡現象をもフィルタアウトするのに充分であることが判った。所望ならば他の期間の数を使用してもよい。また、ここで論じられているDFTに対して、所望ならば、他のタイプのフーリエ変換を使用でき、所望の信号の第1の調波が得られるという条件で高速フーリエ変換(FFT)などを使用できる。さらに、フーリエ変換の代わりに、所望の信号の第1の調波を決めるために他のフィルタリング又はスペクトル解析技術を使用することができる。それから、ステップ1204で、上記のように演算された電圧と電流の第1の調波成分を使用して、電圧と電流の比(V1/I1=Vq/Iq)を計算することによってモータインピーダンスZM を演算する。次に、ステップ1204で、フーリエ係数からZ M の実部と虚部とを演算する。F H IGHヘルツでのモータインピーダンスZMの虚部は過渡インダクタンス項ωL σによって支配される。従って、過渡インダクタンスLσは、FHIGHHzに等しい入力周波数を有し周波数ω(ラジアン/秒)(2πFHIGH)によって割算された過渡リアクタンス(又はZMの虚部)であり、すなわち
Lσ=Imag(ZM)(FHIGHHzにおける)/(2πFHIGH)である。
【0047】
次に、ステップ1204で決められたモータインピーダンスZMの実部として、オプショナルステップ1206は回路インピーダンスのトータル抵抗(RTOT=RS+R2)すなわち固定子抵抗と回転子抵抗の和を測定する。従って、
RTOT=Real(Z M )(FHIGH における)
である。 特に、ステップ1204で使用した比較的高い高周波数FHIGHでは、インダクタンスLφは大きく、ZMの実部はRTOTに等しい。RTOTの値はRSを計算するための後述での使用のために保存される。
【0048】
次に、ステップ1208では、次のように、回転子時定数τ R を測定する。ステップ1208では、後述するサーチアルゴリズムによって規定される増分において0.1から8.0ヘルツまでの低周波数正弦波入力q軸基準電流IqREF2の数列を生じる。正弦波入力信号は、ステップ1204で述べたように、ディジタル的に発生する。各周波数で、モータ電流Iqとモータ電圧Vq(前述したように、それぞれ、モータ電流I1とモータ電圧V1に等しい)が測定され、電流信号I1のDFTとモータ電圧信号V1は別々に演算される。ステップ1204で述べたように、基本又は第1の調波フーリエ係数が得られる。
【0049】
それから、ステップ1208は、電流に対する電圧の比(V1/I1)を計算することによって、各周波数でのモータインピーダンスZMを演算する。それから、ステップ1208では、フーリエ係数からZMの実部と虚部が計算される。また、ステップ1208では、次のように、モータインピーダンスZMの虚部から過渡リアクタンス(ωLσ)を引くことによって、回転子インピーダンスの虚部Imag(ZR)=ωLXを計算する。ここで、Lσはステップ1204で前もって計算されたものであり、ωは入力周波数である。
【0050】
Imag(ZR)=ωLX=Imag(ZM)−ωLσ
次に、ステップ1210では、磁化インダクタンスLφが計算される。特に、モータ伝達関数の折点周波数である回転子時定数の周波数(ω=1/τ R )で、回転子インピーダンスZRの実部と虚部は互いに等しく、すなわちωLX=RXである。また、この同じ周波数で、ωLX が1/2ωLφ(磁化リアクタンス)に等しいことは、以下に示されている。特に、回転子インピーダンスZRは、以下に示すように、R2に並列なjωLφに等しい。
【0051】
ZR=jωLφR2/(R2+jωLφ)
分子と分母に分母の複素共役(R2−jωLφ)を乗じることによって、次の式が得られる。
【0052】
ZR=ω2Lφ2R2/(R2 2+ω2Lφ2 )+jωLφR 2 2/(R 2 2 +ω2Lφ2)
上式はインピーダンスの直列の組合せの形を有するとともに、又は以下に示すように、実部と虚部を持っている。
【0053】
ZR=RX+jωLX
ZR=Real+jImaginary
次に、オプショナルステップ1212で、R2の値を最初に計算することによって固定子抵抗Rsを計算する。ω=1/τRで回転子インピーダンスの実部Real(ZR)がR2/2に等しいことは、以下に示されている。
【0054】
特に、上式の実部は、
Real(ZR)=RX=ω 2 Lφ2R2/(R2 2+ω2Lφ2)
である。R2=ωLφを代入して簡略化すると、RX=R2/2となる。したがって、
R2=2Real(ZR)(ω=1/τR において)
また、R2はR2=Lφ/τRを用いて計算される。ここで、LφとτRはそれぞれステップ1204,1208で予め計算されている。いずれの場合も、固定子抵抗Rsは、ステップ1206で計算されたトータル抵抗(RTOT=Rs+R2)からR2を引くことによって決められる。
【0055】
したがって、次式が得られる。
【0056】
Rs=RTOT−R2
モータのRsの値が例えばデータシートからすでに知られていれば、その値は制御装置に供給され、Rsは、それが期待値の所定のパーセンテージ内であることを確実にするためにステップ1212で範囲がチェックされる。
【0057】
Rsが所望の範囲内になければ、ステップ1212ではフォルトフラグFAULT1=1が設定される。あるいは、Rsの値は、計算されかつサービスツールに供給され、整備員がシステムに設備されたモータの型を決めるのに役立つ。
【0058】
次に、ステップ1214では、Lφ,τR,およびステップ1202で得られたパラメータPWR_RATED,RPM_RATED,VLL_RATED,HZ_RATED,POLESを、モータパラメータをシミュレートするためにおよび定格磁化電流IdRATEDおよびトルク定数KT*を繰り返し計算するために使用する。
【0059】
あるいは、パラメータLσ,τRINIT,IdINITの一部又は全ては、次のように、近似することもできる。
【0060】
すなわち、
Lσ=Ls−(Lm2/Lr),τR- INIT=Lr/Rr,IdINIT=INO-LOAD
ここで、R1は固定子巻線抵抗、Lsは固定子巻線インダクタンス、Lrは回転子巻線インダクタンス、Lmはモータ相互インダクタンス、Rrは回転子巻線抵抗、およびINO-LOADは無負荷電流であり、R1,Ls,Lm,Lr,RrおよびINO-LOADはモータデータシートから得られる。その場合、整備員はパラメータLσ,τRINIT,IdINITを計算し、サービス・ツール80によってそれらをロジック48に供給する。あるいは、整備員はサービス・ツール80によってパラメータR1,Ls,Lm,Lr,RrおよびINO-LOADをロジック48に供給し、ロジック48はパラメータLσ,τRINIT,IdINITを計算する。本発明を実施するために必要な初期パラメータを得るために他の技術を使用できる。
【0061】
モータが無負荷又は無トルクすなわちIq=0の時、INO-LOADが全モータ電流に等しいことは、モータの技術分野の当業者によって理解できるものである。従って、INO-LOADは定格d軸(又は磁化)電流IdRATEDに等しい。
【0062】
次に、一連のステップ204は、変数COUNTを0にセットし、MODEフラグを1にセットし、回転子時定数τRを初期値τR- INITにセットする。それから、ステップ206で、積分器62(図1)を0にリセットする。次に、ステップ208で、前述した(図6)標準プロフィルを使用して、エレベータに上昇方向に走行するように指令する。それから、ステップ210で、エレベータの走行中に故障が検出されたかどうかをチェックする。故障が検出されていれば、ステップ212で故障信号を1にセットし、サービス・ツール80(図1)に送信する。
【0063】
それから、ステップ212で、停止指令がサービス・ツール80から受けられているかどうかをチェックする。停止指令が受けられていれば、ロジックは終わる。停止指令が受けられていなければ、ステップ214で、XDERRの値をパラメータXDERR (1)として保存する。
【0064】
それから、ステップ216で、エレベータの次の走行のために積分器62を0にリセットする。
【0065】
次に、ステップ218で、前述した(図6)の標準プロフィルを使用してエレベータに下降方向に走行するように指令する。それから、ステップ220で、エレベータの走行中に故障が発生したかどうかをチェックする。故障が発生していれば、ステップ212で、FAULTフラグをセットしてロジックは終わる。故障が発生していなければ、ステップ222で、停止指令がサービス・ツールから受けられているかどうかをチェックする。停止指令が受けられていれば、ロジックは終わる。停止指令が受けられていなければ、ロジックはステップ224でXDERR の値をXDERR(2)として保存する。
【0066】
次に、ステップ226で、XDERR-AVGをエレベータの上昇/下降方向の走行についてのXDERR (1)とXDERR (2)の平均として演算する。次に、ステップ230で、XDERR-AVGがエレベータの直前の上昇/下降の走行のXDERR-AVGから符号を変えているかどうかをチェックする。XDERR-AVGが符号を変えていなければ、ステップ232で、COUNT変数が10に等しいか又は10よりも大きいかどうか、すなわちループが少なくとも10回繰り返されているかどうか、をチェックする。ループが10回繰り返されていれば、ステップ234で、FAULTフラグを1にセットし、このFAULTフラグを直列リンク82(図1)を介してサービス・ツール80に送り、ステップ235で、MODE=0をセットしてロジックは終わる。ループの繰り返しが10回より少なければ、ステップ236で、XDERR-AVG の符号が正であるかどうかをチェックし、正であれば、ステップ238で、所定量たとえば10%だけτRを減少させる。XDERR-AVG の符号が正でなければ、ステップ240で、所定量たとえば10%だけτ R を増加させる。望むならば、τRに対する他のパーセント変化を使用できる。次に、ステップ242で、COUNTを1だけ増加させ、ロジックは再びステップ206に進む。
【0067】
ステップ230で、XDERR-AVG が符号を変えていれば、ステップ246で、前と現在のエレベータ走行に対するXDERR-AVG の値間と前と現在の走行に対する対応するτRの値間とを直線的に補間し、XDERR-AVG が0に交差する(すなわち、符号を変化させる)τRの値を決める。次に、ステップ248で、DONEフラグを1にセットし、このDONEフラグを直列リンク82(図1)を介してサービス・ツール80に送り、ステップ235で、MODEフラグを0にセットし、それからロジックは終わる。
【0068】
ステップ226,230,236および246において、XDERR- AVGを評価する代わりに、XDERR(1)又はXDERR(2)のどちらかを個々に使用できる。しかしながら、平均値XD ERR-AVG を使用すると、τ R に対してより頑健な値が得られる。その場合に、所定のエレベータの上昇/下降走行に対して、XDERR(1),(2)の値が異なる符号であれば、τRの値は繰り返しを停止するのに充分に近いものと判断される。しかしながら、XDERR(1),(2)の値の両方の値の符号が変われば、パラメータXDERR(1),(2)の一つが、τRの値の補間に使用するために選択される。
【0069】
図7を参照すると、回転子時定数τR (秒)に対するXDERRのグラフが、曲線310で示されている上昇方向における七つの走行に対してプロットされていると共に、曲線312によって示されている下降方向における七つの走行に対してもプロットされている。上昇/下降走行は、τRを次の値に変える前に、ロッジク66によって示されるように交互に行われる。従って、上昇走行値は曲線310によって示され、下降走行値は曲線312によって示されている。上述した補間処理の目的は、ゼロに等しいXDERRの値に対応するτRの値を得ることである。
【0070】
望むならば、τRの正しい値まで繰り返すために他の調査技術を使用できる。τR のための別の調査アルゴリズムは、バイナリタイプの調査を使用することであり、この調査アルゴリズムでは、連続的な走行において、τR またはXDERRの変化が所定の公差内になるまで調査範囲が狭められる。
【0071】
エレベータの上昇−下降走行に対する方向の順序は、本発明にとって重要なものではなく、例えばエレベータはステップ208で下降走行し、ステップ218(図5)で上昇走行してもよい。しかしながら、整備員は、サービス又は校正を始めるために、エレベータを地階又は1階に走行させる。その場合には、エレベータを最初に上昇させることが、標準プロフィルで前述したように、充分に長い時間を有する走行を提供するのに必要となる。
【0072】
空のかごは最も得やすい条件であるけれども、正味負荷不均衡がかごとカウンタウェイトの間で与えられれば、発明は、全負荷又は部分負荷でも働く。しかしながら、かごがカウンタウェイトより重くなる正味負荷不均衡を生じる負荷条件(例えば全負荷)では、図7のグラフは、正の傾斜でなく負の傾斜を有し、調査ロジックは対応して変わる。
【0073】
積分器62の代わりに、ローパスフィルタ又は他のタイプのフィルタをDXDERRの過渡変化をフィルタする代わりに使用でき、所定のエレベータ走行にわたるDXDERR の平均値が得られる。その場合に、例えば走行の一定またはデューティ速度部分の間にモータ速度ω R がゼロになる前に、フィルタ(積分器)62の出力はロッジク66によってサンプリングされる。
【0074】
積分器(またはフィルタ)62を使用する代わりに、信号DXDERRは、フィルタまたは積分器無くして、ロジック66によって直接にサンプリングできる。その場合に、ロジック66は、ステップ214,224(図5)における走行の定速度部の終わり(又はその間)にDXDERR の値をサンプリングし、DXDERRはこれまでここで参照されていたXDERR に置き換わる。また、DXDERR をフィルタする代わりに又はDXDERR をフィルタリングするのに加えて、DXDERR用の式(4)への入力信号をフィルタリングしてもよい。あるいは、V d ERR計算ロジック50は、モータ速度がある速度を超えた時又は所定の継続時間、デューティ速度にあった時のみ、V d ERRを計算することもできる。
【0075】
発明は模範的な実施例について開示されているけれども、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、前述の、および種々な他の変形、省略および追加ができることは、当業者によって理解されるべきである。
【0076】
【発明の効果】
本発明は、界磁有向性(又はベクトル制御)エレベータモータ駆動装置の回転子時定数を現場で自動微同調することによって、従来技術に勝って、大きな改良を行っている。本発明によれば、モータを現場から切り離し又はモータをエレベータシステムから取り外す必要がない。したがって、発明は、産業上の駆動装置に一般的な標準的な無負荷試験でなく負荷条件のもとにそのような同調を行う。また、本発明によれば、特別に訓練された技術者に特別な試験設備を用いてモータ/駆動装置システムを同調させる必要もない。かくして、本発明によれば、新しいモータ駆動装置が現場に設置される時、モータ駆動装置の設置や校正に関連するコストが低減される。従って、現場で回転子時定数を自動的に微同調させるにあたって、時間とお金の両方が節約される。結果として、本発明は、エレベータシステムを現代の制御装置にまで向上させるにあたって、現代化の現場で見られる古いモータのパラメータを決めるための高いコストによって現在は経済的に実用的でない現代化をビルディング所有者にとって魅力的なものにする。さらにまた、本発明は、既存のエレベータ運動制御および安全システムを、発明の校正処理中に、そのままに残しておくことができる。
【0077】
本発明の前述のおよび他の目的、特徴および利点は、添付図面に示されているような上述の模範的な詳細な説明に鑑みて、より明白になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による自動校正ロジックを有するモータ制御装置の概略ブロック図。
【図2】 本発明による図1内の界磁有向性電流調整器/モータ駆動回路の概略ブロック図。
【図3】 本発明による界磁有向性駆動モータのq軸変数に対するインダクションモータ結合回路図。
【図4】 本発明による界磁有向性駆動モータのd軸変数に対するインダクションモータ結合回路図。
【図5】 本発明による図1の自動校正のロジックの一部のフロー図。
【図6】 本発明による時間に対するエレベータ速度基準プロフィルのグラフ。
【図7】 本発明による、一連の上昇および下降走行での回転子時定数に対するXD ERR のグラフ。
【図8】 本発明による自動校正ロジックのロジックフロー図。
【符号の説明】
7…制御装置
14…モータ制御装置
16…速度ループ補償回路
20…電流調整器/モータ駆動回路
24…モータ
28…シーブ
32…エレベータかご
34…カウンターウェイト
48…自動校正ロジック
50…V dERR 計算ロジック
54,58…乗算器
62…積分器(フィルタ)
66…τR計算ロジック
80…サービス・ツール
108,120…制御補償ロジック
124…3相変換ロジック
128…3相駆動回路
150…界磁有向性変換ロジック
Claims (10)
- 界磁有向性制御装置によって動作させられるエレベータモータの回転子時定数(τR)を計算する方法であって、
a)τRを初期値に設定するステップと、
b)エレベータを第1の方向に走行させるステップと、
c)エレベータ走行中にエラー信号(VdERR)を次式のように計算し、
VdERR=Vd−R1Id+(ωR+Iq/(IdτR))LσIq、
ここで、Id=d軸電流、
Iq=q軸電流、
Vd=d軸電圧、
ωR=モータ速度、
R1=モータ固定子抵抗、
Lσ=モータ過渡インダクタンス、
であり、ここでVd,Id,Iq,ωRは界磁有向性制御装置によって供給される信号であり、ここでR 1 ,Lσは所定のモータ定数である、ステップと、
d)エレベータ走行中に、次式、
DXDERR=VdERR×(Iqの符号)×(ωRの符号)
によって、符号調節されたエラー信号(DXD ERR )を計算するステップと、
e)τRを変え、ステップ(b)−(d)を実行し、かつ所定の公差内でDXDERRがゼロに等しいτRの値を決めるステップと、
によって構成されていることを特徴とする方法。 - 前記ステップ(e)が、
f)DXDERRが符号を変えるまでτ R を変えるステップと、
g)DXDERRが所定の公差内でゼロと交差するτRの値を決めるために、調査アルゴリズムを行うステップと、
によって構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 - 前記調査アルゴリズムが、現在と前のエレベータ走行に対するDXDERR 、τRの値間で補間するステップによって構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 前記ステップ(d)が,さらに、エレベータ走行中にDXD ERR をフィルターにかけるステップによって構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記フィルターが積分器によって構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
- 前記ステップ(d)が、さらに、
i)前記第1の方向とは反対の第2の方向に、エレベータを走行させるステップと、
j)前記第2の方向へのエレベータ走行中に、ステップ(c)−(d)を繰り返すステップと、
k)二つのエレベータ走行に対するDXDERRの平均値をDXDERRとして演算するステップと、
によって構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 - 前記ステップ(e)が、さらに、
f)τ R を変え、かつDXDERRが符号を変えるまでステップ(c)−(d)と(i)−(k)を実行するステップと、
g)DXDERRが所定の公差内でゼロと公差するτRの値を決めるために、調査アルゴリズムを実行するステップと、
によって構成されていることを特徴とする、請求項6に記載の方法。 - 前記調査アルゴリズムが、現在と前のエレベータの走行に対するDXDERR 、τRの値間で補間するステップによって構成されていることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 前記ステップ(a)−(e)が、サービス・ツールから指令を受けると自動的に実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記ステップ(a)−(e)と(i)−(k)が、サービス・ツールから指令を受けると自動的に実行されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
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