JP4160281B2 - プレストレスト木橋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、木製主桁ブロックと横桁を鋼材等の引張材によるプレストレストで一体化する技術にかかわり、橋以外に建築物の梁等に利用される。
【0002】
【従来の技術】
この特許出願人は、木材の梁や桁に上載荷重で生じる曲げ応力とは反対の曲げ応力を予め内部に誘発さることにより、木材の桁や梁の耐荷性を高める補強方法を特公平6−51999号で提案し、木材桁の耐荷性と剛性を高めるために桁の両端木口に当接した剛板に桁内上下に配した引張材を緊着させた桁を実公平5−18413号で提案し、さらに、上載荷重が解放されたときの下部引張材による過度な応力を上部引張材により緩和するとともに、断面曲げ応力が全圧縮応力状態で許容限界荷重を負担する引張材による木材構造部材の補強方法を特開平3−51461にて提案した。
【0003】
一方、接着技術の進歩により積層木板の耐荷性の増大化と長尺化が可能となってきて、この特許出願人の技術が上載荷重の増減と頻度が激しい橋梁への適用が可能となり、そのための開発がなされてきた。
従来の木橋を検討すると、木の主桁ブロックは個々に継手を必要とすることから、主桁ブロックを多く使用することには構造上に制限があり、施工も複雑となっている。そのためにプレストレストを導入するためにはPC鋼索定着・係止のために主桁中に専用のアンカーが数多く必要となる等の問題がある。すなわち、プレストレストを導入するためには継手となる横桁を開発する必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は出願人の開発した従来の技術である荷重が解放されるときの引張り曲げ応力を上部の引張材で緩和し、反対に荷重上載時のたわみを下部引張材で小さくする作用をもつ木の主桁に対し、横桁を通し構造として主桁ブロックの木口と当接する横桁に主桁を挿通した引張材の定着具と係止孔を設け、挿通した引張材を緊張し定着して各木主桁ブロックと通し横桁を一体化しようとする。
この発明でいう引張材はPC鋼索のほかに、炭素繊維(CFRP)・アラミド繊維(AFRP)・ガラス繊維(GFRP)などの繊維を束ね、樹脂結合材を含浸させて成形したものがあり、以下引張材と総括する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
木の主桁ブロックの内部の上下に引張材を挿通し、上記主桁ブロックの木口を嵌挿した横桁に、主桁ブロックを挿通した引張材の連通孔を設けて挿通し、挿通した引張材端を両端に位置した横桁に緊張して定着しその目的を達成しようとする。
【0006】
【発明の実施の態様】
主桁ブロックに上下挿通する引張材の配置は特開平3−51461号に示すように並行にまたは交叉状とその目的に沿って採用される。
横桁には鋼材により通し一体のもののほかに、複数のブロックに分割されたものを連結材で連結し通し一体のものとしたものがある。
【0007】
【作用】
横桁を通し一本の構造とすることで、並列する木の主桁ブロックの一体化がなり、横桁で受ける集中荷重の主桁ブロックへの分散がなされる。
【0008】
【実施例】
この発明実施例のプレストレスト木橋は正面図が、図1に、平面図が図2に、右側面が図3に示される。
プレストレスト木橋の全長は15.00m、幅は5.00mである。長さ方向には積層木材から成る集成長尺材の主桁ブロック1が鋼材の通し横桁2間にPC鋼索により接続される。すなわち、5.00m間隔で並べた幅0.50m、長さ5.00m、高さ1.50mの通し横桁2間に、長さ5.00m、幅0.50m、高さ1.50mの主桁ブロック1が接続され、全長において主桁は3条並行して設けられ、主桁ブロック1は計9個使用されることとなる。
【0009】
主桁ブロック1は、図1に示す中央部の主桁ブロックでは上下並行にPC鋼索挿通用の挿通孔3を貫設し、左右の主桁ブロックではそれぞれ一端面の上下部から他端面の下部と上部へ向けて交叉状に挿通孔3を貫設している。
挿通孔3の形成は、主桁ブロック1を製作する際に設けられるもので、主桁ブロック1をその長軸方向で2つ割れとした側面相互に挿通孔3の半径分を掘設し、2つ割れを接着剤で接着することで形成される。
左右の主桁ブロックの場合の挿通孔3が交叉状となる場合の形成は、並行する挿通孔3に間隔をとって設けられる。
【0010】
通し横桁2は図4に示すようにI型の鋼材であってその側壁に各主桁ブロック1の挿通孔3に連通する連通孔4を貫設している。通し横桁2のコの字状の側壁に主桁ブロック1の端部が嵌入される。
【0011】
通し横桁2のほかの通し横桁には図5のH型横桁5、図6(a)(b)(c)に示す横桁6がある。
H型横桁5は、中央部と左右両側部がI型の短材7でその間を同じくI型短材を水平方向に用いた横材8で一体に形成され、短材7の前後凹部に主桁ブロックの各端部が嵌入される。
ブロック型横桁6は、中央部では平断面コ字型材9の背面相互を接続板10で接続し、天地を蓋板11で蓋することにより、前後には主桁ブロック1端部の嵌入部12を、左右には接続板13の端部を嵌入し接着剤で固着する嵌入部14を形成させて中央部ブロックとしている。
両側部では、上記中央部ブロックの一方のコ字型材を除いて側板15を接合し側部ブロックとしている。中央部ブロックと側部ブロックを接続板13で接続することにより、図2に示すように並行する3条の主桁ブロックの横桁を構成する。
なお、接続板13は木板でも足り、H型横桁5及びブロック型横桁6に主桁ブロックの挿通孔3に連通して連通孔4が貫設されている。
【0012】
主桁ブロックと横桁との組み立てを図1、2、3によって説明すると、主桁ブロック1に通し横桁2を嵌め合わせ順次接続し連結した後、一端部の通し横桁2の上下の連通孔4に当接する挿通孔3へ鋼索を挿入し、他端部の通し横桁2の上下の連通孔4から出た鋼索を定着具16により他端部の通し横桁2の側壁面に定着する。
次に、挿入側の通し横桁2の鋼索を索引機により索引し全体の嵌合を緊密とするとともに、主桁ブロック1に緊張を与え、鋼索端を同じく定着する。そのものを吊り揚げて予め建設された両岸の脚台に固定するものである。
橋とする場合は、川に沿う道路において全体を作り、川の吊り揚げ両岸の脚台に固定する。場合によっては川にやぐらを設け、同やぐら上で接続する。建物の梁とする場合は上記に準じて行う。
いずれの場合も、運搬及び取扱い容易な範囲に設計された個々の主桁ブロックと同じく容易な横桁とを嵌合し、鋼索により緊結し全主桁ブロックに同時に目的とする応力を保持させる。
またさらに、横桁は通し一本ものに限らず複数のブロック体を接続して一体とした通し横桁と主桁ブロックに挿入された鋼索は横桁において係止状態になるため、主桁ブロック内での緩みが防止される。
【0013】
【発明の効果】
主桁にかかる集中荷重の分散が容易となり、橋としての剛性が向上するほか、橋としての設計・施工が合理化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明プレストレスト橋の正面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】図1の右側面図。
【図4】通し横桁の斜視図。
【図5】H型横桁の斜視図。
【図6】ブロック型横桁の斜視図で
(a)は構成を示し、
(b)は中央部ブロックの天盤を除去した斜視図、
(c)は両端部ブロックの天盤を除去した斜視図。
【符号の説明】
1 主桁ブロック
2 通し横桁
3 挿通孔
4 連通孔
5 H型横桁
6 ブロック型横桁
7 短材
8 横材
9 コ字型材
10 接続板
11 蓋板
12 主桁ブロック嵌入部
13 接続板
14 接続板嵌入部
15 側板
Claims (2)
- 木の主桁ブロック内の上下に挿通した鋼材等の引張材を、主桁ブロックの木口に当接する横桁に挿通し、鋼材等の引張材を緊張して横桁に定着することにより、主桁ブロックと横桁とをプレストレストに一体化して成ることを特徴とするプレストレスト木橋。
- 横桁は、側面に主桁ブロックの木口に当接するとともに、主桁ブロックに挿通された鋼材等の引張材の連通する連通孔を設けたブロック体を、接続板で接続したことを特徴とする請求項1記載のプレストレスト木橋。
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Publications (2)
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