JP4159653B2 - [11c]−l−メチオニンの合成方法 - Google Patents

[11c]−l−メチオニンの合成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願は、ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(PET)等による脳機能診断用または腫瘍組織診断用の標識薬剤等として用いられる[11C]−L−メチオニン、並びに[11C]−L−エチオニンおよび[11C]−L−プロピオニンの合成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、腫瘍組織の診断あるいは各種の精神神経疾患の原因となる脳の構造的・機能的障害のPET診断のための標識薬剤として、[11C]−L−メチオニンが使用されている。
この[11C]−L−メチオニンの合成方法としては、例えば次式
【0003】
【化15】
Figure 0004159653
【0004】
に反応式を示したような液相による化学合成法(European Journal of Nuclear Medicine 1:11-14, 1976)が知られている。
この方法のプロセスは、上記文献の記載に従えば以下のとおりである。
a)100μLのアセトンにトラップされた[11C]ヨウ化メチルを、300μLのDLホモシステインまたはL−ホモシステインチオラクトン塩酸塩(2mg)水溶液および70μLの10M水酸化ナトリウム水溶液を含む反応容器に加える。
b)容器を密封し、100℃で8分間加熱する。冷却後、反応液中のアセトンおよび未反応の[11C]ヨウ化メチルを、40℃加熱下、窒素気流中にて留去する。
c)2、3分後、20μLの10N塩酸、1mLの蒸留水および2mLの生理食塩水を反応容器に加える。0.1Nの塩酸または水酸化ナトリウム水溶液で、反応液のpHを4に調整した後、反応液をメンブレンフィルターで濾過する。
【0005】
この方法における合成時間は照射終了より25分以内である。また、得られた[11C]−L−メチオニンの放射化学的収率は[11C]ヨウ化メチルに対して50±11%、比放射活性は約50mCi/μmolである。
この方法は、放射化学的収率が高く、薬剤として高比放射能を要求されず、原料(ホモシステインチオラクトン)の除去が必ずしも必要ででない等の利点を有している。
【0006】
さらに、上記方法の改良法して、次式
【0007】
【化16】
Figure 0004159653
【0008】
に反応式を示したようなオンカラム化学合成法(Applied Radiation and Isotopes 44:788-790, 1993 )も知られている。
この方法のプロセスは、例えば以下のとおりである。
a)L−ホモシステインチオラクトンを保持している担体を充填し、約−40℃に冷却したカラムに、任意流速のHeガス気流下の[11C]CH3 Iを通し、捕集する。
b)70%EtOHをカラムに満たし、両端を閉じたのち、約60℃で3分間程度加熱する。
c)HCl、次いで局方エタノールでカラムから反応生成物を洗い出し、エバポレータのフラスコに集める。
d)溶媒を除去したのち、生理食塩水を加えて残さを溶かし、メンブレンフィルターを通して注射用薬剤とする。
【0009】
この方法では、照射終了より20以内に合成が完了する。また、得られた[11C]−L−メチオニンの放射化学的収率は[11C]CH3 Iに対して98%以上となる(比放射活性は不明)。
この方法は、オンカラム合成であるために操作が簡便化し、しかも放射化学的収率が向上するという点において、前記の液相による合成方法に比して優れた方法である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のとおりの化学合成方法は、いずれも目的化合物の光学異性体が副成するという問題が存在した。
この出願は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであって、従来の合成方法の問題点を解消し、光学異性体を生成することなく、簡便な操作で放射化学的収率の高い[11C]−L−メチオニンを得ることのできる新しい合成方法を提供することを目的としている。
【0011】
またこの出願は、同じく光学異性体を生成することなく、簡便な操作で放射化学的収率の高い[11C]−L−エチオニンおよび[11C]−L−プロピオニンを得ることのできる新しい合成方法を提供することを目的としてもいる。上記方法における新規な合成中間体である[11C]エタンチオールおよび[11C]プロパンチオールと、その合成方法を提供することを目的としてもいる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この出願は、上記の課題を解決するための第1の発明として、次式(1)
【0013】
【化17】
Figure 0004159653
【0014】
で表される[11C]メタンチオールを、γ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素による酵素反応によって、次式(2)
【0015】
【化18】
Figure 0004159653
【0016】
で表される[11C]−L−メチオニンに変換することを特徴とする[11C]−L−メチオニンの合成方法(請求項1)を提供する。
この第1発明の方法においては、次式(3)
【0017】
【化19】
Figure 0004159653
【0018】
で表される[11C]ヨウ化メチルから[11C]メタンチオールを合成すること(請求項2)を好ましい態様としている。
また、この請求項2の方法においては、次式(4)
【0019】
【化20】
Figure 0004159653
【0020】
で表される[11C]二酸化炭素から[11C]ヨウ化メチルを合成すること(請求項3)を好ましい態様としてもいる。
この出願はまた、第2の発明として、次式(5)
【0021】
【化21】
Figure 0004159653
【0022】
で表される[11C]エタンチオールを、γ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素による酵素反応によって、次式(6)
【0023】
【化22】
Figure 0004159653
【0024】
で表される[11C]−L−エチオニンに変換することを特徴とする[11C]−L−エチオニンの合成方法(請求項4)を提供する。
この第2発明の方法においては、次式(7)
【0025】
【化23】
Figure 0004159653
【0026】
で表される[11C]ヨウ化エチルから[11C]エタンチオールを合成すること(請求項5)を好ましい態様としている。
また、この請求項5の方法においては、次式(8)
【0027】
【化24】
Figure 0004159653
【0028】
で表されるメチルマグネシウムブロミドと[11C]二酸化炭素から[11C]ヨウ化エチルを合成すること(請求項6)を好ましい態様としてもいる。
さらにこの出願は、第3の方法として、次式(9)
【0029】
【化25】
Figure 0004159653
【0030】
で表される[11C]プロパンチオールを、γ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素による酵素反応によって、次式(10)
【0031】
【化26】
Figure 0004159653
【0032】
で表される[11C]−L−プロピオニンに変換することを特徴とする[11C]−L−プロピオニンの合成方法(請求項7)を提供する。
この第3発明の方法においては、次式(11)
【0033】
【化27】
Figure 0004159653
【0034】
で表される[11C]ヨウ化プロピルから[11C]プロパンチオールを合成すること(請求項8)を好ましい態様としている。
また、この請求項8の方法においては、次式(12)
【0035】
【化28】
Figure 0004159653
【0036】
で表されるエチルマグネシウムブロミドと[11C]二酸化炭素から[11C]ヨウ化プロピルを合成すること(請求項9)を好ましい態様としてもいる。
さらにまた、この出願は次式(5)
【0037】
【化29】
Figure 0004159653
【0038】
で表される[11C]エタンチオールと、次式(9)
【0039】
【化30】
Figure 0004159653
【0040】
で表される[11C]プロパンチオールをも提供する。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、この出願の各発明について、実施の形態を詳しく説明する。
この出願の第1発明の最も好まし実施形態は、次式
【0042】
【化31】
Figure 0004159653
【0043】
に反応式を例示することができる。
この反応式において、[11C]二酸化炭素から[11C]ヨウ化メチルの合成は、公知の方法(Appl. Radiat. Isot. 44(8):1119-1124, 1993 )に基づいて行うことができる。
また、[11C]ヨウ化メチルから[11C]メタンチオールの合成は、同じく公知の方法(J. Label. Compds. Radiopharm. 37:109, 1995)に従って行うことができる。
【0044】
そして、このようにして合成した[11C]メタンチオールを、γ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素による酵素反応によって[11C]−L−メチオニンに変換する。すなわち、この酵素は、ピリドキサールリン酸を補酵素として、O−アセチル−L−ホモセリンおよび[11C]メタンチオールから[11C]−L−メチオニンを生成する。そして、このγ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素をカラムに固定化することによって、オンカラム合成法により、例えば以下のとおりに[11C]−L−メチオニンを合成することができる。
【0045】
[11C]メタンチオールに、リン酸ナトリウム緩衝液、O−アセチル−L−ホモセリン、ピリドキサールリン酸からなる酵素反応容基質溶液を加え、この混合溶液を固定化酵素カラムに送液し、目的化合物である[11C]−L−メチオニンを含む溶出液をナスフラスコ等に回収する。続いてカラムを洗浄するために、上記の酵素反応容基質溶液を再度固定化酵素カラムに送液し、溶出液をナスフラスコ等に回収する。溶出液を回収後、エバポレーター等により溶出液を減圧乾固し、ナスフラスコ等の残留物を注射用生理食塩水に溶解する。
【0046】
γ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素としては、例えば、クロモバクテリウム(Chromobacteriumu)属に属する細菌(C.violaceum )より単離して得られるγ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素(Biochemistry, 12:5369-5377, 1973)、この出願の発明者等が見出したバチルス・ステアロサーモフィルス(B. stearothermophilus )CN3株(FERM BP−4773)から単離して得られる耐熱性γ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素(特願平7−171171号)を用いることができる。あるいはまた、この出願の発明者等が見出したγ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素コード遺伝子(特願平9−34612号)を大腸菌等の微生物で発現させて得られるγ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素を使用することもできる。
【0047】
この出願の第2発明および第3発明の最も好まし実施形態は、次式
【0048】
【化32】
Figure 0004159653
【0049】
【化33】
Figure 0004159653
【0050】
にそれぞれ反応式を例示することができる。
これらの反応においては、メチルマグネシウムブロミドと[11C]二酸化炭素から[11C]ヨウ化エチルを、またエチルマグネシウムブロミドと[11C]二酸化炭素から[11C]ヨウ化プロピルを合成することを除き、上記第1発明の方法と同様の手順によって、[11C]−L−エチオニンおよび[11C]−L−プロピオニンを合成することができる。
【0051】
【実施例】
以下、実施例を示してこの出願の発明についてさらに詳細かつ具体的に説明するが、この発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において使用した材料は次のとおりである。
[11C]は、小型サイクロトロンCYPRIS370を用いて14N(p,α)11Cにより製造した。
【0052】
γ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素(EC4.4.1.9)は、特願平9−34612号に記載のBacillus stearothermophilus γ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素遺伝子を導入した組み換え大腸菌より単離し、精製した。γ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素の比活性は、O−アセチル−L−ホモセリン、メタンチオールを基質として、生成されるL−メチオニンを測定したところ、その比活性が26.7mol/分/mgタンパク質であった。タンパク質濃度は14.4mg/mlであった。酵素の活性を保持するため、γ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素の調製した酵素溶液は少量ずつ冷凍室に保存した。
【0053】
固定化酵素カラムは、次に示すような手順で調製した。
アミノプロピル−CPG(0.2g、ポアサイズ1400オングストローム:フナコシ(株)販売)にグルタルアルデヒド水溶液(2.5%、10ml)を加え、1時間室温で反応させた後、充分に水洗いする。これにγ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素(10mg)を含むリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5、0.1M、10ml)を加え、4℃で一晩攪拌しながら反応させる。この後、未反応のγ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素を除去し、固定化γ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素を作成する。
【0054】
内径4.2mm、長さ7.0mm(内容積:0.1ml)のカラム(中空部を有する円柱体)に上記の固定化γ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素を充填し、[11C]−L−メチオニン合成用反応カラムとする。
液体クロマトグラフィーは、NaI放射能検出器と直列した、UV検出器を備えた液体クロマトグラフを用いて行い、以下のカラムを使用した。
【0055】
カラム(A):4.6×150mm C−18(Crest-Pak C18S) カラム。
カラム(B):4.0×150mm C−18(Crownpak CR(+)) カラム。
移動相(C):0.01Mギ酸アンモニウム。
移動相(D):メタノール/0.01Mギ酸アンモニウム(10:90、
v/v)。
【0056】
移動相(E):0.01N過塩素酸(pH2.0)。
その他すべての化学試薬は精製することなく使用した。
実施例1
[11C]−L−メチオニンを以下のステップにより合成した。
(1)[11C]ヨウ化メチルの合成
[11C]ヨウ化メチルの合成は、公知の方法(Appl. Radiat. Isot. 44(8):1119-1124, 1993 )を参考にして、次の手順によって行った。
【0057】
サイクロトロンより得られた[11C]二酸化炭素を、窒素ガス気流により、−18〜−20℃に冷却した反応フラスコに入れた水素化リチウムアルミニウムのTHF溶液(0.1M、0.15ml)に導いた。THFを蒸発させた後、ヨウ化水素酸(57%、0.5ml)を加えて120℃に加熱し、生成した[11C]ヨウ化メチルを留去して[11C]メタンチオール合成用反応容器に移送した。
(2)[11C]メタンチオールの合成
(1)で得られた[11C]ヨウ化メチルを、窒素気流により、水硫化ナトリウム(2−5mg)およびDMF(0.2−0.5ml)を加えた[11C]メタンチオール合成用反応容器に移送した。移送中この反応容器を80〜120℃で4分間加熱し、生成した[11C]メタンチオールを、窒素気流により、エタノールと液体窒素の混合液で−40℃以下に冷却した、アセトン(0.8ml)を含む10mlの[11C]メタンチオールトラップ用バイアル中に移送した。アセトンにトラップされた[11C]メタンチオールの放射化学的純度は、カラム(A)を使用する分析用液体クロマトグラフィーにより測定した。クロマトグラフィーの条件は以下の通りであった。
【0058】
流速:2ml/分、溶媒:(C)、カラム温度:室温、波長:210nm、[11C]メタンチオールの保持時間:4〜4.5分。
(3)[11C]−L−メチオニンの製造
[11C]メタンチオールのトラップ終了後、この[11C]メタンチオールトラップ用バイアル中に、リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5、125mM)、O−アセチル−L−ホモセリン(16.7mM)、ピリドキサールリン酸(0.1mM)からなる固定化酵素反応容基質溶液(1.2ml)を加えた。この混合溶液を、固定化酵素カラムに送液し、目的化合物である[11C]−L−メチオニンを含む溶出液をナスフラスコに回収した。次に同量の基質溶液を固定化酵素カラムに送液することにより、固定化酵素カラムに残留した[11C]−L−メチオニンを洗浄し、溶出液を上記のナスフラスコに回収した。溶出液を回収後、エバポレーターにより減圧乾固し、ナスフラスコの残留物を注射用生理食塩水に溶解した。この溶解液を0.22μm細孔フィルターを通して滅菌し、滅菌バイアルに充填した。このバイアルを、ヒトまたは動物投与用として使用した。
【0059】
最終生成物として得られた[11C]−L−メチオニンの放射化学的純度は、カラム(A)を使用する分析用液体クロマトグラフィーにより測定した結果、99%以上、収率は60〜70%であった。なお、クロマトグラフィーの条件は以下の通りであった。
流速:2ml/分、溶媒:(C)、カラム温度:室温、波長:210nm、[11C]−L−メチオニンの保持時間:1.5〜2.0分。
【0060】
さらに、非放射性メチオニン標品で[11C]メチオニンに添加して測定した結果を図1に示す。UV検出シグナルと放射線検出シグナルの位置が一致しており、これにより得られた化合物が[11C]−L−メチオニンであることを確認した。
以上の方法により最終生成物として得られた[11C]メチオニンの光学純度は、カラム(B)を使用する分析用液体クロマトグラフィーにより測定した結果、99%以上であった。なお、クロマトグラフィーの条件は以下の通りであった。
【0061】
流速:0.8ml/分、溶媒:(E)、カラム温度:室温、波長:210nm、[11C]−L−メチオニンの保持時間:4.5〜5.5分。
実施例2
[11C]−L−エチオニンを以下のステップにより合成した。
(1)[11C]ヨウ化エチルの合成
[11C]ヨウ化エチルの合成は、公知の方法(Proceeding of 12th International Symposium on Radiopharmacuetical Chemistry, 252-253, 1997)を参考して、次の手順にて行った。
【0062】
サイクロトロンより得られた[11C]二酸化炭素を、窒素ガス気流により、反応フラスコに入れたメチルマグネシウムブロミドのTHF溶液(1.0M、0.15ml)に導いた。反応後、反応液に水素化リチウムアルミニウム(0.5M、0.25ml)を加え、加熱した。THFを蒸発させた後、ヨウ化水素酸(0.5ml)を加えて120℃に加熱し、[11C]ヨウ化エチルおよび[11C]ヨウ化メチルの混合物を得た。この混合物を蒸留し、液体アルゴンで冷却したステンレスチューブにトラップした後、液相が10%のOV101であるクロモソルブW−HPガスクロカラムに導き、室温、ヘリウム気流中(100mL/min)でこれらの混合物を分離精製した。分離精製した[11C]ヨウ化エチルを[11C]エタンチオール合成用反応器に移送した。
(2)[11C]エタンチオールの合成
上記(1)で得られた[11C]ヨウ化エチルから、実施例1(2)と同様の方法により[11C]エタンチオールを合成した。
【0063】
また、得られた[11C]エタンチオールの分析は、溶媒に(C)を用いる以外、上記実施例1(2)と同条件で分析した(保持時間:8.5〜9.0分)。
(3)[11C]−L−エチオニンの合成
上記(2)で得られた[11C]エタンチオールから、実施例1(3)と同様の方法により[11C]−L−エチオニンを合成した。
【0064】
また、得られた[11C]−L−エチオニンの分析は、上記実施例1(3)と同条件で分析した(保持時間:2.5〜3.0分)。その結果、[11C]−L−エチオニンの放射化学的純度は、99%以上、その収率は50〜60%であった。また、非放射性L−エチオニン標品を[11C]−L−エチオニンに添加して測定した結果を図2に示す。UV検出シグナルと放射線検出シグナルの位置が一致しており、これにより得られた化合物が[11C]−L−エチオニンであることを確認した。
【0065】
以上の方法により最終生成物として得られた[11C]−L−エチオニンの光学純度は、カラム(B)を使用する分析用液体クロマトグラフィーにより測定した。クロマトグラフィーの条件は以下の通りであった。
流速:0.8ml/分、溶媒:(E)、カラム温度:室温、波長:210nm、保持時間:9.0〜9.5分。
実施例3
[11C]−L−プロピオニンを以下のステップにより合成した。
(1)[11C]ヨウ化プロピルの合成
[11C]ヨウ化プロピルの合成は、公知の方法(Proceeding of 12th International Symposium on Radiopharmacuetical Chemistry, 252-253, 1997)を改良して、次の手順にて行った。
【0066】
サイクロトロンより得られた[11C]二酸化炭素を、窒素ガス気流により、反応フラスコに入れたエチルマグネシウムブロミドのTHF溶液(1.0M、0.15ml)に導いた。反応後、反応液に水素化リチウムアルミニウム(0.5M、0.25ml)を加え、加熱した。THFを蒸発させた後、ヨウ化水素酸(0.5ml)を加えて120℃に加熱し、[11C]ヨウ化プロピルおよび[11C]ヨウ化メチルの混合物を得た。この混合物を蒸留し、液体アルゴンで冷却したステンレスチューブにトラップした後、液相が10%のOV101であるクロモソルブW−HPガスクロカラムに導き、室温、ヘリウム気流中(100mL/min)でこれらの混合物を分離精製した。分離精製した[11C]ヨウ化プロピルを[11C]プロパンチオール合成用反応器に移送した。
(2)[11C]プロパンチオールの合成
上記(1)で得られた[11C]ヨウ化プロピルから、実施例1(2)と同様の方法により[11C]プロパンチオールを合成した。
【0067】
また、得られた[11C]プロパンチオールの分析は、溶媒に(D)を用いる以外、上記実施例1(2)と同条件で分析した(保持時間:9.0〜10.0分)。
(3)[11C]−L−プロピオニンの合成
上記(2)で得られた[11C]プロパンチオールから、実施例1(3)と同様の方法により[11C]−L−プロピオニンを合成した。
【0068】
また、得られた[11C]−L−プロピオニンの分析は、上記実施例1(3)と同条件で分析した(保持時間:3.5〜4.0分)。その結果、[11C]−L−プロピオニンの放射化学的純度は、99%以上、その収率は40〜50%であった。また、非放射性L−プロピオニン標品を[11C]−L−プロピオニンに添加して測定した結果を図3に示す。UV検出シグナルと放射線検出シグナルの位置が一致しており、これにより得られた化合物が[11C]−L−プロピオニンであることを確認した。
【0069】
以上の方法により最終生成物として得られた[11C]−L−プロピオニンの光学純度は、カラム(B)を使用する分析用液体クロマトグラフィーにより測定した。クロマトグラフィーの条件は以下の通りであった。
流速:0.8ml/分、溶媒:(E)、カラム温度:室温、波長:210nm、保持時間:20.0〜21.0分。
【0070】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この発明によって、光学異性体を生成することなく、簡便な操作で放射化学的収率の高い[11C]−L−メチオニン、[11C]−L−エチオニンおよび[11C]−L−プロピオニンを得ることのできる新しい合成方法が提供される。これによって、例えば、腫瘍組織や脳のPET診断の精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得た[11C]−L−メチオニンに非放射性L−メチオニン標品を添加して測定した結果であり、(A)非放射性L−メチオニン標品のUV検出シグナル、(B)[11C]−L−メチオニンの放射線検出シグナルである。
【図2】実施例2で得た[11C]−L−エチオニンに非放射性L−エチオニン標品を添加して測定した結果であり、(A)非放射性L−エチオニン標品のUV検出シグナル、(B)[11C]−L−エチオニンの放射線検出シグナルである。
【図3】実施例3で得た[11C]−L−プロピオニンに非放射性L−プロピオニン標品を添加して測定した結果であり、(A)非放射性L−プロピオニン標品のUV検出シグナル、(B)[11C]−L−プロピオニンの放射線検出シグナルである。

Claims (9)

  1. 次式(1):11CH3SH (1)
    で表される[11C]メタンチオールおよび O- アセチル -L- ホモセリンから、ピリドキサールリン酸を補酵素とするγ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素による酵素反応によって、次式(2):11CH3S-(CH2) 2-CH(NH2)-COOH (2)
    で表される[11C]−L−メチオニンを生成することを特徴とする[11C]−L−メチオニンの合成方法。
  2. 次式(3):11CH3I (3)
    で表される[11C]ヨウ化メチルから[11C]メタンチオールを合成する請求項1の[11C]−L−メチオニンの合成方法。
  3. 次式(4):11CO2 (4)
    で表される[11C]二酸化炭素から[11C]ヨウ化メチルを合成する請求項2の[11C]−L−メチオニンの合成方法。
  4. 次式(5):CH3-11CH2-SH (5)
    で表される[11C]エタンチオールおよび O- アセチル -L- ホモセリンから、ピリドキサールリン酸を補酵素とするγ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素による酵素反応によって、次式(6):CH3-11CH2-S-(CH2) 2-CH(NH2)-COOH (6)
    で表される[11C]−L−エチオニンを生成することを特徴とする[11C]−L−エチオニンの合成方法。
  5. 次式(7):CH3-11CH2I (7)
    で表される[11C]ヨウ化エチルから[11C]エタンチオールを合成する請求項4の[11C]−L−エチオニンの合成方法。
  6. 次式(8):CH3- MgBr + 11CO2 (8)
    で表されるメチルマグネシウムブロミドと[11C]二酸化炭素から[11C]ヨウ化エチルを合成する請求項5の[11C]−L−エチオニンの合成方法。
  7. 次式(9):CH3-11CH2- CH2-SH (9)
    で表される[11C]プロパンチオールおよび O- アセチル -L- ホモセリンから、ピリドキサールリン酸を補酵素とするγ−シアノ−α−アミノ酪酸合成酵素による酵素反応によって、次式(10):CH3- CH2-11CH2- S-(CH2) 2-CH(NH2)-COOH (10)
    で表される[11C]−L−プロピオニンを生成することを特徴とする[11C]−L−プロピオニンの合成方法。
  8. 次式(11):CH3- CH2-11CH2I (11)
    で表される[11C]ヨウ化プロピルから[11C]プロパンチオールを合成する請求項7の[11C]−L−プロピオニンの合成方法。
  9. 次式(12):CH3- CH2-MgBr + 11CO2 (12)
    で表されるエチルマグネシウムブロミドと[11C]二酸化炭素から[11C]ヨウ化プロピルを合成する請求項8の[11C]−L−プロピオニンの合成方法。
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