JP4159185B2 - 樹脂の混合吐出ヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、樹脂の吐出通路内で混合型樹脂の2液を衝突させて混合しながら吐出、注型するようにした樹脂の混合吐出ヘッドに関するものであり、2液型ポリウレタンの注型発泡成形等に利用される。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタンの注型発泡成形に用いる樹脂の吐出ヘッドとして、吐出ヘッド内の吐出通路に対してイソシアネートおよびポリオールの2液を個別に供給して吐出通路内で衝突させ、この2液を混合しながら吐出通路の開口端から下方の型内に注入するようにしたものが知られている。図1は、このような混合吐出ヘッドの一例を示し、この混合吐出ヘッド10は、上下に接続されたシリンダー11と吐出ノズル16とで構成される。
【0003】
上半部のシリンダー11は、上端に上底12、下端に下底13、また内側に昇降自在のピストン14および下向きの注入ロッド14aを備え、上底12の中央およびシリンダー11の下端にそれぞれ作動油の供給口12aおよび11aが開口し、注入ロッド14aの下端が下底13の中心孔13aを貫通して下方の吐出ノズル16内に突出し、シリンダー11の作動油供給口11aおよび上底12の作動油供給口12aから交互に作動油を供給することにより、注入ロッド14aの下端が吐出ノズル16内を上昇・下降するようになっている。なお、15aおよび15bは作動油用配管である。
【0004】
下半部の吐出ノズル16は、上記シリンダー11の下底13の下面に接続されていて、上部の大径の基部16aと下部の小径の先端部16bからなり、内側に上下方向に貫通する吐出通路16cを備え、この吐出通路16cに上記注入ロッド14aが摺動自在に嵌合している。そして、上記の基部16aに第1液用の第1ノズル17および第2液用の第2ノズル18が互いに等しい高さで対向状に接続され、この第1ノズル17および第2ノズル18にそれぞれ第1液供給配管19および第2液供給配管20が接続される。
【0005】
したがって、上記注入ロッド14aが図示の上昇位置にあるとき、第1ノズル17および第2ノズル18の各吐出口が開かれ、このとき第1液供給配管19から供給された第1液および第2液供給配管20から供給された第2液が上記の吐出通路16c内で衝突して混合され、吐出ノズル16の下端吐出口から下方の成形型A(例えば、建築資材のサイディングボード用金属板)上に吐出される。また、注入ロッド14aが反対の下降位置にあるとき、第1ノズル17および第2ノズル18の各吐出口が注入ロッド14aで閉じられる。
【0006】
しかしながら、上記の第1液としてイソシアネートを、また第2液としてポリオールを用い、その混合液(ウレタン原液)を成形型A内に連続的に吐出し、発泡層Bを形成する場合、吐出通路16cの先端側に付着したウレタン原液が連続供給に伴って次第に発泡固化してスケールBaとなり、これが成長して上記吐出通路16cの先端部が狭くなり、そのため吐出されるウレタン原液がスムースな流れから噴射状になり、ついには注型不能になるという問題があった。
【0007】
上記ウレタン原液の発泡固化に要する時間は、或る実験によると、液温15℃で28秒、20℃で22秒、30℃で17秒である。したがって、特に吐出ノズル16の先端部16bの温度が30〜35℃に昇温する夏期においては、30分程度の連続吐出で注型不能になり、これを防ぐには注入ロッド14aを定期的に下降し、吐出通路16cの付着スケールBaを掻き落として掃除する必要があり、その1回の掃除ごとに3秒程度の時間ロスが発生し、注入が停止したまま成形型Aのみが流れたり、吐出通路16cから掻き落とされた付着スケールBaが成形型A内の発泡層Bに混入したりして不良品が発生する結果になっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記のイソシアネートおよびポリオールのように混合すべき2液を下向き吐出ノズルの吐出通路に対して個別に供給し、この2液を吐出通路内で衝突させて混合しながら吐出ノズルの先端から下向きに吐出、注型するようにした樹脂の混合吐出ヘッドにおいて、該ヘッドを外側から冷却することにより、吐出通路における付着スケールの成長を遅らせて吐出通路の掃除周期を延長し、かつ上記付着スケールの混入による注型不良品の発生を減少させ、しかも上記混合吐出ヘッド内部の改造を不要とし、生産性を低下させないようにしたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る樹脂の混合吐出ヘッドは、混合すべき2液を下向き吐出ノズルの吐出通路に対して個別に供給し、この2液を吐出通路内で衝突させて混合しながら吐出ノズル先端から下向きに吐出、注型するようにした樹脂の混合吐出ヘッドにおいて、上記吐出ノズルの吐出側部分を囲む筒状カバーおよび該筒状カバーの内側空間に冷風を吹き込むための冷風吹込み手段を設け、かつ吐出ノズルの先端部および筒状カバーに付着し落下する水滴を受けるための水受け皿を上記吐出ノズルの下端に固定したことを特徴とする。
【0010】
上記樹脂の混合吐出ヘッドによれば、筒状カバーの内側空間に冷風が吹き込まれるため、吐出ノズルが外側から冷却され、吐出ノズル内側の吐出通路に付着した2液の混合液が固化を抑制される。したがって、固化によって生じたスケール除去のための掃除周期が延長され、そのためスケール除去に伴うクリーニング作業が減り、不良品の発生率が低下する。そして、上記の冷却によって吐出ノズルの外面や筒状カバーの内外面が結露しても、水滴が水受け皿で受けられるため、下方の成形型内に水滴が落下、混入することはなく、したがって水滴混入による不良品発生はない。
【0011】
上記の筒状カバーおよび水受け皿の形状、大きさ、取付け手段等は任意であるが、水受け皿上に紙や布等の吸水性シートを置くことが好ましく、この場合は水受け皿に落下した水滴の飛散を防ぐことができる。また、水受け皿を吐出ノズルの下端付近に着脱自在に取付け、この水受け皿上に吸水性シートを介して筒状カバーを置く形態が好ましく、水受け皿を着脱自在に形成することにより、水受け皿や筒状カバーの掃除、および吸水性シートの取り替えが容易になる。
【0012】
また、冷風吹込み手段は、室温よりも低温の空気を発生して吐出ノズルに吹付けるものであり、例えば圧縮空気の断熱膨張を利用して冷風を得るようにした超低温小型クーラー(米国ボルテック社製「ボルテックスクーラー」)を用いることができる。この超低温小型クーラーは小型で冷却量が大きい点で好ましい。ただし、吐出ノズルの冷却が過度になると、2液の反応が遅れて生産性が低下する。例えば、イソシアネートとポリオールの2液を使用する場合、冷風の温度および風量は、吐出ノズルの温度が15〜20℃になる程度が好ましく、これによって生産量を下げずに掃除周期を17〜50%延長することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図2において、10は前記の混合吐出ヘッドであり、シリンダー11と吐出ノズル16とで構成されている。上半部のシリンダー11において、12は上底、13は下底、15aおよび15bは作動油用配管であり、内側にピストン14(図1参照)および注入ロッド14aを前記同様に備えている。また、下半部の吐出ノズル16は、大径の基部16aと小径の先端部16bとからなり、上記の基部16aに第1ノズル17および第2ノズル18が取付けられ、第1ノズル17に第1液供給配管19が、また第2ノズル18に第2液供給配管20がそれぞれ接続され、第1ノズル17から供給された第1液および第2ノズル18から供給された第2液が吐出ノズル16内で衝突して混合され、小径の先端部16bの下端から吐出される。
【0014】
図2および図3において、上記吐出ノズル16の先端部16bに取付けられる水受け皿21は、ドーナツ形の孔開き円板であり、その中心孔は上記吐出ノズル16の先端部16bが嵌合する大きさに形成されており、この中心孔の縁から下向きに突出する円筒状の基部21aおよび外周から上向きに突出する円筒状の縁部21bを備え、上記の基部21aを吐出ノズル16の先端部16bに嵌合し、止めネジ22を回すことより、吐出ノズル16の先端部16bに固定される。
【0015】
上記の水受け皿21の上に該水受け皿21とほぼ同形のドーナツ形の吸水性シート23が重ねられ、その上に上記円筒状の縁部21bよりも径が小さく、背が高い円筒状の筒状カバー24が置かれる。この筒状カバー24には冷風吹込み用の窓または切込み24aが設けられている。そして、上記筒状カバー24の側方に冷風吹込み手段25が設置され、その冷風出口25aが上記筒状カバー24の切込み24aに向けられる。
【0016】
上記の構造において、イソシアネートを第1液供給配管19から第1ノズル17に、ポリオールを第2液供給配管20から第2ノズル18にそれぞれ高圧で供給すると、吐出ノズル16の内側で上記のイソシーネートおよびポリオールが衝突して混合され、ポリウレタンとなって吐出ノズル16の下端から吐出され、その下方で水平に走行するサイディングボード用金属板(図1の成形型A参照)上に注型され、得られた発泡層の表面に紙が貼付けられ、厚みを均一に均されて加熱炉に送られて製品のサイディングボードとなる。
【0017】
一方、冷風吹込み手段25から冷風を吐出ノズル16と筒状カバー24との間に吹き込んで吐出ノズル16を15〜20℃に冷却すると、吐出ノズル16の先端部16b内面に付着した液状ポリウレタンの固化によるスケール化が抑制され、そのためスケール除去のための掃除周期が延長される。したがって、上記スケールが上記成形型A内の発泡成形品に落下、混入する回数が減少し、それだけ不良品の発生率が低下する。また、冷風の吹込みで吐出ノズル16や筒状カバー24の表面に結露により生じた水滴は、水受け皿21上の吸水性シート23に吸収され、水滴の落下や飛散が防止される。そして、吸収性シート23の交換は、筒状カバー24の着脱により、容易に行うことができる。
【0018】
【実施例】
薄い鉄板上にポリウレタン発泡層と紙を積層してなるサイデイングボードの連続生産工程に図2および図3に示す混合吐出ヘッド10を設置し、イソシアネートおよびポリオールを圧力130 kgf/cm2 で混合して上記の鉄板(走行速度25m/分)上に注入し、厚さ15mmの発泡層を成形した。冷風吹込み手段25として、圧縮空気の断熱膨張を利用した超低温小型クーラー(米国ボルテック社製「ボルテックスクーラー,モデル116,冷却量:116Kcal/H」)を用いて冷風を筒状カバー24の内側に吹込み、吐出ノズル16の先端部16bの表面温度による吐出ノズル16内面の掃除周期および不良製品の長さを比較した。
【0019】
室温が40℃の夏期において、吐出ノズル16を上記の超低温小型クーラーで冷却した場合、上記吐出ノズル16の表面温度は20℃、掃除周期は30分/サイクル、発生した不良品の長さは60m/日であった。これに対して同じ夏期において、上記のクーラーを使用しない場合、上記吐出ノズル16の表面温度は30℃、掃除周期は20〜25分/サイクル、発生した不良品の長さは70〜90m/日であった。すなわち、冷却により、掃除周期は1.2〜1.5倍に延長され、不良品の長さは67〜86%に減少した。
【0020】
また、夏期以外で室温が25℃の場合、吐出ノズル16を上記の超低温小型クーラーで冷却した場合、上記吐出ノズル16の表面温度は15℃、掃除周期は35〜40分/サイクル、発生した不良品の長さは45〜52m/日であった。これに対して同じ室温の夏期以外において、上記のクーラーを使用しない場合、上記吐出ノズル16の表面温度は25℃、掃除周期は30分/サイクル、発生した不良品の長さは60m/日であった。すなわち、冷却により、掃除周期は1.2〜1.3倍に延長され、不良品の長さは75〜87%に減少した。
【0021】
【発明の効果】
上記のとおり、この発明によれば、混合吐出ヘッドの内部を改造することなく、その外側に冷風吹込み装置という簡単な装置を付加することで吐出ノズルを効果的に冷却することができ、そのため吐出ノズル内側の吐出通路に付着した混合液の固化を抑制して上記吐出通路の掃除周期を延長し、かつ不良品の発生率を低下させることができ、更に上記の冷却で吐出ノズルの外面に生じた水滴の落下を防ぐことができるため、水滴混入による不良品の発生もない。特に請求項2に記載の発明によれば、水受け皿や筒状カバーの掃除、および吸水性シートの取り替えが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来装置の縦断面図である。
【図2】実施形態の一部を破断した正面図である。
【図3】図2のX−X線断面図である。
【符号の説明】
10:混合吐出ヘッド
11:シリンダー
14:ピストン
14a:注入ロッド
15a、15b:作動油用配管
16:吐出ノズル
16a:基部
16b:先端部
16c:吐出通路
17:第1ノズル
18:第2ノズル
19:第1液供給配管
20:第2液供給配管
A:成形型(サイディングボード用金属板)
B:発泡層
Ba:スケール
21:水受け皿
21a:基部
21b:縁部
22:止めネジ
23:吸水性シート
24:筒状カバー
24a:切込み
25:冷風吹込み手段
Claims (2)
- 混合すべき2液を下向き吐出ノズルの吐出通路に対して個別に供給し、この2液を吐出通路内で衝突させて混合しながら吐出ノズル先端から下向きに吐出、注型するようにした樹脂の混合吐出ヘッドにおいて、上記吐出ノズルの先端部を囲む筒状カバーおよび該筒状カバーの内側空間に冷風を吹き込むための冷風吹込み手段を設け、かつ吐出ノズルの先端部および筒状カバーに付着し落下する水滴を受けるための水受け皿を上記吐出ノズルの下端に固定したことを特徴とする樹脂の混合吐出ヘッド。
- 水受け皿が吐出ノズルの下端に着脱自在に取付けられ、この水受け皿上に吸水性シートを介して筒状カバーが置かれた請求項1記載の樹脂の混合吐出ヘッド。
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