JP4158762B2 - 改ざん検出閾値決定システム,評価対象データ作成装置,閾値決定装置,評価対象データ作成方法,閾値決定方法 - Google Patents

改ざん検出閾値決定システム,評価対象データ作成装置,閾値決定装置,評価対象データ作成方法,閾値決定方法 Download PDF

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本発明は,印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定する改ざん検出閾値決定システム,評価対象データ作成装置,閾値決定装置,評価対象データ作成方法および閾値決定方法に関する。
紙媒体に印刷された文書に対して,その文書が改ざんされているか否かを判別できる装置が必要となっている。改ざんの有無を判別できる装置としては,以下のような技術が知られている。
[1]特開2000−232573「印刷装置,印刷方法及び記録媒体」
少なくとも帳票を含む印刷物に印字データを印刷する際に,上記印字データの他に,上記印字データに対応した電子透かしを印刷することにより,その印刷物を見ただけで印刷したファイルを忠実に複製できるようにすると共に,印刷物に印刷してある電子透かし情報から,印刷結果が改ざんされているか否かを判別できるようにする。改ざんの判定は印刷結果と電子透かしで印字されたものを比較することによって行う。
上記装置によれば,改ざんの判別は電子透かしから取り出した印字内容と,紙面に印刷されている印字内容を目視によって比較しなければならず,人為的なミスにより改ざんを見逃す可能性がある。そこで,改ざんの有無を目視ではなく自動で判別する方法が必要となる。自動で判別するためには,元の文書の特徴量と印刷後の文書の特徴量とを利用し,その特徴量の差の程度によって改ざんの有無を判別する方法が考えられる。具体的には,改ざん有無を判別するための閾値を設定し,上記の特徴量の差と閾値とを比較することによって自動で改ざん有無を判別することが可能となる。
特開2000−232573号公報
しかし,上記の特徴量を用いて改ざん有無判定を自動で行う場合には,閾値を適切な値に設定しなければならないという問題がある。特に,印刷された文書をスキャナなどの入力装置によって再びコンピュータに入力した場合には,印刷書類の汚れや入力の際に発生する回転などの画像変形が原因で入力画像に多くの雑音成分が含まれる。そのため,元の文書の特徴量と入力画像の特徴量との差が大きくなり,設定された閾値によっては,改ざんされていない文書を改ざんされていると判定してしまう改ざん誤検出が発生する可能性がある。一方で,改ざん誤検出を防止できるような値を閾値として設定すると,改ざんされている文書を改ざんされていないと判定してしまう改ざん見逃しが発生する可能性がある。
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,印刷前の画像の特徴量と印刷後の画像の特徴量とを用いて改ざん有無判定を自動で行うために,適切な値の閾値を決定することが可能な改ざん検出閾値決定システム,評価対象データ作成装置,閾値決定装置,評価対象データ作成方法,閾値決定方法を提供することにある。
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定する改ざん検出閾値決定システムであって:印刷可能な元画像の任意の領域の画像特定情報と,該領域の位置情報と,を関連づけた領域情報を複数記憶する領域記憶部と;前記元画像の4つの角部のうち少なくとも対向する2つの角部にマークを挿入するマーク挿入部と;前記マークが挿入された元画像を出力する画像出力部と;前記出力された元画像が印刷された印刷物を読み取り,読み取り画像を作成する読み取り部と;前記読み取り画像から前記マークが挿入されている位置情報を検出するマーク検出部と;前記元画像の任意の領域の位置情報および前記マークの位置情報に基づいて,前記読み取り画像における,前記元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を算出する位置情報算出部と;前記元画像の任意の領域の位置情報に基づいて前記元画像から前記任意の領域の画像を切り出し,かつ,前記読み取り画像から前記算出された位置情報に対応する領域の画像を切り出す画像切り出し部と;前記切り出された一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを出力する評価対象データ出力部と;前記評価対象データに含まれる前記各画像の画像特定情報から,前記一組の画像に含まれる前記画像特定情報が同一であるか否かを判断し,判断結果と前記一組の画像とに基づいて前記閾値を決定する閾値決定部と;を備えることを特徴とする,改ざん検出閾値決定システムが提供される。
上記発明によれば,マーク挿入部によって元画像の4つの角部のうち少なくとも対向する2つの角部にマークが挿入されるため,印刷物の読み取り画像からマーク検出部によってそのマークが検出されれば,読み取り画像における元画像部分の位置情報を得ることができる。その位置情報を利用することによって,位置情報算出部は元画像の任意の領域に対応する読み取り画像上の領域の位置情報を算出することができる。従って,印刷物に元画像以外の部分,例えば余白や,その他の画像などが含まれている場合でも,元画像に対応する読み取り画像上の位置情報を取得することが可能となる。なおマークは,印刷後に元画像の周りに余白ができても,または他の画像が同一印刷物中に含まれていても,印刷物の中でどの部分が元画像であるかがわかれば,罫線や電子透かしなど何でも良い。
また,画像切り出し部は,位置情報算出部によって算出された位置情報に基づいて,元画像のいずれかの任意の領域に対応する読み取り画像上の領域の画像を切り出すことができる。画像切り出し部はまた,元画像からも任意の領域の画像を切り出す。元画像から切り出された画像に含まれる画像特定情報は,領域記憶部に記憶されている領域情報に基づいて特定することができる。また,読み取り画像から切り出された画像に含まれる画像特定情報も,対応する元画像の領域に基づいて,領域記憶部に記憶されている領域情報から特定することができる。従って,評価対象データ出力部は,一対の画像と,各画像の特定情報とを取得することが可能である。評価対象データに含まれる一対の画像は,同様に評価対象データに含まれている各画像の画像特定情報によって,同一の画像特定情報を含む画像同士であるのか,相違する画像特定情報を含む画像同士であるのかが判別可能である。従って,閾値決定部は,同様の画像同士であるのか,相違する画像同士であるのかが予めわかっている一組の画像を用いて,画像の改ざん有無を判定するための閾値を決定することができる。
上記構成によれば,ひとつの元画像から,改ざんの有無が予めわかった複数の評価対象データを作成することができる。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定する改ざん検出閾値決定システムであって:印刷可能な元画像の任意の領域の画像特定情報と,該領域の位置情報とを関連づけた領域情報を複数記憶する領域記憶部と;前記位置情報に含まれる座標によって特定される点と関連づけて前記座標の情報を前記元画像に埋め込む座標情報埋め込み部と;前記座標情報が埋め込まれた元画像を出力する画像出力部と;前記出力された元画像が印刷された印刷物を読み取り,読み取り画像を作成する読み取り部と;前記読み取り画像から,前記埋め込まれている座標情報を抽出する座標情報抽出部と;前記元画像の任意の領域の位置情報および前記抽出された座標情報に基づいて,前記読み取り画像における,前記元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を取得する位置情報取得部と;前記元画像の任意の領域の位置情報に基づいて前記元画像から前記任意の領域の画像を切り出し,かつ,前記読み取り画像から前記取得された位置情報に対応する領域の画像を切り出す画像切り出し部と;前記切り出された一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを出力する評価対象データ出力部と;前記評価対象データに含まれる前記各画像の画像特定情報から,前記一組の画像に含まれる前記画像特定情報が同一であるか否かを判断し,判断結果と前記一組の画像とに基づいて前記閾値を決定する閾値決定部と;を備えることを特徴とする,改ざん検出閾値決定システムが提供される。
上記発明によれば,座標情報埋め込み部によって,元画像の任意の領域を特定する座標をもつ元画像上の点と関連付けられて,その座標の情報が埋め込まれる。そのため,印刷物の読み取り画像から座標情報抽出部によってその座標情報が抽出されれば,位置情報取得部は,その座標情報が抽出された読み取り画像上の点の,読み取り画像における座標を取得することによって,読み取り画像における,元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を取得することができる。従って,印刷物に元画像以外の部分,例えば余白や,その他の画像などが含まれている場合でも,また,読み取り画像中の元画像に回転,変形,歪みなどがあっても,元画像に対応する読み取り画像上の位置情報を取得することが可能となる。なお,座標情報は電子透かしとして埋め込まれても良い。
また,画像切り出し部は,位置情報取得部によって取得された位置情報に基づいて,元画像のいずれかの任意の領域に対応する読み取り画像上の領域の画像を切り出すことができる。画像切り出し部はまた,元画像からも任意の領域の画像を切り出す。元画像から切り出された画像に含まれる画像特定情報は,領域記憶部に記憶されている領域情報に基づいて特定することができる。また,読み取り画像から切り出された画像に含まれる画像特定情報も,対応する元画像の領域に基づいて,領域記憶部に記憶されている領域情報から特定することができる。従って,評価対象データ出力部は,一対の画像と,各画像の画像特定情報とを取得することが可能である。評価対象データに含まれる一対の画像は,同様に評価対象データに含まれている各画像の画像特定情報によって,同一の画像特定情報を含む画像同士であるのか,相違する画像特定情報を含む画像同士であるのかが判別可能である。従って,閾値決定部は,同様の画像同士であるのか,相違する画像同士であるのかが予めわかっている一組の画像を用いて,画像の改ざん有無を判定するための閾値を決定することができる。
上記構成によれば,ひとつの元画像から,改ざんの有無が予めわかった複数の評価対象データを作成することができる。
上記改ざん検出閾値決定システムは,前記画像切り出し部によって前記読み取り画像から切り出された画像を,前記元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報によって特定される前記読み取り画像上の領域であって,かつ,前記切り出された画像の切り出し元とは異なる任意の領域に貼り付けて改ざん画像を作成する改ざん画像作成部と;前記貼り付け先の領域の位置情報を記憶する改ざん領域記憶部と;をさらに備えていてもよい。かかる構成によれば,元画像の任意の領域から切り出した画像と,その任意の領域に対応する読み取り画像上の領域から切り出した画像とは,相違する画像であることが予めわかる。従って,ひとつの元画像から,改ざんされた領域が予めわかった改ざん画像を自動で作成することができる。
上記改ざん検出閾値決定システムは,前記評価対象データに含まれる前記一組の画像の各々の特徴量を計測する特徴量計測部と;前記計測された各画像の特徴量の差分値を求める特徴量差分算出部と;前記評価対象データに含まれる前記各画像の画像特定情報に基づいて,前記一組の画像の画像特定情報が同一である第1グループ,または同一でない第2グループのいずれかに対応付けて複数の前記差分値を記憶する集計対象データ記憶部と;前記集計対象データ記憶部の記憶内容に基づいて,前記第1グループに対応付けられた前記差分値の度数分布及び/又は前記第2グループに対応付けられた前記差分値の度数分布を作成する集計部と;を備え,前記閾値決定部は,どちらか一方または双方の前記度数分布に基づいて前記閾値を決定するように構成されてもよい。
かかる構成によれば,閾値決定部は,含まれる画像特定情報が同一である場合の特徴量の差分値の度数分布,および/または含まれる画像特定情報が相違する場合の特徴量の差分値の度数分布に基づいて閾値を決定する。そのため,例えば,画像特定情報が同一である場合の特徴量の差分が頻繁にとる値によっては改ざん有りと判定されないよう,その値よりも大きい値を閾値に決定することができる。また,例えば,画像特定情報が相違する場合の特徴量の差分が頻繁にとる値によっては改ざん無しと判定されないよう,その値よりも小さい値を閾値に決定することができる。
また,上記特徴量計測部は,各画像に対して,ある特定の形状に強く反応する特徴抽出フィルタを1つ以上施して出力される値を,特徴量として計測してもよい。
上記改ざん検出閾値決定システムは,パラメータを入力するパラメータ入力部を備え,前記閾値決定部はさらに前記パラメータに基づいて前記閾値を決定するように構成されてもよい。かかる構成によれば,ユーザはパラメータを入力することによって閾値を変更することができる。
上記パラメータは,改ざん誤検出率,改ざん見逃し率,または改ざん有りと判定させる確率の高低であってもよい。かかる構成によれば,改ざんの検出対象物によって,閾値を変更することができる。例えば,改ざんの見逃しがあっては困るような場合には,ユーザは改ざん有りと判定させる確率が高くなるようなパラメータを入力すればよい。
上記改ざん検出閾値決定システムは,前記元画像,前記改ざん画像および前記閾値に基づいて,前記改ざん画像から1または2以上の改ざん領域を検出する改ざん領域検出部と;前記改ざん領域検出部によって検出された前記1または2以上の改ざん領域の位置情報と,前記貼り付け先の領域の位置情報とを比較し,比較結果に基づいて前記改ざん領域検出部による改ざん有無検出の精度を求める精度評価部と;を備えていてもよい。かかる構成によれば,閾値決定部により決定された閾値が適切であるか等を評価することができる。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定するための評価対象データを作成する評価対象データ作成装置であって:印刷可能な元画像の任意の領域の画像特定情報と,該領域の位置情報と,を関連づけた領域情報を複数記憶する領域記憶部と;前記元画像の4つの角部のうち少なくとも対向する2つの角部にマークを挿入するマーク挿入部と;前記マークが挿入された元画像を出力する画像出力部と;前記出力された元画像が印刷された印刷物を読み取り,読み取り画像を作成する読み取り部と;前記読み取り画像から前記マークが挿入されている位置情報を検出するマーク検出部と;前記元画像の任意の領域の位置情報および前記マークの位置情報に基づいて,前記読み取り画像における,前記元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を算出する位置情報算出部と;前記元画像の任意の領域の位置情報に基づいて前記元画像から前記任意の領域の画像を切り出し,かつ,前記読み取り画像から前記算出された位置情報に対応する領域の画像を切り出す画像切り出し部と;前記切り出された一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを出力する評価対象データ出力部と;を備えることを特徴とする,評価対象データ作成装置が提供される。
上記発明によれば,ひとつの元画像から,改ざんの有無が予めわかった複数の評価対象データを作成することができる。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定するための評価対象データを作成する評価対象データ作成装置であって:印刷可能な元画像の任意の領域の画像特定情報と,該領域の位置情報と,を関連づけた領域情報を複数記憶する領域記憶部と;前記位置情報に含まれる座標によって特定される点と関連づけて前記座標の情報を前記元画像に埋め込む座標情報埋め込み部と;前記座標情報が埋め込まれた元画像を出力する画像出力部と;前記出力された元画像が印刷された印刷物を読み取り,読み取り画像を作成する読み取り部と;前記読み取り画像から,前記埋め込まれている座標情報を抽出する座標情報抽出部と;前記元画像の任意の領域の位置情報および前記抽出された座標情報に基づいて,前記読み取り画像における,前記元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を取得する位置情報取得部と;前記元画像の任意の領域の位置情報に基づいて前記元画像から前記任意の領域の画像を切り出し,かつ,前記読み取り画像から前記取得された位置情報に対応する領域の画像を切り出す画像切り出し部と;前記切り出された一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを出力する評価対象データ出力部と;を備えることを特徴とする,評価対象データ作成装置が提供される。
上記発明によれば,ひとつの元画像から,改ざんの有無が予めわかった複数の評価対象データを作成することができる。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定する閾値決定装置であって:一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを入力する評価対象データ入力部と;入力された前記一組の画像の各々の特徴量を計測する特徴量計測部と;前記計測された各画像の特徴量の差分値を求める特徴量差分算出部と;前記評価対象データに含まれる前記各画像の画像特定情報に基づいて,前記一組の画像の画像特定情報が同一である第1グループ,または同一でない第2グループのいずれかに対応付けて複数の前記差分値を記憶する集計対象データ記憶部と;前記集計対象データ記憶部の記憶内容に基づいて,前記第1グループに対応付けられた前記差分値の度数分布及び/又は前記第2グループに対応付けられた前記差分値の度数分布を作成する集計部と;どちらか一方または双方の前記度数分布に基づいて前記閾値を決定する閾値決定部と;を備えることを特徴とする,閾値決定装置が提供される。
上記発明によれば,含まれる画像特定情報が同一である場合の特徴量の差分値の度数分布,および/または含まれる画像特定情報が相違する場合の特徴量の差分値の度数分布に基づいて閾値を決定する。そのため,例えば,画像特定情報が同一である場合の特徴量の差分が頻繁にとる値によっては改ざん有りと判定されないよう,その値よりも大きい値を閾値に決定することができる。また,例えば,画像特定情報が相違する場合の特徴量の差分が頻繁にとる値によっては改ざん無しと判定されないよう,その値よりも小さい値を閾値に決定することができる。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定するための評価対象データを作成する評価対象データ作成方法であって:印刷可能な元画像の任意の領域の画像特定情報と,該領域の位置情報と,を関連づけた領域情報を記憶部に複数記憶する領域記憶ステップと;前記元画像の4つの角部のうち少なくとも対向する2つの角部にマークを挿入するマーク挿入ステップと;前記マークが挿入された元画像を出力する画像出力ステップと;前記出力された元画像が印刷された印刷物を読み取り,読み取り画像を作成する読み取りステップと;前記読み取り画像から前記マークが挿入されている位置情報を検出するマーク検出ステップと;前記元画像の任意の領域の位置情報および前記マークの位置情報に基づいて,前記読み取り画像における,前記元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を算出する位置情報算出ステップと;前記元画像の任意の領域の位置情報に基づいて前記元画像から前記任意の領域の画像を切り出し,かつ,前記読み取り画像から前記算出された位置情報に対応する領域の画像を切り出す画像切り出しステップと;前記切り出された一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを出力する評価対象データ出力ステップと;を含むことを特徴とする,評価対象データ作成方法が提供される。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定するための評価対象データを作成する評価対象データ作成方法であって:印刷可能な元画像の任意の領域の画像特定情報と,該領域の位置情報と,を関連づけた領域情報を記憶部に複数記憶する領域記憶ステップと;前記位置情報に含まれる座標によって特定される点と関連づけて前記座標の情報を前記元画像に埋め込む座標情報埋め込みステップと;前記座標情報が埋め込まれた元画像を出力する画像出力ステップと;前記出力された元画像が印刷された印刷物を読み取り,読み取り画像を作成する読み取りステップと;前記読み取り画像から,前記埋め込まれている座標情報を抽出する座標情報抽出ステップと;前記元画像の任意の領域の位置情報および前記抽出された座標情報に基づいて,前記読み取り画像における,前記元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を取得する位置情報取得ステップと;前記元画像の任意の領域の位置情報に基づいて前記元画像から前記任意の領域の画像を切り出し,かつ,前記読み取り画像から前記取得された位置情報に対応する領域の画像を切り出す画像切り出しステップと;前記切り出された一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを出力する評価対象データ出力ステップと;を含むことを特徴とする,評価対象データ作成方法が提供される。
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定する閾値決定方法であって:一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを入力する評価対象データ入力ステップと;入力された前記一組の画像の各々の特徴量を計測する特徴量計測ステップと;前記計測された各画像の特徴量の差分値を求める特徴量差分算出ステップと;前記評価対象データに含まれる前記各画像の画像特定情報に基づいて,前記一組の画像の画像特定情報が同一である第1グループ,または同一でない第2グループのいずれかに対応付けて複数の前記差分値を記憶部に記憶する集計対象データ記憶ステップと;前記集計対象データ記憶部の記憶内容に基づいて,前記第1グループに対応付けられた前記差分値の度数分布及び/又は前記第2グループに対応付けられた前記差分値の度数分布を作成する集計ステップと;どちらか一方または双方の前記度数分布に基づいて前記閾値を決定する閾値決定ステップと;を含むことを特徴とする,閾値決定方法が提供される。
以上説明したように本発明によれば,印刷前の画像の特徴量と印刷後の画像の特徴量とを用いて改ざん有無判定を自動で行うために,適切な値の閾値を決定することが可能な改ざん検出閾値決定システム,評価対象データ作成装置,閾値決定装置,評価対象データ作成方法,閾値決定方法を提供できるものである。
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本実施形態にかかる改ざん閾値決定システムは,印刷前の画像の特徴量と印刷後の画像の特徴量を用いて印刷後の画像が改ざんされているか否かを検出する装置やプログラム等によって,改ざん有無の判定に用いられる閾値を決定するためのシステムである。具体的には,改ざんの検出を行う装置やプログラム(以後,改ざん検出装置等と称する。)が,両画像の特徴量の差が,本システムによって決定された閾値よりも小さければ改ざん無しと判定し,閾値よりも大きければ改ざん有りと判定した場合にその改ざん有無の判定がより正確になるような適切な閾値を決定するためのシステムである。
本実施形態にかかる改ざん検出閾値決定システムは,印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定する閾値決定装置20と,閾値を決定するための評価対象データを作成する評価対象データ作成装置10と,決定した閾値によって改ざん検出精度を評価する評価装置30と,を備える。評価対象データ作成装置10によって作成された評価対象データを用いて閾値決定装置20が閾値を決定し,閾値決定装置によって決定された閾値を用いて上記の改ざん検出装置等に改ざん検出を行わせ,その精度評価を精度評価装置30が行う。
適切な閾値を決定するためには,複数の印刷前の画像と,その画像を印刷した画像,またはその画像を印刷して改ざんを加えた画像を用いて,閾値を適宜変更しながらそれらの改ざん検出を行い,検出結果がより正確である閾値を探し出す必要がある。従来は,複数の印刷前の画像から,その画像を印刷した画像,およびその画像を印刷して改ざんを加えた画像を手動で作成し,閾値を手動で適宜変更しながら最適な閾値を探し出す必要があった。本実施形態に係る改ざん検出閾値決定システムによれば,評価対象データ作成装置10が,複数の印刷前の画像からその画像を印刷した画像,またはその画像を印刷して改ざんを加えた画像を作成し,閾値決定装置20が最適閾値を自動で決定することによって,閾値の決定を容易かつ迅速に行えるようにした。
なお,本実施形態では上記の通り評価対象データ作成装置10,閾値決定装置20および精度評価装置30から改ざん検出閾値決定システムが構成されているが,各装置の後述する各機能をひとつの装置が備えることによって,ひとつの装置で本システムが構成されてもよい。また,各装置の後述する各機能を上記3つの装置以外の複数の装置に分散させ,複数の装置から本システムが構成されていても構わない。
以下,本実施形態にかかる改ざん検出閾値決定システムについて詳細に説明する。まず,図1,2および3に基づいて,改ざん検出閾値決定システムが備える各装置の機能構成について説明する。
図1は,評価対象データ作成装置10の機能構成を示すブロック図である。評価対象データ作成装置10は,例えば,テストチャート生成部102と,マーク挿入部104と,印刷出力部106と,読み取り部108と,マーク検出部112と,位置情報算出部114と,画像切り出し部116と,評価対象データ出力部118と,領域記憶部120と,読み取り画像領域記憶部122と,改ざん画像作成部124と,改ざん領域記憶部126などを備える。
テストチャート生成部102は,評価対象データの元となる元画像の一例であるテストチャート画像を作成し,テストチャート画像の任意の領域に関する情報を領域情報として領域記憶部120に記憶させる機能を有する。具体的には,評価対象データ作成装置10に備えられるキーボード等の入力手段からユーザによって入力された文字や記号のテキストデータを取得し,それら複数のテキストデータを含む文書を画像変換して文書画像であるテストチャート画像を作成する。なお,評価対象データ作成装置10は,ユーザ等に指定された種類やサイズのフォントのテキストデータで文書画像を生成してもよい。テストチャート生成部102は,生成したテストチャート画像の任意の領域の画像特定情報と,その領域の位置情報とを関連付けて領域記憶部120に記憶させる。本実施形態では,画像特定情報の一例として上述のテキストデータを用いる。つまり,テストチャート生成部102によって,任意の領域に含まれる文字や記号等のテキストデータと,その領域の位置情報を示す座標とが関連付けられ,領域記憶部120に記憶される。
マーク挿入部104は,テストチャート画像の4つの角部のうち少なくとも対向する2つの角部にマークを挿入する機能を有する。本実施形態では,マークは電子透かしであり,マーク挿入部104はテストチャート画像の4つの角部を含めた全領域に上記電子透かしを埋め込む。マークは,テストチャート画像が印刷された場合に,印刷物の中からテストチャート画像部分を特定できるものであれば,テストチャート画像の外枠を囲む罫線等何でもよい。また,マークが電子透かしである場合でも,本実施形態のようにテストチャート画像の全領域に埋め込むのではなく,4つの角部のうち少なくとも対向する2つの角部にのみ埋め込んでも構わない。本実施形態ではマーク挿入部102がテストチャート画像の全領域に電子透かしを埋め込み,テストチャート画像が印刷された印刷物をスキャナ等で読み取って作成された読み取り画像から後述のマーク検出部112が電子透かしが埋め込まれている領域を検出することによって,印刷物の中からテストチャート画像部分を特定することができる。
マーク挿入部104がテストチャート画像に電子透かしを埋め込み,マーク検出部112が読み取り画像から電子透かしが埋め込まれた領域を検出するためには,例えば以下のような電子透かし技術を用いることができる。なお,本実施形態では,電子透かしは印刷物におけるテストチャート画像部分の検出に用いられるだけであるので,電子透かしとしてテストチャート画像に埋め込む情報は何でもよい。
例えば,特開2003−209676号公報「電子透かし埋め込み装置,電子透かし検出装置,電子透かし埋め込み方法,及び,電子透かし検出方法」に示されているように,該電子透かし技術は,任意のドットパターンを用紙に埋め込み,目視を目的とする物理的な情報以外に電子透かしとして情報を伝達する技術である。
また,電子透かし技術は,用紙に任意の情報を埋め込めるだけでなく,埋め込まれる小さな独自のパターン自体がそのパターン同士の位置関係または用紙に対する位置関係を示し,スキャナ等によって画像が読み取られた後の画像を補正するための基準として利用される。
図26は,電子透かしに埋め込む任意のパターンを説明するための説明図である。図26を参照すると,かかる電子透かしによる画像は,複数の小さなドットで構成されたN個のユニットパターンの集合として表される。この各ユニットパターンが0〜N−1の数値に対応し,例えば,ユニットパターン902は数値0を表し,ユニットパターン904は数値1を表す。上記ユニットパターンは,白黒やカラーで表すことができる。
図27は,電子透かしによって印刷された画像(用紙)を説明するための外観図である。図27の用紙全体を参照すると,上記電子透かしによる画像には,その役割に応じて,メイン領域910,属性情報領域912,境界情報領域914に分けることができる。メイン領域910は,情報を埋め込むための主たる領域である。属性情報領域912は,電子透かしを埋め込む領域の大きさやメイン領域910における情報の符号化方法など,メイン領域910に埋め込まれた情報を読み取るために必要な情報が格納されている。境界情報領域914は,予め定められた特定のユニットパターンが印刷されており,読み取り側はこの領域によって電子透かしの境界を識別することができる。
スキャナ等の読み取り側では,このようにして印刷された用紙(以下,単に電子透かし用紙という。)をスキャニングし,用紙中に埋め込まれた個々のユニットパターンを検出する。この検出は,テンプレートマッチングや,任意の方向性や形状に対するフィルタ特性を持つ2次元フィルタ(例えば2次元ガボールフィルタ)等を利用して行われる。
また,上記用紙に電子透かしを埋め込む際,上記境界情報領域914やメイン領域910の特定位置に,特定のユニットパターンを規則正しく配置する。これによって,用紙を読み取る側では,これら位置検出用のユニットパターンを抽出し,この位置情報に基づいて補正を行うことができる。従って,スキャニングしたデータに変位や回転によるズレまたはしわによる偏りがあったとしても,煩わしい手動による補正を行うことなく,元の画像を復元することができる。
また,印刷時やスキャニング時などに,このユニットパターンの一部が例えばインクなどで汚され,検知できなくなる可能性が生じる。そこでメイン領域910においては埋め込む情報を複数箇所に分散して配置したり,上記特開2003−209676号公報にあるように誤り耐性符号(パリティチェック符号,ハミング符号,BCH符号など)で埋め込んだりして,例え,ユニットパターンの一部が欠けていたとしても情報の復元が可能なように構成されている。
図1に戻り,評価対象データ作成装置10の機能構成の説明を続ける。印刷出力部106は,電子透かしが埋め込まれたテストチャート画像を印刷する機能を有する。印刷出力部106は画像出力部の一例である。なお,画像出力部は,本実施形態のようにテストチャート画像を印刷してもよいし,電子データとしてCD(Compact Disk)やフレキシブルディスク等の外部記録媒体に出力してもよい。またはLAN(Local Area Network)等の通信網を介して通信接続された外部のコンピュータに電子データを送信しても構わない。
読み取り部108は,テストチャート画像が印刷された印刷物を読み取り,読み取り画像を作成する機能を有する。具体的には,スキャナ等の読み取り手段を介して印刷物を読み取り,読み取られたデータに基づいて読み取り画像を作成する。なお,テストチャート画像が印刷された印刷物には,テストチャート画像部分の他に余白部分が含まれている場合があるが,読み取り部108によって作成される読み取り画像には,そのような余白部分も含まれている。また,読み取り時にテストチャート画像が縮小される場合もある。
マーク検出部112は,読み取り画像からマークが挿入されている位置情報を検出する機能を有する。具体的には,読み取り画像に埋め込まれている電子透かしの境界を,上記境界情報領域を利用するなどして識別する。そして,その境界によって区分される領域,すなわち電子透かしが埋め込まれている領域(以後,透かし領域とも称する。)の,読み取り画像における位置情報を,例えばその領域の開始位置の座標と終了位置の座標とを取得することによって検出する。本実施形態では,テストチャート画像の全領域に電子透かしが埋め込まれているため,印刷前のテストチャート画像における透かし領域の開始位置の座標は(0,0)である。読み取り画像では,上述のように余白部分が含まれる場合があるため,透かし領域の開始位置は(0,0)であるとは限らない。
位置情報算出部114は,テストチャート画像の任意の領域の位置情報およびマークの位置情報に基づいて,読み取り画像における,テストチャート画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を算出する機能を有する。具体的には位置情報算出部114は,領域記憶部120に記憶されている領域情報を取得し,その領域情報に含まれる座標と,マーク検出部112によって検出された透かし領域を特定する座標とに基づいて,領域情報に含まれる座標によって特定される印刷前のテストチャート画像上の領域に対応する読み取り画像上の領域を特定する座標を求める。テストチャート画像上の領域に対応する読み取り画像上の領域を取得する際に,テストチャート画像上の領域を特定する座標をそのまま利用すると,上述のように読み取り画像に余白部分が含まれている場合にはテストチャート画像の開始位置がずれるため,異なる領域を取得してしまう。そこで,透かし領域の位置情報を用いて算出することによって,余白部分により上記開始位置がずれた場合でも対応する領域を取得することが可能となる。
また,位置情報算出部114は,印刷前のテストチャート画像と読み取り画像におけるテストチャート画像のサイズの違いを考慮して位置情報を算出してもよい。テストチャート画像の開始位置(0,0)と終了位置の組み合わせ,またはテストチャート画像のサイズを,例えばテストチャート生成部102が領域記憶部や他の記憶部に記憶させることによって,またはマーク挿入部がテストチャート画像に上記情報(開始位置と終了位置の組み合わせ又はサイズ)を埋め込むことによって,位置情報算出部114はテストチャート画像のサイズを取得することができる。位置情報算出部114は,マーク検出部112によって検出された透かし領域の位置情報によって透かし領域のサイズを取得することもできるため,印刷前のテストチャート画像のサイズと透かし領域のサイズとの比率を,位置情報の算出に用いることによって,印刷前のテストチャート画像と読み取り画像におけるテストチャート画像のサイズの違いを考慮して位置情報を算出することができる。
読み取り画像領域記憶部122には,位置情報算出部114によって算出された位置情報と,その位置情報によって特定される領域に含まれる画像特定情報(テキストデータ)とが関連付けられた読み取り画像領域情報が記憶されている。
画像切り出し部116は,テストチャート画像の任意の領域の位置情報に基づいてテストチャート画像からその任意の領域の画像を切り出し,かつ,位置情報算出部114によって算出された位置情報によって特定される領域の画像を読み取り画像から切り出す機能を有する。具体的には画像切り出し部116は,領域記憶部120から任意の領域情報を取得し,その領域情報に含まれる座標によって特定される領域の画像を切り出す(以後,元画像からの切り出し画像とも称する。)。また,読み取り画像領域記憶部122から任意の読み取り画像領域情報を取得し,その読み取り画像領域情報に含まれる座標によって特定される領域の画像を切り出す(以後,読み取り画像からの切り出し画像とも称する。)。本明細書において,座標によって特定される領域の画像を切り出すとは,テストチャート画像または読み取り画像から特定領域の画像を切り取って,またはコピーして,切り取りまたはコピーした画像をそのままで,またはサイズの変更や2値化を行うなどして,ひとつの画像とすることを意味する。従って,ひとつのテストチャート画像または読み取り画像から,複数の画像を作成することができる。なお,以後,マーク検出部112,位置情報算出部114および画像切り出し部116をまとめて評価画像生成部110とも称する。
評価対象データ出力部118は,画像切り出し部116によって切り出された一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを出力する機能を有する。具体的には評価対象データ出力部118は,画像切り出し部116から,元画像からの切り出し画像,および読み取り画像からの切り出し画像,並びに各画像に含まれている画像特定情報を取得し,それらを1セットでひとつの評価対象データとし,CD等の外部記録媒体に出力する。各画像に含まれる画像特定情報は,画像切り出し部116が自己が切り出した画像の領域と関連付けられて記憶されている画像特定情報を,領域記憶部120や読み取り画像領域記憶部122から検索することによって取得することができる。なお,評価対象データ出力部118は,上記のように外部記録媒体に評価対象データを出力するのではなく,評価対象データを用いて閾値の決定を行う閾値決定装置20に送信したり,評価対象データ作成装置10の内部または外部の閾値決定装置20が参照可能な記憶領域に記憶させてもよい。
改ざん画像作成部124は,改ざん画像を作成する機能を有する。具体的には,画像切り出し部116によって読み取り画像から切り出された画像を,テストチャート画像の任意の領域に対応する領域の位置情報によって特定される読み取り画像上の領域であって,かつ,切り出された画像の切り出し元とは異なる任意の領域に貼り付けて改ざん画像を作成する。すなわち,改ざん画像作成部124は,画像切り出し部116から,読み取り画像からの切り出し画像を取得し,取得した画像を,読み取り画像領域記憶部122に記憶されているいずれかの読み取り画像領域情報に含まれる座標によって特定される領域に貼り付ける。なお,貼り付けは,上記で画像切り出し部116から取得した切り出し画像の切り出し元の領域とは異なる領域に対して行われる。かかる処理により,貼り付け先の領域では,貼り付け前と貼り付け後で画像特定情報が異なり,従って,貼り付け先の領域ではテストチャート画像の対応領域に含まれる画像特定情報とは異なる画像特定情報が含まれることになる。改ざん画像作成部124は,上記の貼り付け処理後,貼り付け先の領域を特定する位置情報と,貼り付け前のその領域の画像特定情報と貼り付け後の同領域の画像特定情報とを,改ざん領域情報として改ざん領域記憶部126に記憶させる。なお,貼り付け先の領域を特定する位置情報のみを改ざん領域記憶部126に記憶させても構わない。また,改ざん領域情報を改ざん領域記憶部126に記憶させるのではなく,改ざん画像に電子透かしとして埋め込んでもよい。
以上,評価対象データ作成装置10の機能構成について説明した。次に,図2に基づいて,本実施形態にかかる閾値決定装置20の機能構成について説明する。
閾値決定装置20は,例えば,評価対象データ入力部202と,特徴量計測部204と,特徴量差分算出部206と,集計対象データ記憶部208と,集計部210と,閾値決定部212などを備える。
評価対象データ入力部202は,一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを入力する機能を有する。本実施形態では,評価対象データ作成装置10によって出力された評価対象データを,例えば評価対象データが記録されている外部記録媒体から読み込むことにより入力する。閾値決定装置20が評価対象データ作成装置10と通信接続されていれば,通信網を介して評価対象データを受信してもよい。または,評価対象データ作成装置10の内部または外部の記憶領域に記憶されている評価対象データを読み込んでも良い。なお,一組の画像と,各画像の画像特定情報は,評価対象データ作成装置10によって作成されたものでなくても構わない。
特徴量計測部204は,入力された一組の画像の各々の特徴量を計測する機能を有する。特徴量を計測する方法としては,各画像に対してガボールフィルタや公知のフィルタによるフィルタリング処理を行い,フィルタ出力の平均値を求めるなどすることによって各画像の特徴量を得る方法を適用することができる。また,画像を複数の領域に分割し,分割された領域ごとに特徴量を計測することによって,より詳細に特徴量を計測してもよい。また,フィルタリングによる特徴量計測以外にも,縮小画像の生成によるパターンマッチングを行い,その一致度を計測する方法も適用可能である。画像から計測される特徴量は,同一の画像ではほぼ同一の特徴量となる。ただし,同一の画像であっても,印刷前の画像と印刷物の読み取り画像とでは,プリンタやスキャナの性能などによっては読み込み画像に汚れ,インクの滲み,変形等が発生し,その結果,印刷前の画像の特徴量と読み込み画像の特徴量とが異なる場合がある。
特徴量差分算出部206は,特徴量計測部204によって計測された一組の画像の特徴量の差分値を求める機能を有する。また,特徴量差分算出部206は,特徴量計測部204によって特徴量を計測された一組の画像の各々に含まれる画像特定情報と,求めた差分値とを関連付けた集計対象データを,集計対象データ記憶部208に記憶させる。特徴量差分算出部206は,各画像に含まれる画像特定情報を,評価対象データ入力部202によって入力された評価対象データを参照することによって取得できる。特徴量差分算出部206は,評価対象データに含まれる各画像の画像特定情報が同一である場合,すなわち,その評価対象データに含まれる一組の画像が含んでいる画像特定情報が同一である場合と,異なる場合とで区別して集計対象データ記憶部208に上記集計対象データを記憶させる。従って,集計対象データ記憶部208には,一組の画像の画像特定情報が同一である第1グループ,または同一でない第2グループのいずれかに対応付けて複数の差分値が記憶されている。なお,特徴量差分算出部206は,上記のように第1グループと第2グループとに区別可能なように集計対象データを集計対象データ記憶部208に記憶させれば,各画像の画像特定情報は記憶させなくても構わない。
集計部210は,集計対象データ記憶部208に記憶されている集計対象データに基づいて,上記第1グループに対応付けられた差分値の度数分布,および上記第2グループに対応付けられた差分値の度数分布を作成する機能を有する。
閾値決定部212は,集計部210によって作成された度数分布のどちらか一方または双方に基づいて,改ざん検出有無の判定のための閾値を決定する機能を有する。印刷前の画像と印刷後の読み取り画像との特徴量が相違している場合でも,その違いの原因が上記の如く画像を印刷,読み取りをしたことにある場合には,改ざん検出装置等では改ざん有りと判断されるべきではない。そこで,上記集計部210により,一組の画像の画像特定情報が同一である第1グループの特徴量の差分値の度数分布と,同一でない第2グループの特徴量の差分値の度数分布とが作成されることにより,閾値決定部212は,一組の画像の特徴量の間に差があっても改ざん無しと判断するべき差分の値(許容される差分の範囲)を取得することができる。閾値決定部212がその値を閾値に決定することによって,その閾値を改ざん有無の判定に用いる改ざん検出装置等は適切な判定を行うことができる。
また,詳細は後述するが,閾値決定部212は,ユーザによって指定されたパラメータに基づいて,そのパラメータによって指定される検出精度を満たすことが可能な値を閾値とすることができる。なお,本明細書において改ざんの検出精度は,改ざん見逃し率と改ざん誤検出率とで表される。改ざん見逃し率とは,改ざん検出装置等が,判定対象の画像が改ざんされているにもかかわらず改ざん無しと誤って判断してしまう確率である。改ざん誤検出率とは,改ざん検出装置等が,判定対象の画像が改ざんされていないにもかかわらず改ざん有りと誤って判断してしまう確率である。
以上,閾値決定装置20の機能構成について説明した。次に,図3に基づいて精度評価装置30の機能構成について説明する。
精度評価装置30は,例えば,入力部302と,改ざん領域検出部304と,改ざん領域記憶部305と,改ざん検出結果領域記憶部306と,精度評価部308などを備える。
入力部302は,テストチャート画像,改ざん画像,および評価対象データ作成装置10の改ざん領域記憶部126に記憶されている全ての貼り付け先の領域の位置情報(改ざん領域情報),および閾値を入力する機能を有する。具体的には,評価対象データ作成装置10から,印刷前のテストチャート画像と,改ざん画像作成部124によって作成された改ざん後の読み取り画像(改ざん画像)と,改ざん領域情報と,を取得する。また入力部302は,閾値決定装置20から閾値決定部212によって決定された閾値を取得する。入力部302は,取得した改ざん領域情報を改ざん領域記憶部305に記憶させておく。改ざん領域記憶部305の記憶内容は,評価対象データ作成部10が備える改ざん領域記憶部126とほぼ同様である。改ざん検出閾値決定システムがひとつの装置から構成される場合には,ひとつの改ざん領域記憶部を備えていれば足りる。また,改ざん領域情報が改ざん画像に埋め込まれている場合には,入力部は改ざん画像から改ざん領域情報を抽出する機能を有していても良い。
改ざん領域検出部304は,テストチャート画像,改ざん画像および閾値に基づいて,改ざん画像から1または2以上の改ざん領域を検出し,検出された領域を特定する位置情報を改ざん検出結果領域記憶部306に書き込む機能を有する。改ざん領域検出部304は,本装置において改ざん検出精度の評価を行う対象である改ざん検出装置等と,その装置等によって改ざん領域として検出された領域の位置情報をその装置等から取得して改ざん検出結果領域記憶部306に書き込む機能とを含んでいる。具体的には,改ざん検出装置等に,テストチャート画像,改ざん画像を提供し,同装置の閾値を入力部302によって入力された閾値に設定して改ざんの検出を行わせる。その後,同装置によって改ざん領域として検出された領域の位置情報を同装置から取得して,全てを改ざん検出結果領域記憶部306に書き込む。なお,改ざん検出装置等が改ざん領域検出部304には含まれておらず,改ざん領域検出部304は改ざん検出装置等から検出結果を通信網や記録媒体などを介して取得するように構成されてもよい。
精度評価部308は,改ざん領域検出部304によって検出された1または2以上の改ざん領域の位置情報と,前記入力部302によって入力された貼り付け先の領域の位置情報とを比較し,比較結果に基づいて改ざん領域検出部304による改ざん有無検出の精度を求める機能を有する。具体的には精度評価部308は,改ざん領域記憶部305の記憶内容と改ざん検出結果領域記憶部306の記憶内容とを比較し,評価対象である改ざん検出装置等の改ざん検出精度を求める。改ざん領域記憶部305には,実際に改ざんされている領域(元のテストチャート画像と異なる領域)の位置情報が記憶されているため,その位置情報と,改ざん検出装置等によって改ざん領域であると検出された領域の位置情報とを比較すれば,改ざんを見逃している部分や誤検出を行っている部分がわかり,精度評価部308は改ざん見逃し率や改ざん誤検出率を求めることができる。
以上,精度評価装置30の機能構成について説明した。次に,図4から図12に基づいて,本実施形態にかかる評価対象データ作成装置10の処理の流れについて説明する。
まず,図4および図5に基づいて評価対象データ作成装置10の処理の流れを概略的に説明し,その後図6から図12に基づいてより詳細な説明を行う。
図4に示すように,まず,テストチャート生成部102に評価文字として文字や記号のテキストデータが入力される。また,出力フォント情報としてフォントの種類やサイズなども入力される(図5のステップS102)。テストチャート生成部102は,入力されたデータに基づいてテストチャート画像1002を作成し,かつ,ひとつの評価文字のテキストデータ(画像特定情報)が含まれる領域の位置情報を,その評価文字と関連付けた領域情報として領域記憶部120に記憶させる(ステップS104)。
作成されたテストチャート画像1002はマーク挿入部104に提供され,マーク挿入部104はテストチャート画像1002の全領域に電子透かしを埋め込む(ステップS106)。電子透かしが埋め込まれたテストチャート画像1002は印刷出力部106によって印刷され(S108),テストチャート画像1002が印刷された印刷物1004が出力される。
その後,印刷物1004は読み取り部108によって読み取られ,読み取り画像が作成される(S110)。作成された読み取り画像は評価画像生成部110に提供され,評価画像生成部110は領域記憶部120に記憶されている領域情報と透かし領域とに基づいて,評価対象の一対の画像を作成する(S112)。評価対象データ出力部118は,評価画像生成部110によって作成された一対の画像1010,1012と,各画像に含まれる画像特定情報である評価文字の組み合わせ1008と,を含む評価対象データ1006を出力する(S114)。以上,処理の流れの概略について説明した。
続いて,詳細な説明を行う。図6に示すように,テストチャート生成部102が作成するテストチャート画像1002には,評価文字のテキストデータが複数含まれている。図示の例によれば,評価文字「0」を含む領域は,座標(200,200)および(300,300)によって特定される領域である。従って,領域記憶部120には,評価文字「0」と,「0」を含む領域を特定する位置情報「200,200,300,300」とが関連付けられて1つの領域情報として記憶されている。同様に,領域記憶部120には,評価文字「1」と,「1」を含む領域を特定する位置情報「400,200,500,300」や,評価文字「2」と,「2」を含む領域を特定する位置情報「600,200,700,300」が各々関連付けられ,各々が領域情報として記憶されている。
テストチャート画像1002の全領域には,図7に示すようにマーク挿入部104によって電子透かしが埋め込まれ,透かし埋め込み画像1003は印刷出力部106によって印刷され,透かしが埋め込まれたテストチャート画像が印刷された印刷物1004が出力される。印刷物1004は,図8に示すように読み取り部108によって読み取られ,読み取り画像1005が作成される。作成された読み取り画像と,領域記憶部120に記憶されている領域情報が評価画像生成部110に提供される。評価画像生成部110は上述のとおりマーク検出部112,位置情報算出部114および画像切り出し部116を備えている。
評価画像生成部110に提供された読み取り画像1005に対して,まずマーク検出部112が透かし領域の検出処理を行う。図9の例によれば,検出された透かし領域は,読み取り画像1005において座標(235,115)および(3200,4480)によって特定されるの領域である。透かし領域が特定されると,透かし領域のサイズを計算することが可能になり,図示の例によれば透かし領域のサイズは2965×4365である。一方,テストチャート画像は,座標(0,0)から(4488,6543)に渡っており,そのサイズは4488×6543である。そうすると,読み取り画像1005における透かし領域,すなわち読み取り画像1005におけるテストチャート画像部分は,座標(235,115)から開始しており,さらに印刷前の元のテストチャート画像1002の2/3倍のサイズであることがわかる。
位置情報算出部114は,マーク検出部による透かし領域の検出によって得られた上記情報,つまり透かし領域の開始位置およびサイズ比と,領域記憶部120に記憶されている領域情報に基づいて,読み取り画像領域情報を作成する。より具体的には,図示の例によれば,元のテストチャート画像1002において評価文字「0」を含む領域に対応する読み取り画像1005上の領域を特定する座標は,下記の計算により求めることができる。
(200×2/3+235,200×2/3+115,300×2/3+235,300×2/3+115)=(368,248,435,315)(小数点以下切り捨て)
同様に,元のテストチャート画像1002において評価文字「1」を含む領域に対応する読み取り画像1005上の領域を特定する座標は(501,248,701,315)となる。これらの座標の情報は,その座標によって特定される領域に含まれる評価文字と関連付けられて読み取り画像領域情報として読み取り画像領域記憶部122に記憶される。
次いで,図10に示すように,画像切り出し部116が領域記憶部120に記憶されている各領域情報に含まれる座標の情報に基づいてテストチャート画像から任意の領域の画像を切り出す。また,画像切り出し部116は,読み取り画像領域記憶部122に記憶されている各読み取り画像領域情報に含まれる座標の情報に基づいて読み取り画像から任意の領域の画像を切り出す。切り出される画像には,各々ひとつの評価文字が含まれている。画像切り出し部116は,切り出した一組の画像を拡大または縮小するなどしてサイズを調整し,また2値化を行うなどした後に,その一組の画像と,各画像に含まれる評価文字の情報(「0」や「1」など)を評価対象データ出力部118に提供する。評価対象データ出力部118は,テストチャート画像1002からの切り出し画像を改ざん前画像1010とし,読み取り画像1005からの切り出し画像を判定対象画像1012とし,各画像に含まれる評価文字を組み合わせデータ1008として,1セットの評価対象データを出力する。
図11および図12は,改ざん画像作成部124により改ざん画像が作成される処理の流れを示している。図11に示すように,改ざん画像作成部124は,読み取り画像1005と,読み取り画像領域記憶部122に記憶されている読み取り画像領域情報とを用いて改ざん画像を作成する。具体的には,図12に示すように,画像切り出し部116によって読み取り画像1005から切り出された画像を,読み取り画像1005上の別の領域に貼り付けることによって改ざん画像1007を作成し,貼り付け先の領域を特定する情報を改ざん領域情報として改ざん領域記憶部126に記憶させる。図示の例によれば,読み取り画像において座標(501,248)および(568,315)によって特定される,「1」が含まれる領域の画像を読み取り画像において座標(368,245)および(435,315)によって特定される「0」が含まれる領域に貼り付けている。そして,貼り付け先の領域の座標(368,245)および(435,315)と,貼り付け前にその領域に含まれていた評価文字「0」および貼り付け後のその領域に含まれる評価文字「1」とが関連付けられて改ざん領域記憶部126に記憶される。各評価文字を含む領域について順次上記の貼り付け処理を行うことによって,図示のように,読み取り画像1005に含まれている全ての評価文字が入れ替えられた改ざん画像1007を作成することができる。
以上,本実施形態にかかる評価対象データ作成装置10の処理の流れについて説明した。次に,本実施形態にかかる評価対象データ作成装置10の変形例である評価対象データ作成装置40について,評価対象データ作成装置10との相違点を中心に説明する。
評価対象データ作成装置40は,評価対象データ作成装置10と同様に,テストチャート画像から評価対象データを作成する。評価対象データ作成装置10では,テストチャート画像の任意の領域に対応する読み取り画像上の領域を取得するために,テストチャート画像の全領域に電子透かしを埋め込み,透かし領域の位置情報,サイズに基づいて対応領域の位置情報を算出した。それに対して評価対象データ作成装置40では,テストチャート画像の任意の領域を特定する位置情報を,テストチャート画像における実際のその位置と関連付けてテストチャート画像に埋め込むことによって,読み取り画像における対応領域の位置情報の取得を可能にしている。かかる構成によれば,テストチャート画像が印刷された印刷物の読み取り時などに,印刷物の折り目や皺などによって読み取り画像におけるテストチャート画像が歪んだり,読み取り方向のずれなどによって読み取り画像におけるテストチャート画像に回転系のずれが生じても,対応領域の位置情報を正確に取得することができる。以下,詳細に説明する。
図13は,評価対象データ作成装置40の機能構成を示すブロック図である。評価対象データ作成装置10と同様の機能を有するものについては,同一の符号を付することにより説明を省略する。座標情報埋め込み部404は,領域記憶部120に記憶されている位置情報に含まれる座標によって特定される点と関連づけて,その座標の情報をテストチャート画像に電子透かしとして埋め込む機能を有する。具体的には,図14に示すように,領域記憶部120に記憶されている領域情報に含まれている座標の情報を,その座標によって特定されるテストチャート画像上の点に埋め込む。図示の例によれば,評価文字「0」を含む領域の開始位置を示す開始点4002に,開始点4002の座標である(200,200)を目視不能な情報にして埋め込む。同様に,評価文字「0」を含む領域の終了位置を示す終了点4004に,終了点4004の座標である(300,300)を目視不能な情報にして埋め込む。
座標情報抽出部412は,読み取り画像から埋め込まれている座標情報を抽出する機能を有する。位置情報取得部414は,テストチャート画像の任意の領域の位置情報および座標情報抽出部412によって抽出された座標情報に基づいて,読み取り画像における,テストチャート画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を取得する。
具体的には,図15に示すように,座標情報抽出部412は,読み取り画像の例えば左上端から右下端に向かって,埋め込まれている目視不能な情報を検索し,その情報を抽出する。図示の例によれば,読み取り画像の開始点4002に埋め込まれている(200,200)を示す情報,および終了点4004に埋め込まれている(300,300)を示す情報を抽出する。位置情報取得部414は,座標情報抽出部412によって情報が抽出された点の読み取り画像における座標を取得し,領域記憶部120の記憶内容に基づいて読み取り画像領域情報を作成する。図示の例によれば,(200,200)の情報が抽出された開始点4002は読み取り画像上では座標(368,248)によって特定される点であり,また,(300,300)の情報が抽出された終了点4004は読み取り画像上では座標(435,315)によって特定される点である。従って,テストチャート画像において座標(200,200)および(300,300)で特定される領域は,読み取り画像上では座標(368,248)および(435,315)によって特定される領域と対応していることがわかる。そこで,位置情報取得部414は,対応領域を特定する位置情報「368,248,435,315」と,その領域に含まれる評価文字「0」とを関連付けて読み取り画像領域情報として読み取り画像領域記憶部122に記憶させる。
読み取り画像領域記憶部122には評価対象データ作成装置10と同様に,テストチャート画像の任意の領域に対応する領域の位置情報およびその領域に含まれる評価文字が記憶されるため,画像切り出し部116は評価対象データ作成装置10における上述の処理と同様の処理によって画像を切り出すことができる。
なお,評価対象データ作成装置10に評価対象データ作成装置40における座標埋め込み,抽出処理を取り込んでもよい。その場合には,例えば,評価対象データ作成装置10は,マーク挿入部104によってテストチャート画像の全領域に電子透かしを埋め込むが,特に,領域情報に含まれる位置情報によって特定される点には,上述の座標埋め込み処理によってその点の座標の情報を埋め込む。読み取り画像における対応領域の位置情報を取得する際には,位置情報算出部114によって上述のように透かし領域の位置情報やサイズに基づいて算出してもよいし,埋め込まれている座標情報を抽出して位置情報を取得してもよい。
以上,本実施形態にかかる評価対象データ作成装置10と,その変形例である評価対象データ作成装置40が行う処理について説明した。次に,図16から図22に基づいて,本実施形態にかかる閾値決定装置20の処理の流れについて説明する。
まず,図16および図17に基づいて閾値決定装置20の処理の流れを概略的に説明し,その後図18から図22に基づいてより詳細な説明を行う。
閾値決定装置20には,複数の評価対象データ1006−1,1006−2,…1006−n(以後,単に,評価対象データ1006と称する。)およびパラメータが入力される(図17のステップS202)。特徴量計測部204は,入力された評価対象データ1006に含まれる一組の画像1010−1,1012−1(以後,改ざん前画像1010,判定対象画像1012と称する。)の各々の特徴量を計測する(S204)。計測された各画像の特徴量に基づいて,特徴量差分算出部206が特徴量の差分値を算出する(S206)。差分値は集計対象データ記憶部208に蓄積され,集計部210は蓄積された差分値に基づいて差分値の度数分布を作成する(S208)。度数分布が作成されると,閾値決定部212が,その度数分布と上記パラメータとに基づいて最適な閾値を決定する(S210)。以上,処理の流れの概略について説明した。
続いて,詳細な説明を行う。図18に示すように,評価対象データ入力部202によって評価対象データ1006が入力される。入力された改ざん前画像1010と判定対象画像1012は特徴量計測部204に提供され,特徴量計測部204によって各画像の特徴量が計測される。特徴量の計測は,上述のようにガボールフィルタやある特定の形状に強く反応するフィルタ等による画像のフィルタリング処理を行うなどして計測できる。図示の例によれば,改ざん前画像1010の特徴量は7で,判定対象画像1012の特徴量は15である。双方の特徴量が特徴量算出部206に提供され,特徴量算出部206によって差分値が算出される。図示の例によれば,差分値は8である。
その後,算出された差分値は,組み合わせデータ1008とともに集計対象データ2002として集計対象データ記憶部208に格納される。なお,上述のとおり,組み合わせデータ1008に含まれる評価文字(画像特定情報)が同一であるか否かがわかるように集計対象データ記憶部208に記憶されれば,集計対象データ2002に組み合わせデータ1008は含まれていなくても構わない。
複数の評価対象データ1006に対して上述の処理が行われると,図19(a)に示すように複数の集計対象データ2002−1,2002−2,2002−3,…2002−nが集計対象データ記憶部208に蓄積される。集計対象データ2002−1,2002−2は,組み合わせデータ1008に含まれる評価文字が異なる評価対象データから作成された集計対象データの例であり,上述の,評価対象データに含まれる各画像の画像特定情報が同一でない第2グループに対応付けられて記憶されている。一方,集計対象データ2002−3,2002−nは,組み合わせデータ1008に含まれる評価文字が同一である評価対象データから作成された集計対象データの例であり,上述の,評価対象データに含まれる各画像の画像特定情報が同一である第1グループに対応付けられて記憶されている。第1グループに属する集計対象データは,第2グループに属する集計対象データよりも,特徴量差分の値が小さいことがわかる。
複数の集計対象データが蓄積された後,集計部210によって集計対象データの集計が行われ,集計結果として度数分布が作成される。具体的には,第1グループに属する集計対象データの特徴量差分値の度数分布と,第2グループに属する集計対象データの特徴量差分値の度数分布が各々作成される。度数分布は,図19(b)のようなヒストグラムとして表すことができる。また,図19(c)のようなヒストグラムの累積として表してもよい。グラフ中の符号2010は第1グループのヒストグラムであり,符号2012は第2グループのヒストグラムである。なお,図19(c)では,第1グループの方は100%から累積分を減少させている。図19(b),(c)に示すグラフは,テストチャート画像の生成時にフォントの種類として「Times New Roman」,フォントのサイズとして「10.5ポイント」が指定された場合の集計結果を示している。
図19(b),(c)を参照すると,一組の画像の画像特定情報(フォントの種類がTimes New Roman,フォントサイズが10.5ポイントのテキストデータ)が同一である場合,つまり印刷物の読み込み画像に改ざんがされていない場合の特徴量の差分値は,約1.8が最も多く,4より大きい値はほぼ無いことがわかる。一方,一組の画像の画像特定情報が同一でない場合,つまり印刷物の読み込み画像に改ざんがされている場合の特徴量の差分値は,6から10の範囲の値であるものが多く,3より小さい値はほぼ無いことがわかる。閾値決定部212は,作成されたヒストグラムに基づいて閾値を決定する。
図20は,改ざん検出装置等による改ざん見逃し率と改ざん誤検出率が等しくなるように閾値が決定される例である。第1グループのヒストグラム2010と第2グループのヒストグラム2012が交わる点が,改ざん見逃し率=改ざん誤検出率となる閾値であり,図示の例によれば3.5である。
図21は,改ざん検出装置等による改ざん誤検出率が5%以下となるように閾値を設定する場合(図示の例によれば,3.2),または改ざん見逃し率が0.5%以下となるように閾値を設定する場合(図示の例によれば,2.7)を示す。閾値決定の基準となる改ざん誤検出率や改ざん見逃し率,またはその関係などは,閾値決定部212に予め定められていても良いし,ユーザによりパラメータとして入力されてもよい。
図22は,改ざん検出装置等によって改ざん有りと判定される確率の高低を示すパラメータがユーザにより入力された場合の,パラメータに基づいて決定される閾値を示す。ユーザは例えばパラメータとして,厳しい/普通/甘いのいずれかを評価対象データとともに閾値決定装置20に入力する。「厳しい」が入力された場合には,閾値決定装置20は,改ざん検出装置等が改ざんを見逃さないように改ざん検出装置等が改ざん有りと判定する確率を高くするべく,閾値を低めに設定する。図示の例によれば,改ざん見逃し率=改ざん誤検出率となる3.5よりも小さい所定の範囲に属する値を閾値に決定する。「甘い」が入力された場合には,閾値決定装置20は,改ざん検出装置等が改ざん誤検出行わないように改ざん検出装置等が改ざん有りと判定する確率を低くするべく,閾値を高めに設定する。図示の例によれば,改ざん見逃し率=改ざん誤検出率となる3.5よりも大きい所定の範囲に属する値を閾値に決定する。また,「普通」が入力された場合には,改ざん見逃し率=改ざん誤検出率となる値を閾値に決定する。かかる構成によれば,改ざん検出装置等による改ざん検出の目的に応じてユーザがパラメータを指定することによって,改ざん有無判定の閾値を変更することができる。
以上,閾値決定装置20の処理の流れについて説明した。次に,図23から図25に基づいて,本実施形態にかかる精度評価装置30の処理の流れについて説明する。まず,図23に基づいて処理の流れを概略的に説明し,その後図24および図25に基づいて詳細な説明を行う。
精度評価装置30には,改ざん検出装置等の改ざん検出の精度評価に必要な各データが入力される(ステップS302)。各データには,評価対象データ作成装置10によって作成された印刷前のテストチャート画像,改ざん後の読み取り画像(改ざん画像),改ざん領域情報,および閾値決定装置20によって決定された閾値が含まれる。
入力された各データを用いて改ざん検出装置等が改ざんされた領域の検出を行い(S304),その後,精度評価装置30は,ステップS304で検出された結果と入力された改ざん領域情報とを比較することによって改ざん検出装置等による改ざん検出の精度を求める(S306)。以上,処理の流れの概略を説明した。
続いて,詳細な説明を行う。図24に示すように,精度評価装置304の改ざん領域検出部304は,印刷前のテストチャート画像1002,および改ざん画像1007を入力部302から取得し,改ざん画像1007から改ざん領域の検出を行い,検出結果を改ざん検出結果領域記憶部306に記憶させる。具体的には,改ざん検出結果領域記憶部306には,改ざん領域検出部304によって改ざん有りと判定された領域を特定する座標の情報が改ざん検出結果領域情報として記憶される。図24,図25では,改ざん画像1007において改ざん有りと判定された領域が四角で囲まれており,符号3002−1,3002−2.…3002−n(以後,改ざん検出領域3002と称する。)が付されている。
改ざん領域検出部304によって改ざん画像1007から全ての改ざん領域が検出された後,精度評価部308による改ざん領域検出部304の改ざん検出精度の評価が行われる。図25に示すように,精度評価部308は,改ざん検出結果領域記憶部306に記憶されている全ての改ざん検出結果領域情報と,改ざん領域記憶部126に記憶されている全ての改ざん領域情報とを比較し,改ざん領域検出部304による改ざん見逃し数,改ざん誤検出数を取得する。図25では,改ざん画像1007において改ざん領域記憶部126に記憶されている領域,すなわちテストチャート画像1002と異なる画像特定情報が含まれており,改ざんされている領域は,符号3004−1,3004−2,…3004−n(以後,改ざん領域3004と称する。)が付された四角で囲まれている。改ざん領域検出部304が改ざんを見逃した領域とは,具体的には,図示のように改ざん領域3004であるが改ざん検出領域3002でない領域である。また,改ざん領域検出部304が改ざん誤検出を行った領域とは,具体的には,図示のように改ざん検出領域3002であるが改ざん領域3004でない領域である。
精度評価部308は,改ざん見逃し数,改ざん誤検出数を取得後,改ざん見逃し率および改ざん誤検出率を算出し,改ざん検出装置等の改ざん検出精度評価を終了する。改ざん見逃し率および改ざん誤検出率は,下記の式により算出することができる。
改ざん見逃し率(%)=改ざん見逃し数/改ざん文字数×100
改ざん誤検出率(%)=改ざん誤検出数/非改ざん文字数×100
以上,精度評価装置30の機能構成について説明した。
本実施形態にかかる改ざん検出閾値決定システムによれば,評価対象データ作成装置10によって,ひとつのテストチャート画像から改ざんの有無が予めわかった評価対象データを複数作成することができる。従って,改ざん検出装置等の閾値を決定するために,複数の印刷前の画像から,その画像を印刷した画像,またはその画像を印刷して改ざんを加えた画像を手動で作成する必要がなく,作業時間の短縮を図ることができる。また,評価対象データ作成装置10には,テストチャート画像を作成する際のフォント情報を指定することができるため,指定した様々なフォントのテキストデータによって評価対象データを作成することができる。
また,閾値決定装置20によって,画像特徴量の差分値の度数分布に従って最適な閾値を自動で決定することができるので,手動で閾値を調整しながら評価を繰り返して最適閾値を探し出す必要がなく,作業時間の短縮を図ることができるとともに,手動の場合よりも適切な閾値を取得することができる。さらに,閾値決定装置20にはユーザによるパラメータ入力も可能であるため,ユーザが望む検出精度を満たすように閾値を決定することもできる。また,様々なフォントのテキストデータで作成された評価対象データを閾値決定装置に入力することによって,フォント毎に最適な閾値を取得することができる。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は,改ざんの検出を行う装置やプログラムの精度評価を行うシステムに適用可能であり,特に画像の特徴量を用いて改ざん検出を行う改ざん検出装置等によって改ざん有無の判定に用いられる閾値を決定するシステムに適用可能である。
本発明の実施形態にかかる評価対象データ作成装置の機能構成を示すブロック図である。 同実施の形態における閾値決定装置の機能構成を示すブロック図である。 同実施の形態における精度評価装置の機能構成を示すブロック図である。 同実施の形態における評価対象データ作成装置の処理の流れの概略を示す説明図である。 同実施の形態における評価対象データ作成装置の処理の流れの概略を示すフローチャートである。 同実施の形態における評価対象データ作成装置の処理の流れを詳細に示す説明図である。 同実施の形態における評価対象データ作成装置の処理の流れを詳細に示す説明図である。 同実施の形態における評価対象データ作成装置の処理の流れを詳細に示す説明図である。 同実施の形態における評価対象データ作成装置の処理の流れを詳細に示す説明図である。 同実施の形態における評価対象データ作成装置の処理の流れを詳細に示す説明図である。 同実施の形態における評価対象データ作成装置の処理の流れを詳細に示す説明図である。 同実施の形態における評価対象データ作成装置の処理の流れを詳細に示す説明図である。 本発明の実施形態の変形例にかかる評価対象データ作成装置の機能構成を示すブロック図である。 同実施の形態の変形例における評価対象データ作成装置の処理の流れを詳細に示す説明図である。 同実施の形態の変形例における評価対象データ作成装置の処理の流れを詳細に示す説明図である。 同実施の形態における閾値決定装置の処理の流れの概略を示す説明図である。 同実施の形態における閾値決定装置の処理の流れの概略を示すフローチャートである。 同実施の形態における閾値決定装置の処理の流れを詳細に示す説明図である。 同実施の形態における閾値決定装置の処理の流れを詳細に示す説明図である。 同実施の形態における閾値決定装置による閾値の決定例を示す説明図である。 同実施の形態における閾値決定装置による閾値の決定例を示す説明図である。 同実施の形態における閾値決定装置による閾値の決定例を示す説明図である。 同実施の形態における精度評価装置の処理の流れの概略を示すフローチャートである。 同実施の形態における精度評価装置の処理の流れを詳細に示す説明図である。 同実施の形態における精度評価装置の処理の流れを詳細に示す説明図である。 同実施の形態における電子透かしの埋め込み例を示す説明図である。 同実施の形態における電子透かしの埋め込み例を示す説明図である。
符号の説明
10,40 評価対象データ作成装置
20 閾値決定装置
30 精度評価装置
102 テストチャート生成部
104 マーク挿入部
106 印刷出力部
108 読み取り部
110,410 評価画像生成部
112 マーク検出部
114 位置情報算出部
116 画像切り出し部
118 評価対象データ出力部
120 領域記憶部
122 読み取り画像領域記憶部
124 改ざん画像作成部
126 改ざん領域記憶部
202 評価対象データ入力部
204 特徴量計測部
206 特徴量差分算出部
208 集計対象データ記憶部
210 集計部
212 閾値決定部
302 入力部
304 改ざん領域検出部
404 座標情報埋め込み部
412 座標情報抽出部
414 位置情報取得部
1002 テストチャート画像
1005 読み取り画像
1006 評価対象データ
2002 集計対象データ

Claims (13)

  1. 印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定する改ざん検出閾値決定システムであって:
    印刷可能な元画像の任意の領域の画像特定情報と,該領域の位置情報と,を関連づけた領域情報を複数記憶する領域記憶部と;
    前記元画像の4つの角部のうち少なくとも対向する2つの角部にマークを挿入するマーク挿入部と;
    前記マークが挿入された元画像を出力する画像出力部と;
    前記出力された元画像が印刷された印刷物を読み取り,読み取り画像を作成する読み取り部と;
    前記読み取り画像から前記マークが挿入されている位置情報を検出するマーク検出部と;
    前記元画像の任意の領域の位置情報および前記マークの位置情報に基づいて,前記読み取り画像における,前記元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を算出する位置情報算出部と;
    前記元画像の任意の領域の位置情報に基づいて前記元画像から前記任意の領域の画像を切り出し,かつ,前記読み取り画像から前記算出された位置情報に対応する領域の画像を切り出す画像切り出し部と;
    前記切り出された一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを出力する評価対象データ出力部と;
    前記評価対象データに含まれる前記各画像の画像特定情報から,前記一組の画像に含まれる前記画像特定情報が同一であるか否かを判断し,判断結果と前記一組の画像とに基づいて前記閾値を決定する閾値決定部と;
    を備えることを特徴とする,改ざん検出閾値決定システム。
  2. 印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定する改ざん検出閾値決定システムであって:
    印刷可能な元画像の任意の領域の画像特定情報と,該領域の位置情報と,を関連づけた領域情報を複数記憶する領域記憶部と;
    前記位置情報に含まれる座標によって特定される点と関連づけて前記座標の情報を前記元画像に埋め込む座標情報埋め込み部と;
    前記座標情報が埋め込まれた元画像を出力する画像出力部と;
    前記出力された元画像が印刷された印刷物を読み取り,読み取り画像を作成する読み取り部と;
    前記読み取り画像から,前記埋め込まれている座標情報を抽出する座標情報抽出部と;
    前記元画像の任意の領域の位置情報および前記抽出された座標情報に基づいて,前記読み取り画像における,前記元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を取得する位置情報取得部と;
    前記元画像の任意の領域の位置情報に基づいて前記元画像から前記任意の領域の画像を切り出し,かつ,前記読み取り画像から前記取得された位置情報に対応する領域の画像を切り出す画像切り出し部と;
    前記切り出された一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを出力する評価対象データ出力部と;
    前記評価対象データに含まれる前記各画像の画像特定情報から,前記一組の画像に含まれる前記画像特定情報が同一であるか否かを判断し,判断結果と前記一組の画像とに基づいて前記閾値を決定する閾値決定部と;
    を備えることを特徴とする,改ざん検出閾値決定システム。
  3. 前記画像切り出し部によって前記読み取り画像から切り出された画像を,前記元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報によって特定される前記読み取り画像上の領域であって,かつ,前記切り出された画像の切り出し元とは異なる任意の領域に貼り付けて改ざん画像を作成する改ざん画像作成部と;
    前記貼り付け先の領域の位置情報を記憶する改ざん領域記憶部と;
    をさらに備えることを特徴とする,請求項1または2に記載の改ざん検出閾値決定システム。
  4. 前記評価対象データに含まれる前記一組の画像の各々の特徴量を計測する特徴量計測部と;
    前記計測された各画像の特徴量の差分値を求める特徴量差分算出部と;
    前記評価対象データに含まれる前記各画像の画像特定情報に基づいて,前記一組の画像の画像特定情報が同一である第1グループ,または同一でない第2グループのいずれかに対応付けて複数の前記差分値を記憶する集計対象データ記憶部と;
    前記集計対象データ記憶部の記憶内容に基づいて,前記第1グループに対応付けられた前記差分値の度数分布及び/又は前記第2グループに対応付けられた前記差分値の度数分布を作成する集計部と;を備え,
    前記閾値決定部は,どちらか一方または双方の前記度数分布に基づいて前記閾値を決定することを特徴とする,請求項1から3のいずれかに記載の改ざん検出閾値決定システム。
  5. パラメータを入力するパラメータ入力部を備え,前記閾値決定部はさらに前記パラメータに基づいて前記閾値を決定することを特徴とする,請求項1から4のいずれかに記載の改ざん検出閾値決定システム。
  6. 前記パラメータは,改ざん誤検出率,改ざん見逃し率,または改ざん有りと判定させる確率の高低であることを特徴とする,請求項5に記載の改ざん検出閾値決定システム。
  7. 前記元画像,前記改ざん画像および前記閾値に基づいて,前記改ざん画像から1または2以上の改ざん領域を検出する改ざん領域検出部と;
    前記改ざん領域検出部によって検出された前記1または2以上の改ざん領域の位置情報と,前記貼り付け先の領域の位置情報とを比較し,比較結果に基づいて前記改ざん領域検出部による改ざん検出の精度を求める精度評価部と;
    を備えることを特徴とする,請求項3に記載の改ざん検出閾値決定システム。
  8. 印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定するための評価対象データを作成する評価対象データ作成装置であって:
    印刷可能な元画像の任意の領域の画像特定情報と,該領域の位置情報と,を関連づけた領域情報を複数記憶する領域記憶部と;
    前記元画像の4つの角部のうち少なくとも対向する2つの角部にマークを挿入するマーク挿入部と;
    前記マークが挿入された元画像を出力する画像出力部と;
    前記出力された元画像が印刷された印刷物を読み取り,読み取り画像を作成する読み取り部と;
    前記読み取り画像から前記マークが挿入されている位置情報を検出するマーク検出部と;
    前記元画像の任意の領域の位置情報および前記マークの位置情報に基づいて,前記読み取り画像における,前記元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を算出する位置情報算出部と;
    前記元画像の任意の領域の位置情報に基づいて前記元画像から前記任意の領域の画像を切り出し,かつ,前記読み取り画像から前記算出された位置情報に対応する領域の画像を切り出す画像切り出し部と;
    前記切り出された一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを出力する評価対象データ出力部と;
    を備えることを特徴とする,評価対象データ作成装置。
  9. 印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定するための評価対象データを作成する評価対象データ作成装置であって:
    印刷可能な元画像の任意の領域の画像特定情報と,該領域の位置情報と,を関連づけた領域情報を複数記憶する領域記憶部と;
    前記位置情報に含まれる座標によって特定される点と関連づけて前記座標の情報を前記元画像に埋め込む座標情報埋め込み部と;
    前記座標情報が埋め込まれた元画像を出力する画像出力部と;
    前記出力された元画像が印刷された印刷物を読み取り,読み取り画像を作成する読み取り部と;
    前記読み取り画像から,前記埋め込まれている座標情報を抽出する座標情報抽出部と;
    前記元画像の任意の領域の位置情報および前記抽出された座標情報に基づいて,前記読み取り画像における,前記元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を取得する位置情報取得部と;
    前記元画像の任意の領域の位置情報に基づいて前記元画像から前記任意の領域の画像を切り出し,かつ,前記読み取り画像から前記取得された位置情報に対応する領域の画像を切り出す画像切り出し部と;
    前記切り出された一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを出力する評価対象データ出力部と;
    を備えることを特徴とする,評価対象データ作成装置。
  10. 印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定する閾値決定装置であって:
    一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを入力する評価対象データ入力部と;
    入力された前記一組の画像の各々の特徴量を計測する特徴量計測部と;
    前記計測された各画像の特徴量の差分値を求める特徴量差分算出部と;
    前記評価対象データに含まれる前記各画像の画像特定情報に基づいて,前記一組の画像の画像特定情報が同一である第1グループ,または同一でない第2グループのいずれかに対応付けて複数の前記差分値を記憶する集計対象データ記憶部と;
    前記集計対象データ記憶部の記憶内容に基づいて,前記第1グループに対応付けられた前記差分値の度数分布及び/又は前記第2グループに対応付けられた前記差分値の度数分布を作成する集計部と;
    どちらか一方または双方の前記度数分布に基づいて前記閾値を決定する閾値決定部と;
    を備えることを特徴とする,閾値決定装置。
  11. 印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定するための評価対象データを作成する評価対象データ作成方法であって:
    印刷可能な元画像の任意の領域の画像特定情報と,該領域の位置情報と,を関連づけた領域情報を記憶部に複数記憶する領域記憶ステップと;
    前記元画像の4つの角部のうち少なくとも対向する2つの角部にマークを挿入するマーク挿入ステップと;
    前記マークが挿入された元画像を出力する画像出力ステップと;
    前記出力された元画像が印刷された印刷物を読み取り,読み取り画像を作成する読み取りステップと;
    前記読み取り画像から前記マークが挿入されている位置情報を検出するマーク検出ステップと;
    前記元画像の任意の領域の位置情報および前記マークの位置情報に基づいて,前記読み取り画像における,前記元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を算出する位置情報算出ステップと;
    前記元画像の任意の領域の位置情報に基づいて前記元画像から前記任意の領域の画像を切り出し,かつ,前記読み取り画像から前記算出された位置情報に対応する領域の画像を切り出す画像切り出しステップと;
    前記切り出された一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを出力する評価対象データ出力ステップと;
    を含むことを特徴とする,評価対象データ作成方法。
  12. 印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定するための評価対象データを作成する評価対象データ作成方法であって:
    印刷可能な元画像の任意の領域の画像特定情報と,該領域の位置情報と,を関連づけた領域情報を記憶部に複数記憶する領域記憶ステップと;
    前記位置情報に含まれる座標によって特定される点と関連づけて前記座標の情報を前記元画像に埋め込む座標情報埋め込みステップと;
    前記座標情報が埋め込まれた元画像を出力する画像出力ステップと;
    前記出力された元画像が印刷された印刷物を読み取り,読み取り画像を作成する読み取りステップと;
    前記読み取り画像から,前記埋め込まれている座標情報を抽出する座標情報抽出ステップと;
    前記元画像の任意の領域の位置情報および前記抽出された座標情報に基づいて,前記読み取り画像における,前記元画像の任意の領域に対応する領域の位置情報を取得する位置情報取得ステップと;
    前記元画像の任意の領域の位置情報に基づいて前記元画像から前記任意の領域の画像を切り出し,かつ,前記読み取り画像から前記取得された位置情報に対応する領域の画像を切り出す画像切り出しステップと;
    前記切り出された一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを出力する評価対象データ出力ステップと;
    を含むことを特徴とする,評価対象データ作成方法。
  13. 印刷物の印刷内容の改ざん有無を判定するための閾値を決定する閾値決定方法であって:
    一組の画像と,各画像の画像特定情報と,を含む評価対象データを入力する評価対象データ入力ステップと;
    入力された前記一組の画像の各々の特徴量を計測する特徴量計測ステップと;
    前記計測された各画像の特徴量の差分値を求める特徴量差分算出ステップと;
    前記評価対象データに含まれる前記各画像の画像特定情報に基づいて,前記一組の画像の画像特定情報が同一である第1グループ,または同一でない第2グループのいずれかに対応付けて複数の前記差分値を記憶部に記憶する集計対象データ記憶ステップと;
    前記集計対象データ記憶部の記憶内容に基づいて,前記第1グループに対応付けられた前記差分値の度数分布及び/又は前記第2グループに対応付けられた前記差分値の度数分布を作成する集計ステップと;
    どちらか一方または双方の前記度数分布に基づいて前記閾値を決定する閾値決定ステップと;
    を含むことを特徴とする,閾値決定方法。
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