JP4155843B2 - 場所打ち杭の周面摩擦力を増加させる膨張部材および該膨張部材を用いた施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は場所打ち杭の周面摩擦力を増加せる膨張部材と、この膨張部材を利用した場所打ち杭の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
場所打ち杭工法は在来の打撃による杭打ち工法に比較して騒音、振動が少ないため、低騒音、低振動工法として使われている。この工法では、掘削した孔内に鉄筋籠を建て込み、コンクリートを打ち込んでいるが、杭コンクリートと地盤の間には掘削時のスライム、いわゆるマッドケーキが挟まっている。このマッドケーキがあるため、地盤と杭の摩擦抵抗の信頼性が低く、結果として杭周面での支持力低下につながっている。既製杭においては杭周面摩擦力を大きくするために表面に凹凸を形成することは行われているが、場所打ち杭ではない。なお、鋼管杭内の芯杭を場所打ちコンクリート杭とする場合に、鋼管杭と芯杭の間に粘性流体を充填することにより周面摩擦抵抗を大きくするものは提案されている。
【0003】
【引用文献1】
特開平9ー170232号公報(【0010】)
しかし、引用文献1では鋼管杭を必要とし、工法が大がかりであり工事費の削減を図ることは困難である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決しようとするもので、簡単な方法で、杭の周面摩擦力を増加させ、工事費の削減を図ろうとするものである。
本発明は、場所打ち杭のかぶり部に取り付けられ、杭の周面摩擦を増加させる膨張部材であって、前記膨張部材は外側がセメント等固化材でその内側に膨張材または発泡材が組み込まれた構造であり、セメント等固化材に硬化遅延材を混ぜたことを特徴とする。
また、本発明は、場所打ち杭のかぶり部に取り付けられ、杭の周面摩擦を増加させる膨張部材であって、前記膨張部材はセメント等固化材に膨張材あるいは発泡材を混ぜた構造であり、セメント等固化材に硬化遅延材を混ぜたことを特徴とする。
また、本発明は、前記膨張材または発泡材を時間経過により溶けるまたは水を通す材料からなるカプセルに入れたことを特徴とする。
また、本発明は、前記膨張材または発泡材に反応遅延材を混ぜたことを特徴とする。
また、本発明は、場所打ち杭のかぶり部に取り付けられ、杭の周面摩擦を増加させる膨張部材であって、前記膨張部材は外側がセメント等固化材でその内側に膨張材または発泡材が組み込まれた構造であり、セメント等固化材を時間経過により溶けるまたは水を通す材料からなるカプセルに入れたことを特徴とする。
また、本発明は、場所打ち杭のかぶり部に取り付けられ、杭の周面摩擦を増加させる膨張部材であって、前記膨張部材はセメント等固化材に膨張材あるいは発泡材を混ぜた構造であり、セメント等固化材を時間経過により溶けるまたは水を通す材料からなるカプセルに入れたことを特徴とする。
また、本発明は、前記膨張材または発泡材に反応遅延材を混ぜたことを特徴とする。
また、本発明は、上記記載の膨張部材を場所打ち杭のかぶり部に取り付けた場所打ち杭の施工方法を特徴としている。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本実施の形態において使用する膨張部材の構造を説明する図、図2は場所打ち杭に取り付けた膨張部材とその膨張による杭の周面摩擦力を増加させる様子を説明する図である。
【0006】
図1(a)の膨張部材10は外側がセメント系固化材11で、その内側に石灰系膨張材あるいはアルミ粉末等の膨張材あるいは発泡材12を組み込んだものであり、図1(b)の膨張部材10はセメント系固化材11に石灰系膨張材あるいはアルミ粉末等の膨張または発泡材12を混ぜ合わせた構造からなっている。これらの膨張部材を、例えば、掘削した孔内に建て込んだ鉄筋籠に紙や布等に入れて杭周面を囲むようにリング状に、あるいは鉄筋籠の所々に取り付けるようにする。
【0007】
この膨張部材は杭コンクリートの硬化よりも遅れて膨張し、硬化する。杭コンクリートの硬化よりも膨張・硬化を遅らせる方法としては、
▲1▼セメント等固化材に硬化遅延材を混ぜる。
▲2▼セメント等固化材を前述のカプセルに入れる。
の方法がある。さらに、▲1▼の方法においては、
1)膨張材または発泡材をカプセルに入れておく。
2)膨張材または発泡材に反応遅延材を混ぜる。
を組み合わせてもよい。
また、▲2▼の方法においては、
1)膨張材または発泡材には特別な処置はしない。
2)膨張材または発泡材に反応遅延材を混ぜる。
を組み合わせてもよい。
【0008】
なお、上記方法において、カプセルは数日間は形を保持するが、時間経過に伴って温度や水素イオン濃度、浸透する水の条件により溶けたり水を通すようになる材料、例えば布や和紙等の材料からなる。
【0009】
図2は場所打ち杭コンクリート30のかぶり部31に膨張部材10が取り付けられた様子を示し、杭コンクリート30が硬化した後、膨張部材が膨張・硬化し、図示する膨張部材20のように、膨張して杭周面に凸部が形成される。このような凹凸が杭表面に形成されることにより、凸部がマッドケーキを破って地盤に食い込み、周面摩擦力を増加させる。
【0010】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、場所打ち杭コンクリートのかぶり部に棒状や球状、リング状等の膨張部材を取り付け、杭コンクリートが硬化中、あるいは硬化後に膨張して硬化し、地中に凸部が形成されることにより、杭表面に凹凸が形成され、周面摩擦力を増加させることができる。このように、簡単な方法で杭周面摩擦力を向上させることができ、工事費の削減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態において使用する膨張部材の構造を説明する図である。
【図2】 場所打ち杭に取り付けた膨張部材とその膨張による杭の周面摩擦力を増加させる様子を説明する図である。
【符号の説明】
10…膨張部材、11…セメント系固化材、12…膨張材または発泡材、20…膨張・硬化後の膨張部材、30…杭コンクリート、31…かぶり部。
Claims (8)
- 場所打ち杭のかぶり部に取り付けられ、杭の周面摩擦を増加させる膨張部材であって、前記膨張部材は外側がセメント等固化材でその内側に膨張材または発泡材が組み込まれた構造であり、セメント等固化材に硬化遅延材を混ぜたことを特徴とする場所打ち杭の周面摩擦力を増加させる膨張部材。
- 場所打ち杭のかぶり部に取り付けられ、杭の周面摩擦を増加させる膨張部材であって、前記膨張部材はセメント等固化材に膨張材あるいは発泡材を混ぜた構造であり、セメント等固化材に硬化遅延材を混ぜたことを特徴とする場所打ち杭の周面摩擦力を増加させる膨張部材。
- 前記膨張材または発泡材を時間経過により溶けるまたは水を通す材料からなるカプセルに入れたことを特徴とする請求項1または2記載の膨張部材。
- 前記膨張材または発泡材に反応遅延材を混ぜたことを特徴とする請求項1または2記載の膨張部材。
- 場所打ち杭のかぶり部に取り付けられ、杭の周面摩擦を増加させる膨張部材であって、前記膨張部材は外側がセメント等固化材でその内側に膨張材または発泡材が組み込まれた構造であり、セメント等固化材を時間経過により溶けるまたは水を通す材料からなるカプセルに入れたことを特徴とする場所打ち杭の周面摩擦力を増加させる膨張部材。
- 場所打ち杭のかぶり部に取り付けられ、杭の周面摩擦を増加させる膨張部材であって、前記膨張部材はセメント等固化材に膨張材あるいは発泡材を混ぜた構造であり、セメント等固化材を時間経過により溶けるまたは水を通す材料からなるカプセルに入れたことを特徴とする場所打ち杭の周面摩擦力を増加させる膨張部材。
- 前記膨張材または発泡材に反応遅延材を混ぜたことを特徴とする請求項5または6記載の膨張部材。
- 請求項1〜7いずれか記載の膨張部材を場所打ち杭のかぶり部に取り付けたことを特徴とする場所打ち杭の施工方法。
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