JP4154783B2 - データ伝送方法及びデータ伝送ルータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体通信ネットワークにおけるデータ伝送ルータに関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信ネットワークの広域化が進み、広域ネットワーク内を列車等に搭載されたコンピュータや端末(以下移動ノードと記す)が自由に移動できるようになりつつある。
この場合に要求される重要なことは、移動ノードが、移動した位置にかかわらず同一の計算機環境を得る事である。この問題を解決するために、種々の技術開発が成されている。例えば「VIP:ホスト移動透過性を提供するプロトコル、日本ソフトウェア科学会コンピュータソフトウェア、Vol.10、4.寺岡文男」等に開示されている。
【0003】
この開示された技術では、移動ノードを特定する固体識別子と、ネットワーク内での移動ノードの位置を表す位置識別子が用いられる。ネットワーク内に配置されている複数個のルータ(中継装置)は、これらの識別子によって構成されるエントリ(ここでは移動ノードの特定と位置を表す項目)を格納するアドレス変換表を所持する。複数個のルータ(中継装置)の一つがホームルータとして選択される。ホームルータは、ネットワーク内の移動ノードを一括管理する。
【0004】
移動ノードは、移動直後に自己のエントリを格納又は更新するためにホームルータにあてて固体識別子と位置識別子を書き込んだ制御パケットを送出する。この制御パケットは、ホームルータに至る経路上にある複数個のルータ(中継装置)を経由してホームルータへ転送される。この複数個のルータ(中継装置)は、制御パケットを受け入れたとき、自己が所持するアドレス変換表に移動ノードのエントリを追加又は更新する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の技術には、以下に記す解決されるべき課題が残されていた。
上記のように移動ノードの移動先を認識しているルータ(中継装置)は、制御パケットが通過した経路上にあるルータ(中継装置)のみである。更に、上記移動体の過去の位置を認識しているルータは、長時間過去の認識を維持する。その結果上記移動体に向けて送出されたパケットが過去の位置に誤転送される場合も多く、パケット損失を招き通信遅延を招くことが多く発生した。特に、上記移動ノードが高速で移動する場合や、頻繁に移動する場合等に顕著であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
〈構成1〉
制限された移動路上を移動する移動ノードが、上記移動ノードを管理するホームルータに向けて自己の位置をす制御パケットを送信するデータ伝送方法において、上記動路近傍に位置するルータに、上記制御パケットを受信させて上記ホームルータに上記制御パケットを転送させかつ上記制御パケットをコピーした再生成パケットを生成させ再生成パケットを上記動路近傍で自己に隣接する他のルータへ転送させること、上記ータに上記制御パケットに基づいて上記移動ノードの位置を登録させると共に、上記他のルータに再生成パケットに基づいて上記移動ノードの位置を登録させることを特徴とするデータ伝送方法。
【0007】
〈構成2〉
構成1に記載されたデータ伝送方法において、上記制限された移動路近傍に位置するルータは、上記制限された移動路近傍で、自己に隣接する他のルータを予め定めた制御パケット配信表を参照して上記再生成パケットを転送することを特徴とするデータ伝送方法。
【0008】
〈構成3〉
構成1又は構成2に記載されたデータ伝送方法において、上記ルータから再生成パケットを受け入れた上記他のルータは、この再生成パケットを再生成して上記制限された移動路近傍で、自己に隣接する更に他のルータに転送することを特徴とするデータ伝送方法。
【0009】
〈構成4〉
構成3に記載されたデータ伝送方法において、上記移動ノードから制御パケットを受信した上記ータは他のルータによるパケットの再生成を制限させるための情報を再生成パケットに付加することを特徴とするデータ伝送方法。
〈構成5〉
制限された移動路上を移動する移動ノードから該移動ノードの位置を示す制御パケットを受信し、該制御パケットを移動ノード管理用のホームルータに送信するデータ伝送ルータであって、上記制御パケットをコピーして再生成パケットを生成するパケット再生成部と、上記移動路及び自己に隣接する他のデータ伝送ルータを判定し、該他のデータ伝送ルータに、上記移動ノードの位置を登録させるために上記再生成パケットを送信する送信制御部と、上記制御パケットに基づいて上記移動ノードの位置を登録する位置登録部とを含むことを特徴とするデータ伝送ルータ。
〈構成6〉
構成5に記載されたデータ伝送ルータにおいて、上記他のデータ伝送ルータを判定するための制御パケット配信表を更に備えることを特徴とするデータ伝送ルータ。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明では、移動ノードが移動直後にホームルータにあてて自己の位置を表す制御パケットを送出する。
制限された移動路上を、例えば列車等に搭載された移動ノードが、ネットワーク内の移動ノードを一括管理するホームルータに向けて制御パケットを送信する。上記列車の鉄路等の近傍に位置するルータ(中継装置)が、上記移動ノードからこの制御パケットを受け入れる。
【0011】
このルータは、ホームルータに向けた経路上の後に続くルータに上記制御パケットを転送する。更に制御パケットをコピーした再生成パケットを作成して、この再生成パケットを前記所定の鉄路等にそって自己に隣接する他のルータへ転送する。この再生成パケットを受け入れた上記鉄路等の近傍に隣接する他のルータは、更に上記鉄路等の近傍で自己に隣接する他のルータに向けて再生成パケットを転送する。この動作を所定の回数繰り返す。従って、鉄路等の近傍に位置するルータは短時間の内に移動ノードの移動先を認識することになる。
【0012】
その結果、あるノードが上記ホームルータへの経路以外のルータを経由して移動ノードと交信する際、パケットが誤転送される確率が少なくなり、パケットの損失や通信遅延が、低減される。以上の目的を達成するために、本発明によるデータ伝送方法には以下に記すデータ伝送装置を備えたルータが配置される。
【0013】
〈具体例の構成〉
以下、本発明を図示の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明によるデータ伝送方法の説明図である。
図は、移動体通信システムの中で本発明によるデータ伝送方法によってどのようにデータ伝送されるかを説明する説明図である。この図を用いてデータ伝送方法について説明する前に、本発明に用いられるルータに備えられているデータ伝送装置について図を用いて説明する。
【0014】
図2は、データ伝送装置の構成図である。
図2より、本発明によるデータ伝送装置は、経路表1とアドレス変換表2と制御パケット配信表3と制御部5を備える。
経路表1は、受け入れたパケットのアドレス情報に基づいて、パケットの送信経路を表示するメモリである。即ち、パケットの進むべき方向を指示する経路標識に相当する。
【0015】
アドレス変換表2は、移動ノードの移動後の位置をリストアップ(表示)したメモリである。その一例について図を用いて説明する。
図3は、アドレス変換表の説明図である。
図3に示すように、アドレス変換表は、移動ノードの固体識別子と移動ノードの位置識別子からなるエントリ(項目)を格納する。
【0016】
ここで固体識別子とは、移動ノードを特定するために用いられる識別子であり、位置識別子とは、個々のノードが所属するネットワーク上での位置を表す識別子である。通常IP(インタネット・プロトコル)のアドレス体系に従って8ビットからなるフィールド4個で構成される。各フィールドを10進数で表記しフィールド間をピリオドで区切る。例えば133.149.10.50のように表される。
【0017】
再度図2に戻って本発明によるデータ伝送装置の構成についての説明を続ける。制御パケット配信表3は、ルータが制御パケットを受け入れた時にそのパケットの送信先を読み取って、その送信経路外に位置するルータ宛てに再生成パケットを送信するために参照するリストである。この再生成パケットは上記制御パケットをコピーすることによって得られる。
制御パケット配信表3の一例について図を用いて説明する。
【0018】
図4は、制御パケット配信表の説明図である。
図4に示すように、再生成パケットが転送される配信先のルータのエントリ(項目)がリストアップされている。この配信先は、上記所定の移動路にそって自己に隣接するルータがリストアップされている。
次に制御パケット及び再生成パケットについて図を用いて説明する。
【0019】
図5は、制御パケット及び再生成パケットの説明図である。
(a)は、制御パケットを(b)は、再生成パケットを、それぞれ表している。
本発明の開示に必要な部分のみについて説明し、本発明の開示に直接必要の無い部分については説明を割愛する。
図5に示すように、送信元の位置識別子、送信先の位置識別子、ターゲットノードの固体識別子、ターゲットノードの位置識別子、制御パケット識別情報が、書き込まれている。
【0020】
送信元の位置識別子は、この制御パケットを送信した移動ノードのネットワーク上での位置を表している。
送信先の位置識別子は、この制御パケット又は再生成パケットの着信先のネットワーク上での位置を表している。この着信先は、制御パケットの場合はホームルータの位置を表している(a)。再生成パケットの場合は、配信表にリストアップされているルータのネットワーク上での位置を表している(b)。
【0021】
ターゲットノードの固体識別子は、移動により位置識別子が変更された移動ノードを特定している。
ターゲットノードの位置識別子は、移動により位置識別子が変更された移動ノードのネットワーク上での位置を表している。
このターゲットノードの固体識別子とターゲットノードの位置識別子に基づいてアドレス変換表2のエントリが追加又は更新される。
【0022】
制御パケット識別情報には、制御パケットの場合は、制御パケット生成時の時刻(タイムスタンプ)が記載される(a)。同様に再生成パケットの場合は、再生成パケット生成回数と、その再生成パケットを生成したルータの位置識別子が記載される(b)。後に詳細に説明するが、予め、鉄路等の規模から設定されている再生成が認められる回数、即ち閾値よりも小さい間は、再生成パケットが再生成される。この生成回数が閾値と等しくなったときに再生成が停止される。
又、この位置識別子を記載することによって、隣り合うルータ同士での再生成パケットのやり取りや、制御パケットの経路内へ再生成パケットが混入すること等を避けることができる。
【0023】
再度図2に戻って本発明によるデータ伝送装置のOSI参照モデル4についてカーネル空間(中核部分)に限定して説明を加える。
以上説明した経路表1とアドレス変換表2と制御パケット配信表3は、OSI参照モデル4のIP44(ネットワーク層)に配置される。
【0024】
システムコールインタフェース41は、ファイル入出力関数等、ユーザ空間のプログラムに、アプリケーションプログラムインタフェース(API)を提供する部分である。
ソケット42は、通信路を設定する関数等、ネットワーク用アプリケーションプログラムインタフェース(API)を提供する部分である。
【0025】
TCP・UDP43は、TCP(トランスミッションコントロールプロトコル)、UDP(ユーザデータグラムプロトコル)等、トランスポート層のプロトコルが実装される部分である。
IP44は、IP等、ネットワーク層のプロトコルが実装されている部分である。本発明によるデータ伝送装置もこの階層に実装されている。
共通インタフェース45は、デバイス毎の差異を吸収し、複数種類のネットワークインタフェースを同じに扱えるようにする部分である。
【0026】
ネットワークインタフェース46は、イーサネット等、データリンク層のプロトコルが実装される部分である。
ハードウェアデバイスドライバ47は、ハードウェアデバイスが実装される部分である。
【0027】
制御部5は、パケットの転送を制御する部分である。以下に説明する制御動作は、予め指定されたプログラムに従って、ルータ内部に備えられているマイクロプロセッサによって制御される。或いは、独自に個々の制御動作毎にハードウェアで構成されてもよい。
【0028】
〈具体例の動作〉
再度図1に戻って本発明によるデータ伝送方法について具体例を用いて説明する。
説明の都合上移動路を列車の鉄路に限定し、移動ノードを列車に搭載された移動ノードに限定して説明する。
図1において、MHは移動ノードを、HRはホームルータを、R1〜R18はルータを、Lsは制御パケットの経路を、Ltは鉄路を、それぞれ表している。A市〜S市は通信ネットワークが構成されている地域に存する都市を表している。
【0029】
図6は、パケットの処理動作説明図である。
図1、図6を用いて、列車に搭載された移動ノードMHが鉄路Lt上をB市からA市へ移動した時の制御パケット及び再生成パケットの処理動作について説明する。尚、前提条件として閾値を3と設定する。
【0030】
図1において、列車がB市からA市に入ったとき、列車に搭載された移動ノードMHは、まず最初にホームルータHRに向けて、制御パケット(図5(a))を送出する。このとき、図5(a)の送信元の位置識別子には、移動ノードMHの位置が、送信先の位置識別子にはホームルータHRの位置が記載される。同時にターゲットノード固体識別子には、移動ノードMHが、ターゲットノード位置識別子には、移動ノードMHの位置が記載される。又、制御パケット識別情報には、移動ノードMHが制御パケットを送出した時刻が記載される。
以下図6に移ってパケットの処理動作について説明する。
【0031】
ステップS1
ルータR1(図1)は、上記制御パケットを移動ノードMH(図1)から受け入れる。
ステップS2
ルータR1(図1)の制御部5(図2)は、送信先の位置識別子を参照して自己の位置識別子と一致していないことを認識する。即ち、このパケットはホームルータHR(図1)へ向けての制御パケットであることを認識してステップS3へ進む。
【0032】
ステップS3
ルータR1(図1)の制御部5(図2)は、自己が管理する経路表1(図2)に基づいてホームルータHR(図1)への経路を判断してこの制御パケットをルータR2(図1)へ転送してステップS4へ進む。
【0033】
ステップS4
ルータR1(図1)の制御部5(図2)は、自己が管理する制御パケット配信表(図4)を参照して予め定められている全ての配信先へ再生成パケット(図4(b))を送出する。この再生成パケット(図4(b))には、移動先の位置識別子として鉄路Lt近傍でルータR1(図1)に隣接するルータ(図1上では、ルータR4又はルータR12)がそれぞれ個別にエントリとして記載される。更に、再生成回数(ここでは最初のコピーなので1)とコピーしたルータの位置識別子(ここではR1の位置識別子)が記載される。それ以外は制御パケットと同一内容である。このステップS4の動作については後に他の図を用いて再度詳細に説明する。
【0034】
ステップS5
ルータR1(図1)の制御部5(図2)は、制御パケットの記載に基づいて自己が管理するアドレス変換表2(図2)にターゲットノード固体識別子及び、ターゲットノード位置識別子を追加又は更新した後パケットの処理動作を終了する。
【0035】
この時点で制御パケット(図5(a))は、ルータR2(図1)へ、再生成パケット(図5(b))はルータR4(図1)及びルータR12(図1)へ進んでいる。
次に、再度図6を用いてルータR4(図1)へ進んだ再生成パケット(図5(b))の処理動作について説明する。ルータR12(図1)へ進んだ再生成パケット(図5(b))の処理動作とルータR4(図1)へ進んだ再生成パケット(図4(b))の処理動作は全く同様なのでここではルータR4(図5)へ進んだ再生成パケット(図5(b))の処理動作のみについて説明する。
【0036】
ステップS1
ルータR4(図1)は、上記再生成パケットをルータR1(図1)から受け入れる。
ステップS2
ルータR4(図1)の制御部5(図2)は、送信先の位置識別子を参照して自己の位置識別子と一致していることを認識する。即ち、このパケットは自己へ向けての再生成パケットであることを認識してステップS6へ進む。
【0037】
ステップS6
ルータR4(図1)の制御部5(図2)は、制御パケット識別情報に記載されている再生成回数を読み取る。この回数が再生成回数の閾値(上記前提より3回)以上になったとき、ステップS5へ飛ぶ。ここではまだルータR1での再生成回数1回のみなのでS7へ進む。
ステップS7
再生成パケットの制御パケット識別情報に再生成回数2を記載してステップS8へ進む。
【0038】
ステップS8
ルータR4(図1)の制御部5(図2)は、自己が管理する制御パケット配信表を参照して予め定められている全ての配信先へ再生成パケット(図5(b))を送出してステップS5へ進む。ここでは配信先としてルータR5が記載されている。再生成パケット(図5(b))には、移動先の位置識別子として隣接のルータ(図1上では、ルータR5)が記載される。このステップS8の動作については後に他の図を用いて再度詳細に説明する。
【0039】
ステップS5
ルータR4(図1)の制御部5(図2)は、再生成パケットの記載に基づいて自己が管理するアドレス変換表2(図2)に移動ノードMH(図1)のターゲットノード固体識別子及び、ターゲットノード位置識別子を追加又は更新した後パケットの処理動作を終了する。
【0040】
ルータ12(図1)の処理動作も全く同様なので説明を割愛する。
以後ルータR5(図1)とルータR13(図1)は、ルータR4とルータR12(図1)から、それぞれ再生成パケットを受け入れて、再生成回数2回であることを認識する。上記と同様の動作によって再生成パケット(図5(b))をルータR6(図1)とルータR1(図1)へそれぞれ転送する。
【0041】
続いて、ルータR6(図1)とルータR18(図1)が、それぞれルータR5(図1)とルータR13(図1)から再生成パケットを受け入れたとき、再生成回数3回であることを認識する。このとき処理動作は上記ステップS6から直接ステップS5へ飛ぶ。
【0042】
ルータR6(図1)とルータR18(図1)は、再生成パケットの記載に基づいて自己が管理するアドレス変換表2(図2)に移動ノードMH(図1)のターゲットノード固体識別子及び、ターゲットノード位置識別子を追加又は更新した後パケットの処理動作を終了する。
【0043】
以上の動作中に、制御パケット(図5(a))は、ルータR2(図1)を通過してホームルータHR(図1)へ向かって進行中である。制御パケット(図4(a))は、ホームルータHR(図5)に向けて転送され続け、ホームルータHR(図5)に着信したときにホームルータHR(図5)のアドレス変換表2(図1)に移動ノードMHのエントリ(項目)を更新、又は追加してその役目を終える。
【0044】
次に図を用いて上記ステップS4とステップS8の動作について説明する。
図7は、制御パケットの配信処理動作説明図である。
上記ステップS4とステップS8における配信処理動作は、ステップS9〜ステップS12を通って処理される。
ステップS9
各ルータの制御部5(図2)は、自己が管理する制御パケット配信表を参照して順番に1エントリ毎に読み出してステップS10へ進む。
【0045】
ステップS10
全てのエントリを読み終わるまではステップS11へ進む。
ステップS11
制御部5(図2)は、自己が管理する制御パケット配信表を参照して、送信先を書き替えた再生成パケットを作成してステップS12へ進む。
【0046】
ステップS12
制御部5(図2)は、再生成パケットを、書き替えた送信先へ向けて送信した後再度ステップS9へ戻って同様の動作を繰り返す。自己が管理する制御パケット配信表に記載されている全てのエントリ(項目)についての再生成パケットを送信する。その後動作を終了してステップS10から図6のステップS4又はS8へ戻る。
【0047】
以上ルータR1から送信された再生成パケットの動作を閾値3回に限定して説明した。これはあくまで一例であって閾値を大きくして、移動ノードMHが移動する鉄路Ltの近傍にあるルータの全てに移動ノードの移動先を認識させることも可能である。
【0048】
尚、ここでは、予め閾値を定めておいて、再生成回数が閾値に等しくなったときに再生成を停止する方法に限定して説明した。しかし、本発明はこの方法に限定されるものではない。即ち、制御パケットを受け入れたルータが再生成パケットを生成するときに予め定めた閾値を再生成パケットの制御パケット識別情報に書き込む。以後、他のルータが再生成パケットを再生成する度毎に1減算し、この値が0になったとき再生成パケットの再生成を停止する。以上の方法をとることも可能である。
【0049】
又、制御パケットの経路上にある他のルータ(図1のルータR2、ルータR3)については、特に再生成パケットの配信について説明しなかったが、ネットワークの事情が許すならば配信させることも可能である。一例として、移動ノードがB市に有ったときの制御パケットの経路上にある他のルータ(図1のルータR11、ルータR15)に限って配信すること等も可能である。
【0050】
又、説明の都合上所定の移動路を列車の鉄路Ltに限定して説明したが、本発明は、これに限定されるものではない、即ち、高速道路上であっても良いし、航空機の定期航路であっても良い。
更に、ここでは説明の都合上移動ノードの移動に限定して説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
即ち、列車内で複数個のノードによって構成されるサブネットワークに対しても全く同様に適合できる。
【0051】
【本発明の効果】
以上説明したように、所定の移動路近傍に位置するルータが制御パケットのコピーである再生成パケットを作成し、上記所定の移動路にそって自己に隣接する他のルータへ転送することによって以下の効果を得る。
【0052】
1.移動ノードが移動したときに、移動路近傍に位置するルータに移動ノードの移動先を短時間の内に認識させることができる。
2.同時に移動前のエントリを短時間の内に更新することができる。
3.再生成回数の閾値を設定することにより、移動ノードの移動先を認識しているルータの数量と、処理時間をネットワークの規模に合わせて自由に選択できる。
4.以上の結果パケット損失を招き通信遅延を招くことが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるデータ伝送方法の説明図である。
【図2】データ伝送装置の構成図である。
【図3】アドレス変換表の説明図である。
【図4】制御パケット配信表説明図である。
【図5】制御パケット及び再生成パケットの説明図である。
【図6】パケットの処理動作説明図である。
【図7】制御パケットの配信処理動作説明図である。
【符号の説明】
A市〜S市 都市
HR ホームルータ
Lt 鉄路
Ls 制御パケットの経路
MH 移動ノード
R1〜R18 ルータ

Claims (6)

  1. 制限された移動路上を移動する移動ノードが、前記移動ノードを管理するホームルータに向けて自己の位置をす制御パケットを送信するデータ伝送方法において、
    記移動路近傍に位置するルータに、前記制御パケットを受信させて前記ホームルータに前記制御パケットを転送させかつ前記制御パケットをコピーした再生成パケットを生成させ再生成パケットを前記移動路近傍で自己に隣接する他のルータへ転送させること、
    記ルータに前記制御パケットに基づいて前記移動ノードの位置を登録させると共に、前記他のルータに再生成パケットに基づいて前記移動ノードの位置を登録させることを特徴とするデータ伝送方法。
  2. 請求項1に記載されたデータ伝送方法において、
    前記制限された移動路近傍に位置するルータは、前記制限された移動路近傍で、自己に隣接する他のルータを予め定めた制御パケット配信表を参照して前記再生成パケットを転送することを特徴とするデータ伝送方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載されたデータ伝送方法において、
    前記ルータから再生成パケットを受け入れた前記他のルータは、この再生成パケットを再生成して前記制限された移動路近傍で、自己に隣接する更に他のルータに転送することを特徴とするデータ伝送方法。
  4. 請求項3に記載されたデータ伝送方法において、
    前記移動ノードから制御パケットを受信した前記ルータは他のルータによるパケットの再生成を制限させるための情報を再生成パケットに付加することを特徴とするデータ伝送方法。
  5. 制限された移動路上を移動する移動ノードから該移動ノードの位置を示す制御パケットを受信し、該制御パケットを移動ノード管理用のホームルータに送信するデータ伝送ルータであって、
    前記制御パケットをコピーして再生成パケットを生成するパケット再生成部と、
    前記移動路及び自己に隣接する他のデータ伝送ルータを判定し、該他のデータ伝送ルータに、前記移動ノードの位置を登録させるために前記再生成パケットを送信する送信制御部と、
    前記制御パケットに基づいて前記移動ノードの位置を登録する位置登録部と、
    を含むことを特徴とするデータ伝送ルータ。
  6. 請求項5に記載のデータ伝送ルータにおいて、
    前記他のデータ伝送ルータを判定するための制御パケット配信表を更に備えることを特徴とするデータ伝送ルータ。
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