JP4154482B2 - 渦電流変位センサの動的線形性計測方法及び計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、計測に用いる渦電流変位センサの動的線形性を計測する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(1)従来渦電流変位センサによる動的変位計測では、その動的特性を計測標準のトレーサビリティにのせようとする努力は払われていない。
(2)高い周波数にも応答するとのデータがメーカから提出されているが、その技術的根拠になりうる高速の平面運動発生技術がなかった。
(3)動的線形性は、従来動的計測全般において問題にすることが出来なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来まったくトレーサビリティの体系に組み込まれていない渦電流変位センサの動的性能に関し、動的計測の基礎になる動的線形性を計測するための計測方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測方法は、金属棒の端面に二重構造の発射管から発射される飛翔体を衝突させることによって金属棒内部に弾性波パルスを発生させ、発生した弾性波パルスがもう一方の金属棒の端面に到達した時に生じる金属棒端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサとレーザ干渉計により同時に計測するとともに、内側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、及び内側発射管と外側発射管の両方から飛翔体を発射させて金属棒に同時に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号を、時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測方法は、金属棒の端面に二重構造をした発射管から発射される飛翔体を衝突させることによって金属棒内部に弾性波パルスを発生させ、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサと棒側面の軸方向の一箇所に貼り付けたひずみゲージの出力信号をそのまま用いて同時に計測するとともに、内側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、及び内側発射管と外側発射管の両方から飛翔体を発射させて金属棒に同時に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測方法は、金属棒の端面に発射管から発射される飛翔体を衝突させることによって、棒内部に弾性波パルスを発生させ、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサで計測すると同時に、棒側面の軸方向の複数箇所に貼り付けたひずみゲージの出力信号をそのまま用いて代表位置における代表値に変換して計算するとともに、内側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、及び内側発射管と外側発射管の両方から飛翔体を発射させて金属棒に同時に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測方法は、金属棒の端面に発射管から発射される飛翔体を衝突させることによって、棒内部に弾性波パルスを発生させ、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサで計測すると同時に、棒側面の軸方向の一箇所に貼り付けたひずみゲージの出力信号に対して波動の分散、減衰を考慮するために弾性波パルスの伝ぱ理論による補正を適用して計算するとともに、内側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、及び内側発射管と外側発射管の両方から飛翔体を発射させて金属棒に同時に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測方法は、金属棒の端面に発射管から発射される飛翔体を衝突させることによって、棒内部に弾性波パルスを発生させ、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサで計測すると同時に、棒側面の軸方向の複数箇所貼り付けたひずみゲージの出力信号に対して波動の分散、減衰を考慮するために弾性波パルスの伝ぱ理論による補正を適用して計算するものにおいて、内側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、及び内側発射管と外側発射管の両方から飛翔体を発射させて金属棒に同時に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測方法は、金属棒の端面に発射管から発射される飛翔体を衝突させることによって、棒内部に弾性波パルスを発生させ、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサで計測すると同時に、棒側面の軸方向の一箇所に貼り付けたひずみゲージの出力信号に対して波動の分散、減衰を考慮するためにレーザ干渉計による端面の運動計測から得られる補正関数を適用して計算するものにおいて、計算した渦電流変位センサへの入力信号は、入力信号の加算性を確認するために用いる。最終段階として、内側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、及び内側発射管と外側発射管の両方から飛翔体を発射させて金属棒に同時に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測方法は、金属棒の端面に発射管から発射される飛翔体を衝突させることによって、棒内部に弾性波パルスを発生させ、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサで計測すると同時に、棒側面の軸方向の複数箇所に貼り付けたひずみゲージの出力信号に対して波動の分散、減衰を考慮するためにレーザ干渉計による端面の運動計測から得られる補正関数を適用して計算するとともに、内側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、及び内側発射管と外側発射管の両方から飛翔体を発射させて金属棒に同時に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測方法は、金属棒中の弾性波伝ぱの理論よってひずみゲージ出力信号から端面に入射する弾性波パルスの過渡ひずみ信号を求める際に、解析解の1次の項、あるいは、解析解の1次の項から2次以上の項までを用いることを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測方法は、金属棒端面の運動加速度計測、運動速度計測結果あるいはひずみゲージ計測、波動伝ぱ理論から導かれる渦電流変位センサ入力動的変位信号と渦電流変位センサの出力信号を周波数領域で比較することにより渦電流変位センサの周波数応答特性を求めるための前提として、必要不可欠である渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測方法は、二個の飛翔体の衝突の非同時性を考慮するために、内側飛翔体と外側飛翔体との金属棒に対する衝突時刻の差(Δt)を、内側飛翔体が金属棒に衝突したときに発生する渦電流変位センサへの入力過渡変位信号と外側飛翔体が金属棒に衝突したときに発生する渦電流変位センサへの入力過渡変位信号を(Δt)シフトした信号の和が、ほぼ同時に衝突したときに発生する渦電流変位センサへの入力過渡変位信号をもっともよくフィットするようなパラメータとして求め、内側飛翔体及び外側飛翔体をそれぞれ単独で発射した場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、時間差があるが内側飛翔体と外側飛翔体をほぼ同時に発射した時に得られる渦電流変位センサの出力信号から渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測方法は、軸方向に一箇所のみまたは、軸方向に複数箇所に貼り付けたひずみゲージの出力信号に対して、波動の分散、減衰、音速値の不確かさ、を補正するための補正関数をレーザ干渉計による計測結果から求める場合に、弾性波パルスが伝ぱする金属棒端面から離れた位置に渦電流変位センサを配置しないで求めることを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測方法は、軸方向に一箇所のみまたは、軸方向に複数箇所に貼り付けたひずみゲージの出力信号に対して、波動の分散、減衰、音速値の不確かさ、渦電流変位センサの配置の影響、を補正するための補正関数をレーザ干渉計による計測結果から求める場合に、弾性波パルスが伝ぱする金属棒端面に渦電流変位センサを取り付けて求めることを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測装置は、金属棒の端面に飛翔体を衝突させることによって金属棒内部に弾性波パルスを発生させるための二重構造をした発射管を設け、飛翔体が衝突しない方の金属棒の端面から離れた位置に、動的線形性を計測する渦電流変位センサおよびレーザ干渉計を配置したことを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測装置は、金属棒の端面に飛翔体を衝突させることによって金属棒内部に弾性波パルスを発生させるための二重構造をした発射管を設け、飛翔体が衝突しない方の端面から離れた位置に動的線形性を計測する渦電流変位センサを配置するとともに金属棒側面の軸方向の一箇所にひずみゲージを貼り付けたことを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測装置は、金属棒の端面に飛翔体を衝突させることによって金属棒内部に弾性波パルスを発生させるための二重構造をした発射管を設け、飛翔体が衝突しない方の端面から離れた位置に動的線形性を計測する渦電流変位センサを配置するとともに金属棒側面の軸方向の複数箇所にひずみゲージを貼り付けたことを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測装置は、飛翔体先端部に高分子材料、プラスティックス、木材などを取り付けるとともに、飛翔体本体部が金属、高分子材料、木材、あるいはプラスティックスなど異なる材料との積層構造を持つような飛翔体を用いて金属棒内部に発生する弾性波パルスの周波数帯域を制御して発生させることを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測装置は、内側発射管、外側発射管を多重にし、多重内側発射管、多重外側発射管各々から発射される複数個飛翔体の発射の位相を制御することによって、金属棒内部に発生する弾性波の周波数帯域を狭帯域化することを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測装置は、弾性波パルスを伝ぱさせる金属棒を軸方向への剛体運動を拘束しないようにベールベアリング、コロ軸受けなど、点接触によって水平に維持し、弾性波の伝ぱへの影響を最小限にすることを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測装置は、金属丸棒端面に金属球を接触させる形式で取り付け、その球に対して同心円状の多重の発射管から、発射タイミングを精密に制御した飛翔体を発射させて、棒内部に弾性波パルスを発生させることを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測装置は、波動の分散、波動の減衰、音速値の不確かさ、渦電流変位センサを配置することの影響、ゲージの周波数応答を補正する補正関数と、ゲージが貼り付けられた金属棒のセット、あるいは、波動の分散、波動の減衰、音速値の不確かさ、渦電流変位センサを配置することの影響、ゲージの周波数応答と、圧電物質による渦電流動的変位検出可能物質の平板の動的変位を補正する補正関数と、ゲージが貼り付けられ同時に端面に圧電物質と渦電流動的変位検出可能物質の平板がとりつけられた金属棒のセットを個別の渦電流変位センサに対応するための必要不可欠な交換部品セットとすることを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測装置は、金属棒単体で発生できる棒端面の動的変位の周波数帯域幅が不足している場合には、棒端面に圧電物質と渦電流動的変位検出可能物質の平板を取り付け、弾性波パルスの反射過程の適当なタイミングで圧電物質を駆動することによって、動的変位の周波数帯域幅を広帯域化することを特徴とする。
また、本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測装置は、波動の分散、波動の減衰、音速値の不確かさ、ゲージの周波数応答、棒端面に取り付けた圧電物質の高速微小動的変位の影響を補正する補正関数と、ゲージが貼り付けられた金属棒または、圧電物質が端面に取り付けられた金属棒をトレーサビリティの実現手段とすることを特徴とする。
【0005】
線形性が成り立たなければ、計測は普通なりたたない。動的計測における線形性すなわち動的線形性は、入力信号x(t)に対する出力信号をX(t)とし入力信号y(t)に対する出力信号をY(t)とするとき、任意定数a,bを用いて、入力信号a・x(t)+b・y(t)に対する出力信号がa・X(t)+b・Y(t)となることである、と定義される。ゲイン及び位相に関して動的線形性を明確にすることは、一般には容易ではない。しかし、次の手段により、可能となる。
金属棒端面から離れた位置に、測定対象の渦電流変位センサを設定し、渦電流変位センサと反対側の棒の端面に内側発射管から発射される内側飛翔体を衝突させることによって発生した弾性波パルスが渦電流変位センサ側の端面に到達したときに生じる端面の動的変位すなわち渦電流変位センサへの入力動的変位信号din,1(t)と渦電流変位センサの出力dout,1(t)を求める。次に、棒の端面に外側発射管から発射される外側飛翔体を衝突させることによって発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達したときに生じる端面の動的変位すなわち渦電流変位センサへの入力動的変位信号din,2(t)と渦電流変位センサの出力dout,2(t)を求める。
最後に内側飛翔体と外側飛翔体を同時に金属棒に衝突させた時に、渦電流変位センサへの入力信号として作用する動的変位信号は、弾性波の線形性から、din,1(t)+din,2(t)となる。この時に渦電流変位の出力信号をdout(t)とする。線形性が成立するとすれば、出力信号は、dout,1(t)+dout,2(t)となるから、この信号と、dout(t)を周波数領域あるいは時間領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性をゲイン、位相に関して計測するという装置及び手段を用いる。同時に発射させる時の内側発射管からの飛翔体及び外側発射管からの飛翔体は、それぞれ単独で発射される場合と同一形状、同一材質、同一構造であり、かつ同一発射条件(発射圧力、発射管の内部での初期位置など)でなければならない。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態を図面に基づき説明する。
〔実施の形態1〕
実施の形態1は、入力となる動的変位をレーザ干渉計による速度の計測から求めて、渦電流変位センサの動的線形性を求める場合を示すものである。
金属棒5の端面に発射管15、16から発射される飛翔体1、2を衝突させることによって、金属棒5内部に弾性波パルスを発生させる。飛翔体1、2が衝突しない方の端面から離れた位置に、動的線形性を計測する渦電流変位センサ9を配置する。発射管は、外側発射管15および内側発射管16の二重の構造にする。内側発射管16からのみ飛翔体2を発射させて金属棒5に衝突させる場合、外側発射管15からのみ飛翔体1を発射させて金属棒5に衝突させる場合、及び内側発射管16と外側発射管15の両方から飛翔体1、2を発射させて金属棒5に同時に衝突させる(同時でない場合には時間差を計測する)場合の各々について、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサ9とレーザ干渉計7(非接触で端面の速度を測定するその他の装置を含む。レーザ光を厳密に干渉させていない形式の速度測定装置をも含む)で同時に計測する。それぞれの場合について、金属棒5端面の動的変位を渦電流変位センサ9への入力信号とし、渦電流変位センサ9からの過渡的変位信号を求める。レーザ干渉計7により計測した渦電流変位センサへ9の入力信号は、入力信号の加算性を確認するために用いる。最終段階として、内側発射管16からのみ飛翔体2を発射させて金属棒5に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号、外側発射管15からのみ飛翔体1を発射させて金属棒5に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号、及び内側発射管16と外側発射管15の両方から飛翔体1、2を発射させて金属棒5に同時に衝突させる(同時でない場合には時間差を計測する)場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号を、時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位の動的線形性を計測する。
なお、本実施の形態において、外側飛翔体を単独で発射する場合、内側飛翔体を単独で発射する場合、両方の飛翔体を同時に発射する場合の全部で3通りの実験を行うが、条件さえ同じであれば、その順序は問わない。この点は、以下の各実施の形態においても同じである。
【0007】
実施の形態1においては、発射管15、16から発射された飛翔体1、2が、直径に比較して十分に長い金属棒5端面に衝突すると、内部に弾性波パルスが発生する。その弾性波パルスが、もう一方の端面に到達して反射するときの端面の動的変位d(t)は、金属棒内部の縦波弾性波速度Cと端面での入射弾性波パルスのひずみε(t)とによって、以下の式で表される。
【数1】
そこで、内側発射管16から飛翔体2が発射される場合に金属棒5端面に発生する動的変位と入射弾性波パルスのひずみを、それぞれdin , 1(t)、εin , 1(t)とする。外側発射管15から飛翔体1が発射される場合に端面に発生する動的変位と入射弾性波パルスのひずみを、それぞれdin , 2(t)、εin , 2(t)、とする。以下の式が成立する。
【数2】
【数3】
そこで、記号を以下の表のように定める。
表1:実施の形態1における記号の意味
(1.4)式が成立する範囲内で、(1.5) 式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることが評価対象である渦電流変位センサの動的線形性の評価である。
dS , 1+2(t)=dS , 1(t)+dS , 2(t) (1.4)
dt , 1+2(t)=dt , 1(t)+dt , 2(t) (1.5)
内側飛翔体2と外側飛翔体1の衝突が同時でない場合にはその時間差をΔtとすると, (1.6)式が成立する範囲内で、(1.7) 式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることが評価対象である渦電流変位センサ9の動的線形性の評価である。
dS , 1+2(t)=dS , 1(t)+dS , 2(t−Δt) (1.6)
dt , 1+2(t)=dt , 1(t)+dt , 2(t−Δt) (1.7)
【0008】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は、ひずみゲージ(軸方向に1個)出力をそのまま用いて、渦電流変位センサの動的線形性を計測する場合を示すものである。
金属棒5の端面に発射管15、16から発射される飛翔体1、2を衝突させることによって、金属棒5内部に弾性波パルスを発生させる。飛翔体1、2が衝突しない方の端面から離れた位置に、動的線形性を計測する渦電流変位センサ9を配置する。発射管15、16を二重の構造にする。内側発射管16からのみ飛翔体2を発射させて金属棒5に衝突させる場合、外側発射管15からのみ飛翔体1を発射させて金属棒5に衝突させる場合、及び内側発射管16と外側発射管15の両方から飛翔体1、2を発射させて金属棒5に同時に衝突させる(同時でない場合には時間差を計測する)場合の各々について、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサ9と棒側面の軸方向の一箇所(円周上に複数個のひずみゲージを貼ることを含む)に貼り付けたひずみゲージ6(増幅器を用いる場合も含む。ひずみゲージ6の種類によっては増幅器を用いない場合もある)の出力信号をそのまま用いて同時に計測する。計測した渦電流変位センサ9への入力信号は、入力信号の加算性を確認するために用いる。最終段階として、内側発射管16からのみ飛翔体2を発射させて金属棒5に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒5に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号、及び内側発射管16と外側発射管15の両方から飛翔体1、2を発射させて金属棒5に同時に衝突させる(同時でない場合には時間差を計測する)場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサ9の動的線形性を計測する。
【0009】
実施の形態2では、図1に示す装置例において飛翔体の衝突する端面から距離に貼ってあるひずみゲージ6の出力信号について、内側飛翔体2を単独で発射した場合、外側飛翔体1を単独で発射した場合、内側飛翔体2と外側飛翔体1を同時にかつ単独で発射した場合と同一の条件で発射した場合の各々についてεL1 , out , 1(t)、εL1 , out , 2(t)、εL1 , out , 1+2(t)とする。この場合、ひずみゲージ6の周波数応答特性、弾性波の分散、減衰、音速値の不確かさなどを考慮しないので、ゲージ6の出力信号であるひずみがそのまま、動的線形性を評価する渦電流変位センサ7への動的変位を発生する金属棒5端面への入射弾性波パルスのひずみになるとみなす。εL1 , out , 1(t)、εL1 , out , 2(t)、εL1 , out , 1+2(t)に対応する、評価対象の渦電流変位センサで計測した棒端面の動的変位信号を、dL1 , out , 1(t)、dL1 , out , 2(t)、dL1 , out , 1+2(t)とすれば、(2.1)式が成立する範囲内で、(2.2) 式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることが渦電流変位センサの動的線形性の評価である。
2CεL1 , out , 1+2(t)=2CεL1 , out , 1(t)+2CεL1 , out , 2(t) (2.1.)
dL1 , out,1+2(t)=dL1 , out , 1(t)+dL1 , out , 2(t) (2.2.)
内側飛翔体2と外側飛翔体1の衝突が同時でない場合には、その時間差をとすると、(2.3)式が成立する範囲内で、(2.4) 式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることが渦電流変位センサ9の動的線形性の評価である。
2CεL1 , out , 1+2(t)=2CεL1 , out , 1(t)+2CεL1 , out , 2(t−Δt) (2.3)
dL1 , out , 1+2(t)=dL1 , out , 1(t)+dL1 , out , 2(t−Δt) (2.4)
【0010】
〔実施の形態3〕
実施の形態3は、丸棒の軸方向に複数個貼り付けたひずみゲージの出力をそのまま用いて、渦電流変位センサの動的線形性を計測する場合を示すものである。
金属棒5の端面に発射管15、16から発射される飛翔体1、2を衝突させることによって、金属棒5内部に弾性波パルスを発生させる。飛翔体1、2が衝突しない方の端面から離れた位置に、動的線形性を計測する渦電流変位センサ9を配置する。発射管15、16を二重の構造にする。内側発射管16からのみ飛翔体2を発射させて金属棒5に衝突させる場合、外側発射管15からのみ飛翔体1を発射させて金属棒5に衝突させる場合、及び内側発射管16と外側発射管15の両方から飛翔体1、2を発射させて金属棒5に同時に衝突させる(同時でない場合には時間差を計測する)場合の各々について、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサ9で計測すると同時に、棒5側面の軸方向の複数箇所(円周上に複数個のひずみゲージを貼ることを含む)に貼り付けたひずみゲージ6(増幅器を用いる場合も含む。ゲージの種類によっては増幅器を用いない場合もある)の出力信号をそのまま用いて代表位置L1における代表値に変換して計算する。計算した渦電流変位センサ9への入力信号は、入力信号の加算性を確認するために用いる。最終段階として、内側発射管16からのみ飛翔体2を発射させて金属棒5に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号、外側発射管15からのみ飛翔体1を発射させて金属棒5に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号、及び内側発射管16と外側発射管15の両方から飛翔体1、2を発射させて金属棒5に同時に衝突させる(同時でない場合には時間差を計測する)場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測する。
【0011】
実施の形態3では、金属棒5の軸方向に複数個貼られているひずみゲージ6は、金属棒5の衝撃端面から、Ln(n=1・・・N)だけ離れた位置に貼られているとする。また、棒5の軸方向の複数位置に貼り付けたゲージ6の代表位置をL1とする。この場合、各Ln(n=1・・・N)位置において、照射端面への弾性波入射パルスと、反射弾性波パルスは分離して観察されなければならない。
弾性波の伝ぱ理論から衝撃端面から十分離れた丸棒断面での弾性波パルスのひずみは、平面波となるため衝撃端面からの距離zと時間t(t=0で飛翔体の衝突が始まるとする)で解析的に表すことが可能である。そこで、平面波としての丸棒内部のひずみε(z,t)を次式で表すことにする。
ε(z,t)=F(z,t) (3.1)
但し、F(z,t)は次のように表される(Skalakの解、級数展開の第一項目)
【数4】
ただしここで、
t:時刻
lp:飛翔体の長さ
Cp:飛翔体の中の縦波弾性波の伝ぱ速度
εt(z,t):スカラクの解析解の一次項
【数5】
【数6】
【数7】
ただしここで、
V1:飛翔体の衝突速度
t:衝突後の経過時間
ν:ポアソン比
Da:金属棒の直径
z:金属棒の軸方向の座標
多数のひずみゲージ6を用いて感度を上げるために、以下の手順を取る。位置Ln(n=1…N)における複数個のゲージ出力の断面での平均値を、(t=0は衝突開始時間)とする。波動伝ぱに時間がかかり、位置Ln(n=1…N)におけるひずみゲージ6の出力信号は同相ではないので、以下の手順により(3.6)式を用いて代表位置L1に貼ってあるゲージ6の出力と等価な出力に変換することができる。
【数8】
ここで、L,L-1は、ラプラス演算子、逆ラプラス演算子である。したがって、代表位置における弾性波パルスのひずみεr(L1,t)は以下の式で表される。
【数9】
複数のひずみゲージ6を用い出力信号の加算平均を計算することにより、ノイズの影響を減らし微小動的ひずみの計測が可能になる。
実施の形態3では、代表位置L1からビーム照射端面までの弾性波パルスの伝ぱによる弾性波動の分散、減衰などは考慮しない。ひずみゲージ6の動特性を考慮した補正も行わない。そこで、内側飛翔体2を単独で発射した場合、外側飛翔体1を単独で発射した場合、内側飛翔体2と外側飛翔体1を同時にかつ単独で発射した場合と同一の条件で発射した場合の各々について、代表位置L1における代表ひずみ信号を、εr , 1(L1,t)、εr , 2(L1,t)、εr , 1+2(L1,t)とすると、複数個のひずみゲージ6の代表位置L1から評価対象の渦電流変位センサ9が配置されている側の端面までの距離は、L−L1であるから、それぞれの場合にその端面の動的変位は,次式で表される。
【数10】
【数11】
【数12】
(3.8), (3.9), (3.10)の入力動的変位に対応する動的線形性を評価する渦電流変位センサ9の出力である動的変位信号をそれぞれ、
【数13】
とすると、(3.11)式が成立する範囲内で(3.12)式が成立することが、渦電流変位センサ9の動的線形性である。
【数14】
【数15】
内側飛翔体2と外側飛翔体1の衝突が同時でない場合には、その時間差をとすると(3.13)式が成立する範囲内で、(3.14)式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることが渦電流変位センサ9の動的線形性の評価である。
【数16】
【数17】
【0012】
〔実施の形態4〕
実施の形態4は、ひずみゲージ出力(1個)を理論的に補正して端面への入射弾性波パルスのひずみを求め、渦電流変位センサの動的線形性を計測する場合を示すものである。
金属棒5の端面に発射管15、16から発射される飛翔体1、2を衝突させることによって、金属棒5内部に弾性波パルスを発生させる。飛翔体1、2が衝突しない方の端面から離れた位置に、動的線形性を計測する渦電流変位センサ9を配置する。発射管15、16を二重の構造にする。内側発射管16からのみ飛翔体2を発射させて金属棒5に衝突させる場合、外側発射管15からのみ飛翔体1を発射させて金属棒5に衝突させる場合、及び内側発射管16と外側発射管15の両方から飛翔体1、2を発射させて金属棒5に同時に衝突させる(同時でない場合には時間差を計測する)場合の各々について、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサ9で計測すると同時に、金属棒5側面の軸方向の一箇所(円周上に複数個のひずみゲージを貼ることを含む)に貼り付けたひずみゲージ6(増幅器を用いる場合も含む。ゲージの種類によっては増幅器を用いない場合もある)の出力信号に対して波動の分散、減衰、などを考慮するために弾性波パルスの伝ぱ理論による補正を適用して計算する。計算した渦電流変位センサ9への入力信号は、入力信号の加算性を確認するために用いる。最終段階として、内側発射管16からのみ飛翔体2を発射させて金属棒5に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号、外側発射管15からのみ飛翔体1を発射させて金属棒5に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号、及び内側発射管16と外側発射管15の両方から飛翔体1、2を発射させて金属棒5に同時に衝突させる(同時でない場合には時間差を計測する)場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測する。
【0013】
実施の形態4では、軸方向の一箇所に貼り付けたひずみゲージ出力6を、弾性波理論で補正して端面への入射弾性波パルスを求める。しかし、ゲージ6の周波数応答は無視される。(1.2)式、(1.3)式で示されるひずみ信号は、衝突端面から距離L1の位置に貼られているとし、内側飛翔体2のみの衝突で発生したひずみ信号をεin , 1(L1,t)、外側飛翔体1のみの衝突で発生したひずみ信号をεin , 2(L1,t)、内側飛翔体2と外側飛翔体1が同時に衝突した時のひずみ信号をεin , 1+2(t)とすると、以下の式が成立する。
【数18】
εin , 1+2(t)、εin , 1+2(L1,t)を、内側飛翔体2と外側飛翔体1を同時に衝突した時の、渦電流センサ9が配置される側の端面への入射弾性波パルスのひずみ、衝突端面から距離に貼られたひずみゲージ6の出力信号とする。(4.1)式から求まるεin , 1(t)、εin , 2(t)、εin , 1+2(t)および各々に対応する評価対象の渦電流変位センサ9の出力信号dout , 1(t)、dout , 2(t)、dout , 1+2(t)を用いると実施の形態4 における評価対象の渦電流変位センサ9の動的線形性とは、(4.2)式が成立する周波数、動的変位範囲内において、(4.3)式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることである。
【数19】
dout , 1+2(t)=dout , 1(t)+dout , 2(t) (4.3.)
内側飛翔体2と外側飛翔体1の衝突が同時でない場合には、その時間差をとすると、(4.4)式が成立する周波数範囲、動的変位範囲領域において、(4.5)式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることが動的線形性の計測である。
【数20】
dout , 1+2(t)=dout , 1(t)+dout , 2(t−Δt) (4.5.)
【0014】
〔実施の形態5〕
実施の形態5は、金属棒の軸方向に複数個貼り付けたひずみゲージの出力を理論的に補正して端面への入射弾性波パルスのひずみを求め、渦電流変位センサの動的線形性を計測する場合を示すものである。
金属棒5の端面に発射管15、16から発射される飛翔体1、2を衝突させることによって、金属棒5内部に弾性波パルスを発生させる。飛翔体1、2が衝突しない方の端面から離れた位置に、動的線形性を計測する加速度センサ9を配置する。発射管15、16を二重の構造にする。内側発射管16からのみ飛翔体2を発射させて金属棒5に衝突させる場合、外側発射管15からのみ飛翔体1を発射させて金属棒5に衝突させる場合、及び内側発射管16と外側発射管15の両方から飛翔体1、2を発射させて金属棒5に同時に衝突させる(同時でない場合には時間差を計測する)場合の各々について、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサ9で計測すると同時に、金属棒5側面の軸方向の複数箇所(円周上に複数個のひずみゲージを貼ることを含む)に貼り付けたひずみゲージ6(増幅器を用いる場合も含む。ゲージの種類によっては増幅器を用いない場合もある)の出力信号に対して波動の分散、減衰、などを考慮するために弾性波パルスの伝ぱ理論による補正を適用して計算する。計算した渦電流変位センサ9への入力信号は、入力信号の加算性を確認するために用いる。最終段階として、内側発射管16からのみ飛翔体2を発射させて金属棒5に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号、外側発射管15からのみ飛翔体1を発射させて金属棒5に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号、及び内側発射管16と外側発射管15の両方から飛翔体1、2を発射させて金属棒5に同時に衝突させる(同時でない場合には時間差を計測する)場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測する。
【0015】
実施の形態5においては、軸方向に複数個貼り付けたひずみゲージ6出力から代表値を計算する方法として〔実施の形態3〕の(3.7)式に示す方法を用い、代表位置(衝撃端面から距離)におけるひずみゲージ6出力信号を、内側飛翔体2を単独で発射する場合εr , 1(L1,t)、外側飛翔体を単独で発射する場合εr , 2(L1,t)、内側飛翔体と外側飛翔体を同時に金属棒に衝突させる場合εr , 1+2(L1,t)について、それぞれに対応する渦電流変位センサが配置される側の棒端面への入射弾性波パルスのひずみを、(5.1)式から求める。
【数21】
εr , 1(L1,t)、εr , 2(L1,t)、εr , 1+2(L1,t)のそれぞれに対応する動的線形性を評価する対象の渦電流変位センサ9の出力を、
【数22】
とする。このように決めれば、実施の形態5において渦電流変位センサ9の動的線形性とは、(5.2)式が成立する周波数、動的変位範囲内において、(5.3)式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることである。
【数23】
【数24】
内側飛翔体2と外側飛翔体1の衝突が同時でない場合には、その時間差をΔtとすると、(5.4)式が成立する周波数、動的変位範囲内において、(5.5)式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることである。
【数25】
【数26】
【0016】
〔実施の形態6〕
実施の形態6は、ひずみゲージ出力(1個)をレーザ干渉計で計測した結果により補正して端面への入射弾性波パルスのひずみを求め、渦電流変位センサの動的線形性を計測する場合を示すものである。
金属棒5の端面に発射管15、16から発射される飛翔体1、2を衝突させることによって、金属棒5内部に弾性波パルスを発生させる。飛翔体1、2が衝突しない方の端面から離れた位置に、動的線形性を計測する渦電流変位センサを配置する。発射管15、16を二重の構造にする。内側発射管16からのみ飛翔体2を発射させて金属棒5に衝突させる場合、外側発射管15からのみ飛翔体1を発射させて金属棒5に衝突させる場合、及び内側発射管16と外側発射管15の両方から飛翔体1、2を発射させて金属棒5に同時に衝突させる(同時でない場合には時間差を計測する)場合の各々について、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサ9で計測すると同時に、金属棒5側面の軸方向の一箇所(円周上に複数個のひずみゲージを貼ることを含む)に貼り付けたひずみゲージ6(増幅器を用いる場合も含む。ゲージの種類によっては増幅器を用いない場合もある)の出力信号に対して波動の分散、減衰、などを考慮するためにレーザ干渉計7による端面の運動計測から得られる補正関数を適用して計算する。計算した渦電流変位センサ9への入力信号は、入力信号の加算性を確認するために用いる。最終段階として、内側発射管16からのみ飛翔体2を発射させて金属棒5に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号、外側発射管15からのみ飛翔体1を発射させて金属棒5に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号、及び内側発射管16と外側発射管15の両方から飛翔体1、2を発射させて金属棒5に同時に衝突させる(同時でない場合には時間差を計測する)場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測する。
【0017】
実施の形態6においては、軸方向の一箇所に貼り付けたひずみゲージ6の出力を、レーザ干渉計7で計測した結果により補正して渦電流配置側の金属棒5端面への入射弾性波パルスのひずみを求め、入力信号の加算性をチェックして、渦電流変位センサ9の動的線形性を計測するものである。
干渉計7により金属棒5端面の運動速度νL(t)が測定され、入射弾性波パルスのひずみεiL(t)との関係は、νL(t)=2CεiL(t)で表される。
実施の形態6では、動的線形性検証が必要とする入力信号の加算性を検証するために、ひずみゲージ6出力から渦電流変位センサ9への過渡的変位信号を推定するときに、ゲージの周波数応答を補正し、弾性波動伝ぱの分散、減衰、音速値推定の不確かさなどを基準レーザ干渉計7出力を用いて補正する。軸方向の一箇所に貼り付けてあるひずみゲージ6と衝突端面との距離をL1とする。ゲージ6からの出力信号について、内側飛翔体2が単独で発射された場合を、εL1 , out , 1(t)、外側飛翔体1が単独で発射された場合をεL1 , out , 2(t)、内側飛翔体2と外側飛翔体1が同時に衝突する場合をεL1 , out , 1+2(t)とする。このとき、ゲージ6の出力信号を渦電流変位センサ9が配置される側の金属棒5端面への入射弾性波パルスのひずみに変換する以下の補正関数GCL(jω)を求める。
【数27】
このように決めれば、内側飛翔体が単独で発射された場合の動的線形性を評価する渦電流変位センサの出力を、
【数28】
外側飛翔体が単独で発射された場合の動的線形性を評価する渦電流変位センサの出力を、
【数29】
内側飛翔体と外側飛翔体が同時に衝突する場合の動的線形性を評価する渦電流変位センサの出力を
【数30】
として、実施の形態6において渦電流変位センサの動的線形性とは、(6.2)式が成立する周波数、動的変位範囲内において、(6.3)式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることである。
【数31】
【数32】
【0018】
内側飛翔体2と外側飛翔体1の衝突が同時でない場合には、その時間差をΔtとすると、(6.4)式が成立する周波数、動的変位範囲内において、(6.5)式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることである。
【数33】
【数34】
【0019】
〔実施の形態7〕
実施の形態7は、複数個のひずみゲージの出力をレーザ干渉計で計測した結果により補正して端面への入射弾性波パルスのひずみを求め、渦電流変位センサの動的線形性を計測する場合を示すものである。
金属棒5の端面に発射管から発射される飛翔体1、2を衝突させることによって、金属棒5内部に弾性波パルスを発生させる。飛翔体1、2が衝突しない方の端面から離れた位置に、動的線形性を計測する渦電流変位センサを配置する。発射管15、16を二重の構造にする。内側発射管16からのみ飛翔体2を発射させて金属棒5に衝突させる場合、外側発射管15からのみ飛翔体1を発射させて金属棒5に衝突させる場合、及び内側発射管16と外側発射管15の両方から飛翔体1、2を発射させて金属棒5に同時に衝突させる(同時でない場合には時間差を計測する)場合の各々について、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサ9で計測すると同時に、金属棒5側面の軸方向の複数箇所(円周上に複数個のひずみゲージを貼ることを含む)に貼り付けたひずみゲージ6(増幅器を用いる場合も含む。ゲージの種類によっては増幅器を用いない場合もある)の出力信号に対して波動の分散、減衰、などを考慮するためにレーザ干渉計による端面の運動計測から得られる補正関数を適用して計算する。計算した渦電流変位センサ9への入力信号は、入力信号の線形性を確認するために用いる。最終段階として、内側発射管16からのみ飛翔体2を発射させて金属棒5に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号、外側発射管15からのみ飛翔体1を発射させて金属棒5に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号、及び内側発射管16と外側発射管15の両方から飛翔体1、2を発射させて金属棒5に同時に衝突させる(同時でない場合には時間差を計測する)場合に得られる渦電流変位センサ9の出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサ9の動的線形性を計測する。
【0020】
実施の形態7においては、複数個のひずみゲージ6の出力を基準レーザ干渉計7で計測した結果により補正して渦電流変位センサ9が配置されている側の金属棒5端面への入射弾性波パルスのひずみを求め、動的線形性の検証が必要とする入力信号の加算性を求める。(3.7)式で求められる代表位置におけるひずみゲージ出力信号に関して、内側飛翔体2が単独で発射された場合を、
【数35】
外側飛翔体1が単独で発射された場合を、
【数36】
内側飛翔体2と外側飛翔体1が同時に発射される場合を
【数37】
とする。内側飛翔体2が単独で発射された場合の渦電流変位センサ9出力を、
【数38】
外側飛翔体1が単独で発射された場合の渦電流変位センサ9出力を、
【数39】
内側飛翔体2と外側飛翔体1が同時に発射される場合の渦電流変位センサ9出力を
【数40】
とするならば、実施の形態7において動的線形性とは、(7.1)式が成立する周波数、動的変位範囲内において、(7.2)式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることである。
【数41】
【数42】
内側飛翔体2と外側飛翔体1の衝突が同時でない場合には、その時間差をΔtとすると、(7.3)式が成立する周波数、動的変位範囲内において、(7.4)式が成立する周波数範囲、速度範囲を明らかにすることである。
【数43】
【数44】
【0021】
前記した実施の形態1ないし実施の形態7において、飛翔体先端部に高分子材料、プラスティックス、木材などを取り付けること、飛翔体本体部が金属、高分子材料、木材、あるいはプラスティックスなど異なる材料との積層構造を持つような飛翔体を用いて金属棒内部に発生する弾性波パルスの周波数帯域を制御して発生させることができる。
また、内側発射管、外側発射管を多重にし、多重内側発射管、多重外側発射管各々からについて、発射される複数個飛翔体の発射の位相を制御することによって、金属棒内部に発生する弾性波の周波数帯域を狭帯域化する手法をとることも可能である。
さらに、棒中の弾性波伝ぱの理論よってひずみゲージ出力信号から端面に入射する弾性波パルスの過渡ひずみ信号を求める際に、解析解の少なくとも1次の項(Skalakの解)、さらに精度をあげるためには解析解の高次の項までをも用いることができる。
【0022】
前記した実施の形態において、金属棒端面の運動加速度計測、運動速度計測結果あるいはひずみゲージ計測、波動伝ぱ理論から導かれる渦電流変位センサ入力動的変位信号と渦電流変位センサの出力信号を周波数領域で比較することにより渦電流変位センサの周波数応答特性を求めるための前提として、必要不可欠である渦電流変位センサの動的線形性を計測することが出来る。
また、二個の飛翔体の衝突の非同時性を考慮するために、内側発射管からの飛翔体(本明細書においては、単に「内側飛翔体」ということがある。)と外側発射管からの飛翔体(本明細書においては、単に「外側飛翔体」ということがある。)の金属棒に対する衝突時刻の差Δtを、内側飛翔体が金属棒に衝突したときに発生する渦電流変位センサへの入力過渡変位信号と外側飛翔体が金属棒に衝突したときに発生する渦電流変位センサへの入力過渡変位信号をΔtシフトした信号の和が、ほぼ同時に衝突したときに発生する渦電流変位センサへの入力過渡変位信号をもっともよくフィットするようなパラメータとして求め、内側飛翔体及び外側飛翔体をそれぞれ単独で発射した場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、時間差があるが内側飛翔体と外側飛翔体をほぼ同時に発射した時に得られる渦電流変位センサの出力信号から渦電流変位センサの動的線形性を計測することも有用である。
【0023】
前記した実施の形態において、弾性波パルスを伝ぱさせる棒を水平に維持し、軸方向への剛体運動を拘束しないように、ベールベアリング、コロ軸受けなど、点接触によって弾性波の伝ぱへの影響を最小限にする。
また、金属丸棒端面に金属球を接触させる形式で取り付け、その球に対して同心円状の多重の発射管から、発射タイミングを精密に制御した飛翔体を発射させて、棒内部に弾性波パルスを発生させ、すでに述べた方法で信号処理を行うことも有用である。
さらに、軸方向に一箇所(円周方向に複数箇所貼り付ける場合を含む)のみまたは、軸方向に複数箇所に貼り付けた(円周方向に複数箇所貼り付ける場合を含む)ひずみゲージの出力信号に対して、波動の分散、減衰、音速値の不確かさ、を補正するための補正関数をレーザ干渉計による計測結果から求める場合に、弾性波パルスが伝ぱする金属棒端面から離れた位置に渦電流変位センサを配置しないで求めることも有用である。
【0024】
また、軸方向に一箇所(円周方向に複数箇所貼り付ける場合を含む)のみまたは、軸方向に複数箇所に貼り付けた(円周方向に複数箇所貼り付ける場合を含む)ひずみゲージの出力信号に対して、波動の分散、減衰、音速値の不確かさ、渦電流変位センサの配置の影響、を補正するための補正関数をレーザ干渉計による計測結果から求めるのではなしに、弾性波パルスが伝ぱする金属棒端面に加速度センサを取り付けて求めることができる。
また、波動の分散、波動の減衰、音速値の不確かさ、渦電流変位センサを配置することの影響、ゲージの周波数応答などを補正する補正関数と、ゲージが貼り付けられた金属棒のセット、あるいは、波動の分散、波動の減衰、音速値の不確かさ、渦電流変位センサを配置することの影響、ゲージの周波数応答、などと圧電物質による渦電流動的変位検出可能物質の平板の動的変位を補正する補正関数と、ゲージが貼り付けられ同時に端面に圧電物質と渦電流動的変位検出可能物質の平板がとりつけられた金属棒のセットを個別の渦電流変位センサに対応するための必要不可欠な交換部品セットとすることもできる。
【0025】
〔実施の形態8〕
金属棒単体で発生できる棒端面の動的変位の周波数帯域幅が不足している場合には、棒端面に圧電物質と渦電流動的変位検出可能物質の平板を取り付け、弾性波パルスの反射過程の適当なタイミングで圧電物質を駆動することによって、動的変位の周波数帯域幅を広帯域化する。
実施の形態8(図2参照)では、飛翔体1、2の衝突のタイミングにあわせて金属棒5端面に取り付けた圧電物質21を駆動して、棒端面の動的変位よりも広い周波数帯域幅の動的変位を発生させる。金属棒5内部の一次元弾性波動伝ぱ理論を使うことができない。そのため、レーザ干渉計7で測定して入力信号の加算性を検証方法と、レーザ干渉計で補正関数を求める方法が有効になる。 表1には、レーザ干渉計7と渦電流センサ9によって金属棒5端面の動的変位を計測することとし、その記号が定義されている。圧電物質21と金属棒5を用いる場合には、『金属棒5端面』を図2が示すように『金属棒5端面に取り付けられた圧電物質21が駆動する渦電流変位センサ9で検出できる平板』と読み直せばよい。すなわち、表1は次に示す表2となる
表2:実施の形態8における記号の意味
【0026】
(8.1)式が成立する範囲内で、(8.2) 式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることが評価対象である渦電流変位センサの動的線形性の評価である。
dS , 1+2(t)=dS , 1(t)+dS , 2(t) (8.1)
dt , 1+2(t)=dt , 1(t)+dt , 2(t) (8.2)
内側飛翔体2と外側飛翔体1の衝突が同時でない場合にはその時間差をΔtとすると, (8.3)式が成立する範囲内で、(8.4) 式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることが評価対象である渦電流変位センサの動的線形性の評価である。
dS , 1+2(t)=dS , 1(t)+dS , 2(t−Δt) (8.3)
dt , 1+2(t)=dt , 1(t)+dt , 2(t−Δt) (8.4)
【0027】
軸方向の一箇所に貼り付けたひずみゲージの出力に対して、棒端面に取り付けられた圧電物質が駆動する渦電流変位センサで検出できる平板の動的変位をレーザ干渉計で計測した結果により得られる補正関数を適用して、渦電流変位センサへの入力信号をもとめ、その加算性をチェックして、渦電流変位センサの動的線形性を計測することもできる。
レーザ干渉計により、圧電物質が駆動する平板の運動速度vPL(t)が測定される。平板の動的変位dPL(t)は、以下の式で表示される。
【数45】
圧電物質がないとき入射弾性波パルスのひずみεiL(t)との関係は、νL(t)=2CεiL(t)で表される。軸方向の一箇所に貼り付けてあるひずみゲージと衝突端面との距離をL1とする。ゲージからの出力信号について、内側飛翔体が単独で発射された場合をεL1 , out , 1(t)、外側飛翔体が単独で発射された場合をεL1 , out , 2(t)、内側飛翔体と外側飛翔体が同時に衝突する場合をεL1 , out , 1+2(t)とする。
おのおのに対応する圧電物質で駆動される平板の動的変位を、
【数46】
とする。このとき、ゲージの出力信号を棒端面に取り付けられた圧電物質が駆動する渦電流変位センサで検出できる平板の動的変位に変換する以下の補正関数GpCL(jω)が求められている。
【数47】
【0028】
このように決めれば、内側飛翔体が単独で発射された場合の動的線形性を評価する渦電流変位センサの出力を
【数48】
、外側飛翔体が単独で発射された場合の動的線形性を評価する渦電流変位センサの出力を
【数49】
、内側飛翔体と外側飛翔体が同時に衝突する場合の動的線形性を評価する渦電流変位センサの出力を
【数50】
として、渦電流変位センサの動的線形性とは、(9.3)式が成立する周波数、動的変位範囲内において、(9.4)式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることである。
【数51】
【数52】
内側飛翔体と外側飛翔体の衝突が同時でない場合には、その時間差をΔtとすると、(9.5)式が成立する周波数、動的変位範囲内において、(9.6)式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることである。
【数53】
【数54】
【0029】
軸方向の複数箇所に貼り付けたひずみゲージの出力に対して、棒端面に取り付けられた圧電物質が駆動する渦電流変位センサで検出できる平板の動的変位をレーザ干渉計で計測した結果により得られる補正関数を適用して、渦電流変位センサへの入力信号をもとめ、その加算性をチェックして、渦電流変位センサの動的線形性を計測することができる。
この場合、複数個のひずみゲージの出力を基準レーザ干渉計で計測した結果により補正して渦電流変位センサが配置されている側の棒端面への入射弾性波パルスのひずみを求め、動的線形性の検証が必要とする入力信号の加算性を求める。(3.7)式で求められる代表位置におけるひずみゲージ出力信号に関して、内側飛翔体が単独で発射された場合を
【数55】
、外側飛翔体が単独で発射された場合を
【数56】
、内側飛翔体と外側飛翔体が同時に発射される場合を
【数57】
とする。内側飛翔体が単独で発射された場合の渦電流変位センサ出力を
【数58】
、外側飛翔体が単独で発射された場合の渦電流変位センサ出力を
【数59】
、内側飛翔体と外側飛翔体が同時に発射される場合の渦電流変位センサ出力を
【数60】
とするならば、この場合の動的線形性とは、(10.1)式が成立する周波数、動的変位範囲内において、(10.2)式が成立する周波数範囲、動的変位範囲を明らかにすることである。
【数61】
【数62】
内側飛翔体と外側飛翔体の衝突が同時でない場合には、その時間差をΔtとすると、(10.3)式が成立する周波数、動的変位範囲内において、(10.4)式が成立する周波数範囲、速度範囲を明らかにすることである。
【数63】
【数64】
【0030】
【発明の効果】
本発明の渦電流変位センサの動的線形性計測方法及び計測装置は、以下の効果を奏する。
(1)渦電流変位センサの一次標準が確立する。
(2)渦電流変位センサのニ次標準が確立する。
(3)渦電流変位センサのトレーサビリティが確立する。
(4)我が国が主導権をとる渦電流変位センサの国際比較を実施することが可能になる。
(5)渦電流変位センサの国際規格提案を日本が行うことが可能になる。
(6)渦電流変位センサの定期校正をビジネスにすることが可能になる。
(7)渦電流変位センサの二次校正標準に基礎になる、ひずみゲージを貼り付けた金属棒の定期校正が必要となることから、金属棒の定期校正が、ビジネスとして立ち上がる。
(8)ひずみゲージを貼り付けた金属棒の利用価値が上がる。
(9)渦電流変位センサによる動的変位計測の信頼性が向上する。
(10)渦電流変位センサによる動的変位計測が行われる工業製品の付加価値が向上する。
(11)高信頼性を持つ計測機器による計測により、日本製工業製品の価値を向上させ、国際競争力を向上させる。
(12)ISO9000認証取得において、技術文書に記述することが可能になる。
(13)相互認証制度における我が国の地位向上に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1ないし7に係る渦電流変位センサの動的線形性計測装置の構成を説明した図である。
【図2】本発明の実施の形態8に係る渦電流変位センサの動的線形性計測装置の構成を説明した図であり、金属棒に圧電物質を取り付けている。
【符号の説明】
1 外側の発射管から発射される飛翔体
2 内側の発射管から発射される飛翔体
3 カウンタ
4 高速光検出装置
5 金属棒
6 ひずみゲージ
7 レーザ干渉計
8 点接触金属棒支持装置
9 評価対象の過電流変位センサ
10 レーザ光源
11 鏡
12 弁
13 高圧ガス源
14 弁開平制御装置
15 外側発射管
16 内側発射管
L1 飛翔体衝突端面からゲージ代表位置までの長さ
L2 飛翔体衝突端面から2番目のゲージ位置までの長さ
LN 飛翔体衝突端面からN番目のゲージ位置までの長さ
L 金属棒の長さ
21 圧電物質
22 過電流物質板
23 タイミング回路および圧電駆動回路
Claims (22)
- 金属棒の端面に二重構造の発射管から発射される飛翔体を衝突させることによって金属棒内部に弾性波パルスを発生させ、発生した弾性波パルスがもう一方の金属棒の端面に到達した時に生じる金属棒端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサとレーザ干渉計により同時に計測するとともに、内側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、及び内側発射管と外側発射管の両方から飛翔体を発射させて金属棒に同時に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号を、時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする渦電流変位センサの動的線形性計測方法。
- 金属棒の端面に二重構造をした発射管から発射される飛翔体を衝突させることによって金属棒内部に弾性波パルスを発生させ、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサと棒側面の軸方向の一箇所に貼り付けたひずみゲージの出力信号をそのまま用いて同時に計測するとともに、内側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、及び内側発射管と外側発射管の両方から飛翔体を発射させて金属棒に同時に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする渦電流変位センサの動的線形性計測方法。
- 金属棒の端面に発射管から発射される飛翔体を衝突させることによって、棒内部に弾性波パルスを発生させ、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサで計測すると同時に、棒側面の軸方向の複数箇所に貼り付けたひずみゲージの出力信号をそのまま用いて代表位置における代表値に変換して計算するとともに、内側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、及び内側発射管と外側発射管の両方から飛翔体を発射させて金属棒に同時に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする渦電流変位センサの動的線形性計測方法。
- 金属棒の端面に発射管から発射される飛翔体を衝突させることによって、棒内部に弾性波パルスを発生させ、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサで計測すると同時に、棒側面の軸方向の一箇所に貼り付けたひずみゲージの出力信号に対して波動の分散、減衰を考慮するために弾性波パルスの伝ぱ理論による補正を適用して計算するとともに、内側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、及び内側発射管と外側発射管の両方から飛翔体を発射させて金属棒に同時に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする渦電流変位センサの動的線形性計測方法。
- 金属棒の端面に発射管から発射される飛翔体を衝突させることによって、棒内部に弾性波パルスを発生させ、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサで計測すると同時に、棒側面の軸方向の複数箇所貼り付けたひずみゲージの出力信号に対して波動の分散、減衰を考慮するために弾性波パルスの伝ぱ理論による補正を適用して計算するものにおいて、内側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、及び内側発射管と外側発射管の両方から飛翔体を発射させて金属棒に同時に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする渦電流変位センサの動的線形性計測方法。
- 金属棒の端面に発射管から発射される飛翔体を衝突させることによって、棒内部に弾性波パルスを発生させ、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサで計測すると同時に、棒側面の軸方向の一箇所に貼り付けたひずみゲージの出力信号に対して波動の分散、減衰を考慮するためにレーザ干渉計による端面の運動計測から得られる補正関数を適用して計算するものにおいて、計算した渦電流変位センサへの入力信号は、入力信号の加算性を確認するために用いる。最終段階として、内側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、及び内側発射管と外側発射管の両方から飛翔体を発射させて金属棒に同時に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする渦電流変位センサの動的線形性計測方法。
- 金属棒の端面に発射管から発射される飛翔体を衝突させることによって、棒内部に弾性波パルスを発生させ、発生した弾性波パルスがもう一方の端面に到達した時に生じる端面の動的変位を、動的線形性を評価する渦電流変位センサで計測すると同時に、棒側面の軸方向の複数箇所に貼り付けたひずみゲージの出力信号に対して波動の分散、減衰を考慮するためにレーザ干渉計による端面の運動計測から得られる補正関数を適用して計算するとともに、内側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、外側発射管からのみ飛翔体を発射させて金属棒に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、及び内側発射管と外側発射管の両方から飛翔体を発射させて金属棒に同時に衝突させる場合に得られる渦電流変位センサの出力信号を相互に時間領域、周波数領域で比較することによって、渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする渦電流変位センサの動的線形性計測方法。
- 金属棒中の弾性波伝ぱの理論よってひずみゲージ出力信号から端面に入射する弾性波パルスの過渡ひずみ信号を求める際に、解析解の1次の項、あるいは、解析解の1次の項から2次以上の項までを用いることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の渦電流変位センサの動的線形性計測方法。
- 金属棒端面の運動加速度計測、運動速度計測結果あるいはひずみゲージ計測、波動伝ぱ理論から導かれる渦電流変位センサ入力動的変位信号と渦電流変位センサの出力信号を周波数領域で比較することにより渦電流変位センサの周波数応答特性を求めるための前提として、必要不可欠である渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の渦電流変位センサの動的線形性計測方法。
- 二個の飛翔体の衝突の非同時性を考慮するために、内側飛翔体と外側飛翔体との金属棒に対する衝突時刻の差(Δt)を、内側飛翔体が金属棒に衝突したときに発生する渦電流変位センサへの入力過渡変位信号と外側飛翔体が金属棒に衝突したときに発生する渦電流変位センサへの入力過渡変位信号を(Δt)シフトした信号の和が、ほぼ同時に衝突したときに発生する渦電流変位センサへの入力過渡変位信号をもっともよくフィットするようなパラメータとして求め、内側飛翔体及び外側飛翔体をそれぞれ単独で発射した場合に得られる渦電流変位センサの出力信号、時間差があるが内側飛翔体と外側飛翔体をほぼ同時に発射した時に得られる渦電流変位センサの出力信号から渦電流変位センサの動的線形性を計測することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の渦電流変位センサの動的線形性計測方法。
- 軸方向に一箇所のみまたは、軸方向に複数箇所に貼り付けたひずみゲージの出力信号に対して、波動の分散、減衰、音速値の不確かさ、を補正するための補正関数をレーザ干渉計による計測結果から求める場合に、弾性波パルスが伝ぱする金属棒端面から離れた位置に渦電流変位センサを配置しないで求めることを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の渦電流変位センサの動的線形性計測方法。
- 軸方向に一箇所のみまたは、軸方向に複数箇所に貼り付けたひずみゲージの出力信号に対して、波動の分散、減衰、音速値の不確かさ、渦電流変位センサの配置の影響、を補正するための補正関数をレーザ干渉計による計測結果から求める場合に、弾性波パルスが伝ぱする金属棒端面の近傍に渦電流変位センサを設定して求めることを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の渦電流変位センサの動的線形性計測方法。
- 金属棒の端面に飛翔体を衝突させることによって金属棒内部に弾性波パルスを発生させるための二重構造をした発射管を設け、飛翔体が衝突しない方の金属棒の端面から離れた位置に、動的線形性を計測する渦電流変位センサおよびレーザ干渉計を配置したことを特徴とする渦電流変位センサの動的線形性計測装置。
- 金属棒の端面に飛翔体を衝突させることによって金属棒内部に弾性波パルスを発生させるための二重構造をした発射管を設け、飛翔体が衝突しない方の端面から離れた位置に動的線形性を計測する渦電流変位センサを配置するとともに金属棒側面の軸方向の一箇所にひずみゲージを貼り付けたことを特徴とする渦電流変位センサの動的線形性計測装置。
- 金属棒の端面に飛翔体を衝突させることによって金属棒内部に弾性波パルスを発生させるための二重構造をした発射管を設け、飛翔体が衝突しない方の端面から離れた位置に動的線形性を計測する渦電流変位センサを配置するとともに金属棒側面の軸方向の複数箇所にひずみゲージを貼り付けたことを特徴とする渦電流変位センサの動的線形性計測装置。
- 飛翔体先端部に高分子材料、プラスティックス、木材などを取り付けるとともに、飛翔体本体部が金属、高分子材料、木材、あるいはプラスティックスなど異なる材料との積層構造を持つような飛翔体を用いて金属棒内部に発生する弾性波パルスの周波数帯域を制御して発生させることを特徴とする請求項13ないし請求項15のいずれか1項に記載の渦電流変位センサの動的線形性計測装置。
- 内側発射管、外側発射管を多重にし、多重内側発射管、多重外側発射管各々から発射される複数個飛翔体の発射の位相を制御することによって、金属棒内部に発生する弾性波の周波数帯域を狭帯域化することを特徴とする請求項13ないし請求項16のいずれか1項に記載の渦電流変位センサの動的線形性計測装置。
- 弾性波パルスを伝ぱさせる金属棒を軸方向への剛体運動を拘束しないようにベールベアリング、コロ軸受けなど、点接触によって水平に維持し、弾性波の伝ぱへの影響を最小限にすることを特徴とする請求項13ないし請求項17のいずれか1項に記載の渦電流変位センサの動的線形性計測装置。
- 金属丸棒端面に金属球を接触させる形式で取り付け、その球に対して同心円状の多重の発射管から、発射タイミングを精密に制御した飛翔体を発射させて、棒内部に弾性波パルスを発生させることを特徴とする請求項13ないし請求項18のいずれか1項に記載の渦電流変位センサの動的線形性計測装置。
- 波動の分散、波動の減衰、音速値の不確かさ、渦電流変位センサを配置することの影響、ゲージの周波数応答を補正する補正関数と、ゲージが貼り付けられた金属棒のセット、あるいは、波動の分散、波動の減衰、音速値の不確かさ、渦電流変位センサを配置することの影響、ゲージの周波数応答と、圧電物質による渦電流動的変位検出可能物質の平板の動的変位を補正する補正関数と、ゲージが貼り付けられ同時に端面に圧電物質と渦電流動的変位検出可能物質の平板がとりつけられた金属棒のセットを個別の渦電流変位センサに対応するための必要不可欠な交換部品セットとすることを特徴とする請求項13ないし請求項19のいずれか1項に記載の渦電流変位センサの動的線形性計測装置。
- 金属棒単体で発生できる棒端面の動的変位の周波数帯域幅が不足している場合には、棒端面に圧電物質と渦電流動的変位検出可能物質の平板を取り付け、弾性波パルスの反射過程の適当なタイミングで圧電物質を駆動することによって、動的変位の周波数帯域幅を広帯域化することを特徴とする請求項13ないし請求項20のいずれか1項に記載の渦電流変位センサの動的線形性計測装置。
- 波動の分散、波動の減衰、音速値の不確かさ、ゲージの周波数応答、棒端面に取り付けた圧電物質の高速微小動的変位の影響を補正する補正関数と、ゲージが貼り付けられた金属棒または、圧電物質が端面に取り付けられた金属棒をトレーサビリティの実現手段とすることを特徴とする請求項13ないし請求項21のいずれか1項に記載の渦電流変位センサの動的線形性計測装置。
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