JP4152741B2 - 自動二輪車の前輪固定治具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動二輪車(スクータタイプを含む)をトレーラなどに積んで搬送する際に用いる複数の前輪固定治具からなる前輪固定治具装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車などをトレーラに積んで搬送する際に横ズレや上下の振動で車体が傷つくのを防止するフレーム状ケースが用いられ、最近ではケースとして多数回使用可能なリターナブルケースが用いられている。(特許文献1、特許文献2)
【0003】
特許文献1では、床板に自動二輪車の前輪及び後輪が嵌まり込む凹部を形成し、特に前輪を固定する凹部については斜めに形成し、ハンドルを切った状態で固定することで自動二輪車の全長を短くして搬送するようにしている。また、特許文献2では、前輪受具内(固定治具)に落し込んで固定するようにしている。また、ケースを省略して前輪の固定治具のみで自動二輪車を固定することも行われている。
【0004】
(特許文献1) 特開平10−95431号公報
(特許文献2) 特開2000−335679号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術にあっては、固定治具自体に形状の自由度がないため、異なる機種の自動二輪車を混在させて搬送する場合に、ステップやハンドルの位置、更には車体の前後端の位置がバラバラになって固定しづらく、搬送中に位置ズレを起こし、車体に傷がつくことにもなる。
【0006】
尚、補助治具を用いることで、ステップやハンドルの位置などを揃えることもできるが、積み込み及び積み下ろしの作業効率が悪くなり、輸送中に補助治具が外れる虞もある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本発明は自動二輪車の前輪固定治具を、平行なフロントフレームメンバとリヤフレームメンバを備える枠体と、前記フロントフレームメンバに摺動自在に係合するフロントスライドメンバと、前記リヤフレームメンバに摺動自在に係合するリヤスライドメンバと、前記フロントスライドメンバ及びリヤフレームメンバ間に架設される左右のクロスメンバと、これら左右のクロスメンバの夫々に摺動自在に係合する左右のスライドメンバと、これら左右のスライドメンバの夫々に上下位置調整可能に取付けられるサイドメンバと、左右のサイドメンバ間に取付けられる前輪載置メンバと、左右のサイドメンバ間に取付けられ且つ前輪の前端の位置決めを行うアッパーメンバとから構成した。
【0008】
また、別発明に係る自動二輪車の前輪固定治具は、前縁にフロントフレームメンバを備える枠体と、前記フロントフレームメンバに位置調整可能に係合するフロントスライドメンバと、前記枠体に位置調整可能に係合するとともに高さ調整可能とされたリヤスライドメンバと、前記フロントスライドメンバ及びリヤスライドメンバ間に架設される左右のクロスメンバと、前記フロントフレームメンバとリヤスライドメンバ間に架設される前輪載置メンバとから構成した。
【0009】
上記の構成とすることで、異なる機種の自動二輪車を混成した場合でも、各自動二輪車のステップ、シート或いはハンドルの高さを揃えことができ、またステップなどの固定位置が一致するように個別に車体の前後位置を調整できる。
【0010】
また、前記各メンバについては、載置メンバを除いてパイプ材を用いて構成すれば製作が容易になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の態様を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る自動二輪車の前輪固定治具の使用状態を説明した図、図2は本発明に係る自動二輪車の前輪固定治具の全体斜視図、図3は同自動二輪車の前輪固定治具の要部平面図、図4は図3のA方向矢視図、図5は図3のB方向側面図である。
【0012】
前輪固定治具は矩形状枠体1の前縁の上にパイプ材からなるフロントフレームメンバ2を固着し、また枠体1の後縁の内側にパイプ材からなるリヤフレームメンバ3を固着している。これらフロントフレームメンバ2とリヤフレームメンバ3は平行となっている。
【0013】
前記フロントフレームメンバ2にはフロントフレームメンバ2よりも大径のパイプ材からなるフロントスライドメンバ4が摺動自在に係合し、前記リヤフレームメンバ3にはリヤフレームメンバ3よりも大径のパイプ材からなるリヤスライドメンバ5が摺動自在に係合している。これらフロントスライドメンバ4及びリヤスライドメンバ5は任意の位置でフロントフレームメンバ2とリヤフレームメンバ3に対しボルトなどによって固定される。
【0014】
前記フロントスライドメンバ4とリヤスライドメンバ5間にはパイプ材からなる左右一対のクロスメンバ6,6が架設されている。これらクロスメンバ6,6は前後方向を基準にして斜めに配置される。
【0015】
前記クロスメンバ6にはクロスメンバ6よりも大径のパイプ材からなるスライドメンバ7が摺動自在に係合し、このスライドメンバ7はクロスメンバ6の任意の位置でボルト8によって固定される。
【0016】
前記左右の各スライドメンバ7にはパイプ材からなる側面U字状のサイドメンバ9が上下位置調整可能に取付けられている。このサイドメンバ9は任意の高さ位置においてボルト10によってスライドメンバ7に固定される。
【0017】
前記左右のサイドメンバ9の下端間には板材からなる前輪載置メンバ11が取付けられている。この前輪載置メンバ11はパンチングメタルや金網などでもよい。また左右のサイドメンバ9の上端間には平面視でU字状をなすパイプ材からなるアッパーメンバ12が取付けられている。このアッパーメンバ12は前輪のストッパ(位置決め)として作用するため前端部を閉じている。またタイヤやホイールなどに傷かつかないようにアッパーメンバ12の外側面にはスポンジなどの保護材を巻回するのが好ましい。
【0018】
以上において、前輪全体の左右位置を移動させるには、フロントスライドメンバ4及びリヤスライドメンバ5の位置を調整し、前輪の高さを変えるにはサイドメンバ9の高さ位置を調整し、前輪の前後位置を変えるにはスライドメンバ7の位置を調整する。
【0019】
図6は別実施例に係る前輪固定治具の全体斜視図、図7は図6の要部拡大図であり、この実施例にあっては、枠体21の前縁の上にパイプ材からなるフロントフレームメンバ22を固着し、フロントフレームメンバ22には大径のパイプ材からなるフロントスライドメンバ24が摺動自在に係合している。また、枠体1の後縁の上にはリヤスライドメンバ25を固着している。
【0020】
前記フロントスライドメンバ24とリヤスライドメンバ25間には斜めに左右一対のクロスメンバ26,26が架設され、またクロスメンバ26の下方に板材からなる前輪載置メンバ27が設けられている。
【0021】
また、前記リヤスライドメンバ25は大きさの異なる3本のコ字型パイプ25a,25b,25cからなり、これらコ字型パイプ25a,25b,25cはいずれも任意の位置で枠体1に対し固定可能とされ、大寸法のコ字型パイプ25aを枠体1に固定した場合には、前輪載置メンバ27の位置が高くなり、小寸法のコ字型パイプ25cを枠体1に固定した場合には、前輪載置メンバ27の位置は低くなる。
【0022】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る前輪固定治具によれば、異なる機種の自動二輪車を混成した場合でも、各自動二輪車のステップ、シート或いはハンドルの高さを揃えことができ、またステップなどの固定位置が一致するように個別に車体の前後位置を調整できる。即ち、自動二輪車の前輪の左右方向、前後方向及び高さ方向の位置を簡単に変更できる。
その結果、自動二輪車をトレーラなどに積んで搬送する際に、異なる機種の自動二輪車を隣り合わせて積み込んでも、特別な補助治具を用いることなく、ステップなどを同一高さに揃えることができ、したがって、ニューモデルの発売のサイクルの短い自動二輪車の搬送に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動二輪車の前輪固定治具の使用状態を説明した図
【図2】本発明に係る自動二輪車の前輪固定治具の全体斜視図
【図3】同自動二輪車の前輪固定治具の要部の平面図
【図4】図3のA方向矢視図
【図5】図3のB方向側面図
【図6】別実施例に係る前輪固定治具の全体斜視図
【図7】図6の要部拡大図
【符号の説明】
1…枠体,2…フロントフレームメンバ,3…リヤフレームメンバ、4…フロントスライドメンバ、5…リヤスライドメンバ、6…クロスメンバ、7…スライドメンバ、8…ボルト、9…サイドメンバ、10…ボルト、11…前輪載置メンバ、12…アッパーメンバ、21…枠体,22…フロントフレームメンバ,24…フロントスライドメンバ,25…リヤスライドメンバ、25a,25b,25c…コ字型パイプ、26…クロスメンバ,27…前輪載置メンバ。

Claims (3)

  1. 平行なフロントフレームメンバとリヤフレームメンバを備える枠体に複数の前輪固定治具を設けた自動二輪車の前輪固定治具装置であって、前記個々の前輪固定治具は、前記フロントフレームメンバに摺動自在に係合するフロントスライドメンバと、前記リヤフレームメンバに摺動自在に係合するリヤスライドメンバと、前記フロントスライドメンバ及びリヤスライドメンバ間に架設される左右のクロスメンバと、前記左右のクロスメンバの夫々に摺動自在に係合する左右のスライドメンバと、これら左右のスライドメンバの夫々に上下位置調整可能に取付けられるサイドメンバと、左右のサイドメンバ間に取付けられる前輪載置メンバと、左右のサイドメンバ間に取付けられ且つ前輪の前端の位置決めを行うアッパーメンバとを備え、前記複数の前輪固定治具が個別に左右方向に調整可能であるとともに、サイドメンバによって前輪の高さ位置が調整可能とされスライドメンバによって前輪の前後位置が調整可能とされていることを特徴とする自動二輪車の前輪固定治具装置。
  2. 前縁にフロントフレームメンバを備える枠体に複数の前輪固定治具を設けた自動二輪車の前輪固定治具装置であって、前記個々の前輪固定治具は、前記フロントフレームメンバに摺動自在に係合するフロントスライドメンバと、前記枠体に任意の位置で固定可能な複数の寸法の異なるコ字型パイプからなるリヤスライドメンバと、前記フロントスライドメンバ及びリヤスライドメンバ間に架設される左右のクロスメンバと、前記フロントスライドメンバとリヤスライドメンバ間に架設される前輪載置メンバとを備え、前記複数の前輪固定治具が個別に左右方向に調整可能であるとともに、前記リヤスライドメンバを構成する複数の寸法の異なるコ字型パイプのうちの1つを選択することで前輪の高さ位置が調整可能とされていることを特徴とする自動二輪車の前輪固定治具装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の自動二輪車の前輪固定治具装置において、前記前輪載置メンバを除く他のメンバはパイプ材からなることを特徴とする自動二輪車の前輪固定治具装置。
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