JP4146716B2 - リフティングマグネット装置の電力供給機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リフティングマグネット装置の電力供給機構に関する。鉄屑などのスクラップや鉄骨等を吸着し、これを移送する荷役作業には、リフティングマグネット装置が使用されている。このリフティングマグネット装置は、そのマグネットとして直流電磁石が使用されるため、このマグネットに対する直流電力の供給と停止を制御する制御装置と、この制御装置に供給する直流電力を制御するための電力供給機構を備えている。
本発明は、かかる制御装置に供給する直流電力を制御するためのリフティングマグネット装置の電力供給機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2に示すように、クレーンや油圧ショベル等の建設機械に搭載されたリフティングマグネット装置は、一般的には建設機械の動力源によって駆動される3相交流発電機ACG1(以下、交流発電機ACG1という)が接続されており、この交流発電機ACG1から供給される交流電力は、直流電源装置である整流器Rec によって直流電力に整流されてから、制御回路BCC を通して直流電磁石LMに供給される(例えば、特許文献1)。つまり、建設機械に搭載されたリフティングマグネット装置は、工場電源等、固定電源がなくても、機械に搭載された交流発電機ACG1から電力を供給することによって直流電磁石LMに磁力を発生させることができるから、作業場所が限定されないという特徴がある。
【0003】
しかるに、前記交流発電機ACG1は、建設機械のエンジン等から直接ベルトによって駆動されたり、建設機械の油圧源を利用した油圧モータによって駆動されるため、建設機械自体の動作、例えばクレーンアームの移動等にエンジン等の出力が使用されると、交流発電機ACG1の駆動に必要な動力を確保できず、交流発電機ACG1の回転数が規定回転数より低下し電圧が低下する可能性がある。また、ベルトや油圧モータ回路等に異常が発生した場合にも、回転数が低下し電圧が低下する可能性がある。
【0004】
上記のごとき、直流電磁石LMの磁力の低下を防ぐ方法として、機械搭載の交流発電機ACG1と、工場電源や別途用意した3相交流発電機等の第2電源ACG2を併用することが行われている。
【0005】
図3に示すように、第2電源ACG2を併用した場合、第2電源ACG2の3つの出力端子は、交流発電機ACG1の3つの出力端子と整流器Rec の3つの入力端子とを接続する配線U,V,W に、電源接続部100 を介してそれぞれ接続されている。そして、電源接続部100 と交流発電機ACG1との間には電源切換部NFB1が設けられ、電源接続部100 と第2電源ACG2との間には電源切換部NFB2が設けられる。
すると、建設機械自体の動作等によって交流発電機ACG1の回転数が規定回転数より低下したり、ベルトや油圧モータ回路等に異常が発生して交流発電機ACG1に所望の回転数が出なくても、電源切換部NFB1と電源切換部NFB2によって整流器Rec に接続する電源を、交流発電機ACG1から第2電源ACG2に切り換えれば、第2電源ACG2から整流器REC に電力を供給することができるから、リフティングマグネット装置による作業を継続することができる。
【特許文献1】
特許第2602759号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、交流発電機ACG1と第2電源ACG2はいずれも3相交流電源であるから電源切換部NFB1および電源切換部NFB2が手動で電源を切換えるものである場合には、人為的なミスによって交流発電機ACG1と第2電源ACG2が、同時に整流器Rec に接続されてしまう可能性がある。すると、交流発電機ACG1と第2電源ACG2とが短絡してしまい、故障してしまう。
また、上記のごとき人為的ミスによる故障を防ぐには、交流発電機ACG1と第2電源ACG2をいずれも停止させてから、電源切換部NFB1および電源切換部NFB2を切り換えなければならない。そして、切り換えには一定の時間を要するため、その間は作業を停止しなけれならないので作業効率が低下してしまう。
電源切換部NFB1および電源切換部NFB2に、電磁接触器等を用いて電動で切換を行う構成とすれば、交流発電機ACG1と第2電源ACG2とが短絡することを防ぐことはできるが、電源切換部NFB1および電源切換部NFB2の構成が複雑になる。しかも、交流発電機ACG1および第2電源ACG2がいずれも停止している状態で電源切換部NFB1および電源切換部NFB2を作動させるためには、交流発電機ACG1と第2電源ACG2以外に、電源切換部NFB1および電源切換部NFB2に電力を供給する別な電源が必要である。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑み、短時間かつ電力の供給を停止させることなく、電源を切換えることができ、電源同士が短絡することを確実に防ぐことができ、リフティングマグネット装置による作業効率を高くすることができるリフティングマグネット装置の電力供給機構を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1のリフティングマグネット装置の電力供給機構は、直流電磁石に直流電力を供給する電流制御部と、該電流制御部に対して電力を供給する複数の交流電源との間に設けられた、前記電流制御部に供給する電力を制御するためのリフティングマグネット装置の電力供給機構であって、該電力供給機構が、前記複数の交流電源を、前記電流制御部に接続させる接続部と、該接続部と各交流電源との間にそれぞれ設けられた、交流電力を直流電力に変換する複数の直流電源部とからなり、前記接続部において、前記複数の直流電源部が並列接続されており、前記交流電源と前記直流電源部との間に、前記電流制御部に接続する交流電源を選択する電源選択部が設けられていることを特徴とする。
請求項2のリフティングマグネット装置の電力供給機構は、請求項1記載の発明において、前記複数の交流電源のうち、一の交流電源が、商用電源であることを特徴とする。
請求項3のリフティングマグネット装置の電力供給機構は、請求項1記載の発明において、前記電源選択部が、前記交流電源と前記直流電源部との間を遮断する遮断器を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項1の発明によれば、複数の交流電源から供給される交流電力を、それぞれ直流電源部によって直流電力に変化してから接続部に供給しており、しかも、各直流電源部が並列接続されている。このため、複数の交流電源のうち、一の交流電源の電圧が低下しても、他の電源から不足した電力が瞬時に供給されるので、直流電磁石の磁力の低下が生じることを確実に防ぐことができる。よって、リフティングマグネット装置による作業を継続することができるから、作業効率を高くすることができる。また、各直流電源部によって交流電力を直流電力にしてから両方の電流をあわせることになるので、交流電源同士が短絡することを防ぐことができる。しかも、短絡を防ぐ保護機構が直流電源部だけであるから、電力供給機構の構造を簡単にすることができる。また、複数の交流電源のうち、作業に最適な交流電源のみを選択して電流制御部に接続することができるから、他の交流電源の電力の消費を防ぐことができるし、他の交流電源が発電機であればその作動を停止させておくことができる。例えば、他の交流電源が建設機械等に搭載された発電機であれば、発電機を停止させておくことによって建設機械等のエンジンの使用可動能力の低下や燃費の悪化を防ぐことができる。
請求項2の発明によれば、他の全ての交流電源が発生する電圧が所定の電圧よりも低下しても、不足する電力を、安定した電源である商用電源によって確実に補うことができるから、リフティングマグネット装置による作業効率をさらに高くすることができる。
請求項3の発明によれば、遮断器によって交流電源と直流電源部との間を接続遮断すれば、電流制御部に接続する交流電源を選択することができる。このため、新たに接続する交流電源を電流制御部に接続してから、接続してあった交流電源と直流電源部との間を遮断すれば、電流制御部への電力の供給を停止させることなく、電流制御部に接続する交流電源を切り換えることができる。よって、交流電源を切り換えるときに、リフティングマグネット装置による作業を停止する必要がないので、作業効率が低下することを防ぐことができるし、遮断器をON−OFFするだけであるから、切り換えを短時間で行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の電力供給機構10の概略ブロック図である。図1において、符号ACG1はリフティングマグネット装置が搭載された建設機械のエンジン等によって駆動される3相交流発電機等の交流電源を示しており、符号ACG2は商用電源や建設機械と別に用意された3相交流発電機等の交流電源を示している。
【0011】
なお、建設機械がその本体に予備電源と使用する3相交流発電機を備えている場合には、その予備電源を交流電源ACG2としてもよい。
さらになお、リフティングマグネット装置が、工場等に設置されている場合であれば、交流電源ACG1,ACG2を両方とも商用電源としてもよいし、主として使用する交流電源ACG1を商用電源とし、停電時等に予備電源等として使用される交流発電機を交流電源ACG2としてもよい。
さらになお、交流電源ACG1,ACG2は、3相交流電源でなくてもよく、家庭用交流電源や、単相交流電源、2相交流電源、6相交流電源等でもよい。
つまり、本発明の電力供給機構10は、交流電源の種類に関わらず、一台のリフティングマグネット装置を複数の交流電源に同時に接続させることができ、しかも、同時に接続させても交流電源同士が短絡することを確実に防ぐことができる構成としたことに特徴を有しているのである。
【0012】
図1において、符号LMはリフティングマグネット装置の直流電磁石を示している。符号BCC は直流電磁石LMに直流電力を供給する電流制御部を示している。この電流制御部BCC は、4つのパワートランジスタTr1〜4にダイオードD1〜4が並列接続されたブリッジ制御回路であり、特許第2602759号に開示されているブリッジ回路と実質同等の機能および構成を有するものである(図2参照)。この電流制御部BCC は、2つの入力端子A1,A2 を備えており、この2つの入力端子A1,A2 から供給される直流電力を制御することによって、直流電磁石LMにおける磁力の発生を制御している。
【0013】
この電流制御部BCC の2つの入力端子A1,A2 には、電力供給機構10の接続部11を介して、3相交流電源ACG1,ACG2が接続されている。この電力供給機構10の接続部11と、3相交流電源ACG1,ACG2との間には、それぞれ交流電力を直流電力に変換する直流電源部12が設けられている。各直流電源部12には、3相交流電源ACG1,ACG2の3つの出力端子がそれぞれ接続されており、3相交流電源ACG1,ACG2から供給される交流電力を整流し、直流電力として2つの出力端子から出力するものである。
そして、各直流電源部12の2つの出力端子は、前記接続部11によって電流制御部BCC に並列接続されている。
【0014】
このため、2つの3相交流電源ACG1,ACG2のうち、一の3相交流電源ACG1の電圧が低下しても、3相交流電源ACG2から不足した電力が瞬時に供給されるので、直流電磁石LMの磁力の低下が生じることを確実に防ぐことができる。
よって、リフティングマグネット装置の作業中に、建設機械等のエンジン回転数の変動や、3相交流電源ACG1自体の作動不良によって3相交流電源ACG1の電圧が低下しても、リフティングマグネット装置による作業を継続することができ、作業効率を高くすることができる。
とくに、3相交流電源ACG2に商用電源を使用すれば、3相交流電源ACG1が発生する電圧が所定の電圧よりも低下しても、不足する電力を、安定した電源である商用電源によって確実に補うことができるから、リフティングマグネット装置による作業効率をさらに高くすることができる。
【0015】
また、接続部11によって各直流電源部12を並列接続している、つまり交流電力を直流電力に変換してから2つの3相交流電源ACG1,ACG2から供給される電流をあわせることになるので、2つの3相交流電源ACG1,ACG2同士が短絡することを防ぐことができる。しかも、3相交流電源ACG1,ACG2と電流制御部BCC との間に直流電源部12を設ければ短絡を防ぐことができるから、電力供給機構10の構造を簡単にすることができる。
【0016】
また、各直流電源部12と、2つの3相交流電源ACG1,ACG2との間には、それぞれ電源選択部15a,15b が設けられている。この電源選択部15a,15b は、例えば3相交流電源ACG1,ACG2と各直流電源部12との間を接続遮断する遮断器16を備えている。
このため、電源選択部15a,15b によって、3相交流電源ACG1,ACG2の両方を電流制御部BCC に接続すれば、両者から同時に電流制御部BCC に電力を供給することができるし、3相交流電源ACG1,ACG2のうちいずれか一方のみを電流制御部BCC に接続すれば、いずれか一方の3相交流電源からのみ電流制御部BCC に電力を供給することができる
【0017】
よって、3相交流電源ACG1,ACG2のうち、作業に最適な3相交流電源のみを選択して電流制御部BCC に接続することができるから、他の3相交流電源の電力の消費を防ぐことができるし、他の交流電源が発電機であればその作動を停止させておくことができる。例えば、他の交流電源が建設機械等に搭載された発電機であれば、発電機を停止させておくことによって建設機械等のエンジンの使用可動能力の低下や燃費の悪化を防ぐことができる。
【0018】
そして、遮断器16によって3相交流電源ACG1,ACG2と各直流電源部12との間を接続遮断すれば、電流制御部BCC に接続する3相交流電源を選択することができる。
このため、新たに接続する交流電源を電流制御部BCC に接続してから、接続してあった交流電源と電流制御部BCC との間を遮断すれば、電流制御部BCC への電力の供給を停止させることなく、電流制御部BCC に接続する交流電源を切り換えることができる。
よって、3相交流電源ACG1,ACG2を切り換えるときに、リフティングマグネット装置による作業を停止する必要がないので、作業効率が低下することを防ぐことができる。しかも、遮断器16をON−OFFするだけで電流制御部BCC に接続する3相交流電源ACG1,ACG2を切り換えることができるから、切り換えを短時間で行うことができる。
【0019】
なお、電源選択部15a,15b において、3相交流電源ACG1,ACG2と各直流電源部12との接続を切り換える機構は遮断器16に限られず、各電源選択部15a,15b が接続された3相交流電源ACG1,ACG2によって作動する電磁接触器などでもよく、とくに限定はない。
さらに、接続部11に接続される交流電源の数は2つに限られず、3つ以上接続してもよい。
【0020】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、直流電磁石の磁力の低下が生じることを確実に防ぐことができるから、リフティングマグネット装置による作業効率をさらに高くすることができる。また、交流電源同士が短絡することを防ぐことができ、電力供給機構の構造を簡単にすることができる。また、他の交流電源の電力の消費を防ぐことができるし、他の交流電源が発電機であればその作動を停止させておくことができる。
請求項2の発明によれば、リフティングマグネット装置による作業効率をさらに高くすることができる。
請求項3の発明によれば、作業効率が低下することを防ぐことができるし、切り換えを短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の電力供給機構10の概略ブロック図である。
【図2】従来のリフティングマグネット装置の電力供給機構の概略ブロック図である。
【図3】2つの交流電源ACG を接続した場合の電力供給機構の概略ブロック図である。
【符号の説明】
10 電力供給機構
11 接続部
12 直流電源部
15a 電源選択部
15b 電源選択部
16 遮断器
BCC 電流制御部
LM 直流電磁石
ACG 3相交流電源
Claims (3)
- 直流電磁石に直流電力を供給する電流制御部と、該電流制御部に対して電力を供給する複数の交流電源との間に設けられる、前記電流制御部に供給する電力を制御するためのリフティングマグネット装置の電力供給機構であって、
該電力供給機構が、
前記複数の交流電源を、前記電流制御部に接続させる接続部と、
該接続部と各交流電源との間にそれぞれ設けられる、交流電力を直流電力に変換する複数の直流電源部とからなり、
前記接続部において、前記複数の直流電源部が並列接続されており、
前記交流電源と前記直流電源部との間に、前記電流制御部に接続する交流電源を選択する電源選択部が設けられている
ことを特徴とするリフティングマグネット装置の電力供給機構。 - 前記複数の交流電源のうち、一の交流電源が、商用電源である
ことを特徴とする請求項1記載のリフティングマグネット装置の電力供給機構。 - 前記電源選択部が、
前記交流電源と前記直流電源部との間を遮断する遮断器を備えている
ことを特徴とする請求項1記載のリフティングマグネット装置の電力供給機構。
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