JP4146394B2 - 水処理装置及び水処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、環境ホルモン等の不純物や環境汚染物質を含む溶液を電気化学的に処理して前記不純物等を無害な低分子量化合物まで分解するための水処理装置及び水処理方法に関する。
産業及び生活廃棄物に起因する大気汚染、河川や湖沼の水質悪化などにより環境や人体への影響が憂慮され、その問題解決のための技術的対策が急務になっている。例えば飲料水処理、下水処理及び排水処理において、その脱色やCOD低減、殺菌のために塩素等の薬剤を投入する水処理が行われているが、塩素注入によって新たな危険物質、即ち環境ホルモン(外因性分泌攪乱物質)、発ガン性物質などが生成されるため、塩素注入は禁止される方向にある。また廃棄物の焼却処理では燃焼条件によって廃ガス中に発ガン性物質(ダイオキシン類)が発生し生態系に影響するため、その安全性が問題視され、これを解決するために新規な方法が検討されている。
廃水処理の一手法として、クリーンな電気エネルギーを利用して電極表面での化学反応を制御する電気分解法が知られている。この電気分解法では、水素、酸素、オゾン、過酸化水素等を発生させ、これらの物質により被処理物質を間接的に分解したり、または被処理物質を電極に吸着させて直接電気分解したりする。分解生成物は最終的には二酸化炭素、水、水素、酸素、窒素、アンモニア、塩化物イオン等の低分子量の安全な物質となることが好ましいが、分解過程にある中間体がかえって危険性を有する場合もあることも知られている。電極や反応対象物質などの詳細な検討は、例えば非特許文献1及び2等に示されているが、電極の性能によっては十分に対象物質を分解できない場合があることが指摘されている。一般的に水溶液中の電気分解における陽極酸化反応では、水が原料となって電解生成物ができるが、水の放電に対して反応性の高い電極触媒を用いた場合には他の共存物質の酸化が容易には進行しないことが多い。酸化を行う電極物質としては、酸化鉛、酸化錫、白金、DSA、カーボン等があり、還元を行う電極物質としては、鉛、鉄、白金、チタン、カーボン等がある。電極基体として使用し得る材料は、長寿命の観点と処理表面への汚染が起きないように耐食性を有することが必要であり、陽極給電体としてはチタン等の弁金属、その合金に限定され、電極触媒としても白金、イリジウム等の貴金属及びそれらの酸化物に限定される。しかしながらこれらの高価な材料を用いても、電流を流すと電流密度や時間に対応して消耗し、溶液中に流出することが知られており、より耐食性の優れた電極が望まれている。この点に関し、下記特許文献1及び2には電極材料やその構造についての工夫が提案されている。
一方、電気分解法では、原理的に被処理水と電極の界面が反応場となり、そこへの原料供給速度が反応の律速となるが、この原料供給は拡散現象に頼らざるを得ない。このため、これが致命的律速となって、被処理水の処理量・濃度レベルに制約がかかり、実用化に至っていないのが現状である。そして、電気分解法による水処理装置に関し、高効率化を図ることを目的とした種々の技術が公知となっている。例えば特許文献1には、両電極間をこの電極と平行に排水が流れる排水流路とすることで排水と電極との接触効率を高めることが開示されている。また下記特許文献2には、電解処理槽と貯蔵槽との間で被処理水を循環させ、繰り返し処理を行うものが開示されている。また下記特許文献3には、複数の対の電極を用いるものが開示されている。また下記特許文献4には、貯水槽内のミキシングポンプによる水圧を利用して槽内の水を浄水装置側へ導くものが開示されている。また下記特許文献5には、断面円形に構成されたオゾナイザの周面の一部に沿うように電極を配設し、回転翼を回転させることで遠心力を生じさせ、これにより原料水を電極に圧接させることが開示されている。
特開2003−236544号公報 特開2000−226682号公報 特開2003−340457号公報 特開2000−265292号公報 特開2003−88866号公報 電気化学第62巻、1084〜(1992) Journal of Applied Electrochemistry, Vol.21, 99-104(1991)
電気分解法による水処理装置においては更なる高効率化を図ることが望まれているところであるが、前記特許文献1のものでは、電極間を排水流路とし、この排水流路で浄水処理を行うものなので電極面積に応じた処理能力となり、処理能力を上げようとすれば電極を大きくする必要が生ずるか、または別途貯水槽を設けこの貯水槽との間で被処理水を循環させる必要が生じ、いずれにしても装置が大型化してしまう。この点、引用文献2のものも電解処理槽と貯蔵槽を備える構成であるので装置が大型化するのが避けられない。また、前記特許文献3及び4のものでは、原料供給を拡散現象に頼っているので高効率化には限界がある。また、前記特許文献5のものでは、遠心力を利用して被処理水を電極に接触させるようにしているが、電極が周面の一部のみに配置されるだけなので電極と被処理物質との接触効率が悪い。
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水処理装置が大型化するのを回避しつつ、被処理水に含まれるより多くの被処理物質を効率的に処理することにある。
前記の目的を達成するため、本発明は、電極が回転するように構成するとともに、この電極の回転によって被処理水に生ずる遠心力を被処理水の循環駆動力として利用するようにしたものである。
具体的に、本発明は、電極間に電圧を印加して被処理水に含まれる被処理物質を分解する水処理装置を前提として、前記被処理水が貯溜される容器体とこの容器体に回転可能に支持された駆動軸とを備え、陽極電極及び陰極電極の少なくとも一方が前記駆動軸と一体的に回転する回転電極として構成された水処理部が設けられ、前記水処理部は、前記駆動軸の回転に伴って前記回転電極に沿って被処理水を径方向外側へ流動させる流路と、この流路を流れた被処理水を前記回転電極の径方向内側へ流動させる流路とが形成され、被処理水の循環を起こさせるように構成されている。
この水処理装置では、被処理水が貯溜された容器内で駆動軸が回転して回転電極が回転すると、この回転電極の回転に伴う被処理水の流動が生ずる。この被処理水の流動は回転電極の回転方向への流動であるが、遠心力が同時に生ずることで径方向外側への流動を伴うものである。そして、被処理水が回転電極に沿って径方向外側へ流動する一方、径方向外側へ流動した被処理水が今度は径方向内側へ流動するという被処理水の循環が生ずる。つまり、回転電極の回転に伴って被処理水に生ずる遠心力が循環駆動力となり、被処理水は容器体内で強制的に循環させられることとなる。そして、この状態で電極間に電圧が印加されると、電極に対する被処理水の相対移動を生じながら、被処理水に含まれる被処理物質の分解が行われる。
前記水処理装置において、前記陽極電極及び陰極電極の双方が前記回転電極として構成されるとともに、両電極は前記駆動軸の軸方向に互いに所定の間隔をおいて配置され、前記水処理部は、前記両電極間の間隙が前記駆動軸の回転に伴って被処理水を径方向外側へ流動させるための流路として形成される一方、前記両電極の外側が両電極間から流出した被処理水を径方向内側へ流動させて両電極間へ流入させるための流路として形成されていてもよい。
この構成では、陽極及び陰極の双方の電極を回転電極として構成しているので、被処理水に効率的に循環駆動力を付与することができる。したがって、電極と被処理物質との接触効率を向上できて被処理物質の処理能力を高めることができる。
そして、前記両電極はそれぞれ複数設けられて、陽極電極と陰極電極とが交互に配置されていれば、被処理水の循環流量を確保しながら、陽極電極と陰極電極との間隙幅を小さく設定できる。この結果、消費電力を低減しつつ、効率的に被処理物質の分解処理を行うことができる。
前記水処理装置において、前記陽極電極及び陰極電極の一方が前記回転電極として構成され、前記陽極電極及び陰極電極の他方が前記回転電極と対向配置されている構成としてもよい。そして、この構成において、前記陽極電極及び陰極電極の他方は、前記容器体に含まれている構成としてもよい。そうすれば、水処理部の構成部品を削減でき、コストの低減を図ることができる。
そして、前記回転電極は、駆動軸の軸方向に所定の間隔をおいて複数設けられており、前記水処理部が、前記回転電極間の間隙が前記駆動軸の回転に伴って被処理水を径方向外側へ流動させるための流路として形成される一方、回転電極の外側が回転電極間から流出した被処理水を径方向内側へ流動させて回転電極間へ流入させるための流路として形成されていれば、被処理水の循環流量を増大でき、より多くの被処理物質を分解処理することができる。
前記回転電極には、導電性ダイアモンド薄膜からなる導電層が形成されているのが好ましく、前記導電層は、回転電極として構成されている陽極の電極に形成されているのが好ましい。
このような構成とすれば、電極表面に酸素化学種が高密度に吸着した状態で被処理物質を酸化して分解することができ、被処理物質の分解処理を安定して且つ高効率に行うことができる。
また、前記水処理部へ導入される被処理水量に対して前記水処理部内で循環する被処理水量が10倍以上となるように設定されていれば、安定で且つ高効率の分解処理能力を発揮することができる。
さらに、前記電極の電極面を清掃するためのブラシが設けられていれば、メンテナンス作業の頻度を低減しつつ、長期間に亘って安定した分解処理能力を発揮することができる。
さらにまた、前記水処理部が複数設けられていれば、各水処理部毎に特性を変えることが可能となり、対象となる被処理水の種類を拡大できる等、水処理装置の汎用性を向上することができる。また、水処理部の連結数に応じて処理量を調整できるので、用途に応じた性能を有する水処理装置とすることができる。
この場合、前記水処理部は、被処理水が各水処理部を順番に流れるように直列的に結合され、前記各水処理部の駆動軸は互いに連結されて一体となって回転するように構成されていてもよい。こうすれば、駆動軸を駆動させる手段は1つでよく、また低濃度の被処理水であっても被処理物質を確実に分解することができる。
また、本発明は、電極間に電圧を印加して被処理水に含まれる被処理物質を分解する水処理方法を前提として、前記被処理水が貯溜される容器体とこの容器体に回転可能に支持された駆動軸とを備え、陽極電極及び陰極電極の少なくとも一方が前記駆動軸と一体的に回転する回転電極として構成された水処理部が用いられ、前記水処理部内で、前記駆動軸の回転に伴って被処理水を前記回転電極に沿って径方向外側へ流動させるとともにこの被処理水を径方向内側へ流動させる被処理水の循環を起こさせて水処理を行う水処理方法としてもよい。
この水処理方法において、前記水処理部へ導入される被処理水量に対して10倍以上の量の被処理水を前記水処理部内で循環させるのが好ましい。
以上説明したように、本発明の水処理装置によれば、回転電極を回転させることによって被処理水を容器体内で強制的に流動させることができるので、電極と被処理物質との接触効率を高めることができる。このため、従来の水処理装置では困難であった低濃度の被処理水の水処理が可能となる。しかも、被処理水が容器体内で循環するようになっているので、電極を大型のものにしなくても被処理水に含まれるより多くの被処理物質を効率的に処理することが可能となる。この結果、水処理装置が大型化するのを回避しつつ、被処理水中の被処理物質を効率よく分解処理することができる。また、回転電極を回転させるだけでいいので、被処理水を流動させるのに装置が複雑化するのを回避することもできる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
《実施形態1》
本実施形態1に係る水処理装置は、被処理物質の含有量が1g/m3未満の被処理水を対象としたものであり、その処理能力が100m3/日以下に設定された電気分解法による水処理装置である。
図1に示すように、本水処理装置1には、被処理水の水処理を行う水処理部3が設けられている。本実施形態1では、水処理部3は1つだけ設けられている。水処理部3は、被処理水が貯溜される箱形の容器体5を備えており、この容器体5は金属等の導電性を有する材料によって構成されている。容器体5の上面部5aにおける隅角部近傍には、被処理水を容器体5内へ導入するための導入孔9が形成されている。また容器体5の下面部5bには、前記隅角部の隣の隅角部に対向する部位に容器体5内の被処理水を導出させるための導出孔10が形成されている。これら導入孔9及び導出孔10は、その詳細な構成の図示を省略しているが、実際には被処理水がそれぞれ所定流量で流通するように流量調整可能に構成されている。この流量に関する詳細は後述する。
容器体5には、モータ12に連結された駆動軸14が上下方向に貫通している。この駆動軸14は、容器体5の上面部5a及び下面部5bに形成された開口にそれぞれ嵌め込まれたベアリング16,16を介して容器体5に回転可能に支持されている。駆動軸14は、金属製のもので導電性を有している。ベアリング16,16は容器体5と駆動軸14との間の導通を阻止すべく絶縁性のものが使用されている。駆動軸14の両端部はそれぞれ段差状に形成されていて、他の駆動軸14との連結が可能となっている。
水処理部3には直流電力を供給するための電源20が設けられている。この電源20の正極側は駆動軸14と電気的に接続される一方、負極は容器体5と電気的に接続されている。
駆動軸14には有底筒状の支持部材22が設けられている。この支持部材22は、底面部22aが容器体5の上面寄りに位置する姿勢に配置されて駆動軸14と同軸状に固定されている。支持部材22の胴部22bは、駆動軸14との間の間隙が所定の幅に設定されるような寸法に設定されている。また、支持部材22には、絶縁材からなる接続部材24を介して筒状部材26が結合されている。この筒状部材26は支持部材22との間に間隙を形成しつつ同軸状に配置されており、筒状部材26及び支持部材22により二重円筒構造となっている。
前記接続部材24は、支持部材22と筒状部材26とを一体的に回転させるために両者を連結するものである。一方、支持部材22及び筒状部材26はそれぞれ金属製のものであり導電性を有している。そこで、接続部材24を絶縁材とすることで、両者を連結しつつ両者間の導通を阻止するようにしている。
前記接続部材24は、支持部材22の底面部に22aおける外周側に気密状態に密着されるとともに、筒状部材26の上端部における内周側に気密状態に密着されている。この接続部材24によって支持部材22と筒状部材26とが密着されることにより、容器体5内の上部に溜まっている空気が筒状部材26の内側へ侵入しないようになっている。
支持部材22の胴部22aには、貫通孔22cが形成されており、支持部材22の内側と外側とがこの貫通孔22cを通して連通されている。貫通孔22cは多数設けられていて、これら貫通孔22cは周方向及び軸方向に配列されている。一方、筒状部材26にも貫通孔26aが形成されおり、筒状部材26の内側と外側とがこの貫通孔26aを通して連通されている。この貫通孔26aも多数設けられていて、これら貫通孔26aは周方向及び軸方向に配列されている。
支持部材22の胴部22b外側には、円形平板状に形成された陽極電極30が接合されている。つまり、本実施形態1では、陽極電極30は駆動軸14と一体的に回転する回転電極として構成されている。陽極電極30の内端部は、周方向に間隔をおいて複数設けられる連結部30aとして形成されており、この連結部30aを筒状部材26の貫通孔26aに所定の間隙を有した状態で挿通することで、陽極電極30は、筒状部材26よりも径方向外側へ延出されている。
陽極電極30は複数(図示例では3つ)設けられており、これら各陽極電極30は駆動軸14の軸方向に所定間隔をおいて互いに平行に配置されている。本実施形態1では、駆動軸14が鉛直方向に延びるように配置されているため、各陽極電極30は水平に配置されている。
筒状部材26には、その外側部に円形平板状に形成された陰極電極33が接合されている。つまり、本実施形態1では、陰極電極33は、支持部材22、接続部材24及び筒状部材26を介して駆動軸14と一体的に回転する回転電極として構成されている。陰極電極33は各陽極電極30の上下に配置されるように複数(図示例では4つ)設けられており、陽極電極30と陰極電極33とは交互に配置されている。
最上位置の陰極電極33は、容器体5の上面部5aに設けられたベアリング35を介して容器体5の上面部5aと接合されることで、容器体5によって安定して支持されている。また、このベアリング35は導電性を有するものに構成されており、陰極電極33はこのベアリング35を通して容器体5と電気的に接続されている。
容器体5内では、電極30,33が回転すると、この電極30,33の回転に伴って被処理水が循環するようになっている。すなわち、容器体5内では、電極30,33の回転により、被処理水が電極30,33に沿って径方向外側へ流動する流動流路と、この流動流路から流出した被処理水が径方向内側へ流動した後に上方へ流動し、径方向内側から電極30,33間の間隙へ流入する戻り流路とが形成されるようになっている。
流動流路は、陽極電極30と陰極電極33との間の間隙によって形成されるものである。つまり、陽極電極30と陰極電極33との間の間隙を例えば10mm以下のような狭い幅に設定することで、電極30,33の回転に伴って被処理水を流動させることができるようになっている。この被処理水の流動は電極30,33の回転に伴う円周方向の流動であるが、遠心力を受けることから径方向外側に向かう流動を伴う。
一方、戻り流路は、最下位置の陰極電極33と容器体5の下面部5bとの間の間隙によって形成される流路と、前記駆動軸14と支持部材22との間の間隙によって形成される流路とからなる。つまり、容器体5内の下部に形成される間隙を十分な幅に設定することで、電極30,33間の間隙からこの電極30,33の径方向外側へ流出した被処理水を容器体5の下面部5b壁面に沿って径方向内側へ流動させることができるようになっている。このとき、容器体5の下部に十分な幅の間隙が形成されていることで、電極30,33が回転しているときでも被処理水は容器体5の下面部5bに沿って径方向内側へ向かって流動する。そして、駆動軸14との間に所定幅の間隙を形成するように電極30,33を支持する支持部材22を設け且つこの支持部材22の内側と電極30,33間の間隙とを連通させることで、容器体5下部を径方向内側へ流れた被処理水が駆動軸14に沿って上方へ流動し、これにより電極30,33間の間隙へ戻るようになっている。このように容器体5内では、電極30,33の回転に伴って被処理水の循環が生ずるようになっている。
容器体5内には、電極30,33の電極面を清掃するためのブラシ37が設けられている。このブラシ37は、容器体5の上面部5aに吊下げられ且つ回動可能に構成された回動軸37aと、この回動軸37aから水平方向に突出されたブラシ部37bとからなる。ブラシ部37bは電極数に対応した数だけ設けられ、これらは軸方向に並設されている。そして、回動軸37aを回動することで図2に破線で示すように各ブラシ部37bが電極30,33の上下に位置し、電極30,33が回転すると各電極面に付着した異物が除去されるようになっている。
前記陽極電極30は、チタン、ニオブ、タンタル、シリコン、カーボン、ニッケル、タングステンカーバイド等の板、打抜き板、金網、粉末焼結体、金属繊維焼結体等からなる基体の表面に粉末ダイアモンドを被覆して構成されるものである。ダイアモンドは熱伝導性、光学的透過性に優れ、また高温・酸化に対する耐久性に優れており、特にドーピングにより熱伝導性の制御も可能であるという特徴を有している。生成するダイアモンド薄膜に良好な導電性を付与して導電層とするためには、原子価の異なる元素を微量添加することが必要であり、例えばリンや硼素を1〜100000ppm 、好ましくは100 〜10000ppm程度含有させることが必要である。この添加物の原料化合物としては毒性の少ない酸化硼素や五酸化二リンなどが好ましい。これにより、陽極電極30では導電性ダイアモンドが電極物質として使用されることとなる。このとき基体はダイアモンドの集電体としても機能する。また、電極物質としてダイアモンド以外に少量の他の電極物質を含有する構成としてもよい。
なお、導電性ダイアモンド薄膜を極薄の絶縁性ダイアモンド薄膜で被覆する構成としてもよい。また、板状のダイアモンドをそのまま電極としてもよい。この場合には、別に集電体を用意しダイアモンド電極への給電を行う構成とすることが必要となる。また、被処理水の導電性が小さい場合には、イオン交換膜やイオン交換樹脂を電解質として用いることが望ましい。イオン交換膜はフッ素樹脂系、炭化水素樹脂系のいずれでも良いが、耐食性の面から前者が好ましく、市販の膜としては、Nafion(デュポン社)、Aciplex(旭化成株式会社)及びFlemion(旭硝子株式会社)などが入手できる。
次に、被処理水における電気化学反応について説明する。
一般に陽極酸化反応は、次に示す式に従って進行する。すなわち、
陽極:2H20 → O2 + 4H+ + 4e (1.23V)
3H20 → O3 + 6H+ + 6e (1.51V)
2H20 → H22 + 2H+ + 2e (1.78V)
なる反応が行われて電解生成物が生ずるが、水の電解に対して反応性の低い電極では他の共存物質の酸化が容易に進行する。また、塩化物イオンを含有する水溶液の場合には陽極における主反応は、
2Cl- → Cl2 + 2e (1.36V)
となる。生成された塩素ガスは水中に溶解し、pHにも依るが、水と反応して次亜塩素酸が生成される。ダイアモンドを電極物質とする陽極電極30では、これらの反応も生じ得るが、大きな過電圧が必要になる。一般に陽極物質であるダイアモンドの表面では、図3に模式的に示すように、水が酸化されて酸素化学種(OH-またはOH*)が電極表面に高密度に生成し、その後酸素やオゾンが生成すると考えられる。ただし、ダイアモンドの化学的安定性のため水分子は酸化されにくく酸化される量は僅かである。一方、炭素との親和力の大きい有機物(被処理水に溶解する難分解性の有害物質の多くは有機物)などはダイアモンド表面に吸着されやすく、電位的に酸化が進行し得る範囲であれば直接的酸化が容易に進行し、換言すると、酸素化学種が高密度に吸着した電極表面に被処理物質が接触して酸化的に分解される。この他に前述の酸素化学種つまりオゾンや過酸化水素、及び次亜塩素酸並びにこれらに起因するラジカルによる間接的な酸化分解も生ずる。この結果、有機物等からなる被処理物質は低分子化合物へと分解される。
他方、陰極での還元反応は、
陰極:2H+ +2e → H2
2H2O +2e → H2 + 2OH-
となっており、陰極に酸素が供給されると、
陰極: 2O2 + 4H+ + 4e → 4OH- +HO2 -
なる反応が生じ、反応条件によっては2電子還元や1電子還元による過酸化水素、スーパーオキシドアニオン(O2- )が生成することもある。これらの反応は、ダイアモンドを電極物質とした場合であっても陰極において生じ得るが大きな過電圧が必要になる。また、ダイアモンドを陰極物質とした場合には表面でまず水が吸着されかつ還元されて水素が生成すると考えられるが、p型であるため正孔キャリヤーによる還元反応が制限され、かつダイアモンドの化学的安定性のため水分子は還元されにくく還元される量は僅かである。さらに、陰極では吸着した水素原子や不純物による表面準位が存在しこれを経由して反応が進行する間接的な還元分解となるため、比較的分解しにくい被処理物質の処理には不向きである。したがって、陰極電極33はむしろ耐腐食性材料における微量溶存の金属系元素の析出電極として用いることが好ましい。
ここで陽極電極30の表面に着目するなら、従来の水処理装置においては、被処理物質が電極表面に達する駆動力は、溶液中の拡散現象に頼っている。換言すれば、どんなに大きな電流を流して高密度の酸素活性種を生成しようが、被処理物質の供給が追いつかねば、水処理装置としての性能は有効に発揮されず、大電流を流すために印加した過電圧のために水の分解反応が生じ、陽極では酸素が発生するに至るだけである。
これに対し、本実施形態1に係る水処理装置1においては、陽極電極30と陰極電極33を回転させることにより、被処理物質が電極表面に達する駆動力を得るようにしている。すなわち、図4及び図5に示すように、陽極電極30と陰極電極33との間隙幅を所定の大きさに設定し、陽極電極30と陰極電極33とを一体的に回転させるようにしている。これにより被処理水は、両電極30,33の回転に伴って円周方向に流動するとともにそれによって被処理水に生ずる遠心力を受けて、図4に矢印40で示すような流動が得られる。つまり、両電極30,33は被処理水を流動させる遠心ポンプとして機能している。なお、図4では電極30,33の回転方向を白抜き矢印で示している。この電極30,33の回転方向はこれに限られるものではなく、この逆方向(図4における時計回り方向)であってもよい。
そして、被処理水は電極30,33間を径方向外側へ層流状態で流動し、電極30,33間の間隙から流出した被処理水は、図1に矢印で示すように今度は容器体5の下面部5bに沿って径方向内側へ流動する。そして、この被処理水は支持部材22の内側を上方へ流動して支持部材22の貫通孔22c及び筒状部材26の貫通孔26aを通って電極30,33間の間隙へ流入する。このように容器体5内では電極30,33が回転し続ける間、被処理水が循環している。つまり、電極30,33の回転に伴って被処理水に生ずる遠心力が駆動力となり、被処理水は容器体5内で強制的に循環させられることとなる。このとき、水処理部3へ導入(又は水処理部3から排出)される被処理水の流量をqとし、電極30,33間の間隙を流動する被処理水の流量をQとすると、電極30,33間の間隙数をN(本実施形態では6)としたときに、水処理部3内の被処理水は、下記関係式(1)
γ≡1−q/(N・Q) ・・・(1)
で定義される循環率γ(%)で循環することとなる。この循環率γは水処理部3内へ導入された被処理水のうち、容器体5内を循環する被処理水の割合を示している。換言すると、被処理水は1/(1−γ)=(N・Q)/q回だけ電極30,33間の間隙を通過して繰り返し分解処理される。
したがって、本実施形態1に係る水処理装置1によれば、電極30,33を回転させることによって被処理水を容器体5内で強制的に流動させることができるので、電極30,33と被処理物質との接触効率を高めることができる。しかも、被処理水が容器体5内で循環するようになっているので、電極30,33を大型のものにしなくても被処理水に含まれるより多くの被処理物質を低濃度まで効率的に処理することが可能となる。さらに、電極30,33を被処理水の駆動力源として利用する構成であるので、部品点数が増大するのを極力抑えながら被処理水を循環させる構成にすることができる。この結果、水処理装置1が大型化するのを回避しつつ、被処理水中の被処理物質を効率よく分解処理することができる。また、電極30,33を回転させるだけでいいので、被処理水を流動させるのに水処理装置1の構成が複雑化するのを回避することもできる。
また、本実施形態1では、陽極電極30及び陰極電極33の双方を回転電極として構成しているので、被処理水に効率的に循環駆動力を付与することができる。したがって、電極30,33と被処理物質との接触効率を向上できて被処理物質の処理能力を高めることができる。
また、本実施形態1では、陽極電極30及び陰極電極33をそれぞれ複数設け、陽極電極30と陰極電極33とを交互に配置するようにしているので、被処理水の循環流量を確保しながら、陽極電極30と陰極電極33との間隙幅を小さく設定できる。この結果、消費電力を低減しつつ、効率的に被処理物質の分解処理を行うことができる。
また、本実施形態1では、陽極電極30に導電性ダイアモンド被膜からなる導電層を形成するようにしているので、電極表面に酸素化学種が高密度に吸着した状態で被処理物質を酸化して分解することができ、被処理物質の分解処理を安定で且つ高効率の分解処理能力を発揮させることができる。
また、本実施形態1では、電極30,33の電極面を清掃するブラシ37を設けるようにしているので、メンテナンス作業の頻度を低減しつつ、長期間に亘って安定した分解処理能力を発揮することができる。しかもこのブラシ57が多段のブラシ部37bを備えるようにしているので、陽極電極30及び陰極電極33が複数設けられていても一括して各電極30,33の電極面を清掃することができる。
ここで、被処理物質の分解効率について説明する。両電極30,33とも内径をa、外径をbとし、電極30,33の回転数をf(rpm)とする。そして、両電極30,33間の間隙gが例えば10mm以下のように十分狭くなっているときには、電極30,33が回転すると、水の粘性により両電極30,33間の被処理水は電極30,33の角速度とほぼ同じ角速度で円周方向に流動すると近似できる。このとき、被処理水は遠心力を受け、遠心力は駆動軸14から遠くなるほど大きくなることから、被処理水には引きちぎられるような力が作用するが、間隙gが十分に狭いときには水の表面張力がそれを抑える。これらを考慮して遠心力と粘性抵抗(せん断応力)とのつりあいの式をたて、それに基づいて電極30,33間を流動する被処理水の流量Qを導出できる。このとき、複数(N)の間隙が形成されたN+1枚積層(図1ではN=6)の場合には、被処理水の流量QはN倍になるので、それも考慮にいれると、電極30,33間を流動する被処理水の流量Qは以下の関係式(2)
Figure 0004146394
で表すことができる。ここで、ρは被処理水の密度、μは被処理水の粘性係数である。
次に、被処理水に含まれている被処理物質の電極への拡散を考慮に入れれば被処理物質の分解効率αの実用式を導出することができる。この分解効率αは、拡散の上限と下限とを次元整合の取れた滑らかな関数で内挿することで近似できる。拡散の上限とは流量Qが十分にあるが、電流Iが不十分で陽極電極30でのOH-が反応を律速する状態(電流律速)を意味しており、また拡散の下限とは、電流Iが十分に供給されているが流量Qが不十分でありこの流量Qが反応を律速する状態(拡散律速)を意味している。これにより、被処理物質の分解効率αは、以下の関係式(3)
Figure 0004146394
で表すことができる。ここで、Φは被処理水中の被処理物質の含有濃度を、またΔΦは被処理物質の分解量を、またkは電気分解の比例定数(ファラデー定数)を表している。一方、Ψは、電極物質と被処理物質の接触確率を示すパラメータであり、以下の関係式(4)
Figure 0004146394
の通り定義されるものである。ここで、Dは拡散係数を表している。また、λ(T)は、以下の関係式(5)
Figure 0004146394
の通り定義される温度依存性を表している。このλ(T)は単純分子の吸着反応を仮定することによって導出されるものであり、Tは絶対温度を、またAは定数を、またεは吸着エネルギーを表している。定数Aは装置構造や媒質等によって実験的に決定される。
分解効率αは、図6に示すように、Ψ・ΦとI/(Ψ・Φ)とを両横軸に取ったときの分解量ΔΦの等高線図からも理解することができる。ここで、Ψ・Φは被処理物質の接触効率を意味する実効流量を表し、I/(Ψ・Φ)は実効流量に対する電流値の比である実効電流を表している。同図においてI/(Ψ・Φ)軸寄りの領域は流量Qが反応を律速する拡散律速の領域となっており、Ψ・Φ軸寄りの領域は電流Iの値が反応を律速する電流律速の領域となっている。そして、拡散律速の領域と電流律速の領域との何れにも偏らないような領域が最適運転条件であり、これが分解効率αとして表されることとなる。なお、図7はΨ・ΦとI/(Ψ・Φ)との2次元で最適運転条件を示したものである。
《実施形態2》
図8は本発明の実施形態2を示す。尚、ここでは、実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図8では便宜上ブラシの図示を省略している。
この実施形態2は、水処理部3を複数段(図示例では3段)に直列に接続して構成したものである。具体的に説明すると、各水処理部3A,3B,3Cは実施形態1の水処理部3とそれぞれ同じ構成のものである。各水処理部3A,3B,3Cは上下方向に一列に配置されるとともに、各水処理部3A,3B,3Cの駆動軸14A,14B,14Cが連結されて上下方向に延びる1つの駆動軸が形成されている。そして、最も上方に配置された水処理部3Aの駆動軸14Aの上端にモータ12が連結され、このモータ12の駆動力は、各水処理部3A,3B,3Cの駆動軸14A,14B,14Cに伝達されるようになっている。
最も上に配置された水処理部(第1水処理部)3Aの導出孔10Aとその下に配置された水処理部(第2水処理部)3Bの導入孔9Bとは接続通路51を通して連通されている。また、第2水処理部3Bの導出孔10Bとその下に配置された水処理部(第3水処理部)3Cの導入孔9Cとは接続通路52を通して連通されている。そして、被処理水は、第1水処理部3Aの導入孔9Aから水処理装置1内へ導入され、この第1水処理部3Aから第2水処理部3Bを経由して第3水処理部3Cへ順次流れるようになっていて、各水処理部3A,3B,3Cにおいて水処理が行われて次第に被処理物質の含有濃度が低減されるようになっている。そして、水処理された被処理水は、第3水処理部3Cの導出孔10Cから装置外へ排出されるようになっている。
したがって、本実施形態2によれば、複数の水処理部3A,3B,3Cを備えるようにしているので、各水処理部3A,3B,3C毎に特性を変えることが可能となり、対象となる被処理水の種類を拡大できる等、水処理装置1の汎用性を向上することができる。
ここで、残留濃度のシミュレーション結果について説明する。本実施形態2に係る水処理装置1を図9及び図10に示すようにモデル化する。ここで、各水処理部3A,3B,3C‥内の電極間の間隙数をNと、水処理部3A,3B,3C‥を直列結合した数をMと、水処理部3A,3B,3C‥へ導入される被処理水(又は水処理部3から排出される被処理水)の流量をqと、電極間の間隙を流れる被処理水の流量をQと、電極間の間隙を1回だけ通過したときの分解効率をαとしている。そして、水処理装置1へ導入された被処理水、即ち第1段目の水処理部3Aへ導入された被処理水に含まれる被処理物質の濃度(処理前濃度)をΦ0とし、水処理装置1から排出された被処理水、即ち第M段目の水処理部から排出された被処理水に含まれる被処理物質の濃度(処理後濃度)をΦMとすると、処理後濃度/処理前濃度で定義される残留濃度率は、以下の関係式(6)
Figure 0004146394
により表すことができる。このモデルに基づいた逐次計算によるシミュレーション結果を図11及び図12に示す。図11は、横軸を段数M、縦軸を残留濃度率とした図であり、循環率γを90%とし、分解効率αを0.01〜0.9まで変化させたときの結果の一例である。この図から残留濃度率は、段数Mの増大に伴い、また分解効率αの増大に伴って比例的に低減されることが分かる。
また、図12は、横軸を循環指数とし、縦軸を残留濃度率とした図であり、水処理部3A,3B,3C‥の段数Mを10段とし、分解効率αを0.1〜0.8まで変化させたときの結果の一例である。ここで、循環指数とは1/(1−γ)=(N・Q)/qであり、被処理水が1つの水処理部3A,3B,3C‥内を循環する循環回数に相当する。この図から残留濃度率は、分解効率αの増大に伴って次第に低減されることが分かる。また、残留濃度率は、循環指数の増大に伴い次第に低減されるが、分解効率αが0.5以下のときには循環指数が10以上のときにおいて10未満のときよりも傾きが大きくなっていることが分かる。つまり、循環指数が10未満のときには、被処理水を循環させることによって残留濃度を低減させる効果が、水処理装置1へ導入される被処理水によって抑制されるのに対し、循環指数を10以上とすると、導入被処理水による抑制効果が低減されて、残留濃度率の低減効果を有効に発揮させることができるものと推測される。しかも、この領域では分解効率αによらず傾きがほぼ同じになっているので、循環指数を上げることによる残留濃度率の低減効果を予測しやすいという効果も得られる。したがって、循環指数を10以上とすることにより、安定で且つ高効率の分解処理能力を発揮することができる。
したがって、以上示した関係式(1)〜(6)を利用することにより、対象となる被処理水の処理量及び濃度に応じた適切な規模あるいは適切な形態のシステム設計をすることができ、効率的な水処理を行うことができることが分かる。
尚、本実施形態2では、複数の水処理部3A,3B,3Cを直列的に結合する構成としたが、これに代え、複数の水処理部3A,3B,3Cを並列的に結合する構成としてもよい。並列結合の構成とすれば、結合数に応じた処理能力を発揮でき、用途に応じたスケーラブルな水処理装置1とすることができる。その他の構成、作用及び効果はその説明を省略しているが前記実施形態1と同様である。
《その他の実施形態》
前記実施形態1及び2では、陽極電極30及び陰極電極33の双方を回転電極とする構成としたが、これに限られるものではなく、一方の電極30,33のみを回転電極とする構成としてもよい。この場合において、陽極電極30及び陰極電極33の何れを回転電極としてもよい。そして、その相手方の電極33,30は、容器体5又はその一部によって構成されていてもよい。このような構成とすると、水処理部3の構成部品を削減でき、コストの低減を図ることができる。また、相手方の電極33,30は容器体5内に回転電極30,33と対向配置され且つ回転しないように構成された固定電極によって構成することもできる。そして、この場合において、回転電極30,33を1つだけ設ける構成であってもよく、また複数設ける構成としてもよい。回転電極30,33を複数設ける構成とすれば、電極30,33間の間隙を流れる被処理水の循環流量を増大でき、より多くの被処理物質を分解処理することができる。
本発明の実施形態1に係る水処理装置の全体構成を示す断面図である。 図1のII−II線における断面図である。 電極間で生じる電気化学反応を模式的に示す概念図である。 電極の回転に伴って生ずる被処理水の流動を模式的に示す概念図である。 電極間における被処理水の流動を模式的に示す概念図である。 計算によって得られた分解量の等高線図である。 分解量をΨ・Φ及びI/(Ψ・Φ)の2次元上で示した等高線図である。 本発明の実施形態2に係る水処理装置の全体構成を示す断面図である。 複数の水処理部を有する水処理装置における残留濃度をシミュレーションするのに用いるモデルを示す特性図である。 複数の水処理部を有する水処理装置における残留濃度をシミュレーションするのに用いるモデルを示す特性図である。 段数と残留濃度率との相関についてのシミュレーション結果の一例を示す特性図である。 循環指数と残留濃度率との相関についてのシミュレーション結果の一例を示す特性図である。
符号の説明
3 水処理部
3A,3B,3C 水処理部
5 容器体
14 駆動軸
14A,14B,14C 駆動軸
30 陽極電極(回転電極)
33 陰極電極(回転電極)
37 ブラシ

Claims (14)

  1. 電極間に電圧を印加して被処理水に含まれる被処理物質を分解する水処理装置であって、
    前記被処理水が貯溜される容器体とこの容器体に回転可能に支持された駆動軸とを備え、陽極電極及び陰極電極の少なくとも一方が前記駆動軸と一体的に回転する回転電極として構成された水処理部が設けられ、
    前記水処理部は、前記駆動軸の回転に伴って前記回転電極に沿って被処理水を径方向外側へ流動させる流路と、この流路を流れた被処理水を前記回転電極の径方向内側へ流動させる流路とが形成され、被処理水の循環を起こさせるように構成されていることを特徴とする水処理装置。
  2. 前記陽極電極及び陰極電極の双方が前記回転電極として構成されるとともに、両電極は前記駆動軸の軸方向に互いに所定の間隔をおいて配置され、
    前記水処理部は、前記両電極間の間隙が前記駆動軸の回転に伴って被処理水を径方向外側へ流動させるための流路として形成される一方、前記両電極の外側が両電極間から流出した被処理水を径方向内側へ流動させて両電極間へ流入させるための流路として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
  3. 前記両電極はそれぞれ複数設けられて、陽極電極と陰極電極とが交互に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の水処理装置。
  4. 前記陽極電極及び陰極電極の一方は、前記回転電極として構成され、
    前記陽極電極及び陰極電極の他方は、前記回転電極と対向配置されていることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
  5. 前記陽極電極及び陰極電極の他方は、前記容器体に含まれていることを特徴とする請求項4に記載の水処理装置。
  6. 前記回転電極は、駆動軸の軸方向に所定の間隔をおいて複数設けられており、
    前記水処理部は、前記回転電極間の間隙が前記駆動軸の回転に伴って被処理水を径方向外側へ流動させるための流路として形成される一方、回転電極の外側が回転電極間から流出した被処理水を径方向内側へ流動させて回転電極間へ流入させるための流路として形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の水処理装置。
  7. 前記回転電極には、導電性ダイアモンド薄膜からなる導電層が形成されていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の水処理装置。
  8. 前記導電層は、回転電極として構成されている陽極の電極に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の水処理装置。
  9. 前記水処理部へ導入される被処理水量に対して前記水処理部内で循環する被処理水量が10倍以上となるように設定されていることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の水処理装置。
  10. 前記電極の電極面を清掃するためのブラシが設けられていることを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の水処理装置。
  11. 前記水処理部は、複数設けられていることを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の水処理装置。
  12. 前記水処理部は、被処理水が各水処理部を順番に流れるように直列的に結合され、
    前記各水処理部の駆動軸は互いに連結されて一体となって回転するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の水処理装置。
  13. 電極間に電圧を印加して被処理水に含まれる被処理物質を分解する水処理方法であって、
    前記被処理水が貯溜される容器体とこの容器体に回転可能に支持された駆動軸とを備え、陽極電極及び陰極電極の少なくとも一方が前記駆動軸と一体的に回転する回転電極として構成された水処理部が用いられ、
    前記水処理部内で、前記駆動軸の回転に伴って被処理水を前記回転電極に沿って径方向外側へ流動させるとともにこの被処理水を径方向内側へ流動させる被処理水の循環を起こさせて水処理を行うことを特徴とする水処理方法。
  14. 前記水処理部へ導入される被処理水量に対して10倍以上の量の被処理水を前記水処理部内で循環させることを特徴とする請求項13に記載の水処理方法。
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