JP4144772B2 - 検査用検体容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は検査用検体容器に関し、更に詳しくは、喀痰、唾液や細胞組織等の細胞診用検体や病変部の組織や細菌(例えば結核)等の検査用検体を採取して収容するための水密性の検査用検体容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】
従来のこの種の検査用検体容器においては、その開口部が狭いために、喀痰や唾液等が容器外にこぼれたり、容器の壁に付着したりする等の不都合を有していた。また、開口部が狭いため、採取した喀痰、唾液等の検体を2枚のスライドグラスに取り、すり合わせて顕微鏡標本(スメア)を作成する際にも作業がし難いという問題を有していた。
【0003】
また、未使用の空の容器でも、それを積み重ねることができないために容器の保管に広い場所を必要とし、特に、集団検診等の場合のように多数の容器が必要な場合には不便であった。
【0004】
さらに、検体を収容した容器も積み重ねることができないために、作業性が悪く、また輸送や冷蔵庫中での保管等に広いスペースを必要としていた。
【0005】
本発明は、従来の検査用検体容器を改良して、上記のような問題点を取り除くことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の検査用検体容器は、広口形の開口部と逆円錐台形の胴部とを有する容器本体と、前記開口部に着脱自在に冠着されるキャップ形の蓋とを具備してなり、前記開口部の内径を50〜100mmに設定するとともに、前記容器本体の深さを20〜50mmに設定してなり、前記蓋の天板の内側下面に円筒状のシール部が形成され、その付け根に前記容器本体の開口部上端面と当接する段部が形成されていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0007】
好ましい態様としては、容器本体が透明である請求項1記載の検査用検体容器である(請求項2)。
【0008】
好ましい態様としては、キャップ形の蓋体が透明である請求項1又は2記載の検査用検体容器である(請求項3)。
【0009】
好ましい態様としては、前記容器本体の底板下面に環状突起又は凹部を設けるとともに、蓋の上面に前記環状突起が着脱自在に嵌合する凹部又は突起を形成した検査用検体容器である(請求項4)。これにより、蓋をした複数個の容器を上下に積み重ねたときに容器どうしが左右にずれるのを防止して、容器の積み重ねを安定させることができる。
【0010】
【作用】
本発明の容器は、開口部を広口形としたので、喀痰や唾液等の採取が容易で、喀痰や唾液等が容器外にこぼれたり、壁面に付着するといったトラブルが防止できる。また、スメアを作成する際にスライドグラスを直接容器内に入れ易く、作業性が向上する。
また、シール部は、円筒状で、その付け根に段部が形成されているので、シール性に優れている。
また、容器本体を透明とすることにより、外部から内部の検体を容易に見ることができる。また、更に蓋体を透明とすることにより、蓋体の上方からも内部の検体を見ることができる。
【0011】
さらに、容器本体の胴部を逆円錐台形としたので、蓋をしていない空の容器本体の胴部の下半分を他の容器本体の開口部内に挿入して容器本体どうしを低い高さで積み重ねることができる。したがって、使用時に積み重ねた容器本体を1個づつ取ることができるので作業性が良く、また容器本体の保管スペースが狭くてすむ。
【0012】
なお、開口部の内径が50〜100mmの範囲外なると、喀痰、唾液等の採取が困難となり、喀痰、唾液等が容器外に洩れたり、壁面に付着する等のトラブルが発生し易く、更にスメアの作業性が悪くなり、また容器本体の深さが20〜50mmの範囲外となると不必要に嵩張るため、取り扱いや保管、輸送に不都合が生じ、検体の採取及び収容、取り出しに不便である。更に、スメアの作業性も低下する。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明するが、本発明は必ずしも以下の実施例に限定されるものでないことはいうまでもない。
【0014】
実施例1
本実施例の検査用検体容器は、図1に示すように、容器本体1の開口部3にキャップ形の蓋2を着脱自在に冠着してなるものである。
【0015】
容器本体1は、各種プラスチック、ポリエチレンフィルムをラミネートした紙等からなり、好ましくは、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート等からなるものであって、広口形の開口部3と逆円錐台形の胴部4とを有している。
前記開口部3の外周には、雄ねじ部5が形成されるとともに、該雄ねじ部5の下側に環状のフランジ部6が形成されている。
また、前記胴部4の底板7の下面には環状突起8が形成されている。
【0016】
なお、前記開口部3の内径Dは50〜100mmの範囲内に設定されるとともに、前記容器本体1の深さHは20〜50mmの範囲内に設定されている。内径Dが上記範囲外となると、喀痰の採取が困難となり、喀痰が容器外に洩れたり、壁面に付着する等のトラブルが発生し易くスメアの作業性も悪くなり、また、深さHが前記範囲外となると不必要に嵩張るため、取り扱いや保管、輸送に不都合が生じ、検体、例えば喀痰の採取及び収容、取り出しが不便であり、スメアの作業性も悪くなるので好ましくない。また、胴部4の底板7の内径dは30〜50mm程度とするのが適当である。
【0017】
他方、蓋2は、各種プラスチック、ポリエチレンフィルムをラミネートした紙、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のプラスチックからなり、円形の天板9の下面には、周縁に円筒部10と内側にシール部11とが同心状に形成されている。
前記円筒部10は、内周に容器本体1の開口部3の雄ねじ部5に螺合する雌ねじ部12が形成されるとともに、外周にローレット13が形成されている。
また、前記シール部11は、円筒状で、その付け根に段部14が形成されている。この段部14を設けることにより、シール性が一層高められる効果がある。
さらに、天板9の上面には、容器本体1の底板7の環状突起8が着脱自在に嵌合する凹部15が形成されている。
【0018】
上記構成の検査用検体容器は、以下のように、保管し使用する。
【0019】
まず、空の容器を複数個保管したり使用する場合には、図2に示すように、容器本体1から蓋2を取り外し、容器本体1の胴部4の下半部を他の容器本体1の開口部3内に挿入して上下に積み重ね、上方の容器本体1のフランジ部6の下面を下方の容器本体1の開口部3の上端面に当接させる。これにより、上下の容器本体1の胴部4の間に若干の隙間16が生じ、上下の容器本体1の分離が容易になる。もしも、隙間16がなくて上下の胴部4が密接していると、上下の容器本体1を分離して使用しようとする場合に、上下の底板7の間の空間が負圧になって分離に抵抗し、分離が困難になるという支障が生ずる。
【0020】
空の容器本体1は、上記のようにして低い高さで積み重ねることができるので、保管や使用の際のスペースが狭くてすむ。
【0021】
次に、図1に示すように、採取した検体17を容器本体1に収容して保管するには、容器本体1の開口部3に蓋2を着脱自在に冠着する。その際、蓋2のシール部11を容器本体1の開口部3内に挿入し、シール部11の段部14が開口部3の上端面に当接するまで蓋2の雌ねじ部12を開口部3の雄ねじ部5に螺合させる。これにより、シール部11の段部14と開口部3の上端面との間に気密性又は水密性が得られるので、必要の場合には容器本体1内に生理食塩水等の薬液18を注入しておくことも可能である。
【0022】
なお、容器本体1を透明体で構成すれば、収容した検体17を外部から観察することができる。したがって、例えば、検体17に血液が含まれているか否か等を視認するのに都合がよい。また、蓋体2も透明体とすることにより、蓋体2の上方からも検体17を視認できる利点がある。
また、容器本体1の開口部3のフランジ部6は、蓋2の円筒部10の下端面に外部の異物が当たって蓋2の螺合が弛むのを防止している。
【0023】
さらに、前記フランジ部6は、容器本体1の胴部4を補強して胴部4の壁厚を薄くすることを可能にしており、そのため、使用済みの容器本体1を廃棄したり再利用する際に、容易に押し潰して嵩を小さくすることができ、保管や運搬効率が高められるとともに、材料を節約できるのでコストが低減される効果がある。
【0024】
そして、上記のように検体17を収容した容器を複数個保管するには、図1の2点鎖線で示すように、容器を上下に積み重ねて保管スペースを節約する。その際、上段の容器本体1の底板7の環状突起8を下段の容器の蓋2の上面に形成された凹部15内に着脱自在に嵌合させる。これにより、積み重ねた容器どうしが左右にずれるのが防止され、容器の積み重ねが安定する。尚、容器本体1の底板7に凹部を設け、蓋2の上面に該凹部に嵌合する突起を設けてもよいことは勿論である。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように、容器本体の開口部を広口形としたので、検体の採取、収容が容易である。また、スメアの作業性も良好である。
【0026】
また、シール部は、円筒状で、その付け根に段部が形成されているので、シール性に優れている。
【0027】
また、容器本体を透明体とすることにより、容器本体内に収容した検体を外部から観察することができる。更に、蓋体を透明体とすることにより、蓋体の上方からも検体を観察することができる。
【0028】
また、蓋をしていない空の容器本体を低い高さで上下に複数個積み重ね可能としたので、容器本体の使用時に積み重ねられた容器本体を1個づつ取ることができるので作業性が良好となり、また保管時のスペースが狭くてすむ。そのため、特に集団検診のように多くの容器本体を必要とする場合に好都合である。
【0029】
さらに、検体を収容して蓋をした容器を安定して上下に複数個積み重ね可能としたので、検体採取後の容器の置き場所や、容器の輸送や冷蔵庫内での保管等に広いスペースを必要としない。
【0030】
さらにまた、容器本体の開口部の内径を50〜100mmに限定するとともに、容器本体の深さを20〜50mmに限定したので、検体を採取、収容したり、取り出す際の操作やスメアの操作が容易且つ効率的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1を示す検査用検体容器の要部切欠き正面図である。
【図2】 実施例1における蓋を取り外した空の容器本体を上下に積み重ねた状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 容器本体 2 蓋
3 開口部 4 胴部
5 雄ねじ部 6 フランジ部
7 底板 8 環状突起
9 天板 10 円筒部
11 シール部 12 雌ねじ部
13 ローレット 14 段部
15 凹部 16 隙間
17 検体 18 薬液
D 開口部の内径 H 容器本体の深さ
Claims (4)
- 広口形の開口部と逆円錐台形の胴部とを有する容器本体と、前記開口部に着脱自在に冠着されるキャップ形の蓋とを具備してなり、前記開口部の内径を50〜100mmに設定するとともに、前記容器本体の深さを20〜50mmに設定してなり、前記蓋の天板の内側下面に円筒状のシール部が形成され、その付け根に前記容器本体の開口部上端面と当接する段部が形成されていることを特徴とする検査用検体容器。
- 容器本体が透明である請求項1記載の検査用検体容器。
- キャップ形の蓋体が透明である請求項1又は2記載の検査用検体容器。
- 容器本体の底板下面に環状突起又は凹部を設けるとともに、蓋の上面に前記環状突起が着脱自在に嵌合する凹部又は突起を形成した請求項1〜3のいずれか1項に記載の検査用検体容器。
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