JP4143909B2 - 光学式情報記録再生装置および方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ランドとグルーブとにおける分解能およびクロストークのバランスが良好な再生信号が得られるランド/グルーブ記録用の光ヘッド装置、並びに、該光ヘッド装置を用いた光学式情報記録再生装置および方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
書き換え可能型の光学式情報記録再生装置における高密度化の一つの方法として、ランド/グルーブ記録方式が知られている。ランド/グルーブ記録方式は、光記録媒体に形成された溝(光入射側から見て凸部)として構成されるグルーブ、及び、隣接する溝に挟まれた、光入射側から見て凹部として構成されるランドの双方に対して情報を記録し、また、これから情報の再生を行うものであり、例えば、DVD−RAMで実用化されている。このような高密度のランド/グルーブ記録方式においては、光ヘッド装置によって光記録媒体上に形成される集光スポットの形状が、再生信号の分解能およびクロストークに大きな影響を与える。
【0003】
光ヘッド装置の光源としては一般的に半導体レーザが用いられる。半導体レーザからの出射光の強度分布は、活性層に垂直な方向及び平行な方向にそれぞれ長軸及び短軸を有する楕円形状である。このため、アナモルフィックプリズム等の、強度分布を円形状に変換する光学素子を用いない場合には、光記録媒体上に形成される集光スポットの形状も一般的に楕円形状になる。
【0004】
図12に、ランド/グルーブ記録用の従来の光ヘッド装置によって光記録媒体上に形成される集光スポットの形状を示す。図12(a)に示される例では、光記録媒体のトラック19c上に集光スポット20cが形成されている。集光スポット20cの形状は、光記録媒体の半径方向(トラック19cに垂直な方向)、及び、接線方向(トラック19cに平行な方向)にそれぞれ長軸及び短軸を有する楕円形状である。このような集光スポットを形成する光ヘッド装置は、例えば特開平8−329471号公報に記載されている。一方、図12(b)に示す例では、光記録媒体のトラック19c上に形成される集光スポット20dの形状は、光記録媒体の接線方向(トラック19cに平行な方向)及び半径方向(トラック19cに垂直な方向)にそれぞれ長軸及び短軸を有する楕円形状である。このような集光スポットを形成する光ヘッド装置は、例えば特開平8−180492号公報に記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−329471号公報
【特許文献2】
特開平8−180492号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高密度のランド/グルーブ記録方式を採用する光記録媒体上の集光スポットの形状は、厳密にはランド上とグルーブ上とで異なる。図13に、従来の光ヘッド装置を用いた場合の、ランド上及びグルーブ上における集光スポットの形状の違いを示す。図13(a)及び(c)は、それぞれ光記録媒体のランド上及びグルーブ上に集光スポットを形成する場合の光ビーム18c、18dの遠視野像である。ここでは、光ビーム18c、18dの遠視野像を共に円形状としている。図中の点線は、光ヘッド装置における対物レンズの有効径に相当する。各光ビームに対応して、図13(b)及び(d)に示すように、光記録媒体のランド19a上及びグルーブ19b上にはそれぞれ、集光スポット20e、20fが形成される。
【0007】
図13に示すように、光ビームの遠視野像が円形状の場合には、光記録媒体に溝がなければ、光記録媒体上に形成される集光スポットの形状も円形状になる。しかし、光記録媒体に溝がある場合には、溝の凹部であるランド19a上に形成される集光スポット20eは光記録媒体の半径方向に伸びるため、その形状は光記録媒体の半径方向に長軸を有する楕円形状に近くなる。また、溝の凸部であるグルーブ19b上に形成される集光スポット20fは光記録媒体の接線方向に伸びるため、その形状は光記録媒体の接線方向に長軸を有する楕円形状に近くなる。この事実は、例えば「オプティクスデザイン」第24号第42頁に記載されている。
【0008】
従来の光ヘッド装置においては、光記録媒体のランド上、グルーブ上に集光スポットを形成する場合の光ビームの遠視野像は同じである。このとき、光ビームの遠視野像が円形状ではなく楕円形状であっても、ランド上、グルーブ上に形成される集光スポットの形状を比較した場合には、光記録媒体の半径方向の径は前者の方が大きくなり、光記録媒体の接線方向の径は後者の方が大きくなる。
【0009】
ところで、ランド/グルーブ記録における再生信号は、集光スポットの形状に加え、記録部と未記録部の位相差にも依存する。図14に、従来の光ヘッド装置を用いた場合の、記録部と未記録部の位相差と再生信号との関係の計算例を示す。計算条件は、光源の波長が405nm、対物レンズの開口数が0.85、光記録媒体のトラックピッチが0.3μm、光記録媒体の溝深さが35nm、記録マークの幅が0.24μm、記録信号のビット長が0.116μm(1−7変調)、記録部の反射率に対する未記録部の反射率の比が0.4である。
【0010】
また、図中のL、Gはそれぞれランド、グルーブを意味し、8T、2Tは記録マークの長さがそれぞれ8T、2Tに相当する単一周波数の信号を意味する。ランド、グルーブに対する光ビームの遠視野像は共に円形状であり、ランド上に形成される集光スポットの径は0.41μm(半径方向)×0.39μm(接線方向)、グルーブ上に形成される集光スポットの径は0.39μm(半径方向)×0.41μm(接線方向)である。図中の横長、縦長は集光スポットの形状がそれぞれ半径方向、接線方向に長軸を有する楕円形状であることを意味する。
【0011】
図14(a)には、集光スポットが形成されているトラックに記録マークがある場合のキャリアレベルを縦軸にキャリア(dBm)として示しており、また、図14(b)には、集光スポットが形成されているトラックの両隣のトラックに記録マークがある場合のキャリアレベルと、集光スポットが形成されているトラックに記録マークがある場合のキャリアレベルとの差を縦軸にクロストーク(dB)として示している。
【0012】
2T信号のキャリアレベルと8T信号のキャリアレベルとの差を分解能と定義すると、図14(a)から理解できるように、ランドにおける分解能は、位相差が小さくなると低く、位相差が大きくなると高くなり、グルーブにおける分解能は、位相差が小さくなると高く、位相差が大きくなると低くなる。位相差が0°の場合には、グルーブにおける分解能はランドにおける分解能に比べて低い。これは、グルーブにおける集光スポットの接線方向の径がランドにおける集光スポットの接線方向の径に比べて大きいためである。これに対し、位相差が−10°の場合には、ランド、グルーブにおける分解能はほぼ等しい。
【0013】
一方、図14(b)から理解できるように、8T信号のクロストークは、ランド及びグルーブのどちらにおいても位相差が0°の付近で極小となるが、2T信号のクロストークは、ランドにおいては位相差が10°の付近、グルーブにおいては位相差が−10°の付近でそれぞれ極小となる。位相差が0°の場合には、8T信号のクロストークは、ランド及びグルーブのどちらにおいても−50dB以下と低く、2T信号のクロストークも、ランド及びグルーブのどちらにおいても−20dB以下とまずまずである。これに対し、位相差が−10°の場合には、8T信号のクロストークは、ランド及びグルーブのどちらにおいても−30dB前後と低い。しかし、2T信号のクロストークは、グルーブにおいては−40dB以下と低いが、ランドにおいては−15dB以上と高い。
【0014】
図14(a)、(b)に示す計算結果を合わせると、ランドとグルーブとにおける分解能のバランスが良好になるように、位相差を−10°付近に設定すると、ランドとグルーブにおけるクロストークのバランスが悪くなり、ランドにおけるクロストークが高くなる。また、ランドとグルーブにおけるクロストークのバランスが良好になるように位相差を0°付近に設定すると、ランドとグルーブとにおける分解能のバランスが悪くなり、グルーブにおける分解能が低くなる。すなわち、位相差を何れの値に設定しても、ランドとグルーブとにおける分解能およびクロストークのバランスが共に良好な再生信号を得ることができない。
【0015】
上記に鑑み、本発明の目的は、ランド/グルーブ記録用の従来の光ヘッド装置における上述の問題を解決し、ランドとグルーブとにおける分解能およびクロストークのバランスが良好な再生信号が得られるランド/グルーブ記録用の光ヘッド装置、それを用いた光学式情報記録再生装置および方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の光ヘッド装置は、光源と、該光源からの出射光を光記録媒体上に集光する対物レンズと、前記光源と前記対物レンズとの間に配設されて前記光源からの出射光を前記対物レンズに入射する光学系とを備える光ヘッド装置において、
前記対物レンズに入射する光の強度分布が第1の強度分布と第2の強度分布との間で可変としてあり、該第1及び第2の強度分布は、
特定の方向において前記第1の強度分布における強度の変化が前記第2の強度分布における強度の変化に比べて緩やかであり、前記特定の方向と直交する方向において前記第2の強度分布における強度の変化が前記第1の強度分布における強度の変化に比べて緩やかであることを特徴とする。
【0017】
本発明の光学式情報記録再生装置は、光源、該光源からの出射光をランド/グルーブ記録方式の光記録媒体上に集光する対物レンズ、及び、前記光源と前記対物レンズとの間に配設されて前記光源からの出射光を前記対物レンズに入射する光学系を有する光ヘッドと、該光ヘッドを制御する制御手段とを備える光学式情報記録再生装置において、
前記光学系は、前記対物レンズに入射する光の強度分布が第1の強度分布と第2の強度分布との間で可変としてあり、前記第1の強度分布における前記光記録媒体の半径方向に対する強度の変化が前記第2の強度分布における前記光記録媒体の半径方向に対する強度の変化に比べて緩やかであり、前記第2の強度分布における前記光記録媒体の接線方向に対する強度の変化が前記第1の強度分布における前記光記録媒体の接線方向に対する強度の変化に比べて緩やかであり、前記制御手段は、前記光記録媒体のランド上に集光スポットを形成する場合には前記第1の強度分布を選択し、前記光記録媒体のグルーブ上に集光スポットを形成する場合には前記第2の強度分布を選択するように前記光ヘッドを制御することを特徴とする。
【0018】
本発明の光学式情報記録再生方法は、光源からの出射光を対物レンズによってランド/グルーブ記録方式の光記録媒体上に集光する際に、前記光源から出射して前記対物レンズに入射する光の強度分布を、第1の強度分布と第2の強度分布との間で可変とする光学式情報記録再生方法であって、
前記第1の強度分布における前記光記録媒体の半径方向に対する強度の変化が前記第2の強度分布における前記光記録媒体の半径方向に対する強度の変化に比べて緩やかであり、前記第2の強度分布における前記光記録媒体の接線方向に対する強度の変化が前記第1の強度分布における前記光記録媒体の接線方向に対する強度の変化に比べて緩やかであり、前記光記録媒体のランド上に集光スポットを形成する場合には前記第1の強度分布を選択し、前記光記録媒体のグルーブ上に集光スポットを形成する場合には前記第2の強度分布を選択することを特徴とする。
【0019】
本発明の光ヘッド装置、光学式情報記録再生装置及び方法によると、互いに直交する方向について強度変化の程度がそれぞれ異なる第1及び第2の強度分布の光を対物レンズに選択的に入射し、これを光記録媒体上で集光するに当たって、ランドとグルーブとで使い分けることにより、ランド及びグルーブの双方で良好な円形状の光スポットを得ることが出来る。
【0020】
本発明の光ヘッド装置、光学式情報記録再生装置、及び、光学式情報記録再生方法における好ましい態様では、光源から出射して対物レンズに入射する光の強度分布を、光記録媒体のランド上に集光スポットを形成する場合には第1の強度分布とし、光記録媒体のグルーブ上に集光スポットを形成する場合には第2の強度分布とする。このとき、第1の強度分布における光記録媒体の半径方向に対する強度の変化は第2の強度分布における光記録媒体の半径方向に対する強度の変化に比べて緩やかであり、第2の強度分布における光記録媒体の接線方向に対する強度の変化は第1の強度分布における光記録媒体の接線方向に対する強度の変化に比べて緩やかであるようにする。
【0021】
一般的に、光記録媒体上に形成される集光スポットの径は、光源から出射して対物レンズに入射する光の強度分布における強度の変化が緩やかなほど小さくなる。従って、光記録媒体の溝の影響を考慮しなければ、ランド上とグルーブ上に形成される双方の集光スポットの形状を比較した場合には、光記録媒体の半径方向の径は前者の方が小さくなり、光記録媒体の接線方向の径は後者の方が小さくなる。しかし、光記録媒体の溝の影響を考慮すると、前者は光記録媒体の半径方向に伸び、後者は光記録媒体の接線方向に伸びるため、双方の集光スポットの形状をほぼ同じにすることが出来る。
【0022】
ここで、記録部と未記録部の間の位相差が0°の場合には、ランド及びグルーブにおける分解能はほぼ等しくなる。更に、位相差が0°の場合には、ランド及びグルーブにおけるクロストークもほぼ等しくなる。すなわち、記録部と未記録部の間の位相差を0°付近に設定すると、ランドとグルーブとにおける分解能およびクロストークのバランスが共に良好になる。
【0023】
以上より、本発明によれば、ランドとグルーブとにおける分解能およびクロストークのバランスが良好な再生信号が得られるランド/グルーブ記録用の光ヘッド装置、それを用いた光学式情報記録再生装置および方法を実現できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1に、本発明の第1の実施形態に係る光ヘッド装置を示す。半導体レーザ1aからの出射光は、コリメータレンズ2aで平行光化され、1/2波長板3aを透過して偏光方向が45°変化し、偏光ビームスプリッタ4aにP偏光として入射してほぼ完全に透過し、可変波長板5に入射する。可変波長板5は、入射光の偏光方向を90°変化させる場合と、入射光の偏光方向を変化させない場合とがある。
【0025】
可変波長板5が入射光の偏光方向を90°変化させる場合には、可変波長板5を透過した光は、偏光ビームスプリッタ6にS偏光として入射し、貼り合わせ面7でほぼ完全に反射し、1/4波長板9aを透過して直線偏光から円偏光に変換され、ミラー10aで紙面に垂直な方向へ反射し、対物レンズ11aにより光記録媒体上へ集光される。光記録媒体からの反射光は、対物レンズ11aを逆向きに透過し、ミラー10aで反射し、1/4波長板9aを透過して円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ6にP偏光として入射し、貼り合わせ面7をほぼ完全に透過し、反射面8b、8aで反射し、再び貼り合わせ面7をほぼ完全に透過し、可変波長板5を透過して偏光方向が90°変化し、偏光ビームスプリッタ4aにS偏光として入射してほぼ完全に反射する。
【0026】
一方、可変波長板5が入射光の偏光方向を変化させない場合には、可変波長板5を透過した光は、偏光ビームスプリッタ6にP偏光として入射し、貼り合わせ面7をほぼ完全に透過し、反射面8a、8bで反射し、再び貼り合わせ面7をほぼ完全に透過し、1/4波長板9aを透過して直線偏光から円偏光に変換され、ミラー10aで紙面に垂直な方向へ反射し、対物レンズ11aにより光記録媒体上へ集光される。光記録媒体からの反射光は対物レンズ11aを逆向きに透過し、ミラー10aで反射し、1/4波長板9aを透過して、円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ6にS偏光として入射し、貼り合わせ面7でほぼ完全に反射し、可変波長板5を透過して偏光方向が変化せず、偏光ビームスプリッタ4aにS偏光として入射してほぼ完全に反射する。
【0027】
偏光ビームスプリッタ4aで反射した光は円筒レンズ12a、レンズ13aを透過して光検出器14aで受光される。光検出器14aは円筒レンズ12a、レンズ13aにおける二つの焦線の中間に設置されている。
【0028】
可変波長板5は液晶光学素子16から構成される。図2に液晶光学素子16の働きを示す。半導体レーザ1aから見て偏光ビームスプリッタ4a、6に対するP偏光及びS偏光の方向にそれぞれX軸及びY軸をとり、光の進行方向にZ軸をとる。液晶光学素子16は棒状の液晶分子17を有する。
【0029】
液晶光学素子16に電圧を印加しない場合には、図2(c)に示すように、液晶分子17はX−Y平面内でX軸に対して45°の方向に配向している。半導体レーザ1aから出射して可変波長板5に入射する光はX軸方向の直線偏光である。この光が液晶光学素子16を透過すると、液晶分子17に平行な方向の偏光成分とそれに直交する方向の偏光成分との間に位相差が生じる。この位相差はπに設定されているため、液晶光学素子16を透過した光は偏光方向が90°変化する。すなわち、可変波長板5から出射する光はY軸方向の直線偏光である。同様に、光記録媒体で反射して可変波長板5に入射する光はX軸方向の直線偏光であり、可変波長板5から出射する光はY軸方向の直線偏光である。
【0030】
一方、液晶光学素子16に電圧を印加する場合には、図2(d)に示すように、液晶分子17はZ軸方向に配向している。半導体レーザ1aから出射して可変波長板5に入射する光はX軸方向の直線偏光である。この光が液晶光学素子16を透過しても位相差は生じないため、液晶光学素子16を透過した光は偏光方向が変化しない。すなわち、可変波長板5から出射する光はX軸方向の直線偏光である。同様に、光記録媒体で反射して可変波長板5に入射する光はY軸方向の直線偏光であり、可変波長板5から出射する光はY軸方向の直線偏光である。
【0031】
ところで、半導体レーザ1aからの出射光の強度分布は、X−Y平面内でX軸に対して−45°の方向に長軸を有する楕円形状に設定されている。可変波長板5が入射光の偏光方向を90°変化させる場合には、半導体レーザ1aから出射して可変波長板5を透過した光は偏光ビームスプリッタ6の貼り合わせ面7で一回反射するため、偏光ビームスプリッタ6から出射する光の遠視野像15aは、強度分布がY軸に関して反転し、図2(a)に示すように、X−Y平面内でX軸に対して45°の方向に長軸を有する楕円形状になる。一方、可変波長板5が入射光の偏光方向を変化させない場合には、半導体レーザ1aから出射して可変波長板5を透過した光は偏光ビームスプリッタ6の反射面8a、8bで二回反射するため、偏光ビームスプリッタ6から出射する光の遠視野像15bは、強度分布がY軸に関して反転せず、図2(b)に示すように、X−Y平面内でX軸に対して−45°の方向に長軸を有する楕円形状になる。
【0032】
ここで、光記録媒体の半径方向、接線方向は図1に示すように設定されている。偏光ビームスプリッタ6から出射する光が図2(a)に示す遠視野像15aを有する場合には、ミラー10aで反射して対物レンズ11aに入射する光の遠視野像は、光記録媒体の半径方向に長軸を有する楕円形状になる。一方、偏光ビームスプリッタ6から出射する光が図2(b)に示す遠視野像15bを有する場合には、ミラー10aで反射して対物レンズ11aに入射する光の遠視野像は、光記録媒体の接線方向に長軸を有する楕円形状になる。前者は後者に比べ、光記録媒体の半径方向に対する強度の変化が緩やかであり、後者は前者に比べ、光記録媒体の接線方向に対する強度の変化が緩やかである。
【0033】
図3に、本発明の第1の実施形態の光ヘッド装置を用いた場合の、ランド上とグルーブ上とにおける集光スポットの形状の違いを示す。図3(a)、(c)は、それぞれ光記録媒体のランド上、グルーブ上に集光スポットを形成する場合の対物レンズ11aに入射する光ビーム18a、18bの遠視野像である。光ビーム18aの遠視野像は光記録媒体の半径方向に長軸を有する楕円形状である。この遠視野像は、液晶光学素子16に電圧を印加しない場合に実現できる。一方、光ビーム18bの遠視野像は光記録媒体の接線方向に長軸を有する楕円形状である。この遠視野像は、液晶光学素子16に電圧を印加する場合に実現できる。図中の点線は光ヘッド装置における対物レンズ11aの有効径に相当する。このとき、図3(b)、(d)に示すように、光記録媒体のランド19a上、グルーブ19b上にはそれぞれ集光スポット20a、20bが形成される。
【0034】
光ビーム18aの遠視野像は光記録媒体の半径方向に長軸を有する楕円形状であるため、光記録媒体に溝がなければ、光記録媒体上に形成される集光スポットの形状は、光記録媒体の接線方向に長軸を有する楕円形状になる。しかし、光記録媒体に溝がある場合には、、溝の凹部であるランド19a上に形成される集光スポット20aは光記録媒体の半径方向に伸びるため、その形状はほぼ円形状になる。一方、光ビーム18bの遠視野像は光記録媒体の接線方向に長軸を有する楕円形状であるため、光記録媒体に溝がなければ、光記録媒体上に形成される集光スポットの形状は、光記録媒体の半径方向に長軸を有する楕円形状になる。しかし、光記録媒体に溝がある場合には、溝の凸部であるグルーブ19b上に形成される集光スポット20bは光記録媒体の接線方向に伸びるため、その形状はほぼ円形状になる。すなわち、集光スポット20a、20bの形状はほぼ同じになる。
【0035】
図4に、本発明の第1の実施形態の光ヘッド装置を用いた場合の、記録部と未記録部の位相差と、再生信号との関係の計算例を示す。計算条件は、光源の波長が405nm、対物レンズの開口数が0.85、光記録媒体のトラックピッチが0.3μm、光記録媒体の溝深さが35nm、記録マークの幅が0.24μm、記録信号のビット長が0.116μm(1−7変調)、記録部の反射率に対する未記録部の反射率の比が0.4である。
【0036】
また、図中のL、Gはそれぞれランド、グルーブを意味し、8T、2Tは記録マークの長さがそれぞれ8T、2Tに相当する単一周波数の信号を意味する。ランドに対する光ビームの遠視野像は半径方向に長軸を有する楕円形状、グルーブに対する光ビームの遠視野像は接線方向に長軸を有する楕円形状であり、ランド上及びグルーブ上に形成される集光スポットの径は共に0.40μm(半径方向)×0.40μm(接線方向)である。図中の円形は集光スポットの形状が円形状であることを意味する。
【0037】
図4(a)には、集光スポットが形成されているトラックに記録マークがある場合のキャリアレベルを縦軸にキャリアとして示しており、図4(b)には、集光スポットが形成されているトラックの両隣のトラックに記録マークがある場合のキャリアレベルと、集光スポットが形成されているトラックに記録マークがある場合のキャリアレベルとの差を縦軸にクロストークとして示している。
【0038】
2T信号のキャリアレベルと8T信号のキャリアレベルとの差を分解能と定義すると、図4(a)から理解できるように、ランドにおける分解能は、位相差が小さくなると低く、位相差が大きくなると高くなり、また、グルーブにおける分解能は、位相差が小さくなると高く、位相差が大きくなると低くなる。位相差が0°の場合には、ランド及びグルーブにおける分解能は等しい。
【0039】
一方、図4(b)から理解できるように、8T信号のクロストークは、ランド及びグルーブのどちらにおいても位相差が0°の付近で極小となるが、2T信号のクロストークは、ランドにおいては位相差が10°の付近で、グルーブにおいては位相差が−10°の付近で極小となる。位相差が0°の場合には、8T信号のクロストークは、ランド及びグルーブのどちらにおいても−50dB以下と低く、2T信号のクロストークも、ランド及びグルーブのどちらにおいても−20dB以下とまずまずである。
【0040】
図4(a)、(b)に示す計算結果を合わせると、ランドとグルーブとにおける分解能のバランスが良好になるように、位相差を0°付近に設定すると、ランドとグルーブとにおけるクロストークのバランスも良好になる。すなわち、ランドとグルーブとにおける分解能およびクロストークのバランスが共に良好な再生信号を得ることができる。
【0041】
本発明の第2の実施形態の光ヘッド装置は、図1に示す本発明の第1の実施形態の光ヘッド装置とは、可変波長板5の構成が異なるのみである。可変波長板5は、図示しない回転機構を有する1/2波長板21から構成される。図5に1/2波長板21の働きを示す。半導体レーザ1aから見て偏光ビームスプリッタ4a、6に対するP偏光、S偏光の方向にそれぞれX軸、Y軸をとり、光の進行方向にZ軸をとる。1/2波長板21は光学軸22を有し、Z軸の周りに回転する。
【0042】
1/2波長板21を回転させない場合には、図5(a)に示すように、光学軸22は、X−Y平面内でX軸に対して45°の方向に平行である。半導体レーザ1aから出射して可変波長板5に入射する光はX軸方向の直線偏光である。この光が1/2波長板21を透過すると、光学軸22に平行な方向の偏光成分とそれに直交する方向の偏光成分との間に位相差が生じる。この位相差はπに設定されているため、1/2波長板21を透過した光は偏光方向が90°変化する。すなわち、可変波長板5から出射する光はY軸方向の直線偏光である。同様に、光記録媒体で反射して可変波長板5に入射する光はX軸方向の直線偏光であり、可変波長板5から出射する光はY軸方向の直線偏光である。
【0043】
一方、1/2波長板21を−45°回転させる場合には、図5(b)に示すように、光学軸22はX軸方向に平行である。半導体レーザ1aから出射して可変波長板5に入射する光はX軸方向の直線偏光である。この光が1/2波長板21を透過しても位相差は生じないため、1/2波長板21を透過した光は偏光方向が変化しない。すなわち、可変波長板5から出射する光はX軸方向の直線偏光である。同様に、光記録媒体で反射して可変波長板5に入射する光はY軸方向の直線偏光であり、可変波長板5から出射する光はY軸方向の直線偏光である。
【0044】
本発明の第2の実施形態の光ヘッド装置を用いた場合の、ランド上とグルーブ上とにおける集光スポットの形状の違いは図3に示す通りである。図3(a)に示す光ビーム18aの遠視野像は、1/2波長板21を回転させない場合に実現できる。一方、図3(c)に示す光ビーム18bの遠視野像は、1/2波長板21を−45°回転させる場合に実現できる。このとき、図3(b)、(d)に示すように、光記録媒体のランド19a上、グルーブ19b上にはそれぞれ集光スポット20a、20bが形成される。
【0045】
本発明の第2の実施形態の光ヘッド装置においては、本発明の第1の実施形態の光ヘッド装置と同様の理由により、ランドとグルーブとにおける分解能およびクロストークのバランスが共に良好な再生信号を得ることができる。
【0046】
図6に、本発明の第3の実施形態の光ヘッド装置を示す。半導体レーザ1bからの出射光は、コリメータレンズ2bで平行光化され、偏光ビームスプリッタ4bにP偏光として入射してほぼ完全に透過し、図示しない回転機構を有するドーベプリズム23に入射する。ドーベプリズム23を透過した光は、1/4波長板9bを透過して直線偏光から円偏光に変換され、ミラー10bで紙面に垂直な方向へ反射し、対物レンズ11bにより光記録媒体上へ集光される。光記録媒体からの反射光は対物レンズ11bを逆向きに透過し、ミラー10bで反射し、1/4波長板9bを透過して円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光に変換され、ドーベプリズム23を透過し、偏光ビームスプリッタ4bにS偏光として入射してほぼ完全に反射する。偏光ビームスプリッタ4bで反射した光は、円筒レンズ12b、レンズ13bを透過して光検出器14bで受光される。光検出器14bは、円筒レンズ12b、レンズ13bにおける二つの焦線の中間に設置されている。
【0047】
図7に、ドーベプリズム23の働きを示す。半導体レーザ1bから見て偏光ビームスプリッタ4bに対するP偏光、S偏光の方向にそれぞれX軸、Y軸をとり、光の進行方向にZ軸をとる。図7(e)に示すように、ドーベプリズム23は側面から見た形状が台形状であり、Z軸の周りに回転する。半導体レーザ1bからの出射光の強度分布は、Y軸方向に長軸を有する楕円形状に設定されている。
【0048】
ドーベプリズム23を回転させない場合には、図7(c)に示すように、台形の下底はX軸方向に平行である。半導体レーザ1bからの出射光はドーベプリズム23の下底面で一回反射するため、ドーベプリズム23から出射する光の遠視野像15cは、強度分布がX軸に関して反転し、図7(a)に示すように、Y軸方向に長軸を有する楕円形状になる。
【0049】
一方、ドーベプリズム23を45°回転させる場合には、図7(d)に示すように、台形の下底はX−Y面内でX軸に対して45°の方向に平行である。半導体レーザ1bからの出射光はドーベプリズム23の下底面で一回反射するため、ドーベプリズム23から出射する光の遠視野像15dは、強度分布がX−Y平面内でX軸に対して45°の方向に関して反転し、図7(b)に示すように、X軸方向に長軸を有する楕円形状になる。
【0050】
ここで、光記録媒体の半径方向及び接線方向は図6に示すように設定されている。ドーベプリズム23から出射する光が図7(a)に示す遠視野像15cを有する場合には、ミラー10bで反射して対物レンズ11bに入射する光の遠視野像は、光記録媒体の半径方向に長軸を有する楕円形状になる。一方、ドーベプリズム23から出射する光が図7(b)に示す遠視野像15dを有する場合には、ミラー10bで反射して対物レンズ11bに入射する光の遠視野像は、光記録媒体の接線方向に長軸を有する楕円形状になる。前者は、後者に比べて光記録媒体の半径方向に対する強度の変化が緩やかであり、後者は、前者に比べて光記録媒体の接線方向に対する強度の変化が緩やかである。
【0051】
本発明の第3の実施形態の光ヘッド装置を用いた場合の、ランド上とグルーブ上とにおける集光スポットの形状の違いは図3に示す通りである。図3(a)に示す光ビーム18aの遠視野像は、ドーベプリズム23を回転させない場合に実現できる。一方、図3(c)に示す光ビーム18bの遠視野像は、ドーベプリズム23を45°回転させる場合に実現できる。このとき、図3(b)、(d)に示すように、光記録媒体のランド19a上、グルーブ19b上にはそれぞれ集光スポット20a、20bが形成される。
【0052】
本発明の第3の実施形態の光ヘッド装置においては、本発明の第1の実施形態の光ヘッド装置と同様の理由により、ランドとグルーブとにおける分解能およびクロストークのバランスが共に良好な再生信号を得ることができる。
【0053】
図8に、本発明の第4の実施形態の光ヘッド装置を示す。本実施形態は、ランド用とグルーブ用の二つの光学系を有する。半導体レーザ1cからの出射光はコリメータレンズ2cで平行光化され、偏光ビームスプリッタ4cにP偏光として入射してほぼ完全に透過し、1/4波長板9cを透過して直線偏光から円偏光に変換され、ミラー10cで紙面に垂直な方向へ反射し、対物レンズ11cにより光記録媒体上へ集光される。光記録媒体からの反射光は対物レンズ11cを逆向きに透過し、ミラー10cで反射し、1/4波長板9cを透過して円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ4cにS偏光として入射してほぼ完全に反射し、円筒レンズ12c、レンズ13cを透過して光検出器14cで受光される。光検出器14cは円筒レンズ12c、レンズ13cにおける二つの焦線の中間に設置されている。
【0054】
一方、半導体レーザ1dからの出射光は、コリメータレンズ2dで平行光化され、1/2波長板3bを透過して偏光方向が90°変化し、偏光ビームスプリッタ4dにP偏光として入射してほぼ完全に透過し、1/4波長板9dを透過して直線偏光から円偏光に変換され、ミラー10dで紙面に垂直な方向へ反射し、対物レンズ11dにより光記録媒体上へ集光される。光記録媒体からの反射光は対物レンズ11dを逆向きに透過し、ミラー10dで反射し、1/4波長板9dを透過して円偏光から往路と偏光方向が直交した直線偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ4dにS偏光として入射してほぼ完全に反射し、円筒レンズ12d、レンズ13dを透過して光検出器14dで受光される。光検出器14dは円筒レンズ12d、レンズ13dにおける二つの焦線の中間に設置されている。
【0055】
ここで、光記録媒体の半径方向及び接線方向は図8に示すように設定されている。半導体レーザ1cから出射し、ミラー10cで反射して対物レンズ11cに入射する光の遠視野像は、光記録媒体の半径方向に長軸を有する楕円形状に設定されている。一方、半導体レーザ1dから出射し、ミラー10dで反射して対物レンズ11dに入射する光の遠視野像は、光記録媒体の接線方向に長軸を有する楕円形状に設定されている。前者は、後者に比べて光記録媒体の半径方向に対する強度の変化が緩やかであり、後者は、前者に比べて光記録媒体の接線方向に対する強度の変化が緩やかである。なお、上記実施形態では、2つの光学系が独立に形成される例を示したが、同様な光学素子については、光学系の一部を共用することも可能である。
【0056】
本発明の第4の実施形態の光ヘッド装置を用いた場合の、ランド上とグルーブ上とにおける集光スポットの形状の違いは図3に示す通りである。図3(a)に示す光ビーム18aの遠視野像は、半導体レーザ1cを発光させる場合に実現できる。一方、図3(c)に示す光ビーム18bの遠視野像は、半導体レーザ1dを発光させる場合に実現できる。このとき、図3(b)、(d)に示すように、光記録媒体のランド19a上、グルーブ19b上にはそれぞれ集光スポット20a、20bが形成される。
【0057】
本発明の第4の実施形態の光ヘッド装置においては、本発明の光ヘッド装置の第1の実施形態と同様の理由により、ランドとグルーブとにおける分解能およびクロストークのバランスが共に良好な再生信号を得ることができる。
【0058】
図9に、本発明の第1の実施形態の光学式情報記録再生装置を示す。本実施形態は、図1に示す本発明の第1の実施形態の光ヘッド装置に、制御回路24及び駆動回路25aを付加したものである。図9を参照し、本発明の第1の実施形態の光学式情報記録再生方法について説明する。制御回路24は、光記録媒体のランド上、グルーブ上のどちらに集光スポットを形成するかに応じて駆動回路25aの動作を制御する。光記録媒体のランド上に集光スポットを形成する場合には、駆動回路25aは可変波長板5を構成する液晶光学素子16に電圧を印加しない。これにより、対物レンズ11aに入射する光ビームの遠視野像は光記録媒体の半径方向に長軸を有する楕円形状になる。一方、光記録媒体のグルーブ上に集光スポットを形成する場合には、駆動回路25aは可変波長板5を構成する液晶光学素子16に電圧を印加する。これにより、対物レンズ11aに入射する光ビームの遠視野像は光記録媒体の接線方向に長軸を有する楕円形状になる。
【0059】
本発明の第1の実施形態の光学式情報記録再生装置および方法においては、本発明の第1の実施形態の光ヘッド装置と同様の理由により、ランドとグルーブとにおける分解能およびクロストークのバランスが共に良好な再生信号を得ることができる。
【0060】
本発明の第2の実施形態の光学式情報記録再生装置は、図9に示す本発明の第1の実施形態の光学式情報記録再生装置と可変波長板5の構成が異なるのみであり、本発明の第2の実施形態の光ヘッド装置に、制御回路24及び駆動回路25aを付加したものである。図9を参照して、本発明の第2の実施形態の光学式情報記録再生方法について説明する。制御回路24は、光記録媒体のランド上及びグルーブ上のどちらに集光スポットを形成するかに応じて駆動回路25aの動作を制御する。光記録媒体のランド上に集光スポットを形成する場合には、駆動回路25aは可変波長板5を構成する1/2波長板21を回転させない。これにより、対物レンズ11aに入射する光ビームの遠視野像は光記録媒体の半径方向に長軸を有する楕円形状になる。一方、光記録媒体のグルーブ上に集光スポットを形成する場合には、駆動回路25aは可変波長板5を構成する1/2波長板21を−45°回転させる。これにより、対物レンズ11aに入射する光ビームの遠視野像は光記録媒体の接線方向に長軸を有する楕円形状になる。
【0061】
本発明の第2の実施形態の光学式情報記録再生装置および方法においては、本発明の第1の実施形態の光ヘッド装置と同様の理由により、ランドとグルーブとにおける分解能およびクロストークのバランスが共に良好な再生信号を得ることができる。
【0062】
図10に、本発明の第3の実施形態の光学式情報記録再生装置を示す。本実施形態は、図6に示す本発明の第3の実施形態の光ヘッド装置に、制御回路24及び駆動回路25bを付加したものである。図10を参照して、本発明の第3の実施形態の光学式情報記録再生方法について説明する。制御回路24は、光記録媒体のランド上及びグルーブ上のどちらに集光スポットを形成するかに応じて駆動回路25bの動作を制御する。光記録媒体のランド上に集光スポットを形成する場合には、駆動回路25bはドーベプリズム23を回転させない。これにより、対物レンズ11bに入射する光ビームの遠視野像は光記録媒体の半径方向に長軸を有する楕円形状になる。一方、光記録媒体のグルーブ上に集光スポットを形成する場合には、駆動回路25bはドーベプリズム23を45°回転させる。これにより、対物レンズ11bに入射する光ビームの遠視野像は光記録媒体の接線方向に長軸を有する楕円形状になる。
【0063】
本発明の第3の実施形態の光学式情報記録再生装置および方法においては、本発明の第1の実施形態の光ヘッド装置と同様の理由により、ランドとグルーブとにおける分解能およびクロストークのバランスが共に良好な再生信号を得ることができる。
【0064】
図11に、本発明の第4の実施形態の光学式情報記録再生装置を示す。本実施形態は、図8に示す本発明の第4の実施形態の光ヘッド装置に、制御回路24及び駆動回路25c、25dを付加したものである。図11を参照して、本発明の第4の実施形態の光学式情報記録再生方法について説明する。制御回路24は、光記録媒体のランド上及びグルーブ上のどちらに集光スポットを形成するかに応じて駆動回路25c、25dの動作を制御する。光記録媒体のランド上に集光スポットを形成する場合には、駆動回路25cは半導体レーザ1cを発光させる。これにより、対物レンズ11cに入射する光ビームの遠視野像は光記録媒体の半径方向に長軸を有する楕円形状になる。一方、光記録媒体のグルーブ上に集光スポットを形成する場合には、駆動回路25dは半導体レーザ1dを発光させる。これにより、対物レンズ11dに入射する光ビームの遠視野像は光記録媒体の接線方向に長軸を有する楕円形状になる。
【0065】
本発明の第4の実施形態の光学式情報記録再生装置および方法においては、本発明の第1の実施形態の光ヘッド装置と同様の理由により、ランドとグルーブとにおける分解能およびクロストークのバランスが共に良好な再生信号を得ることができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明の光ヘッド装置、光学式情報記録再生装置および方法では、光源から出射して対物レンズに入射する光の強度分布として、第1及び第2の強度分布を光記録媒体のランド上及びグルーブ上で適切に使い分けることにより、ランド上とグルーブ上とにおける分解能およびクロストークのバランスが良好な再生信号が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の光ヘッド装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の光ヘッド装置に用いる可変波長板を構成する液晶光学素子の働きを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の光ヘッド装置を用いた場合の、ランド上とグルーブ上とにおける集光スポットの形状の違いを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の光ヘッド装置を用いた場合の、記録部と未記録部の位相差と再生信号との関係の計算例を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施形態の光ヘッド装置に用いる可変波長板を構成する1/2波長板の働きを示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の光ヘッド装置を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の光ヘッド装置に用いるドーベプリズムの働きを示す図である。
【図8】本発明の第4の実施形態の光ヘッド装置を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の光学式情報記録再生装置を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の光学式情報記録再生装置を示すブロック図である。
【図11】本発明の第4の実施形態の光学式情報記録再生装置を示すブロック図である。
【図12】従来の光ヘッド装置により光記録媒体上に形成される集光スポットの形状を示す図である。
【図13】従来の光ヘッド装置を用いた場合の、ランド上とグルーブ上とにおける集光スポットの形状の違いを示す図である。
【図14】従来の光ヘッド装置を用いた場合の、記録部と未記録部の位相差と再生信号との関係の計算例を示すグラフである。
【符号の説明】
1a、1b、1c、1d 半導体レーザ
2a、2b、2c、2d コリメータレンズ
3a、3b 1/2波長板
4a、4b、4c、4d 偏光ビームスプリッタ
5 可変波長板
6 偏光ビームスプリッタ
7 貼り合わせ面
8a、8b 反射面
9a、9b、9c、9d 1/4波長板
10a、10b、10c、10d ミラー
11a、11b、11c、11d 対物レンズ
12a、12b、12c、12d 円筒レンズ
13a、13b、13c、13d レンズ
14a、14b、14c、14d 光検出器
15a、15b、15c、15d 遠視野像
16 液晶光学素子
17 液晶分子
18a、18b、18c、18d 光ビーム
19a ランド
19b グルーブ
19c トラック
20a、20b、20c、20d、20e、20f 集光スポット
21 1/2波長板
22 光学軸
23 ドーベプリズム
24 制御回路
25a、25b、25c、25d 駆動回路
Claims (16)
- 光源、該光源からの出射光をランド/グルーブ記録方式の光記録媒体上に集光する対物レンズ、及び、前記光源と前記対物レンズとの間に配設されて前記光源からの出射光を前記対物レンズに入射する光学系を有する光ヘッドと、該光ヘッドを制御する制御手段とを備える光学式情報記録再生装置において、
前記光学系は、前記対物レンズに入射する光の強度分布が第1の強度分布と第2の強度分布との間で可変としてあり、前記第1の強度分布における前記光記録媒体の半径方向に対する強度の変化が前記第2の強度分布における前記光記録媒体の半径方向に対する強度の変化に比べて緩やかであり、前記第2の強度分布における前記光記録媒体の接線方向に対する強度の変化が前記第1の強度分布における前記光記録媒体の接線方向に対する強度の変化に比べて緩やかであり、
前記制御手段は、前記光記録媒体のランド上に集光スポットを形成する場合には前記第1の強度分布を選択し、前記光記録媒体のグルーブ上に集光スポットを形成する場合には前記第2の強度分布を選択するように前記光ヘッドを制御することを特徴とする光学式情報記録再生装置。 - 前記光学系は、前記光源からの出射光の偏光方向を変化させる可変波長板と、該可変波長板を透過した透過光の偏光方向に応じて前記対物レンズへの入射光の強度分布を前記第1の強度分布と前記第2の強度分布との間で変化させる光学手段とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の光学式情報記録再生装置。
- 前記可変波長板が液晶光学素子から構成されることを特徴とする、請求項2に記載の光学式情報記録再生装置。
- 前記可変波長板が回転機構を有する1/2波長板から構成されることを特徴とする、請求項2に記載の光学式情報記録再生装置。
- 前記光学系は、前記対物レンズへの入射光の強度分布を前記第1の強度分布と前記第2の強度分布との間で切り替えるための単一の光学素子を有することを特徴とする、請求項1に記載の光学式情報記録再生装置。
- 前記単一の光学素子が回転機構を有するドーベプリズムであることを特徴とする、請求項5に記載の光学式情報記録再生装置。
- 前記光学系は、前記対物レンズへの入射光の強度分布を前記第1の強度分布とする第1の光学パスと、前記対物レンズへの入射光の強度分布を前記第2の強度分布とする第2の光学パスとを備えることを特徴とする、請求項1に記載の光学式情報記録再生装置。
- 前記光源として、前記第1の光学パスに対応する第1の光源と、前記第2の光学パスに対応する第2の光源とを備えることを特徴とする、請求項7に記載の光学式情報記録再生装置。
- 光源からの出射光を対物レンズによってランド/グルーブ記録方式の光記録媒体上に集光する際に、前記光源から出射して前記対物レンズに入射する光の強度分布を、第1の強度分布と第2の強度分布との間で可変とする光学式情報記録再生方法であって、
前記第1の強度分布における前記光記録媒体の半径方向に対する強度の変化が前記第2の強度分布における前記光記録媒体の半径方向に対する強度の変化に比べて緩やかであり、前記第2の強度分布における前記光記録媒体の接線方向に対する強度の変化が前記第1の強度分布における前記光記録媒体の接線方向に対する強度の変化に比べて緩やかであり、前記光記録媒体のランド上に集光スポットを形成する場合には前記第1の強度分布を選択し、前記光記録媒体のグルーブ上に集光スポットを形成する場合には前記第2の強度分布を選択することを特徴とする光学式情報記録再生方法。 - 前記対物レンズに入射する入射光の強度分布を、前記光源からの出射光の偏光方向を変化させる可変波長板と、該可変波長板を透過する光の偏光方向に依存して前記対物レンズに入射する入射光の強度分布を前記第1の強度分布と前記第2の強度分布との間で変化させる光学手段とによって変化させることを特徴とする、請求項9に記載の光学式情報記録再生方法。
- 前記可変波長板を液晶光学素子で構成し、前記対物レンズに入射する入射光の強度分布を、前記液晶光学素子に印加する電圧に依存して変化させることを特徴とする、請求項10に記載の光学式情報記録再生方法。
- 前記可変波長板を、回転機構を有する1/2波長板で構成し、前記対物レンズに入射する入射光の強度分布を、前記1/2波長板の回転位置に依存して変化させることを特徴とする、請求項10に記載の光学式情報記録再生方法。
- 前記対物レンズに入射する入射光の強度分布を、前記対物レンズへの入射光の強度分布を前記第1の強度分布と前記第2の強度分布との間で切り替えるための単一の光学素子によって変化させることを特徴とする、請求項9に記載の光学式情報記録再生方法。
- 前記単一の光学素子を、回転機構を有するドーベプリズムで構成し、前記対物レンズに入射する入射光の強度分布を、前記ドーベプリズムの回転位置に依存して変化させることを特徴とする、請求項13に記載の光学式情報記録再生方法。
- 前記対物レンズに入射する入射光の強度分布を、前記対物レンズへの入射光の強度分布を前記第1の強度分布とする第1の光学パスと、前記対物レンズへの入射光の強度分布を前記第2の強度分布とする第2の光学パスのいずれを選択するかによって変化させることを特徴とする、請求項9に記載の光学式情報記録再生方法。
- 前記光源として、前記第1の光学パスに対応する第1の光源と、前記第2の光学パスに対応する第2の光源とを備え、前記対物レンズに入射する入射光の強度分布を、前記第1の光源と前記第2の光源のいずれを発光させるかによって変化させることを特徴とする、請求項15に記載の光学式情報記録再生方法。
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