JP4142661B2 - 誘電率測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、誘電材料の誘電率を測定するための誘電率測定方法に関するもので、特に、製品形状のままの誘電体部品の誘電率が測定できる誘電率測定方法の技術分野に関するものである。
近年、数百MHzから数GHzに及ぶ高周波数帯を用いた電子回路等が広く利用されるようになってきており、それに伴って電子回路等に用いられる部品材料の特性をより高い精度で測定する要求が高まっている。
例えば、GPSアンテナ用誘電体部品として高誘電率、低損失のものが要望されておリ、その他の用途でも比誘電率が10〜20程度のものが広く使われるようになってきている。そのため、誘電率に関してもより高精度に測定できる技術が強く望まれている。
従来の誘電率測定方法としては、JIS規格に定められたものが代表的なものとしてよく用いられている。これは、1〜2GHz程度の周波数帯を対象とした誘電率測定方法であり、誘電体共振器法(JIS−R1627)と空洞共振器法(JIS−R1641)の2種類がある。また、より高い周波数帯を対象とするものとしては、数十GHz程度の周波数帯に対してファブリペロー共振器法が知られている。
これらの誘電率測定方法では、測定対象の試料の形状を平行平板か円柱に限定しており、これにより誘電率を解析式に基づいて算出できるようにしている。該解析式を用いることにより、有効数字4桁程度の高精度な誘電率を得ることができる。
また、上記とは別の誘電率測定方法として、空洞共振器を用いた摂動法も従来からよく知られている。摂動法では、空洞共振器内に試料がある場合と無い場合の該空洞共振器の共振周波数を測定し、両者の差Δfから誘電率εを算出する。本測定方法を用いた場合には、任意形状の試料の誘電率を測定することが可能である。
しかしながら従来の摂動法では、測定したΔfから誘電率εを算出するのに近似式を用いていた。そのため、近似式から求めた誘電率の精度が3%程度と低いのが問題であった。比誘電率が1〜2程度と低い場合には、εとΔfとがほぼ直線的な関係にあるため比較的精度よく近似できるが、比誘電率がそれ以上大きくなるとほとんど近似できなくなり、従来の摂動法を適用するのは困難であった。
非特許文献1では、摂動法を用いて従来より高精度で誘電率を測定する方法が開示されている。測定精度を改善するために、測定器としてネットワークアナライザを用い、共振ピーク近傍の全ポイントのデータをネットワークアナライザからコンピュータに取り込み、精度を高めるためのデータ処理を行わせるようにしている。
非特許文献2では、FDTD(Finite Difference Time Domain)法を用いた数値計算により共振周波数と誘電率の関係を表す測定用チャートを作成し、これを実際の測定に用いることができるようにしている。
数値計算に要する時間を短縮するために、時間領域のサンプリング数を少なくし、GPOF(Generalized Pencil of Function)法を適用することで、サンプリング数を増やした場合と同程度の精度で共振周波数が算出できるようにしている。
「準マイクロ波〜マイクロ波帯での評価に最適な高精度摂動法による誘電材料の測定」、飯島康、Electronic Monthly誌、1998年7月、p16−19. 「FDTD法による方形空洞共振器を用いた板状誘電体の誘電率測定に関する検討」、安部琢美他、電気学会論文誌A、118巻9号、p1043−1048、1998.
JIS規格に定められている従来の誘電率測定方法は、試料の形状が平行平板または円柱などの単純な形状に限定されている。これは、上記の通り誘電率を解析式で表せるようにし、これを用いて精度よく算出できるようにするためであった。
一方、製品に用いられている誘電体部品は、角が面取りされていたり穴が開いていたりと、一般には複雑な形状をしているものが多い。該誘電体部品と同じ材料で平行平板または円柱の試料を作成し、該試料を対象に誘電率を測定することは可能である。
しかしながら、同じ材料であっても、誘電体部品の加工中に物性値が変化する可能性が高いため、誘電体部品を製品に用いられる形状のまま誘電率を測定するのが望ましい。JIS規格の方法では、誘電体部品の誘電率を製品形状のまま測定することができないため、これが高い精度で実現できる誘電率測定方法の技術が強く望まれている。
非特許文献1の摂動法では、測定試料が細長い棒状のものに限られるという大きな課題があった。また、誘電率の誤差も1%以下であり、十分高い精度とはいえない程度のものであった。また非特許文献2でも、算出された誘電率の誤差は1〜3%程度と、十分な精度が得られていない。
そこで本発明は、所定の電磁界シミュレーションを用いて作成した誘電率換算曲線と摂動法とを組み合わせることによって、任意形状の試料に対しても高精度で誘電率を求めることができる誘電率測定方法を提供することを目的とする。
この発明の誘電率測定方法の第1の態様は、試料の誘電率として少なくとも2種類以上想定し、それぞれの誘電率を有する前記試料を所定の空洞共振器内に挿入した場合と挿入しない場合との共振周波数差(以下では数値計算による共振周波数差という)を所定の電磁界シミュレーションを用いて算出し、前記2種類以上の誘電率と算出されたそれぞれの前記数値計算による共振周波数差とから誘電率換算曲線を作成し、前記空洞共振器内に前記試料を挿入した場合と挿入しない場合のそれぞれの共振周波数を測定して両者の共振周波数差(以下では測定による共振周波数差という)を求め、前記測定による共振周波数差を前記誘電率換算曲線と照合することにより前記試料の誘電率を算出することを特徴とする誘電率測定方法である。
第2の態様は、前記試料が前記空洞共振器の内部で試料が占有する空間に蓄積される電界エネルギーが最大になる位置に置かれることを特徴とする誘電率測定方法である。
第3の態様は、前記空洞共振器に設けられた入力端子及び出力端子が、15mm以下の長さのプローブまたは小孔を備えることを特徴とする誘電率測定方法である。
第4の態様は、前記空洞共振器に設けられた入力端子及び出力端子が、前記空洞共振器内で発生される共振の波長の7.5%以下に相当する長さのプローブまたはアンテナを備えることを特徴とする誘電率測定方法である。
第5の態様は、前記所定の電磁界シミュレーションが、電磁界空間を所定の寸法のセルに分割し、前記セルの中心差分によりマクスウェル方程式を計算して共振周波数を算出する手段であって、前記セルの寸法を少なくとも2種類以上変えてそれぞれで前記所定の電磁界シミュレーションを実行し、前記2種類以上のセルの寸法とそれぞれのシミュレーションから得られる前記共振周波数とから前記セルの寸法を0としたときの共振周波数を推定することを特徴とする誘電率測定方法である。
第6の態様は、前記所定の電磁界シミュレーションに用いる前記試料の誘電率として、前記試料を形成する誘電体材料から推定される誘電率を挟む2種類以上の誘電率を想定して前記電磁界シミュレーションを行うことを特徴とする誘電率測定方法である。
第7の態様は、前記誘電率換算曲線が、前記共振周波数差をパラメータとする多項式で作成されることを特徴とする誘電率測定方法である。
本願の請求項1に係る発明は、上記、第1、第2、および第7の態様をまとめたものである。また、本願の請求項2〜請求項5に係る発明は、上記、第3〜第6の態様にそれぞれ対応している。
以上説明したように本発明によれば、任意形状の誘電体部品に対して誘電率を測定することが可能となるため、従来のように同じ材質で平行平板や円柱の試料を製造して測定する必要がなくなる。例えば、試料形状が粉末であっても、これを誘電率が既知の容器に充填するか、または誘電率が既知の樹脂で固めることによって、該粉末の誘電率を求めることが可能となる。
このように、本発明の誘電率測定方法は、誘電率の値が重要となる製品について、製造の原料段階から製品段階に至るまで、誘電体としての良否判定に幅広く適用できることから、製品の品質向上・製造工数削減等に大きく寄与するものである。
またこの発明によれば、従来の摂動法(1%以上)に比べて精度を約1桁向上できることから(0.1%のオーダー)、任意形状の誘電体部品の誘電率を高精度で算出することができるといった優れた効果が得られる。
図面を参照して本発明の好ましい実施の形態における誘電率測定方法について詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。
本発明の誘電率測定方法では、空洞共振器を用いた摂動法を基本的な手段に用いている。但し、従来の摂動法では、空洞共振器を用いて測定した共振周波数から誘電率を算出するのに近似式を用いていたのに対し、本発明の誘電率測定方法では、所定の電磁界シミュレーションによる数値計算に基づいて作成した誘電率換算曲線を誘電率の算出に用いている。
図1は、本発明の実施の形態における誘電率測定方法の全体の処理の流れを説明する図である。本実施形態における誘電率測定方法では、従来の摂動法と同様に、試料1を空洞共振器2内に挿入しない場合と挿入した場合のそれぞれに対し、空洞共振器2内に入力信号3を印加して共振させ、それぞれの共振周波数を測定する。
そして、試料1を空洞共振器2内に挿入したことによる共振周波数の変化を測定し、試料1を空洞共振器2内に挿入しない場合と挿入した場合との共振周波数差から資料1の誘電率を求める。
本実施形態ではまず、試料1と空洞共振器2の各々の形状データ、及び入力信号3の波形データを基に、ステップS1において電磁界シミュレーションの計算を行う。この電磁界シミュレーションの計算は、試料1が空洞共振器2内に挿入されていない場合と挿入されている場合の2ケースについて行う。
そして、前記電磁界シミュレーション結果より誘電率換算曲線を作成する。該誘電率換算曲線は、試料1が空洞共振器2内に挿入されていない場合と挿入されている場合との共振周波数差(前記の測定による共振周波数差)から誘電率を算出するのに用いるものである。ステップS1の処理の詳細については後述する。
次に、ステップS2及びステップS3において、空洞共振器2に入力信号3を入力して共振を発生させ、そのときの共振周波数を測定する。ステップS2では、空洞共振器2内に試料1を挿入しない状態で入力信号3を空洞共振器2に入力し、そのときの共振周波数(以下では試料無し時共振周波数という)をネットワークアナライザー等で測定する。
一方ステップS3では、空洞共振器2内に試料1を挿入した状態で、ステップS2と同様にして共振周波数(以下では試料有り時共振周波数という)を測定する。
空洞共振器2から測定される出力信号の一実施例を図2に示す。図2は、横軸を周波数、縦軸を電界強度として前記出力信号を表示している。同図において、出力信号11は、空洞共振器2内に試料1を挿入しないで共振させたときの出力信号であり、出力信号12は、空洞共振器2内に試料1を挿入して共振させたときの出力信号である。
試料1を挿入しないときの出力信号11は、周波数13で電界強度がピークとなっており、この周波数13がこのときの共振周波数と判定される。また、試料1を挿入したときの出力信号12は、出力信号11に比べて全体的に低周波数側に移動している。
そして、電界強度がピークとなる周波数14は、上記の周波数13よりも低いところに現れており、17に示す共振周波数の差(前記の測定による共振周波数差)が生じている。電界強度も、出力信号11のピーク値15から出力信号12のピーク値16まで、電界強度差18だけ低下している。
ステップS4では、ステップS2で測定した試料無し時共振周波数とステップS3で測定した試料有り時共振周波数との差である前記測定による共振周波数差を計算する。以下では、前記測定による共振周波数差をΔfで表すものとする。
ステップS5では、ステップS1で作成した前記誘電率換算曲線を用いて、前記測定による共振周波数差から試料1の誘電率を算出する。前記誘電率換算曲線の一実施例を図3に示す。図3は、縦軸を共振周波数差とし、横軸を比誘電率とした時の誘電率換算曲線21を表している。
図3において、共振周波数差をステップS4で算出したΔfとしたとき、誘電率換算曲線21から比誘電率εrが求まる。このように、誘電率換算曲線21を用いることにより、空洞共振器2を用いて測定した前記測定による共振周波数差から試料1の比誘電率を求めることが可能となる。なお、試料1の誘電率は、誘電率換算曲線21から求めた比誘電率εrに真空の誘電率を掛けたものである。
次に、ステップS1の電磁界シミュレーションにより誘電率換算曲線を作成する方法について、図4を用いて以下に詳細に説明する。図4は、所定の電磁界シミュレータを用いて共振器2内の電磁界の空間分布及び時間変化を数値計算する処理の流れを説明する図である。
前記所定の電磁界シミュレータとして、本実施の形態ではFDTD法と完全境界近似(PBA:Perfect Boundary Approximation)を適用している。但し、電磁界シミュレータとしてこれに限定されるものではなく、共振器内の電磁界の空間分布及び時間変化を精度よく解析できるものであれば何でもよい。
前記FDTD法は、電磁界空間を所定の大きさのセルに分割し、マクスウェル方程式を前記セルの中心差分により計算する手法である。また、時間変化についても、所定の時間幅ごとにシミュレーション計算を行う。
前記FDTD法だけで凸凹のある試料を取り扱おうとすると、前記セルサイズの影響を大きく受けるため、前記セルサイズをできるだけ細かくする必要がある。そして、前記セルサイズを0になるまで細かくしたときに最も正確な解が得られる。しかしながら、前記セルサイズを0にすることは現実には不可能である。
また前記完全境界近似は、任意形状の試料を取り扱うのに有効な手法であり、セル毎の誘電率等の物性値に対し等価的な物性値を算出して用いることで、セルサイズを比較的粗くしても精度を高めることができる手法である。
図4において、まずステップS11では、シミュレーション条件として、試料1と空洞共振器2の各々の形状データ、及び入力信号3の波形データを前記電磁界シミュレータに入力する。
ステップS12では、試料1を空洞共振器2に挿入しないときの共振周波数を、前記電磁界シミュレータを用いて算出する。このとき、前記FDTD法で用いられる前記セルサイズは、適切な値を選択して用いる。前記セルサイズは、空洞共振器2の寸法等に基づいて決めることができる。
ステップS13では、試料1の誘電率として所定の値を想定して前記電磁界シミュレータに設定する。ここで、誘電率の前記所定の値は、測定された共振周波数差から誘電率を内挿によって精度よく推定できるよう、試料1を形成する誘電体材料から推定される誘電率より小さい誘電率と大きい誘電率を含めるのが好ましい。
例えば、比誘電率が30以下の測定を目的とする場合には、比誘電率として5,10,15,20,25,30を選択しておき、それぞれの比誘電率を前記電磁界シミュレータに順次設定してシミュレーションを実行させる。
次にステップS14において、前記FDTD法の計算で用いる前記セルサイズとして予め選択した複数の値のうちの一つを設定する。前記セルサイズは、空洞共振器2のサイズをもとに複数の値を選択することができ、選択された前記複数のセルサイズを前記電磁界シミュレータに順次設定してシミュレーション計算を実行する。
ステップS15では、ステップS11で入力されたシミュレーション条件、ステップS13で選択された誘電率、及びステップS14で選択されたセルサイズを用いて前記電磁界シミュレータを実行し、このときの共振周波数を算出する。
ステップS16では、ステップS14で選択された複数のセルサイズの全てについてシミュレーション計算が終了したか否かを判定する。前記複数のセルサイズの一部しかシミュレーション計算を終了していない場合には、ステップS14に戻り、残りのセルサイズの値を選択する。一方、前記複数のセルサイズの全てについてシミュレーション計算を終了している場合には、次のステップS17に進む。
ステップS17では、前記複数のセルサイズに対する共振周波数をもとに、共振周波数の真値を推定する。すなわち、前記複数のセルサイズとそれぞれの共振周波数とから、前記セルサイズを0まで外挿したときの共振周波数を求めることで、共振周波数の真値を推定することができる。
例えば、前記複数のセルサイズとして3種類の値を選択した場合には、共振周波数を前記セルサイズの2次式として表すことができる。該2次式において、セルサイズに0を代入したときの共振周波数を真値と推定することができる。
複数の誘電率について、上記の方法により前記共振周波数の真値を求めた実施例を図5に示す。同図において、誘電率をε1としたとき、前記3種類のセルサイズから前記共振周波数を2次式で表したものを31で示している。このとき、セルサイズを0としたときの共振周波数31aを真値と推定する。
同様に、誘電率がε2〜ε6のときの前記2次式をそれぞれ32〜36で示しており、セルサイズを0としたときの共振周波数32a〜36aをそれぞれの誘電率に対する共振周波数の真値としている。
ステップS17までで、ステップS13で選択されたいずれかの誘電率に対する共振周波数が求まると、ステップS18で全ての誘電率について前記共振周波数の真値の推定を完了したか否かを判定する。そして、前記共振周波数の真値の推定が行われていない誘電率がある場合には、ステップS13に戻って上記の計算処理を繰り返す。
一方、ステップS13で選択された全ての誘電率について、前記共振周波数の真値の推定を完了すると、次にステップS19において、前記誘電率換算曲線を作成する。前記誘電率換算曲線は、図3に示す通り、共振周波数差と比誘電率との関係を示すものである。
ステップS19ではまず、ステップS17で算出した前記複数の誘電率に対するそれぞれの共振周波数からステップS12で算出した試料無し時の共振周波数を減算して共振周波数差を求める。そして、該共振周波数差とこれに対応する比誘電率を図3に示すようにグラフ上に描くことで、誘電率換算曲線21を作成することができる。
あるいは、前記共振周波数差とこれに対応する比誘電率を所定の多項式でフィッティングすることにより、該多項式を比誘電率算出式として用いることも可能である。
誘電率換算曲線21の精度を確認するために、従来の空洞共振器法(JIS―R1641)の測定結果と比較したものを図6に示す。従来のJIS―R1641でも高い精度で誘電率が測定できるよう、試料1として所定の平行平板のものを用いた。
図6(a)は図3と同様の図であるが、誘電率換算曲線41は試料1として前記所定の平行平板としたときのものである。図6(b)は、図6(a)の42の部分を拡大したものである。図6(b)において、43は従来のJIS―R1641で測定した共振周波数差とそのときの比誘電率を表している。JIS―R1641の測定結果と誘電率換算曲線41とは高い精度で一致することが確認できている。
以上で説明したように、本発明の誘電率測定方法によれば、所定の精度を有する電磁界シミュレータを用いた数値計算により前記誘電率換算曲線を作成し、該誘電率換算曲線を用いることにより、任意形状の誘電体部品の誘電率を高精度で算出することができる。
本発明の誘電率測定方法における空洞共振器2を用いた共振周波数の測定方法について図7を用いて以下に説明する。図7(a)は、空洞共振器2の概略構成を説明する図である。空洞共振器2には試料1が挿入されており、入力端子51から入力信号が入力され、出力端子52から出力信号が取り出される。入力端子51及び出力端子52は同軸ケーブル53、54でネットワークアナライザ55と接続されており、出力端子52から取り込んだ前記出力信号がネットワークアナライザ55で測定される。
本発明の誘電率測定方法において、空洞共振器2内に試料1を挿入する位置は、空洞共振器2の中で空間の電界エネルギーが極大になる位置とするのが望ましい。図7(a)では、電界エネルギーの分布の概略を58で示しているが、該電界エネルギーの分布を空洞共振器2の上部から見たものを模式的に図7(b)に示している。
図7(b)において、59の位置が最も電界強度が高いことを示しており、試料1は59の位置に挿入されるのが最も望ましい。試料1を挿入する位置の電界エネルギーが高いほど、前記共振周波数差は大きくなる。
また、本発明の誘電率測定方法では、空洞共振器2内の電磁界結合に用いる入力端子51及び出力端子52のアンテナまたはプローブ56、57の寸法を15mm以下とするのが望ましい。アンテナまたはプローブ56、57の寸法を15mm以下とすることにより、空洞共振器2の測定を適切に行うことができる。
さらに、1.5GHz以上の空洞共振器2の測定では、アンテナまたはプローブ56、57の寸法を測定波長の7.5%以下とするのが望ましい。
本発明の誘電率測定方法に用いる空洞共振器2は、任意の形状のものを用いることができる。すなわち、空洞共振器2は密封型(直方体、円筒、球、回転楕円体)、あるいは開放型(ファブリベロー型、NRD型)のいずれであってもよい。
以上説明したように、本発明の誘電率測定方法によれば、摂動法と電磁界シミュレーションを組み合わせることにより、任意形状の試料についても誘電率を0.1%程度の高精度で測定することが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態に係る誘電率測定方法の全体の処理の流れを説明する図である。 図2は、空洞共振器2から測定される出力信号の一実施例を示す図である。 図3は、本発明の誘電率測定方法で作成される誘電率換算曲線の一実施例を示す図である。 図4は、所定の電磁界シミュレータを用いて誘電率換算曲線を作成する処理の流れを説明する図である。 図5は、3種類のセルサイズのシミュレーション結果から共振周波数を2次式で表したときの一実施例を示す図である。 図6は、本発明の誘電率測定方法で作成される誘電率換算曲線を従来の空洞共振器法(JIS―R1641)の測定結果と比較した図である。図6(a)は、試料を所定の平行平板としたときの誘電率換算曲線を示す。図6(b)は、図6(a)の42の部分を拡大したものである。 図7は、本発明の誘電率測定方法における空洞共振器2を用いた共振周波数の測定方法を説明する図である。図7(a)は、空洞共振器の概略構成を説明する図である。図7(b)は、電界エネルギーの分布を空洞共振器2上部から見たものを模式的に示す図である。
符号の説明
1・・・試料
2・・・空洞共振器
3・・・入力信号
11、12・・・出力信号
13、14・・・共振周波数
15,16・・・電界強度のピーク値
17・・・共振周波数差
18・・・電界強度差
21、41・・・誘電率換算曲線
31、32、33、34、35、36・・・セルサイズの2次式で表した共振周波数
31a、32a、33a、34a、35a、36a・・・共振周波数の真値
42・・・誘電率換算曲線の拡大領域
43・・・JIS―R1641による測定値
51・・・入力端子
52・・・出力端子
53、54・・・同軸ケーブル
55・・・ネットワークアナライザ
56、57・・・アンテナまたはプローブ
58・・・電界エネルギーの分布
59・・・電界エネルギーが最も高い位置

Claims (5)

  1. 試料の誘電率として少なくとも2種類以上想定し、
    それぞれの誘電率を有する前記試料を所定の空洞共振器の内部で試料が占有する空間に蓄積される電界エネルギーが最大になる位置に挿入した場合と挿入しない場合との共振周波数差(以下では数値計算による共振周波数差という)を所定の電磁界シミュレーションを用いて算出し、
    前記2種類以上の誘電率と前記共振周波数差とから前記共振周波数差をパラメータとする比誘電率算出用の多項式を作成し、該多項式を用いることにより誘電率換算曲線を作成し
    前記空洞共振器内の内部で試料が占有する空間に蓄積される電界エネルギーが最大になる位置に前記試料を挿入した場合と挿入しない場合のそれぞれの共振周波数を測定して両者の共振周波数差(以下では測定による共振周波数差という)を求め、
    前記測定による共振周波数差を前記誘電率換算曲線と照合することにより前記試料の誘電率を算出する
    ことを特徴とする誘電率測定方法。
  2. (原請求項3)
    前記空洞共振器に設けられた入力端子及び出力端子は、
    15mm以下の長さのプローブまたは小孔を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の誘電率測定方法。
  3. (原請求項4)
    前記空洞共振器に設けられた入力端子及び出力端子は、
    前記空洞共振器内で発生される共振の波長の7.5%以下に相当する長さのプローブまたはアンテナを備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の誘電率測定方法。
  4. (原請求項5)
    前記所定の電磁界シミュレーションは、電磁界空間を所定の寸法のセルに分割し、前記セルの中心差分によりマクスウェル方程式を計算して共振周波数を算出する手段であって、
    前記セルの寸法を少なくとも2種類以上変えてそれぞれで前記所定の電磁界シミュレーションを実行し、
    前記2種類以上のセルの寸法とそれぞれのシミュレーションから得られる前記共振周波数とから前記セルの寸法を0としたときの共振周波数を推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の誘電率測定方法。
  5. (原請求項6)
    前記所定の電磁界シミュレーションに用いる前記試料の誘電率として、
    前記試料を形成する誘電体材料から推定される誘電率を挟む2種類以上の誘電率を想定して前記電磁界シミュレーションを行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の誘電率測定方法。
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