JP4140385B2 - 電気泳動分離−エレクトロスプレーイオン化方法及び装置 - Google Patents

電気泳動分離−エレクトロスプレーイオン化方法及び装置

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、極微量のタンパク質や核酸、医薬品などを高速かつ高分離に分析する電気泳動装置に関し、さらに詳しくは板状部材の内部に形成された分離流路で電気泳動を行なうマイクロチップ電気泳動装置と、試料の構造に関する情報を得ることができる質量分析装置(MS)とのインターフェースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マイクロチップ電気泳動装置などチップ状基体に形成したマイクロ流体デバイスを用いて試料を質量分析装置に導入する場合、流量がナノリットル/分というスケールであるため、比較的容易にエレクトロスプレーイオン化(ESI)法による質量分析法が実現できる。そのため従来から様々な方法が試みられている。例えば、
1)マイクロ流体デバイスを構成するチップの端面からポンプで送った液を直接エレクトロスプレーさせる方法、
2)チップにスプレーノズルを接続する方法、
3)チップにスプレーノズルを接続するとともに、チップに電気泳動分離流路とスプレーノズルに液相でつながる溝を形成して液相接続部(リキッドジャンクション)を構成し、その液相接続部に電圧を印加する方法、及び
4)液相接続部を介してノズルを接続する方法で、さらにノズルの先端を質量分析装置の入口で減圧にする方法や、ノズル先端からN2ネブライザガスを同軸方向に導入する方法などである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
1)のマイクロ流体デバイス端面から直接スプレーさせる方法は、シリンジポンプ等で一定の送液を行わないと安定したイオンが形成されない上、液滴自体が大きなデッドボリュームとなり、注入量<1nLのチップ電気泳動で行われた分離が端面で損なわれるという問題がある。
【0004】
2)のスプレーノズルを接続する方法は、端面でのデッドボリュームは低減できるものの、電気泳動を制御する電圧とエレクトロスプレーイオン化電圧を印加するための工夫が必要となる。これには、スプレーノズル先端を導電コーティングするか、導電材料(ステンレンレン製パイプや導電性樹脂など)の先端を尖らせたものを接続し、そこへ電圧を印加する方法などがとられる。しかし、メタルコーティングの剥離や、スプレーノズル先端部での詰まり、気泡トラップにより電気泳動に必要な電流がチップ内で長時間安定しないという問題がある。そのため、スプレーノズルの外周にシース液が流れる導電性チューブを被せる方法がとられることもあるが、その方法では、サンプルがシース液によって希釈され感度が低下し、分離が損なわれる問題が残る。
【0005】
3)の方法は、スプレーノズル先端のメタルコーティングに代わり、スプレーノズルの根元の液相接続部に電圧を印加するため、電流の安定性が向上する。しかし、チップ内の流量が数nL/min程度と極めて少ないため、液相接続部の容量及びスプレーノズル先端までの長さによっては、流量を確保する工夫が必要となる。
【0006】
そこで、4)にあるような、スプレーノズルの先端を質量分析装置の入口で減圧にする方法や、スプレーノズル先端からN2ネブライザガスを同軸方向に導入する方法などが考案されているが、構造が複雑になるためスプレーノズルの交換が容易ではない。スプレーノズルの先端にはエレクトロスプレーイオン化電圧がかかって放電をし、損傷するので、スプレーノズルは交換をする必要がある。
【0007】
本発明は、イオン形成の安定化と分離性能を両立でき、かつ、交換が容易で簡便な、電気泳動分離−エレクトロスプレーイオン化方法と装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気泳動分離−エレクトロスプレーイオン化方法は、基体に形成されたマイクロ流体デバイスで電気泳動分離流路の泳動方向の下流側の端部を前記基体の端面に開口させ、その開口内にエレクトロスプレーイオン化質量分析装置へのインターフェースとなるスプレーノズルの基端部を挿入し、固定部材によりこのスプレーノズルを前記マイクロ流体デバイスに着脱可能に固定するとともに、前記電気泳動分離流路の液相を前記スプレーノズル内の液相及び前記スプレーノズルの外面を通って前記固定部材に至る液相と接続させる液相接続部を形成し、前記液相接続部の前記固定部材側の部分から電気泳動制御用 圧を印加する。エレクトロスプレーイオン化電圧はスプレーノズルの先端に別途印加する。
【0009】
この方法を実施する本発明の装置は、基体内部に少なくとも電気泳動分離流路を備え、その電気泳動分離流路の泳動方向の下流側の端部が前記基体の端面に開口しているマイクロ流体デバイスと、前記マイクロ流体デバイスの前記開口内に基端部が挿入され、エレクトロスプレーイオン化質量分析装置へのインターフェースとなるスプレーノズルと、前記スプレーノズルを前記マイクロ流体デバイスに着脱可能に固定するとともに、前記電気泳動分離流路の液相をスプレーノズル内の液相と接続させ、前記スプレーノズルの外面との間に隙間をもちその隙間を通って前記電気泳動分離流路の液相と接続する液相接続部を形成する固定部材と、前記液相接続部の前記固定部材側の部分から電気泳動制御用電圧を印加する電源装置とを備えている。さらに、スプレーノズルの先端部にはスプレーノズルの先端においてのみスプレーノズル内の液相を介して前記液相接続部と接続しうる導電性コーティングを設け、この導電性コーティングにエレクトロスプレーイオン化電圧を印加する。
また、マイクロ流体デバイスの前記開口内において、前記開口の底面と前記スプレーノズルの基端面はともに平面状をなして対向しているようにすれば、液相接続部の容積がさらに減少しデッドボリュームをより低減させる上で好都合である。この場合、マイクロ流体デバイスの流路とスプレーノズルの流路が同一軸であっても、角度を持っていてもかまわない。
【0010】
【作用】
スプレーノズルをマイクロ流体デバイスの前記開口内に挿入し、固定部材で固定することにより、デッドボリュームが小さくなり、電気泳動分離流路内で分離したサンプルが拡散することなく質量分析装置へ導入されるので分離性能を維持できる(従来技術の課題1)の対策)。
【0011】
また、マイクロ流体デバイスと隣接して固定部材を配置し、電気泳動分離流路の液相をスプレーノズル内の液相及びスプレーノズルの外面を通って固定部材に至る液相と接続させる液相接続部を形成してあるので、その液相接続部にバッファ溶液を封入すれば、液相接続部の固定部材側の部分から電圧を印加することで、電気泳動制御用の電圧を供給することができる。これにより、スプレーノズル先端から電気泳動分離用の電圧を印加する場合のように電気泳動に必要な電流がチップ内で長時間安定しないという問題もなく、シース液の使用に見られるようなサンプルの希釈などの問題も避けられる(従来技術の課題2)3)の対策)。
導電性コーティングに印加するエレクトロスプレーイオン化電圧を電気泳動制御用電圧と同一の電圧とすれば、スプレーノズル内の液相による電圧降下を防いで所定のエレクトロスプレーイオン化電圧をスプレーノズルの先端に印加することができる。
また、この導電性コーティングに印加するエレクトロスプレーイオン化電圧を電気泳動制御用電圧とは異なる電圧に設定すれば、このエレクトロスプレーイオン化電圧と電気泳動制御用電圧との電位差によりスプレーノズル内の液相に電気浸透流を生じさせて、スプレーノズル内での液の移動を積極的に制御することができるようになる。
スプレーノズル内での液の移動を制御できるようにするそのような態様の装置では、この導電性コーティングに電気泳動制御用電圧とは異なる電圧を印加する電源装置をさらに備えている。この態様では、従来技術4)と比較して、高圧電源が1つ増える以外は、構造を複雑にしないでスプレーノズル内の流量制御が可能になる。
【0012】
さらに、本発明では、マイクロ流体デバイスの開口内にスプレーノズルの基端部を挿入し、固定部材により着脱可能に固定しているので、構造が簡便で、スプレーノズルを取り外したり、新しいものと交換したりすることが容易である。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1(A)に本発明の基礎となる基本構造のマイクロ流体デバイスと、インターフェースとなるスプレーノズル、及びエレクトロスプレーイオン化質量分析装置のイオン源を概略的に示す断面図である。(B)は(A)の円で囲まれた部分近傍、すなわちスプレーノズル部分を拡大して示す断面図である。
【0019】
2はマイクロ流体デバイスとしての電気泳動チップであり、2枚のガラス基板、例えば合成石英基板が接合されて構成されている。そのうちの一方のガラス基板上に数100μm以下の幅と深さをもち、互いに交差する2つの流路4と6が形成され、その流路4と6が形成された面が内側になるように接合されて、基体内部に互いに交差する流路4,6をもつ電気泳動チップを構成している。両流路4,6は基体の端面まで延び、端面に開口をもっている。流路4,6のうち、流路4は試料を導入するための流路であり、流路6は両流路の交差部分まで導入された試料を電気泳動により分離するための電気泳動分離流路である。
【0020】
電気泳動チップ2の3辺には樹脂製のリザーバブロック8−1〜8−3が密着して固定されている。リザーバブロック8−1には流路4の一端とつながる流路を介して凹部からなるリザーバ10−1が形成され、リザーバブロック8−2には流路4の他端とつながる流路を介して凹部からなるリザーバ10−2が形成され、リザーバブロック8−3には流路6の一端とつながる流路を介して凹部からなるリザーバ10−3が形成されている。各リザーバブロック8−1〜8−3とチップ2の間には、流路からの液漏れを防ぐためにリザーバブロック8−1〜8−3側にOリング(図示略)が介在し、各リザーバブロック8−1〜8−3とチップ2の間を液密に封止している。
【0021】
電気泳動チップ2の流路6の他端側には、スプレーノズルを固定する固定部材として樹脂製のノズルアダプタブロック12が固定されている。電気泳動チップ2とノズルアダプタブロック12は互いの間に隙間をもって配置されており、ノズルアダプタブロック12によってスプレーノズル14が固定されている。
【0022】
流路6の他端は電気泳動チップ2の端面側で外側に向かって開いていく漏斗状の開口16となるように形成されている。その開口16内にスプレーノズル14の基端部が挿入されている。スプレーノズル14の基端部はフェルール18に挿入され、そのフェルール18が電気泳動チップ2とノズルアダプタブロック12の間に介在することにより電気泳動チップ2とノズルアダプタブロック12の間での液漏れを防いでいる。
【0023】
スプレーノズル14をノズルアダプタブロック12で固定するために、スプレーノズル14の中央部にスリーブ20が嵌められ、そのスリーブ20の外側に雄ネジナット22が嵌められ、その雄ネジナット22がノズルアダプタブロック12に螺合されることにより、スプレーノズル14の基端部が電気泳動チップ2に対し固定されている。
【0024】
フェルール18とスプレーノズル14の外面との間には隙間があり、この隙間は開口部16内において電気泳動チップの流路6とスプレーノズル14の流路15とに通じている。また、ノズルアダプタブロック12にはその隙間に通じる内部の溝24が形成され、更にその溝24に通じるリザーバ26がノズルアダプタブロック12の表面に開口をもつ凹部として形成されている。リザーバ26からバッファ液を注入することにより、溝24からスリーブ18とスプレーノズル14の外面との間の隙間を通して開口部16内で流路6,15との間に液相による電気的接続がなされる。これらの流路、溝及び隙間を通して達成される液相による接続を液相接続部と呼んでいる。
【0025】
電気泳動チップ2とブロック8−1〜8−3,12の一体化されたものは、後で図2に示すようなステージに取り付けられ、質量分析計のイオン源と位置決めされてエレクトロスプレーイオン化に用いられる。図1にはそのエレクトロスプレーイオン化質量分析装置のイオン源を概略的に示している。30は最も外側にあり、大気と接する対極である。スプレーノズル14から放出され、スプレーノズル14と対極30の間の電位差によりエレクトロスプレーイオン化によりイオン化された試料イオンは、対極30の小孔を通して質量分析装置内に導入される。対極30の内側にはピンホールを有するサンプリングコーン32が配置され、さらにその内側には小孔をもつスキーマ34が配置されている。スキーマ34の内側は高真空の質量分析部であり、10-4〜10-5mbarの高真空に保たれている。サンプリングコーン32とスキーマ34の間は中間真空領域であり、約1mbarの真空度に保たれている。
【0026】
電気泳動チップ2とブロック8−1〜8−3,12の一体化されたものは、図2に示される支持部材40に取り付けられ、各リザーバ10−1〜10−3及び26にそれぞれ所定の電圧を印加するために高圧ケーブル42−1〜42−3,43が接続される。44は高電圧印加部分に接触するのを防ぐための蓋である。
【0027】
46は支持部材40を介して電気泳動チップ2とブロック8−1〜8−3,12の一体化されたものを支持し、位置決めするためのX−Y−Zステージであり、スプレーノズル14の先端位置を質量分析装置のイオン源に対し位置決めするためのものである。
【0028】
次に、この基本構造の動作について説明する。
図1に示すように、電気泳動チップ2をリザーバブロック8−1〜8−3とノズルアダプタブロック12に固定し、スプレーノズル14を装着して固定する。
【0029】
リザーバ10−1〜10−3のどれか一つのポートより、シリンジでバッファ液を送液し、スプレーノズル14の先端から液滴が出ることを確認する。バッファ液としては、例えば、30%アセトニトリルを含む50mM炭酸アンモニウム−炭酸水素アンモニウムバッファなどを使用することができる。
【0030】
各リザーバ10−1〜10−3,26と液相接続部にもバッファ液を充填し、特にノズル14と電気泳動チップ2との接続部に気泡が入っていないことを確認し、リザーバ10−3から試料を注入する。
【0031】
この状態で、図2に示すX−Y−Zステージ46に装着し、各リザーバ10−1〜10−3と液相接続部のリザーバ26に白金線を電極として取りつけて高圧ケーブルを接続する。この接続は、例えば高圧ケーブルをブロックに固定するネジに白金線電極を共締めし、その白金線電極をリザーバに挿入することにより行うことができる。そして、スプレーノズル14の先端と質量分析装置の試料導入口である対極30の小孔との間隔が例えば3〜5mmになるようにX−Y−Zステージ46の調整を行う。
【0032】
分離流路6への試料導入及び電気泳動分離は、各リザーバ10−1〜10−3,26に印加する電圧を、リザーバ10−1から10−2と26へ電流I1が流れ、リザーバ10−3から10−2へ電流I2が流れるように設定して行う。(1)定常状態として、試料がリザーバ10−3から10−2へ定常的に流れるように、また電気泳動分離がなされるように、I1/I2=2.0に設定しておく。(2)試料導入時には、リザーバ10−3から10−2へ流れている試料が分離流路に導入されるように、ごく短い時間、例えば0.2秒間だけI1/I2=0.1となるように各リザーバへの電圧印加パターンを切り替える(これをゲート注入法という。)。
【0033】
各リザーバ10−1〜10−3,26から印加される定常状態の電圧により、電気泳動チップ2の電気泳動分離流路6での電気泳動により試料が分離されてスプレーノズル14に導入された後、スプレーノズル14の先端から放出されたイオンは、対極30の小孔からイオン源内に取り込まれる。
【0034】
泳動電圧を400V/cm、エレクトロスプレーイオン化電圧を3kVに設定し、塩基性医薬品3成分(ピンドロール、スルピリド及びニカルジピン)の分析を行った結果を図3に示す。横軸は電気泳動開始からのイオンが検出されるまでの時間、縦軸は質量分析装置におけるイオンの検出強度をカウント値で表わしたものである。図中の数値、例えば「249.00(1.00)」の「249.00」は質量数(m/z)、「(1.00)」は表示倍率である。図の上の「I1/I2=2.0 0.2s注入」は電気泳動の電圧設定条件を示しており、そのうち「I1/I2=2.0」は、上に示したように、定常状態における各リザーバへの印加電圧を電流比として表わしたもの、「0.2s注入」は、これも上に示したように、試料導入時には各リザーバへの電圧印加パターンを切り替える時間が0.2秒であることを表わしている。また、「SIM」はSelected Ion Monitoringのことで、予め定めた数種の質量数(m/z)をもつイオンだけをモニターする方法であることを示している。
この結果によれば、試料中の3成分は相互に分離して検出されている。
【0035】
次に、電気泳動制御用の電圧とエレクトロスプレーイオン化電圧を独立して印加する実施例について図4を参照して説明する。図4(A)は同実施例のマイクロ流体デバイスと、インターフェースとなるスプレーノズル、及びエレクトロスプレーイオン化質量分析装置のイオン源を概略的に示す断面図である。(B)は(A)の円で囲まれた部分近傍、すなわちスプレーノズル部分を拡大して示す断面図である。
【0036】
図1の基本構造と比較すると、スプレーノズル14の先端部表面に導電コーティング48がなされている点で異なり、他の点は図1の基本構造と同じである。スプレーノズル先端部の導電コーティング48と雄ねじナット22で固定した部分より電気泳動チップ側の部分の間には導電コーティングのないスプレーノズル表面が存在し、そのスプレーノズル表面により導電コーティング48は基端部に存在する液相接続部とは絶縁されている。導電コーティング48はスプレーノズル14の先端でのみスプレーノズル14内の液と接触して導通することができる。
【0037】
この実施例で液相接続部に電気泳動制御用の電圧HV(4)を印加し、スプレーノズル先端部の導電コーティング48には電気泳動制御用とは独立した電源からエレクトロスプレーイオン化用電圧HV(ESI)を印加して分析を行う。スプレーノズル14内の電気浸透流は、HV(4)とHV(ESI)の電位差により制御することができる。これにより、スプレーノズル14が長くなった場合や、スプレーノズル内に充填剤が存在する場合にも安定した流量を確保することができる。
【0038】
また、HV(4)とHV(ESI)を同一電圧とすることもできる。この場合は電源装置を別途設ける必要がない。電位差により電気浸透流を制御することはできないが、HV(ESI)を印加しない場合にスプレーノズル14内で生じる電圧降下を防止して所定のエレクトロスプレーイオン化用電圧をスプレーノズル14の先端に印加することができる。
【0039】
図5はさらに他の実施例を表わす。
図1、図4の構造では、電気泳動チップ2の開口16内において、スプレーノズル14の基端部の端面が位置する部分の壁面は傾斜している。それに対し、図5に示す実施例では、その開口16a内において、開口の底面17とスプレーノズル14の基端部の端面がともに平面状をなして対向している。開口部の底面17とスプレーノズル14の基端部の端面の間には液相接続部を形成するための僅かな隙間が形成されている。
【0040】
スプレーノズル14の基端部の端面は開口部の底面17と平行に配置され、電気泳動分離流路6とスプレーノズル14の流路が同一軸線上にくるように固定されている。しかし、スプレーノズル14の基端部の端面と開口部の底面17とは必ずしも平行でなくてもよく、多少傾いていてもよい。
【0041】
この実施例では図1、図4の構造で用いられていたフェルール18は設けられていない。電気泳動チップ2とブロック12の間にOリング50などの封止部材を介在させることにより、電気泳動チップ2とブロック12との間での液漏れを防いでいる。
【0042】
図1、図4の構造におけるフェルール18は、図1、図4の構造においても省略することができ、この実施例と同様にOリング50などの封止部材により電気泳動チップ2とブロック12との間での液漏れを防げばよい。
【0043】
この実施例において、上記と同様のバッファ液を使用し、試料として10ppmのカフェイン(質量数m/z=195)を測定した結果を図6に示す。ここではエレクトロスプレーイオン化電圧として3.0KVを印加し、泳動電圧が400V/cmとなるように設定した。試料は電気泳動チップ2の試料導入用流路4から導入し、電圧を切り替えて電気泳動分離流路6により試料を泳動させてスプレーノズル14から質量分析装置にイオンを導入した。図6で左側のピークは図1の基本構造によるものであり、右側のピークがこの実施例によるものである。図6の横軸は電気泳動チップ2での泳動時間であり、縦軸は質量分析装置におけるイオン検出強度(カウント値で表したもの)である。この実施例による右側のピークは左右対称性が改善されている。
【0044】
【発明の効果】
本発明の電気泳動分離−エレクトロスプレーイオン化方法とその装置は、基体に形成されたマイクロ流体デバイスで電気泳動分離流路の泳動方向の下流側の端部を基体の端面に開口させ、その開口内にエレクトロスプレーイオン化質量分析装置へのインターフェースとなるスプレーノズルの基端部を挿入し、固定部材により着脱可能に固定するとともに、電気泳動分離流路の液相をスプレーノズル内の液相及びスプレーノズルの外面を通って固定部材に至る液相と接続させる液相接続部を形成し、液相接続部を介して電気泳動制御用電圧を印加し、スプレーノズルの先端部に導電性コーティングを設けてエレクトロスプレーイオン化電圧を印加するようにしたので、電気泳動チップとスプレーノズルとの接続部のデッドボリュームが減少し、しかも交換が容易な形で、安定したイオン形成が実現できる。
スプレーノズルの先端部に導電性コーティングを設けて電気泳動制御用電圧とは異なるエレクトロスプレーイオン化電圧を印加するので、スプレーノズル内の浸透流を積極的に制御できるようになり、再現性のより一層の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の対象となる基本構造を示す図で、(A)はマイクロ流体デバイスと、インターフェースとなるスプレーノズル、及びESI質量分析装置のイオン源を概略的に示す断面図、(B)は(A)の円で囲まれた部分近傍を拡大して示す断面図である。
【図2】 同基本構造におけるスプレーノズルを質量分析装置に対して位置決めするための機構を示す分解斜視図である。
【図3】 同基本構造における測定結果を示すクロマトグラムである。
【図4】 一実施例を示す図で、(A)はマイクロ流体デバイスと、インターフェースとなるスプレーノズル、及びESI質量分析装置のイオン源を概略的に示す断面図、(B)は(A)の円で囲まれた部分近傍を拡大して示す断面図である。
【図5】 さらに他の実施例を示す図で、スプレーノズル近傍の断面図である。
【図6】 同実施例における測定結果を示すクロマトグラムである。
【符号の説明】
2 電気泳動チップ
4 試料導入用流路
6 電気泳動分離流路
8−1〜8−3 リザーバブロック
10−1〜10−326 リザーバ
12 ノズルアダプタブロック
14 スプレーノズル
15 スプレーノズルの流路
16,16a 開口
17 開口の底面
18 フェルール
22 雄ネジナット
30 対極
32 サンプリングコーン
34 スキーマ
46 X−Y−Zステージ
48 導電性コーティング

Claims (5)

  1. 基体に形成されたマイクロ流体デバイスで電気泳動分離流路の泳動方向の下流側の端部を前記基体の端面に開口させ、その開口内にエレクトロスプレーイオン化質量分析装置へのインターフェースとなるスプレーノズルの基端部を挿入し、固定部材によりこのスプレーノズルを前記マイクロ流体デバイスに着脱可能に固定するとともに、
    前記電気泳動分離流路の液相を前記スプレーノズル内の液相及び前記スプレーノズルの外面を通って前記固定部材に至る液相と接続させる液相接続部を形成し、この液相接続部の前記固定部材側の部分から電気泳動制御用電圧を印加し、
    前記スプレーノズルの先端部にはスプレーノズルの先端においてのみスプレーノズル内の液相を介して前記液相接続部と接続しうる導電性コーティングを設け、この導電性コーティングにエレクトロスプレーイオン化電圧を印加する電気泳動分離−エレクトロスプレーイオン化方法。
  2. 前記エレクトロスプレーイオン化電圧は前記電気泳動制御用電圧とは異なる電圧とし、両電圧の電位差により前記スプレーノズル内の液相に電気浸透流を生じさせる請求項に記載の電気泳動分離−エレクトロスプレーイオン化方法。
  3. 基体内部に少なくとも電気泳動分離流路を備え、その電気泳動分離流路の泳動方向の下流側の端部が前記基体の端面に開口しているマイクロ流体デバイスと、
    前記マイクロ流体デバイスの前記開口内に基端部が挿入され、エレクトロスプレーイオン化質量分析装置へのインターフェースとなるスプレーノズルであって、このスプレーノズルはその先端部にスプレーノズルの先端においてのみスプレーノズル内の液相と接続しうる導電性コーティングを有するスプレーノズルと、
    前記スプレーノズルを前記マイクロ流体デバイスに着脱可能に固定するとともに、前記電気泳動分離流路の液相をスプレーノズル内の液相と接続させ、前記スプレーノズルの外面との間に隙間をもちその隙間を通って前記電気泳動分離流路の液相と接続し、前記スプレーノズルの外側では前記導電性コーティングと接続しない液相接続部を形成する固定部材と、
    前記液相接続部の前記固定部材側の部分から電気泳動制御用電圧を印加し、前記導電性コーティングにエレクトロスプレーイオン化電圧を印加する電源装置とを備えた電気泳動分離−エレクトロスプレーイオン化装置。
  4. 前記液相接続部の前記固定部材側の部分から電気泳動制御用電圧を印加する電源装置と前記導電性コーティングにエレクトロスプレーイオン化電圧を印加する電源装置とは互いに独立した電圧を印加できるそれぞれ独立した電源装置である請求項に記載の電気泳動分離−エレクトロスプレーイオン化装置。
  5. 前記マイクロ流体デバイスの前記開口内において、前記開口の底面と前記スプレーノズルの基端面はともに平面状をなして対向している請求項3又は4に記載の電気泳動分離−エレクトロスプレーイオン化装置。
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