JP4139905B2 - 放射線弁別検出器 - Google Patents

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Description

本発明は、放射線弁別検出器に関するものであり、特に、低エネルギーβ線等の比較的飛程の短い低飛程放射線を選択的に弁別して検出することが可能な放射線弁別検出器に関するものである。
従来から、α線、β線、及びγ線などの放射線を検出し、その放射線量を測定することが行われている。このとき、放射線を検出する検出器は、放射線によって原子や分子が電離または励起することによって生じる現象を利用した基本原理に基づいて構成されていることが多い。例えば、気体の電離を利用した検出器としては、a)電離箱、b)GM(ガイガーミューラー)計数管、c)比例計数管を用い気体の電離を電気的に検出するもの、d)半導体検出器、e)CdS線量計を用いて固体の電離を電気的に検出するもの、或いはf)液体電離箱を利用して液体の電離を電気的に検出するものなどが知られている。なお、上述した電気的なシグナル(信号)の有無によって放射線を検出するもの以外に、例えば、g)シンチレーションカウンタ、h)熱ルミネッセンス線量計、i)蛍光ガラス線量計などの発光現象を利用するものなどが知られている。
上述した中で、気体の電離作用を利用する検出器は、大気中の放射線(例えば、低エネルギーβ線など)が気体中を通過する際に、直接的或いは間接的に気体の原子や分子を電離し、プラスイオンと電子とのイオン・電子対が形成される。そこで、陽極及び陰極を設け、これに電圧をかけることにより、係るイオン・電子対が集められる。このとき、印加する電圧の強さを変化させ、捕集されるイオンと電子の個数の関係により、1)形成されたイオンと電子が電極間の電圧が低いために、捕集される前に再結合を起こして中性原子となり、十分な量を捕集することができない再結合領域、2)形成されたイオン・電子対を全て捕集することができる飽和値に達した電離箱領域、3)さらに電圧を強くすることにより、気体分子を電離し、二次電離が発生し、増幅作用が起こる。これにより、検出器内で失われたエネルギーに比例した電子数が集められ、かつ比例したパルス高が得られる比例計数領域、4)さらに電圧を強くすることにより、増幅作用が増大するのに反し、比例性が損なわれる境界領域、5)失われたエネルギーと無関係に一定の高さのパルスが得られるGM計数領域、6)持続放電が発生する連続(持続)放電領域の六つの領域に分別することができる。ここで、上述した3)の比例計数領域の状態で使用するものが比例計数管と呼ばれ、5)のGM計数領域の状態で使用するものがGM計数管と呼ばれている。
一方、上述した各種の検出器(計数管)を利用して、放射線の測定を行う場合、種々の外的要因または内的要因による測定ノイズが発生し、微量の放射線を高感度で検出し、放射線量を測定することが困難な場合がある。ここで、測定ノイズとなりうるものの例について説明すると、例えば、1)宇宙線、地殻、大気等の主に自然界で生じる自然放射線などの検出器の外部に起因する外的要因、2)検出器の構成される材料(素材)、検出器を自然放射線などの外部入射放射線から遮蔽するために使用される遮蔽材料、放射線をカウントするための回路や電源等の主に内的要因に基づくもの、或いは3)測定対象となる試料(試料ガスなど)に測定対象となる目的核種以外の放射線が含まれているもの、などの三つに大別することができる。
そこで、このような検出感度を低下させる測定ノイズの影響を、可能な限り低減化する試みが行われ、種々のノイズ低減法や検出器が開発されている。例えば、鉛、鉄、銅、アクリル樹脂等の放射線を遮蔽する性質を有する遮蔽材料101によって、計数管102の周囲を覆い、外部からの外部入射放射線103が計数管102の内部に到達しないように構成し、測定対象となる放射線104のみを検出可能とする検出器100(図3(a)参照)、計数管111の計数管外壁面112の外側に沿うようにしてガード検出器113と呼ばれる装置を配し、計数管111及びガード検出器113を利用して、測定対象の放射線104及び外部入射放射線115を、それぞれ逆同時計数法を利用した計数回路部116によってカウントし、所望の放射線(例えば、γ線等)を選択的に検出する検出器110(図3(b)参照)、前述のガード検出器を備える検出器110と略同一構成を有し、アンチコンプトン(逆コンプトン)をカウントする検出器110(図3(c)参照)、検出器120によって検出された放射線のシグナルの中から低レベル信号121の範囲をディスクリによって除去する処理を行う方法122(図4(a)参照)、検出器130によって得られた放射線のシグナル131から放射線エネルギーを弁別する方法132(エネルギーウインドウ法:図4(b)参照)、或いは検出器140によって得られた放射線のシグナルの波形141を分析する方法142(テール弁別法:図4(c)参照)などが挙げられる。
ここで、測定される対象となる放射線は、その飛程距離から二つに大別することができ、α線や低エネルギーβ線のように飛程距離が数mm程度と短い低飛程放射線と、γ線や高エネルギーβ線のように飛程距離が数cm程度以上と長い高飛程放射線とに分類することができる。
さらに、上述した検出器の用途としては、例えば、核融合関連施設等において、大気中のトリチウム(三重水素)を検出するためのトリチウムガスモニターなどが知られており、これは低エネルギーβ線核種を測定するものであり、低エネルギーβ線以外の放射線に起因する信号を選択的に除去し、大気中の微量な低エネルギーβ線を感度よく検出することが望まれている。
以上の従来技術は、当業者として当然に実施されているものであり、本願出願人は、係る従来技術が記載された文献等を本願出願時において特に知見するものではない。
ところが、上述した種々の検出器を利用し、低エネルギーβ線のような低飛程放射線を感度よく検出しようとする場合、下記に述べるような問題を生じることがあった。すなわち、遮蔽材料によって検出器全体を被覆し、外部入射放射線等の影響を低減化するものは、遮蔽効果を十分なものとするためには、遮蔽材料の材料厚を必然的に厚くする必要があり、検出器全体のサイズや重量が肥大化するおそれがあった。そのため、固定式の検出器であれば、特に問題となることはないものの、検出器を小型化することが困難であり、室外に持ち出して計測する場合などの携帯性に優れているとは言えなかった。
さらに、検出器の外側にガード検出器を設け、逆同時計数により放射線をカウントする場合等も、検出器全体の大型化や高重量化などの問題が生じ、利用簡便性や携帯性に優れているということはできなかった。また、検出された放射線に係るシグナルや放射線エネルギー、さらには波形を分析処理し、放射線の種類を弁別するものは、検出されたシグナルを解析するための新たなソフトウェアや回路、そしてコンピュータなどのハードウェア機器の構成を有することとなり、これらの開発などにコストが多く必要となることがあった。
ところで、上述した測定ノイズを低減化し、検出感度を高めた検出器の多くは、物理的に検出器を遮蔽したり、或いは解析用のソフトウェア等によって放射線の波形などを分析処理するなど、測定ノイズを物理的に低減化したり、コンピュータ等を利用してデータ処理を行うことによって、測定対象となる放射線に対する検出感度を向上させるものであった。そのため、放射線毎の性質、特に、飛程距離の長短に係る性質を利用して放射線を弁別することは、今までほとんど行われていなかった。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、特に、トリチウムに含まれる低エネルギーβ線等の低飛程放射線を、飛程の差異に係る性質を利用して弁別し、検出感度を向上させることが可能な放射線弁別検出器の提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明の放射線弁別検出器は、「陰極側のチェンバーと、正電圧が印加され、前記チェンバーの中央付近に架渡して配され、測定対象となる低飛程放射線及び高飛程放射線を含む放射線を検出する陽極側の芯線と、前記芯線から前記低飛程放射線の飛程距離以上離れて前記チェンバーのチェンバー内壁面に沿って配され、前記放射線を直接検出するか、あるいは前記チェンバー内壁面に前記放射線が衝突することによって放出された二次電子を検出することによって前記放射線を間接的に検出する内側ガード検出部と、前記芯線によって検出された前記放射線と同じタイミングで前記内側ガード検出部によって前記放射線を直接検出するか、あるいは前記二次電子が検出されると、前記放射線を飛程の長い前記高飛程放射線として弁別する放射線弁別手段と」を主に具備して構成されている。
したがって、本発明の放射線弁別検出器によれば、チェンバーの中に配された芯線によって、放射線による電離作用または励起作用によって生じたイオン・電子対(以下、単に「電子」と称す)が検出される。そして、この放射線が飛程の長い高飛程放射線であれば、芯線によって検出されるとともに、内側ガード検出部でほぼ同じタイミングで検出されるか、あるいはチェンバー内壁面に該高飛程放射線が衝突することによって放出される二次電子が内側ガード検出部でほぼ同じタイミングで検出される。すなわち、γ線等の高飛程放射線の場合、その飛程の長さのため芯線から検出対象の放射線の飛程以上離れた内側ガード検出部およびチェンバー内壁面にまで到達することができ、内側ガード検出部によって検出される。このとき、二次電子が芯線にまで到達する場合には、二次電子は内側ガード検出器と芯線とで同時に検出される。一方、チェンバーの中の芯線に検出されるのみの放射線は、低飛程放射線として弁別される。すなわち、たとえば、飛程が数mm程度と短い低飛程放射線は、芯線には検出されるものの、内側ガード検出部やチェンバー内壁面に到達することができず、そのため内側ガード検出部によって放射線そのものが検出されることはなく、またチェンバー内壁面との衝突により放出される二次電子を検出することもない。そこで、芯線によって検出された放射線の数から内側ガード検出部によって検出された放射線もしくは二次電子の数を減ずることにより、あるいは内側ガード検出部と芯線が同時に検出した信号は計数しない回路を組むことにより、低エネルギーβ線のような低飛程放射線を感度よくカウントすることが可能となる。その結果、極微量に存在する低飛程放射線の検出が可能となる。
さらに、本発明の放射線弁別検出器は、上記構成に加え、「前記内側ガード検出部は、前記チェンバーの外部から入射する外部入射放射線、及び前記チェンバーを構成するチェンバー構成材料に起因して放出される材料由来放射線の少なくともいずれか一方が、前記チェンバー内壁面に衝突して放出された前記二次電子、あるいはチェンバー内の気体を直接電離して放出した電子を検出する」ものであっても構わない。
したがって、本発明の放射線弁別検出器によれば、内側ガード検出部によって、外部入射放射線や材料由来放射線を直接検出するか、あるいはチェンバー内壁面に衝突して放出された二次電子を検出することによって間接的に検出することが可能となる。これらの外部入射放射線や材料由来放射線は、いずれも放射線弁別検出器にとっては、測定ノイズとなり、検出感度を著しく低下させるものである。また、これらの外部入射放射線等は、チェンバーの外部やチェンバーを構成するチェンバー構成材料等から放出され、芯線及び内側ガード検出部によって検出されるものであり、飛程の長い高飛程放射線に依るものである。そのため、芯線によって検出された放射線の計数からこれらの外部入射放射線等による計数を減じることにより、あるいは、内側ガード検出部と芯線が同時に検出した信号は計数しない回路を組むことにより、外的要因の測定ノイズによる影響を可能な限り低減化し、検出感度を高くすることができる。
さらに、本発明にかかる放射線弁別検出器は、上記構成に加え、「前記チェンバーは、略円筒形状を呈して構成されている」ものであっても構わない。
したがって、本発明の放射線弁別検出器によれば、内筒の半径が検出対象の低飛程放射線飛程距離以上、除去対象の高飛程放射線飛程距離以下に設定された略円筒状の計数管が形成される。前述したように、飛程距離が数mm程度の低飛程放射線(低エネルギーβ線等)は、検出空間に導入されたとしても、たとえば、半径が3cm以上、6cm以下に設定された略円筒状の計数管の内側ガード検出部およびチェンバー内壁面まで到達することができず、衝突によって二次電子を放出することがない。一方、飛程が数cm程度の高飛程放射線(γ線等)は、検出空間に導入された場合、十分に内側ガード検出部およびチェンバー内壁面まで到達することができ、放射線を直接検出するか、あるいは放射線がチェンバー内壁面との衝突で放出した二次電子の検出が可能となる。そのため、計数管の半径を3cm以上、6cm以下に設定することにより、低飛程放射線及び高飛程放射線の弁別を明瞭に行うことが可能となり、検出感度が向上する。
さらに、本発明にかかる放射線弁別検出器は、上記構成に加え、「比例計数管、ガイガーミューラー計数管を含む気体の電離作用を利用したガス計数管に利用される」ものであっても構わない。
したがって、本発明の放射線弁別検出器によれば、気体の電離または励起作用を利用して放射線を検出する比例計数管及びガイガーミューラー計数管(GM計数管)を含む気体の電離作用を利用したガス計数管が、チェンバーの内部に内側ガード検出部を備えて形成される。これらは、気体中の放射線を測定する際などに、特に有用に用いられているものであり、係るガス計数管に本発明を適用することにより、上述した優れた作用を奏させることが可能となり、検出感度が向上する。特に、トリチウムの低エネルギーβ線を検出するためのトリチウムガスモニターに係る構成を採用することにより、検出感度を高め核融合関連施設の室外における利用が好適となる。
本発明の効果は、チェンバーのチェンバー内壁面に沿うようにして、高飛程放射線を直接検出可能な、あるいはチェンバー内壁面との衝突によって放出される二次電子を検出可能な内側ガード検出部を設けることにより、低飛程放射線及び高飛程放射線の性状による検出の違いを利用し、放射線を弁別し、また、外部入射放射線や材料由来放射線を直接あるいは間接的に検出して除去することにより、低飛程放射線のみを感度よく選択的に検出することができる。
以下、本発明の一実施形態である放射線弁別検出器1について、図1及び図2に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の放射線弁別検出器1の概略構成を示す説明図であり、図2は低飛程放射線2及び高飛程放射線3のそれぞれの挙動の一例を模式的に示す説明図である。なお、本実施形態の放射線弁別検出器1において、説明を簡略化するために、図1及び図2に示されるように、略円筒形状に形成されるチェンバー4の内部に設けられた空洞状の検出空間5を視認可能とするために、チェンバー4を略中央付近で仮想的に切断した略断面図に基づいて説明を行っている。さらに、本実施形態の放射線弁別検出器1は、チェンバー4の検出空間5に、放射線(低飛程放射線2或いは高飛程放射線3)によって電離または励起される気体(例えば、PRガス:アルゴン90%+メタン10%の混合ガス)が検出空間5に封入された封入型比例計数管として構成されている。そして、これらを用いて、核融合関連施設等におけるトリチウムの量を測定するトリチウムガスモニターとして適用したものについて説明を行っている。
本実施形態の放射線弁別検出器1は、図1に主として模式的に示すように、測定対象の低飛程放射線2及び低飛程放射線2の検出を阻害する可能性を有している高飛程放射線3を検出するための検出空間5が内部に設けられ、金属からなるチェンバー構成材料7によって略円筒形状に形成され、負電圧が印加された陰極側に相当するチェンバー4と、略円筒形状のチェンバー4の互いに対向する一対の円形状の円側面部8a,8bの略中心の円心部9の間を架渡すように配され、正電圧が印加された陽極側の細線状(ワイヤ状)の芯線10と、チェンバー4及び芯線10と電気的に接続され、チェンバー4及び芯線10にそれぞれ正負の電圧を印加するとともに、検出空間5内の芯線10の近傍付近で放射線2,3によって充填された気体の分子または原子が電離作用若しくは励起作用によって電離または励起し、発生した電子を示す検出シグナルのインピーダンス整合と増幅(信号処理)を行う放射線検出用プリアンプ14と、チェンバー4のチェンバー内壁面11に沿うようにして所定の曲率で曲折し、該チェンバー内壁面11を略被覆するような状態で配され、高飛程放射線3および高飛程放射線3とチェンバー内壁面11との衝突の際に放出される二次電子12を検出するための内側ガード検出部13と、陰極側のチェンバー4及び陽極側に相当する内側ガード検出部13によって検出された二次電子12に係る検出シグナルの信号処理を行う二次電子検出用プリアンプ15と、放射線検出用プリアンプ14及び二次電子(以後、高飛程放射線3と高飛程放射線3がチェンバー内壁面11との衝突で発生した二次電子を意味する)検出用プリアンプ15によってそれぞれ信号処理された電子及び二次電子12の検出シグナルに基づいて、低飛程放射線2及び高飛程放射線3のいずれか一方に測定された放射線を弁別処理する放射線弁別部18とを主に具備している。
なお、上述した陰極側のチェンバー4、芯線10、及び放射線検出用プリアンプ14等に係る構成は、いずれも既存の放射線測定用の検出器に用いられる構成をそのまま流用することができる。さらに、本実施形態の放射線弁別検出器1は、室外等における測定を容易とするために、内径が約3cm、長さが約20cmのサイズで構成することが可能であり、携帯性に優れたものとされている。ここで、放射線弁別部18が本発明における放射線弁別手段に相当している。なお、放射線弁別部18は、放射線検出用プリアンプ14によってカウントされた電子、及び放射線検出用プリアンプ14と同じタイミングでカウントされた(或いはカウントされなかった)二次電子12の検出状況に応じ、低飛程放射線2及び高飛程放射線3を弁別処理するものであり、既存の回路やコンピュータ等に使用されるタイミング処理装置や演算処理装置を利用して構成することができる。
本発明の放射線弁別検出器1は、上記構成により、下記の効果を奏することができる。すなわち、チェンバー4の検出空間5に芯線10及びチェンバー内壁面11に沿うようにして内側ガード検出部13が配設されている。ここで、測定対象となる放射線が正電圧に印加された芯線10及び負電圧に印加されたチェンバー4の間の電場を通過するとき、放射線によって封入された気体が電離または励起作用が生じ、検出シグナルが観測される。そして、この検出シグナルが放射線検出用プリアンプ14によって信号処理される。このとき、気体を電離または励起させた放射線が、飛程の短い(数mm程度)の低飛程放射線2(α線或いは低エネルギーβ線)である場合、芯線10によって検出シグナルが観測されるものの、芯線10から数cm以上離れたチェンバー4の内側検出部13およびチェンバー内壁面11までは到達することができない。そのため、低飛程放射線2の場合は、放射線検出用プリアンプ14によって処理された信号のみが放射線弁別部18に送られることになる。
一方、封入された気体を電離等させた放射線が、飛程の長い(数cm程度)の高飛程放射線3(γ線等)である場合、芯線10から離れた内側検出部13およびチェンバー内壁面11に到達することができる。そして、係る高飛程放射線3は、内側ガード検出部13で検出されたり、あるいはチェンバー内壁面11に衝突することによって二次電子12を放出し、この放出された二次電子12が内側ガード検出部13によって検出され、いずれの場合も検出シグナルが観測される。その結果、高飛程放射線3あるいは二次電子12が二次電子検出用プリアンプ15によって信号処理され、放射線弁別部18に送られる。そのため、高飛程放射線3の場合は、放射線検出用プリアンプ14によって信号処理され、放射線弁別部18に送られるとともに、二次電子検出用プリアンプ15によっても信号処理され、放射線弁別部18に送られることとなる。なお、放射線は電磁波の一種であり、その移動速度は光速である。そのため、数cm程度しか離間していない芯線10及び内側ガード検出部13でイオン対及び二次電子12が検出されるのは、ほぼ同じタイミングである。換言すれば、芯線10に接続された放射線検出用プリアンプ14及び内側ガード検出部13に接続された二次電子検出用プリアンプ15に同時に信号処理され、放射線弁別部18に送られる放射線は、高飛程放射線3であると推定することができ、一方、放射線検出用プリアンプ14にのみ信号処理され、放射線弁別部18に送られる放射線は、低飛程放射線2であると推定することができる。
これにより、放射線弁別部18によって、放射線検出用プリアンプ14によって信号処理され、放射線弁別部18に送られた放射線信号の数(低飛程放射線2+高飛程放射線3の合計)から、二次電子検出用プリアンプ15によってカウントされた二次電子12の数(高飛程放射線3に相当)を減ずる処理を行うことにより、あるいは放射線検出用プリアンプ14と二次電子検出用プリアンプ15から同時に放射線弁別部18に信号が送られてきた場合には計数しないという処理をすることにより、低飛程放射線2のみを感度よく検出することができる。その結果、本実施形態の放射線弁別検出器1をトリチウムの低エネルギーβ線(低飛程放射線2に分類される)のみを選択的に検出し、カウントすることができる検出感度の高いトリチウムガスモニターを構築することができる。
加えて、本実施形態の放射線弁別検出器1は、チェンバー4のチェンバー内壁面11に沿って配した内側ガード検出部13によって、外部から入射される外部入射放射線16及びチェンバー構成材料7に由来する材料由来放射線17などの測定ノイズを併せて排除することができる。すなわち、放射線弁別検出器1のチェンバー4の外部から入射した外部入射放射線16、及び材料から放出された材料由来放射線17のうち、検出空間5の芯線10で検出される放射線は、その前に必ず内側ガード検出部13に検出される。そのため、前述したように、芯線10及び内側ガード検出部13によって同時に検出される放射線を検出対象の低飛程放射線2以外の除去対象の放射線として弁別処理することにより、外部入射放射線16及び材料由来放射線17等の測定ノイズの除去も可能となる。
さらに、本実施形態の放射線弁別検出器1は、チェンバー4の内部に内側ガード検出部13が設けられている。そのため、従来のチェンバー4の外側にガード検出器が設けられている構造の検出器(図3(b)等参照)に比べ、検出器自体のサイズが大型化することがない。そのため、放射線弁別検出器1をコンパクトにすることができ、携帯性に優れ、室外等での使用が容易に行える。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、本実施形態の放射線弁別検出器1において、封入型の比例計数管の構成を有するものについて例示したが、これに限定されるものではなく、チェンバーの検出空間に測定対象となる試料ガスを流込むガスフロー型比例計数管であっても構わない。さらに、比例計数管以外のGM計数管或いは電離箱などの従来から既知の検出器に適用するものであってももちろん構わない。また、本実施形態の放射線弁別検出器1において、トリチウムガスモニターを想定し、低エネルギーβ線を選択的に検出するものを示したが、測定対象となる放射線はこれに限定されるものではなく、α線等のその他の低飛程放射線を対象とするものであっても構わない。
本実施形態の放射線弁別検出器の概略構成を示す説明図である。 低飛程放射線及び高飛程放射線の挙動の一例を模式的に示す説明図である。 従来の測定ノイズの低減化の例を示す説明図である。 従来の測定ノイズの低減化の例を示す説明図である。
符号の説明
1 放射線弁別検出器
2 低飛程放射線
3 高飛程放射線
4 チェンバー
5 検出空間
7 チェンバー構成材料
10 芯線
11 チェンバー内壁面
12 二次電子
13 内側ガード検出部
14 放射線検出用プリアンプ
15 二次電子検出用プリアンプ
16 外部入射放射線
17 材料由来放射線
18 放射線弁別部(放射線弁別手段)

Claims (4)

  1. 陰極側のチェンバーと、
    正電圧が印加され、前記チェンバーの中央付近に架渡して配され、測定対象となる低飛程放射線及び高飛程放射線を含む放射線を検出する陽極側の芯線と、
    前記芯線から前記低飛程放射線の飛程距離以上離れて前記チェンバーのチェンバー内壁面に沿って配され、前記放射線を直接検出するか、あるいは前記チェンバー内壁面に前記放射線が衝突することによって放出された二次電子を検出することによって前記放射線を間接的に検出する内側ガード検出部と、
    前記芯線によって検出された前記放射線と同じタイミングで前記内側ガード検出部によって前記放射線を直接検出するか、あるいは前記二次電子が検出されると、前記放射線を飛程の長い前記高飛程放射線として弁別する放射線弁別手段と
    を具備することを特徴とする放射線弁別検出器。
  2. 前記内側ガード検出部は、
    前記チェンバーの外部から入射する外部入射放射線、及び前記チェンバーを構成するチェンバー構成材料に起因して放出される材料由来放射線の少なくともいずれか一方を直接検出する、あるいは前記チェンバー内壁面に衝突して放出された前記二次電子を検出することによって間接的に検出することを特徴とする請求項1に記載の放射線弁別検出器。
  3. 前記チェンバーは、
    略円筒形状を呈して構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線弁別検出器。
  4. 比例計数管、及びガイガーミューラー計数管を含む気体の電離作用を利用したガス計数管に利用されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の放射線弁別検出器。
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