JP4138538B2 - アミド系ブロック共重合体からなるコート材料 - Google Patents

アミド系ブロック共重合体からなるコート材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロック共重合体に関し、詳しくはリビングラジカル重合法を用いて得られる新規なアミド系ブロック共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、様々な用途において高分子材料による材料表面の改質が求められている。例えば、ポリエチレンテレフタレート成形体表面の濡れ性向上においては、親水性の高い高分子を塗布することで改良されることが広く知られている。しかしながら単純な高親水性高分子の塗布では、水滴の暴露等により、極短時間で塗布した高親水性高分子が溶出し、濡れ性改良効果の永続性が全く期待できない。
このような事例の改良として高親水性単量体と疎水性単量体のランダム共重合が試みられ、評価をされた。しかしながら、疎水性単量体の組成比をあげ、溶出性を改良すると、本来の要求特性である表面濡れ性が大きく低下することから高分子表面改質剤による表面濡れ性向上には限界があった。
【0003】
ところが、近年、重合活性末端ラジカルの安定性を飛躍的に高めることで、高分子ラジカル末端間の2分子停止反応を防止し、ラジカル重合でありながらリビング的に重合体を得る技術が開発された。この、いわゆるリビングラジカル重合法の研究が進むにつれ、親水性単量体と疎水性単量体とのブロック共重合体に関し、広く研究が進められるに至り、例えばメタクリル酸メチルとN、N−ジメチルアクリルアミドのジブロック共重合体は、分子量分布の狭い親水性/疎水性共重合体であることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、該共重合体はジブロックであることから、溶出性を低減させることが困難であり、表面改質用高分子としては必ずしも十分ではなかった。
【0004】
【非特許文献1】
Macromol.Symp.2000年、Vol.157、p.193−200
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、コート材として使用した際に高濡れ性、即ち高表面自由エネルギーを長期間維持したまま、その溶出量を低減させ得るアミド系ブロック共重合体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
[1] トリブロック体を構成するアミド系単量体に由来する繰返し単位Aと、アクリル系エステル、又は、メタアクリルエステル系単量体に由来する繰返し単位Bは下記一般式 (1) を満足し、且つ、AとBは、B−A−Bなる配列構造であることを特徴とするトリブロック体からなるコート材料。
[(A) l(B)m] (1)
[式(1)は共重合体の組成式を表わす。(A)、(B)は高分子主鎖を構成する各繰返し単位を表わす。l、mは高分子主鎖に含有される各繰返し単位のmol%を表わす。
(A):アミド系単量体に由来する繰返し単位(該繰返し単位は、1種であっても2種以上であっても良い。)。
(B):アクリル酸エステル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量らなる群から選ばれる単量体に由来する繰返し単位(ただし、ヒドロキシル基を有するものは除き、該繰返し単位は、1種であっても2種以上であっても良い。)。
ただし、l+m=100mol%、かつ0.1≦l/m≦10、共重合体の数平均分子量は2000以上500000以下である。]
[ ] 該トリブロック体がRuCl 2 (PPh 3 3 (式中、PPh 3 はトリフェニルホスフィン基を表す。)、RuH 2 (PPh 3 4 、RuCl(PPh 3 2 Cp(式中、Cpはシクロペンタジエニル基を表す。)から選ばれるリビングラジカル重合触媒を用いて得られることを特徴とする [ ] に記載のトリブロック体からなるコート材料。
[3] [1]または[2]に記載のコート材料を溶媒に溶解および/または分散させて得られる塗料。
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明のアミド系ブロック共重合体は、アミド系単量体に由来する繰返し単位(A)からなるブロックAを少なくとも1つと、アクリル酸エステル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体、及びスチレン系単量体(ただし、ヒドロキシル基を有するものを除く。)からなる群から選ばれる単量体に由来する繰返し単位(B)からなるブロックBを少なくとも1つ有するブロック共重合体である。
【0008】
本発明におけるアミド系単量体としては、アクリルアミド系単量体、及びメタアクリルアミド系単量体が好ましい。該アクリルアミド系単量体には、通常のいわゆるアクリルアミド以外にN−一置換系アクリルアミド、N,N−二置換系アクリルアミドが挙げられる。これらアクリルアミド系単量体、及びメタアクリルアミド系単量体は、一般式CH2=CR3(CO)NR12(ここでR1、R2はそれぞれ独立に水素または炭素数1以上、8以下の置換基を表す。またR3は水素またはCH3を表す。)で表される。
【0009】
ここで用いられる置換基は、親水性としての性質を有していれば特に限定されないが、アルキル基、シアノアルキル基、アミノアルキル基、オキソアルキル基などが好適に用いられる。その中でも入手の容易さからアルキル基が特に好ましい。N−一置換系アクリルアミドとはアミド結合に供される窒素原子上に一つの水素と、その他置換基が結合したものであり、一般式CH2=CH(CO)NHR1(ここでR1は炭素数1以上、8以下の置換基を表す。)で表される。
【0010】
例えば、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ノーマル−ブチルアクリルアミド、N−セカンダリー−ブチルアクリルアミド、N−ターシャリー−ブチルアクリルアミド、N−イソブチルアクリルアミド、N−(1,1−ジメチルプロピル)アクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−2−シアノエチル)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(2−モルホリノエチル)アクリルアミド、N−ホルミルアクリルアミド、N−アセチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどが例示される。
【0011】
N,N−二置換系アクリルアミドとはアミド結合に供される窒素原子上に2つの置換基が結合したものであり、一般式CH2=CH(CO)NR12(ここでR1、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上、8以下の置換基を表す。)で表される。2つの置換基は同一でも、異なっても良い。例えばN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−メチルエチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、N,N−ジイソブチルアクリルアミド、N,N−ジフェニルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、N―メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジシクロヘキシルアクリルアミド、N―メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−メチル−N−(2−シアノエチル)アクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどが例示される。
【0012】
メタアクリルアミド系単量体にもアクリルアミド系単量体と同様に、通常のいわゆるメタアクリルアミド以外にN―一置換系メタアクリルアミド、N,N−二置換系メタアクリルアミドがある。N―一置換系メタアクリルアミドとはアミド結合に供される窒素原子上に一つの水素と、その他置換基が結合したものであり、一般式CH2=C(CH3)(CO)NHR1(ここでR1は炭素数1以上、8以下の置換基を表す。)で表される。
【0013】
例えば、N−メチルメタアクリルアミド、N−エチルメタアクリルアミド、N−イソプロピルメタアクリルアミド、N−ノーマル−ブチルメタアクリルアミド、N−ターシャリー−ブチルメタアクリルアミド、N−ノーマル−オクチルメタアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタアクリルアミド、N−アリルメタアクリルアミド、N−ベンジルメタアクリルアミド、N−フェニルメタアクリルアミド、N−(2−シアノエチル)メタアクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノエチル)メタアクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタアクリルアミド、N−(2−オキソプロピル)メタアクリルアミド、ジアセトンメタアクリルアミド、N,N―ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミドなどが例示される。
【0014】
N,N―二置換系メタアクリルアミドとはアミド結合に供される窒素原子上に2つの置換基が結合したものであり、一般式CH2=C(CH3)(CO)NR12(ここでR1、R2はそれぞれ独立に炭素数1以上、8以下の置換基を表す。)で表される。2つの置換基は同一でも、異なっても良い。例えばN,N−ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルメタアクリルアミド、N,N−ジフェニルメタアクリルアミド、N―メチル−N−エチルメタアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルメタアクリルアミドN―メチル−N−フェニルメタアクリルアミド、メタアクリロイルモルホリンなどが例示される。
【0015】
入手の容易さ、人体への毒性、重合のし易さ、取り扱い性の良さなどからN,N−二置換系アクリルアミドが好ましく、特にN,N−ジメチルアクリルアミド(以下、DMAAと略称する。)およびN,N−ジエチルアクリルアミド(以下、DEAAと略称する。)が好ましい。
アクリル酸エステル系単量体とは単量体中にヒドロキシル基を有していないアクリル酸エステルであり、一般式CH2=CHCOOR(Rは炭素数1以上、10以下のヒドロキシル基を有しない置換基を表す。)で表される。ここで用いられる置換基は、ヒドロキシル基を有していなければ特に限定されないが、入手の容易さ、重合のし易さから、アルキル基が好ましい。
【0016】
具体的なアクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、1,1−ジメチルブチルアクリレート、2,2−ジニトロプロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルメタクリレート、2−ニトロエチルアクリレート、2,2−ジニトロブチルアクリレート、フェニルメチルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−(メチルチオ)エチルアクリレート、4−メトキシフェニルアクリレートなどが挙げられる。
【0017】
メタアクリル酸エステル系単量体とは単量体中にヒドロキシル基を有していないメタアクリル酸エステルであり、一般式CH2=C(CH3)COOR(Rは炭素数1以上、10以下のヒドロキシル基を有しない置換基を表す。)で表される。ここで用いられる置換基は、ヒドロキシル基を有していなければ特に限定されないが、入手の容易さ、重合のし易さから、アルキル基が好ましい。具体的なメタアクリル酸エステルとしてはメチルメタアクリレート(以下、MMAと略称する)、シクロヘキシルメタアクリレート(以下、CHMAと略称する)、エチルメタアクリレート、2−エトキシエチルメタアクリレート、シクロペンチルメタアクリレート、2−ニトロエチルメタアクリレート、フェニルメタアクリレート、ノーマルプロピルメタアクリレート、イソプロピルメタアクリレート、2−シアノエチルメタアクリレート、ノーマルブチルメタアクリレート、イソブチルメタアクリレート、セカンダリーブチルメタアクリレート、ターシャリーブチルメタアクリレートなどが挙げられる。
【0018】
スチレン系単量体とは単量体中にヒドロキシル基を有しないスチレンである。この中でも入手の容易さ、重合のし易さから、アルキル置換スチレンが好ましい。アルキル置換スチレンとして、例えば、オルソメチルスチレン、メタメチルスチレン、パラメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、オルソエチルスチレン、メタエチルスチレン、パラエチルスチレン、2,5−ジエチルスチレン、ペンタエチルスチレン、パラシクロヘキシルスチレンなどが挙げられる。
【0019】
本発明におけるアクリル酸エステル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体、スチレン系単量体の中でも、重合速度が速く重合が容易であるアクリル酸エステル系単量体およびメタアクリル酸エステル系単量体が好ましい。またメタアクリル酸エステル系単量体はアクリル酸エステル系単量体に比較して重合のリビング性が高く、分子量分布の制御が容易であることから特に好ましい。
また該メタアクリル酸エステル系単量体のなかでも特に共重合体の溶出量を低減する効果、基材との親和性、ガラス転移温度から鑑み、MMA、CHMAが好ましい。
【0020】
本発明における高分子主鎖に含有される各繰返し単位のmol%であるl、mはl+m=100mol%かつ0.1≦l/m≦10であれば十分に溶出防止効果と表面濡れ性の向上が期待可能である。l/mが0.1以上であれば、親水性であるアミド系単量体に由来する繰返し単位の割合が十分大きく、必要な高濡れ性が発現する。また、l/mが10以下の場合、アクリル酸エステル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体からなる群から選ばれる単量体に由来する繰り返し単位の割合が十分に大きいため、必要な低溶出性が発現する。濡れ性と溶出防止性のバランスを向上させるには0.15≦l/m≦6であることが好ましく、更に好ましくは0.2≦l/m≦3である。
【0021】
本発明における重合体の数平均分子量は2000以上500000以下であれば特に限定はされない。2000以上であれば十分な溶出量防止効果が期待できる。また500000以下であれば、重合時の反応液粘度は十分に低粘度であり、反応系の均一性が確保可能で生産性に優れるので好ましい。更に、溶出性防止効果と生産性を鑑みた場合、望ましい数平均分子量の範囲は2000以上150000、特に好ましくは9000以上50000以下である。
【0022】
本発明のアミド系ブロック共重合体は、ブロック構造であれば特に限定されないが、溶出率低減の観点から、トリブロック構造以上が好ましい。
また、その中でも(A)アミド系単量体に由来する繰返し単位からなるブロックAと、(B)アクリル酸エステル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体(ただし、ヒドロキシル基を有するものを除く。)からなる群から選ばれる単量体に由来する繰返し単位からなるブロックBとが、より容易に相分離しやすい構造であるトリブロック構造が好ましい。
更に、トリブロック構造の中でも、本発明のアミド系ブロック共重合体製造の際、重合反応の安定性が高く、リビング性が維持しやすいB−A−Bの配列構造が、特に好ましい。
【0023】
また、本発明のアミド系ブロック共重合体はアクリル酸エステル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体、及びスチレン系単量体(ただし、ヒドロキシル基を有するものを除く。)からなる群から選ばれる単量体に由来する繰返し単位からなるブロックBに、その他の単量体に由来する繰返し単位を、共重合体の特性に悪影響を及ぼさない範囲で含むことが可能である。
その他単量体とは、該アクリル酸エステル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体、及びスチレン系単量体と付加重合可能な単量体であり、アクリル酸エステル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体、及びスチレン系単量体のうちヒドロキシル基を有していない単量体、及びビニル単量体である。
【0024】
具体的にはメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2―エチルへキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート、2―メトキシエチルアクリレート、2―メトキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、プロピルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート、2―エチルへキシルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、グリシジルメタアクリレート、2―メトキシエチルメタアクリレート、2―メトキシプロピルメタアクリレート、ジエチレングリコールメチルエーテルメタアクリレート、スチレン、パラメチルスチレン、パラメトキシスチレン、オルソメトキシスチレン、α−メチルスチレン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレート等が挙げられる。
【0025】
また、本発明においてブロックBに含まれるその他単量体に由来する繰り返し単位の量としては、ブロックBに含まれる全ての単量体に由来する繰り返し単位を100mol%とした場合、接触角の観点から、15mol%以下であることが好ましい。
以下に本発明のアミド系ブロック共重合体の製造方法を説明する。
本発明のアミド系ブロック共重合体の製造方法には、リビングラジカル重合が好適である。
本発明に使用されるリビングラジカル重合は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の形態で適宜実施可能であるが、反応熱の制御と重合触媒除去の観点から、溶液重合が好ましい。
【0026】
本発明において使用される重合溶媒としてはメタノール、エタノール、ノーマルプロパノール、イソプロパノール、ノーマルブタノールのような炭素数1以上、6以下のアルコール化合物、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのような炭素数2以上6以下のエーテル化合物、アセトン、メチルエチルケトンのような炭素数2以上6以下のケトン化合物、ノーマルペンタン、シクロペンタン、ノーマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような炭素数5以上10以下の飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物、酢酸メチル、酢酸エチルのような炭素数3以上6以下のエステル化合物、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンのような炭素数2以上10以下の含窒素化合物、ジメチルスルホキシドのような含硫黄化合物、および水が挙げられる。
【0027】
これらは工業的な生産性、次反応への影響などを考慮して任意に選択可能であり、必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。特に好ましい溶媒としては芳香族炭化水素化合物が挙げられる。
本発明におけるリビングラジカル重合反応に使用する重合触媒は特に制限されないがRu、Fe、Cu、Ni、Pd、Rhなどの公知の金属錯体から適宜選択できる。具体的なこれらの金属錯体には、RuCl2(PPh33(式中、PPh3はトリフェニルホスフィン基を表す。)、RuH2(PPh34、RuCl(PPh32Cp(式中、Cpはシクロペンタジエニル基を表す。)、FeCl2(PPh32、NiBr2(PPh32、Ni(PPh34、Pd(PPh34、RhCl(PPh33が挙げられる。この中でも特に、入手の容易さからRuCl2(PPh33が好ましい。
【0028】
また重合速度を向上させるために、重合速度調整剤を加えることが好ましく、アルミニウムトリイソプロポキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、すずテトライソプロポキシド、トリブチルアミン、ジブチルアミンN−エチルベンジルアミン、ジイソプロピルアミン、1−エチルピペリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N−ジブチルアニリンなどが挙げられ、その中でも、入手の容易さから、アルミニウムトリイソプロポキシドが好ましい。
【0029】
本発明における重合開始剤は、ハロゲン含有化合物であれば特に限定されない。これらの化合物には、2,2−ジクロロアセトフェノン、2−クロロアセトフェノン、2−ブロモイソ酪酸エチル、四塩化炭素、クロロホルム、ブロモトリクロロメタン、塩化ベンジル、臭化ベンジルなどが挙げられる。その中でも、入手の容易さ、開始反応の容易さなどから、2,2−ジクロロアセトフェノン、2−クロロアセトフェノンが好ましい。
【0030】
本発明におけるリビングラジカル重合の重合温度は21℃以上、120℃以下で実施することが好ましい。21℃以上あれば重合が開始され、また120℃以下であれば重合触媒の失活が無い。好ましくは50℃以上、100℃以下、さらに好ましくは60℃以上、80℃以下である。
重合反応に要する時間は、目的あるいは重合条件によって異なるが、通常は96時間以内であり、特に好適には30分から30時間の範囲で実施される。
【0031】
重合触媒、重合速度調整剤の計量は、高純度窒素、または高純度アルゴン(純度99.9999%、酸素0.2ppm未満、二酸化炭素1.0ppm未満)等の不活性ガス下での実施が好ましい。使用する溶媒は蒸留後、高純度アルゴン等の不活性ガスを用いて1時間バブリングする等の十分な脱酸素処理を行った後に重合に用いることが好ましい。特に、単量体の精製は減圧蒸留を行い、重合禁止剤を除去することが好ましい。
【0032】
リビングラジカル活性末端を活性に保ち、重合速度を維持するという観点から、重合中は系内にリビングラジカル活性末端を不活性化させるような不純物(例えば酸素等)の混入を防ぐことが好ましい。従って重合中の不純物の混入には留意することが好ましく、重合系は大気圧よりも常に高いことが望ましく、また上記重合温度範囲で原料の単量体及び重合溶媒を液相に維持するのに十分な圧力範囲で実施することが好ましい。
【0033】
重合終了後における、本発明である共重合体の回収、精製方法としては、重合反応溶液中の不溶解な重合触媒、重合速度調整剤を減圧濾過、加圧濾過などで除去する方法が挙げられる。また、濾別不可能な残留金属原子などを除去する方法として重合反応溶液を貧溶媒に加え析出させる、いわゆる再沈精製法を実施することが可能である。また良溶媒への再溶解と再沈精製を繰り返すことも可能であり、残留金属原子を必要十分な濃度に達するまで除去することができる。更に特別に高純度な重合高分子が必要な場合は二酸化炭素超臨界法による抽出法も可能である。重合体中の残量金属原子濃度は上記の精製法を用いて0.01wtppm以上、1500wtppm以下にすることができる。好ましくは0.01wtppm以上、300wtppm以下、更に好ましくは0.01wtppm以上、10wtppm以下である。
【0034】
本発明のアミド系共重合体の中で、B−A−Bの配列構造は、上記の製造方法であれば、特に限定されないが、その中でも特に下記の製造方法が好ましい。即ち、重合溶媒としては、アクリル酸エステル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体、及びスチレン系単量体(ただし、ヒドロキシル基を有するものを除く。)を溶解させ得る溶媒であれば、特に限定されないが、これらの単量体の良溶媒であるベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンのような炭素数6以上10以下の芳香族炭化水素化合物が好適に用いられる。その中で、取扱いの容易さなどからトルエン、キシレンが望ましい。
【0035】
重合触媒については、上記の重合触媒であれば特に限定されないが、入手の容易さからRuCl2(PPh33が好ましい。重合速度調整剤については、上記の重合速度調整剤であれば特に限定されないが、入手の容易さから、アルミニウムトリイソプロポキシド、トリブチルアミン、ジブチルアミンが好ましい。重合温度については、上記の重合温度であれば特に限定されないが、重合の失活が無く、かつ重合速度の観点から60℃以上、80℃以下が好ましい。重合時間については、30分から30時間の範囲で実施される。重合開始剤については、ハロゲンを有する化合物であれば特に限定されないが、入手の容易さ、開始反応の容易さなどから2,2−ジクロロアセトフェノン、2−クロロアセトフェノン、2−ブロモイソ酪酸エチルが好ましい。
【0036】
重合順序については、望むアミド系ブロック共重合体に応じて適宜選択される。例えば、B−A−B構造のアミド系ブロック共重合体を重合する場合、最初にBを重合し、続いてAを重合し、最後にBを重合することが可能である。特に、2官能性の重合開始剤を用いると、最初に内側のブロックに対応する単量体を重合し、続いて外側のブロックに対応する単量体を重合することにより、通常3段階必要な重合が2段階で完了するので、工程、リビング性維持の観点から好適に用いられる。2官能性の重合開始剤の好ましい例としては、2,2−ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。
【0037】
一般に、濡れ性は表面自由エネルギーで表すことができる。表面自由エネルギーとは、液体の内部から表面に分子を移して1m2の表面を新しく作るのに必要な仕事と定義されている。本発明においても、この表面自由エネルギーと数学的に等価な量である表面張力を指標とし、具体的にはポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する。)平膜に塗布した高分子材料と水との接触角を測定することにより測定を行った。接触角の測定は、表面自由エネルギー測定装置(協和界面化学社製、CA−VE型)を用いて行い、2.1秒後の値を測定値とした。本発明では、接触角が50度未満のものについて、高表面自由エネルギーを持つものという。
【0038】
本発明における溶出とは、基材に塗布した本アミド系ブロック共重合体が、水との接触により水に溶け出すことを指す。本発明では、後述する測定方法で30wtppm以下であるものを、低溶出性という。
本発明のアミド系ブロック共重合体は、低溶出性であることから塗料として非常に有用であり、該塗料は本発明のアミド系ブロック共重合体を溶媒に溶解および/または分散せしめ、溶液および/または乳化液として、供することができる。
【0039】
該塗料用の溶媒としては炭素数1以上、10以下のアルコール、ケトン、エーテル、エステル、芳香族炭化水素化合物の中から選択される(これらは1種であっても2種以上であっても良い。)。具体的な溶媒としてはメタノール、エタノール、ノーマルプロパノール、イソプロパノール、ノーマルブタノール、ターシャリーブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリンが上げられる。更にこれら溶媒には必要に応じて水を加えることができる。
【0040】
本発明のアミド系ブロック共重合体を溶媒に溶解および/または分散させて得られる塗料から塗布膜を形成させる方法としては、一般に公知な方法が選択可能である。即ち、スピンコート、ディップコート、ブレードコート、ロールコートなど適切な塗布法で、ガラス、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリウレタン、プラズマ処理等で表面を親水化したポリエチレン、ポリプロピレンなどの基材に塗布後、乾燥により塗膜を得る公知の成膜法が実施できる。乾燥条件は高分子の組成、溶媒組成、用途により異なるが10℃以上であれば特に制限はされない。
【0041】
本発明のアミド系ブロック共重合体は、特にPET基材に塗布すると高表面自由エネルギーを維持したまま、溶出量を著しく低減させることが可能である。
本発明のアミド系ブロック共重合体が何故高表面自由エネルギーを維持し、かつ溶出量を著しく低減させるかについては明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
即ち、(A)アミド系単量体に由来する繰返し単位からなるブロックAと(B)アクリル酸エステル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量体、及びスチレン系単量体(ただし、ヒドロキシル基を有するものを除く。)からなる群から選ばれる単量体に由来する繰返し単位からなるブロックBとが相分離することにより、高溶出性のブロックAが、低溶出性のブロックBに拘束される。また、相分離後の(B)からなるブロックBがPET平膜と高親和性を示すことから、PET表面に偏在化し、一方(A)からなるブロックAは空気との接触界面に偏在することになる。結果として、濡れ性の高い、即ち高表面自由エネルギーを有した塗膜が形成され、かつ低溶出であることから長期にわたり、高表面自由エネルギー状態の塗膜を維持するものと推測している。
【0042】
一般的な親水性疎水性ブロック高分子の場合PET平膜などに塗布すると、空気がPET平膜より疎水性であるため、塗布表面は表面自由エネルギーの低い、すなわち接触角の高い疎水性表面になることが広く公知であるが(講談社サイエンティフィク出版、「実用高分子表面分析」黒崎和夫、三木哲郎著)、本発明のアミド系ブロック共重合体を塗料として用い、塗布した場合、塗布乾燥の直後から濡れ性の高い、即ち高表面自由エネルギーを有するものとなり、防汚染用コート剤、また医用材料向けに抗血栓性を付与する塗料などに極めて有用である。
【0043】
【実施例】
以下実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明する。
<反応に使用する機器>
0.1L耐圧瓶を洗浄後、24時間120℃で乾燥させた。また耐圧瓶に蓋をするゴム栓(日本バルカー社製)はシクロヘキサン中で1ヶ月浸漬することで、ゴム栓中のシクロヘキサン溶解成分を除去した。
【0044】
<重合溶媒の精製、重合触媒の計量、単量体の精製>
本発明に使用したトルエン(和光純薬工業社製)溶媒は蒸留精製後、脱酸素処理として上記の高純度アルゴンにて1時間バブリングしたものを使用した。
重合触媒に用いたRuCl2(PPh33(Merck社製)および重合速度調整剤アルミニウムトリイソプロポキシド(Aldrich社製)は特別な精製を実施せずに、高純度窒素雰囲気下のバキュームグローブボックス(SGV−65V型)(井内盛栄堂社製)中にて、試薬瓶から採取、計量し、その後反応容器である耐圧瓶に移した。次いで、耐圧瓶を上記ゴム栓で蓋をし、王冠を被せて打栓した。次いでゴム栓を通して減圧脱気、高純度アルゴン置換を都合5回繰り返し、耐圧瓶内部を高純度窒素から高純度アルゴンに置換した。
【0045】
本発明に用いたMMA(和光純薬工業社製、試薬特級)は、圧力10664Paで減圧蒸留を行い、系中温度が40.5℃の留分を回収し、溶存酸素を除去する目的で、1時間上記高純度アルゴンにてバブリングしたものを用いた。DMAA(東京化成工業社製、試薬一級)については、MMAと同様に減圧蒸留を実施し、圧力667Pa、61.5℃の留分を回収後、1時間高純度アルゴンにてバブリングしたものを用いた。DEAA(興人社製)については、同様に減圧蒸留にて圧力399Pa、71.0℃の留分を採取し、その後1時間高純度アルゴンにてバブリングしたものを用いた。CHMA(和光純薬工業社製、試薬特級)については、同様に減圧蒸留にて圧力133Pa、68.0℃の留分を採取し、その後1時間高純度アルゴンにてバブリングしたものを用いた。1−ヘプタノール(和光純薬工業社製、試薬特級)については、減圧蒸留をおこない、圧力667Pa、68.0℃の留分を回収し、その後、1時間高純度アルゴンでバブリングしたものを用いた。
【0046】
開始剤である2,2−ジクロロアセトフェノン(東京化成工業社製、試薬一級)については、同様に、圧力66.7Pa、93.0℃の留分を用い、同様に高純度アルゴンでバブリングした。次いで精製2,2−ジクロロアセトフェノンを上記精製トルエンで希釈し、1mol/L濃度2,2−ジクロロアセトフェノントルエン溶液を調整した。また、別な開始剤である2−クロロアセトフェノン(東京化成工業社製、試薬特級)は固体であり、特に精製をせず、高純度窒素雰囲気下のバキュームグローブボックス中にて試薬瓶を開栓後、耐圧瓶に移し、ゴム栓をし、王冠を打栓した。次いで、減圧、アルゴン置換を5回実施したあと、精製トルエンで溶解した。次いで高純度アルゴンで1時間バブリングをおこない、その後精製トルエンを加え、1mol/L濃度の2−クロロアセトフェノンエタノール溶液を調整した。
再沈精製に使用したノーマル−ヘキサン(和光純薬工業社製、試薬一級)は特に精製を実施せず使用した。
【0047】
<溶出量測定>
本発明において評価試料の溶出量は、具体的には下記のように測定する。0.03m×0.03mに切り取ったPET平膜(帝人デュポンフィルム社製、テイジンテトロンフィルム、厚み100μm)を1時間アセトンで洗浄し、室温で乾燥させた。試料0.05gを0.001リットルの1−プロパノール(和光純薬工業社製、試薬特級)に溶解させた後に、この溶液をスピンコーター(MIKASA製、1H−D7)を用いて上記PET平膜にスピンコーターの回転速度2000rpmで5秒間、続いて4000rpmで15秒間コートし、室温で24時間乾燥させた。
【0048】
コートした平膜をラック式プレスRP−20(伊藤金物社製)で0.02m×0.02mに切り取り、0.01リットルの蒸留水(和光純薬工業社製)に浸漬させ、15℃の恒温槽(TAITEC社製)で32分間静置した。処理した蒸留水を吸光度測定機(島津製作所社製 UV−2500)にて195nmにおける吸光度を測定し、その値を下記の式(2)に代入することより、溶出量(wtppm)を求めた。
溶出量(wtppm)=吸光度/0.0206821・・・(2)
【0049】
<数平均分子量測定>
本発明における数平均分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPCと略称する。)(東ソー社製、HLC−8020)により、標準PMMA(AMERICAN POLYMER STANDARDS社製)換算分子量として測定を行った。溶媒としてN、N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を用い、測定前に0.01mol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)を加えたものを使用した。
【0050】
<共重合体の組成割合の測定>
本発明におけるアミド系単量体に由来する繰返し単位(A)の組成割合lおよび低溶出性のヒドロキシル基を有する単量体に由来する繰返し単位(B)のmの組成割合は、消費された単量体がすべて共重合体に転化したとの仮定のもとに、ガスクロマトグラム測定(GC測定)より求めた単量体の転化率から求めた。GC測定はガスクロマトグラフ(島津製作所社製、GC−14A)により、内部標準液として1−ヘプタノールを用いた。
【0051】
<NMR測定>
本発明におけるNMR測定は、JEOL社製、JNM−GSX400を用いた。測定に用いた重溶媒は、重ジメチルスルホキシド(Cambridge Isotope Laboratories社製、純度99.9wt%、内部標準0.05wt%テトラメチルシラン含有)(以下、重DMSOと略称する)であり、共重合体5.0×10-3gに対して重DMSO5.0×10-4リットルの濃度で測定を行った。測定温度は30℃にて行った。
【0052】
[実施例1]
RuCl2(PPh33(0.30×10-3mol)及びアルミニウムトリイソプロポキシド(1.22×10-3mol)を入れた耐圧瓶に、トルエン(9.9g)、1−ヘプタノール(0.47g)、DMAA(35.7×10-3mol)、1mol/L濃度2,2−ジクロロアセトフェノントルエン溶液(0.433×10-3mol)を入れ、70℃の湯浴で8時間重合した。この耐圧瓶を20℃まで冷却した後に、MMA(25.8×10-3mol)を入れ、80℃の湯浴で16時間重合した。この重合液を20℃まで冷却した後に、トルエン(40.0g)を加え、90mmφの桐山ロート(桐山製作所社製)を用いて5A、次いで5Cのろ紙を用いてろ過することにより、不溶解な重合触媒および重合速度調整剤を除去した。
このトルエン溶液をノーマル−ヘキサン(1L)に注いでポリマーを析出させて回収した。続いて回収したポリマーをトルエン(0.2L)に再溶解させ、ノーマル−ヘキサン(1L)に注いでポリマーを沈殿することにより精製した。得られたアミド系ブロック共重合体のNMRチャートを図1に示す。
【0053】
[実施例2]
RuCl2(PPh33(0.30×10-3mol)、アルミニウムトリイソプロポキシド(1.19×10-3mol)、トルエン(10.4g)、1−ヘプタノール(0.48g)、DEAA(30.5×10-3mol)、1mol/L濃度2,2−ジクロロアセトフェノントルエン溶液(0.457×10-3mol)、MMA(21.2×10-3mol)を用いて、実施例1と同様の方法で重合、回収、精製を行った。
【0054】
[実施例3]
RuCl2(PPh33(0.30×10-3mol)、アルミニウムトリイソプロポキシド(1.25×10-3mol)、トルエン(10.5g)、1−ヘプタノール(0.48g)、DMAA(24.4×10-3mol)、1mol/L濃度2,2−ジクロロアセトフェノントルエン溶液(0.304×10-3mol)、CHMA(12.2×10-3mol)を用いて実施例1と同様の方法で、重合、回収、精製を行った。
【0055】
[実施例4]
RuCl2(PPh33(0.30×10-3mol)、アルミニウムトリイソプロポキシド(1.25×10-3mol)、トルエン(9.8g)、1−ヘプタノール(0.44g)、DMAA(28.5×10-3mol)、1mol/L濃度2,2−ジクロロアセトフェノントルエン溶液(0.398×10-3mol)、CHMA(20.0×10-3mol)を用いて、実施例1と同様の方法で重合、回収、精製を行った。
【0056】
[比較例1]
RuCl2(PPh33(0.55×10-3mol)、アルミニウムトリイソプロポキシド(2.21×10-3mol)、トルエン(13.4g)、MMA(0.177mol)、2−クロロアセトフェノントルエン溶液(2.97×10-3mol)、DMAA(0.166mol)を用いて、開始剤を2−クロロアセトフェノンに変えること以外は実施例1と同様の方法で、重合、回収、精製を行った。
【0057】
[比較例2]
RuCl2(PPh33(0.30×10-3mol)及びアルミニウムトリイソプロポキシド(1.20×10-3mol)を入れた耐圧瓶に、トルエン(9.8g)、1−ヘプタノール(0.52g)、DMAA(35.1×10-3mol)、MMA(35.5×10-3mol)、1mol/L濃度2,2−ジクロロアセトフェノントルエン溶液(0.304×10-3mol)を入れ、70℃の湯浴で4時間重合した。
この重合液を20℃まで冷却した後に、トルエン(40.0g)を加え、90mmφの桐山ロート(桐山製作所社製)を用いて5A、次いで5Cのろ紙を用いてろ過することにより、不溶解な重合触媒および重合速度調整剤を除去した。このトルエン溶液をノーマル−ヘキサン(1L)に注いでポリマーを析出させて回収した。続いて回収したポリマーをトルエン(0.2L)に再溶解させ、ノーマル−ヘキサン(1L)に注いでポリマーを沈殿することにより精製した。
【0058】
[比較例3]
RuCl2(PPh33(0.29×10-3mol)、アルミニウムトリイソプロポキシド(1.22×10-3mol)、トルエン(9.3g)、1−ヘプタノール(0.49g)、DMAA(23.5×10-3mol)、CHMA(24.4×10-3mol)、1mol/L濃度2,2−ジクロロアセトフェノントルエン溶液(0.410×10-3mol)を用いて、比較例2と同様の方法で重合、回収、精製を行った。
【0059】
【表1】
Figure 0004138538
【0060】
表1における実施例1、2と比較例1、2の比較から、比較例2のランダム共重合体では、接触角も58.8度と高く、溶出量も24.6wtppmと大きな値であり、MMAとDMAAのジブロック体である比較例1も接触角は61.5度と高く、溶出量も32.6wtppmと非常に溶出していることがわかる。それに対して実施例1および2では、接触角も18.8度および49.2度と低く、溶出量も8.9wtppmおよび6.1wtppmと低減されていることがわかる。
また、実施例3、4および比較例3の比較から、比較例3は溶出量は2.0wtppmと低減されているものの、接触角が60.7度と非常に大きな値であるのに対して、実施例3および4では、接触角は26.7度および29.3度と非常に低く、溶出量は14.2wtppmおよび9.2wtppmである。
【0061】
【発明の効果】
本発明のアミド系ブロック共重合体を用いると、高表面自由エネルギーを維持したまま、溶出量を低減することができる。
本発明のアミド系ブロック共重合体は、高エネルギー表面を有し、かつ低溶出性であることから様々な用途に用いられると考えられる。特に抗血栓性材料には、高エネルギー表面が適しているとされており、該高分子材料は非常に有用である。該高分子材料を平膜、不織布などに塗布することにより、例えば人工腎臓や白血球除去フィルターや体外循環用フィルターなどの用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたアミド系共重合体のNMRチャートである。

Claims (3)

  1. トリブロック体を構成するアミド系単量体に由来する繰返し単位Aと、アクリル系エステル、又は、メタアクリルエステル系単量体に由来する繰返し単位Bは下記一般式 (1) を満足し、且つ、AとBは、B−A−Bなる配列構造であることを特徴とするトリブロック体からなるコート材料。
    [(A) l(B)m] (1)
    [式(1)は共重合体の組成式を表わす。(A)、(B)は高分子主鎖を構成する各繰返し単位を表わす。l、mは高分子主鎖に含有される各繰返し単位のmol%を表わす。
    (A):アミド系単量体に由来する繰返し単位(該繰返し単位は、1種であっても2種以上であっても良い。)。
    (B):アクリル酸エステル系単量体、メタアクリル酸エステル系単量らなる群から選ばれる単量体に由来する繰返し単位(ただし、ヒドロキシル基を有するものは除き、該繰返し単位は、1種であっても2種以上であっても良い。)。
    ただし、l+m=100mol%、かつ0.1≦l/m≦10、共重合体の数平均分子量は2000以上500000以下である。]
  2. 該トリブロック体がRuCl 2 (PPh 3 3 (式中、PPh 3 はトリフェニルホスフィン基を表す。)、RuH 2 (PPh 3 4 、RuCl(PPh 3 2 Cp(式中、Cpはシクロペンタジエニル基を表す。)から選ばれるリビングラジカル重合触媒を用いて得られることを特徴とする請求項1に記載のトリブロック体からなるコート材料。
  3. 請求項1又は2に記載のコート材料を溶媒に溶解および/または分散させて得られる塗料
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