JP4136404B2 - 画像間類似度算出装置、画像間類似度算出方法、及び、プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二つの画像間の類似度、特に、二つの画像間の色分布に関する類似度を算出する画像間類似度算出装置及び方法、並びに、コンピュータにそのような画像間類似度の算出の機能を実現させるためのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
二つの画像間の色情報、濃淡情報、背景、主要被写体、などの特徴を比較し、それら二つの画像間の類似度を算出する画像間類似度算出装置は、類似度を算出して類似画像を検索するシステム中によく用いられ、特開平11−096368号公報、特開2000−029885号公報、「Proc. of Int.Symposium on Multimedia Information Proccssing, Dec 1997.」等で知られている。
【0003】
これらに開示されている画像間類似度算出手法では、図12の(A)及び(B)に示すように、一般的に、二つの比較対象画像101,102を入力し(ステップS101)、各比較対象画像101,102を特徴解析してから(ステップS102)、カラーヒストグラムやテクスチャ特徴量、形状特徴量等を一つの画像当たり一つの特徴量ベクトルとして表現する(ステップS103)。そして、画像間の類似度を算出する際は、これら特徴量ベクトル間のユークリッド距離やマンハッタン距離などの距離を計算し(ステップS104)、その距離(Distance)が小さいほど類似度が大きく(相対的に画像は類似している)、その距離が大きいほど類似度が小さく(相対的に画像は類似していない)なるように類似度を算出する(ステップS105)。
【0004】
こうして算出された類似度の用途としては、一枚の画像に対し複数の画像との類似度を計算して類似度順に出力したり、類似度がある閾値以上(距離が閾値以下)のものをあるクラスとして出力したりするアプリケーションに用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術では、各画像に対しもともと多くの画素データ群からなる多くの特徴を一つのベクトルとしてしまうので、特徴量の抽出方法がかなり適切でないと情報の損失が大きくなり、画像の特徴を忠実に表現できない。
【0006】
これを画像のカラーヒストグラム解析を例にとって説明する。RGB空間で図13のように分布している画素データを、ヒストグラム解析でRGB各軸に対してヒストグラム化する。このとき、各軸のヒストグラムデータを順に並べて一つの特徴量ベクトルとする。しかし、この場合、各データのRBG空間での3次元的な位置情報は欠落してしまう。従って、画像の特徴を忠実に表現できなくなってしまう。
【0007】
また、画像の特徴(例えば、画素データの分布)は、画像によって大きく異なり、どんな分布形状でも特徴を忠実に表現しなければならないが、従来例では、画像の分布の仕方により特徴表現の忠実度が大きく異なってしまう。
【0008】
以上のように画像の特徴が忠実に表現できないと、画像間の類似度も正確に表現することができない。
【0009】
例えば、図14の(A)に示すように、第1比較対象画像101の分布(領域A)と第2比較対象画像102の分布(領域B)が、類似した形状で位置も近い場合には、特徴量の抽出方法がそれほど適切でなくても、領域Aの特徴量ベクトル103と領域Bの特徴量ベクトル104との間の距離は小となり、二つの画像の間の距離は小、つまり、望ましい結果である類似度が高いという出力が得られる。また、図14の(B)に示すように、分布形状にかかわらず位置が遠い場合には、特徴量の抽出方法がそれほど適切でなくても、領域Aの特徴量ベクトル103と領域Bの特徴量ベクトル104との間の距離は大となり、二つの画像の間の距離は大、つまり、望ましい結果である類似度が低いという出力が得られる。
【0010】
これに対して、位置が近くても分布の形状が異なる場合には、特徴量の抽出方法がかなり適切でないと、即ち、図14の(C)に示すように領域Aの特徴量ベクトル103と領域Bの特徴量ベクトル104とを抽出してしまうと、それら特徴ベクトル間の距離が小となり、二つの画像の間の距離は小、つまり、誤った結果である類似度が高いという出力が得られてしまうことになる。同様に、図14の(D)に示すように、位置が近くても、一方(領域A)が他方(領域B)を大きく包含するほど分布の大きさが大きく異なる場合にも、特徴量の抽出方法がかなり適切でないと、領域Aの特徴量ベクトル103と領域Bの特徴量ベクトル104との間の距離が小となり、二つの画像の間の距離は小、つまり、誤った結果である類似度が高いという出力が得られてしまうことになる。
【0011】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、二つの画像間の色分布に関する類似度を算出するとき、特徴量の抽出方法に情報の損失が無いように工夫しなくても様々な画像に対しその画像特徴を忠実に再現した特徴量を抽出でき、画像間の色分布に関する類似度を正確に表現できる画像間類似度算出装置、画像間類似度算出方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明による画像間類似度算出装置は、画像の特徴を比較すべき第1比較対象画像と第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データによりそれぞれ形成される色分布間の類似度を算出する画像間類似度算出装置であって、上記第1比較対象画像と前記第2比較対象画像とを入力する画像入力部と、上記第1比較対象画像と上記第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データを色空間上に配置することで形成されるそれぞれの色分布から、各々の画像の特徴を示す、第1特徴量ベクトル群と第2特徴量ベクトル群とを上記色空間上において算出する特徴量ベクトル群算出部と、上記第1特徴量ベクトル群からみた上記第2特徴量ベクトル群の相対距離を示す第1から第2へのベクトル群間距離を、上記第1特徴量ベクトル群の各ベクトルと上記第2特徴量ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出するとともに、上記第2特徴量ベクトル群からみた上記第1特徴量ベクトル群の相対距離を示す第2から第1へのベクトル群間距離を、上記第2特徴量ベクトル群の各ベクトルと上記第1特徴量ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出するベクトル群間距離算出部と、上記第1から第2へのベクトル群間距離と上記第2から第1へのベクトル群間距離とのうち、大きい方を画像間距離として選択する距離選択部と、上記画像間距離を用いて上記色分布間の類似度を定義し出力する類似度出力部とを備えることを特徴とする。
【0013】
即ち、本発明の画像間類似度算出装置によれば、各画像に対し単一のベクトルを特徴量として抽出するのではなく、色空間上において多数の特徴量ベクトル群を抽出した上で、ベクトル群を単位とした群間の類似度を算出しているので、類似しているベクトル群同士は類似度が高いとして出力し、類似していないベクトル群同士は類似度が低いとして出力できる。従って、特徴量がベクトル群のままで良く、単一のベクトルにする必要がないので、情報の損失が無いように特徴量の抽出方法を工夫する必要がない。即ち、特徴量の抽出方法に情報の損失が無いように工夫しなくても様々な画像に対しその画像特徴を忠実に再現した特徴量を抽出でき、画像の色分布間の類似度を正確に表現できる画像間類似度算出装置を提供できる。
なお、上記特徴量ベクトル群算出部で算出する上記第1特徴量ベクトル群のベクトル数と上記第2特徴量ベクトル群のベクトル数とが同数であり、上記ベクトル群間距離算出部で算出する上記第1から第2へのベクトル群間距離は、上記第1特徴量ベクトル群の各ベクトルと上記第2特徴量ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、上記第1特徴量ベクトル群の各ベクトルに関する総和とし、上記ベクトル群間距離算出部で算出する上記第2から第1へのベクトル群間距離は、上記第2特徴量ベクトル群の各ベクトルと上記第1特徴量ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、上記第2特徴量ベクトル群の各ベクトルに関する総和としても良い。
あるいは、上記ベクトル群間距離算出部で算出する上記第1から第2へのベクトル群間距離は、上記第1特徴量ベクトル群の各ベクトルと上記第2特徴量ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、上記第1特徴量ベクトル群の各ベクトルに関する平均とし、上記ベクトル群間距離算出部で算出する上記第2から第1へのベクトル群間距離は、上記第2特徴量ベクトル群の各ベクトルと上記第1特徴量ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、上記第2特徴量ベクトル群の各ベクトルに関する平均としても良い。
【0014】
また、本発明による画像間類似度算出装置は、画像の特徴を比較すべき第1比較対象画像と第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データによりそれぞれ形成される色分布間の類似度を算出する画像間類似度算出装置であって、上記第1比較対象画像と上記第2比較対象画像とを入力する画像入力部と、上記第1比較対象画像と上記第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データを色空間上に配置することで形成されるそれぞれの色分布から、各々の画像の特徴を示す、第1特徴量ベクトル群と第2特徴量ベクトル群とを上記色空間上において算出する特徴量ベクトル群算出部と、上記第1特徴量ベクトル群と第2特徴量ベクトル群とから、各々の特徴量ベクトル群を代表する、第1代表ベクトル群と第2代表ベクトル群とを算出する代表ベクトル群算出部と、上記第1代表ベクトル群からみた上記第2代表ベクトル群の相対距離を示す第1から第2への代表ベクトル群間距離を、上記第1代表ベクトル群の各ベクトルと上記第2代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出するとともに、上記第2代表ベクトル群からみた上記第1代表ベクトル群の相対距離を示す第2から第1への代表ベクトル群間距離を、上記第2代表ベクトル群の各ベクトルと上記第1代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出する代表ベクトル群間距離算出部と、上記第1から第2への代表ベクトル群間距離と上記第2から第1への代表ベクトル群間距離とのうち、大きい方を画像間距離として選択する距離選択部と、上記画像間距離を用いて上記色分布間の類似度を定義し出力する類似度出力部とを備えることを特徴とする。
【0015】
即ち、本発明の画像間類似度算出装置によれば、各画像に対し単一のベクトルを特徴量として抽出するのではなく、色空間上において多数の特徴量ベクトル群を抽出した上で、ベクトル群を単位とした群間の類似度を算出しているので、類似しているベクトル群同士は類似度が高いとして出力し、類似していないベクトル群同士は類似度が低いとして出力できる。従って、特徴量がベクトル群のままで良く、単一のベクトルにする必要がないので、情報の損失が無いように特徴量の抽出方法を工夫する必要がない。即ち、特徴量の抽出方法に情報の損失が無いように工夫しなくても様々な画像に対しその画像特徴を忠実に再現した特徴量を抽出でき、画像の色分布間の類似度を正確に表現できる画像間類似度算出装置を提供できる。しかも、抽出した特徴量ベクトル群すべてを使用するのではなく、各々の特徴量ベクトル群を代表する代表ベクトル群を単位とした群間の類似度を算出するようにしているので、全体としての演算量が少なくて済み、高速化が図れる。
【0016】
なお、上記代表ベクトル群算出部で算出する上記第1代表ベクトル群のベクトル数と上記第2代表ベクトル群のベクトル数とが同数であり、上記代表ベクトル群間距離算出部で算出する上記第1から第2への代表ベクトル群間距離は、上記第1代表ベクトル群の各ベクトルと上記第2代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、上記第1代表ベクトル群の各ベクトルに関する総和とし、上記代表ベクトル群間距離算出部で算出する上記第2から第1への代表ベクトル群間距離は、上記第2代表ベクトル群の各ベクトルと上記第1代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、上記第2代表ベクトル群の各ベクトルに関する総和としても良い。
【0017】
またこのとき、上記代表ベクトル群算出部で上記第1から第2への代表ベクトル群間距離を算出する際に、上記第2代表ベクトル群の総数に対する、上記第1代表ベクトル群の各ベクトルと最隣接する第2代表ベクトル数の割合を算出し、その割合が大きいほど上記第1から第2への代表ベクトル群間距離を小さくなるように補正し、上記代表ベクトル群算出部で上記第2から第1への代表ベクトル群間距離を算出する際に、上記第1代表ベクトル群の総数に対する、上記第2代表ベクトル群の各ベクトルと最隣接する第1代表ベクトル数の割合を算出し、その割合が大きいほど上記第2から第1への代表ベクトル群間距離を小さくなるように補正することが好ましい。
【0018】
更には、上記代表ベクトル群間距離算出部で上記第1から第2への代表ベクトル群間距離を算出する際に、上記第1特徴量ベクトル群あるいは上記第1代表ベクトル群が属する上記色分布の大きさに応じて、その色分布の大きさが大きいほど、上記第1から第2への代表ベクトル群間距離を小さくなるように補正し、上記代表ベクトル群間距離算出部で上記第2から第1への代表ベクトル群間距離を算出する際に、上記第2特徴量ベクトル群あるいは上記第2代表ベクトル群が属する上記色分布の大きさに応じて、その色分布の大きさが大きいほど、上記第2から第1への代表ベクトル群間距離を小さくなるように補正するようにしても良い。
また、上記代表ベクトル群間距離算出部で算出する上記第1から第2への代表ベクトル群間距離は、上記第1代表ベクトル群の各ベクトルと上記第2代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、上記第1代表ベクトル群の各ベクトルに関する平均とし、上記代表ベクトル群間距離算出部で算出する上記第2から第1への代表ベクトル群間距離は、上記第2代表ベクトル群の各ベクトルと上記第1代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、上記第2代表ベクトル群の各ベクトルに関する平均としても良い。
【0019】
また、本発明による画像間類似度算出方法は、画像の特徴を比較すべき第1比較対象画像と第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データによりそれぞれ形成される色分布間の類似度を算出する画像間類似度算出方法であって、上記第1比較対象画像と上記第2比較対象画像とを入力し、上記第1比較対象画像と上記第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データを色空間上に配置することで形成されるそれぞれの色分布から、各々の画像の特徴を示す、第1特徴量ベクトル群と第2特徴量ベクトル群とを上記色空間上において算出し、上記第1特徴量ベクトル群と第2特徴量ベクトル群とから、各々の特徴量ベクトル群を代表する、第1代表ベクトル群と第2代表ベクトル群とを算出し、上記第1代表ベクトル群からみた上記第2代表ベクトル群の相対距離を示す第1から第2への代表ベクトル群間距離を、上記第1代表ベクトル群の各ベクトルと上記第2代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出するとともに、上記第2代表ベクトル群からみた上記第1代表ベクトル群の相対距離を示す第2から第1への代表ベクトル群間距離を、上記第2代表ベクトル群の各ベクトルと上記第1代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出し、上記第1から第2への代表ベクトル群間距離と上記第2から第1への代表ベクトル群間距離とのうち、大きい方を画像間距離として選択し、上記画像間距離を用いて上記色分布間の類似度を定義し出力することを特徴とする。
【0020】
即ち、本発明の画像間類似度算出方法によれば、各画像に対し単一のベクトルを特徴量として抽出するのではなく、色空間上において多数の特徴量ベクトル群を抽出した上で、ベクトル群を単位とした群間の類似度を算出しているので、類似しているベクトル群同士は類似度が高いとして出力し、類似していないベクトル群同士は類似度が低いとして出力できる。従って、特徴量がベクトル群のままで良く、単一のベクトルにする必要がないので、情報の損失が無いように特徴量の抽出方法を工夫する必要がない。即ち、特徴量の抽出方法に情報の損失が無いように工夫しなくても様々な画像に対しその画像特徴を忠実に再現した特徴量を抽出でき、画像の色分布間の類似度を正確に表現できるようになる。しかも、抽出した特徴量ベクトル群すべてを使用するのではなく、各々の特徴量ベクトル群を代表する代表ベクトル群を単位とした群間の類似度を算出するようにしているので、全体としての演算量が少なくて済み、高速化が図れる。
【0021】
また、本発明によるプログラムは、画像の特徴を比較すべき第1比較対象画像と第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データによりそれぞれ形成される色分布間の類似度を算出する際に、コンピュータに、上記第1比較対象画像と上記第2比較対象画像とを入力する機能と、上記第1比較対象画像と上記第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データを色空間上に配置することで形成されるそれぞれの色分布から、各々の画像の特徴を示す、第1特徴量ベクトル群と第2特徴量ベクトル群とを上記色空間上において算出する機能と、上記第1特徴量ベクトル群と第2特徴量ベクトル群とから、各々の特徴量ベクトル群を代表する、第1代表ベクトル群と第2代表ベクトル群とを算出する機能と、上記第1代表ベクトル群からみた上記第2代表ベクトル群の相対距離を示す第1から第2への代表ベクトル群間距離を、上記第1代表ベクトル群の各ベクトルと上記第2代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出するとともに、上記第2代表ベクトル群からみた上記第1代表ベクトル群の相対距離を示す第2から第1への代表ベクトル群間距離を、上記第2代表ベクトル群の各ベクトルと上記第1代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出する機能と、上記第1から第2への代表ベクトル群間距離と上記第2から第1への代表ベクトル群間距離とのうち、大きい方を画像間距離として選択する機能と、上記画像間距離を用いて上記色分布間の類似度を定義し出力する機能とを実現させるためのものである。
【0022】
即ち、本発明のプログラムによれば、コンピュータに画像の特徴を比較すべき第1比較対象画像と第2比較対象画像に対し、画像の色分布間の類似度を算出させる場合に、各画像に対し単一のベクトルを特徴量として抽出するのではなく、色空間上において多数の特徴量ベクトル群を抽出した上で、ベクトル群を単位とした群間の類似度を算出しているので、類似しているベクトル群同士は類似度が高いとして出力し、類似していないベクトル群同士は類似度が低いとして出力できる。従って、特徴量がベクトル群のままで良く、単一のベクトルにする必要がないので、情報の損失が無いように特徴量の抽出方法を工夫する必要がない。即ち、特徴量の抽出方法に情報の損失が無いように工夫しなくても様々な画像に対しその画像特徴を忠実に再現した特徴量を抽出でき、画像の色分布間の類似度を正確に表現できるようになる。しかも、抽出した特徴量ベクトル群すべてを使用するのではなく、各々の特徴量ベクトル群を代表する代表ベクトル群を単位とした群間の類似度を算出するようにしているので、全体としての演算量が少なくて済み、高速化が図れる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
なお、以下に説明する各実施形態において、類似度とは、画像の色分布に関する類似度である。
【0024】
[第1の実施の形態]
図2の(A)は、本発明の第1の実施の形態に係る画像間類似度算出装置の構成を示す図で、該画像間類似度算出装置は、入力装置10と、演算装置20、及び出力装置30から構成されている。
【0025】
ここで、上記入力装置10は、画像の特徴を比較すべき画像を入力するためのものであり、例えば、FDやCD−ROM等の記録媒体から画像を読み出すものや、画像読み取りを行うスキャナ、或いは、インターネットやLAN等のネットワークを介して入力するものであっても良い。更には、デジタルカメラ等から直接入力できるものとしても良い。
【0026】
また、上記演算装置20は、画像間類似度を算出するための各種演算を行うものであり、専用の装置としても良いし、パーソナルコンピュータ等で構成しても良い。この演算装置20は、CPU20Aと、該CPU20Aで実行するプログラムを記憶したプログラムメモリ20Bとを含む。該装置を専用のものとしたときには、このプログラムメモリ20Bには、専用のプログラムが固定記憶されている。また、該装置をパーソナルコンピュータで構成する場合には、このプログラムメモリ20Bに展開されるプログラムは、FDやCD−ROM等の記録媒体から又はインターネットやLAN等のネットワークから該演算装置20の不図示記録装置に予めインストールしてあるものを読み出すことで得ても良いし、上記記録媒体又はネットワークから必要に応じて読み込んで得るものとしても良い。
【0027】
更に、このプログラムメモリ20Bには、算出された画像類似度を使用するアプリケーションプログラムも記憶されることができる。そのアプリケーションとしては、例えば、画像データベースからの類似画像の検索や、一枚の画像に対し複数の画像との類似度を計算して類似度順に出力すること(カテゴライズ)、類似度がある閾値以上(距離が閾値以下)のものをあるクラスとして出力すること(グルーピング)、などである。
【0028】
そして、上記出力装置30は、上記アプリケーションの結果出力を行うためのディスプレイやプリンタである。或いは、結果をネットワークを介して外部に出力するものであっても良い。また勿論、アプリケーションの結果だけでなく、上記画像類度の算出結果を出力しても良い。
【0029】
図1及び図2の(B)は、このような画像間類似度算出装置の機能ブロック図及び動作フローチャートを示す図である。
【0030】
即ち、まず、上記入力装置10の一機能部としての画像入力部11で、特徴を比較すべき第1比較対象画像a1と第2比較対象画像b1とを入力する(ステップS1)。
【0031】
続いて、上記演算装置20の一機能部としての特徴量ベクトル群算出部21で、上記第1比較対象画像a1と上記第2比較対象画像b1とから、各々の画像の特徴を示す、例えば画素のRGB値をベクトル化した、第1特徴量ベクトル群a2(第1比較対象画像a1から抽出)と第2特徴量ベクトル群b2(第2比較対象画像b1から抽出)とを算出する(ステップS2)。ここで、特徴量ベクトル群は、一般に、ベクトル数が非常に多いので、続いて、代表ベクトル群算出部22で、上記第1特徴量ベクトル群a2と上記第2特徴量ベクトル群b2とから、各々の特徴量ベクトル群を代表する第1代表ベクトル群a3と第2代表ベクトル群b3とを算出する(ステップS3)。このとき、代表ベクトル群のベクトル数は、特徴量ベクトル群のベクトル数よりも少ない数とすれば良い。なお、特徴量ベクトル群の数が少ない場合や、計算能力の高いコンピュータを用いて実現する場合などは、代表ベクトル群は、特徴量ベクトル群そのものをそのまま用いても良い。
【0032】
続いて、上記演算装置20の一機能部としての代表ベクトル群間距離算出部23では、上記第1代表ベクトル群a3からみた上記第2代表ベクトル群b3の相対距離を示す第1から第2への代表ベクトル群間距離abと、その逆の上記第2代表ベクトル群b3からみた上記第1代表ベクトル群a3の相対距離を示す第2から第1へのベクトル群間距離baとを算出する(ステップS4)。
【0033】
ベクトル群間の相対距離は、一般化して記述すると、次のように設定すれば良い。図3に概念図を示すように、第1代表ベクトル群a3が構成する領域を領域A、第2代表ベクトル群b3が構成する領域を領域Bと設定すれば、上記第1から第2へのベクトル群間距離abは、領域A中の各点から領域Bに最短で到達するまでの距離の総和又は平均と考え、また、上記第2から第1へのベクトル群間距離baは、領域B中の各点から領域Aに最短で到達するまでの距離の総和又は平均と考える。このとき、ベクトル数が同じであれば、各距離の総和をベクトル群間距離とすれば良いし、ベクトル数が異なる場合は、各距離の平均をベクトル群間距離とすれば良い。なお、総和、平均の概念は、領域A乃至領域Bでの面積積分、及び、面積積分での規格化と置き換えても良い。ベクトル群間距離abとベクトル群間距離baは、領域の形状、相対的な位置関係により、一般には異なるので、相対距離と呼ぶこととする。この距離は、例えて言えば、領域を町、代表ベクトル群をその町に住んでいる人として、A町の人がとにかくB町に行くのにどれくらい歩かないといけないかがA町からB町までの相対距離(A町の人がB町をどれくらい近いと感じているか)、B町の人がとにかくA町に行くのにどれくらい歩かないといけないかがB町からA町までの相対距離(B町の人がA町をどれくらい近いと感じているか)となる(但し、町同士が重なることも有り得るとする)。
【0034】
この相対距離は、図4の(A)乃至(D)に示すように、以下のような性質を持つ。
【0035】
ケース1. 二つのベクトル群が類似した分布形状で、且つ、位置も近ければ、両者(A→B,B→A)の相対距離とも非常に小さくなる(図4の(A)参照)。
【0036】
ケース2. 二つのベクトル群の分布形状にかかわらず、位置が遠いと、両者(A→B,B→A)の相対距離とも大きくなる(図4の(B)参照)。
【0037】
ケース3. 二つのベクトル群の位置が近くても、分布の形状が異なると、次のケース4.の場合を除き、両者(A→B,B→A)の相対距離とも大きくなる(図4の(C)参照)。
【0038】
ケース4. 二つのベクトル群の位置が近くても、一方(例えばA:分布大)が他方(例えばB:分布小)を大きく包含するほど分布の大きさが大きく異なると、両者(A→B,B→A)のうち、片方(B→A)が小さく、片方(A→B)が大きくなる(図4の(D)参照)。
【0039】
上記代表ベクトル群間距離算出部23で上述の相対距離を算出した後、上記演算装置20の一機能部としての距離選択部24で、上記第1から第2への代表ベクトル群間距離abと上記第2から第1への代表ベクトル群間距離baとのうち、大きい方を画像間距離cとして選択する(ステップS5)。即ち、画像間類似度の出力において重要なポイントは、類似している画像を類似度が高くなるように出力し、類似していない画像は類似度が低くなるように出力することである。二つの相対距離は、上記ケース1〜4の性質があるが、二つの相対距離のうち大きい方を画像間距離として選択することで、上記ケース1以外は全て類似度が低くなる(即ち、距離が大きくなる)ようにすることが可能になり、上述のポイントを実現できる。
【0040】
従って、図14の(C)及び(D)を参照して説明した従来技術のように、領域Aの特徴量ベクトルと領域Bの特徴量ベクトルとを不適切に抽出してしまったときに画像間距離が小と判別されてしまうことはなく、本実施の形態では、画像間距離が大であると正しく判別されることができる。
【0041】
そして、上記演算装置20の一機能部としての類似度出力部25で、上記選択された画像間距離cを用いて画像間類似度を定義し出力する(ステップS6)。一般に、画像間距離が大きい方が類似度が低く、画像間距離が小さい方が類似度が高い。画像間類似度の出力定義は、本画像間類似度算出装置をどのように利用するかによって設定すれば良い。二つの画像間の類似度が高いほど類似度出力を大きく定義したい場合は、距離が小さいほど算出類似度が高くなるように画像間距離の逆数を類似度として設定すれば良いし、二つの画像間の類似度が高いほど類似度出力を小さく定義したい場合は、画像間距離をそのまま類似度として設定すれば良い。
【0042】
こうして画像間類似度が定義されたならば、後は、所望のアプリケーションを該画像間類似度を使用して実行し、結果を上記出力装置30により出力することになる(ステップS7)。例えば、類似度出力部25によって数値として出力された画像間類似度を閾値処理し、その閾値以上の画像間類似度を持つ画像をディスプレイに表示出力するような類似画像検索アプリケーションなどが考えられる。
【0043】
以下、類似度算出手法について、図5の(A)乃至図5の(D)を参照して、より具体的に説明する。なおここでは、図5の(A)に示すような画像ペアの画像間類似度を算出することを考える。
【0044】
まず、上記画像入力部11で、特徴を比較し類似度を算出すべき第1比較対象画像a1と第2比較対象画像b1(図5の(A)参照)を入力する。これらの画像は、例えば、市販の電子画像集(CD−ROM)から入力することなどが考えられる。
【0045】
続いて、上記特徴量ベクトル群算出部21では、上記第1比較対象画像a1と上記第2比較対象画像b1から、各々の画像の特徴を示す特徴量として、画素のRGB値をベクトル化した第1特徴量ベクトル群a2(第1比較対象画像a1から抽出)と第2特徴量ベクトル群b2(第2比較対象画像b1から抽出)とを算出する(図5の(B)参照)。
【0046】
続いて、上記代表ベクトル群算出部22では、上記第1特徴量ベクトル群a2と上記第2特徴量ベクトル群b2から、各々の特徴量ベクトル群を代表する第1代表ベクトル群a3と第2代表ベクトル群b3とを算出する(図5の(C)参照)。この代表ベクトル群の算出は、例えば、自己組織化特徴マッピング、K−means法などのクラスタリング法やベクトル量子化法を用いて行えば良い。なお、代表ベクトル群のベクトル数は、特徴量ベクトル群のベクトル数よりも少ない数と設定するが、各画像毎に必ずしも同数にそろえないこととする(勿論、同数にそろえても良い)。また、特徴量ベクトル群の数が少ない場合や計算能力の高いコンピュータを用いて実現する場合などは、特徴量ベクトル群を代表ベクトル群としてそのまま用いても良い。
【0047】
続いて、上記代表ベクトル群間距離算出部23では、上記第1代表ベクトル群a3からみた上記第2代表ベクトル群b3の相対距離を示す第1から第2への代表ベクトル群間距離abと、上記第2代表ベクトル群b3からみた上記第1代表ベクトル群a3の相対距離を示す第2から第1へのベクトル群間距離baとを算出する(図5の(D)参照)。ベクトル群間距離としては、前述したように様々な数式定義が可能であるが、ここでは、第1から第2へのベクトル群間距離abは、第1代表ベクトル群a3の各点から第2代表ベクトル群b3中の最隣接の代表ベクトルとの距離の平均、同様に第2から第1へのベクトル群間距離baは、第2代表ベクトル群b3の各点から第1代表ベクトル群a3中の最隣接の代表ベクトルとの距離の平均とする。なお、前述したように総和の概念は、第1代表ベクトル群a3が占める領域A乃至は第2代表ベクトル群b3が占める領域Bでの面積積分と、また、平均の概念は面積積分値での規格化と、それぞれ数式的に置き換えても構わない。
【0048】
上記代表ベクトル群間距離算出部23で上述の相対距離を算出した後、上記距離選択部24で、第1から第2への代表ベクトル群間距離ab(図5の(D)では「5.0」)と第2から第1への代表ベクトル群間距離ba(図5の(D)では「5.5」)のうち、大きい方(図5の(D)では「5.5」)を画像間距離cとして選択する。なお、図中の距離値はあくまでも説明のために仮に設定した値である。
【0049】
最後に、上記類似度出力部25で、上記画像間距離cを用いて画像間類似度を定義し出力する。画像間類似度の定義設定としては、画像間距離cをそのまま類似度とするようにする。これは、二つの画像間の類似度が高いほど類似度出力を小さく定義したことに相当する。図5の(A)の例では、二つの画像間の類似度出力は小さく(距離が小さい:「5.5」)、画像間の類似度は高いということなる。
【0050】
同様に、図6の(A)乃至図6の(D)に、あまり似ていない画像ペアの例を示す。この例の場合は、距離a→b(「50.0」)と距離b→a(「7.0」)で大きい方を選択した結果、類似度出力は大きくなり(距離が大きい:「50.0」)、画像間の類似度は低いという結果となる。このとき、距離b→aでは「7.0」という小さい値で類似度は高く見えてしまうが、大きい方を選択することにより、結果としての距離が大きくなり、類似度を低いとして出力できる効果があることに注目されたい。
【0051】
以上、第1の実施形態を説明したが、本実施形態によれば、各画像に対し単一のベクトルを特徴量として抽出するのではなく、多数の特徴量ベクトル群を抽出した上で、ベクトル群を単位とした群間の類似度を算出している。ベクトル群間の類似度は上述してきたように、類似しているベクトル群同士は類似度が高いとして出力し、類似していないベクトル群同士は類似度が低いとして出力する作用を実現できる性質がある。従って、特徴量がベクトル群のままで良く、単一のベクトルにする必要がないので、情報の損失が無いように特徴量の抽出方法を工夫する必要がない。即ち、特徴量の抽出方法に情報の損失が無いように工夫しなくても様々な画像に対しその画像特徴を忠実に再現した特徴量を抽出でき、画像間の類似度を正確に表現できる画像間類似度算出装置を提供できる。
【0052】
[第2の実施の形態]
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0053】
本実施の形態の構成は、上記第1の実施の形態と同様であり、また、動作も、上記代表ベクトル群間距離算出部23の機能を除いては同様である。よって、この代表ベクトル群間距離算出部23についてのみ説明を行うものとし、その他の説明は省略する。
【0054】
即ち、本実施の形態においては、上記代表ベクトル群算出部22で算出する第1代表ベクトル群a3のベクトル数と上記第2代表ベクトル群b3のベクトル数とを同数とする。そして、上記代表ベクトル群間距離算出部23で算出する上記第1から第2への代表ベクトル群間距離abは、上記第1代表ベクトル群a3の各ベクトルと上記第2代表ベクトル群b3中の最隣接ベクトルとの距離を、上記第1代表ベクトル群a3の各ベクトルに関して総和をとった値とする。
【0055】
同様に、上記第2から第1への代表ベクトル群間距離baは、上記第2代表ベクトル群b3の各ベクトルと上記第1代表ベクトル群a3中の最隣接ベクトルとの距離を、上記第2代表ベクトル群b3の各ベクトルに関して総和をとった値とする。
【0056】
即ち、前述したようにベクトル群間距離を求めるにはいろいろな算出方法が考えられるが、このように各ベクトル群毎の代表ベクトル群のベクトル数をそろえておくと、各画像毎の特徴量ベクトル群のベクトルの個数によらず、距離算出の計算量を一定に保つことができるという利点がある。特徴量ベクトル群のベクトルの個数は、画像のサイズなどによって画像毎に変動することが多いが、本実施形態のようにしておくと、画像のサイズによらず、距離算出の計算量が一定に保たれ、代表ベクトル数を一定の個数以下に設定しておけば、計算量の削減につなげることが可能である。
【0057】
[第3の実施の形態]
次に、図8、図9の(A)及び(B)を参照して、本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0058】
本実施の形態の構成は、上記第1の実施の形態と同様であり、また、動作も、上記代表ベクトル群間距離算出部23の機能を除いては同様である。よって、この代表ベクトル群間距離算出部23についてのみ説明を行うものとし、その他の説明は省略する。
【0059】
即ち、本実施の形態においては、上記代表ベクトル群間距離算出部23で、上記第1から第2への代表ベクトル群間距離abを算出する際に、まず、上記第2代表ベクトル群b3のうち、上記第1代表ベクトル群a3の各ベクトルと最隣接していたベクトルの個数を求め、上記第2代表ベクトル群b3の総数に対する割合を算出する。続いて、その割合が大きい(小さい)ほど、上記第1から第2への代表ベクトル群間距離abを小さく(大きく)なるように補正する。
【0060】
同様に、上記代表ベクトル群間距離算出部23で、上記第2から第1への代表ベクトル群間距離baを算出する際に、まず、上記第1代表ベクトル群a3のうち、上記第2代表ベクトル群b3の各ベクトルと最隣接していたベクトルの個数を求め、上記第1代表ベクトル群a3の総数に対する割合を算出する。続いて、その割合が大きい(小さい)ほど、上記第2から第1への代表ベクトル群間距離baを小さく(大きく)なるように補正する。
【0061】
ここで、補正の仕方としては、例えば、次式のように行うこととする。
【0062】
補正距離ab’(第1→第2)=第1から第2への代表ベクトル群間距離ab/割合(第2中)
補正距離ba’(第2→第1)=第2から第1への代表ベクトル群間距離ba/割合(第1中)
以上で補正された第1から第2への代表ベクトル群間距離ab’と第2から第1への代表ベクトル群間距離ba’に対し、上記距離選択部24で大きい方を画像間距離として選択することとなる。
【0063】
図9の(A)及び(B)を参照して、本実施の形態の効果を説明する。
【0064】
ベクトル群間の距離については上記第1の実施の形態にて説明したが、一般に、類似している領域間では、図9の(A)に示す例1のように、代表ベクトル総数(この例ではB領域の7個)に対し、対応領域(この例ではA領域)の代表ベクトルの隣接とされる数(例では7個)の割合(7/7=100%)は大きい傾向がある。従ってこのとき、距離をこの割合に応じて小さくなるように補正すれば、領域Aと領域Bはより類似していると判定することができる。
【0065】
同様に、類似していない領域間では、図9の(B)に示す例2のように、代表ベクトル総数(この例ではB領域の7個)に対し、対応領域(この例ではA領域)の代表ベクトルの隣接とされる数(この例では2個)の割合(2/7=29%)は小さい傾向がある。従ってこのとき、距離をこの割合に応じて大きくなる補正すれば、領域Aと領域Bはより類似していないと判定することができる。
【0066】
従って、本実施形態によれば、互いに類似している画像はより類似度を高くし、互いに類似していない画像はより類似度を低くできるので、画像間の類似度をより正確に表現できる画像間類似度算出装置を提供できる。
【0067】
[第4の実施の形態]
次に、図10、図11の(A)及び(B)を参照して、本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0068】
本実施の形態の構成は、上記第1の実施の形態と同様であり、また、動作も、上記代表ベクトル群間距離算出部23の機能を除いては同様である。よって、この代表ベクトル群間距離算出部23についてのみ説明を行うものとし、その他の説明は省略する。
【0069】
即ち、本実施の形態においては、上記代表ベクトル群間距離算出部23で、上記第1から第2への代表ベクトル群間距離abを算出する際に、まず、上記第1特徴量ベクトル群a2あるいは上記第1代表ベクトル群a3の分布の大きさを求め、その大きさに応じて、その分布の大きさが大きい(小さい)ほど、上記第1から第2への代表ベクトル群間距離abを小さく(大きく)なるように補正する。
【0070】
同様に、上記第2特徴量ベクトル群b2あるいは上記第2代表ベクトル群b3の分布の大きさを求め、その大きさに応じて、その分布の大きさが大きい(小さい)ほど、上記第2から第1への代表ベクトル群間距離baを小さく(大きく)なるように補正する。
【0071】
ここで、補正の仕方としては、例えば次式のように行うこととする。
【0072】
補正距離ab”(第1→第2)=第1から第2への代表ベクトル群間距離ab/分布の大きさ(第1の領域)
補正距離ba”(第2→第1)=第2から第1への代表ベクトル群間距離ba/分布の大きさ(第2の領域)
また、上記第3の実施の形態と組み合わせて、
補正距離ab”(第1→第2)=第1から第2への代表ベクトル群間距離ab/{分布の大きさ(第1の領域)×割合(第2中)}
補正距離ba”(第2→第1)=第2から第1への代表ベクトル群間距離ba/{分布の大きさ(第2の領域)×割合(第1中)}
としてももちろん構わない。
【0073】
以上で補正された第1から第2への代表ベクトル群間距離ab”と第2から第1への代表ベクトル群間距離ba”に対し、距離選択部24にて、大きい方を画像間距離として選択する。
【0074】
なお、図10では、上記第3の実施の形態の補正の仕方と組み合わせた場合を示してあるが、勿論、本実施の形態の補正の仕方を単独で行っても構わない。
【0075】
図11の(A)及び(B)を参照して、本実施の形態の効果を説明する。
【0076】
一般に、分布が小さい領域は他の画像に対応する領域との距離が小さく、分布が大きい領域はその距離が大きい傾向がある。従ってこのとき、距離をこの分布(例:距離ABを求めるときはAの領域)の大きさに応じて、その分布の大きさが大きい(小さい)ほど、代表ベクトル群間距離abを小さく(大きく)なるように補正することによって、図11の(A)に示すような例1の場合も、図11の(B)に示すような例2の場合も、ほぼ同程度の類似度に補正することができる。
【0077】
なお、分布の大きさは、特徴量ベクトル群から求めても、代表ベクトル群から求めてもどちらでも良い。分布は直接、標準偏差等を求めても良いが、分布の大きさを求めたいある領域に対し、様々な領域との距離を計算しておき、その最大値を分布の反映する量(分布が大きい/小さい領域は任意の領域との最大距離も大きく/小さくなる傾向がある)として間接的に求めても良い。即ち、次式のようにしても良い。
【0078】
補正距離ab”(第1→第2)=第1から第2への代表ベクトル群間距離ab/第1の領域と他の画像の構成領域との距離のうちの最大値
補正距離ba”(第2→第1)=第2から第1への代表ベクトル群間距離ba/第2の領域と他の画像の構成領域との距離の最大値
以上、本実施形態によれば、分布の大きさの大小によって類似度を補正することにより、特徴量の分布の大きさによって画像間の類似性が異なって判定されるようなシステムの不安定さがなく、画像間の類似度をより正確に表現できる画像間類似度算出装置を提供できる。
【0079】
以上実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0081】
例えば、代表ベクトル群算出部22では、自己組織化特徴マッピング、K−means法などのクラスタリング法やベクトル量子化法を用いて特徴量ベクトル群のべクトル数より少ない数に設定したが、特徴量ベクトル群の数が少ない場合や計算能力の高いコンピュータを用いて実現する場合などは、特徴量ベクトル群を代表ベクトル群としてそのまま用いても良い。その場合は、代表ベクトル群算出部22は特別な設定処理をすることなく、直接、特徴量ベクトルを全て代表ベクトルとして設定すれば良い。
【0082】
また、画像間の類似度を算出した後の類似度は、類似画像検索のために利用しても良いし、画像群をいくつかの類似シーン毎にまとめるために、任意の類似シーンに属するかどうかの閾値処理の対象として利用しても良い。
【0083】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、二つの画像間の色分布に関する類似度を算出するとき、特徴量の抽出方法に情報の損失が無いように工夫しなくても様々な画像に対しその画像特徴を忠実に再現した特徴量を抽出でき、画像間の色分布に関する類似度を正確に表現できる画像間類似度算出装置、画像間類似度算出方法、及び、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像間類似度算出装置の機能ブロック図である。
【図2】(A)は第1の実施の形態に係る画像間類似度算出装置のブロック構成図であり、(B)はその動作フローチャートを示す図である。
【図3】ベクトル群間の相対距離を説明するための概念図である。
【図4】相対距離の性質を説明するための図である。
【図5】第1の実施の形態における類似度算出手法を説明するための図である。
【図6】第1の実施の形態における類似度算出手法を説明するための図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る画像間類似度算出装置の機能ブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る画像間類似度算出装置の機能ブロック図である。
【図9】第3の実施の形態の効果を説明するための図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る画像間類似度算出装置の機能ブロック図である。
【図11】第4の実施の形態の効果を説明するための図である。
【図12】従来の画像間類似度算出手法を説明するための図である。
【図13】従来の画像間類似度算出手法における特徴ベクトルの算出方法を説明するための図である。
【図14】従来の画像間類似度算出手法の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
10 入力装置
11 画像入力部
20 演算装置
20A CPU
20B プログラムメモリ
21 特徴量ベクトル群算出部
22 代表ベクトル群算出部
23 代表ベクトル群間距離算出部
24 距離選択部
25 類似度出力部
30 出力装置
Claims (10)
- 画像の特徴を比較すべき第1比較対象画像と第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データによりそれぞれ形成される色分布間の類似度を算出する画像間類似度算出装置であって、
前記第1比較対象画像と前記第2比較対象画像とを入力する画像入力部と、
前記第1比較対象画像と前記第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データを色空間上に配置することで形成されるそれぞれの色分布から、各々の画像の特徴を示す、第1特徴量ベクトル群と第2特徴量ベクトル群とを前記色空間上において算出する特徴量ベクトル群算出部と、
前記第1特徴量ベクトル群からみた前記第2特徴量ベクトル群の相対距離を示す第1から第2へのベクトル群間距離を、前記第1特徴量ベクトル群の各ベクトルと前記第2特徴量ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出するとともに、前記第2特徴量ベクトル群からみた前記第1特徴量ベクトル群の相対距離を示す第2から第1へのベクトル群間距離を、前記第2特徴量ベクトル群の各ベクトルと前記第1特徴量ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出するベクトル群間距離算出部と、
前記第1から第2へのベクトル群間距離と前記第2から第1へのベクトル群間距離とのうち、大きい方を画像間距離として選択する距離選択部と、
前記画像間距離を用いて前記色分布間の類似度を定義し出力する類似度出力部と、
を具備することを特徴とする画像間類似度算出装置。 - 前記特徴量ベクトル群算出部で算出する前記第1特徴量ベクトル群のベクトル数と前記第2特徴量ベクトル群のベクトル数とが同数であり、
前記ベクトル群間距離算出部で算出する前記第1から第2へのベクトル群間距離は、前記第1特徴量ベクトル群の各ベクトルと前記第2特徴量ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、前記第1特徴量ベクトル群の各ベクトルに関する総和とし、
前記ベクトル群間距離算出部で算出する前記第2から第1へのベクトル群間距離は、前記第2特徴量ベクトル群の各ベクトルと前記第1特徴量ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、前記第2特徴量ベクトル群の各ベクトルに関する総和とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像間類似度算出装置。 - 前記ベクトル群間距離算出部で算出する前記第1から第2へのベクトル群間距離は、前記第1特徴量ベクトル群の各ベクトルと前記第2特徴量ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、前記第1特徴量ベクトル群の各ベクトルに関する平均とし、
前記ベクトル群間距離算出部で算出する前記第2から第1へのベクトル群間距離は、前記第2特徴量ベクトル群の各ベクトルと前記第1特徴量ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、前記第2特徴量ベクトル群の各ベクトルに関する平均とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像間類似度算出装置。 - 画像の特徴を比較すべき第1比較対象画像と第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データによりそれぞれ形成される色分布間の類似度を算出する画像間類似度算出装置であって、
前記第1比較対象画像と前記第2比較対象画像とを入力する画像入力部と、
前記第1比較対象画像と前記第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データを色空間上に配置することで形成されるそれぞれの色分布から、各々の画像の特徴を示す、第1特徴量ベクトル群と第2特徴量ベクトル群とを前記色空間上において算出する特徴量ベクトル群算出部と、
前記第1特徴量ベクトル群と第2特徴量ベクトル群とから、各々の特徴量ベクトル群を代表する、第1代表ベクトル群と第2代表ベクトル群とを算出する代表ベクトル群算出部と、
前記第1代表ベクトル群からみた前記第2代表ベクトル群の相対距離を示す第1から第2への代表ベクトル群間距離を、前記第1代表ベクトル群の各ベクトルと前記第2代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出するとともに、前記第2代表ベクトル群からみた前記第1代表ベクトル群の相対距離を示す第2から第1への代表ベクトル群間距離を、前記第2代表ベクトル群の各ベクトルと前記第1代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出する代表ベクトル群間距離算出部と、
前記第1から第2への代表ベクトル群間距離と前記第2から第1への代表ベクトル群間距離とのうち、大きい方を画像間距離として選択する距離選択部と、
前記画像間距離を用いて前記色分布間の類似度を定義し出力する類似度出力部と、
を具備することを特徴とする画像間類似度算出装置。 - 前記代表ベクトル群算出部で算出する前記第1代表ベクトル群のベクトル数と前記第2代表ベクトル群のベクトル数とが同数であり、
前記代表ベクトル群間距離算出部で算出する前記第1から第2への代表ベクトル群間距離は、前記第1代表ベクトル群の各ベクトルと前記第2代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、前記第1代表ベクトル群の各ベクトルに関する総和とし、
前記代表ベクトル群間距離算出部で算出する前記第2から第1への代表ベクトル群間距離は、前記第2代表ベクトル群の各ベクトルと前記第1代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、前記第2代表ベクトル群の各ベクトルに関する総和とする、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像間類似度算出装置。 - 前記代表ベクトル群算出部で前記第1から第2への代表ベクトル群間距離を算出する際に、前記第2代表ベクトル群の総数に対する、前記第1代表ベクトル群の各ベクトルと最隣接する第2代表ベクトル数の割合を算出し、その割合が大きいほど前記第1から第2への代表ベクトル群間距離を小さくなるように補正し、
前記代表ベクトル群算出部で前記第2から第1への代表ベクトル群間距離を算出する際に、前記第1代表ベクトル群の総数に対する、前記第2代表ベクトル群の各ベクトルと最隣接する第1代表ベクトル数の割合を算出し、その割合が大きいほど前記第2から第1への代表ベクトル群間距離を小さくなるように補正する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像間類似度算出装置。 - 前記代表ベクトル群間距離算出部で前記第1から第2への代表ベクトル群間距離を算出する際に、前記第1特徴量ベクトル群あるいは前記第1代表ベクトル群が属する前記色分布の大きさに応じて、その色分布の大きさが大きいほど、前記第1から第2への代表ベクトル群間距離を小さくなるように補正し、
前記代表ベクトル群間距離算出部で前記第2から第1への代表ベクトル群間距離を算出する際に、前記第2特徴量ベクトル群あるいは前記第2代表ベクトル群が属する前記色分布の大きさに応じて、その色分布の大きさが大きいほど、前記第2から第1への代表ベクトル群間距離を小さくなるように補正する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の画像間類似度算出装置。 - 前記代表ベクトル群間距離算出部で算出する前記第1から第2への代表ベクトル群間距離は、前記第1代表ベクトル群の各ベクトルと前記第2代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、前記第1代表ベクトル群の各ベクトルに関する平均とし、
前記代表ベクトル群間距離算出部で算出する前記第2から第1への代表ベクトル群間距離は、前記第2代表ベクトル群の各ベクトルと前記第1代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離の、前記第2代表ベクトル群の各ベクトルに関する平均とする、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像間類似度算出装置。 - 画像の特徴を比較すべき第1比較対象画像と第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データによりそれぞれ形成される色分布間の類似度を算出する画像間類似度算出方法であって、
前記第1比較対象画像と前記第2比較対象画像とを入力し、
前記第1比較対象画像と前記第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データを色空間上に配置することで形成されるそれぞれの色分布から、各々の画像の特徴を示す、第1特徴量ベクトル群と第2特徴量ベクトル群とを前記色空間上において算出し、
前記第1特徴量ベクトル群と第2特徴量ベクトル群とから、各々の特徴量ベクトル群を代表する、第1代表ベクトル群と第2代表ベクトル群とを算出し、
前記第1代表ベクトル群からみた前記第2代表ベクトル群の相対距離を示す第1から第2への代表ベクトル群間距離を、前記第1代表ベクトル群の各ベクトルと前記第2代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出するとともに、前記第2代表ベクトル群からみた前記第1代表ベクトル群の相対距離を示す第2から第1への代表ベクトル群間距離を、前記第2代表ベクトル群の各ベクトルと前記第1代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出し、
前記第1から第2への代表ベクトル群間距離と前記第2から第1への代表ベクトル群間距離とのうち、大きい方を画像間距離として選択し、
前記画像間距離を用いて前記色分布間の類似度を定義し出力する、
ことを特徴とする画像間類似度算出方法。 - 画像の特徴を比較すべき第1比較対象画像と第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データによりそれぞれ形成される色分布間の類似度を算出する際に、コンピュータに、
前記第1比較対象画像と前記第2比較対象画像とを入力する機能と、
前記第1比較対象画像と前記第2比較対象画像のそれぞれに含まれる画素データを色空間上に配置することで形成されるそれぞれの色分布から、各々の画像の特徴を示す、第1特徴量ベクトル群と第2特徴量ベクトル群とを前記色空間上において算出する機能と、
前記第1特徴量ベクトル群と第2特徴量ベクトル群とから、各々の特徴量ベクトル群を代表する、第1代表ベクトル群と第2代表ベクトル群とを算出する機能と、
前記第1代表ベクトル群からみた前記第2代表ベクトル群の相対距離を示す第1から第2への代表ベクトル群間距離を、前記第1代表ベクトル群の各ベクトルと前記第2代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出するとともに、前記第2代表ベクトル群からみた前記第1代表ベクトル群の相対距離を示す第2から第1への代表ベクトル群間距離を、前記第2代表ベクトル群の各ベクトルと前記第1代表ベクトル群中の最隣接ベクトルとの距離を用いて算出する機能と、
前記第1から第2への代表ベクトル群間距離と前記第2から第1への代表ベクトル群間距離とのうち、大きい方を画像間距離として選択する機能と、
前記画像間距離を用いて前記色分布間の類似度を定義し出力する機能と、
を実現させるためのプログラム。
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