JP4130280B2 - 歯科用色調ガイド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科領域において歯科医師師や歯科技工士が人工歯または歯冠修復材の色調を決める際に用いる歯科用色調ガイドに関する。
【0002】
【従来の技術】
損傷を受けた歯や、無くなった歯を復元するためには、修復材料を使用して充填を施されることが今日多くなってきている。これらの歯科用複合材料によって、損傷を受けた歯の一部分の組織は治療されたり、また置換される。また、ある種の復元、例えば、歯冠やブリッジや移植や義歯などは、口腔内に適切に確保される人工材料、補綴材料(修復材料)を使用して修復される。
歯科医師師は、上記のような治療や処置に当たって、当該歯または隣接歯の色調に合った修復材料を調製して歯を復元するべく歯科用色調ガイドを使用して適切なカラーを選択する。一般的には、それぞれ異なった歯科用色調ガイドの中から1種類の適切な歯科用色調ガイドを選び出し、それと同じ色調の修復材料を使用する。この歯科用色調ガイドは、患者の歯のカラーに最もよく合ったカラーを有する歯科用色調ガイドの選択を可能にするために歯に隣接して保持される。一旦ひとつのガイドが選択されると、そのガイドの種類によって、歯科医師は、適切に着色された修復材料を選択できるようになっている。
【0003】
ある種の従来式歯科用色調ガイドは、歯型に形成されており、またその色調ガイドを患者の歯の隣接位置に保持するためのハンドルを有しているか、ワイアまたはチェーン状の部材が多数の色調ガイドのハンドルに形成された穴に通されており、これらの色調ガイドがばらつかないように、また所望の個々の色調ガイドを保持することができるようにしている。しかしながら、一方の色調ガイドのカラーを他方の色調ガイドのカラーと比較する際には、通常両手が必要となる。
【0004】
またある種の従来式歯科用色調ガイドは、一列に配置された多数のガイド受けを備えたホルダを有している。各ガイド受けは、色調ガイドの部分がホルダ上に突出し且つ該部分を視認できるように、色調ガイドを取り替え自在に収納するように構成されている。歯科医師は、一方の手を使ってそのホルダを患者の歯に隣接した位置に支持することができ、これによって、多数の色調ガイドを同時に観察できる(必要時には、更によく見ることができるように、1個またはそれ以上のガイドをホルダから取りはずすこともできる)。しかしながら、そのホルダに組み込むことのできる色調ガイドは、種類の限られたガイドのみが保持できるだけである。付加的なガイド受けを備えたより大きなホルダが提供されたとしても、大きなホルダが邪魔になるような場合や、色調ガイド選択時においてそれ程多くの色調ガイドを必要としない場合には、それらのホルダの取り扱いには不便さを感じる。
【0005】
また、ある種の従来式歯科用色調ガイドは、ハンドル付き歯科用色調ガイドのみでの使用、またはハンドル付き歯科用色調ガイドのハンドルをホルダに挿し込んで使用していた。これは販売・輸送時に破損等を防ぐためのもので、ハンドル付き歯科用色調ガイドを患者の口腔内に挿入して色調を判断するときの目視による色の誤差が大きく、技工した人工歯または歯冠修復材を実際に口腔内に装着したときに天然歯と色調が合わないことがあった。また、技工した人工歯または歯冠修復材をハンドル付き歯科用色調ガイドとして試験するときにホルダに並べたものと見比べたり、ハンドル付き人工歯と直接較べていたが、目視による色の誤差が大きく、実際にこれを口腔内に装着したときに天然歯と色調が合わないことがあった。
【0006】
また、ある種の従来式歯科用色調ガイドは、ハンドル付き歯科用色調ガイド間やハンドル付き歯科用色調ガイドとホルダとの間に空間があると、その後方の色調およびハンドルの部分の色調等が反映し、患者の口腔内での色調を決める際、色対比効果により正しい色調を決めることが困難であり、誤差を生じる問題点があった。
【0007】
また、ある種の従来式歯科用色調ガイドは、人工歯の形をしているか、またはそれに近い形をしていることが多く、口腔内で天然歯と見比べる場合、欠損した歯全体を覆い、隣接した歯と色調を見比べるかまたは欠損した歯と見比べ、色調を判断し充填する修復材料を選択していた。しかしながら、欠損した歯全体を覆い隣接した歯と色調を見比べるかまたは欠損した歯と見比べることしかできなかった。欠損した部分を補いながら、修復する歯と見比べることが求められている。
【0008】
また、ある種の従来式歯科用色調ガイドは、歯頚部に歯肉色を装備することにより、天然歯と同じ環境にして見比べることにより、錯覚や誤差を少なくして人工歯や天然歯との色調を判断し充填する修復材料を選択していた。しかしながら、歯頚部に歯肉色を設けたとしても、歯肉色には個人差があり、同じ環境になったとは言い難かった。更に、欠損した歯と見比べる場合、人工歯や天然歯と同一形状をしていても誤差を少なくすることができなかった。
【0009】
また、ある種の従来式歯科用色調ガイドは、インジケーターと呼ばれ、円盤状やテーブル状の板に張り付けられており、口腔内で色調を判断する場合、天然歯等に隣接して色調を確かめることができない。更に、板の色調が不適切であるため、口腔内での色調の確認をすることができない。
【0010】
また、ある種の従来式歯科用色調ガイドは、複数の層から作成された人工歯形態をしていることから、選択した色調の修復材料にて修復しても満足のできる色調にならなかった。天然歯の欠損の大きさや深さによって、充填した修復材料の発色が変化するため、欠損の大きさや深さを考慮して修復材料を選択することができなかった。
【0011】
更に、従来の歯科用色調ガイドは、複数の層から作成された人工歯形態をしていることから、色調の異なる2種類の修復材料で修復を行う場合、1色目の修復材料を築盛後、途中で色調を確認することができず、術者の感に頼ることが多かった。
【0012】
更に、最近の色調確認方法としては、器械測色法が行われているが、この方法では測色範囲が広いため健全な歯や人工歯を測色することができたとしても、欠損した部分が大きい場合、測色が不可能である。更に正確に測色ができたとしても、器械による測色は熟練した技術士の域には達していない。
【0013】
更に、ホルダにおいては、専用の歯科用色調ガイドのみをホールドするように設計されている。しかしながら、歯科界でスタンダードとされているビンテージハローのシェードガイドを同時にホールドすることができなかったため、術者は標準品との確認をする際に、別のホルダでホールドするか、シェードガイドを手で持ち、両手で見比べなければならなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、患者の歯と装填後の歯科修復物との色調を容易に且つ正確に色調合わせすることのできる歯科用色調ガイドを提供するものである。特に隣接歯との色調適合性だけでなく、欠損部を有する歯の正常部との色調合わせが正確になし得、また周辺部の色調を考慮に入れながら対象歯部との正確な色調合わせが容易な歯科用色調ガイドを提供することを目的とする。特に修復部の深さを考慮した色調合わせが可能な歯科用色調ガイドを提供することをも目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、修復材料と修復を行うべき天然歯との色調適合性評価のために使用されるガイド部およびハンドル部を備えた歯科用色調ガイドにおいて、ガイド部の縦または横のいずれかの長さを修復の対象となる天然歯の幅の約半分としたことを特徴とする歯科用色調ガイドに関する。
また、本発明は、修復材料と修復を行うべき天然歯との色調適合性評価のために使用されるガイド部およびハンドル部を備えた歯科用色調ガイドにおいて、ガイド部の縦または横のいずれかの長さを修復の対象となる天然歯の幅の約半分とし、且つガイド部の厚さを縦または横のいずれか長い方の長さ方向に沿って勾配を付けたことを特徴とする歯科用色調ガイドに関する。
詳しくは、本発明は、ガイド部が、色見本部材またはハンドル部の先端部に一体的に形成されたセル中に保持された色見本部材で構成される請求項1または2に記載の歯科用色調ガイドに関する。
また詳しくは、色見本部材の縦または横方向のうち短い方の長さが2〜6mm、長い方の長さが7〜15mmであり、且つ縦または横のいずれか長い方の長さ方向に沿って形成した厚さの勾配が、厚さ0〜3.0mmから1.0〜7.0mmへと連続的に変化する上記歯科用色調ガイドに関する。
更に、本発明は、ガイド部の側面に色見本部材の厚さを表示する尺度を設けた上記の歯科用色調ガイドに関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の歯科用色調ガイドは、色見本部材の幅が修復の対象となる歯とほぼ同じである従来のものと異なり、常識的には想到し得ないはるかに小さなものとしたところに特徴があり、これによって変色や欠損を有するため修復を要する当該歯の修復部の上に本発明歯科用色調ガイドを当てることによりガイド部と当該歯の色調を従来以上に正確に比較することができる。即ち変色や欠損の部分の上にガイド部を置くことによって色調適合性の評価の妨害となる変色や欠損部分を被覆しつつ正常部の色調と比較できるため正常部の色調を正確に読みとることができる。
更に、本発明の歯科用色調ガイドの特徴は、ガイドの縦または横のいずれかの長さを天然歯の幅の約半分小さくするとともに、ガイド部の厚さ、詳しくはガイド部を構成する色見本部材の厚さが連続的に変化するように縦または横方向に勾配を設けたことにある。したがってガイド部はその中に種々の厚さ部分を有することになり、その中から修復すべき欠損部に相当する厚さ部分を選んで色調合わせに使用することができる。このように修復すべき部分に使用する修復材料の色調を、使用する厚さも加味して決定することができるため、実際に修復した後の色調適合性は従来より向上したものとすることができる。厚さの変化は直線的勾配を持つことが好ましい。
【0017】
上記においてガイド部とは色見本部材そのものである場合もあるが、後述するように色見本部材とそれを充填しているセルとから構成される場合がある。
また、本発明の歯科用色調ガイドには、ガイド部の側面にガイド部の厚さ勾配に沿って、図4にその例を示すように、その厚さが一目して分かるように厚さ表示目盛をとり付けてもよい。
【0018】
本発明の歯科用色調ガイドは、ガイド部およびハンドル部からなる。
ハンドル部は、歯科医師師等使用者が歯科用色調ガイドを取り扱い易いようにその一部を構成するものである。ハンドル部は色調適合性の評価の妨害とならないように無色透明であり、且つ色見本部材と同じ材料でできていることが好ましく、例えばアクリル樹脂やスチレン樹脂などのプラスチックを用いて成形される。ハンドル部の幅、長さおよび厚さは使用者が取り扱い易い大きさであれば、更にホルダーに保持できる大きさであれば特に限定されないが、ガイド部の幅と同じかまたは同等であることが好ましい。長さも特に限定はなく取り扱い性の観点から選べばよく、同様の用途の従来の商品と同等の長さでよい。ハンドル部の幅はガイド部と同一とすることで二色のガイド部を図7に示すように同時に同一の平面に並べて置くことができ、修復すべき歯の色調適合性を判断できる。
ハンドル部の好ましい形態では、ガイド部と一体になっており、このような形態ではハンドル部の先端にはガイド部の色見本部材を保持することのできるセルが形成されている(図1(b)に表示)。セルは色見本部材が充填できるように上面が開放された形に成形され、セルの深さは充填した色見本部材が上記したように所定の厚みと勾配を持つことができるように勾配が形成される。ここで「上面」とはガイド部の色調適合性の評価に用いられる色見本部材の表面側を言う。したがってセルの大きさは充填される色見本部材が上記した本発明で規定する大きさになるように形成され、セルの厚さは色見本部材が保持される強度を有する程度の大きさであればよく、その範囲でできるだけ薄いことが好ましい。
【0019】
ガイド部は、歯科用色調ガイドのうち種々の色の色見本部材が取り付けられた部分であり、対象とする歯との色調合わせを行う部分である。本発明のガイド部は、通常上記のセルとそこに充填された色見本部材とから構成される。この場合、ガイド部は種々の色調に調合した実際に使用される組成物である修復材料をセルの中へ充填し硬化させるだけで作成することができる。
しかし、本発明のガイド部はセルを使用することなく、色見本部材単独で構成することもできる。この場合は、種々の色調に調合した実際に使用される組成物である修復材料を成形型を用いるなどして色見本部材を成形し、これをハンドル部の先端に接着剤等によりまたは機械的な手段で取り付けることにより作成することができる。
【0020】
色見本部材の大きさは、縦または横方向のうち短い方の寸法は2.0〜6.0mm、好ましくは2.5〜4.0mm、更に好ましくは3.0mmであり、長い方の寸法は7.0〜15.0mm、好ましくは8.0〜12.0mm、更に好ましくは10.0mmである。また、色見本部材は縦または横方向のうち長い方の長さ方向に沿って厚さ勾配を持ち、その厚さは、薄い方で0〜3.0mm、好ましくは0〜2.0mm、厚い方で1.0〜7.0mm好ましくは1.5〜4.5mmである。
色見本部材は半透明材料からなることが好ましい。特に好ましくは、色調適合性の確認後に修復部に充填するコンポジットと同等の透明性を有するものが好ましい。この半透明性とは日歯保誌、38(1),p.158−171(1995)に記載の透明性測定法で測定した数値が0.30〜0.90、好ましくは0.50〜0.70、より好ましくは0.50〜0.65であるものをいう。
色見本部材の材料は、色調適合性の確認後に充填する材料と、同色調を有する材料がよく、同一材料であることがより好ましい。更に好ましくは、充填後の窩洞形状や修復歯の色調を考慮に入れて調色を行った材料がよい。材質としては、硬質ポリ塩化ビニル、スチロール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポーセレンまたはこれらの混合物等いずれでもよいが、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂がより好ましい。
【0021】
本発明の歯科用色調ガイドの構成に由来するもう一つの利点は、色見本部材として実際に使用される修復材料を使用できることである。修復材料は通常高価な原料が使用されているため色見本部材として多量の修復材料が使用されると歯科用色調ガイドの価格が高くなるという問題があり、そのため実際の修復材料が使用されず、代替物としてアクリル樹脂等が使用される場合が多かった。代替品を使用すると、色見本の段階では対象となる歯とよく一致した色調を選択できたとしても、それを実用の修復材料と置きかえる段階では色調の誤差が生じることになりがちである。本発明の歯科用色調ガイドの場合は色見本部材として用いる材料は少量であるため価格上昇を気にすることなく実際の修復材料を用いることができる。
【0022】
更に、本発明の歯科用色調ガイドは、色調の異なる2種類の修復材料で積層修復を行う場合、1層目の修復材料を築盛後、途中で2層目の修復材料を築盛する前に、2層目の修復材料を築盛した色調の確認にも使用できるという利点がある。
【0023】
本発明の歯科用色調ガイドは、近似する色調をもった複数のものをホルダーに並べて色調適合性評価を行うのが便利であり、且つ色調適合性評価の精度はより向上する。このようなホルダーとしては、歯科用色調ガイドのハンドル部分を挿し込む穴を備えた市販されている各種ホルダーと同様のものが使用できる。これらのタイプのホルダーは一般にはそれぞれの歯科用色調ガイドに合わせて専用に作成されており、したがってひとつのホルダーには他のメーカーの歯科用色調ガイドを同時に挿し込んで使用しても満足な利用ができない。例えば他のメーカーのガイドが大きくて挿し込めない、挿し込んでもガイド部の高さが不揃いとなり色調合わせが行いにくい、挿し込んだものが落下しやすい等の問題ある。
【0024】
本発明の歯科用色調ガイドを使用する場合に限らず、タイプの異なる歯科用色調ガイドをひとつのホルダーに保持して色調合わせを行うには、例えばホルダーの各ハンドル保持部の穴の底部に貫通孔を有し、穴の壁面にはその上、中、下の部分に左右(または前後)の方向から交互に突出した押えを設けてハンドルを3点で固定する手段を設けたものを使用することが便利である。この例を図11に示す。このようなホルダーを使用すると各種の色調ガイド、例えば本発明の色調ガイドとビンテージハロー((株)松風製)のシェードガイドを任意の保持高さに保って同じホルダーに保持することができ、歯科用色調ガイドをより有効に使用することができる。このようなホルダーの使用例を図12に示す。
【0025】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
実施例1
本発明の歯科用色調ガイドのひとつの態様を図1に示す。図1(a)はハンドル2の先端に設けたセル3の部分に色見本部材4となる修復材料コンポジットを充填して硬化した歯科用色調ガイドである。セルの内部幅は3.0mmであり、セル内部の深さは先端部で0.5mm、手前ハンドル側で2.5mmの勾配を有している。セルの内部の長さは10mmである。セルを含めて1体に成形されたハンドル部は無色透明のアクリル樹脂製であり、セル部分の壁の厚さは0.5mmである。
図1(b)は色見本部材を充填する前のハンドル部全体を示す。
【0026】
実施例2
図2は、実施例1においてセル内部の深さが先端部で0mmである本発明の歯科用色調ガイドの別の態様を示している。図2(b)は色見本部材を充填する前のハンドル部全体を示す。
【0027】
実施例3
ハンドル部にセルがなく、色見本部材の成形体がハンドル部先端に直接取り付けられた例を図3に示す。
【0028】
実施例4
窩洞が1、2、3、5級窩洞などのエナメル層である場合の本発明の歯科用色調ガイドの使用方法を、例として図5、図6および図7を用いて説明する。
修復は次のような段階を追って行われる。
(1)歯面上に図5に示すように窩洞形成を行い、窩洞の深さを測定する。測定方法は、治具を使用してもよいし、目視で行ってもよい。
(2)窩洞を覆うように本発明の歯科用色調ガイドを保持する(図6)。充填すべき窩洞の上に歯科用色調ガイドを宛がうことで、充填後の色調が歯科用色調ガイドを通して再現される。
(3)窩洞の深さに合わせた歯科用色調ガイドの色調と修復歯の色調を見比べて、歯と最もよく一致する歯科用色調ガイドを選び、これの相当する修復材料を決定することができる。
(4)対象とする歯の色調に近い歯科用色調ガイドが2個選ばれる場合は、図7に示すように2個の歯科用色調ガイドを並べて修復歯の上におき、より適切な方を採択する。
(5)こうして選ばれた修復材料を用いて窩洞部を充填し修復を行う。
【0029】
実施例5
窩洞が4級窩洞であり、窩洞が深い症例において、デンチン色を築盛した上にエナメル色を築盛する積層盛を行う場合の本発明の歯科用色調ガイドの使用方法を、例として図8、図9および図10を用いて説明する。
修復は次のような段階を追って行われる。
(1)口腔内に図8に示すような窩洞形成を行う。
(2)デンチン色を決定するために、図9に示すように窩洞の上に窩洞部を覆うように本発明の歯科用色調ガイドを保持する。
(3)充填する窩洞の上に歯科用色調ガイドを宛がうことで、デンチン色修復後の色調が歯科用色調ガイドを通して再現される。
(4)デンチン色の色調確認はエナメル色上で行うよりも、デンチン色そのものの上で行うのが好ましいが、本発明の歯科用色調ガイドを使用する場合には図10に示すようにして歯科用色調ガイドを用いることによるそれが可能となる。
(5)次にデンチン色の上に載るエナメル色の色調確認を行うが、これは実施例4と同様にして行えばよい。先ずエナメル色の厚さを測定する。
(6)デンチン色の上を覆うように本発明の歯科用色調ガイドを保持する。充填するデンチン色の上に歯科用色調ガイドを宛がうことで、充填後の色調が歯科用色調ガイドを通して再現される。
(7)エナメル層の厚さに合わせた歯科用色調ガイドの色調と修復されるべき歯の色調を見比べて、一致する修復材料を選び出す。
(8)色調の近い歯科用色調ガイドが2個選ばれる場合は、2個の歯科用色調ガイドを並べて修復歯の上におき、より適切な方を採択する。
(9)各修復材料の選定が終わったら、修復材料の築盛を行う。デンチン色複合材料の築盛は、その築盛途中であっても、エナメル色の厚さを考慮するために歯科用色調ガイドをデンチン修復材料の上を覆うように保持する。充填するデンチン部の上に歯科用色調ガイドを宛がうことで、充填後の色調が歯科用色調ガイドを通して再現される。
(10)築盛後の色調を確認しながら、デンチン色の修復を行う。
(11)エナメル色の修復は、エナメル色の修復材料を充填するに当たり、もう一度色調の確認を行う。色調再現性をより正確に行うために好ましくは、(5)〜(8)の操作をもう一度行う。
(12)色調に適合した修復材料を用いて充填を行う。
【0030】
【発明の効果】
本発明の歯科用色調ガイドにより、隣接歯との色調適合性だけでなく、欠損部を有する歯の正常部との色調合わせが正確になし得、また周辺部の色調に影響を受けることなく対象歯部との正確な色調合わせを容易に行なうことができる。特に修復部の深さを考慮した色調合わせが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の歯科用色調ガイドの外観図:
(a)歯科用色調ガイド、(b)歯科用色調ガイドのハンドル部。
【図2】 厚さ勾配を持つ色見本部材の先端部の厚さが0である本発明の歯科用色調ガイドの別の例を示す外観図:
(a)歯科用色調ガイド、(b)歯科用色調ガイドのハンドル部。
【図3】 ガイド部がセルを有さず、色見本部材が直接ハンドル部先端に取り付けられた歯科用色調ガイドの例を示す外観図。
【図4】 色見本部材にその各部の厚さを表示する目盛が設けられた歯科用色調ガイドの例:
(a)目盛線がハンドルの長さ方向に平行、
(b)目盛線がハンドルの長さ方向に垂直。
【図5】 形成された窩洞の1例。
【図6】 色調適合性評価作業における歯科用色調ガイドの使用方法を示す模式図。
【図7】 色調適合性評価作業における歯科用色調ガイドの別の使用方法を示す模式図(歯科用色調ガイドを2個並列して使用)。
【図8】 形成された窩洞の別の1例(窩洞が深い4級窩洞)。
(a)斜視図、 (b)X方向からの平面図。
【図9】 図8の窩洞修復の場合の色調適合性評価作業における歯科用色調ガイドの使用方法を示す模式図。
(a)斜視図、 (b)X方向からの平面図。
【図10】 図8の窩洞修復の場合の色調適合性評価作業における歯科用色調ガイドの別の使用方法を示す模式図。
(a)斜視図、 (b)X方向からの平面図。
【図11】 本発明の歯科用色調ガイドおよび従来の歯科用色調ガイドに共用可能なホルダーの1例。
(a)タイプ1、 (b)タイプ2
【図12】 図11のホルダーに歯科用色調ガイドを保持した状況を示す模式図。
【符号の説明】
1:歯科用色調ガイド、
2:歯科用色調ガイドのハンドル部、
3:ハンドル部のセル、
4:色見本部材、
5:ガイド部、
6:色見本部の厚さを表示する目盛、
7、7’:修復されるべき歯、
8、8’:形成された窩洞、
9:窩洞上に築盛されたデンチン部修復材料、
10、10’:ホルダーの3点保持部分、
11、11’:ホルダーの3点保持部分、
12、12’:ホルダーの3点保持部分、
13:ホルダー、
14:異なる型の歯科用色調ガイド、
15:異なる型の更に別の歯科用色調ガイド。
Claims (1)
- 修復材料と修復を行うべき天然歯との色調適合性評価のために使用される無色透明のガイド部および無色透明のハンドル部を備えた歯科用色調ガイドにおいて、
ガイド部に色見本部材として実際に使用される修復材料を充填するセルを設けたことを特徴とする歯科用色調ガイド。
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