JP4127419B2 - 移動ロボットのグローバル地図構築方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、とくに地球外の天体において、環境をセンシングしながら自律走行する移動ロボットに用いられるグローバル地図構築方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の移動ロボットは、外界センサにより限られた領域をセンシングして三次元のローカル地図を取得し、ローカル地図に基づいて障害物などの走行不能領域を回避しながら目標へ向う経路を計画し、計画経路に沿って移動するように走行駆動系を制御する。また、この種の移動ロボットでは、目標の変更などにより、かつて走行した領域の情報も利用する。そこで、走行しながら環境のセンシングを間欠的に行い、順次取得したローカル地図を用いて広域の地図すなわちグローバル地図を構築する。このグローバル地図により厳密な経路計画などが可能になる。このような移動ロボットにおいて、グローバル地図を構築するには、順次取得されるローカル地図をマップマッチングによって合成する方法があった。
【0003】
なお、この種の移動ロボットでは、例えば、絶対的な位置の計測手段によって自己位置や方位を正確に判断することも可能ではあるが、地球外の天体といった特異な環境で走行させることや、消費エネルギーの節約が望ましいことなどを考慮すると、絶対位置の計測手段を常時使用することが不可欠であるとは言い難いため、計測手段の使用を制限し、所定の範囲においてはある程度の位置や方向の誤差を容認して走行させることが考えられている。このような状況下では、順次取得したローカル地図をマップマッチングで正確に合成することにより、位置や方位の誤差を修正しつつグローバル地図を構築することが可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マップマッチングを用いた従来のグローバル地図構築方法にあっては、計算負荷が非常に大きく、しかも、屋外自然地形における走行不能領域は形状が複雑であるために計算負荷はさらに大きなものとなり、移動距離の増大とともに記憶データ量も膨大なものとなる。このため、移動ロボットのオンボードコンピュータ(一般的に非力)では、移動時間の間に処理しきれなかったり、長距離を移動するとシステムのリソース不足が生じたりする恐れがあると共に、必要な情報を検索する際の計算負荷も高くなるという問題があり、このような問題を解決することが課題であった。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたもので、移動ロボットの自己位置や方位の誤差、あるいはセンシング誤差等の各種誤差を許容したグローバル地図とし、計算負荷および記憶データ量の低減や情報検索の簡便化などを実現することができる移動ロボットのグローバル地図構築方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる移動ロボットのグローバル地図構築方法は、請求項1として、環境を間欠的にセンシングしながら自立走行を行う移動ロボットのグローバル地図構築方法であって、センシングにより取得したローカル地図内の走行不能領域をチェイン符号化し、そのチェイン符号列を用いて最大セグメント長を求め、XY座標において最大セグメント長方向の座標軸に対する傾斜角度を求めると共に、XY座標における走行不能領域の最大値および最小値を求め、最大値および最小値によって楕円の中心位置と長径および短径を求めたのち、楕円を最大セグメント長方向の傾斜角度分中心回りに回転させ、座標上における楕円の中心位置と、長径および短径と、座標軸に対する傾斜角度を走行不能領域のデータとして記憶する構成とし、請求項2として、複数の走行不能領域に各々対応する楕円同士の距離が所定範囲内になったとき、複数の走行不能領域を1つの走行不能領域として楕円を求める構成とし、請求項3として、センシング毎に走行不能領域に対する楕円を求めて各楕円を重ね合わせ、各楕円内の分割領域について重合数とセンシング数により確率値を求めたのち、同一確率値の分割領域を含む確率楕円を求め、各確率楕円の長径および短径と、中心位置と、長径の傾斜角度を走行不能領域のデータとして記憶する構成としており、上記の構成を課題を解決するための手段としている。
【0007】
【発明の作用】
本発明の請求項1に係わる移動ロボットのグローバル地図構築方法では、センシングにより取得したローカル地図内の走行不能領域(障害物等)をチェイン符号化し、XY座標において、チェイン符号列の最大セグメント長方向の座標軸に対する傾斜角度と、走行不能領域の最大値および最小値を求め、最大値および最小値によって楕円の中心位置と長径および短径を求める。このとき、楕円は、XおよびYのいずれか一方の最大値と最小値の差が長径となり、他方の最大値と最小値の差が短径となる。そして、同楕円を最大セグメント長方向の傾斜角度分中心回りに回転させることにより、走行不能領域に対する楕円フィッティングが成される。そして、座標上における楕円の中心位置と、長径および短径と、座標軸に対する傾斜角度を走行不能領域のデータとして記憶するので、移動ロボットの自己位置や方位の誤差あるいはセンシング誤差がほぼ許容されたグローバル地図となり、走行不能領域はどの様な大きさのものであっても全て楕円の数学式で表現されることとなる。
【0009】
本発明の請求項2に係わる移動ロボットのグローバル地図構築方法では、複数の走行不能領域に各々対応する楕円同士の距離が所定範囲内になったとき、複数の走行不能領域を1つの走行不能領域として楕円を求めるので、その分計算負荷が小さくなり、記憶データ量も少なくなる。
【0010】
本発明の請求項3に係わる移動ロボットのグローバル地図構築方法では、センシング毎に走行不能領域に対する楕円を求めて各楕円を重ね合わせ、各楕円内の分割領域について重合数とセンシング数により確率値を求めたのち、同一確率値の分割領域を含む確率楕円を求め、各確率楕円の長径および短径と、中心位置と、長径の傾斜角度を走行不能領域のデータとして記憶することから、走行不能領域が全て確率楕円の数学式で表現されると共に、移動ロボットの自己位置や方位の誤差あるいはセンシング誤差が完全に許容されたグローバル地図となる。
【0011】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係わる移動ロボットのグローバル地図構築方法によれば、屋外自然地形における複雑な形状の走行不能領域を全て楕円の数学式すなわち楕円の中心位置と、長径および短径と、座標軸に対する傾斜角度で効率良くデータ化して表現することから、移動ロボットの自己位置や方位の誤差あるいはセンシング誤差がほぼ許容されたグローバル地図が得られ、大きな走行不能領域であっても記憶データ量を数バイトで表現することができ、例えばマップマッチングによるグローバル地図の構築に比べて、計算負荷および記憶データ量を大幅に低減することができると共に、記憶データの簡素化によりシステムリソースを有効的に活用することができ、グローバル地図を利用する際には楕円の中心位置を検索するだけで良いので、情報検索の簡便化ならびに高速化なども実現することができる。
【0012】
また、本発明の移動ロボットのグローバル地図構築方法によれば、走行不能領域のチェイン符号列に基づくXY座標において楕円を求めることから、走行不能領域に対して楕円が必要以上に大きくなることもなく、走行不能領域に対する楕円の算出をより一層簡単に行うことができ、計算負荷のさらなる低減化に大きく貢献することができる。
【0013】
本発明の請求項2に係わる移動ロボットのグローバル地図構築方法によれば、請求項1と同様の効果を得ることができるうえに、例えば複数の走行不能領域の間隔が移動ロボットの通過が困難な距離である場合に、複数の走行不能領域を1つの走行不能領域とみなすことができ、これにより、計算負荷および記憶データ量のさらなる低減を実現することができる。
【0014】
本発明の請求項3に係わる移動ロボットのグローバル地図構築方法によれば、請求項1及び2と同様の効果を得ることができるうえに、楕円の重ね合わせを行って走行不能領域を全て確率楕円の数学式で表現することから、移動ロボットの自己位置や方位の誤差あるいはセンシング誤差等の各種誤差を最小化させる高度な計算を必要とせずに走行不能領域の情報を記憶することができると共に、各種誤差を完全に許容し且つ走行不能領域を確率表現したグローバル地図を得ることができ、これにより、走行中に取得した走行不能領域を合成する際に各種誤差により生じる同領域の膨脹や、センシング誤差によってある地点では障害物として認識されたものが別の地点では障害物として認識されなかった場合の処置の問題も解消することができる、また、走行不能領域の確率表現により、例えば、迷路地形のような環境から脱出する際に、走行不能領域を確実に回避したい場合には確率値が低いグローバル地図を用い、走行不能領域を短時間で回避したい場合には確率値が高いグローバル地図を用いるというように、走行計画等に応じて経路や目標地点の選択を幅広く且つ非常に容易に行うことができる。
【0015】
【実施例】
以下、図面に基づいて、本発明に係わる移動ロボットのグローバル地図構築方法の一実施例を説明する。
【0016】
移動ロボットRは、地球外の天体において環境を間欠的にセンシングしながら自立走行を行うものであって、図7に示すように、車輪、車輪駆動用モータおよび操舵装置などで構成した走行駆動機構1と、センサ装置2と、制御装置3を備えると共に、これらの動力源であるバッテリーなどを備えている。
【0017】
センサ装置2は、前方の一定範囲をセンシングする地形センサ4と、移動ロボットRの姿勢を検出する姿勢センサ5と、方位センサ6と、走行駆動機構1の車輪の回転数を検出する車輪回転数センサ7を備えている。地形センサ4には、例えばレーザレンジファインダが用いられる。
【0018】
制御装置3は、移動ロボットRの動作全般を統括するナビゲーションシステム統括部8と、地形センサ4および姿勢センサ5の検出信号により三次元のローカル地図を取得する地図生成部9と、方位センサ6および車輪回転数センサ7の検出信号により移動した位置を検出する自己位置算出部10を備えている。また、制御装置3は、地図生成部9で取得したローカル地図において走行経路を計画する走行経路計画部11と、地図生成部9、姿勢センサ5、方位センサ6および自己位置算出部10からの各信号が入力される経路誘導部12を備えており、走行経路計画部11および経路誘導部12をナビゲーションシステム統括部8に接続すると共に、経路誘導部12から走行駆動機構1の制御指令を出力する。
【0019】
上記の走行駆動機構1、センサ装置2および制御装置3を備えた移動ロボットRは、方位センサ6と車輪回転数センサ7の検出信号により、自己位置算出部10において移動した位置を検出することから、例えば走行地面の状態によって車輪が空転した場合などには、実際の位置と当該移動ロボットRが判断している位置とに誤差が生じることとなり、その誤差を修正せずに走行する。このようにすることにより、計算負荷や消費電力を節約できる。なお、位置誤差の修正が必要であれば、一定距離を走行したのち、絶対的な位置の計測手段を用いて位置誤差を修正することが可能である。
【0020】
上記の移動ロボットRにおけるグローバル地図の構築は、当該移動ロボットRの走行中においてナビゲーションシステム統括部8で行われる。すなわち、図1に示すように、ステップS1において、センシングにより三次元のローカル地図を取得し且つ取得位置および方角を検出したのち、ステップS2において、ローカル地図内の走行不能領域(障害物等)への楕円フィッティングを行う。
【0021】
楕円フィッティング(S2)は、図2に示すように、まずステップS21において走行不能領域Nの周辺探索を行う。これは、図3(a)に示すように、移動ロボットRの前方をセンシングすることによって取得したローカル地図MLにおいて、走行不能領域Nを含む領域をチェイン符号化する。
【0022】
次に、楕円フィッティング(S2)では、ステップS22においてチェイン符号列を利用して最大セグメント長を抽出し、ステップS23においてXY座標における最大セグメント長方向の傾斜角度θを抽出する。これは、図3(b)に示すように、チェイン符号列のXY座標において、走行不能領域Nの最も離間したセグメントP1,P2を選択することにより双方を結ぶ最大セグメント長Lを抽出し、この実施例では、X座標軸に対する最大セグメント長Lの方向の傾斜角度θを抽出している。
【0023】
次に、楕円フィッティング(S2)では、ステップS24において、XY座標における走行不能領域Nの最大値および最小値を抽出する。すなわち、図3(c)に示すように、チェイン符号列のXY座標において、走行不能領域NのX軸方向の最大値Xmaxおよび最小値Xminと、Y軸方向の最大値Ymaxおよび最小値Yminを抽出する。
【0024】
次に、楕円フィッティング(S2)では、ステップS25において、走行不能領域Nの最大値Xmax,Ymaxおよび最小値Xmin,Yminに基づいて楕円の長径a、短径bおよび中心位置cを抽出する。この実施例では、図3(c)に示すように、X軸方向の最大値Xmaxと最小値Xminとの差が長径a(a=Xmax−Xmin)であると共に、Y軸方向の最大値Ymaxと最小値Yminとの差が短径b(b=Ymax−Ymin)であり、且つ最大値Xmax,Ymaxおよび最小値Xmin,Yminで囲まれる長方形の2本の対角線の交点(Xmax−Xmin/2,YmaxYmin/2)が中心位置c(cx,cy)である楕円E1を抽出する。
【0025】
そして、楕円フィッティング(S2)では、ステップS26において、長径a、短径bおよび中心位置(cx,cy)で形成される楕円E1を最大セグメント長L方向の傾斜角度θ分回転させる。すなわち、図3(d)に示すように、長径aおよび短径bである楕円E1をその中心位置c(cx,cy)回りに最大セグメント長L方向の傾斜角度θ分回転させることにより、同楕円E1を走行不能領域Nに対応させる。このとき、楕円E1は走行不能領域Nに概略外接するものとなり、最大セグメント長L方向の傾斜角度θは座標軸に対する楕円E1の傾斜角度となる。
【0026】
上記の如く走行不能領域Nに対する楕円E1のフィッティングを行ったのちには、図1に示すステップS3において、楕円E1のパラメータすなわち長径a,短径b、中心位置c(中心座標cx,cy)および傾斜角度θを抽出し、これらを記憶する。このように、当該グローバル地図構築方法では、屋外自然地形の複雑な形状の走行不能領域Nを楕円E1の数学式で表現するので、計算負荷が小さく且つ記憶データ量が少ないものとなる。なお、走行不能領域Nの最大長から楕円E1を求めることも可能であるが、図2に示す楕円フィッティング処理のように、走行不能領域Nの最大値Xmax,Ymaxおよび最小値Xmin,Yminに基づいて楕円E1を決定すれば、楕円E1の算出がきわめて容易であり、走行不能領域Nに対して楕円E1が必要以上に大きくなることもない。
【0027】
また、当該グローバル地図構築方法では、上記の如く得た楕円E1と走行不能領域Nとの間に幾らかのずれが生じるが、このずれは移動ロボットRの走行に影響を及ぼす恐れは無く、しかも、次に述べる楕円フィッティング後の処理過程においてずれの問題は解消される。
【0028】
グローバル地図構築方法では、図1に示すステップS4において、グローバル地図上に楕円E1を投影する。ここで、移動ロボットRは間欠的にセンシングを行っており、ナビゲーションシステム統括部8では、センシングの度に取得されるローカル地図ML内の走行不能領域Nに対して楕円フィッティングを行い、図4(a)に示すように、順次抽出した楕円E1,E2,E3をグローバル地図MG上に投影する。このとき、順次取得されるローカル地図ML内の同一の走行不能領域Nに楕円フィッティングを行うと、走行し続けている移動ロボットRの自己位置および方位の誤差や、手前では認識できなかった走行不能領域Nの裏側の形状の認識などにより、各楕円E1,E2,E3にずれが生じる。
【0029】
そこで、当該グローバル地図構築方法は、ステップS5において、複数の楕E1,E2,E3で表現された走行不能領域Nの確率表現化を行う。すなわち、グローバル地図MGのピクセル単位で、重合数を分子にし且つセンシング数(この実施例では3回)を分母とする確率値を求める。これにより、図4(b)に示すように、図中実線のハッチングで示す中央の分割領域A1の確率値は『3/3』となり、図中点線のハッチングで示す周囲3つの分割領域A2〜A4の確率値は『2/3』となり、さらに、ハッチング無しの外側3つの分割領域A5〜A7の確率値は『1/3』となる。
【0030】
こののち、当該グローバル地図構築方法は、ステップS6において、確率値毎に楕円の再フィッティングを行う。この再フィッティングは、先に述べた走行不能領域Nに対する楕円フィッティングと同じ要領で行うことができる。これにより、図4(c)に示すように、確率値『3/3』の分割領域A1に対する確率楕円Ep1、確率値『2/3』の3つの分割領域A2〜A4に対する確率楕円Ep2、および確率値『1/3』の3つの分割領域A5〜A7に対する確率楕円Ep3が求められる。
【0031】
そして、当該グローバル地図構築方法では、ステップS7において、各確率楕円Ep1,Ep2,Ep3のパラメータつまり長径(a)および短径(b)と、中心位置(c:cx,cy)と、長径(a)の傾斜角度(θ)を走行不能領域Nのデータとして記憶する。このように、当該グローバル地図構築方法では、グローバル地図MGにおいて、走行不能領域Nを各確率楕円Ep1,Ep2,Ep3の数学式で表現するので、移動ロボットRの自己位置や方位の誤差あるいはセンシング誤差等の各種誤差を最小化させる高度な計算を必要とせずに走行不能領域Nの情報が記憶されることとなり、計算負荷が小さくて済むと共に、移動ロボットRが長距離を移動しても記憶データ量が少なくて済み、しかも、上記各種誤差を完全に許容したグローバル地図MGが得られる。
【0032】
なお、最終的に各確率楕円Ep1,Ep2,Ep3のパラメータを記憶することから、先に抽出した走行不能領域Nに対する楕円E1〜E3のパラメータは消去してもよい。また、先に述べた走行不能領域Nに対する楕円E1のずれ(図3参照)は、走行不能領域Nの確率表現化により移動ロボットRの走行に影響しないものとなる。
【0033】
以上のように構築されたグローバル地図MGは、走行不能領域Nの形状や大きさに関係なく、同走行不能領域Nを確率楕円Ep1〜Ep3のパラメータで記憶しているので、記憶データ量が少ないことから情報検索も簡便に且つ高速で行うことが可能であって、走行不能領域Nの情報を得るには確率楕円Ep1〜Ep3の中心位置cつまり中心座標(cx,cy)を検索すればよい。このような情報検索は、例えば、移動ロボットRの走行計画の際に用いられる。
【0034】
グローバル地図MGには、図5に模式的に示すように、複数の走行不能領域Nが確率楕円Ep1,Ep2,Ep3で表現される。このグローバル地図MG上に設定した目標地点Tに向けて移動ロボットRを走行させる場合には、複数の経路Q1,Q2を設定することができる。図5では、走行不能領域Nを確実に回避して目標地点Tに至る第1経路Q1と、間隔が小さい2つの走行不能領域N,Nの間を通過して目標地点Tに至る第2経路Q2を示している。
【0035】
つまり、距離や時間はかかっても確実に走行不能領域Nを回避したい場合には第1経路Q1を選択し、確実性は劣るが短距離で速やかに目標地点Tに達したい場合には第2経路Q2を選択することとなり、走行計画に応じた経路設定が可能となる。また、グローバル地図MGは、同一目標地点Tに対する経路計画だけではなく、例えば迷路地形から脱出する際に、目標地点候補を複数設定する場合にも用いることができる。なお、図5のグローバル地図MGは、模式的に全ての確率楕円Ep1〜Ep3を示しているが、実際のデータは確率楕円Ep1〜Ep3のパラメータであるから、走行計画に応じて確率値毎のグローバル地図を用いることができる。
【0036】
さらに、図5において第2経路Q2を選択した場合、最も確率値の低い確率楕円Ep3に接近あるいは領域内に入り込むこととなり、走行不能領域Nに干渉する可能性が零ではないことになるが、グローバル地図MGに基づいて走行しているときも移動ロボットRは間欠的なセンシングを行っているので、走行不能領域Nに干渉することは無い。また、このときのセンシングにより取得したローカル地図MLにおいて走行不能領域Nに対する楕円フィッティングを行い、グローバル地図MG上の確率楕円を修正することも可能である。
【0037】
そしてさらに、当該移動ロボットRのグローバル地図構築方法では、図6に示すように、楕円フィッティングの際に、複数の走行不能領域N,Nに各々対応する楕円E,E同士の距離が所定範囲内になったとき、複数の走行不能領域N,Nを1つの走行不能領域Nとして楕円Eを求めることも行う。楕円E,E同士の距離範囲は、例えば移動ロボットRの幅寸法に基づいて設定する。つまり、楕円E,E同士の距離が所定範囲内であるということは、複数の走行不能領域N,Nの間隔が移動ロボットRの通過が困難な距離である場合であり、双方間の領域も移動ロボットRにとって走行不能領域であるから、これらを1つの走行不能領域Nとみなして処理することにより、計算負荷や記憶データ量のさらなる低減を実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる移動ロボットのグローバル地図構築方法による処理過程を説明するフローチャートである。
【図2】図1に示す処理過程における楕円フィッティングの処理過程を説明するフローチャートである。
【図3】楕円フィッティングにおいて、ローカル地図をチェイン符号化する状態を示す説明図(a)、XY座標における最大セグメント長およびその傾斜角度の抽出を示す説明図(b)、XY座標における走行不能領域の最大値および最小値による楕円の抽出を示す説明図(c)、および走行不能領域に楕円を対応させた状態を示す説明図(d)である。
【図4】XY座標において、センシング毎に抽出した楕円を重ね合わせた状態を示す説明図(a)、各楕円内の分割領域とその確率値を示す説明図(b)、および確率楕円の抽出を示す説明図(c)である。
【図5】グローバル地図および走行経路を模式的に示す説明図である。
【図6】複数の走行不能領域に1つの楕円を対応させた状態を示す説明図である。
【図7】移動ロボットの構成を説明するブロック図である。
【符号の説明】
A1〜7A 分割領域
E E1 E2 E3 楕円
Ep1 Ep2 Ep3 確率楕円
MG グローバル地図
ML ローカル地図
N 走行不能領域
R 移動ロボット
a 長径
b 短径
c 中心位置(cx,cy)
θ 傾斜角度
Claims (3)
- 環境を間欠的にセンシングしながら自立走行を行う移動ロボットのグローバル地図構築方法であって、センシングにより取得したローカル地図内の走行不能領域をチェイン符号化し、そのチェイン符号列を用いて最大セグメント長を求め、XY座標において最大セグメント長方向の座標軸に対する傾斜角度を求めると共に、XY座標における走行不能領域の最大値および最小値を求め、最大値および最小値によって楕円の中心位置と長径および短径を求めたのち、楕円を最大セグメント長方向の傾斜角度分中心回りに回転させ、座標上における楕円の中心位置と、長径および短径と、座標軸に対する傾斜角度を走行不能領域のデータとして記憶することを特徴とする移動ロボットのグローバル地図構築方法。
- 複数の走行不能領域に各々対応する楕円同士の距離が所定範囲内になったとき、複数の走行不能領域を1つの走行不能領域として楕円を求めることを特徴とする請求項1に記載の移動ロボットのグローバル地図構築方法。
- センシング毎に走行不能領域に対する楕円を求めて各楕円を重ね合わせ、各楕円内の分割領域について重合数とセンシング数により確率値を求めたのち、同一確率値の分割領域を含む確率楕円を求め、各確率楕円の長径および短径と、中心位置と、長径の傾斜角度を走行不能領域のデータとして記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の移動ロボットのグローバル地図構築方法。
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JPS6234784A (ja) * | 1985-08-01 | 1987-02-14 | 工業技術院長 | 移動体の移動制御方法 |
JP2769972B2 (ja) * | 1994-03-10 | 1998-06-25 | 防衛庁技術研究本部長 | 不整地移動ロボットの自律走行システム |
JPH0899070A (ja) * | 1994-09-30 | 1996-04-16 | Yanmar Agricult Equip Co Ltd | 農産物選別装置 |
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