本発明の実施の形態について説明する。本発明に係る液晶表示装置の一実施の形態において、液晶表示部と、液晶表示部に照明光を供給するバックライト部を備え、バックライト部が複数の走査電極を有し、液晶表示部の画面走査とバックライト部の画面走査を同一周期で行うものである。より詳細には、図1に示すように、バックライト部2に走査電極3を作成し、バックライト面上を走査することで(図1の「バックライト走査」の矢線参照)、選択された走査電極3の領域が発光する構成としている。かかる構成により、部品点数の削減を達成している。また、バックライト部2から放出される照明光を走査するにあたり、非表示期間を設けることにより、動画表示性能を向上している。
図1に示す実施の形態においては、バックライト部2の走査方向と液晶表示部1の走査方向は同一方向とされている。しかしながら、バックライト部2の走査方向と液晶表示部1の走査方向は必ずしも一致させる必要はない。すなわち、本発明に係る液晶表示装置においては、例えば図2に示すように、バックライト部2の走査方向(「バックライト走査」の矢線参照)と液晶表示部1の走査方向(「液晶表示部走査」の矢線参照)が直交していてもよい。以上のような構成でも、同様の効果を得ることができる。
本発明の第2の実施の形態において、液晶表示装置は、液晶表示部とバックライト部からなり、バックライト部が複数の走査電極を有し、液晶表示部の画面走査期間とバックライト部の画面走査期間が等しく、バックライト部の画面走査をn回行う期間に液晶表示部の画面走査を1回行う構成とされる。
この実施の形態を、n=2を例に、図3を用いて説明する。図3では、液晶表示部1とバックライト部2の画面走査期間は同一である。また、バックライト部2が2回の画面走査を行う間(図3(b)参照)に、液晶表示部1は1回の画面走査を行っている(図3(a)参照)。このため、液晶表示部1の表示画面には、2回のバックライト画面の走査毎に、同じ情報が表示される。
一般に、液晶表示部の画面走査は60Hz程度の低速で行われる。液晶表示部1とバックライト部2の画面走査を、この周波数(60Hz)で同期して行うと、60Hzでの表示信号の輝度分布が現れる。これは、表示画面を見る者に、一部フリッカーとして認知される。このため、液晶表示部1とバックライト部2の走査を同期して、2倍の速度で行えば、フリッカーを防ぐことができる。
また、本発明のように、120Hzに対応する期間で、液晶表示部1とバックライト部2の走査を行い、この後、液晶表示部1の画面走査を休止し、バックライト部2のみの画面走査を行っても、フリッカーを防止することが可能である。
以上、n=2の場合、すなわち、一定期間内に液晶表示部1は1回の画面走査を、バックライト部2は2回の画面走査を行う例を説明した。
一定期間内に、液晶表示部1は1回の画面走査を、バックライト部2は多数回の画面走査を行っても、同様にフリッカーを防止することができる。
本発明の第3の実施の形態に係る液晶表示装置は、バックライト部が発光色の異なる発光層群から構成され、バックライト部の走査電極が複数の走査電極群から構成されるバックライト部の走査機構を有する。
本発明の第4の実施の形態に係る液晶表示装置は、発光色がバックライト面内で空間的に分離されて配置されており、各発光色を独立に走査する。図4を参照して、この実施の形態について説明する。
図4に示す例では、バックライト部2の蛍光色は、横ストライプで、各発光色が3本おきに、3種類(赤、緑、青)用意されている。この1本の横ストライプの発光色を走査単位としている。
図4に示す例では、走査単位1、4、7が赤、2、5、8が緑、3、6、9が青となるように配置されている。なお、図4では、単に、図面作成の都合で、赤、緑、青の発光色を図柄で表している。
図5を用いて、この実施の形態の走査タイミングを説明する。図5に示すように、液晶表示部1を画面走査した後(図5(a)参照)、バックライト部2を、走査単位番号1→4→7の順に走査して赤表示を完了し、更に、2→5→8と緑表示を走査し、3→6→9と青表示を走査する(図5(b)参照)。これにより、フルカラー表示を行う。
本発明の第5の実施の形態において、発光色がバックライト面内で空間的に分離されており、異なる発光色の複数の発光層を単位として、走査する。これを図4を例に説明する。図4での走査を、(1,2,3)を組にして発光させる。この後、(4,5,6)を発光させ、(7,8,9)と発光させる。
以上のようにすることにより、赤/緑/青の隣接した横ストライプの発光を行い画面走査することが可能である。
また、(1,2,3)を発光させた後、(2,3,4)、(3,4,5)と発光させることも可能である。
さらに、この実施の形態においては、図6に、バックライトの走査単位4として示すように、異なる発光色の組を1走査単位として、駆動することも可能である。この場合、図6の走査番号順に、1,2,3,4,5,6,7,8,9の順に発光させる。
次に本発明の第6の実施の形態について説明する。この実施の形態では、走査方向の領域の各発光色の発光時間を変化させることによって、当該走査領域の色調を変化させる。
図3に示す構成では、1走査単位が、単色発光を有している。このため、画面の赤表示を強調する場合、発光時間を長くすることで達成できる。このように、各色の発光時間を調整することによって、望みの色調の画面を作り出すことが可能である。
次に本発明の第7の実施の形態について説明する。この実施の形態では、液晶表示部の画面走査幅がバックライト部の画面走査幅より狭い構成とされている。図6は、この実施の形態の構成を説明するための図である。図6に示す構成では、バックライト部2の画面走査幅は、液晶表示部1の画面走査幅より大きく設定されている。この実施の形態によれば、バックライト部2に不必要な微細加工を施すことなく、安価な製造工程でバックライト部2を作成することが可能である。
本発明の第8の実施の形態について説明する。この実施の形態において、バックライト部の画面走査幅が液晶表示部の画面走査幅の概ね整数倍である。前記第7の実施の形態では、バックライト部2の画面走査幅が液晶表示部1の画面走査幅よりも大きい。しかしながら、液晶表示部1とバックライト部2の両画面の走査の同期を取る必要が生じる。これを簡易に実行するために、バックライト部2の画面走査幅を、液晶表示部1の画面走査幅の整数倍とする。このようにすれば、一方の走査信号を逓倍することで、他方の走査信号を作り出し、同期させることが可能である。
次に本発明の第9の実施の形態について説明する。この実施の形態において、バックライト部の画面走査が、液晶表示の画面走査より先行して行われる。図7は、この実施の形態を説明するための図である。バックライト部と液晶表示部とを同期させる場合には、同一の周波数で同一の位相関係で走査される。図7において、バックライト部走査位置1(図7(b)参照)と、液晶表示部走査位置(図7(a)参照)は同じ位相関係にあり、位相遅れは零である。
しかしながら、一般に、バックライト部の点灯に要する応答時間は、液晶表示部の応答時間よりも短い。このため、バックライト部と液晶表示部の走査位置が一致している場合には(図7(b)参照)、十分に液晶表示部が応答する前に、バックライト照明が行われることになる。
そこで、この実施の形態においては、図7のバックライト部走査位置2(図7(c)参照)のように、バックライト部の走査位相を、液晶表示部の走査位相から遅らせる。かかる構成によれば、十分に液晶表示部が応答した後に、バックライト光を供給することが可能となる。これにより、より明瞭な画像を得ることができる。この実施の形態は、図1に示す走査(液晶表示部走査とバックライト走査方向が一致)する場合のみならず、図2に示す走査(液晶表示部走査とバックライト走査方向が直交する)にも適用可能である。
次に本発明の第10の実施の形態について説明する。この実施の形態において、液晶表示部は単純マトリクス駆動されている。単純マトリクス駆動液晶は、走査線本数が増加するにつれてコントラスト比が低下することがよく知られている。単純マトリクス駆動では、画面走査時に非選択走査線上の画素に、余分な電圧が印加されることが、低コントラストの原因となっている。
しかしながら、本発明においては、液晶表示部において、選択された走査線付近の画素にのみ表示照明光がバックライト部から供給され、非選択走査線上の画素には、表示照明光が供給されない。このため、低コントラストの原因となる非選択走査線上の画素からの表示輝度が低下し、単純マトリクス駆動液晶表示装置のコントラスト比を向上させることができる。
例えば、走査線1000本の液晶表示装置を例に説明する。この液晶表示装置をデューティー1000で単純マトリクス駆動させると、そのコントラスト比は、著しく低いものとなる。
一方、液晶表示部の走査線幅10本相当の幅で、バックライト光を走査すれば(バックライト部の走査電極を駆動制御する)、デューティー10程度の単純マトリクス駆動させたコントラスト比となる。以上のように、本発明によれば、単純マトリクス駆動液晶でも高いコントラスト比を達成することができる。
次に本発明の第11の実施の形態について説明する。この実施の形態の液晶表示装置においては、走査方向の領域の発光時間を変化させることによって、当該走査領域の最大輝度を変化させている。バックライト部の走査線選択時間を、走査線すべてに同一に割り当てる必要はない。例えば画面中央部のバックライト部の走査線選択時間を長く割り当てれば、画面中央部の輝度を上げることができる。以上のようにして、画面全体の輝度分布を可変自在に設定することができる。
次に本発明の第12の実施の形態について説明する。この実施の形態において、液晶表示装置は、バックライト部と液晶表示部の間に、光拡散層とプリズム層の少なくとも一つを備えている。
バックライト部の走査電極を設けると、走査電極間の領域は、発光し難くなる。このため、画面全体に均一な照明光が得られなくなる。
そこで、この実施の形態においては、図8に示すように、光拡散層6を、バックライト部2と液晶表示部1との間に設け、バックライト部2からのバックライト光を面内方向に拡散させる。かかる構成により、走査電極間に対応する位置に、均一な照明が得られる。
また、液晶表示部1とバックライト部2を重ねた場合には、モアレ縞が生じる。これは、液晶表示部1の画素とバックライト部2の走査電極の位置不整合や両者のピッチが異なることが原因である。
この問題を解消するために、光拡散板6を配置すれば、モアレ縞等を効果的に防ぐことができる。
また、一般に、バックライト部2からの光は、完全拡散光であることが多い。
この実施の形態において、図9に示すように、単数あるいは複数のプリズム層7を設けて、完全拡散光を指向性のある光にすることができる。
この場合も、プリズム7のピッチとバックライト部2の走査電極ピッチと液晶表示部1の画素ピッチのために、モアレ縞が発生する場合がある。これを回避するために、プリズム層と、光拡散層を組み合わせて使用する構成としてもよい。
プリズム層と、光拡散層を用いる、この実施の形態においては、図10に例示するように、バックライト部2、プリズム層7、光拡散層6、液晶表示部1の順に積層する。
次に本発明の第13の実施の形態について説明する。この実施の形態において、バックライト部からの光は、ガス放電からの光である。この場合、放電は、複数の走査電極と共通電極間で発生する。また、バックライト部の内部を複数の仕切りに区切り、異なるガス種を封入することにより、複数の発光色を生成できる。
次に本発明の第14の実施の形態について説明する。この実施の形態において、バックライト部2からの光は、ガス放電からの励起光で励起した蛍光体からの蛍光である。この場合、放電は、複数の走査電極と共通電極間で発生させる。バックライト部内に単一のガスを封入する。また、蛍光体を印刷などで塗り分けることにより、異なった発光色を得ることができる。
次に本発明の第15の実施の形態について説明する。この実施の形態において、バックライト部からの光は、ガス放電からの光であり、この光が、液晶表示部を通過後、蛍光体に入射する。この場合、液晶表示部の前面に蛍光体層を配置する。この蛍光体層は、面内方向に異なる発光色の蛍光体を塗り分ける。これにより、フルカラー表示を行うことが可能である。
次に本発明の第16の実施の形態について説明する。この実施の形態において、バックライト部からの光は、真空中で電子を加速して、蛍光体に入射させることにより得られる光である。本発明においては、バックライト部が真空を保っており、電子源を走査できる走査電極を有する。また、電子源からの電子線は、蛍光層に導かれるように配置する。蛍光層を塗り分ければ、平面内で発光色の異なるバックライト部が得られる。
次に本発明の第17の実施の形態について説明する。この実施の形態において、バックライト部からの光は、エレクトロルミネッセンス光である。本発明においては、有機物あるいは無機物からなる電界発光素子をバックライトとして用いる。電界発光素子の発光層を面内で塗り分けることにより、面内で発光色を分けることができる。さらに、走査電極群と、これを駆動する機構を設けることで、走査可能なバックライト部を得ることができる。
次に本発明の第18の実施の形態について説明する。この実施の形態において、液晶表示装置は、液晶表示部とバックライト部との間にEMI(ElectroMagnetic Interference)対策フィルタ層を有する。
バックライト部は、種類によらず、電磁障害を起こすのが通例である。このため、液晶表示部にノイズ等が混入し、表示障害の原因となる。特に、上記した実施の形態では、走査電極を設けて走査するため、上記した表示障害は問題となる。そこで、この実施の形態では、図11に示すように、EMI対策フィルタ層8を、バックライト部2と液晶表示部1の間に配置し、表示障害を解消している。
次に本発明の第19の実施の形態について説明する。この実施の形態において、液晶表示装置は、EMI対策フィルタ層8を、液晶表示部1の内部に有する。EMI対策フィルタ層8として、網目状の導体が有効である。この網目状導体構造は、液晶表示部1を作成する際の薄膜工程で容易に作成される。
EMI対策フィルタ層8を、液晶表示部1の外部に設ける場合には、両者のピッチズレによるモアレ縞が問題となる。
しかしながら、EMI対策フィルタ層8を液晶表示部1の内部に有する本発明によれば、液晶表示部1の画素を整合させるように、EMI対策フィルタ層8を作成することができ、モアレ縞解消に効果的である。
本発明の第20の実施の形態について説明する。この実施の形態において液晶表示装置は、図12に示すように、少なくとも、バックライト部2、EMI対策フィルタ層8、光拡散層6、液晶表示部1を有し、この順序の配置構造を有する。
EMI対策フィルタ層8を液晶表示部1の外に設ける際には、EMI対策フィルタ層8の網目形状と液晶表示部1とのモアレ縞が発生する。このため、図12に示すように、両者の間に光拡散層6を設けることが有効である。
次に本発明の第21の実施の形態について説明する。この実施の形態において液晶表示装置は、液晶表示部1とバックライト部2との間に、赤外線吸収あるいは反射フィルタ層9を有する。
一般に、バックライト部2は、可視光以外に、赤外線を同時に発生することが普通である。このため、液晶表示部1の劣化あるいは過熱が生じ、問題となる場合もある。
そこで、この実施の形態においては、図13に示すように、赤外線を吸収あるいは反射するフィルタ層9を、液晶表示部1とバックライト部2の間に設ける。かかる構成により、液晶表示部1の過熱の発生を避けることができる。
次に本発明の第22の実施の形態について説明する。この実施の形態において液晶表示装置は、液晶表示部の端子取り出し辺と、バックライト部の走査電極用端子取り出し辺が異なる。図14は、この実施の形態を説明するための図である。図14を参照して、この実施の形態について説明する。
液晶表示部1は、走査線と信号線を外部回路に接続する必要がある。また、本発明の実施の形態において、バックライト部2は走査電極線と共通電極線の取り出しが必要となる。この両者を概ね位置整合させて、重ね合わせることが必要である。このため、従来の液晶表示装置と比較して、複雑な配線取り出しが必要となる。
そこで、この実施の形態では、液晶表示部1の四辺の一辺から、液晶表示部1の走査線を取り出し、他の2辺から信号線を取り出し、バックライト部2の走査線は、これらの3辺を避けて配置する。これにより、コンパクトな実装が可能となる。
次に本発明の第23の実施の形態について説明する。この実施の形態において、バックライトは、第1の基板と第2の基板の間隙にガスを封入し、周辺部を封止し、第1の基板上に共通電極、第2の基板に複数の走査電極を有し、電極間に電圧を印加して基板間の空間に放電を発生させ、基板間に配置された蛍光体を励起発光させる平面型バックライトであり、走査電極を順次選択する走査機構を有する。
次に本発明の第24の実施の形態について説明する。この実施の形態において、バックライトは、共通電極がバックライト発光面全体に同電位となるように形成された電極である。図15は、この実施の形態の構成を説明するための図である。図15に示すように、この実施の形態では、共通電極14を、一方の基板21の基板面全域に渡って設ける。基板22には、複数の走査電極3が形成され、基板22の基板21と対向する側に蛍光層5を備えて、バックライト部2が構成されている。なお、図15に示す例では、ガス層12の外側に共通電極14が設けられているが、基板21のガス層12側に、共通電極を作成するようにしてもよい。
次に本発明の第25の実施の形態について説明する。この実施の形態において、バックライトは、共通電極及び走査電極が同一方向に走る複数の帯状の電極によって構成されている。図16は、この実施の形態の構成を説明するための図である。図16に示すように、基板21上の複数本の共通電極14は共通に接続されており、並置されている。基板22上には複数本の走査電極3が並置されている。
図17は、図16のA-A'線の断面図を示す図である。互いに並行する複数の共通電極14(帯状電極)を備えた基板21と、複数の走査電極3を備えた基板22と備え、基板21の基板22に対向する面に蛍光層5を備え、基板21、22の間にガス層12が封入されている。
この実施の形態において、帯状電極を走査駆動できるのであれば、図18、図19のような変形例であってもよい。
図18を参照すると、この変形例は、複数の走査電極3を備えた基板22と、基板22の対向する面に、互いに並行する複数の共通電極14(帯状電極)を備えた基板21と備え、基板21の基板22に対向する面には、共通電極14を覆うように、蛍光層5が形成されており、基板21、22の間にガス層12が封入されている。
また図19を参照すると、この変形例は、複数の走査電極3を備え、走査電極を覆うように蛍光層5が形成されている基板22と、基板22に対向する面に、互いに並行する複数の共通電極14(帯状電極)を備えた基板21と備え、基板21の基板22に対向する面に共通電極14を覆うように蛍光層5が形成されており、基板21、22の間にガス層12が封入されている。
次に本発明の第26の実施の形態について説明する。この実施の形態において、共通電極及び走査電極が同一方向に走る複数の帯状の電極によって構成されており、両電極の位置関係が半周期(半ピッチ)ずれている。前記した第24の実施の形態では、走査電極間の空間は放電が起こりにくい。
そこで、この実施の形態では、図20に示すように、共通電極14と走査電極3の位置が半周期(半ピッチ)ずれており、走査電極3は、共通電極14の形成されていない領域に対応する位置に形成されている。この実施の形態を、図17、図19に示した構成に適用してもよい。
次に本発明の第27の実施の形態について説明する。この実施の形態において、共通電極側あるいは走査電極側の少なくとも一方に形成される誘電体層上に、放電空間に向かって突出した突起部を有する。図21は、この実施の形態の構成を例示する図である。図21を参照すると、基板22に形成されている複数の走査電極3の表面上に突起15を備えている。
対向する電極間の放電空間側に、このような突起15を設けることにより、種となる放電の発生する場所、及び強い放電の発生する場所を制御することができ、均一で、安定した放電を実現することができる。
このような効果は、放電電極を放電空間と絶縁する誘電体層上に設けるだけでなく、放電空間に露出した電極上に突起を設けたり、突起した電極を誘電体層で覆い部分的に誘電体層の厚さが薄くなるように構成したり、蛍光体層表面に突起を設けることによっても、同様にして、得られる。
次に本発明の第28の実施の形態について説明する。この実施の形態において、共通電極及び走査電極が同一方向に走る複数の帯状電極によって構成されており、これら複数の帯状電極がそれぞれRGB発光色と対応しているバックライトである。
図22に例示するように、蛍光層5を塗り分け、走査した走査電極3の位置での蛍光色を変えることができる。この場合、RGB各色を独立に走査することが可能となる。
図22に示す例では、蛍光層5は、共通電極14側に配置しているが、走査電極側でもよい。また、両電極基板上に配置してもよい。
次に本発明の第29の実施の形態について説明する。この実施の形態において、共通電極及び走査電極は、互いに概ね直交する帯状電極であり、この帯状電極が、それぞれRGB発光色と対応しているバックライトである。
図23を参照すると、この実施の形態では、共通電極14と走査電極3が、互いに直交する帯状電極(水平方向に走る一連の帯状電極)からなっている。この場合にも、RGB色を各々独立に走査することが可能である。
次に本発明の第30の実施の形態について説明する。この実施の形態のバックライトは、第1の基板と第2の基板の間隙にガスを封入し周辺部を封止し、第1の基板上に共通電極と複数の走査電極を有し、電極間に電圧を印加して基板間の空間に放電を発生させ、基板間に配置された蛍光体を励起発光させる平面型バックライトであり、走査電極を順次選択する走査機構を有している。図24、図25に、この実施の形態に係るバックライトの構成を、分解斜視図にて例示する。
図24に示す例では、共通電極14と走査電極3とが、同一基板22上に存在する。共通電極14は平面形状が櫛歯状とされ、櫛歯の共通電極14の間に配置されている帯状電極の走査電極3を有する。
また、図25に示す例では、共通電極14は、絶縁膜23を介して走査電極3と積層されている。放電を引き起こすために、走査電極3と絶縁膜23上に開口部16が用意されている。
次に本発明の第31の実施の形態について説明する。この実施の形態において、バックライトは、共通電極及び走査電極の少なくとも一方が複数の帯状の電極であり、この帯状電極間に発光の拡張を抑止する電極が配置されている。図26、図27は、この実施の形態のバックライトの構成を断面図にて示した図であり、切断線A−A’線は、図16のA−A’線に対応している。図26に示す例は、共通電極14と走査電極3が基板21、22にそれぞれ配置されており、図27に示す例では、共通電極14と走査電極3が同一基板22上に配置されている。
一組の共通電極14と走査電極3の間で放電が生じる。共通電極14と走査電極3の各組の間に、制御電極17を配置する。図26に示す例では、基板22上において、走査電極3の間に制御電極17が設けられている。これにより、放電が隣り合う組同士で起こり難くさせており、放電空間を局在化させることが可能となる。
また、図27を参照すると、基板22上に、走査電極3と共通電極14とが同一面上に配置されており、一組の走査電極3と共通電極14に対して、例えば共通電極14と隣の組の走査電極との間に制御電極17が配置されいる。これにより、放電が隣り合う組同士で起こり難くさせ、放電空間を局在化させることが可能となる。走査電極3と共通電極14を覆うようにして蛍光層5が形成されている。
図26に示した制御電極17を有する構成は、図15、図16、図24に示した電極構造にも適用することができる。また、蛍光体の配置にかかわらず、図18、図19に示した構成にも適用可能である。
本発明の第32の実施の形態について説明する。この実施の形態において、バックライトは、図28に示すように、走査発光を開始する隣接走査線が発光していない放電発光領域の表示発光領域外側に隣接して、少なくとも走査発光を開始する直前に放電を発生させている補助放電領域を有する放電型バックライトである。図28は、バックライトの放電発光領域の断面の一部を示したものであり、第1、第2のガラス基板101、201を備え、第1のガラス基板101には、共通電極102と透明誘電体層103を備え、第2のガラス基板201上には、走査電極202と白色誘電体層203と、蛍光体層204を備え、さらに、補助放電領域には、補助放電電極104、遮光部105を備えている。図28の116はシール材である。
本発明の第33の実施の形態において、放電型バックライトは、補助放電領域は、走査放電発光期間中、常時、放電を維持している。
走査を開始するの先頭部分は、前の放電から時間が経過しており、隣接走査線も放電していないため周辺に放電が存在しないときは放電が発生し難くなる。
そこで、図28に示すように、この先頭の走査領域に隣接して、補助放電領域を形成し、この補助放電領域では、先頭の走査領域に放電を発生させる直前に、放電を発生させるか、あるいは常時、放電を維持し、放電の種となる励起原子分子あるいは電子やイオンを供給すること(プライミング効果)により、他の走査領域と同様に、安定、且つ速やかに立ち上がる放電を発生させることが可能である。
本発明の第34の実施の形態の放電型バックライトは、図28を参照すると、補助放電領域に放電を発生させるための補助放電電極104の面積が、走査放電発光するための電極202の面積より小さいか、あるいは補助放電電極上を被覆する誘電体層の厚さが、走査放電発光するための電極を被覆する誘電体層の厚さより厚い構成とされる。
本発明の第35の実施の形態について説明する。この実施の形態の液晶表示装置用放電型バックライトにおいては、補助放電領域の周辺には、蛍光体が配置されていない。補助放電領域で発生する放電の強度は、可能な限り小さい方が望ましい。そのため、補助放電を発生させる電極の面積を走査部電極より狭く、あるいは電極を覆う誘電体層の厚さを走査部より厚くすることにより、プライミング効果を減じることなく補助放電強度を適切に抑制することができる。
あるいは、図29に示すように、補助放電領域に、蛍光体層204が配置されていない構成とすることにより、補助放電による蛍光体発光が、走査領域あるいは表示領域に回り込むことを防ぐことができる。
本発明の第36の実施の形態について説明する。この実施の形態の液晶表示装置用放電型バックライトは、走査を開始する放電発光領域の外側に、常時放電を維持している領域の放電発光の走査発光領域への侵入を低減させる隔壁(図30の106)が配置されている。図30は、この実施の形態の構成を示す図である。図30に示すように、プライミング効果を充分発生させることが可能な範囲で隔壁106などの遮蔽構造物により、補助放電領域と走査領域を分離させることによって、補助放電による紫外光が走査領域の蛍光体を励起発光させる影響を減じることが可能となる。
本発明の第37、38の実施の形態について説明する。これらの実施の形態の放電型バックライトにおいては、走査発光を開始する領域が、表示領域の外側に配置されている。あるいは走査発光を開始する放電電極が、表示領域の外側に配置されている。
走査発光を開始する領域が表示領域と冗長性無く一致しているとき、走査発光の先頭部分の特殊性により、この部分がほかの部分に比べ発光特性が異なってしまう。
そこで、図31に示すように、走査発光領域を表示領域よりも大きく取ることにより、走査発光の先頭部分の放電発光は表示に利用せず、均一且つ安定した走査発光領域のみ利用することが可能となり、表示の安定化、高画質化が可能となる。このような構成は、走査放電電極を表示領域の外側にも配置しておく構造とすることで実現することができる。
次に本発明の第39の実施の形態について説明する。この実施の形態に係る放電型バックライトの駆動方法は、第1のガラス基板及び第2のガラス基板に少なくとも一方が誘電体で覆われた電極を配置し、ガラス基板間に形成される空間にガスを封入し周辺部を封止し、この基板間の空間に上記電極間に電圧を印加して放電を発生させ、基板間に配置された蛍光体を励起発光させる平面放電型バックライトにおいて、上記放電を発生させる少なくとも一方の電極が複数の帯状の電極によって構成されており、この帯状電極のうち放電発光させる領域の走査放電発光期間にDC電圧を印加し、他方の電極に正弦波または矩形波を印加する。図32は、この実施の形態を説明するための図である。図32において、走査バイアス電圧は、走査に従い、オン状態とされた走査バイアス電圧スイッチ303に接続される走査電極301に供給され、共通電極群302には、共通の信号(交流電圧)が入力される。
DC電圧により、他方の電極に印加される交流電圧の中間電位に対する電位を変化させ、DC電圧を印加する電極に対する交流電圧の各極性の振幅を変化させることができる。
少なくとも一方の電極が誘電体で覆われた電極間に、数MHz以下の交流電圧が印加されて発生する放電は、ある閾電圧以上になると放電が発生し、電極間に逆極性の電圧を発生させるように、誘電体層を帯電させて終了する。
続く外部印加交流電圧は帯電による電圧に重畳し、次の放電を発生させ、電極間に逆極性の電圧を発生させて同じく終了する。
本発明の第40の実施の形態の駆動方法は、帯状電極に印加するDC電圧を走査することによって、放電発光領域を走査する液晶表示装置用バックライトの駆動方法である。図33は、この実施の形態を説明するための図である。
DC電圧を印加する電極(例えば走査電極)の電位が、他方の電極(例えば共通電極)に印加された交流電圧の中間電位にある場合、放電は安定に持続する。DC電圧を、中間電位から外れるように印加することにより、帯電による重畳電圧を含めても、放電を発生させる閾値電圧を越えなくなるようにすることができる。
このように、DC電圧を変化させることにより、放電発生領域を制御することができる。この放電制御機構を利用することで、交流電圧の振幅を一定に保ったまま、帯状電極(の走査電極)に印加するDC電圧を走査することによって、放電発光領域を走査することができる。
本発明の第41の実施の形態の駆動方法は、上記帯状電極に印加するDC電圧値を変化させることにより、走査放電発光強度を変化させる液晶表示装置用バックライトの駆動方法である。
図34は、この実施の形態を説明するための図である。DC電圧を、放電の発生する範囲内で、中間電位から外すことによって、放電発光強度、ひいてはバックライトの平均輝度を変化させることが可能である。走査バイアス電圧スイッチ303を介して走査電極群301に供給されるDC電圧を可変させている。
本発明の第42の実施の形態の駆動方法は、上記DC電圧を印加する帯状電極の数を変化させることにより、走査発光領域幅を変化させている。DC電圧を印加する帯状電極の数を変化させることにより、走査発光領域の幅を容易に変化させることが可能であり、バックライトの平均輝度を変化させることが可能である。
本発明の第43の実施の形態の駆動方法は、一方の電極に印加される交流電圧の周波数を変化させることにより、バックライトの輝度を変化させている。この駆動方法では、交流電圧は、一方の電極にのみ印加されるので、他の特性に影響を与えることなく、容易に、独立に、周波数を変化させることができ、バックライトの輝度の調整が容易となる。
本発明の第44の実施の形態について説明する。この実施の形態の液晶表示装置は、液晶表示部と上記特徴を有する放電型バックライトを有し、バックライト走査と、液晶表示部走査が同一周期で行われる。
本発明の第45の実施の形態に係るバックライト部の製造方法は、2枚の基板上のいずれかに放電型バックライトを構成する走査電極、共通電極、誘電体層、蛍光層を有する複数のバックライトの単位区画を形成し、この単位区画の放電発生領域を囲うようにシール層を形成し、この後、2枚の基板を張り合わせて単位区画毎に切断しガス封入を行う、あるいは、この後、2枚の基板を張り合わせてガス封入し単位区画毎に切断を行うのいずれかにより一括に複数のバックライト部を得る。
図36は、この実施の形態に係るバックライト部の製造方法を説明するための工程断面図である。
図36(a)に示すように、下基板315に走査電極307、上基板314に共通電極313を形成する。
図36(b)に示すように、蛍光層312を形成する。
図36(c)に示すように、下基板315及び上基板314上にそれぞれシール部材316、スペーサ(例えばガラス球スペーサ)317を設ける。このようにして、複数のバックライトの単位区画を用意する。図36に示す構成では、各区画あたり、1つの共通電極に複数の走査電極が設けられている。
この後、図36(d)示すように、基板314、315を貼り合わせる。
つづいて、図36(e)に示すように、区画単位で、切断する。
つづいて図36(f)に示すように、ガス封入孔318からガス封入を行い封止する。あるいは、2枚の基板を張り合わせ、ガス封入したのちに、単位区画毎に切断を行うようにしてもよい。
さらに、バックライト部の走査駆動系を接続する。この後、液晶表示部1と位置合わせし、積層配置する。
この際、バックライト部の走査駆動系と液晶表示部の走査駆動系を同期させるために接続する。以上のようにすれば、一回の組立工程を行うことにより、複数のバックライト部を得ることが可能である。このため、より安価に液晶表示部走査とバックライト部走査が同期した液晶表示装置を提供することが可能となる。
本発明の実施例について説明する。図35は、本発明に用いたガス放電型バックライトの一実施例の構成を模式的に示す断面図である。図35を参照すると、この実施例のバックライトは、第1のガラス基板101に酸化インジウムあるいは酸化スズを主成分とする透明導電膜が共通電極102として、表示領域の全面にわたって形成され、前面基板100となっている。
第2のガラス基板201には、発光領域を制御するための走査方向に直行する方向に並行に配置された金属薄膜あるいは金属微粒子を主成分とする短冊状の走査電極202が形成され、その上に、白色誘電体層203が形成され、最後に、紫外光によって励起発光する蛍光体層204が形成され、背面基板200となっている。
本実施例では、この蛍光体層204からの可視発光は、液晶表示部のカラーフィルタに適合し、白色発光が構成されるように、3波長発光蛍光体となっている。
前面基板100と背面基板200は、放電空間300を構成する基板間隔を一定に保つように、ガラス球スペーサ(不図示)などを介して貼り合わされ、希ガスを主成分とする放電空間300内のガスを、バックライトの周辺部のフリットガラスなどにより封止している。
上記構成では、第1のガラス基板の放電空間300とは反対側に共通電極102が全面にわたって形成されている。
共通電極102は、放電空間300側に形成されていてもよく、走査電極202の同一方向あるいは直交方向に短冊状に形成されていてもよい。
これらの場合、共通電極と走査電極の間に印加される電圧によって放電が発生し、電極間に配置された誘電体層あるいはガラス基板によって誘電体層の破壊に至る前に放電電流が制限され、いわゆる誘電体バリア放電となるような構成になっていればよい。
また、共通電極102あるいは走査電極202の何れか表示面側に配置される電極が、蛍光体の可視発光を充分透過する必要があり、少なくとも表示面側の電極は、透明導電材料あるいは金属メッシュなどにより構成される。
背面基板200上に形成される電極202あるいは白色誘電体層203は、蛍光体からの発光を効率良く表示面側に導くような材料で構成される。白色誘電体層203は、酸化チタンなど高屈折率材料微粉末を含有しており、電極202は、銀、アルミニウムなど可視光に対する反射率の高い材料で構成されることが望ましい。
背面基板200側の電極202が表示領域全面にわたって面状に形成される場合、白色誘電体層203に代わって、透明誘電体層を用いることもできる。
また、背面基板200上に形成される電極202が、短冊状の場合、金属電極上に誘電体層を設けないか、あるいは透明誘電体層を形成し、電極間の金属部分が構成されていない領域に、白色誘電体層を形成する構成としてもよい。
蛍光体層204は、背面基板200上に形成されるのみでなく、表示面側前面基板100上に形成しても良い。
また、可視光発光蛍光体層を用いずに、紫外光発光蛍光体を用いるか、ガス放電により発生する紫外発光をバックライト光として取出し、走査する構成にすることも可能である。
次に、放電型バックライトの製造方法の例を説明する。
第1のガラス基板101上前面に酸化インジウムを主成分とする透明導電膜を成膜し、この透明導電膜をフォトレジストを用いたエッチングによりパターン化し、共通電極102とした。
パターン化した共通電極102は表示領域外側で電極取出し部を有している。
共通電極102は、少なくとも表示領域において放電空間300に露出しないように、低融点ガラス材料を主成分とする誘電体ペーストをスクリーン印刷法により形成し、焼成された透明誘電体層に被覆した。
一方、第2のガラス基板201上には、Ag粒子を主成分とする導体ペーストをスクリーン印刷法によりパターン化して塗布し、焼成することによって走査電極202を形成した。
この走査電極202も、表示領域外側で、電極取出し部を有する。
走査電極202は、少なくとも表示領域において放電空間300に露出しないように、白色顔料微粒子を含む低融点ガラスを主成分とする誘電体ペーストをスクリーン印刷法によって形成し、焼成された白色誘電体層203によって被覆されている。
白色誘電体層203上に、3波長蛍光体をスクリーン印刷法により形成、焼成し、蛍光体層とした。
その後、第1及び第2のガラス基板の表示領域外側周辺部にフリットガラスペーストをディスペンサにより閉じた線状に吐出形成し、予備焼成を行った。
背面基板にはガス導入用の孔及びガラス配管からなる排気管が形成されている。
上記前面基板と背面基板の間に直径0.1〜2mmのスペーサ用ガラス球を散布し、目合わせして焼成し貼り合わせバックライトパネルとした。
封止後のガラススペーサの移動を防止するために、上記透明誘電体層あるいは白色誘電体層などガラススペーサと接する部分は、数〜数10μmの凹凸があるほうが望ましい。
上記貼り合わせたバックライトパネルを排気管を通して真空に排気し、同時にバックライトパネル内に残留するガスを速やかに排気するために加熱した。
十分加熱排気した後、バックライトパネルの温度を低下させ、バックライトパネル内の放電空間300に、放電ガスとなるXeガスを600hPa封入し、排気管を閉じた。
この放電ガスはXeの他にAr,Kr,窒素の純ガス、あるいはHe,Neを含むこれら希ガスの混合ガスを用いることができる。ガス組成は、上述の誘電体層の厚さと共に、発光輝度及び駆動電圧を最適化させて用いることができる。
次に本実施例に用いた放電型バックライトの走査駆動方法を説明する。
図33に示すように、共通電極には数kHz〜数10MHzの矩形波あるいは正弦波が印加されている。
図33に示すように、放電発光させない走査電極には共通電極に印加される交流電圧の中間電圧から外れた電圧を印加する。
放電発光させる走査電極には共通電極に印加される交流電圧のほぼ中間電圧の電圧を印加する。
走査電極の電圧が中間電圧にある領域では、共通電極と走査電極の間に存在する誘電体層の放電空間側表面を帯電させ、放電は一度は、収束する。しかし、直ちに印加される共通電極の逆極性の電圧により、逆極性の放電が発生し、これらを繰り返し継続しながら放電が維持される。
一方、走査電極の電圧が共通電極の中間電圧より大きく外れている場合には、一度大きな電位差で放電が発生し帯電により放電が収束してしまうと、次の逆極性の電圧では電位差が小さく、放電を継続して発生しないようにすることができる。
また、この走査電極に印加する電圧によって、発光輝度を変化させることができる。
走査電極に印加される電圧を、単走査線あるいは複数の走査線ブロック毎に走査させることによって、発光する走査線を選択しながら走査発光させることが可能である。
走査電極への電圧変調は、例えば電界効果トランジスタなどを用いたスイッチにより高速に行うことができる。
次に本発明の走査バックライトの走査発光特性を、より良好にする構造及び駆動方法について説明する。
上記走査放電を実行させる場合、周辺に放電が無い走査発光の開始領域では放電が不安定であった。
そこで、図28に示すように、表示領域の外側に、走査発光の開始領域に隣接して、常時あるいは走査発光を開始する直前に、放電が維持される補助放電領域を、補助放電電極104により形成した。
これらの電極は、共通電極や走査電極と同じプロセスを用いて形成することができる。この補助放電により、走査発光の開始領域に、イオン、電子あるいは励起原子分子を供給し、走査放電の開始を安定化させることができた。
また、補助放電電極104は、放電が安定に維持できる範囲で小面積、且つ誘電体層の厚さを厚くして、放電発光を抑えた方がよい。また、補助放電発光が表示領域に漏れることを防止するために、補助放電領域の表示面側に遮光部105(図28参照)を形成した。
また、補助放電が可視光に変換されるのを抑えるために、図29に示すように補助放電電極領域に蛍光体を配置しないことも効果的である。
更に、図30に示すように、補助放電領域と走査放電領域を分離する補助放電発光遮蔽隔壁106を、補助放電の効果を必要以上に減じない範囲で形成することも、補助放電発光が表示領域に漏れることを防止する上で、有効である。
補助放電領域に印加される電圧は、走査放電領域と同一でも良く、別の駆動回路を有していても良い。
別の駆動回路を有する場合では、駆動回路に要するコストは上昇したが、補助放電強度を独立に制御することができ、表示性能と駆動性能をより容易に最適化することができた。
次にバックライト走査発光特性を更に良好にするために、図31に示すように液晶表示部の表示領域の外側にも放電型バックライトの走査電極を配置し、液晶表示部の走査位置とバックライトの走査位置を同期させ、概ね同一の走査の速さで走査を行っている。
放電型バックライトでは、放電端部での発光が、中央部での発光と均一性において異なる、あるいは、ばらつくこともあり、このようにバックライトの走査発光領域に冗長性を持たせることで、バックライト、ひいては、走査型バックライトを用いて走査駆動を行う液晶表示パネルの表示特性を高い信頼性で実現することができた。
前述の補助放電との組合せにより、発光及び駆動特性が更に良好となることは勿論である。
次に三原色(RGB)別の走査発光が可能な放電型バックライトの実施例を説明する。
本実施例においては、共通電極あるいは走査電極の少なくとも一方が、RGBの何れかの発光色の塗布領域と対応している。
例えば、背面基板には走査電極が短冊状に形成され、この短冊状電極を含む領域を仕切るように100μmから数mmの高さを有するストライプ状の隔壁を形成する。この隔壁の内側壁面に白色誘電体層を形成し、RGB蛍光体層を順番に塗布する。
白色誘電体層を短冊状走査電極の放電表示領域の全体を覆うように形成した後、ストライプ状隔壁、RGB塗り分け蛍光体を形成してもよい。共通電極を有する前面基板は前述の通り作製し、背面基板と貼り合わせRGB走査型バックライトとした。
共通電極には数kHzから数10MHzの矩形波あるいは正弦波を印加し、走査電極の電圧をRGB別の領域で発光し走査されるように印加した。
RGB発光領域がとびとびの縞状になる点は、拡散板により抑制することができ、均一なRGB発光領域を別々に走査することができる。このようにすることで、カラーフィルタを用いずに開口率が高く、光利用率の高い液晶表示パネルを構成することができる。光利用率を高くできることで、発光輝度の向上と消費電力の低減が可能である。
本実施例では、上記ガス放電を用いる放電型バックライトを用いて説明したが、バックライトは真空中で電子を加速して蛍光体に入射させて発光させる、例えばフィールドエミッション型バックライト、あるいはエレクトロルミネッセンス光を用いる、例えば有機エレクトロルミネッセント型バックライトであっても良い。
以上本発明を上記実施の形態及び実施例に即して説明したが、本発明は、上記実施例等の構成にのみ限定されるものでなく、特許請求の範囲の各請求項の範囲内で当業者がなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。