JP4125372B2 - オレフィンの異性選択的ヒドロカルボキシル化方法 - Google Patents
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Description
カルボン酸並びにその対応する無水物及びエステルは、化学工業に於いて種々の用途を有する。直鎖状カルボン酸並びにその関連エステル及び無水物は、保存剤、合成潤滑剤、化粧品及びプラスチック工業で使用されるセルロースエステルのような応用で特に有用である。カルボン酸及びその誘導体の現在の商業的用途では、主として分枝鎖状酸の代わりに直鎖状酸が要求される。
デカン酸(C−10)で始まる偶数の炭素を有する直鎖状カルボン酸の大部分は、それらがグリセリドエステルとして大量に存在する天然の油から直接入手することができる。更に、メタノール及びその誘導体から酢酸エステルを生成させるために、非常に有効な方法が広く使用されている。
しかしながら、中間の酸(C−4〜C−9)についての要求は、これらの物質についての増大しつつあるニーズにも拘わらず、これらの源泉によってかなえられていない。その代わり、これらの中間長さのカルボン酸の主要量は、二つの方法の何れか一方によって生成されている。第一の方法は、オレフィンの連続ヒドロホルミル化及び酸化、即ち、式(1)及び(2)によって示される2工程方法からなる。
第二の現在の商業的方法には、ブタン又は不飽和天然酸の酸化が含まれる。これらの現在の商業的方法の両方に於いて、このカルボン酸の全ての誘導体の製造には、追加の化学的処理工程が必要である。例えば、酪酸エステルは、種々の触媒を使用して酪酸をアルコールでエステル化することによって製造することができる。酪酸無水物は、無水酢酸との交換反応によって酪酸から製造することができる。
ヒドロカルボニル化とも呼ばれるヒドロカルボキシル化は、有機化学工業で公知である。ヒドロカルボキシル化反応は、式(3)によって示される。この反応は、カルボン酸の意図的生成のための、より直接的な一工程方法を表わしている。更に、これは、式(4),(5)及び(6)によって更に示されるように、追加のプロセス工程無しに、オレフィン及び一酸化炭素からカルボン酸のエステル及び無水物誘導体を直接生成させる潜在的利点を提供する。
式(3),(4),(5)及び(6)の反応は、Pinoら、「金属カルボニルによる有機合成(Organic Syntheses via Metal Carbonyls)」、I.Wender及びP.Pino編、第2巻、John Wiley & Sons, Inc.,ニューヨーク州、ニューヨーク、233〜296頁(1977年);Mullen,「一酸化炭素による新合成(New Syntheses with Carbon Monoxide)」、J.Falbe編、ドイツ国、ベルリン、Springer-Verlag, 275〜286頁(1980年);Colquhounら、「カルボニル化−カルボニル化合物の直接合成(Carbonylation-Direct Synthesis of Carbonyl Compounds)」、Plenum Press、ニューヨーク州、ニューヨーク、102〜106頁、119〜130頁(1991年);及びForsterら、「Catalysis Rev. -Sci. Eng.」、23巻、89頁(1981年)によって立証されているように、有機化学の分野に於いて公知である。しかしながら、ヒドロカルボキシル化の商業的応用は、プロピオン酸の生成に限定されている。現存する方法は、低い異性体選択率、遅い反応速度及び劣った触媒回収を示す。更に、現存する方法はまた、過酷な反応条件を必要とする。
本明細書において使用する、異性体選択率は、オレフィン反応剤よりも1個多い炭素原子を含有するカルボン酸、無水物又はエステル反応生成物のノルマル:イソモル比として定義する。本発明の目的のために、「ノルマル」は、α−炭素で枝分かれしていないカルボン酸又はカルボン酸残基異性体を指し、「イソ」は、α−炭素で枝分かれしているが、他の全ての主鎖炭素で枝分かれしていないカルボン酸異性体を指す。異性体選択率に加えて、高い転化レベルを有し、アルコール及びケトンのような他の可能性のある酸化生成物へとは反対に、全ての酸、無水物及び/又はエステルの生成の方に選択的であるヒドロカルボキシル化方法を有することも重要である。
式(3),(4),(5)及び(6)の反応のために穏和な圧力及び温度のみを必要とする、ロジウム、イリジウム及びパラジウム触媒を使用する非商業的ヒドロカルボキシル化方法が開発された。米国特許第3,579,551号、同第3,579,552号、同第3,816,488号、同第3,816,489号、同第3,818,060号、同第3,821,265号及び同第3,852,346号に引用されているPinoら、Mullen, Colquhounら及びForsterら並びにBittlerら、Ang. Chem., Int.編、7巻、329頁(1968年)並びにTsuji、パラジウム化合物による有機合成(Organic Syntheses With Palladium Compouds)、ドイツ国、ベルリン、Springer-Verlag, 81〜84頁(1980年)を参照されたい。
ロジウム触媒は、ヒドロカルボキシル化反応の方へのより大きい選択率を示すことが見出され、これとは反対に、鉄、コバルト及びニッケルのような他の金属触媒は、カルボン酸に加えて、アルコール、アルデヒド及びケトンのような多数の競合酸化生成物を生成する。
式(3),(4),(5)及び(6)で含まれる現在の反応問題の最も難しいことは異性体選択率であり、この場合ノルマル異性体が商業的に望ましいが、現存する触媒系は、許容できない量のイソ酸誘導体になる。ヒドロカルボキシル化反応は自然に、ノルマル酸異性体とイソ酸異性体との混合物を生成する。異性化はプロピオン酸では可能ではないので、選択率は問題ではない。それ故、現存する方法は、プロピオン酸及びその誘導体の製造のためにのみ受け入れることができる。これまで記載された最も異性選択的なヒドロカルボキシル化方法の一つは、ヨウ化物助触媒のロジウム触媒に対する臨界比を変化させることによって、製造されるノルマルカルボン酸の割合を操作する。しかし、米国特許第3,816,488号に示されている最良の結果は、3:1 I/Rh触媒系(但し、ロジウムの原料としてRhCl3・3H2Oを使用した)を使用して、製造される全ヘプタン酸に比較したとき70モル%より少ないn−ヘプタン酸である。この方法は未だ、商業的使用のために十分な異性選択的ではない。米国特許第4,788,334号には、ヨウ化物促進RhCl3・3H2O触媒反応(但し、重要な成分は酢酸加速剤である)で、87.8%以下のn−ヘプタン酸の方への異性選択率に達する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、大量の塩素化炭化水素又は芳香族炭化水素溶媒(これらは共に危険であり、製造の分離及び精製段階の間に困難を持ち出し得る)を使用することが必要である。
ヒドロカルボキシル化、ヒドロホルミル化に幾らか類似している反応に於いて、ロジウム触媒ヒドロホルミル化の異性体選択率は、ホスフィンで操作される。しかしながら、文献には、ロジウム/ホスフィン触媒系は、ヒドロカルボキシル化に対して異性体選択率増加を同様に付加しないであろうことが示されている。米国特許第3,579,552号には、ロジウム含有ホスフィン配位子錯体が、オレフィン反応剤よりも1個多い炭素原子を有する全カルボン酸の方にヒドロカルボキシル化反応選択率を増加させると教示されている、ロジウムの記載された操作可能な源泉の一つである、ヨウ化物促進ロジウム触媒系が開示されている。異性体選択率は示されていない。実際、米国特許第3,579,552号の実施例22には、触媒前駆体としてビス−トリフェニルホスフィン錯体(RhCl(CO)(PPh3)2)を使用するヘキセン−1のヒドロカルボキシル化によって、他の点では匹敵する反応条件が使用されたホスフィンを含有しない方法と「同様の」生成物分布結果が得られたことが開示されている。示されているC−7ノルマル異性体の%は、生成される全C−7カルボン酸に比較したとき、29%である。米国特許第3,579,552号には、ヨウ化物促進ロジウム含有触媒系に単座ホスフィンを添加することは、異性体選択率又は全カルボン酸へのオレフィンの転化%に正の影響も負の影響も有しないことが示されている。
二座ホスフィン配位子は、特に、異性体選択率に対して有害に妨害することが、米国特許第4,788,333号及び同第4,788,334号に教示されており、これらの特許には、ヨウ化物促進ロジウム触媒を使用する3−ペンテン酸のヒドロカルボキシル化及びヒドロエステル化が開示されている。
本発明は、少なくとも3のノルマル:イソモル比を有する脂肪族カルボン酸並びにその対応するエステル及び無水物の製造方法を提供する。この方法は、一酸化炭素を、
(a)炭素数が少なくとも3のα−オレフィン、
(b)水、アルコール及びカルボン酸からなる群から選択された求核剤、
(c)i)ロジウム含有化合物、
ii)臭素、臭素化合物、ヨウ素及びヨウ素化合物からなる群から選択されたハライド助触媒、及び
iii)15族元素のトリ置換有機化合物
の成分を含む触媒系
を含む混合物と、41気圧(ゲージ)(4155kPa)より低い反応圧力及び25〜250℃の温度で、塩素化炭化水素溶媒及び芳香族炭化水素溶媒の不存在下に接触させることを含んでなる。
ハライド促進ロジウム触媒ヒドロカルボキシル化系内に、15族元素のトリ置換有機化合物、特にホスフィン及びアルシンを存在させることによって、反応の異性体選択率及び速度が著しく増大することを見出した。単座ホスフィン配位子を含有する錯体は、異性体選択率への影響を有しないヒドロカルボキシル化用のロジウムの単なる原料として、米国特許第3,579,552号に開示されている。二座ホスフィンは異性体選択率に対して有害であるという米国特許第4,788,333号及び同第4,788,334号に於ける前記の開示にも拘わらず、二座ホスフィン及び二座アルシンは、異性体選択率を増大させ、同様に反応速度を増加させることも見出した。
本発明によって提供される利点及び利益には、(1)少なくとも3:1、好ましくは少なくとも4:1の商業的に高いノルマル:イソ比、(2)以前のヒドロカルボキシル化方法よりも著しく低い必要な圧力、実際に、異性体選択率は、より低い圧力を使用して改良される、(3)カルボン酸のエステル及び無水物を、求核性反応剤及び反応剤の量を単に変えることによって(追加の工程が必要ない)、一段工程によって異性選択的混合物中に製造することができる、(4)反応速度の増大、(特に、二座ホスフィンを使用したとき)、(5)トリ置換15族化合物は、触媒から生成物を分離する間のロジウム触媒の安定性を増大させる及び(6)この方法は、塩素化炭化水素溶媒及び芳香族炭化水素溶媒の不存在下に行われる、が含まれる。
本発明のヒドロカルボキシル化方法は、基質として広範囲のα−オレフィンを使用する際に適している。このα−オレフィンには、末端エチレン性不飽和が含有されていてよく、官能基、特にカルボキシラート又は第二のオレフィン性二重結合を含有するこれらのオレフィンが含有されていてよい。酢酸、プロピオン酸及び10個より多い炭素を有する天然に誘導される酸を製造するための適当な方法は既に存在しているので、この方法は好ましくは、炭素数3〜20、更に好ましくは炭素数3〜10のオレフィンに適用される。
本発明の方法に於ける他の反応剤は、一酸化炭素並びに水、アルコール及びカルボン酸から選択される求核性化合物である。一酸化炭素を他の反応剤及び触媒成分の混合物と接触させる方法は、新しくはない。求核性アルコールは好ましくは炭素数1〜8の直鎖状アルカノールであり、求核性カルボン酸は好ましくは炭素数2〜8の直鎖状酸である。しかしながら、無水物の製造のために使用される求核性カルボン酸は最も好ましくは、2個の同一のアルキル鎖を有する酸無水物を製造する炭素の数を有する直鎖状カルボン酸である。「鏡像(mirror image)」無水物は、合成に於いて「混合」無水物であるよりも遙かに大きい価値がある。
この触媒系は、ロジウム原料、ハライド助触媒及びトリ置換有機15族化合物(これは以下、この化合物が配位錯体の一部であるか又は独立非配位化合物であるかに無関係に、便宜上配位子と言う)からなる。ロジウム成分は、ホスフィン、アルシン、ジホスフィン、ジアルシン及び他の錯体の配位錯体を含む、種々の形態で添加することができる。この錯体には、ハライド助触媒として作用する又は作用しないハライドが含有されていてよい。しかしながら、ホスフィン含有錯体又はアルシン含有錯体を生成することは外部の合成工程を必要とするので、別個の成分として配位子を添加することが好ましい。ロジウムの最も便利で現在最も低い費用の原料は、三塩化ロジウムである。しかしながら、幾つかの応用に於いて、外来のハライドを含有しないRh原料を使用することが有用であり、それでジカルボニルアセチルアセトナトロジウム(Rh(CO)2acac)のような市販の無ハライド錯体が、これらの応用に於いて好ましい。ロジウム原料化合物について、米国特許第3,579,552号及び同第3,816,488号を参照されたい。液体媒体中の望ましい総Rh濃度は、0.0001〜0.1モル/Lであり、好ましい範囲は0.001〜0.01モル/Lである。
この触媒系のハライド助触媒成分は、臭素、ヨウ素又はこれらの化合物であってよい。この助触媒は、例えばハロゲン化アルキル、ハロゲン化水素、ロジウム含有錯体のハライド塩若しくは15族配位子含有錯体の塩のような塩、ロジウム配合化合物中に含有される配位子のような元素状ハライド又はこれらの全ての組合せのような多数の形態で添加することができる。
助触媒として、ヨウ素及びヨウ化物化合物が臭素及び臭化物よりも好ましい。ヨウ化水素、ヨウ化アルキル及びヨウ化物塩のようなヨウ化物化合物が、元素状ヨウ素よりも好ましい。ヨウ化水素及びヨウ化アルキルが更に好ましい。ヨウ化物塩を使用することも、或る状況では実施可能である。LiIの存在下での一連の実施例を開示した、実施例のあとの表2を参照されたい。1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)−ブタン(実施例27)を注目に値する例外として、反応速度は増大しなかった。しかしながら、一貫して直鎖状異性体への最も低い選択率を与えたビス−ジフェニルホスフィノメタンを例外にして、15族配位子を含有させることによって、選択率増大は一貫して実現される。以下、ハライド助触媒は、便宜上ヨウ化物として記載する。
ヨウ化物のロジウムに対する比は、カルボン酸の収率を改良し、カルボン酸への異性体選択率を増大させ又は反応速度を増加させるために重要ではない。本発明に於いて、I/Rh原子比の大きな範囲が有用である。しかしながら、15族配位子の分解の可能性を最小にするためにできるだけ低いI/Rh原子比を使用することが有利であろう。それ故、1:1〜100:1のI/Rh原子比を適用できるが、好ましいレベルは3:1〜15:1の範囲内である。
本発明者は、特定の15族配位子をロジウムの存在下でのオレフィンのヨウ化物促進ヒドロカルボキシル化に添加すると、異性体選択率及び速度が著しく増大し、同様に生成物分離段階の間に触媒が安定化されることを見出した。15族含有配位子は、広範囲の物質から選択することができ、一般式:
(式中、Qはヒ素及び特にリンのような15族原子であり、R1,R2及びR3は、同じでも異なっていてもよく、それぞれは炭素数12以下のヒドロカルビルであり、そしてR4は、炭素数2〜8の鎖によって2個のリン原子を結合するヒドロカルビレン基である)
によって表すことができる。R1,R2及びR3が表すことができるヒドロカルビル基の例には、ベンジルのようなアリール置換アルキルを含むアルキル、シクロヘキシルのようなシクロアルキル並びにフェニル及び1個又はそれ以上のアルキル基で置換されたフェニルのようなアリールが含まれる。エチレン、トリメチレン及びヘキサメチレンのようなアルキレン、シクロヘキシレンのようなシクロアルキレン並びにフェニレン、ナフチレン及びビフェニレンが、R4が表すことができるヒドロカルビレン基の例である。それぞれの応用のための操作の最良の形態を構成する配位子の選択は、迅速、選択率及び配位子利用性に於ける相違をバランスさせなくてはならない。単座ホスフィン及びアルシンが、異性体選択率を最大に促進させることを見出した。しかしながら、最大の速度は、2個の15族元素の間に4〜6個の炭素単位を含有するジホスフィン及びジアルシンで達成される。ホスフィン及びアルシンは、それらが異性体選択率の最大の増大を示すので、好ましい配位子である。しかしながら、二座配位子に比較して、単座配位子に帰せられる選択率利点は重要ではない。
好ましい単座及び二座ホスフィンは、殆ど市販されているものである。ロジウム含有ホスフィン又はアルシン錯体を使用することができるが、これらの錯体を生成するために余分の外部合成工程が必要である。利用できる単座ホスフィンの範囲は広大であるが、殆ど市販されており、従って好ましい単座配位子は、多数のトリアリールホスフィン及びトリアルキルホスフィンである。二座配位子はアリール含有配位子に限定されないが、これらは最も容易に入手できるので、これらが好ましい。例には、1,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−ブタン、1,5−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−ペンタン及び1,6−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−ヘキサンが含まれる。
配位子の濃度は、ハライド助触媒の濃度と同様に、ロジウムの量に対するその比率として最も良く決定される。この比は広い範囲に亘って変えることができる。しかしながら、過剰の配位子は、性能の幾らかの劣化に至るであろう。それ故、15族元素:Rhモル:原子比の全体範囲は0.5:1〜50:1であってよいが、好ましい範囲は1:1〜10:1である。
本発明者は、α−オレフィンのヨウ化物促進ロジウム触媒ヒドロカルボキシル化の異性体選択率が、15族配位子を使用しないとき圧力に依存性であることを見出した。下記の比較例1〜3を参照さたい。しかしながら、ノルマル異性体への選択率が、15族配位子の不存在下に許容できるようになる、より高い圧力に於いても、注意深く選択した15族成分を添加すると優れた結果になる。
トリ置換15族成分を添加することの重要な利点の一つは、良好な選択率を達成するために、より高い圧力はもはや必要ではないことである。反対に、改良された速度及び選択率が、より低い圧力で観察される。上記の触媒系は、1−ペンテンカルボニル化に於いて、125℃のように低い温度及び約3絶対気圧(304kPa)のCOの分圧を表す4気圧(ゲージ)(405kPa)の圧力で運転された。下記の実施例32を参照されたい。
最低運転可能圧力は、15配位子の存在に加えて複数の要因に依存性である。例えば、最低運転可能圧力は、オレフィンが、鎖長、温度、使用する特定の触媒系及び種々の触媒成分の濃度に依存して蒸気圧を出すので、使用するオレフィンの性質に依存性である。一般的に、この方法での有用な温度及び圧力の範囲は非常に広い。本発明の方法は、0.1〜40気圧(ゲージ)(10〜4060kPa)、好ましくは1〜30気圧(ゲージ)(100〜3040kPa)の範囲で運転することができる。本発明のヒドロカルボキシル化方法は一般的に、25〜250℃、好ましくは75〜220℃の範囲内の温度で実施することができる。
一酸化炭素は、市販されているように実質的に純粋な形態で使用することができるが、所望により、二酸化炭素、窒素、メタン及び貴ガスのような不活性希釈剤が存在していてよい。不活性希釈剤の存在は、このヒドロカルボキシル化反応に影響を与えないが、それが存在することによって、所望のCO分圧を維持するために全圧を上昇させることが必要になる。しかしながら、反応剤の市販の形態中に存在しているかもしれないもののような少量の水の存在は、完全に許容できる。ヒドロカルボキシル化方法に供給されるガスは好ましくは、50体積%以下の水素を含有する一酸化炭素を含む。水素が存在すると、ヒドロカルボキシル化の速度に有利な影響を有することが見出された。
この方法は、回分式、半連続式又は連続式で運転することができる。特に軽い(C−3及びC−4)オレフィンを使用するとき、非常に効率の良い質量移動のために設計された製造システムを使用することによって、ヒドロカルボキシル化速度を劇的に増加させることができる。
この方法は、例えば、カルボン酸及びエステル等のような有機溶媒又は希釈剤の存在下に実施される。しかしながら、この方法は、塩素化炭化水素及び芳香族炭化水素の不存在下に実施される。或る例に於いて、物質は溶媒及び反応剤の両方として機能する。例えば、脂肪族カルボン酸無水物が、実質的に無水条件下でカルボン酸の存在下でのオレフィンのヒドロカルボキシル化によって製造される可能性がある。本発明の方法のこの態様に於いて、カルボン酸はプロセス溶媒及び反応剤の両方として機能する。酪酸プロピルと酪酸との混合物のような、溶媒の混合物も使用することができる。使用するとき、カルボン酸溶媒は好ましくは、好ましい溶媒がそのシステムに固有のものであるので、製造される酸又は無水物の酸部分に対応させるべきである。例えば、プロピレンヒドロカルボキシル化に於ける酪酸及び/又は酪酸プロピルである。反応剤又は生成物自体ではないとき、この溶媒又は希釈剤は、容易に分離することができるように、反応混合物中の所望の生成物とは十分に異なった沸点を有するのが好ましい。
本発明の異性選択的ヒドロカルボキシル化方法を、1−ペンテンのヒドロカルボキシル化の下記の実施例によって更に示す。しかしながら、これらの実施例は、例示のみのためであり、如何なる点に於いても、本発明の方法をヘプタン酸の製造又は実施例によって示される全ての他の点に制限することを意図するものではない。
下記のガスクロマトグラフィー(GC)分析は、75M(0.53mm内径、2.5ミクロンフィルム)Quadrex 007 CMPS毛管カラム及び内部標準としてノナンを使用するヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)5890GCを使用して実施した。サンプルを導入するためにスプリット注入を使用し、サンプル検出はTCD検出器によって行った。種々の成分のモル量は、下記の式:
(式中、n=成分のモル、
MW=成分の分子量、
X=重量分率(GC分析から得られる)、
Xc6=C−6酸についての重量分率の合計、
Wo=溶液の初期重量)
を使用して、GCデータから求めた。異性体選択率は、直鎖状異性体%として表わし、式:
直鎖%=(n−ヘキサン酸/合計C−6酸)・100%
によって計算した。その後、ノルマル:イソモル比を、式:
ノルマル:イソ=直鎖%/(100−直鎖%)
によって計算した。速度は、1時間当たりRh1モル当たり製造されるC−6酸のモル数として表わし、文献ではしばしば代謝回転数(TON)と呼ばれ、下記:
のように計算した。全ての圧力の測定は、気圧(ゲージ)(1気圧=101.33kPa)で行った。
比較例1
オーバーヘッド撹拌機及び高圧液体添加漏斗を取り付けた300mLのハステロイ(商標)C製オートクレーブに、91.5gのプロピオン酸(溶媒として)、13.5g(0.75モル)の水及び10gのプロピオン酸中の7.8%ヨウ化エチル(0.78g、5ミリモルのEtI)を添加した。この溶液に、触媒として0.129g(0.5ミリモル)のジカルボニルアセチルアセトナトロジウム(I)を添加した。オートクレーブを密閉し、窒素で、次いでCO中の5%水素で十分にフラッシュした。全てのパージが完了したとき、液体添加漏斗から35g(0.5モル)の1−ペンテンを添加した。次いでオートクレーブを水素で1.7気圧(172.3kPa)まで加圧し、そして一酸化炭素を6.8気圧(689.0kPa)の最終混合圧力まで添加した。次いで混合物を、添加ガスを添加することなく撹拌しながら190℃まで加熱した。温度に達すると、圧力を27.2気圧(2756.2kPa)に調節した。これらの条件を、必要に応じて一酸化炭素を供給しながら5時間維持した。次いで、(残留する1−ペンテンが、確実に蒸発しないようにするために)オートクレブを30℃未満に冷却し、ゆっくり排気した。反応生成物を取り出し、GCによってサンプルを分析した。これらの実験の結果を表Iに示す。
この例は、実施例1〜22のための比較標準として実験した。この比較実験と実施例1〜22とに於ける唯一の相違は、この例が15族配位子を含有しないことである。
この例は、適度に低い圧力及び温度で操作した「古い方法」のヒドロカルボキシル化方法が、非常に低い異性体選択率及び遅い反応速度を有することを示している。
実施例1
ロジウム含有触媒を添加したとき、溶液に0.262g(1ミリモル)のトリフェニルホスフィンを添加する追加の工程以外は、比較例1の手順を繰り返した。この実験の結果を、表Iに示す。
この実施例はPh3Pを存在させると、選択率が比較例1よりもほぼ100%ほど増加し、速度が比較例1のものの5倍を超えて増加することを示している。この実施例はまた、Ph3P配位子が二座ホスフィンよりも高い選択率を追加させることを示している。
実施例2
トリフェニルホスフィン配位子を、ロジウムに対して1:1の濃度比のPh2PCH2PPh2によって置き換えた以外は、実施例1の手順を繰り返した。この実験の結果を、表Iに示す。
この実施例は、ホスフィンの間に僅か1個の炭素単位を有する二座ホスフィンが、例Iに示されている単座ホスフィン又はホスフィン基の間により大きい分離を有する二座ホスフィンよりも、著しく低い選択率及び遅い速度を追加することを示している。
実施例3
トリフェニルホスフィン配位子を、ロジウムに対して1:1の濃度比のPh2P(CH2)2PPh2によって置き換えた以外は、実施例1の手順を繰り返した。結果を、表Iに示す。
実施例4
トリフェニルホスフィン配位子を、ロジウムに対して1:1の濃度比のPh2P(CH2)3PPh2によって置き換えた以外は、実施例1の手順を繰り返した。結果を、表Iに示す。
実施例5
トリフェニルホスフィン配位子を、ロジウムに対して1:1の濃度比のPh2P(CH2)4PPh2によって置き換えた以外は、実施例1の手順を繰り返した。結果を、表Iに示す。この実施例は、ホスフィンの間に4個の炭素単位を有する二座ホスフィンが、実施例1のPh3Pとほぼ同じ多さの選択率を追加するが、非常に増加した速度、即ち速度に於いて100%より大きい増加であることを示している。この配位子は、より速い速度のために低い選択率を許容できる応用に於いて非常に有用であろう。
実施例6
トリフェニルホスフィン配位子を、ロジウムに対して1:1の濃度比のPh2P(CH2)5PPh2によって置き換えた以外は、実施例1の手順を繰り返した。結果を、表Iに示す。
この実施例は、ホスフィンの間に5個の炭素単位を有する二座ホスフィンが、ホスフィンの間に4個の炭素単位を有するその対応する二座ホスフィン(実施例5)と非常に類似して、異性体選択率及び反応速度を増大することを示している。
実施例7
トリフェニルホスフィン配位子を、ロジウムに対して2:1の濃度比の(シクロヘキシル)3Pによって置き換えた以外は、実施例1の手順を繰り返した。結果を、表Iに示す。この実施例は、選択率を増大させるために、単座ホスフィンがアリールであることは必要でないことを示している。しかしながら、この配位子は速度を殆ど増加させない。
実施例8
トリフェニルホスフィン配位子の濃度を2倍にした以外は、実施例1の手順を繰り返した。結果を、表Iに示す。この実施例は、配位子:ロジウム比が選択率及び速度を増大させるために重要であることを示している。実施例1の2:1の比は、より高い選択率及び若干速い速度を追加する。
比較例2
圧力を27.2気圧(2756.2kPa)から34.0気圧(3445.2kPa)まで上昇させ、温度を190℃から175℃まで低下させた以外は、比較例1の手順を繰り返した。結果を表Iに示す。この例は、「古い方法」ヒドロカルボキシル化方法への適度に高い圧力及び低い温度の影響を示している。選択率は影響を受けなかったが、速度は約100%ほど増大した。
実施例9〜13
各ヒドロカルボキシル化工程の間に、適度に高い圧力(34.0気圧(3445.2kPa))及びより低い温度(175℃)を維持した以外は、実施例9〜13について、下記の対応する手順を繰り返した。実施例9についての手順を実施例1と、実施例10についての手順を実施例2と、実施例11についての手順を実施例3と、実施例12についての手順を実施例4と、実施例13についての手順を実施例5と比較する。これらの実験のそれぞれの結果を表Iに示す。
実施例9〜13は、190℃から175℃への温度の僅かな低下と共に、27.2気圧(2756.2kPa)から34.0気圧(3445.2kPa)への反応圧力の適度の上昇によって、方法の異性体選択率が正又は負に変化しないことを示している。しかしながら、反応速度は、対応するより低い圧力実験の速度の2倍である速度と、対応するより低い圧力実験の速度の半分との間で、明らかに一様に分散した。速度へのこの影響は、各配位子について特異的であると思われる。
実施例14
トリフェニルホスフィンを、ロジウムに対して1:1の濃度比のPh2P(CH2)6PPh2によって置き換えた以外は、実施例9の手順を繰り返した。実験結果を、表Iに示す。この実施例は、ホスフィンの間に6個の炭素単位を有する二座ホスフィンが、ホスフィンの間に4個の炭素単位を有するその対応する二座ホスフィンと同様に、異性体選択率及び特に反応速度を非常によく増大させることを示している。
実施例15
トリフェニルホスフィンを、トリフェニルアルシンによって置き換えた以外は、実施例9の手順を繰り返した。実験結果を、表Iに示す。この実施例は、この実施例を実施例9と比較すると、単座アリールアルシンが、その対応する単座アリールホスフィンと同様に反応速度を増大させるが、アルシンよりも幾らか少なく異性体選択率を増大させることを示している。
比較例3
圧力を27.2気圧(2756.2kPa)から51.0気圧(5167.8kPa)まで上昇させた以外は、比較例1の手順を繰り返した。結果を表Iに示す。この例は、比較例1に比較したとき、「古い方法」ヒドロカルボキシル化方法への更に高い圧力の影響を示している。選択率は顕著に増加し、速度は幾らか増加した。この例は、15族配位子が存在しないヨウ化物促進ロジウム触媒ヒドロカルボキシル化方法の異性体選択率が、圧力依存性であることを示している。
実施例16〜21
各ヒドロカルボキシル化工程の間に、更に高い圧力(51.0気圧(5167.8kPa))を維持した以外は、実施例16〜21について、下記の対応する手順を繰り返した。実施例16についての手順を実施例1と、実施例17についての手順を実施例3と、実施例18についての手順を実施例4と、実施例19についての手順を実施例5と、実施例20についての手順を実施例6と比較する。実施例21についての手順は、圧力を(34.0気圧(3445.2kPa)の代わりに)51.0気圧(5167.8kPa)で維持し、温度を(175℃の代わりに)190℃で維持した以外は、実施例14についての手順と同じものであった。これらの実験のそれぞれの結果を表Iに示す。
実施例16〜21は、本発明の15族配位子含有ヒドロカルボキシル化方法に於ける27.2気圧(2756.2kPa)から51.0気圧(5167.8kPa)への圧力の大きな上昇が、異性体選択率への明確な一定の負の影響を有することを示している。速度への圧力の大きな上昇の影響は、配位子特異的である。
実施例19〜21は、実施例5,6,13及び14と比較したとき、ホスフィンの間に4〜6個の炭素単位を有する二座ホスフィンが、同様の方式で変化した条件に対して明瞭に応答することを示している。これらの3種のジホスフィンによって得られるプロセスの促進は、単座ホスフィンのものから完全に区別することができる。
実施例22
圧力を51.0気圧(5167.8kPa)に維持し、温度を190℃に維持した以外は、実施例15の手順を繰り返した。結果を表Iに示す。この実施例は、トリフェニルアルシンが、実施例15に於いて34.0気圧(3445.2kPa)の下で示されたと同様に、51.0気圧(5167.8kPa)下でトリフェニルホスフィンが示すのと同様の速度に影響を与えないことを示している。従って、アルシンからの影響とホスフィンからの影響との間の類似性は、圧力及び温度に大きく依存する。この実施例はまた、条件を34.0気圧(3445.2kPa)及び175℃から51.0気圧(5167.8kPa)及び190℃に変化させたとき、異性体選択率が実際に増加したことを示す。
実施例23〜31及び比較例4は、本発明の方法のための触媒系の一部として、実施例1〜22に於いてハライド助触媒として使用したヨウ化メチルの代わりにヨウ化物塩(LiI)を使用することの影響を示すために実験した。これらの反応は、ヨウ化エチルを0.134g(1ミリモル)のLiIで置き換え、15族配位子を下記に示すように変えた以外は、実施例1と同じ手順を使用して実験した。
比較例4
この手順から15族配位子の添加を削除した。その結果を表IIに示す。
この例は、比較例1と比較したとき、ヨウ化エチルをヨウ化リチウムで置換することが、15族配位子の不存在下での「古い方法」ヨウ化物促進ロジウム触媒ヒドロカルボキシル化方法で有する影響を示す。このヨウ化物塩は、異性体選択率及び速度を顕著に増加させた。
実施例23〜31
C2H5IをLiIで置換した以外は、表Iのこれらの対応する実施例の手順に従って、これらの実施例を製造した。対応する実施例は、23対1、24対2、25対3、26対4、27対5、28対6、30対7及び31対8であった。実施例29について直接対応する実施例は、表Iに存在しない。しかしながら、実施例29は、トリフェニルホスフィンを、ロジウムに対して1:1の濃度比のPh2P(CH2)6PPh2によって置き換えた以外は、実施例23の手順に従って製造した。実施例23〜31のそれぞれの結果を、表IIに示す。
実施例23〜31は、比較例4と比較したとき、ヨウ化物塩によって促進されるロジウム触媒ヒドロカルボキシ化方法に於いて15族配位子を含有させることによって、反応速度が一般的に改良されないことを示している。しかしながら、2個のホスフィンを分離する1個の炭素単位を有する二座ホスフィン(実施例24)を例外として、これは一貫して異性体選択率を増大させる。
対応する実施例1〜8と比較したとき、実施例23〜31はまた、ビス−ジフェニルホスフィノヘプタンが配位子であるとき(実施例26)以外は、異性体選択率増大が、ヨウ化エチル助触媒の代わりに、LiI助触媒を存在させることによって一般的に減少することを示している。LiI又はヨウ化エチルの選択によって起こされる速度に於ける差異は、配位子の選択に高度に特異的であると思われる。
実施例27〜30、即ち、ホスフィンの間に4〜6個の炭素単位を有する二座ホスフィンを含有するサンプルは、実施例5,6,13,14,19,20及び21に於けるヨウ化エチル促進系でそれらが示したことと非常に類似して反応しなかったことを見出したことは興味深い。
実施例32
100mLの厚壁ガラス製耐圧ボトルに、30.7gのプロピオン酸及び1.8gの水(0.1モル)を添加した。この混合物をアルゴンによって十分にフラッシュして、溶液から酸素を除去した。アルゴンパージした溶液に、触媒として0.68gの47%HI水溶液、0.13gのジカルボニルアセチルアセトナトロジウム(I)(0.5ミリモル)及び0.22gの1,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−ブタン(0.5ミリモル)並びに3.5g(50ミリモル)の1−ペンテンを添加した。(触媒は、全ての物質を接触させた際に沈澱物を形成したが、反応はなお進行した)。このシステムを調節一酸化炭素源に接続し、4回COで3気圧(304kPa)まで加圧し、そして排気することによってCOで十分にフラッシュした。容器を2.5気圧(253.3kPa)まで加圧し、次いで125℃の油浴中に浸漬させた。圧力は約3.3気圧(334.4kPa)まで上昇し、次いで低下を開始した。3.3気圧(334.4kPa)の圧力を維持するために一酸化炭素を7時間連続的に添加し、この時点でガス吸収は著しく遅くなった。この混合物を冷却し、混合物のサンプルをGCによってC−6酸について分析した。(この場合に、速度は測定しなかった)。この混合物は、11.4%のヘキサン(ノルマル)酸及び3.9%の分枝C−6酸として分析され、これはノルマル異性体について74.5%の選択率を表す。
比較のために、上記の反応を、ジホスフィン配位子を削除した以外は正確に繰り返した。(ジホスフィンの不存在下に沈澱は形成されなかった)。この混合物は、6.5%のヘキサン酸及び9.5%の分枝C−6酸として分析された。これはノルマル異性体について僅か41%の選択率を表す。
この実施例は、より低い温度及び圧力でのこれらの系についての選択率への正の影響並びにビス−ジフェニルホスフィノブタンの存在による追加された選択率増大を示している。
本発明を、その好ましい態様を特に参照して詳細に記載したが、変更及び改良を本発明の精神及び範囲内で実施できることを理解されたい。
Claims (16)
- 脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸のアルキルエステル及び脂肪族カルボン酸の無水物から選択された、少なくとも3:1のノルマル:イソ比を有する脂肪族カルボニル誘導体化合物の製造方法であって、一酸化炭素を、
(a)炭素数が少なくとも3のα−オレフィン、
(b)水、アルコール及びカルボン酸からなる群から選択された求核剤、
(c)i)ロジウム含有化合物、
ii)臭素、臭素化合物、ヨウ素及びヨウ素化合物からなる群から選択されたハライド助触媒、並びに
iii)15族元素のトリ置換有機化合物
の成分を含む触媒系
を含む混合物と、0.1〜40気圧(ゲージ)(10〜4060kPa)の圧力及び25〜250℃の温度で、塩素化炭化水素及び芳香族炭化水素の不存在下に接触させることを含んでなる脂肪族カルボニル誘導体化合物の製造方法。 - 反応圧力が1〜30気圧(ゲージ)(100〜3040kPa)であり、温度が75〜220℃である請求の範囲第1項に記載の方法。
- 該ロジウム含有化合物が、0.0001〜0.1モル/Lの濃度で存在し、該ハライド助触媒が、1:1〜100:1のハライド:ロジウム原子比で存在し、該トリ置換15族化合物が、0.5:1〜50:1の15族元素:ロジウム原子比で存在する、請求の範囲第1項に記載の方法。
- 該ロジウム含有化合物が、0.001〜0.01モル/Lの濃度で存在し、該ハライド助触媒が、3:1〜15:1のハライド:ロジウム原子比で存在し、該トリ置換15族化合物が、1:1〜10:1の15族元素:ロジウム原子比で存在する、請求の範囲第3項に記載の方法。
- 該ロジウム含有化合物が、ロジウム塩、ホスフィンのロジウム含有配位錯体、アルシンのロジウム含有配位錯体、ジホスフィンのロジウム含有配位錯体及びジアルシンのロジウム含有配位錯体からなる群から選択される、請求の範囲第1項に記載の方法。
- 該ロジウム含有化合物が、三塩化ロジウム及びジカルボニルアセチルアセトナトロジウム(Rh(CO)2acac)からなる群から選択される、請求の範囲第5項に記載の方法。
- 該ハライド助触媒がヨウ化物である請求の範囲第1項に記載の方法。
- 該ヨウ化物が、ヨウ化水素、ヨウ化アルキル及びヨウ化物塩からなる群から選択される請求の範囲第7項に記載の方法。
- 該トリ置換15族化合物が、ホスフィン、アルシン、ジホスフィン及びジアルシンからなる群から選択される請求の範囲第1項に記載の方法。
- 該ジホスフィンがリン原子の間に4〜6個の炭素単位を含有し、該ジアルシンがヒ素原子の間に4〜6個の炭素単位を含有する請求の範囲第9項に記載の方法。
- 該ホスフィンがトリアリールホスフィン及びトリアルキルホスフィンからなる群から選択され、該ジホスフィンが、1,4−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−ブタン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−ペンタン及び1,6−ビス−(ジフェニルホスフィノ)−ヘキサンからなる群から選択される、請求の範囲第9項に記載の方法。
- 該求核剤が水であり、製造される脂肪族カルボニル誘導体化合物がカルボン酸である、請求の範囲第1項に記載の方法。
- 該求核剤がカルボン酸であり、製造される脂肪族カルボニル誘導体化合物がカルボン酸の無水物である、請求の範囲第1項に記載の方法。
- 該求核剤が水であり、製造される脂肪族カルボニル誘導体化合物がカルボン酸の無水物である、請求の範囲第1項に記載の方法。
- 該求核剤がアルコールであり、製造される脂肪族カルボニル誘導体化合物がカルボン酸のエステルである、請求の範囲第1項に記載の方法。
- 水素ガスが存在する請求の範囲第1項に記載の方法。
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