JP4123785B2 - 可変燃圧システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の運転状態に応じて、インジェクタに加わる燃料の圧力(燃圧)を可変する可変燃圧システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
気筒内にインジェクタで直接燃料を噴射する筒内噴射型のエンジン(内燃機関)は、燃料の噴射時期や噴射期間が自由に設定できるとの利点から、エンジンの運転状態に応じて筒内で最適な燃焼が行われるよう、インジェクタの噴射時期をエンジンの運転状態に応じて種々変えることが行われている。
【0003】
近時では、さらに最適な燃焼が行われるよう、インジェクタに加わる燃圧(燃料の圧力)もエンジンの運転状態に応じて最適に変える可変燃圧システムが提案されている。
【0004】
このシステムには、例えば能力可変式の燃料ポンプが用いられ、この燃料ポンプをエンジンの運転状態に応じて設定される目標燃圧値にしたがい制御して燃圧を可変することにより、無負荷運転時や低負荷運転時には低燃圧の燃料を気筒内へ噴射、高負荷運転時には高燃圧の燃料を気筒内へ噴射するようにしている。これで、無負荷運転(アイドル運転)や低負荷運転など小燃料量にする制御が難しい運転の際でも最適な小燃料量の噴射が行なえ、また高負荷運転など短時間で多くの燃料を要する運転にも、最適な多燃料量の噴射が行なえるようにしている。
【0005】
ところで、こうした可変燃圧システムは、燃圧を目標燃圧値にしたがい制御するために、現状の燃圧がどのような燃圧値であるのかの検出が求められる。
【0006】
そこで、可変燃圧システムでは、燃料センサを用いて、実際の燃圧を検出して、燃料噴射量を見直すことが行われている。
【0007】
ところが、燃圧センサは、エンジンに付いている点火プラグの電気的なノイズの影響を受けやすく、燃圧センサから出力される検出値(センサ値)はそのまま制御には使用できない(誤差を招く急激な変動成分が含まれている可能性があるため)。
【0008】
そこで、通常、ノイズの影響のない検出値を確保するために、燃圧センサから出力される検出値に対して1次フィルタ処理を施すことが行われている。
【0009】
通常、この1次フィルタ処理には、所定タイミング毎、実際に燃圧センサから出力される検出値(センサ値)に加重平均処理を施す演算手法が用いられる。具体的には、1次フィルタ処理は、燃圧センサから検出された今回の検出値と前回の加重平均で求めた演算値とを加重平均させる演算処理で行われ、得られる加重平均値(演算値)を、燃料噴射量を求むための燃圧値として用いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フィルタ値は、加重平均の演算処理(フィルタ処理)により、急激な変動成分を抑制したノイズの影響の少ない検出値となる。
【0011】
しかし、フィルタ値は、前回(直前)の演算した燃圧値を加重平均する演算処理で得た値なので、燃圧センサから直接出力される検出値から応答遅れをもって出力され、実際の燃圧センサの出力が急激に変化したとしても、それより遅れて出力される。
【0012】
そのため、フィルタ処理を施すと、設定される目標燃圧値が変わっても、変わる過渡期の実際の燃圧値は正確に検出することが困難である。しかも、実際の燃圧値を抑えた値と相俟って、フィルタ値は実際の燃圧値から大きくずれた値となりやすい。特にずれは、燃圧が「低」から「高」へなど過渡的に急激に変化するときに大きくなる傾向があり、演算誤差が拡大して、正確な燃料噴射が行なくなる難点がある。
【0013】
しかし、燃圧センサの検出値をそのまま用いたのでは、ノイズの影響は避けられず、フィルタ処理を活用して正確な燃圧検知が行なえる技術が要望されている。
【0014】
本発明は上記事情に着目してなされたものでその目的とするところは、燃圧の変化に追従する高精度のフィルタ値で、可変燃圧制御を可能とした可変燃圧システムを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、目標燃圧値と現在のフィルタ値との差が所定値以上のとき、フィルタ処理に実際の検出値寄りの重みつけを施すことによって、フィルタ値が実際の燃圧値と大きなずれが生じやすいとき、実際の燃圧センサの検出値に対してフィルタ値を近づけるようにした。
【0016】
これにより、フィルタ値の精度が高められ、実際の検出値とフィルタ値との差が減少され、実際の燃圧値に対するフィルタ値の追従性が図れる。
【0017】
それ故、燃圧が過渡的に変化しても、フィルタ値を用いて、高い精度での可変燃圧の制御が可能となる。
【0018】
重みつけ手段として、前回の燃圧変動差を、今回のフィルタ値に加算する演算処理を採用して、加重平均がもたらす一次遅れが解消されるようにした。
【0019】
請求項2の発明は、同じく重みつけを大きく手段として、実際の検出値に近づく重みつけをなす係数を用いた加重平均処理を採用した。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図3に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
【0021】
図1中1は、筒内噴射型内燃機関、例えば直噴火花式のレシプロガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)の水冷式のエンジン本体である。
【0022】
エンジン本体1は、気筒2aとウォータジャケット2bとが形成されたシリンダブロック2、同ブロック2の上端部に搭載されたシリンダヘッド3、シリンダブロック2の下端部に取付けられたオイルパン4を有して構成してある。
【0023】
気筒2a内には、頂面に椀状の椀曲面5aを有するピストン5が往復動可能に収めてある。なお、ピストン5は、コンロッド5bを介してクランクシャフト(図示しない)に連結され、ピストン5の往復変位が回転変位として出力されるようにしてある。
【0024】
シリンダヘッド3の下面には、気筒2aと向き合う燃焼室6が形成してある。この燃焼室6の中央部には点火プラグ3aが組み込んである。この点火プラグ3aを挟む燃焼室6の一側には、燃焼室6からシリンダブロック2の上端部に延びる直立形の吸気ポート8が形成され、他側には燃焼室6からシリンダブロック2の幅方向に延びる排気ポート7が形成されている。これら吸・排気ポート7,8には、各ポート7,8の燃焼室6端を開閉する吸気弁9、排気弁10が組み込んである。これら吸・排気弁9,10は、ロッカーアーム11a,11bを介して、吸・排気毎のカムシャフト12a,12bで駆動される。
【0025】
また例えば吸気側のカムシャフト12aの他端部には、ポンプ専用のカムシャフト部材13が連結してある。このカムシャフト部材13には、該カムシャフト部材13に形成したポンプ駆動用カム13aが形成されている。このカム13aにより、例えばシングルプランジャ型の可変吐出量燃料ポンプで構成された能力可変式の高圧燃料ポンプ14(本願の燃圧可変手段に相当)が駆動されるようにしている。この高圧燃料ポンプ14には、例えば4山のカム13aで往復動するプランジャ15と、吸入弁16aおよび吐出弁16bを有するポンプ室16とを組み合わせてある。つまり、カム山毎にプランジャ15が往復駆動して、吸込動作と吐出動作が繰り返し行われるようにしている。またポンプ室16には、例えば常閉式の電磁弁で構成された逃し弁17が組み込まれていて、吐出行程の途中で逃し弁17を開弁動作すると、高圧ポンプ14の吐出量が変わる構造にしてある。
【0026】
この高圧燃料ポンプ14の吸入弁16aが、ダンパ18、フィルタ19、低圧ポンプ20を介して、燃料タンク21に接続され、低圧ポンプ20で吸い上げた燃料(低圧)を吸込むようにしてある。また高圧燃料ポンプ14の吐出弁16bは、例えば吸気ポート8寄りのシリンダヘッド部分に組み込んである電子制御式のインジェクタ22(燃料噴射弁)に接続され、高圧燃料ポンプ14によって増圧された高圧燃料がインジェクタ22へ供給されるようにしてある。
【0027】
この燃料供給の際、高圧燃料ポンプ14の逃し弁17を閉じたままにすると、高い燃圧が保たれ、吐出行程の途中で逃し弁17を開けると、空運転(燃料がダンパ18(一次側)へ戻ることによる)が行われて、低い燃圧になるようにしてある。なお、23は低圧ポンプ19から吐出された燃料圧力を所定の低圧力値に保つための低圧レギュレータ、24はインジェクタ22に過剰な高圧が加わるのを防ぐためのリリーフ弁、25はインジェクタ22に加わる燃料圧力(燃圧)を検出する燃圧センサを示す。
【0028】
この燃料供給に加え、インジェクタ22の噴射動作、点火プラグ3aの点火動作、吸気弁9の吸気動作、排気弁10の排気動作が行われることにより、気筒2a内で所定の燃焼サイクル(例えば吸気、圧縮、燃焼、排気を繰り返すサイクル)が行われるようにしている。
【0029】
またエンジン各部の制御機器(点火プラグ3a、高圧燃料ポンプ14の逃し弁17、インジェクタ22、燃圧センサ25、エンジンの回転数を検知する回転数センサ(図示しない)、アクセルペダルの開度を検知するアクセル開度センサ(図示しない)、SGT信号を出力するセンサ(図示しない))は、例えばマイクロコンピュータで構成されたECU26が接続されている。
【0030】
このECU26には、例えばエンジン回転数とアクセル開度から検出されるエンジンの運転状態に応じた最適な目標噴射量を算出したり最適な噴射時期を設定したりする機能、例えば目標噴射量にもとづき最適な目標燃圧値と最適な噴射期間を設定する機能、目標燃圧値と燃圧値にしたがい高圧燃料ポンプ14を制御する機能、噴射時期や噴射期間にしたがいインジェクタ22を開閉させる機能などが設定されている。
【0031】
こうした燃料供給系、制御系の組み合わせから、インジェクタ22から噴射される燃料の燃圧を、逃し弁17の開閉具合により、エンジンの運転状態に応じて可変する可変燃圧システムを構成している。
【0032】
またECU26には、SGT信号にしたがい所定タイミング毎、燃圧センサ25から出力される検出値に対して1次フィルタ処理を施す機能が設定されている。1次フィルタ処理には、センサ値を加重平均する演算手法が用いられている。具体的には、図2中の「通常制御」の処理の中に記載されているように今回の燃圧センサ15からの検出値(センサ入力値:VFPS)と前回のフィルタ処理後の燃圧値(加重平均した値:VFPS(n−1)との加重平均値)とを加重平均する処理が用いられている。そして、得られた加重平均値をノイズ(点火プラグ3aによる)の影響のない燃圧値に用いて、上記可変燃圧制御、具体的には切換わる目標燃圧値にしたがって高圧燃料ポンプ14の能力などを制御させる。
【0033】
またECU26には、燃圧可変制御に用いられるフィルタ処理後の燃圧値(以下、フィルタ値という)が、実際の燃圧センサ5の検出値から大きくずれないようにする機能が設定してある。
【0034】
同機能には、演算誤差を生じる傾向にあるとき、実際の燃圧センサ25の検出値に近づく重みつけを行なう演算処理が用いられている。
【0035】
具体的には、同機能には、現在の目標燃圧値と現在のフィルタ値との差を検出する機能と、燃圧上昇時(アクセルペダルが踏み込まれたとき)に当該差が所定値α以上となるとき、1行程前(前回)の燃圧変動差を今回の加重平均値(フィルタ値)に足し込む演算処理の機能とを組み合わせた構成が採用してある。
【0036】
そして、足し込みにより、実際の燃圧値に対して、フィルタ値が大きなずれが生じやすい状況、例えば燃圧が「低」から「高」へ過渡期に上昇したとき、実際の燃圧センサ25の検出値へ、フィルタ値を近づける補正が行われるようにしている。
【0037】
この重みつけを変えるフィルタ処理の制御フローが図2に示されている。
【0038】
つぎに、この重みつけを変えるフィルタ処理を通常のフィルタ処理と共に説明する。
【0039】
エンジンは、各吸・排気弁9,10の開閉動作、ピストン5の往復動作、インジェクタ22からの燃料噴射、点火プラグ3aの点火動作により、気筒2a内で吸気行程、圧縮行程、燃焼行程、排気行程が行われ、動力を発生させる。なお、燃料タンク21内の燃料は、低圧ポンプ20と専用カム13aで駆動される高圧燃料ポンプ14とで増圧されながら、インジェクタ22へ供給される。
【0040】
ここで、ECU26は、エンジン回転数やアクセル開度からエンジンの運転状態を監視していて、エンジンの運転状態にしたがい算出される噴射量にもとづき最適な目標燃圧値、噴射時期、噴射期間を設定している。
【0041】
そして、ECU26の指令により、高圧燃料ポンプ14の仕事が目標燃圧値や燃圧センサ25からの燃圧値に基づき制御され、インジェクタ22が噴射時期および噴射期間にしたがって制御される。
【0042】
これにより、エンジンは運転状態に応じて燃圧を可変させた燃料噴射による燃焼が行われる。もちろん、燃料噴射の制御に用いられる燃圧センサ25から出力される燃圧値(検出値)には、通常、行われる加重平均による1次フィルタ処理を施して、点火プラグ3aのノイズの影響、すなわち急激に変動する変動成分を抑制した値(フィルタ値)が用いられる。
【0043】
このとき、ECU26は、図2中のステップS1に示されるように目標燃圧と現在のフィルタ値との差δを監視している。
【0044】
ここで、例えばアイドル運転のようなアクセルペダルが低開度で一定になるようなエンジンの運転状態であれば、目標燃圧が低いから、上記差δは所定値αを下回り、演算誤差が生じにくい状況と判定して、先の通常の加重平均によるフィルタ処理を続ける。
【0045】
また例えばアクセルペダルが急激に操作されたとする。
【0046】
すると、図3中の二点鎖線で示されるように目標燃圧値が高い値に切換わり、要求燃圧を増加させる。この要求燃圧により、高圧燃料ポンプ14は加圧する仕事が行われ、急な傾き(勾配)を伴いながら燃圧を階段状に最終到達点である目標燃圧値へまで上昇させる。つまり、燃圧は「低」から「高」へ過渡的に上昇する。この燃圧の上昇に伴い、燃圧センサ25からは図3中の一点鎖線に示されるように燃圧の上昇に追従した検出値(実際の燃圧値)が出力する。
【0047】
このとき、差δが所定値αを下回るのであれば、ECU26は、実際の燃圧値の勾配とフィルタ値の勾配との差が小さく演算誤差が生じにくい状況にある判定して、ステップS2に示されるように先の通常の加重平均によるフィルタ処理を続ける。具体的には、ECU26において、例えばSGT信号の立下がり毎、今回の燃圧センサ25から出力された燃圧値(VFPS)と前回フィルタ処理後の燃圧値(VFPSf(n−1))とを加重平均した燃圧値(加重平均値:VFPSf(n))を算出する演算処理が行なわれる。式で表わすと、
VFPSf(n)=VFPSf(n−1)×K+VFPS×(1−K)となる。
【0048】
但し、Kはフィルタ定数。
【0049】
この間、通常のフィルタ値に基づき可変燃圧制御は行われる。
【0050】
一方、差δが所定値α以上になると、ECU26は、実際の燃圧値の勾配とフィルタ値の勾配との差が大きく演算誤差が生じやすい状況であると判定して、ステップS3へ至り、実際に燃圧センサ26から検出された検出値に近づける重みつけ施すフィルタ処理に切換わる。
【0051】
このフィルタ処理は、1行程前(前回)の燃圧上昇分P1(燃圧変動差)を、フィルタ値(VFPSf(n))にそのまま足し込む補正処理で行われる。式で表わすと、
CALFPSf(n)=VFPSf(n−1)×K+VFPS×(1−K)+[VFPSf(n−1)−VFPSf(n−2)]となる。
【0052】
この補正処理により、フィルタ値は、図3中の実線中の「CALFPSf(n)」に示されるように急激に燃圧が上昇する挙動となって表れ、実際の燃圧値に近づき、切換わる過渡期の燃圧値が高い精度で検出される。
【0053】
つまり、フィルタ値は、補正処理により、急激に変化に追従する過渡期の実際の燃圧値に近い値となる。
【0054】
それ故、可変燃圧制御は、過渡的な燃圧の変化に追従する高精度なフィルタ値で行なえ、追従性(応答性)が向上する。
【0055】
したがって、フィルタ値でありながら演算誤差を抑えた高い精度で燃料噴射ができ、排ガスの点、燃費の点、さらには車両走行フィーリングの点の向上が期待できる。
【0056】
特にフィルタ値は、前回(直前)の演算した燃圧値を加重平均する演算処理で得る値なので燃圧センサ26から直接出力される燃圧値(検出値)から応答遅れをもって出力されるが、前回の変動差分P1を足し込む補正の採用により、現在の燃圧値を検出するタイミングに追いつくので、フィルタ処理がもたらす1次遅れが解消でき、優れた追従性(応答性)をもたらす。しかも、この補正処理は、直前の燃圧変動差を足し込むだけなので簡単である。
【0057】
図4および図5は、本発明の第2の実施形態を示す。
【0058】
本実施形態は、前回の燃圧変動差P1を足し込む手法でなく、目標燃圧と現在の燃圧(フィルタ処理した検出値)との差δが所定値α以上のとき、通常時よりも燃圧センサ25の検出値寄りの重みつけをした係数を用いた加重平均の演算処理で、フィルタ値を補正するようにしたものである。
【0059】
具体的には、第2の実施形態は、例えば図4のフローチャート中のステップS12に示されるように通常のフィルタ処理のときは、例えばフィルタ定数Kとして「0.5」を用いた加重平均の演算処理を行ない、差δが所定値α以上の重みつけを変えるフィルタ処理のときは、ステップS13に示されるように例えばフィルタ定数Kとして「0.25」を用いて、通常時よりも実際の燃圧値に近づく重みつけの加重平均の演算処理を行ない、フィルタ定数を切換える手法でフィルタ値を補正するようにしたものである。
【0060】
こうした補正処理でも、過渡期のフィルタ値は、図5中の実線に示されるように急激に燃圧が上昇する挙動となって表れ、実際の燃圧値に近づく。
【0061】
つまり、フィルタ値は、切換わるフィルタ定数Kの切換えにより、実際に変化する燃圧値に近い値となる。
【0062】
それ故、第2の実施形態でも可変燃圧制御は、過渡的な燃圧の変化に追従する高精度なフィルタ値で行なえ、演算誤差を抑えた高い精度の燃料噴射ができるといった効果を奏する。
【0063】
但し、図5および図6において、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を附してその説明を省略した。
【0064】
なお、上述した実施形態では、前回の変動差を加算する手法、フィルタ定数を切換える手法を採用したが、それ以外の加重平均の重みつけを実際の燃圧寄りに大きくする手法を用いて、燃圧上昇時(過渡期)のフィルタ値と実際の燃圧値との差を低減させるようにしてもよい。むろん、エンジンは、気筒数に限定されないことはいうまでもない。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、燃圧が「低」から「高」へ上昇する過渡期など、フィルタ値が実際の燃圧値と大きなずれが生じやすいとき、実際の燃圧値に対してフィルタ値を近づけることができ、実際の検出値に対するフィルタ値の追従性(応答性)が図れる。
【0066】
それ故、燃圧が過渡的に変化しても、フィルタ値を用いて、高い精度で可変燃圧の制御ができ、高精度の燃料噴射が可能となる。
【0067】
しかも、前回の燃圧変動差を今回のフィルタ値に足し込む演算処理や実際の検出値に近づく重みつけをした係数を用いた演算処理をおこなって加重平均の重みつけを変える処理を採用すると、補正処理は簡単である。特に前回の燃圧変動差を足し込む処理は、加重平均がもたらす一次遅れが解消されるので、優れた追従性をもたらす利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る可変燃圧システムの構成を模式図。
【図2】同システムにおけるフィルタ処理を説明するためのフローチャート。
【図3】同フィルタ処理で行われる燃圧が「低」から「高」に上昇する過渡期のフィルタ値の挙動を説明するための線図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る可変燃圧システムにおけるフィルタ処理を説明するためのフローチャート
【図5】同フィルタ処理で行われる燃圧が「低」から「高」に上昇する過渡期のフィルタ値の挙動を説明するための線図。
【符号の説明】
25…燃圧手段
26…ECU(検出手段、演算手段)。
Claims (2)
- 前回のフィルタ値と、目標燃圧値にしたがって可変される燃圧を検出する燃圧センサからの検出値とを加重平均させるフィルタ処理により得られるフィルタ値を、前記燃圧を前記目標燃圧値にしたがい制御する燃圧可変制御に用いる燃圧値とした可変燃圧システムにおいて、
前記目標燃圧値と現在のフィルタ値との差を検出する検出手段と、
前記差の値が所定値以上であるか否かを判定する判定手段と、
前記差が前記所定値以上のとき、上記フィルタ処理に実際の検出値寄りの重みつけを施す演算手段と
を具備し、
前記演算手段は、前回の燃圧変動差を、今回のフィルタ値に加算する演算処理で行われることを特徴とする可変燃圧システム。 - 前回のフィルタ値と、目標燃圧値にしたがって可変される燃圧を検出する燃圧センサからの検出値とを加重平均させるフィルタ処理により得られるフィルタ値を、前記燃圧を前記目標燃圧値にしたがい制御する燃圧可変制御に用いる燃圧値とした可変燃圧システムにおいて、
前記目標燃圧値と現在のフィルタ値との差を検出する検出手段と、
前記差の値が所定値以上であるか否かを判定する判定手段と、
前記差が前記所定値以上のとき、上記フィルタ処理に実際の検出値寄りの重みつけを施す演算手段と
を具備し、
前記演算手段は、実際の検出値に近づく重みつけをなす係数を用いた加重平均の演算処理で行われることを特徴とする可変燃圧システム。
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