JP4123045B2 - ロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法および装置 - Google Patents

ロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法およびそのための回収装置に関する。特に、ロータリーキルンで処理した後キルンから排出される塊や大塊が混在する溶融物(以下、これらを「高温被処理物」ともいう)を安定して水砕処理するとともに、高温被処理物を冷却するための水槽内の水(水槽水)の突沸、熱水の飛散等を防止し、その安定操業に寄与できるロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法および回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロータリーキルンは、気体と固体間に燃焼、焙焼、還元などの反応を行わせるための反応装置で、セメント製造、金属製錬、還元ペレット製造等、工業の各分野で使用されている。
【0003】
図4は、製鉄所内で使用されているロータリーキルンとそれから排出される溶融物の回収装置例の概略縦断面図である。
【0004】
図4に示すように、ロータリーキルン1は、中空円筒状でその内面は耐火煉瓦で被覆されており、処理対象の原料24を装入するキルンの一端部(装入側)から他端部(排出側)に向かってわずかに下り傾斜して配置されている。装入フィーダ28および装入シュート26を介してキルン1内に装入された原料24は、ロータリーキルン1の軸12まわりの回転によって排出側へ転動しながら移動し、バーナー27により高温で処理され、排出側の開口から排出される。
【0005】
一方、ロータリーキルン1からの排ガスについては、ロータリーキルン1の排出側に連通設置された縦型の二次燃焼室8内で、それに含まれる未燃分を完全に燃焼させる方法が一般に行われている。
【0006】
処理対象の原料には、例えば、廃棄物、製鉄ダスト、粉鉱石などが含まれ、その目的によって、焼却、焼却溶融、焙焼、還元、還元溶融など種々の処理が施される。処理温度範囲は、500〜1500℃と高温である。また、処理後の排出物の性状は、粉粒体、高粘性流動体、低粘性流動体、塊、大塊など様々であり、金属とスラグが混合状態となっている。
【0007】
ところで、ロータリーキルン1の内壁や排出側端部には、通常、付着物29、30が存在する。そのため、処理後の排出物(溶融物)の排出速度を一定に保つことが難しく、間欠的に大量に排出されたり、排出位置がキルンの回転により大きく移動する。また、排出物には塊や、大塊が混在するなど、様々な変化がある。しかし、これに対応する適切な装置がなく、溶融物を水槽で受けるか、高温容器に受け直すことが必要である。
【0008】
このロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法として、従来は、図4に示すように、塊や、大塊6が混在する溶融物3を、水槽2で受け、冷却し、または冷却凝固、凝固破砕し、沈降した粒状物、または溶融せずに排出された塊を水槽2の底部に配置されたスラグコンベア5で搬出する方法が一般的である。なお、図示した例で、スラグコンベア5は紙面に直角の方向に移動する。
【0009】
しかし、前述したように、ロータリーキルンからの溶融物の排出速度が一定せず、大量の高温被処理物が水槽2内へ排出されると、その冷却に伴う水の蒸発が一気に起こり、激しい突沸が生じる。その結果、水蒸気による体積膨張圧がロータリーキルン1や二次燃焼室8など、連設された全ての部分に伝搬し、装置強度を超える圧力に曝されて装置が損傷したり、水槽2と二次燃焼室8下部の水封シール部17から熱水が飛散して、作業者が危険に曝される恐れもある。また、キルンの内圧変動が大きすぎてバーナー27の失火などを招き、操業が困難になる。
【0010】
また、二次燃焼室8の炉壁にはロータリーキルンから排ガス中に飛散した微細なスラグ成分や未燃炭素粒子などが混在して付着し、付着物9の自重が増して、炉壁との付着力で持ちこたえられなくなると、二次燃焼室8の下方に配置されている前記水槽2内へ直接落下する。この付着物9の落下も、突沸の発生要因である。
【0011】
このように、ロータリーキルンから排出される溶融物の回収には種々の問題がある一方で、その回収の際に、含まれる金属を効率よく分離しようという狙いもあって、従来から多くの提案がなされている。
【0012】
例えば、特許文献1には、溶融物中に含まれる金属とスラグとを分離して回収する装置として、樋傾斜が16.7°以上、長さが10m以上の、U字型断面の水樋を溶融物の落下地点に配置し、水砕することにより、スラグとメタルを異なるサイズの粒状物として分別回収することが提案されている。水樋に流される水流の温度を60℃以上、溶融物の温度を金属の凝固点より20〜70℃高い範囲、水樋に投入される溶融物と水量との比率を80kg/m以下(水/スラグ比で12.5以上)とすることにより所望の効果が得られるとしている。
【0013】
しかし、この技術は、前述したロータリーキルンから排出される様々な形態の高温被処理物の回収には適用できない。例えば、様々な大きさの塊状物がロータリーキルンから排出された場合、U字型断面の水樋の縁に引っかかるなどして、その上から溶融物が流下すると、塊の上に流れて固まり、塊を益々肥大させるだけでなく、その塊が回転するキルンと接触するなど、操業を停止せざるを得なくなる。
【0014】
また、排出物がU字型の水樋に引っかかるような塊ではなく、粉、粒状の物や溶融物のみの場合であっても、その排出量がロータリーキルンの内壁や排出側端部の付着物などの影響で、あらかじめ設定された量を上回って間欠的に排出されるような場合、当初の設定水量では押し流すことができず、U字型水樋の底に溜まることがある。底部に溜まり、冷却されて固まった塊状物は、ロータリーキルンから順次排出されてくる高温被処理物と合体しながら大きく成長し、最終的には、前記の肥大した塊の場合と同様に、回転するキルンと接触し、操業停止に至る。
【0015】
特許文献2には、ロータリーキルンから排出される溶融物に対して、水槽内の水面下に水噴射ノズルを配置し、冷却水を水平に噴射して水砕する方法が提案されている。溶融スラグは直径10mm以下に破砕され、軽量であり、溶融金属は粘性が大きく数センチ前後の大きさの塊として固まり、比較的重いので、スラグと金属を別々の位置に着地させ、金属とメタルの分離回収を容易にする技術である。
【0016】
しかしながら、この方法も、前述のロータリーキルンからの様々な形態の排出物を対象として、水槽内の水の突沸を防止しながら行えるものではない。例えば、ロータリーキルンから高温被処理物が大量に排出された時は、冷却が不完全のまま水槽の底部まで沈み込み、そこで大量の溶融物の表面のみが凝固収縮するが、その凝固した殻が割れて内部から高温の溶融物が流れ出し、周囲の水が一気に蒸発、膨張して突沸を起こすおそれがある。
【0017】
また、特許文献3には、スラグ水槽の水面を傾斜した遮蔽板で覆い、水槽から発生する水蒸気を吸引して、ロータリーキルンの排出側端部に水蒸気を接触させないようにし、前記端部の冷却およびスラグの固着を抑制することにより水槽水の突沸を防止する技術が開示されている。固着したスラグが排出側端部の排出口を狭め、その排出口から大量の溶融スラグが水槽内に一気に落下すること、およびキルンの排出側端部に固着し成長した付着物の塊が水槽内に落下することによる突沸を抑える効果を期待したものである。
【0018】
しかし、この技術では、ロータリーキルンの排出側端部における水槽からの水蒸気による冷却に起因する付着物の肥大化および落下は抑制できても、ロータリーキルン内部で成長した大塊の水槽内への落下に対しては効果はない。また、この技術では、二次燃焼室壁の付着物の落下による水槽水の突沸防止について開示されていないが、前記の遮蔽板は傾斜しており、二次燃焼室壁の高温の付着物が自重に耐えきれずに落下した場合、遮蔽板上を滑り落ちて水槽内に落下するので、突沸を防止することはできない。
【0019】
【特許文献1】
特開平10−318685号公報
【特許文献2】
特開2001−280631号公報
【特許文献3】
特開2000−266470号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術における問題を解決し、ロータリーキルンから排出される高温被処理物の様々な形態やその排出速度の変動、または二次燃焼室からの付着物の落下等に起因する前記水槽水の突沸を生じさせることなく、安全で安定した操業に寄与することができるロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法、およびそのための装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、この課題を解決するため検討を重ねた結果、下記(a)〜(d)に示す諸対策が有効であるとの知見を得た。
【0022】
(a) 傾動樋水砕方式の採用:
ロータリーキルンの出側に固定した水砕樋を配置すると、先に述べた溶融物の固着、成長(肥大化)や、水で押し流せない塊の樋上での滞留・固化および肥大化等を防止できず、ロータリーキルン停止を余儀なくされる。これを回避する手段として、傾動可能な樋(傾動式水砕樋)を用いれば、樋上の塊などの高温被処理物を樋を傾動させることによって樋上から水槽内へ落下させ、樋を元の位置に戻せば、溶融物の水砕による粒状化を再開できる。
【0023】
(b) ドライピット水砕方式の採用:
傾動式水砕樋をロータリキルン外まで伸延し、水砕物はこの樋でキルン外へ搬出するとともに、大塊は水砕樋を傾動させて下部のドライピットヘ落下させる。スラグ水槽の代わりに設備的に簡素なドライピットを使用し、前記の突沸発生の問題を解消できる。
【0025】
(d) 水槽水面の遮蔽板による被覆:
水槽の水面を水平の板状部材(遮蔽板)で覆うことによって、二次燃焼室から落下してくる高温の付着物が水槽内へ直接落下、水没するのを防止し、水槽の突沸を防止できる。
【0026】
本発明は上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は、下記(1)〜(3)のロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法、および(4)〜(6)の回収装置にある。
【0027】
(1)中空円筒状をなし、水平からわずかに傾斜して配置され、その一端から装入された原料を前記円筒の軸のまわりの回転によって他端の排出側へ移動させつつ高温で処理するロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法であって、下記(1)および(2)の工程を含むことを特徴とするロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法。
(1)前記溶融物を、前記ロータリーキルンの排出側に設けられたスラグ水槽またはドライピットの上方の、溶融物が落下する付近に配置された傾動式水砕樋で受けて水流で水砕搬送する工程
(2)水砕搬送が困難な塊を前記水砕樋を傾動させて前記スラグ水槽またはドライピットへ落下させる工程。
【0028】
(2)前記(1)に記載のスラグ水槽を用いた溶融物の回収方法において、さらに下記(3)および(4)の工程を含むことを特徴とするロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法。
(3)前記傾動式水砕樋で水砕搬送された溶融物を前記スラグ水槽へ落下させる工程
(4)前記スラグ水槽へ落下させた水砕搬送後の溶融物および塊をスラグ水槽の底部に配置されたスラグコンベアでスラグ水槽外へ排出する工程。
【0029】
(3)前記(1)に記載のドライピットを用いた溶融物の回収方法において、さらに下記(5)および(6)の工程を含むことを特徴とするロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法。
(5)前記傾動式水砕樋として、溶融物が落下する付近から前記ロータリーキルン外にわたって配置された傾動式水砕樋を用い、水流で水砕搬送してロータリーキルン外へ搬出する工程。
(6)水砕搬送が困難な塊を前記水砕樋を傾動させて、ロータリーキルンの排出側に設けられたドライピットへ落下させる工程。
【0033】
前記(1)または(2)に記載の溶融物の回収方法において、前記ロータリーキルンに連設された二次燃焼室の炉壁から落下する付着物を、前記傾動式水砕樋または水砕用スラグコンベアが配置された部分を除く前記スラグ水槽の上方に水平に設けられた遮蔽板で受け止めることとすれば、前記付着物を遮蔽板上に堆積させ、水槽内への直接落下を防ぎ、突沸を防止することができる。
【0034】
(4)中空円筒状をなし、水平からわずかに傾斜して配置され、その一端から装入された原料を前記円筒の軸のまわりの回転によって他端の排出側へ移動させつつ高温で処理するロータリーキルンから排出される溶融物の回収装置であって、前記ロータリーキルンの排出側に設けられた前記溶融物を収容するためのスラグ水槽または水砕搬送が困難な塊を収容するためのドライピットと、前記スラグ水槽またはドライピットの上方の、溶融物が落下する付近に配置され、ロータリーキルンから排出される溶融物を受けて水流で水砕搬送する傾動式水砕樋と、前記傾動式水砕樋に水流を供給する手段とを有することを特徴とするロータリーキルンから排出される溶融物の回収装置。
【0035】
(5)前記(4)に記載のスラグ水槽を有する溶融物の回収装置において、前記水砕樋は、前記水流による搬送後の溶融物を前記スラグ水槽へ落下させるとともに、水砕搬送が困難な塊を、樋を傾動させて前記スラグ水槽へ落下させる傾動式水砕樋であり、前記スラグ水槽は、その底部に配置されスラグ水槽へ落下させた前記水砕搬送された溶融物および前記樋を傾動させ落下させた水砕搬送が困難な塊をスラグ水槽外へ排出するスラグコンベアを有することを特徴とするロータリーキルンから排出される溶融物の回収装置。
【0036】
(6)前記(4)に記載のドライピットを有する溶融物の回収装置において、前記傾動式水砕樋は、前記ドライピットの上方の、溶融物が落下する付近からロータリーキルン外にわたって配置され、ロータリーキルンから排出される溶融物を受けて水流で水砕搬送するとともに、水砕搬送が困難な塊を、樋を傾動させて前記ドライピットへ落下させる傾動式水砕樋であることを特徴とするロータリーキルンから排出される溶融物の回収装置。
【0037】
前記(4)または(5)に記載の溶融物の回収装置において、前記傾動式水砕樋または水砕用スラグコンベアが配置された部分を除く前記スラグ水槽の上方に水平に設けられた、前記ロータリーキルンに連設された二次燃焼室の炉壁から落下する付着物を受け止めるための遮蔽板を用いれば、前記付着物を遮蔽板上に堆積させ、水槽内への直接落下を防いで突沸を防止することができる。
【0038】
この遮蔽板は、全面または部分的に傾動可能に構成されていれば、ロータリーキルンの稼働に関係なく堆積物を水槽内へ移すことができる。
【0039】
前記()または()に記載の溶融物の回収装置において、ドライピットの上端またはスラグ水槽の上端に、二次燃焼室の下端を差し込んでドライピットまたはスラグ水槽と二次燃焼室の間を水封するための溝状の水槽を備える回収装置用いれば、ドライピットやスラグ水槽と二次燃焼室間の隙間から二次燃焼室内の気圧の変動による熱風が吹き出すおそれがなく、安全な操業を行うことができる。
【0040】
前記の「溶融物」とは、ロータリーキルンで処理した後キルンから排出される高温被処理物を指す。塊や大塊が混在する場合もあるが、通常は溶融物が主体なので、便宜上「溶融物」という。ただし、塊や大塊と対比して溶融状態にある高温被処理物を「溶融物」という場合もある。
【0041】
前記の「水砕搬送」とは、ロータリーキルンから排出され、落下する溶融物を水砕、粒状化すると同時に、水流に乗せて搬送することをいう。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下に、前記(1)〜(3)に記載の本発明のロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法、および(4)〜(6)に記載の本発明のロータリーキルンから排出される溶融物の回収装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、これらの方法または装置は、前記(a)もしくは)に記載の傾動樋水砕方式またはドライピット水砕方式での方法または装置に該当するので、これらを項目別に説明する。
【0043】
(a) 傾動樋水砕方式:
この方式に該当するのは、(1)または(2)に記載の溶融物の回収方法と、(4)または(5)に記載の溶融物の回収装置である。
【0044】
図1は、後に詳述する前記(4)または(5)に記載の本発明の溶融物回収装置の一例の概略構成図で、(a)は縦断側面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。この装置は、ロータリーキルン1の排出側に設けられたスラグ水槽2と、前記スラグ水槽2の上方に配置された傾動式水砕樋4と、前記傾動式水砕樋4に水を供給する手段と、スラグ水槽2内に配置されたスラグコンベア5とを有している。
【0045】
前記(1)に記載の本発明の溶融物回収方法は、前述したように、中空円筒状をなし、水平からわずかに傾斜して配置され、その一端から装入された原料を前記円筒の軸のまわりの回転によって他端の排出側へ移動させつつ高温で処理するロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法であって、下記)および(2)の工程を含む方法であり、また、前記(2)に記載の溶融物回収方法は、さらに(3)および(4)の工程を含む方法である。
【0046】
)および(3)の工程は、「前記溶融物を、前記ロータリーキルンの排出側に設けられたスラグ水槽の上方の、溶融物が落下する付近に配置された傾動式水砕樋で受けて水流で水砕搬送し、前記スラグ水槽へ落下させる工程」である。
【0047】
ロータリーキルン1の排出側に設けられたスラグ水槽2の上方の、溶融物3が落下する付近に傾動式水砕樋4が配置されており、ロータリーキルン1から排出される溶融物3をこの水砕樋4で受けて水流で水砕搬送し、前記スラグ水槽2へ落下させる。傾動式水砕樋4には溶融物3の落下に備えて常時水を流しているので、落下した溶融物3はその水流で直ちに冷却されるとともに、水砕樋4面への衝突と水流の衝撃で粒状化される。
【0048】
▲2▼の工程は、「水砕搬送が困難な塊を前記水砕樋を傾動させて前記スラグ水槽へ落下させる工程」である。
【0049】
ロータリーキルン1から排出される溶融物には、塊や大塊6が混在する場合がある。また、溶融物3が多量に排出、落下した場合、その全てが水砕搬送されず、傾動式水砕樋4の縁や端部に固着して塊に成長肥大する場合もある。この工程では、そのような水砕搬送が困難な塊を、前記水砕樋4を傾動させてスラグ水槽2へ落下させる。
【0050】
(4)の工程は、「前記スラグ水槽へ落下させた水砕搬送後の溶融物および塊をスラグ水槽の底部に配置されたスラグコンベアでスラグ水槽外へ排出する工程」である。この工程は、従来から実施されている工程であり、それに準じて行えばよい。
【0051】
なお、前記(4)の工程は処理の順序を規定するものではなく、ロータリーキルンから排出される溶融物の処理状況に合わせて、適宜行えばよい。また、()に記載の溶融物回収方法は、この(4)の工程を含む方法であって、例えば、前記水砕搬送後の粒状物をスラグコンベアでスラグ水槽外へ排出した後の処理等は、従来行われている方法で行えばよい。これは、後述する(3)に記載の溶融物回収方法においても同様である。
【0052】
この(1)または(2)に記載の溶融物回収方法によれば、ロータリーキルンから排出される様々な性状の高温被処理物が水砕樋上に落下しても、溶融状態の排出物であれば水砕搬送することができ、排出量が多く、樋に溶着または付着しても、水砕樋を傾動させることによりそれらを剥離し、除去することが可能である。水砕樋を元の状態に戻すと、前記水砕搬送が可能となる。したがって、傾動式水砕樋上に塊が成長肥大することがなく、操業が阻害されることがない。
【0053】
また、ロータリーキルンから排出される大塊を直接スラグ水槽へ落下させず、一旦水砕樋に受け、樋上で水流により冷却してから樋を傾動し、水没させることができるので、水槽水の突沸を防止することができる。
【0054】
前記(1)に記載の溶融物回収方法において、傾動式水砕樋4が配置された部分を除く前記スラグ水槽2の上方に、遮蔽板7を水平に取り付けておけば、前記ロータリーキルン1に連設された二次燃焼室8の炉壁表面の高温の付着物9が落下した場合に、それらを前記遮蔽板7で受け止め、その上に堆積させることができる。これにより、前記高温の付着物9がスラグ水槽2内へ直接落下するのを防ぎ、水槽水の突沸を防止することができる。また、ロータリーキルン1から、傾動式水砕樋4で処理しきれない大量の溶融物が排出され、水砕樋4をオーバーフローした場合にも、それらを前記遮蔽板7で受け止め、堆積させることができるので、このような予期しない事態にも対応して突沸の防止が可能である。
【0055】
前記遮蔽板上に堆積する落下物は、定期的にロータリーキルンを停止したときに冷却、除去すればよく、通常の操業に影響することはない。
【0056】
前記(4)または(5)に記載の本発明の溶融物回収装置は、前記(1)または(2)に記載の溶融物回収方法を実施することができる装置である。
【0057】
前記図1に示すように、この装置は、ロータリーキルン1の排出側に、前記キルン1から排出される溶融物を収容するためのスラグ水槽2と、前記スラグ水槽2の上方の、溶融物3が落下する付近に配置され、ロータリーキルン1から排出される溶融物3を受けて水流で水砕搬送し、前記スラグ水槽2へ落下させるとともに、水砕搬送が困難な塊を、樋を傾動させて前記スラグ水槽2へ落下させる傾動式水砕樋4と、前記傾動式水砕樋4に水を供給する手段と、前記スラグ水槽2の底部に配置され、スラグ水槽2へ落下させた前記水砕搬送された粒状物および水砕搬送が困難な塊をスラグ水槽外へ排出するスラグコンベア5とを有している。
前記のスラグ水槽2は、前記図4に示した水槽2と特に異なるところはなく、慣用されているものを使用することができる。
【0058】
前記の傾動式水砕樋4は、図1(a)の一部の拡大図に矢印を付して示したように、樋幅の一端部を支点10として傾動可能に構成されている。その駆動方法は、エアーシリンダー、油圧シリンダー、またはウインチ等を用いる方法のいづれでもよい。図1に示した例では、エアーシリンダー11を使用している。
【0059】
傾動式水砕樋4の長さは、ロータリーキルン1からの溶融物の排出位置が変動しても水砕樋4上に落下すように定め、ロータリーキルン1の軸(円筒軸)12に対し直角方向に配置するのがよい。水砕樋4の幅は、ロータリーキルン1から排出される溶融物の落下位置の変動幅をあらかじめ予測して定めればよい。水砕樋4の傾斜は、樋4に落下する溶融物3の量、樋4に流す水量等を勘案して適宜定めればよい。
【0060】
また、傾動式水砕樋4の材質としては、圧延鋼板、鋳鋼等の金属が適している。傾動式水砕樋4はロータリーキルン1から排出される高温の溶融物に常時曝されるが、水砕搬送のための水流で冷却されているので、十分使用可能である。
【0061】
前記の傾動式水砕樋4に水を供給する手段は、ここには図示していないが、通常は、ポンプを用いて水砕樋4の上端部から下端部へ向けて流下させる。ロータリーキルン1から排出される溶融物の水砕、粒状化を効果的に行うためには、勢いの強い水流が必要であり、溶融物の排出量の変動に応じて水量の調節が可能に構成されているのが望ましい。流下した水は、溶融物を水砕して粒状化し、粒状物を押し流して、ともにスラグ水槽2へ落下する。
【0062】
スラグコンベア5については、前記図4に示したスラグコンベア5と異なるところはない。慣用されているものを用いればよい。
【0063】
図1に示した装置例では、さらに、前記スラグ水槽2の上方で、傾動式水砕樋4が配置された部分を除いた部分に、前述した概ね水平に配置された遮蔽板7が取り付けられている。このような遮蔽板7を設けることにより、水槽水面を水砕樋4と遮蔽板7とで覆うことができ、前述したように、二次燃焼室8の炉壁から落下する付着物9や、ロータリーキルン1から排出される大量の溶融物をスラグ水槽2内へ直接落下させず、遮蔽板7上に堆積させ、水槽水の突沸を防止することができる。
【0064】
また、遮蔽板7を取り付ける効果として、水槽内の水に吸収されるロータリーキルン1の排出側端面からの熱輻射の一部を前記堆積物によってキルン内へ反射することもあげられる。これにより、キルンの熱効率を高めるとともに、キルン排出側端部の温度低下を抑え、溶融物の付着防止にも寄与することができる。
【0065】
遮蔽板7の材質としては、圧延鋼板、鋳鋼等の金属が適している。前記の傾動式水砕樋と同様に、遮蔽板7も高熱に曝されるが、堆積物によって遮蔽板7への熱負荷が軽減され、あらかじめ遮蔽板7上に砂などを堆積させておく方法を採ることも可能なので、これらの金属が十分使用できる。
【0066】
遮蔽板7は、固定式でもちろん有効であるが、全面または部分的に傾動可能に構成されたものであれば、ロータリーキルンの停止を待たず、定期的に傾動させて、堆積物を静かに水槽内へ落下させることが可能である。
【0067】
(b) ドライピット水砕方式:
この方式に該当するのは、前記の(1)または(3)に記載の溶融物の回収方法と、(4)または(6)に記載の溶融物の回収装置である。
【0068】
図2は、後に詳述する前記(4)または(5)に記載の本発明の溶融物回収装置の一例の概略構成図で、(a)は縦断側面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図である。この装置は、ロータリーキルン1の排出側に設けられたドライピット13と、前記ドライピット13の上方の、溶融物3が落下する付近からロータリーキルン1外にわたって配置された傾動式水砕樋14と、前記傾動式水砕樋14に水を供給する手段とを有している。なお、「ロータリーキルン外」とは、二次燃焼室やドライピット等を含むロータリーキルン設備の外側、この場合でいえば、二次燃焼室の炉壁よりも外側をいう。
【0069】
前記()に記載の本発明の溶融物回収方法は、前記のロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法であって、下記(5)および(6)の工程を含む方法である。
【0070】
(5)の工程は、「傾動式水砕樋として、溶融物が落下する付近からロータリーキルン外にわたって配置された傾動式水砕樋を用い、水流で水砕搬送し、ロータリーキルン外へ搬出する工程」である。
【0071】
この()に記載の溶融物回収方法で使用する傾動式水砕樋14は、溶融物3が落下する付近からロータリーキルン1外にわたって配置されている。したがって、水砕搬送可能な高温被処理物は水砕の水流で全てロータリーキルン1外の、例えば別に設けた槽15内へ押し流すことができる。
【0072】
前記傾動式水砕樋14は、ロータリーキルン1内(二次燃焼室の炉壁よりも内側を意味する)のみが傾動式で、そこから先のロータリーキルン1外は固定式であってもよい。図2に例示した溶融物回収装置の傾動式水砕樋はこのような方式のもので、ロータリーキルン1内が傾動式水砕樋14aであり、その樋の下端が固定式水砕樋14bに接続されている。これにより、図2(b)に破線で示したように、傾動部分をキルン1内に限定することができるので、傾動式水砕樋の構成をより簡単にすることが可能になる。
【0073】
(6)の工程は、「水砕搬送が困難な塊を前記水砕樋を傾動させて、ロータリーキルンの排出側に設けられたドライピットへ落下させる工程」である。
【0074】
前記のように、傾動式水砕樋14が、溶融物が落下する付近からロータリーキルン外にわたって配置されているので、水砕搬送される溶融物はロータリーキルン内には排出されない。したがって、スラグ水槽を、水を溜めないドライピットとすることができる。
【0075】
前記の水砕搬送が困難な塊には、ロータリーキルン内で生成した塊6の他に、水砕樋14に溶融物が付着し、成長肥大して塊状になったものも含まれる。これらをドライピット13へ落下させる際には、水砕搬送を停止して水砕樋14を傾動させれば、ドライピット13内に水が溜まるのを防止することができる。二次燃焼室8から落下する付着物9も直接ドライピット13ヘ落下させることができる。なお、ドライピット13内の落下物(塊や前記付着物等)は、ロータリーキルンの定期的な停止時期に合わせてショベル等により搬出すればよい。
【0076】
傾動式水砕樋14から飛散した水はドライピット13ヘ流下するが、その量は少ないので、ドライピット13内の底面に傾斜をつける等により適宜排出すればよい。
【0077】
前記()に記載の溶融物回収方法によれば、水を溜めないドライピット方式を採用することができるので、水槽水の突沸の問題は解消される。
【0078】
二次燃焼室8からの落下物も直接ドライピット13ヘ落下させることができるので、前記の遮蔽板を取り付ける必要がなく、また、スラグコンベアが不要で、設備的に簡素になり、溶融物回収のためのコストを低減できる。また、前記のスラグ水槽を用いる傾動樋水砕方式の場合は、遮蔽板が外れたり、水砕樋に穴があき、高温の溶融物が直接大量に水槽水中に落下するなどの万一の突沸の危険性が皆無ではないが、このドライピット水砕方式では、その懸念がなくなる。
【0079】
前記(5)に記載の本発明の溶融物回収装置は、前記()に記載の溶融物回収方法を実施することができる装置である。
【0080】
前記図2に示すように、この装置は、ロータリーキルン1の排出側に設けられた、水砕搬送が困難な塊を収容するためのドライピット13と、前記ドライピット13の上方の、溶融物3が落下する付近からロータリーキルン1外にわたって配置され、ロータリーキルン1から排出される溶融物を受けて水流で水砕搬送するとともに、水砕搬送が困難な塊を、樋を傾動させて前記ドライピット13へ落下させる傾動式水砕樋14と、前記傾動式水砕樋14に水を供給する手段とを有している。なお、前記傾動式水砕樋14、この例では、ロータリーキルン内が傾動式水砕樋14aで、その端部からロータリーキルン外へは固定式水砕樋14bに接続されている。
【0081】
前記のドライピット13は、前記図2に示すように、上方に傾斜面13aを有し、下方はショベルでの搬出を容易にするため、扉13b付きの形体を有している。
【0082】
ドライピット13と二次燃焼室8下部との接続部分は、隙間を極力なくするように構成されていればよいが、図示するように、ドライピット13側に溝状の水槽16を設け、そこへ二次燃焼室8の下端部を差し込む水封シール構造とすることが可能である。これにより、ドライピット13と二次燃焼室8間の隙間から二次燃焼室内の気圧の変動による熱風が吹き出すおそれもなく、安全な操業を行うことができる。
【0083】
傾動式水砕樋14は、前記図1に示した傾動式水砕樋4と基本的には同じであるが、樋の長さが長く、二次燃焼室8の下方部を突き抜けてロータリーキルン1外に及んでいる。前記図2に示した例では、傾動するのはロータリーキルン1内のみで、そこから先は固定式水砕樋14bになっている。このように、水砕樋14が二次燃焼室8の下方部を突き抜ける部分を固定式水砕樋14bとすれば、傾動のためのスペースを設けなくてもよいので、その部分のシールが簡素化される。
【0084】
前記傾動式水砕樋14に水を供給する手段は、前記図1に示した供給手段と異なるところはない。
【0085】
このドライピット水砕方式では、前記の遮蔽板は通常は設けない。しかし、図2に示したように、遮蔽板7があれば、二次燃焼室8の炉壁の付着物9がドライピット13に直接落下する場合に比べて、落下時の衝撃が和らげられるので、取り付けられていてもよい。
【0086】
上記の他に、さらにスラグコンベア水砕方式を用いてもよい。この方式はスラグ水槽の水面にスラグコンベア(水砕用スラグコンベア)を配置し、その表面に水砕用の水を噴射して溶融物を水砕し、コンベアでロータリキルン外へ搬出するとともに、塊状物もこの水砕用スラグコンベアで搬出する。
【0087】
図3は、後に詳述するスラグコンベア水砕方式による溶融物回収装置の一例の概略構成図で、(a)は縦断側面図、(b)は(a)のC−C矢視断面図である。この装置は、前記ロータリーキルンの排出側に設けられたスラグ水槽18と、前記スラグ水槽18の水面に配置された水砕用スラグコンベア19と、前記水砕用スラグコンベア19に水流を供給する手段とを有している。
【0088】
この溶融物回収方法は、(1))に記載の溶融物回収方法と同様に、前記のロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法であって、下記(7)および(8)の工程を含む方法である。
【0089】
(7)の工程は、「前記溶融物を、前記ロータリーキルンの排出側に設けられたスラグ水槽の、溶融物が落下する付近の水面に配置された水砕用スラグコンベアで受けて水砕搬送する工程」である。
【0090】
ロータリーキルンから排出される溶融物を、水砕樋ではなく水砕用スラグコンベア19で受けるので、前記溶融物は水砕搬送されると同時に、スラグコンベア19でロータリーキルン1外へ搬送される。
【0091】
(8)の工程は、「水砕搬送が困難な塊を前記水砕用スラグコンベアでロータリーキルン外へ排出する工程」である。
【0092】
水砕搬送が困難な塊は、傾動式水砕樋で受ける場合とは異なり、排出された位置に止まることなく、水砕用スラグコンベア19でロータリーキルン1外へ排出される。
の溶融物の回収方法によれば、ロータリーキルン1から排出される溶融物をすべて水砕用スラグコンベア19で受けて、ロータリーキルン1外へ排出することができる。したがって、水砕搬送後の粒状物や塊をスラグ水槽の底部に配置されたスラグコンベアでスラグ水槽外へ排出したり、ドライピットからショベルで搬出したりする必要がない。塊が直接水槽内に落下することがないので、水槽水の突沸を防止することができる。
【0093】
前記図3に示した例では、遮蔽板7が取り付けられているが、これによって二次燃焼室8の炉壁付着物9の水槽18内への落下を防ぐことができ、突沸の防止を効果的に行える。
【0095】
前記図3に示すように、この装置は、ロータリーキルン1の排出側に設けられたスラグ水槽18と、前記スラグ水槽18の水面の、溶融物が落下する付近に配置された水砕用スラグコンベア19と、前記水砕用スラグコンベア19に水流を供給する手段とを有している。
【0096】
前記のスラグ水槽18は、前記図1に示した溶融物回収装置におけるスラグ水槽とは異なり、水槽18内に水砕用スラグコンベア19全体を擁し、前記水砕用スラグコンベア19の搬送方向端部の底部分には水砕により得られる粒状物を収容するための粒状物収容部20を備えている。収容部20には、次工程に搬送するコンベアを配置してもよい。また、その上方の水面近くには、水砕用スラグコンベア19で搬送される大塊を鋤取り、分別して回収するための傾動可能なグリズリー21が取り付けられている。この傾動グリズリー21を図中に矢印で示すように傾動させて、大塊22をスラグ水槽18外へ分別回収する。
【0097】
前記の水砕用スラグコンベア19は、スラグ水槽18の水面に配置され、その上部に水砕用の水を噴射してロータリーキルン1から排出される溶融物を水砕搬送するとともに、水砕により粒状化できない塊をスラグ水槽18内のキルン1の外側(二次燃焼室の炉壁下端に矢印で示すように開閉自在に取り付けられているシャッター25よりも外側)へコンベア搬送する。溶融物が、水流の激しい、しかも移動している水砕用スラグコンベア19面へ流下しても、コンベア19面への溶着、付着は殆ど起こらないが、溶着物、付着物が生成した場合は、それらもそのまま搬送される。
【0098】
水砕用スラグコンベア19が搬送方向端部で反転すると、搬送された粒状物はガイド板23に誘導されて前記粒状物収容部20に収容され、大塊22は傾動グリズリー21で回収される。コンベア19面への溶着物、付着物は、搬送面が円弧を描きながら反転する間に剥離除去される。
【0099】
前記の水砕用スラグコンベア19に水流を供給する手段として、この例では、スラグ水槽18内の水を循環使用するポンプ24が使用されている。
【0100】
図3に示した装置例では、さらに、前記スラグ水槽18の上方で、水砕用スラグコンベア19が配置された部分を除いた部分に、前述した遮蔽板7が概ね水平に取り付けられている。このような遮蔽板7を設けることにより、水槽水面を水砕用スラグコンベア19と遮蔽板7とで覆うことができ、前記の図1で述べたように、二次燃焼室8の炉壁の付着物9や、ロータリーキルン1から排出される大量の溶融物をスラグ水槽18内へ直接落下させず、遮蔽板7上に堆積させて水槽水の突沸を防止できる。
【0101】
また、遮蔽板7は、全面または部分的に傾動可能に構成されたものであれば、定期的に傾動させて、その上の堆積物を静かに水槽中へ落下させることが可能である。その場合、堆積物が水砕用スラグコンベア19上へ排出されるようにそれぞれの取り付け位置を調整しておけば、前記排出された堆積物をそのまま水砕用スラグコンベア19で搬出できるので、より好ましい。
【0102】
図3に例示した装置は、このような位置調整を行って水砕用スラグコンベア19の高さ方向レベルを下げた場合である。なお、これによって、スラグ水槽18の水面が低下して水封シールができにくくなる場合は、スラグ水槽側に溝状の水槽16を設け、そこへ二次燃焼室8の下端部を差し込む水封シール構造とすればよい。
【0103】
この溶融物回収装置で、水砕用スラグコンベア19をスラグ水槽18の水面に配置するのは、コンベア搬送面の熱対策のためである。
【0104】
水砕用スラグコンベア19の材質としては、圧延鋼板、鋳片等の金属を使用することができる。前記の傾動式水砕樋と同様に、高熱に曝されるが、スラグ水槽18の水面に配置され、水砕搬送のための水流で冷却されているので、これらの金属が十分使用できる。
【0105】
水砕用スラグコンベア19をその水面に配置する前記のスラグ水槽18を、図3のスラグ水槽18内に破線で示すように縮小して、この縮小したスラグ水槽内の水を循環させるための大容量の水槽を別な場所に設け、前記縮小したスラグ水槽の下は空間としておけば、ドライピットと変わらないので、例えば、水砕用スラグコンベア19で受けきれない大塊の排出等、予期し得ない事態が生じた場合でも、水槽水の突沸のおそれは全くない。
【0106】
以上説明したように、本発明の溶融物の回収方法によれば、ロータリーキルンから排出される溶融物を支障なく安定して水砕処理することができ、かつ、水槽水の突沸や、水封シールに使用する水(熱水)の飛散等を防止して、安全に操業を継続することが可能である。これらの方法は、前述した本発明の溶融物の回収装置により容易に実施することができる。
【0107】
また、以上の説明では、ロータリーキルン内のガスと処理対象の原料とが同じ方向に流れる並流式ロータリーキルンを例にあげたが、前記ガスと原料とが対向して流れる向流式ロータリーキルンにおいても、本発明の方法および装置は有効である。
【0108】
【発明の効果】
本発明の溶融物の回収方法により、ロータリーキルンから排出される様々な性状、量、温度の溶融物を安全に水砕処理できる。その際、大塊の排出や付着物の落下などの特異的な現象に起因して生じる水槽水の突沸等にも対処して、安全性を確保しつつロータリーキルンの操業を安定して継続できる。この方法は本発明の溶融物の回収装置により容易に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶融物回収装置の一例の概略構成図で、(a)は縦断側面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。
【図2】本発明の溶融物回収装置の他の例の概略構成図で、(a)は縦断側面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図である。
【図3】本発明の溶融物回収装置のさらに他の例の概略構成図で、(a)は縦断側面図、(b)は(a)のC−C矢視断面図である。
【図4】製鉄所内で使用されているロータリーキルンとそれから排出される溶融物の回収装置例の概略縦断面図である。
【符号の説明】
1:ロータリーキルン
2:スラグ水槽
3:溶融物
4:傾動式水砕樋
5:スラグコンベア
6:大塊
7:遮蔽板
8:二次燃焼室
9:付着物
10:支点
11:エアーシリンダー
12:軸
13:ドライピット
13a:傾斜面
13b:扉
14:傾動式水砕樋
14a:傾動式水砕樋
14b:固定式水砕樋
15:槽
16:溝状の水槽
17:水封シール部
18:スラグ水槽
19:水砕用スラグコンベア
20:粒状物収容部
21:グリズリー
22:大塊
23:ガイド板
24:ポンプ
25:シャッター
26:装入シュート
27:バーナー
28:装入フィーダ
29、30:付着物

Claims (10)

  1. 中空円筒状をなし、水平からわずかに傾斜して配置され、その一端から装入された原料を前記円筒の軸のまわりの回転によって他端の排出側へ移動させつつ高温で処理するロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法であって、下記(1)および(2)の工程を含むことを特徴とするロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法。
    (1)前記溶融物を、前記ロータリーキルンの排出側に設けられたスラグ水槽またはドライピットの上方の、溶融物が落下する付近に配置された傾動式水砕樋で受けて水流で水砕搬送する工程
    (2)水砕搬送が困難な塊を前記水砕樋を傾動させて前記スラグ水槽またはドライピットへ落下させる工程
  2. 請求項1に記載のスラグ水槽を用いた溶融物の回収方法において、さらに下記(3)および(4)の工程を含むことを特徴とするロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法。
    (3)前記傾動式水砕樋で水砕搬送された溶融物を前記スラグ水槽へ落下させる工程
    (4)前記スラグ水槽へ落下させた水砕搬送後の溶融物および塊をスラグ水槽の底部に配置されたスラグコンベアでスラグ水槽外へ排出する工程。
  3. 請求項1に記載のドライピットを用いた溶融物の回収方法において、さらに下記(5)および(6)の工程を含むことを特徴とするロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法
    (5)前記傾動式水砕樋として、溶融物が落下する付近から前記ロータリーキルン外にわたって配置された傾動式水砕樋を用い、水流で水砕搬送してロータリーキルン外へ搬出する工程
    (6)水砕搬送が困難な塊を前記水砕樋を傾動させて、ロータリーキルンの排出側に設けられたドライピットへ落下させる工程。
  4. 前記ロータリーキルンに連設された二次燃焼室の炉壁から落下する付着物を、前記傾動式水砕樋または水砕用スラグコンベアが配置された部分を除く前記スラグ水槽の上方に水平に設けられた遮蔽板で受け止めることを特徴とする請求項1または2に記載のロータリーキルンから排出される溶融物の回収方法。
  5. 中空円筒状をなし、水平からわずかに傾斜して配置され、その一端から装入された原料を前記円筒の軸のまわりの回転によって他端の排出側へ移動させつつ高温で処理するロータリーキルンから排出される溶融物の回収装置であって、前記ロータリーキルンの排出側に設けられた前記溶融物を収容するためのスラグ水槽または水砕搬送が困難な塊を収容するためのドライピットと、前記スラグ水槽またはドライピットの上方の、溶融物が落下する付近に配置され、ロータリーキルンから排出される溶融物を受けて水流で水砕搬送する傾動式水砕樋と、前記傾動式水砕樋に水流を供給する手段とを有することを特徴とするロータリーキルンから排出される溶融物の回収装置。
  6. 請求項5に記載のスラグ水槽を有する溶融物の回収装置において、前記水砕樋は、前記水流による搬送後の溶融物を前記スラグ水槽へ落下させるとともに、水砕搬送が困難な塊を、樋を傾動させて前記スラグ水槽へ落下させる傾動式水砕樋であり、前記スラグ水槽は、その底部に配置されスラグ水槽へ落下させた前記水砕搬送された溶融物および前記樋を傾動させ落下させた水砕搬送が困難な塊をスラグ水槽外へ排出するスラグコンベアを有することを特徴とするロータリーキルンから排出される溶融物の回収装置。
  7. 請求項6に記載のドライピットを有する溶融物の回収装置において、前記傾動式水砕樋 は、前記ドライピットの上方の、溶融物が落下する付近からロータリーキルン外にわたって配置され、ロータリーキルンから排出される溶融物を受けて水流で水砕搬送するとともに、水砕搬送が困難な塊を、樋を傾動させて前記ドライピットへ落下させる傾動式水砕樋であることを特徴とするロータリーキルンから排出される溶融物の回収装置。
  8. 前記傾動式水砕樋または水砕用スラグコンベアが配置された部分を除く前記スラグ水槽の上方に水平に設けられた、前記ロータリーキルンに連設された二次燃焼室の炉壁から落下する付着物を受け止めるための遮蔽板を備えることを特徴とする請求項5または6に記載のロータリーキルンから排出される溶融物の回収装置。
  9. 前記遮蔽板が傾動可能に構成されていることを特徴とする請求項8に記載のロータリーキルンから排出される溶融物の回収装置。
  10. ドライピットの上端またはスラグ水槽の上端に、二次燃焼室の下端を差し込んでドライピットまたはスラグ水槽と二次燃焼室の間を水封するための溝状の水槽を備えることを特徴とする請求項または請求項に記載のロータリーキルンから排出される溶融物の回収装置。
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