JP4122834B2 - 方位測定機能を有する携帯型電子装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地磁気を利用して方位を測定する方位測定手段を備えた携帯電話機等の携帯型電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、方位測定のために地磁気を検出する磁気センサが知られている。一方、近年においては、前記磁気センサを携帯電話機に代表される携帯型電子装置に搭載することで方位測定を可能とし、これにより測定した方位を表示パネルに表示させる等の機能(ナビゲーション機能)を同携帯型電子装置に具備せしめることが検討されている。
【0003】
図1に正面図を示したこのような携帯電話機10は、一般に、互いに直交するX、Y、及びZ軸に略平行に延びる辺を有する略直方体形状の本体11と、X軸とY軸とにより画定される平面(X−Y平面)に平行な面であって前記本体11の表面の一つにX軸の方向を左右方向として所定の情報を表示する液晶表示パネル14aとを備えている。以下、この液晶表示パネル14aが形成された本体11の面を「携帯電話機10の前面」と称呼する。
【0004】
一方、携帯電話機10に搭載される前記磁気センサ30の多くは、携帯電話機10の前面が略水平に維持された状態において、前記本体11のX軸方向の地磁気成分に略比例した値Sxを示す(値Sxを出力する)X軸磁気センサと、同本体11のY軸方向の地磁気成分に略比例した値Syを示す(値Syを出力する)Y軸磁気センサとからなっている。
【0005】
前記X軸磁気センサの出力Sxは、図2の実線に示したように、携帯電話機10の前面が地表面に平行(水平)であって、同携帯電話機10の本体11のY軸に沿った辺が西、及び東を向いているとき、それぞれ最大値、及び最小値となり、同辺が北又は南を向いているとき0となるように構成されている。また、前記Y軸磁気センサの出力Syは、携帯電話機10の前面が地表面に平行であって、同携帯電話機10の本体11のY軸に沿った辺が南、及び北を向いているとき、それぞれ最大値、及び最小値となり、同辺が西又は東を向いているとき0となるように構成されている。なお、図2においては、X軸磁気センサ出力Sx、及びY軸センサ出力Syは規格化されている。規格化とは、携帯電話機10の前面が地表面に平行(水平)であるときのX軸磁気センサ(又はY軸磁気センサ)の実際の出力Sx(又は出力Sy)を、同出力Sx(又は出力Sy)の最大値と最小値の差の半分で除することである。
【0006】
このとき、携帯電話機10は、西を0°とし北、東、及び南の順に回転するにつれて値が増大するように定義される方位aを、例えば、下記表1に示した数式に基づいて決定するようになっている。
【0007】
【表1】
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、地磁気は地表面に対して平行ではない。また、携帯電話機10は、その前面が地表面に対し所定の角度を有する状態で使用されることが多い。この影響はY軸磁気センサSyに現われる。図3は、携帯電話機10の本体11のY軸に沿った辺が水平方向に対して角度B°(以下、この角度を「傾きB」又は「仰角B」と称呼する。)を有する場合(携帯電話機10の前面に垂直なベクトルが鉛直上方と角度Bをなしている場合)におけるY軸磁気センサの出力Syの方位aに対する変化の様子を示した図である。この図3から理解されるように、傾きBが変化すると、Y軸センサ出力Syの波形が正弦波と異なる波形となるので、上記表1の数式に基づいて決定する方位aは実際の方位を示さなくなるという問題がある。
【0009】
【本発明の概要】
本発明は、上記課題に対処するためになされたものであって、傾きBが変化した場合にあっても、方位を誤って測定(又は表示)することのない携帯型電子装置を提供することにある。
【0010】
先ず、本発明の方位測定原理について説明する。なお、以下において記号「・」はベクトルの内積、記号「×」はベクトルの外積を表す。図4は、図1に示した携帯電話機(携帯型電子装置)10の概略斜視図であって、更に以下に説明する各種のベクトルを記入した図である。携帯電話機10は、上述したように、互いに直交するX、Y、及びZ軸にそれぞれ略平行に延びる辺を有する略直方体形状の本体11を有し、X軸とY軸とにより画定される平面(即ち、X−Y平面)に平行な面であって前記本体11の表面の一つ(携帯電話機10の前面)に、X軸に沿う方向を左右方向として情報を表示する表示パネル14aを備えている。
【0011】
今、携帯電話機10の前面に垂直な単位ベクトルをベクトルVsとする。携帯電話機10の前面でX軸正方向(携帯電話機10の横方向右向き)に向う単位ベクトルをベクトルVx、同前面でY軸正方向(携帯電話機10の縦方向上向き)に向う単位ベクトルをベクトルVyとする。また、地磁気ベクトルをベクトルG、地磁気ベクトルGのベクトルVs方向への写像をベクトルGs、同地磁気ベクトルGの携帯電話機10の前面(X−Y平面)への写像をベクトルGpとする。更に、ベクトルGpのX軸成分をGx、同ベクトルGpのY軸成分をGyとする。鉛直上方(地表面に対して垂直上方)の単位ベクトルをベクトルeとする。
【0012】
X軸磁気センサの出力Sx、及びY軸磁気センサの出力Syは、上記従来の技術と同様であるので、それぞれGx、及び−Gyに略正比例する。また、携帯電話機10の本体11のX軸(即ち、ベクトルVx)は、水平であると仮定する。以上のベクトルの定義と仮定とに基づけば、下記数1〜数4が成立する。
【0013】
【数1】
Gs=(G・Vs)Vs
【0014】
【数2】
Gp=G−Gs
【0015】
【数3】
Gx=Gp・Vx
【0016】
【数4】
Gy=Gp・Vy
【0017】
今、携帯電話機10が日本国内で使用されると仮定する。また、互いに直交するx,y,z軸において、西をx、南をy、鉛直上方(真上)をzとなるように座標系を定める。このとき、地磁気ベクトルGは下記数5で表される。但し、数5における各成分の単位はOeである。
【0018】
【数5】
G=(0,−0.3,−0.3)
【0019】
そこで、図5に示したように、携帯電話機10の方位をA、及び携帯電話機10の傾き(仰角)をBとおくと、携帯電話機10の前面に垂直な単位ベクトルであるベクトルVsは下記数6のように表される。付言すると、傾きBは、携帯電話機10の本体11の前面が水平である場合に0°となり、同前面が鉛直方向に沿うとき90°となる。
【0020】
【数6】
Vs=(cosAsinB,sinAsinB,cosB)
【0021】
この値A、及び値Bを、ベクトルGxの符号付き大きさ、及びベクトルGyの符号付き大きさで表すことができれば、地磁気センサ(X軸磁気センサ、Y軸磁気センサ)の示す値Sx,Syに基づいて携帯電話機10の方位A、及び同携帯型電子装置10の傾きBを表すことができる。
【0022】
上述したように、携帯電話機10の本体11のX軸は水平であると仮定しているから、上記ベクトルVxは垂直成分(鉛直方向の成分)を持たない。従って、ベクトルVxは下記数7のように表すことができる。なお、ベクトルe=(0,0,1)である。
【0023】
【数7】
Vx=(e×Vs)/|e×Vs|
【0024】
一方、ベクトルVyは、下記数8のように表すことができる。
【0025】
【数8】
Vy=(Vs×Vx)/|Vs×Vx|
【0026】
また、数6,数7より下記数9が得られる。
【0027】
【数9】
Vx=(−sinA,cosA,0)
【0028】
数6及び数9を数8に代入すると下記数10が得られ、数1に数5及び数6を代入すると下記数11が得られる。
【0029】
【数10】
Vy=(−cosAcosB,−sinAcosB,sinB)
【0030】
【数11】
Gs=−0.3(sinAsinB+cosB)(cosAsinB,sinAsinB,cosB)
【0031】
数11及び数5を数2に代入すると、数12が得られる。
【0032】
【数12】
【0033】
この結果、数3、数9、及び数12から下記数13が得られ、数4、数10、数12から下記数14が得られる。
【0034】
【数13】
Gx=0.3cosA
【0035】
【数14】
Gy=0.3(sinAcosB−sinB)
【0036】
従って、数13及び数14から方位A、及び傾きBを求めればよい。しかしながら、数13及び数14により方位A、及び傾きBを解析的に求めることは困難であるので、以下のように数値的に求める。
【0037】
先ず、方位が東・西・南・北の何れであるかを測定(決定)する場合について考える。この場合、図2を参照すると、傾きBの影響を受けないX軸磁気センサの出力Sxが1/21/ 2より大きければ(Gxが0.3/21/ 2より大きければ)、方位は西(315°=−45°<方位A<45°)であると直ちに特定することができる。同様に、X軸磁気センサの出力Sxが−1/21/ 2より小さければ(Gxが−0.3/21/ 2より小さければ)方位は東(135°<方位A<225°)であると直ちに特定することができる。
【0038】
ところが、方位が南である場合、及び方位が北である場合、X軸磁気センサの出力Sxは何れも−1/21/ 2〜1/21/ 2の値を示すので、同X軸磁気センサSxの出力のみからでは方位(南か北か)を特定することができない。そこで、Y軸磁気センサの出力Sy(即ち、Gy)の符号に着目する。図3から明らかなように、この出力Syの値は、傾きBが0°又は20°の場合、方位が南及び北のとき正及び負の値をそれぞれ示している。従って、出力Sxの値が−1/21/ 2〜1/21/ 2であるときは、少なくとも傾き20°まで、出力Syの符号に基づいて方位(方位が南であるか北であるか)を特定することができる。
【0039】
このような出力Syの符号に基づく方位決定方法が、何度の傾きBまで有効であるかは、方位Aが45〜135°の範囲内のとき下記数15を成立させ、且つ、方位Aが225〜315°の範囲内のとき下記数16を成立させる傾きBを求めることで知ることができる。
【0040】
【数15】
sinB−sinAcosB<0
【0041】
【数16】
sinB−sinAcosB>0
【0042】
数15、及び数16を満たすためには、携帯電話機10が一般に使用される状況を考慮して傾きBが90°より小さい(cosB>0)と仮定するとき、それぞれ下記の数17、及び数18を満たせばよい。
【0043】
【数17】
sinB−(1/21/ 2)cosB<0
【0044】
【数18】
sinB+(1/21/ 2)cosB>0
【0045】
数17、及び数18から数19が得られ、数19よりB<35°となる。
【0046】
【数19】
−(1/21/ 2)<tanB<(1/21/ 2)
【0047】
以上のことから、傾きBが略35°より小さい領域においては、X軸磁気センサの出力Sx、及びY軸磁気センサの出力Syと所定の閾値Th(この場合の閾値Thは「0」)の大小比較の結果(従って、Y軸磁気センサの出力Syの符号)により、東西南北の四つの方位(360°の方位を等分した概略方位)を正確に測定することが可能となることが理解される。このように、本発明においては、X軸磁気センサの出力Sx、及びY軸磁気センサの出力Syと閾値Thの大小比較の結果により、東西南北の四つの方位を測定する。以下、東西南北の四つの方位を正確に測定することが可能な傾きBを最も大きくする閾値Thについて検討する。
【0048】
この場合、傾きBを最大とする下記数20と下記数21を満足する値Thを求めればよい。
【0049】
【数20】
sinB−(1/21/ 2)cosB−Th<0
【0050】
【数21】
sinB+(1/21/ 2)cosB−Th>0
【0051】
数20、及び数21を変形すると下記数22が得られる。
【0052】
【数22】
−cosB/21/ 2<sinB−Th<cosB/21/ 2
【0053】
図6は、上記数22に示された関数f1=−cosB/21/ 2、関数f2=sinB、及び関数f3=cosB/21/ 2を示すグラフである。このグラフから解るように、上記数22を満足するとともに傾きBを最大とするときの閾値Thは、下記数23の通りとなる。
【0054】
【数23】
Th=1/21/ 2
【0055】
このとき、傾きBは下記数24に示すとおりとなる。
【0056】
【数24】
B<70°
【0057】
以上の方位測定原理は、方位を8分割(東、南東、南、南西、西、北西、北、北東)で示す場合、16分割で示す場合、及びそれ以上に細かく示す場合についても同様に成立する。即ち、X軸磁気センサの出力Sxのみで方位を2つに絞込み、その二つの方位の中から、Y軸磁気センサの出力Syと適切な閾値Thの大小比較の結果に基づいて何れかを特定する。
【0059】
また、本発明の特徴は、互いに直交するX、Y、及びZ軸に略平行に延びる辺を有する略直方体形状の本体と、X軸とY軸とにより画定される平面に平行な面であって前記本体の表面の一つにX軸の方向を左右方向として情報を表示する表示パネルと、前記本体の内部に配置されるとともに地磁気を利用して方位を測定する方位測定手段とを備えた携帯型電子装置において、前記方位測定手段は、外部磁界のX軸成分に対して略正比例した値を示すとともに同外部磁界のX軸成分の大きさが0であるときに値0を示すX軸磁気センサと、前記X軸磁気センサが示す値と第1の固定閾値とを比較する第1比較手段と、外部磁界のY軸成分に対して略正比例した値を示すとともに同外部磁界のY軸成分の大きさが0であるときに値0を示すY軸磁気センサと、前記Y軸磁気センサが示す値と0以外の値である第2の固定閾値とを比較する第2比較手段と、前記X軸磁気センサが示す値と前記第1の固定閾値と絶対値の大きさが等しく且つ符号が反対の値である第3の固定閾値とを比較する第3比較手段と、前記第1比較手段による比較結果から前記概略方位が一意に特定されるときは同比較結果のみから前記携帯型電子装置の方位が同特定された方位であると決定し、前記第3比較手段による比較結果から前記概略方位が一意に特定されるときは同比較結果のみから前記携帯型電子装置の方位が同特定された方位であると決定し、前記第1比較手段による比較結果から前記概略方位が一意に特定できず且つ前記第3比較手段による比較結果から前記概略方位が一意に特定できないときは、前記X軸磁気センサの出力と、前記第2比較手段による比較結果と、のみに基づいて前記携帯型電子装置の概略方位を決定する方位決定手段と、を具備したことにある。
【0060】
これによれば、上述したように、携帯型電子装置がある程度の傾きをもって使用される場合においても、概略の方位(例えば、4分割、8分割、16分割等の方位)を誤ることなく測定することが可能な携帯型電子装置が提供され得る。なお、測定した方位そのものを表示パネルに表示してもよく、前記測定された方位を更に加工した後に表示してもよい。
【0061】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による携帯型電子装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1の概略正面図に示したように、この携帯型電子装置としての携帯電話機10は、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸に沿って延びる辺を有する略直方体の本体11と、この本体11の上部側面に配置されたアンテナ部12、X軸とY軸とにより画定される平面(X−Y平面)に平行な面であって前記本体11の表面の一つである本体11の前面側の最上部に配置されたスピーカ部13、スピーカ部13の下方で本体11の前面側に配置され文字及び図形を表示するための液晶表示部14、液晶表示部14の下方で本体11の前面側に配置され電話番号又はその他の指示信号を入力するための操作部(操作信号入力手段)15、及び本体11の前面側最下部に配置されたマイクロフォン部16を含んでいる。
【0062】
図7は、この携帯電話機10の電気回路の概略を示すブロック図であり、同携帯電話機10は、バスを介して互いに接続されたCPU21、ROM22、RAM23、及び不揮発性のRAM24を備えている。CPU21は、ROM22に格納された各種のプログラムを実行するようになっている。RAM23は、CPU21が前記プログラムを実行する際に必要なデータ等を一時的に記憶するようになっている。不揮発性RAM24は、携帯電話機10の主電源が投入されているとき(主電源の「オン」時)にCPU21からの指示によりデータが書込まれ、同主電源の「オフ」時においても書込まれたデータを記憶・保持し、更に主電源の「オン」時にCPU21の要求にしたがって同CPU21に対し前記記憶・保持しているデータを供給するようになっている。なお、不揮発性RAM24は、EEPROMで置換することもできる。
【0063】
前記アンテナ部12は、送受信用のアンテナ12aと、アンテナ12aに接続された送受信回路12bと、送受信回路12bに接続され送受信回路12bが受信した受信信号を復調するとともに、発信すべき信号を変調して送受信回路12bに供給する変調・復調回路12cとを備えている。前記スピーカ部13は、スピーカ13aと、スピーカ13aに接続され同スピーカ13aから所定の音を発生させるための信号を生成する発音回路13bを備えている。液晶表示部14は、携帯電話機10の本体11の前面に配置されるとともに、少なくともX軸方向を左右方向として文字等の情報を表示可能な液晶表示パネル14aと、液晶表示パネル14aと接続され同液晶表示パネル14aに所定の表示をさせるための信号を生成する表示回路14bとを備えている。操作部15は、複数の押しボタン15aと、この複数の押しボタン15aと接続され同押しボタン15aの各々のオン・オフ状態を検出する検出回路15bとを備えている。マイクロフォン部16は、マイクロフォン16aと、マイクロフォン16aに接続され同マイクロフォン16aを介して入力された音声を増幅する増幅回路16bとを備えている。このうち、変調・復調回路12c、発音回路13b、表示回路14b、検出回路15b、及び増幅回路16bは、バスを介してCPU21に接続されていて、同CPU21により制御されるようになっている。
【0064】
更に、携帯電話機10は、外部磁界の向きと大きさとに応じた出力を発生する(出力値を示す)磁気センサ30を備えている。磁気センサ30は、X軸磁気センサ(X軸磁気検出素子)31、Y軸磁気センサ(Y軸磁気検出素子)32、及び制御回路(デジタル処理回路)33を備えている。これらのX軸磁気センサ31、Y軸磁気センサ32、及び制御回路33は、単一基板(単一チップ)上に形成されている。また、磁気センサ30は、図1に示したように、携帯電話機10の液晶表示パネル14aの作るX−Y平面と平行な平面(携帯電話機10の前面)と略平行となるように、同携帯電話機10の内部に保持されている。
【0065】
制御回路33は、ADコンバータ33aと、直流定電圧回路(定電圧源)33bとを含んでいる。ADコンバータ33aは、バスを介してCPU21に接続されるとともに、X軸磁気センサ31、及びY軸磁気センサ32に接続されていて、X軸磁気センサ31の出力Sx、及びY軸磁気センサ32の出力SyをAD変換し、同AD変換後のデジタルデータをCPU21に供給するようになっている。直流定電圧回路33bは、X軸磁気センサ31、及びY軸磁気センサ32と接続されていて、これらに一定の電圧を印加するようになっている。
【0066】
X軸磁気センサ31は、図8(A)に示したように、携帯電話機10に搭載された状態において外部磁界(加わる磁界、この場合は地磁気)HのX軸成分に略正比例する値を出力するようになっている。同様に、Y軸磁気センサ32は、図8(B)に示したように、携帯電話機10に搭載された状態において外部磁界HのY軸成分に略正比例する値を出力するようになっている。即ち、X軸磁気センサ31とY軸磁気センサ32は、所定の方向における磁界の大きさに略正比例する値を出力する互いに同一の構成を備え、磁気センサ30の単一基板上において前記所定の方向(磁界の検出方向)が互いに直交するように配置・形成され、磁気センサ30は、X軸磁気センサ31及びY軸磁気センサ32が携帯電話機10の本体11のX軸及びY軸に平行な方向の磁界の大きさに比例した値をそれぞれ出力するように、同携帯電話機10に搭載されている。
【0067】
ここで、X軸磁気センサ31を代表例として、その構成について詳細に説明する。X軸磁気センサ31は、等価回路図である図9に示したように、フルブリッジ回路を構成するように接続された第1〜第4磁気トンネル効果素子(素子群)31a,31b,31c,31dを備えている。
【0068】
第1〜第4磁気トンネル効果素子31a,31b,31c,31dの各々は、互いに同一の構造を有している。従って、以下、第1磁気トンネル効果素子31aの構造を代表例として説明する。
【0069】
第1磁気トンネル効果素子(群)31aは、拡大平面図である図10に示したように、直列接続された複数の(この例では、20個)の磁気トンネル効果素子からなっている。各磁気トンネル効果素子は、図10の1−1線に沿った平面にて切断した部分断面図である図11に示したように、基板30aの上に平面形状を長方形状にした複数の下部電極31a1を備えている。下部電極31a1は、横方向(X軸方向)に所定の間隔を隔てて一列に配置されていて、導電性非磁性金属材料であるCr(Ta,Tiでも良い。)により膜厚30nm程度に形成されている。各下部電極31a1の上には、同下部電極31a1と同一平面形状に形成され、PtMnからなり膜厚30nm程度の反強磁性膜31a2がそれぞれ積層されている。
【0070】
各反強磁性膜31a2の上には、膜厚10nm程度のNiFeからなる一対の強磁性膜31a3,31a3が間隔を隔てて積層されている。この強磁性膜31a3,31a3は、平面視において長方形状を有し、各長辺が平行に対向されるように配置されている。この強磁性膜31a3,31a3は、反強磁性膜31a2により、図10の部分平面図である図12の矢印方向(X軸正方向、即ち短辺方向)に磁化の向きがピンされたピンド層を構成している。
【0071】
各強磁性膜31a3の上には、同強磁性膜31a3と同一平面形状を有する絶縁層31a4が形成されている。この絶縁層31a4は、絶縁材料であるAl2O3(Al−O)からなり、その膜厚は1nmである。
【0072】
絶縁層31a4の上には、同絶縁層31a4と同一平面形状を有し、膜厚40nm程度のNiFeからなる強磁性膜31a5が形成されている。この強磁性膜31a5は、その磁化の向きが外部磁界の向きに略一致するように変化する自由層(自由磁化層、又はフリー層)を構成し、前記強磁性膜31a3からなるピンド層と前記絶縁層31a4とともに磁気トンネル接合構造を形成している。このように、各一つの反強磁性膜31a2、強磁性膜31a3、絶縁層31a4、及び強磁性膜31a5により、一つの磁気トンネル効果素子(電極等を除く)が構成される。
【0073】
各強磁性膜31a5の上には、同各強磁性膜31a5と同一平面形状のダミー膜31a6がそれぞれ形成されている。このダミー膜31a6は、膜厚40nm程度のTa膜からなる導電性非磁性金属材料により構成されている。
【0074】
基板30a、下部電極31a1、反強磁性膜31a2、強磁性膜31a3、絶縁層31a4、強磁性膜31a5、及びダミー膜31a6を覆う領域には、複数の下部電極31a1及び反強磁性膜31a2をそれぞれ絶縁分離するとともに、各反強磁性膜31a2上に設けた一対の強磁性膜31a3、絶縁層31a4、強磁性膜31a5、及びダミー膜31a6をそれぞれ絶縁分離するための層間絶縁層31a7が設けられている。層間絶縁層31a7はSiO2からなり、その膜厚は250nm程度である。
【0075】
この層間絶縁層31a7には、各ダミー膜31a6上にてコンタクトホールCHがそれぞれ形成されている。このコンタクトホールCHを埋設するとともに、異なる下部電極31a1(及び反強磁性膜31a2)上に設けた一対のダミー膜31a6,31a6の各一方間を互いに電気的に接続するように、例えば膜厚300nmのAlからなる上部電極31a8,31a8がそれぞれ形成されている。このように、下部電極31a1及び反強磁性膜31a2と、上部電極31a8とにより、隣り合う一対の各強磁性膜31a5,31a5(各ダミー膜31a6,31a6)と各反強磁性膜31a2,31a2とをそれぞれ交互に順次電気的に接続することで、固着層のピンされた磁化の向きが同一であって、且つ、磁気トンネル接合構造を有する素子が20個だけ直列に接続された磁気トンネル効果素子(群)31aが形成される。なお、上部電極31a8,31a8の上には図示を省略したSiO及びSiNからなる保護膜が形成されている。
【0076】
このように形成された第1磁気トンネル効果素子(群)31aの抵抗R1は、図13に示したように、固着層のピンされた磁化の向きに沿って大きさが変化する外部磁界Hに対し、同外部磁界Hの絶対値が小さい範囲(即ち、飽和磁界−Hc〜Hcの範囲)において比例的に変化する。即ち、抵抗R1は下記数25で表される。
【0077】
【数25】
R1=−(ΔR/Hc)・H+R0
【0078】
X軸磁気センサ31は、このような磁気トンネル効果素子を4個備え、各磁気トンネル効果素子31a〜31dの固着層のピンされた磁化の向きを図9において矢印にて示した向きに一致するように配置・形成してなる。即ち、第1,第4磁気トンネル効果素子31a,31dの固着層のピンされた磁化の向きはX軸正方向、第2,第3磁気トンネル効果素子31b,31cの固着層のピンされた磁化の向きはX軸負方向である。従って、第1,第4磁気トンネル効果素子31a,31dの抵抗R1は上記数25に示した通り変化し、第2,第3磁気トンネル効果素子31b,31cの抵抗R2は、下記数26にて表される。
【0079】
【数26】
R2=(ΔR/Hc)・H+R0
【0080】
そして、X軸磁気センサ31においては、第1磁気トンネル効果素子31aの一端と第2磁気トンネル効果素子31bの一端とが接続され、同第1磁気トンネル効果素子31aの他端と同第2磁気トンネル効果素子31bの他端とが直流定電圧回路33bの正極と負極とにそれぞれ接続される。同様に、第3磁気トンネル効果素子31cの一端と第4磁気トンネル効果素子31dの一端とが接続され、同第3磁気トンネル効果素子31cの他端と同第4磁気トンネル効果素子31dの他端とが直流定電圧回路33bの正極と負極とにそれぞれ接続される。また、第1磁気トンネル効果素子31aと第2磁気トンネル効果素子31bとの接続点の電位と、第3磁気トンネル効果素子31cと第4磁気トンネル効果素子31dとの接続点の電位が取り出され、これらの接続点の電位差が磁気センサの出力Vout(Sx)となるように前記ADコンバータ33bに接続されている。
【0081】
このような構成により、X軸磁気センサ31は、X軸方向の外部磁界Hx(外部磁界HのX軸成分Hx)を検出する磁気センサとなり、下記数27に示す出力Vout(=Sx)を発生する。ここで、Vinは直流定電圧回路33bの発生する電圧である。
【0082】
【数27】
Sx=Vin・(ΔR/R0)・(Hx/Hc)
【0083】
また、Y軸磁気センサ32は、前述したようにX軸磁気センサ31と同一構成を有し、図14に示したようにX軸磁気センサ32と直交する向きに配置されるので、Y軸方向の外部磁界Hy(外部磁界HのY軸成分Hy)を検出する磁気センサとなり、下記数28に示す出力Vout(=Sy)を発生する。
【0084】
【数28】
Sy=−Vin・(ΔR/R0)・(Hy/Hc)
【0085】
次に、このように構成された携帯電話機10の方位測定方法について説明する。なお、携帯電話機10の方位とは、携帯電話機10(の本体11)の前面が上方に向けられている場合において、同携帯電話機10の下部(例えば、マイクロフォン部16)から上部(例えば、スピーカ部13)に向うベクトル、即ちY軸正方に向うベクトル(換言すると、単位ベクトルVy)の方位のことである。なお、本実施形態において、方位aの基準(0°)は西であり、同方位aは、北、東、及び南の順に回転するにつれて、それぞれ90°、180°、及び270°となるものとして定義される。また、本実施形態の携帯電話機10は、方位Aが−45〜45°のとき「西」、45〜135°のとき「北」、135〜225°のとき「東」、及び225〜315°(=−45°)のとき「南」と決定する。即ち、携帯電話機10は、4つの概略方位を測定(決定)する。
【0086】
方位決定の原理は上述した通りである。即ち、携帯電話機10はX軸磁気センサ31の出力Sxが1/21/ 2(≒0.707)より大きければ方位を「西」と決定し、出力Sxが−1/21/ 2より小さければ方位を「東」と決定する。また、出力Sxが1/21/ 2〜−1/21/ 2の範囲にある場合には、Y軸磁気センサ32の出力Syから閾値Th(=1/21/ 2)を減じた値が「0」より大きいか否かを判定し、「0」より大きければ方位を「南」と決定し、「0」より小さければ方位を「北」と決定する。このように、携帯電話機10は、X軸磁気センサ31の出力Sx、及びY軸磁気センサ32の出力Syと閾値Thの大小比較の結果に基づいて方位を決定する。
【0087】
作動について具体的に説明すると、携帯電話機10のCPU21は、図15にフローチャートにより示した方位測定ルーチン(方位決定ルーチン)を所定時間の経過毎に繰り返し実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPU21はステップ1500から本ルーチンの処理を開始し、ステップ1505に進んでX軸磁気センサ31の出力Sxを入力するとともに、続くステップ1510にてY軸磁気センサ32の出力Syを入力する。なお、この出力Sx,Syは規格化されている。
【0088】
次に、CPU21はステップ1515に進んで出力Sxが1/21/ 2より大きいか否かを判定し(このステップ1515は、X軸磁気センサ出力Sxを第1の固定値(固定閾値)と比較する第1比較手段を構成している。)、同出力Sxが1/21/ 2より大きい場合には同ステップ1515にて「Yes」と判定しステップ1520に進み、同ステップ1520にて方位は「西」であると決定する。その後、CPU21はステップ1525に進み、同ステップ1525にて液晶表示パネル14aに決定した方位(この場合は「西」)を表示し、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0089】
一方、上記ステップ1515の判定時に、出力Sxが1/21/ 2以下の場合には同ステップ1515にて「No」と判定しステップ1530に進み、同ステップ1530にて出力Sxが−1/21/ 2より小さいか否かを判定する。このステップ1515は、X軸磁気センサ出力Sxを第1の固定値(固定閾値)と比較する第1比較手段、或いは、X軸磁気センサ出力Sxを第3の固定値(固定閾値)と比較する第3比較手段を構成している。第3の固定値は、絶対値の大きさが第1の固定値と等しく、符号が反対の値である。このとき、出力Sxが−1/21/ 2より小さいと、CPU21はステップ1530にて「Yes」と判定してステップ1535に進み、同ステップ1535にて方位は「東」であると決定する。その後、CPU21はステップ1525に進み、同ステップ1525にて液晶表示パネル14aに決定した方位(この場合は「東」)を表示し、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0090】
また、上記ステップ1530の判定時に、出力Sxが−1/21/ 2以上の場合には同ステップ1530にて「No」と判定しステップ1540に進み、同ステップ1540にて出力Syから閾値Thである1/21/ 2を減じた値が「0」より大きいか否かを判定する。このステップ1540は、Y軸磁気センサ出力Syを第2の固定値(固定閾値)と比較する第2比較手段を構成している。このとき、出力Syから閾値Thである1/21/ 2を減じた値が「0」より大きければ、CPU21はステップ1540にて「Yes」と判定してステップ1545に進み、同ステップ1545にて方位は「南」であると決定し、その後ステップ1525に進んで液晶表示パネル14aに決定した方位(この場合は「南」)を表示し、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0091】
更に、上記ステップ1540の判定時に、出力Syから1/21/ 2を減じた値が「0」以下であると、CPU21はステップ1540にて「No」と判定してステップ1550に進み、同ステップ1550にて方位は「北」であると決定し、その後ステップ1525に進んで液晶表示パネル14aに決定した方位(この場合は「北」)を表示し、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、上記ステップ1540は、Y軸磁気センサ32が示す値Syと所定の閾値Thとを比較する比較手段を構成している。また、ステップ1515,1520、1530〜1550は、X軸磁気センサ31が示す値Sxと、前記比較手段による比較結果とに基づいて方位を決定する方位決定手段を構成している。更に、ステップ1525は決定した方位を表示パネル14aに表示する表示手段を構成している。図15のルーチン、CPU21、及びX,Y軸磁気センサ31,32等は、方位測定手段を構成している。
【0092】
図16は、上記方法において閾値Thを「0」とした場合において、真の方位を横軸、測定された方位(表示される方位)を縦軸にとり、これらの関係を示した図である。図16の(A)、(B)、及び(C)は、それぞれ傾きBが0°、40°、及び70°である場合を示している。この方法の場合、上記原理において説明したように、傾きBが約35°より大きくなると正確な方位を示すことができない。このことは、図16によっても確認される。
【0093】
図17は、図15にて説明したように、上記方法の閾値Thを「1/21/ 2」とした場合において、真の方位を横軸、測定された方位を縦軸にとり、これらの関係を示した図である。図17の(A)、(B)、及び(C)は、それぞれ傾きBが0°、40°、及び70°である場合を示している。この場合、傾きBが約70°より小さい限り、正確な方位が示される。このことは、図17によっても確認される。
【0094】
以上、説明したように、上記実施形態に係る携帯電話機10は、X軸磁気センサ31の示す値Sxと、Y軸磁気センサ32が示す値Syと所定の閾値Thとの大小比較の結果に基づいて、同携帯電話機10の方位を決定して表示するので、同携帯電話機10がある程度まで傾けられて(例えば、Th=1/21/ 2の場合には略70°まで傾けられて)使用されても、概略の方位を誤ることなく示すことができる。しかも、磁気センサ30はX,Y軸磁気センサ31,32を備えるが、Z軸磁気センサ、或いは傾斜センサを備えることなく概略の方位を正しく示すことができるで、携帯電話機10のコストを低減することができる。
【0095】
次に、本発明による携帯電話機10の第1変形例について説明する。この第1変形例においては、方位を8分割(東、南東、南、南西、西、北西、北、北東)で示すものである。
【0096】
第1変形例に係る携帯電話機10は、上記原理に従って、以下の方法により方位を測定する。即ち、X軸磁気センサ31の出力Sxが0.924より大きければ方位は「西」、同出力Sxが−0.924より小さければ方位は「東」と決定する。また、出力Sxが−0.924〜0.924の範囲の値であれば、Y軸磁気センサ32の出力Syから閾値Th=0.38を減じた値が「0」より小さいとき、(1)出力Sxが0.383より大きければ方位は「北西」と決定し、(2)出力Sxが−0.383〜0.383ならば方位は「北」と決定し、(3)出力Sxが−0.924〜−0.383ならば方位は「北東」と決定する。他方、出力Sxが−0.924〜0.924の範囲の値であって、Y軸磁気センサ32の出力Syから閾値Th=0.38を減じた値が「0」より大きいとき、(1)出力Sxが0.383より大きければ方位は「南西」と決定し、(2)出力Sxが−0.383〜0.383ならば方位は「南」と決定し、(3)出力Sxが−0.924〜−0.383ならば方位は「南東」と決定する。この方法によれば、傾きが略41°より小さい範囲で、方位が正しく表示される。
【0097】
図18は、上記方法において閾値Thを「0」とした場合において、真の方位を横軸、測定された方位(表示される方位)を縦軸にとり、これらの関係を示した図である。図18の(A)、(B)、及び(C)は、それぞれ傾きBが0°、40°、及び70°である場合を示している。図18の(B)及び(C)から解るように、傾きBが大きくなると正確な方位が示されない。
【0098】
図19は、上記方法の閾値Thを「0.38」とした場合において、真の方位を横軸、測定された方位を縦軸にとり、これらの関係を示した図である。図19の(A)、(B)、及び(C)は、それぞれ傾きBが0°、40°、及び70°である場合を示している。この場合、上述したように、傾きBが約41°より小さい限り、正確な方位が示される。このことは、図19によっても確認される。
【0099】
次に、本発明による携帯電話機10の第2変形例について説明する。この第2変形例においては、方位を16分割(東、東南東、南東、南南東、南、南南西、南西、西南西、西、西北西、西北、北北西、北、北北東、北東、東北東)で示すものである。
【0100】
第2変形例に係る携帯電話機10は、上記原理に従って、以下の方法により方位を測定する。即ち、X軸磁気センサ31の出力Sxが0.981より大きければ方位は「西」、同出力Sxが−0.981より小さければ方位は「東」と決定する。
【0101】
また、出力Sxが−0.981〜0.981の範囲の値であって、Y軸磁気センサ32の出力Syから閾値Th=0.19を減じた値が「0」より小さいとき、(1)出力Sxが0.831より大きければ方位は「西北西」、(2)出力Sxが0.556〜0.831ならば方位は「北西」、(3)出力Sxが0.195〜0.556ならば方位は「北北西」、(4)出力Sxが−0.195〜0.195ならば方位は「北」、(5)出力Sxが−0.556〜−0.195ならば方位は「北北東」、(6)出力Sxが−0.831〜−0.556ならば方位は「北東」、(7)出力Sxが−0.831より小さければ「東北東」と決定する。
【0102】
更に、出力Sxが−0.981〜0.981の範囲の値であって、Y軸磁気センサの出力Syから閾値Th=0.19を減じた値が「0」より大きいとき、(1)出力Sxが0.831より大きければ方位は「西南西」、(2)出力Sxが0.556〜0.831ならば方位は「南西」、(3)出力Sxが0.195〜0.556ならば方位は「南南西」、(4)出力Sxが−0.195〜0.195ならば方位は「南」、(5)出力Sxが−0.556〜−0.195ならば方位は「南南東」、(6)出力Sxが−0.831〜−0.556ならば方位は「南東」、(7)出力Sxが−0.831より小さければ「東南東」と決定する。この方法によれば、傾きが略22°より小さい範囲で、方位が正しく表示される。
【0103】
以上説明したように、本発明による携帯電話機10とその第1,第2変形例は、互いに直交するX、Y、及びZ軸に略平行に延びる辺を有する略直方体形状の本体と、X軸とY軸とにより画定される平面に平行な面であって前記本体の表面の一つにX軸の方向を左右方向として情報を表示する表示パネルと、前記本体の内部に配置されるとともに地磁気を利用して所定の角度で等分された概略方位(例えば、東西南北のいずれか)を測定する方位測定手段とを備えた携帯型電子装置にであって、前記方位測定手段は、外部磁界のX軸成分に対して略正比例した値を示すX軸磁気センサ31と、前記X軸磁気センサが示す値と第1の固定閾値とを比較する第1比較手段と、外部磁界のY軸成分に対して略正比例した値を示すY軸磁気センサ32と、前記Y軸磁気センサが示す値と第2の固定閾値とを比較する第2比較手段と、前記第1比較手段による比較結果から前記概略方位が一意に特定されるときは同比較結果のみから携帯型電子装置の方位が同特定された方位であると決定し、前記第1比較手段による比較結果から前記概略方位が一意に特定できないときは、前記X軸磁気センサの出力と前記第2比較手段による比較結果とのみに基づいて(三角関数による計算を行うことなく)前記携帯型電子装置の概略方位を決定する方位決定手段とを具備している。なお、概略方位が特定された後にX軸磁気センサ出力Sxのarccos、又はarcsin等の三角関数を使用して、精密な方位を求めることも可能である。
【0104】
従って、本発明による携帯電話機10、その第1変形例、及び第2変形例においては、携帯電話機10が所定の傾きBをもった状態で使用されても、概略方位を正確に測定・表示することができる。
【0105】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態において、X軸,Y軸磁気センサ31,32は、磁気トンネル効果素子であったが、これに代えて巨大磁気抵抗効果素子等の磁界に応じた出力を発生する磁気センサを使用してもよい。また、上記実施形態においては、CPU21が方位を決定していたが、磁気センサ30の制御回路33内に演算機能を持たせ、同制御回路33が決定した方位をCPU21に提供するように構成してもよい。
【0106】
この場合の磁気センサは、「互いに直交するX、Y、及びZ軸に略平行に延びる辺を有する略直方体形状の本体と、X軸とY軸とにより画定される平面に平行な面であって前記本体の表面の一つにX軸の方向を左右方向として情報を表示する表示パネルと、決定された方位に基づく情報を前記表示パネルに表示する指示を同表示パネルに行う表示指示手段とを備えた携帯型電子装置に使用される磁気センサであって、外部磁界のX軸成分に対して略正比例した値を示すX軸磁気センサと、外部磁界のY軸成分に対して略正比例した値を示すY軸磁気センサと、前記Y軸磁気センサが示す値と所定の(固定の)閾値Thとを比較する比較手段と、前記X軸センサが示す値と前記比較手段による比較結果とに基づいて前記携帯型電子装置の方位を決定する方位決定手段とを具備した磁気センサ。」と云うことができる。これにより、CPU21の計算負荷を低減することができる。また、このような磁気センサは、小型化のために、X軸磁気センサ、Y軸磁気センサ、及び比較手段と方位決定手段とを備えた制御回路を単一チップ(単一基板)上に構成することが好適である。なお、上記Y軸磁気センサ出力Syと比較される固定の閾値Thは、測定・表示すべき概略方位に応じて(即ち、4方位、8方位、16方位、或いは32方位等であるかに応じて)、同一の携帯電話機10において切換え可能(可変)に構成しておくこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による磁気センサを搭載した携帯電話機の正面図である。
【図2】 図1に示した携帯電話機の前面が水平に維持されている場合におけるX軸磁気センサとY軸磁気センサの方位に対する出力を示したグラフである。
【図3】 携帯電話機の前面を所定の角度だけ傾けた各場合におけるY軸磁気センサの方位に対する出力を示したグラフである。
【図4】 図1に示した携帯電話機の概略斜視図であって、各種のベクトルを記入した図である。
【図5】 西をx、南をy、鉛直上方をzとなるように定められた座標系における携帯電話機の前面に垂直な単位ベクトルVsを示した図である。
【図6】 関数f1〜f3を示したグラフである。
【図7】 図1に示した携帯電話機の電気回路構成を示すブロック図である。
【図8】 (A)は図7に示したX軸磁気センサの外部磁界HのX軸成分に対する出力特性を、(B)は図7に示したY軸磁気検出センサの外部磁界HのY軸成分に対する出力特性を示すグラフである。
【図9】 図7に示したX軸磁気センサの等価回路図である。
【図10】 図9に示した第1磁気トンネル効果素子の概略平面図である。
【図11】 図10に示した第1磁気トンネル効果素子を図10の1−1線に沿った平面で切断した断面図である。
【図12】 図10に示した第1磁気トンネル効果素子の部分概略平面図である。
【図13】 図9に示した第1磁気トンネル効果素子の外部磁界に対する抵抗変化特性を示すグラフである。
【図14】 図7に示したX軸磁気センサと、Y軸磁気センサの配置関係を平面視で示すとともに、電気的接続関係をあわせて示した図である。
【図15】 図7に示したCPUが実行するルーチンを示すフローチャートである。
【図16】 方位を4分割して示す場合であって、閾値Thを「0」とした場合における、真の方位と測定された方位との関係を示す図である。
【図17】 方位を4分割して示す場合であって、閾値Thを「1/21/ 2」とした場合における、真の方位と測定された方位との関係を示す図である。
【図18】 方位を8分割して示す場合であって、閾値Thを「0」とした場合における、真の方位と測定された方位との関係を示す図である。
【図19】 方位を8分割して示す場合であって、閾値Thを「0.38」とした場合における、真の方位と測定された方位との関係を示す図である。
【符号の説明】
10…携帯電話機、11…本体、12…アンテナ部、12a…アンテナ、12b…送受信回路、12c…変調・復調回路、13…スピーカ部、13a…スピーカ、13b…発音回路、14…液晶表示部、14a…液晶表示パネル、14b…表示回路、15…操作部、15a…ボタン、15b…検出回路、16…マイクロフォン部、16a…マイクロフォン、16b…増幅回路、21…CPU、30…磁気センサ、30a…基板、31…X軸磁気センサ、32…Y軸磁気センサ、33…制御回路、33a…ADコンバータ、33b…直流定電圧回路。
Claims (2)
- 互いに直交するX、Y、及びZ軸に略平行に延びる辺を有する略直方体形状の本体と、X軸とY軸とにより画定される平面に平行な面であって前記本体の表面の一つにX軸の方向を左右方向として情報を表示する表示パネルと、前記本体の内部に配置されるとともに地磁気を利用して所定の角度で等分された概略方位を測定する方位測定手段とを備えた携帯型電子装置において、
前記方位測定手段は、
外部磁界のX軸成分に対して略正比例した値を示すとともに同外部磁界のX軸成分の大きさが0であるときに値0を示すX軸磁気センサと、
前記X軸磁気センサが示す値と第1の固定閾値とを比較する第1比較手段と、
外部磁界のY軸成分に対して略正比例した値を示すとともに同外部磁界のY軸成分の大きさが0であるときに値0を示すY軸磁気センサと、
前記Y軸磁気センサが示す値と0以外の値である第2の固定閾値とを比較する第2比較手段と、
前記X軸磁気センサが示す値と前記第1の固定閾値と絶対値の大きさが等しく且つ符号が反対の値である第3の固定閾値とを比較する第3比較手段と、
前記第1比較手段による比較結果から前記概略方位が一意に特定されるときは同比較結果のみから前記携帯型電子装置の方位が同特定された方位であると決定し、
前記第3比較手段による比較結果から前記概略方位が一意に特定されるときは同比較結果のみから前記携帯型電子装置の方位が同特定された方位であると決定し、
前記第1比較手段による比較結果から前記概略方位が一意に特定できず且つ前記第3比較手段による比較結果から前記概略方位が一意に特定できないときは、前記X軸磁気センサの出力と、前記第2比較手段による比較結果と、のみに基づいて前記携帯型電子装置の概略方位を決定する方位決定手段と、
を具備したことを特徴とする携帯型電子装置。 - 請求項1に記載の携帯型電子装置において、
前記方位測定手段は、同方位測定手段により測定されるべき概略方位の数に応じて前記第2の固定閾値が切換え可能に構成された携帯型電子装置。
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