JP4122809B2 - 高圧放電灯点灯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高圧放電灯を高周波点灯する点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図17は、従来における高圧放電灯点灯装置の回路構成図を示す。図17において、1は直流電源、2は直流電源1の直流電圧を高周波電圧に変換する第1のスイッチング素子2aと第2のスイッチング素子2bとから成るインバータ回路、3はインバータ回路2の駆動周波数を制御するドライバ、4はドライバ3を介してインバータ回路2を構成する各スイッチング素子2a,2bのオンデューティを変化させるPWM制御回路、5はランプ6の電圧や電流の電気量を測定する測定回路、7は測定回路5の出力に基づいてランプ6の点灯状態を検出し、ドライバ3およびPWM制御回路4へ制御信号を送り出す検出回路、8は直流カットコンデンサ9、チョークコイル10、始動回路11を含む負荷回路である。
【0003】
次に、高圧放電灯点灯装置の動作を図17と図18に示すタイミングチャート図を併用して説明する。ランプ6の点灯開始時にインバータ回路2から出力される駆動周波数(以下、点灯周波数と称する)が最小値f1となるように、ドライバ2で各スイッチング素子2a,2bを制御する。これと同時に、各スイッチング素子2a,2bのオンデューティを最大値d1となるように、PWM制御回路4でドライバ3を制御する。これにより、ランプ6へ流れる電流が最大値を示す。この後で、測定回路5により測定されたランプ6の電流が減少して第1の所定値に達するまでオンデューティをd1一定とし、点灯周波数をf1から上昇させる。そして、ランプ6の電流が第1の所定値に達した場合、そのときの点灯周波数f2を一定に保ち、かつオンデューティをd1から減少させる。次に、ランプ6の電流がさらに減少して第2の所定値に達した場合、ランプ6が安定点灯に至ったと判断し、そのときのオンデューティd2を一定に保つ。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の高圧放電灯点灯装置はランプの点灯開始時に、点灯周波数を上昇させてランプを安定点灯させる段階で、点灯周波数がランプの”立ち消え”や”ゆらぎ”という音響共鳴現象を起こす共鳴周波数帯を通過していくという問題点がある。
【0005】
この発明は、前述のような問題点を解決するためになされたもので、点灯周波数を上昇させてランプを安定点灯する際に、音響共鳴現象の影響を受けないように工夫し、ランプの”立ち消え”或いは”ゆらぎ”を起こすことがなく、高圧放電灯を安定点灯させる高圧放電灯点灯装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる高圧放電灯点灯装置は、高圧放電灯と、高圧放電灯に高周波電力を供給する高周波電力供給回路と、高周波電力供給回路の出力周波数を制御するドライバと、ドライバが制御する出力周波数を第1の周波数または第1の周波数よりも高い第2の周波数に切換える切換信号をドライバへ出力する周波数切換回路とを備え、少なくとも第2の周波数を高圧放電灯がもつ非共鳴周波数帯内の周波数とするとともに、周波数切換回路が、ドライバの制御する出力周波数を、点灯開始直後は第1の周波数に設定し、高周波電力が所定電力到達後から安定点灯までの間は第1の周波数と第2の周波数を交互に繰り返し設定し、安定点灯以降は第2の周波数に設定するようにしたものである。
【0007】
また、高圧放電灯と、高圧放電灯に高周波電力を供給する高周波電力供給回路と、高周波電力供給回路の出力周波数を制御するドライバと、ドライバが制御する出力周波数を第1の周波数または第1の周波数よりも高い第2の周波数に切換える切換信号をドライバへ出力するとともに第1の周波数および第2の周波数のそれぞれのオンデューティの比率を制御する周波数切換回路とを備え、少なくとも第2の周波数を高圧放電灯がもつ非共鳴周波数帯内の周波数とするとともに、周波数切換回路が、点灯開始直後は第1の周波数のオンデューティを最大とし、第2の周波数のオンデューティを最小とし、高周波電力が所定電力到達後から安定点灯までの間は第1の周波数のオンデューティを次第に減少し、第2の周波数のオンデューティを次第に増加し、安定点灯以降は第1の周波数のオンデューティを最小とし、第2の周波数のオンデューティを最大とするように制御したものである。
【0008】
また、高圧放電灯が複数の非共鳴周波数帯を有するとともに、第1の周波数と第2の周波数を、それぞれ異なる非共鳴周波数帯内の周波数としたものである。
【0009】
また、周波数切換回路、点灯開始後所定の期間或いは点灯開始後高圧放電灯の電圧が所定値に達するまでの期間は第1の周波数のオンデューティを最大とするように制御したものである。
【0010】
また、周波数切換回路、第1の周波数および第2の周波数のオンデューティを連続的に変化するように制御したものである。
【0011】
また、高周波電力供給回路が所定のリップル電圧をもつ直流電源と、直流電源の出力電圧を高周波電圧に変換するインバータ回路とを備え、周波数切換回路が直流電源の出力電圧を分圧する分圧回路と、高圧放電灯の点灯開始からの経過時間或いは高圧放電灯の電圧に応じて直流電圧が単調増加或いは単調減少するように可変される可変直流電源と、分圧回路からの分圧値と可変直流電源の電圧値との大きさを比較する比較器とを備え、比較器の比較結果に基づいて周波数切換回路が高周波電力供給回路の出力周波数を第1の周波数から第2の周波数へ切換えものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の高圧放電灯点灯装置を示す回路構成図である。図1において、従来例と同一の符号は同一または相当部分を示す。12はインバータ回路2から出力される点灯周波数を二段に切換えるように、ドライバ3に切換信号を出力する周波数切換回路、13はランプ6の点灯開始からの経過時間をカウントし、そのカウント時間を周波数切換回路12に出力するタイマーである。また、周波数切換回路12はインバータ回路2からランプ6に供給される点灯周波数を、図2の非共鳴周波数の分布図に示す非共鳴周波数帯内の点灯周波数f1とf2とに切換えするものである。ここで、例えば点灯周波数f1を32kHz付近、点灯周波数f2を43kHz付近にそれぞれ設定した。
【0013】
次に、点灯装置の動作を図1と図2、図3に示す周波数切換回路12のドライバ3への切換え信号のタイミングチャート図を併用して説明する。なお、図3中の点灯時間t1はランプ6への投入電力が徐々に上昇して定格値の90%付近に達したことを想定し、点灯時間t2はランプ6への投入電力が定格値100%付近に達したことを想定した判断時間である。タイマー13によりランプ6の点灯開始からの時間をカウントし、点灯時間t1に達するまではインバータ回路2からの点灯周波数f1で、そのオンデューティを100%に設定して点灯させ、点灯時間t1からt2の間は時間の経過と共にオンデューティを連続的に減少するように変化させる。そして、点灯時間t2以降はそのオンデューティを0%に設定する。一方、点灯周波数f2はそのオンデューティを点灯時間t1に達するまでは0%とし、点灯時間t1からt2の間は時間の経過と共に連続的に増大するように変化させる。そして、点灯時間t2以降は点灯周波数f2でそのオンデューティを100%に設定してランプ6を点灯させる。
ここで、点灯周波数f1時点の電流がf2時点と比べて大きくなる。その理由は、負荷回路8を構成するチョークコイル10のインピーダンスがf1の方が小さく、これによってランプ6への投入電力が大きくなるためである。
【0014】
また、図4〜図7は図3のオンデューティ図のランプ10の点灯時間ta、tb、tc、td付近における、点灯周波数とランプ6の電流の関係を示す特性図である。図4において、点灯時間ta付近では点灯周波数f1に対応したランプ6の電流が一定状態となって流れる。また、図5と図6において点灯時間tb,tc付近では点灯周波数f1とf2とが交互に繰返し出力し、時間の経過と共にf2のオンデューティが増していく。
【0015】
なお、点灯周波数f1とf2とを交互に切換えし、かつそれぞれのオンデューティを変化させてランプ6を点灯する際、電流の大小変化の1周期が数msであるために、電流の繰返し変化に伴うランプ6の明るさ変化は視覚的に認識できず、使用上の違和感を生じない。また、図7に示すように点灯時間td付近では点灯周波数f2に対応したランプ6の電流が一定状態となって流れる。このように、点灯時間taからtdの過程でランプ6に流れる電流は、点灯周波数f1とf2のそれぞれのオンデューティの変化に伴って電流が徐々に減少していくことになる。
【0016】
また、図8は点灯開始以降における点灯周波数とランプ6に対する投入電力の関係を示すタイミングチャート図である。図8において、曲線Aは点灯周波数をf1とf2の二段に切換えし、かつそれらのオンデューティを時間と共に変化させる即ち変調方式で点灯した場合の、ランプ6への投入電力の特性例である。点灯開始からの経過時間に応じてランプ6への投入電力が上昇し、時間t2時点で定格値に達する。曲線Bは点灯周波数f1で点灯した場合のランプ6への投入電力の特性例であり、投入電力が時間t2時点で定格値を越えていることが分かる。曲線Cは点灯周波数f2で点灯した場合のランプ6への投入電力の特性例であり、投入電力が時間t2時点で定格値に達していないことが分かる。
【0017】
以上のように、点灯開始から所定時間t1に達するまでは点灯周波数をf1に設定してランプ6を点灯し、所定時間t1からt2までは点灯周波数をf1とf2に交互に切換えし、かつそれらのオンデューティを時間と共に変化させる変調方式によりランプ6を点灯させ、さらに所定時間t2以降は点灯周波数をf2に設定してランプ6を安定点灯させる。その際、点灯周波数f1とf2を非共鳴周波数帯内に設定するように制御を行なった。これにより、点灯周波数が上昇変化してランプ6を点灯させる過程で、共鳴周波数帯を通過することがなくなる。したがって、ランプ6の”立ち消え”や”ゆらぎ”という音響共鳴現象の影響を受けなくなると共に、ランプ6への投入電力が定格値をオーバーシュートすることがなく、光束の立ち上がりを速めることができる。
【0018】
実施の形態2.
図9は、実施の形態2の高圧放電灯点灯装置を示す回路構成図である。図9において、実施の形態1と同一の符号は同一または相当部分を示す。実施の形態2は、ランプ6の電圧を検出する検出回路14を設け、この検出回路14の検出電圧に基づいてインバータ回路12の点灯周波数を二段に切換えするように構成したものである。なお、周波数切換回路12は実施の形態1と同様に、図2に示す共鳴周波数帯内の周波数f1、非共鳴周波数帯内の周波数f2に二段に切り換えるものであり、周波数f1を32kHz付近、周波数f2を43kHz付近に設定している。
【0019】
次に、点灯装置の動作を図9と図10に示す周波数切換回路12のドライバ3への切換信号のタイミングチャート図を併用して説明する。なお、図10中の電圧v1はランプ6への投入電力が徐々に上昇して定格値の90%付近に達したことを想定し、電圧v2はランプ6への投入電力が定格値100%付近に達したことを想定した判断電圧である。点灯開始からランプ6の電圧を検出回路14により検出し、電圧v1に達するまでは点灯周波数f1でそのオンデューティを100%に設定して点灯させ、電圧v1からv2の間は電圧の上昇と共にオンデューティを連続的に減少するように変化させる。そして、電圧v2以降はそのオンデューティを0%に設定する。一方、点灯周波数f2はそのオンデューティを電圧v1に達するまでは0%とし、電圧v1からv2の間は電圧の上昇と共に連続的に増大するように変化させる。そして、電圧v2以降は点灯周波数f2でそのオンデューティを100%に設定してランプ6を点灯させる。なお、点灯周波数f1とf2とを交互に切換えし、かつそれぞれのオンデューティを変化させてランプ6を点灯する際、実施の形態1と同様に電流の繰返し変化に伴うランプ6の明るさ変化は視覚的に認識できず、使用上の問題はない。
【0020】
また、図11は点灯開始以降における点灯周波数とランプ6に対する投入電力の関係を示すタイミングチャート図である。図11において、曲線Aは点灯周波数をf1とf2の二段に切換えして実施の形態1で述べた変調方式により点灯を行なった場合の、ランプ6への投入電力の特性例である。ランプ6の電圧が大きくなるに伴ってランプ6への投入電力が上昇し、電圧v2の時点で定格値に達する。曲線Bは点灯周波数f1で点灯した場合のランプ6への投入電力の特性例であり、投入電力が電圧v2の時点で定格値を越えていることが分かる。曲線Cは点灯周波数f2で点灯した場合のランプ6への投入電力の特性例であり、投入電力が電圧v2の時点で定格値に達していないことが分かる。
【0021】
以上のように、点灯開始から電圧v1に達するまでは点灯周波数f1に設定してランプ6を点灯し、電圧v1からv2までは点灯周波数f1とf2の変調方式で点灯を行ない、さらに電圧v2以降は点灯周波数f2に設定してランプ6を安定点灯させる。このとき、実施の形態1と同様に点灯周波数f1とf2を非共鳴周波数帯内に設定する制御シーケンスを採用したことにより、点灯周波数が共鳴周波数帯を通過することがなく、これによって音響共鳴現象の影響を受けないようにすることができる。また、ランプ6への投入電力が定格値をオーバーシュートすることがなく、光束の立ち上がりを速めることができる。
【0022】
実施の形態3.
図12は、実施の形態3の高圧放電灯点灯装置を示す回路構成図である。図12において、実施の形態1,2と同一の符号は同一または相当部分を示す。15は商用電源、16は商用電源15の交流電圧を倍電圧整流するダイオード17,18と平滑コンデンサ19,20から成る倍電圧整流回路、21はインバータ回路2の点灯周波数を二段に切換えするようにドライバ3に切換信号を出力する周波数切換回路である。周波数切換回路21は、コンデンサ22,23、トランジスタ24、倍電圧整流回路21から出力される直流電圧を分圧する抵抗25,26、タイマー27の出力により直流電圧が可変される可変直流電源28、倍電圧整流回路16の直流電圧の分圧値と可変直流電源28の電圧とを比較するコンパレータ29から構成する。
【0023】
ドライバ3は外部に接続されるコンデンサ22,23の容量によって、インバータ回路2の点灯周波数を二段に切換えする機能を有している。また、ドライバ3として外部に抵抗を接続し、その抵抗値によってインバータ回路2の点灯周波数を二段に切換えする機能を有しているものを用いても良い。さらに、ドライバ3としてコンパレータ29から出力されるHi/Lo信号によって、インバータ回路2の点灯周波数を二段切換えする機能を有しているものを用いて良い。
【0024】
次に、周波数切換回路21の動作を図12を併用して説明する。ドライバ3に接続されるコンデンサ22は常に接地状態であり、コンデンサ23はトランジスタ24のオン動作によって接地状態となる。そして、トランジスタ24はコンパレータ29の出力によってオン/オフする。ここで、コンパレータ29の+入力電圧をVh、−入力電圧をVlとする。そして、Vh>Vlの場合、コンパレータ29からHi信号が出力されることで、トランジスタ24がON状態となる。これにより、コンデンサ23が接地状態となって、二つのコンデンサ22,23が並列接続する。このとき、二つのコンデンサ22,23の容量に基づいて、ドライバ3によりインバータ回路2の点灯周波数f1を32kHz付近に設定する。
【0025】
また、Vh<Vlの場合、コンパレータ29からLo信号が出力されることで、トランジスタ24がOFF状態となる。これにより、コンデンサ22のみが接地状態となり、コンデンサ22の容量に基づいて、ドライバ3により点灯周波数f2を43kHz付近に設定する。そして、コンパレータ29の−入力電圧Vlの大きさは、タイマー27の出力即ちランプ6の点灯時間に応じて単調増加するものである。なお、コンパレータ29の+入力電圧Vhの大きさを、ランプ6の点灯時間に応じて単調減少するようにしても良い。
【0026】
また、図13は点灯開始以降における周波数切換回路21のコンパレータ29の+入力電圧Vh、−入力電圧Vl、インバータ回路2の点灯周波数f1,f2の関係を示すタイミングチャート図である。図13において、倍電圧整流回路16を構成する平滑コンデンサ19,20の各々の容量を例えば数十μFに設定し、抵抗25,26を介してコンパレータ29の+入力電圧Vh(図13中のa)に、所定量のリップルをもたせる。次に、タイマー27の出力信号即ちランプ6の点灯時間のカウント信号に応じてコンパレータ29の−入力電圧Vl(図13中のb)が上昇していく。この過程で、−入力電圧Vlが+入力電圧Vhの最小値に達するまではコンパレータ29からHi信号が出力されることで、トランジスタ24はオンとなって、ドライバ3に接続されるコンデンサ23が接地状態となる。これにより、ドライバ3は二つのコンデンサ22,23の容量に基づいて、インバータ回路2から点灯周波数f1を出力するように制御を行なう。
【0027】
次に、コンパレータ29の−入力電圧Vlが+入力電圧Vhのリップル範囲内にあるとき、コンパレータ29からHiとLoの信号が繰返し出力される。これにより、トランジスタ24はオン/オフ動作を繰り返すことになり、コンデンサ23は接地状態と非接地状態とを交互に繰り返す。したがって、ドライバ3によりインバータ回路2を介してランプ6へ点灯周波数f1とf2の変調(図13中のc)に伴う電流が流れるように制御を行なう。次に、−入力電圧Vlが+入力電圧Vhの最大値を越えた以降は、コンパレータ10からLo信号が出力されることで、トランジスタ10はオフすることで、ドライバ10に接続されるコンデンサ10のみが接地状態となる。これにより、ドライバ10はコンデンサ10の容量に応じてインバータ回路10から点灯周波数f2を出力するようにしてランプ10を点灯させる。
【0028】
次に、点灯装置の動作を図13のタイミングチャート図を拡大した図14〜図16に示すタイミングチャート図を併用して説明する。図14において、タイマー27によりランプ6の点灯時間をカウントし、点灯時間がta付近の場合、コンパレータ29の−入力電圧Vl(図14中のx)がリップルを含む+入力電圧Vh(図14中のy)の最低値に達していない。これにより、インバータ回路2から出力される点灯周波数f1でランプ6が点灯する。なお、ランプ6にはリップル分を含む電流が流れるが、その1周期が商用周波数の2倍の周波数に対応したものであるために、ランプ6の明るさ変化は視覚的に認識できず、使用上問題ない。このとき、ランプ6には32kHzの点灯周波数f1に対応した電流i1が流れる。
【0029】
次に、図15において点灯時間がtb付近の場合、コンパレータ29の−入力電圧Vl(図15中のx)が+入力電圧Vh(図15中のy)の中間値に達するので、実施の形態1で述べたようにインバータ回路2から出力される点灯周波数f1とf2による変調方式でランプ6が点灯する。このとき、ランプ6には32kHzの点灯周波数f1と43kHzの点灯周波数f2の変調に対応した電流i2が流れる。次に、図16において点灯時間がtc付近の場合、コンパレータ29の−入力電圧Vl(図16中のx)が+入力電圧Vh(図16中のy)の最高値を越えているので、インバータ回路2から出力される点灯周波数f2でランプ6が点灯する。このとき、ランプ6には43kHzの点灯周波数f2に対応した電流i3が流れる。ここで、ランプ6に流れる電流の大きさの関係は、i1>i2>i3である。このように、点灯周波数を共鳴周波数帯内に設定しないように制御を行なうことで、音響共鳴現象を回避すると共に、点灯開始からの経過時間に応じてランブ6に流れる電流を減少させて投入電力を一定制御し、光速の立ち上がりを速めることができる。
【0030】
以上のように、周波数切替回路21を構成するコンパレータ29のHi/lo信号により、ドライバ3でインバータ回路2から出力される点灯周波数f1とf2の二段に切換える制御シーケンスを採用したことで、点灯周波数が共鳴周波数帯内を通過することがない。したがって、音響共鳴現象の影響を受けないようにすると共に、ランプ6の光速の立ち上がりを速めることができる。
【0031】
なお、商用電源15の交流電圧を倍電圧整流回路16で倍電圧整流し、その電圧をランプ6の点灯電源としたが、商用電源15の交流電圧が例えば200Vの場合或いはランプ電圧が低い場合、その電圧をダイオードブリッジ回路で全波整流し、さらに全波整流された電圧を平滑コンデンサで平滑化し、それをランプ6の点灯電源としても良い。
【0032】
また、定格35Wのランプ6を用いて2つの異なる非共鳴周波数帯内或いは弱度の共鳴周波数帯内と非共鳴周波数帯内に点灯周波数を設定するようにしてランプ6を点灯させる以外に、他の定格をもつランプ6を用いて複数の非共鳴周波数帯内に属する各々の周波数を点灯周波数とし、ランプ6を点灯するようにしても良い。
【0033】
また、点灯開始時の点灯周波数f1を共鳴周波数帯内に設定したが、この他にその周波数帯に隣接する音響共鳴現象が比較的弱い弱度の共鳴周波数帯内に設定するようにしても良い。
【0034】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0035】
この発明に係わる高圧放電灯点灯装置は、高圧放電灯と、高圧放電灯に高周波電力を供給する高周波電力供給回路と、高周波電力供給回路の出力周波数を制御するドライバと、ドライバが制御する出力周波数を第1の周波数または第1の周波数よりも高い第2の周波数に切換える切換信号をドライバへ出力する周波数切換回路とを備え、少なくとも第2の周波数を高圧放電灯がもつ非共鳴周波数帯内の周波数とするとともに、周波数切換回路が、ドライバの制御する出力周波数を、点灯開始直後は第1の周波数に設定し、高周波電力が所定電力到達後から安定点灯までの間は第1の周波数と第2の周波数を交互に繰り返し設定し、安定点灯以降は第2の周波数に設定するようにしたので、点灯周波数を上昇変化してランプを点灯させる過程で、共鳴周波数帯を通過することがない。したがって、ランプの”立ち消え”や”ゆらぎ”という音響共鳴現象の影響を受けないようにすると共に、ランプへの投入電力が定格値をオーバーシュートすることがなく、光束の立ち上がりを速めることができる。
【0036】
また、高圧放電灯と、高圧放電灯に高周波電力を供給する高周波電力供給回路と、高周波電力供給回路の出力周波数を制御するドライバと、ドライバが制御する出力周波数を第1の周波数または第1の周波数よりも高い第2の周波数に切換える切換信号をドライバへ出力するとともに第1の周波数および第2の周波数のそれぞれのオンデューティの比率を制御する周波数切換回路とを備え、少なくとも第2の周波数を高圧放電灯がもつ非共鳴周波数帯内の周波数とするとともに、周波数切換回路が、点灯開始直後は第1の周波数のオンデューティを最大とし、第2の周波数のオンデューティを最小とし、高周波電力が所定電力到達後から安定点灯までの間は第1の周波数のオンデューティを次第に減少し、第2の周波数のオンデューティを次第に増加し、安定点灯以降は第1の周波数のオンデューティを最小とし、第2の周波数のオンデューティを最大とするように制御したので、点灯周波数を上昇変化してランプを点灯させる過程で、共鳴周波数帯を通過することがなく、ランプの明るさの変化が視覚的に認識できない速度で点灯周波数を切換えすることができる。これにより、ランプがもつ音響共鳴現象の影響を受けないようにすると共に、ランプへの投入電力が定格値をオーバーシュートすることがなく、光束の立ち上がりを速めることができる。
【0037】
また、高圧放電灯が複数の非共鳴周波数帯を有するとともに、第1の周波数と第2の周波数を、それぞれ異なる非共鳴周波数帯内の周波数としたので、ランプがもつ音響共鳴現象の影響を受けないようにすることができる。
【0038】
また、周波数切換回路が、点灯開始後所定の期間或いは点灯開始後高圧放電灯の電圧が所定値に達するまでの期間は第1の周波数のオンデューティを最大とするように制御したので、ランプへの投入電力が定格値をオーバーシュートすることがなく、かつ視覚的に違和感を生じることがなく光束の立ち上がりを速めることができる。
【0039】
また、周波数切換回路が、第1の周波数および第2の周波数のオンデューティを連続的に変化するように制御したので、ランプの光束をスムーズに、かつその立ち上がりを速めることができる。
【0040】
また、高周波電力供給回路が所定のリップル電圧をもつ直流電源と、直流電源の出力電圧を高周波電圧に変換するインバータ回路とを備え、周波数切換回路が直流電源の出力電圧を分圧する分圧回路と、高圧放電灯の点灯開始からの経過時間或いは高圧放電灯の電圧に応じて直流電圧が単調増加或いは単調減少するように可変される可変直流電源と、分圧回路からの分圧値と可変直流電源の電圧値との大きさを比較する比較器とを備え、比較器の比較結果に基づいて周波数切換回路が高周波電力供給回路の出力周波数を第1の周波数から第2の周波数へ切換えようにしたので、ランプへの投入電力が定格値をオーバーシュートすることがなく、光束の立ち上がりを速めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の高圧放電灯点灯装置の回路構成図を示す。
【図2】 非共鳴周波数帯の分布図を示す。
【図3】 実施の形態1の二つの点灯周波数のオンデューティ特性図を示す。
【図4】 実施の形態1の点灯周波数とランプ電流の関係図を示す。
【図5】 実施の形態1に係る他の点灯周波数とランプ電流の関係図を示す。
【図6】 実施の形態1に係る他の点灯周波数とランプ電流の関係図を示す。
【図7】 実施の形態1に係る他の点灯周波数とランプ電流の関係図を示す。
【図8】 実施の形態1の点灯周波数とランプへの投入電力の関係図を示す。
【図9】 実施の形態2の高圧放電灯点灯装置の回路構成図を示す。
【図10】 実施の形態2の二つの点灯周波数のオンデューティ特性図を示す。
【図11】 実施の形態2の点灯周波数とランプへの投入電力の関係図を示す。
【図12】 実施の形態3の高圧放電灯点灯装置の回路構成図を示す。
【図13】 実施の形態3の点灯周波数と電圧の関係図を示す。
【図14】 実施の形態3の他の点灯周波数と電圧の関係図を示す。
【図15】 実施の形態3の他の点灯周波数と電圧の関係図を示す。
【図16】 実施の形態3の他の点灯周波数と電圧の関係図を示す。
【図17】 従来における高圧放電灯点灯装置の回路構成図を示す。
【図18】 従来の点灯周波数とランプ電流の関係図を示す。
【符号の説明】
1 直流電源、2 インバータ回路、3 ドライバ、4 PWM制御回路、5測定回路、6 ランプ、7 検出回路、8 負荷回路、9 直流カットコンデンサ、10 チョークコイル、11 始動回路、12 周波数切換回路、13 タイマー、14 検出回路、15 商用電源、16 商用電源、17 ダイオード、18 ダイオード、19 平滑コンデンサ、20 平滑コンデンサ、21 周波数切換回路、22 コンデンサ、23 コンデンサ、24 トランジスタ、25 抵抗、26 抵抗、27 タイマー、28 可変直流電源、29 コンパレータ。

Claims (6)

  1. 高圧放電灯と、この高圧放電灯に高周波電力を供給する高周波電力供給回路と、この高周波電力供給回路の出力周波数を制御するドライバと、このドライバが制御する出力周波数を第1の周波数またはこの第1の周波数よりも高い第2の周波数に切換える切換信号を前記ドライバへ出力する周波数切換回路とを備え、少なくとも前記第2の周波数を前記高圧放電灯がもつ非共鳴周波数帯内の周波数とするとともに、前記周波数切換回路が、前記ドライバの制御する出力周波数を、点灯開始直後は前記第1の周波数に設定し、前記高周波電力が所定電力到達後から安定点灯までの間は前記第1の周波数と前記第2の周波数を交互に繰り返し設定し、安定点灯以降は前記第2の周波数に設定したことを特徴とする高圧放電灯点灯装置。
  2. 高圧放電灯と、この高圧放電灯に高周波電力を供給する高周波電力供給回路と、この高周波電力供給回路の出力周波数を制御するドライバと、このドライバが制御する出力周波数を第1の周波数またはこの第1の周波数よりも高い第2の周波数に切換える切換信号を前記ドライバへ出力するとともに前記第1の周波数および前記第2の周波数のそれぞれのオンデューティの比率を制御する周波数切換回路とを備え、少なくとも前記第2の周波数を前記高圧放電灯がもつ非共鳴周波数帯内の周波数とするとともに、前記周波数切換回路が、点灯開始直後は前記第1の周波数のオンデューティを最大とし、前記第2の周波数のオンデューティを最小とし、前記高周波電力が所定電力到達後から安定点灯までの間は前記第1の周波数のオンデューティを次第に減少し、前記第2の周波数のオンデューティを次第に増加し、安定点灯以降は前記第1の周波数のオンデューティを最小とし、前記第2の周波数のオンデューティを最大とするように制御することを特徴とする高圧放電灯点灯装置。
  3. 前記高圧放電灯が複数の非共鳴周波数帯を有するとともに、前記第1の周波数と前記第2の周波数を、それぞれ異なる前記非共鳴周波数帯内の周波数としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の高圧放電灯点灯装置。
  4. 前記周波数切換回路が、点灯開始後所定の期間或いは点灯開始後前記高圧放電灯の電圧が所定値に達するまでの期間は前記第1の周波数のオンデューティを最大とするように制御することを特徴とする請求項2記載の高圧放電灯点灯装置。
  5. 前記周波数切換回路が、前記第1の周波数および前記第2の周波数のオンデューティを連続的に変化するように制御することを特徴とする請求項2〜請求項4の何れかに記載の高圧放電灯点灯装置。
  6. 前記高周波電力供給回路が所定のリップル電圧をもつ直流電源と、この直流電源の出力電圧を高周波電圧に変換するインバータ回路とを備え、前記周波数切換回路が前記直流電源の出力電圧を分圧する分圧回路と、前記高圧放電灯の点灯開始からの経過時間或いは前記高圧放電灯の電圧に応じて直流電圧が単調増加或いは単調減少するように可変される可変直流電源と、前記分圧回路からの分圧値と前記可変直流電源の電圧値との大きさを比較する比較器とを備え、この比較器の比較結果に基づいて前記周波数切換回路が前記第1の周波数から前記第2の周波数へ切換えることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の高圧放電灯点灯装置。
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