JP4122218B2 - 有害生物を制御するためのアジド法および組成物 - Google Patents

有害生物を制御するためのアジド法および組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願は、2000年10月10日に出願された仮出願シリアル番号60/238943号の利益を享受するものである。
本発明は、一般に生物学および農学の分野に関し、特に農薬および除草薬としての組成物および使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
昆虫、植物病原、線虫および雑草の制御は、農業にとって中心的重要性を有する。特に、土壌における線虫の個体数の実質的な低減または排除は、初期の植物成長、生産性、および寿命にとって重要である。病原性菌類および線虫類は、一年生作物と多年生作物の両方の広い根系で発達し、それに深刻なダメージを与える。さらに、それらは作物の除去後にも土壌中で生き残り、新たな作物の改植(replanting)前に排除する必要がある。
【0003】
植物病原および線虫をうまく処理するために使用されてきた方法は、作物ローテーション、少なくとも4年間の休閑、病原および線虫耐性作物の使用、および土壌燻蒸(soil fumigation)であった。植物病原および線虫に対する耐性は、いくつかの作物でのみ利用可能であり、顕著な商業的興味のある多くの作物については耐性品種が予測可能な将来において開発されないかもしれない。それゆえ、土壌燻蒸が植物病原および線虫の制御に最適な選択肢である。
【0004】
メチルブロミド(CHBr)は、世界中で最も広く用いられており、かつ最も普遍的な燻蒸剤である。これは、多くの作物に対する種々の有害生物を制御する有益な検疫(quarantine)処理(輸出および輸入)として、および木材腐朽有害生物に対する構造燻蒸剤として、土壌燻蒸に広く用いられている。
【0005】
メチルブロミド(以下“MBr”と称する)は、トリクロロフルオロメタン(cfc11)(1のODPを有する基準ガスとして用いられる制冷剤(refridgerant))と比較して0.2より大きいオゾン消耗ポテンシャル(ODP:ozone depleting potential)を有するオゾン消耗化学薬品として分類される。
【0006】
土壌燻蒸後の大気に対するMBrの損失に関する証拠は、燻蒸のために土壌に適用した全体量の約87%が7日のうちに大気中に失われることを示す。成層圏に達すると、MBrは光酸化を受け、オゾン消耗サイクルに入る臭素原子を放出する。燻蒸した土壌からのMBr損失はさらに、シート(タープ)を介して、およびタープを取り除いた後に、適用したMBrの70%程度の大気中への損失を示した研究により支持される。
【0007】
MBrに代わるべき現在利用可能なものは、効果が低く、および/またはより高価であるため、MBrの排除は非常にコストがかかるであろう。米国の生産者や消費者に対する一年間の損失は、15億ドルあたりと推定される。この数字は、収穫後による損失および検疫損失並びに構造燻蒸損失を計上しない。MBr排除は、トマト、イチゴ、ペッパー、メロンおよび装飾用植物のような産物に最も不利に影響する。MBrの損失は、農業生産者と消費者の両方に極めてコストがかかり、米国経済に実質的な影響を有する。それにも関わらず、MBrと同レベルの広範囲の有害生物処理を達成するアプローチは現在のところ利用できないということが、当該技術分野に携わる者の普遍的な共通認識である;利用可能な化学および非化学的アプローチは、ある程度の農業有害生物処理をもたらすことができるが、一般により狭い活性、およびより低い作物収量および品質である。それゆえ、MBrに代わるものが明らかに必要とされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題および課題を解決するための手段】
本発明は、環境に有意の害を引き起こすことなく、土壌中の有害な生物の個体数を制御する組成物および方法の両方を提供する。本発明のターゲットである有害生物は、例えば、昆虫、菌類、線虫、雑草、および農業活動に悪影響を与える他の生物のような、あらゆる有害生物を含む。係る有害生物は、土壌に有効量のアジドを適用することにより制御することができる。アジドを含む分散媒体は、有害な生物の個体数を制御するために、環境システムに適用され得る。例えば、アジドを含む水溶液が、土壌に適用されて、土壌中のターゲット有害生物の個体数が制御され得る。この液体の適用は、一以上のターゲット有害生物の個体数を制御することに有効な量のアジドを土壌に適用することを含んでもよい。この液体に含まれるアジドは、イオンアジド(N )の形態であってもよく、あらゆる適切なアジド化合物から誘導されてもよい。例えば、アジドは、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム、またはアジ化ナトリウムとアジ化カリウムの両方の組合せであってもよい。
【0009】
アジドは、例えば、界面活性剤、アミン、タンパク質またはこれらの組合せを含む一以上の安定化剤の存在により安定化されうる。界面活性剤は、湿潤剤としても作用し、それゆえ土壌への本発明の液状組成物の送達を改善する。
【0010】
アジドは、液状媒体のpHを7.0以上に維持することによってさらに安定化されうる。アルカリ性は、有機または無機pH緩衝剤、ヒドロキシルイオンの添加、またはこれらの組合せによって達成されうる。
【0011】
本発明の組成物は、一般に農薬として提供されてもよい。組成物は、特に、使用者の必要に応じて、除草薬、殺虫剤、殺菌剤および/または殺線虫剤、あるいはこれらの組合せとして用いることができる。
【0012】
また本発明は、アジド、アジド安定化剤、農薬組成物を調製し、農薬組成物を土壌のような環境系に適用してそこのターゲット有害生物の個体数を制御するための説明書とを含む、農薬組成物を調製するためのキットを含む。このキットは、これらに限定されるわけではないが、界面活性剤、アミン、タンパク質、pH緩衝剤、またはこれらのあらゆる組合せのような、一以上の安定化剤をさらに含んでもよい。
【0013】
また、本発明は、液状媒体に希釈され、土壌のような環境系に適用されてそこに含まれる有害生物を制御するアジド含有溶液を含む。
【0014】
さらに本発明は、有害生物の個体数を制御するアジドと、作物の成長を促進する肥料のような一以上の他の成分とを含む農業系(agricultural systems)を提供する。
【0015】
本発明のさらなる対象および態様は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読むことにより、より明らかになるであろう。
【0016】
本発明は、これらに限定するわけではないが、昆虫、線虫または雑草、あるいはこれらの組合せのような有害な生物の個体数を、液状媒体とアジドとを含む組成物を適用することにより制御する方法および組成物を提供する。液状媒体は、潅漑システム、例えばドリップ潅漑(drip irrigation)ラインに使用するのに安全かつ安定であり、植物栄養および他の有害生物制御剤を含む製剤に用いられてもよい。アジドはイオンアジドとすることができる。典型的なイオンアジドは、これらに限定されないが、ナトリウムおよびカリウム塩、またはこれらのあらゆる組合せを含む。アジドは、水性媒体へのアジド塩の導入を介して生成されうる。アジ化ナトリウムおよびカリウムが最も一般的に用いられるであろうが、あらゆるアジド塩、例えばアジ化アンモニウム、アジ化カルシウム、アジ化亜鉛も適している。本発明の組成物は、除草特性を有する有効な殺線虫剤を提供し、かつ有意または永久的な害を環境に引き起こさない。
【0017】
ここで用いる用語“制御”は、農産物に有害な有害生物の個体数を統制することを指す。個体数は、その生物が殺傷されて、殺線虫、殺菌、除草または殺虫活性などにより生存可能な個体数を減少させるように、本発明の組成物および方法により制御される。本発明の方法および組成物は、有害生物の個体数を維持しても、また増大させないものでもよく、また、有害生物による土壌の侵入を妨げるものであってもよい。
【0018】
ここで用いる用語“アジド”は、N 部分を有するあらゆる化合物を指す。アジドは、金属がカリウム、ナトリウム、リチウム、ルビジウムまたはセシウムのようなアルカリ金属であるような金属アジドであってもよい。この金属は、以下に限定されないが、鉄、コバルト、ニッケル、銅または亜鉛のような遷移金属であってもよい。一部の金属アジドは、アジ化ナトリウムなどを、硫酸銅のような金属塩と混合することにより、溶液中に生成され得ることが知られている。本発明のアジドは、有機アジドまたはアンモニウムアジドであってもよい。
【0019】
ここで用いる用語“アミン”は、これらに限定されないが、エタノールアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン等を含む有機脂肪族アミンを指す。有機アミンは、フェニルエチルアミンのような芳香族アミンであってもよい。
【0020】
ここで用いる用語“液状媒体”は、周囲条件下で少なくとも部分的に液相である水性または有機系流体を指す。適切な流体は、これらに限定されないが、水、油、エマルション、液状有機化合物、例えばエタノールアミン、エタノールなどを含む。
【0021】
ここで用いる用語“キレート剤”は、1より大きい原子価を有する金属イオンに結合するあらゆる有機または無機化合物を指し、以下に限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トリエチレンテトラミンジヒドロクロリド(TRIEN)、エチレングリコール-ビス(ベータ-アミノエチルエーテル)-N,N,N',N'-四酢酸(EGTA)、ジエチレントリアミン-ペンタ酢酸(DPTA)、およびトリエチレンテトラミンヘキサ酢酸(TTG)、デフェロキサミン(deferoxamine)、ジメルカプロール、エデタートカルシウム二ナトリウム(edetate calcium disodium)、クエン酸亜鉛、ペニシラミンスクシマー(penicilamine succimer)およびエディトロナート(Editronate)、または他のキレート剤、塩、またはこれらの組合せのような、当業者に公知の有機キレート剤を含み、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Fe2+およびZn2+だけではない二価の金属イオンをキレートする。
【0022】
ここで用いる用語“pH緩衝剤”は、溶液のpHを選択されたpH値の約0.5pH単位の範囲内に維持するあらゆる有機または無機化合物または化合物の組合せを指す。“pH緩衝剤”は、以下に限定されないが、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トロメタプリム(tromethaprim);TRIZMA塩基)、またはその塩、ホスファート、アミノ酸、ポリペプチドまたは他のあらゆるpH緩衝剤、またはこれらの組合せから選択される。
【0023】
ここで用いられる用語“界面活性剤”は、中性またはイオン性で、水に可溶性の、ラウリル硫酸ナトリウムのような両親媒性化合物を指す。
【0024】
ここで用いる用語“オリゴペプチド”、“ポリペプチド”および“タンパク質”は、ペプチド結合を介して連結された、連続して並んだ3つ以上のアミノ酸のポリマーを指す。用語“ポリペプチド”は、タンパク質、タンパク質フラグメント、タンパク質アナログ、オリゴペプチドなどを含む。用語“ポリペプチド”は、ラベルリガンドに共有または非共有的に結合したアミノ酸、または化学修飾されたアミノ酸を含む上記ポリペプチドをさらに考慮する。
【0025】
アジ化ナトリウムおよびカリウムは、通常、顆粒として最初に調合されるか(アタパルジャイトクレー(attapulgite clay)、珪藻土)、種々の液状製剤に形成されうる。アジド製剤の安定性は、約8.7より大きいpHレベルで増強される。線虫および菌、例えばArmillaria、Verticillium等の有害生物の制御、およびグレープ、フルーツ、および堅果の木のような深い根を有する作物の保護には、任意に液状製剤が適している。
【0026】
液状媒体は、さらに安定化剤を含んでもよい。土壌−空気空間および大気におけるアジドの反応性があまりにも速く、有害生物の制御にあまりにも低い活性化合物の有効濃度をもたらす場合には、所望の燻蒸ゾーンに対するアジドの送達は、困難であるかもしれない。安定化剤は、このような条件下での液状媒体の効力を増大させる。かくして、本発明の組成物が用いられる土壌条件に依存して、例えば酸性土壌への適用のために液状媒体のpHを増大させることによって、液状媒体を変更することができる。
【0027】
水性アジド溶液は、水酸化ナトリウムまたはカリウムなどの形態の、ヒドロキシルイオンのようなpH緩衝剤の添加により、または、カーボナートまたはホスファートを添加することにより、アルカリ溶液において安定化されうる。しかしながら、一部のpH緩衝剤は、例えば高いカルシウムイオン含量を有する潅漑水とともに用いられた場合に望ましくないかもしれない。カルシウムは、本発明の組成物の可溶化カーボナートおよび/またはホスファートと結合して、潅漑システムを腐蝕または詰まらせる炭酸またはリン酸カルシウムの沈殿を形成するかもしれない。沈殿が心配でなければ、あらゆる適切なpH緩衝剤、例えばリン酸アンモニウム、ナトリウムまたはカリウム、炭酸アンモニウム、ナトリウムまたはカリウム、クエン酸アンモニウム、ナトリウムまたはカリウム、pH緩衝力を有する酸−塩システム、トリス等の有機バッファー、または約8.7より大きな液状媒体におけるpHを単独または組合せにより維持するヒドロキシルイオンを用いることができる。
【0028】
別の安定化剤は、これらに限定されないが、ラウリル硫酸ナトリウム;Tween20[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート];Tween40[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミタート];Tween40[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミタート];Tween60[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアラート];Tween80[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアラートパルミタート];Tween85[ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレアート];石けん(すなわち、Na、Kまたはアンモニウムと種々の脂肪酸との塩[オレイン酸アンモニウム、ステアリン酸カリウム、など]);およびテルギトール(tergitol)のような界面活性剤を含む。界面活性剤を用いることにより、カルシウム沈殿を形成するという問題無く液状媒体が安定化されうる。界面活性剤は、本発明の組成物を土壌に適用するために用いられる潅漑システムをさらに洗浄しうる。さらに、界面活性剤が、土壌における本発明の組成物の分散を増大し得る濡れ特性を有することも、本発明の範囲内であると考えられる。
【0029】
本発明の組成物における使用が考慮され、かつ液状媒体製剤で用いられるさらなる安定化剤は、アミンである。安定化剤のアミン基は、アジド含有製剤を安定化し得る。またアミンは、土壌に植えられた作物に対するさらなる窒素源を提供しうる。これらに限定されないが、アルキルまたは芳香族アミンのような全てのタイプのアミンを用いることができる。模範的なアミンはエタノールアミンである。
【0030】
本発明のアミン安定化剤は、アミノ酸、オリゴペプチドまたはポリペプチドとすることができる。安定化剤のアミン基は、それ自身pH緩衝効果を与えることができるタンパク質の形態とすることができる。例えば、カゼインのようなタンパク質を用いることができる。カゼインは、エタノールアミンに可溶性であり、土壌に添加した場合に、タンパク質分解微生物の活性を刺激する。増大した微生物のタンパク質分解活性は、植物寄生線虫および他の土壌中の有害生物にさらに敵対しうる。本発明の組成物における使用に適したタンパク質は、ダイズミール、綿実ミール、トウモロコシミール、または小麦ミールのようなシリアルミールに由来するタンパク質を含む。他の適切なタンパク質は、ゼイン、グルテン、ゼラチンなど、またはホエーのような動物由来のタンパク質を含む。
【0031】
本発明を、例示であって制限と解釈すべきでない以下の実施例によって例示する。
【0032】
【実施例】
実施例1:線虫および雑草の制御
実施例1では、植物寄生線虫および雑草の制御のためにNaNの植え付け前の適用の効力を、化学物質の水性製剤を用いたマイクロプロット(microplot)実験において調べた。この製剤は、0.5%ラウリル硫酸ナトリウムを含む脱塩水に溶解された5%アジ化ナトリウムを含み、この溶液の最終的なpHは9.8であった。開口底(open-bottom)を有する1ft[929cm]および2フィート[61cm]の深さのスクエアマイクロプロットを用いた。各マイクロプロットを、テラコッタ煙突通気管により区切った。このプロットを満たす土壌は砂質ローム[pH=6.2;有機物質含量<1.0%;C.E.C<10meq/100g土壌]であり、線虫Meloidogyne incognita[根瘤(root-knot)]、Paratrichodorus minor[切り株の根(stubby root)]、Tylenchorhynchus claytoni[発育を妨げる(stunt)]、およびHelicotylenchus dihystera[螺旋(spiral)]を寄生させた。プロットに導入した雑草は、主にメヒシバ[Digitaria sanguinalis]、黄色ハマスゲ(yellow nutsedge)[Cyperus esculentum]、ヒユ・アカザの類の雑草[Amaranthus spp.]、およびアサガオ[Ipomea spp., Jacquemontia tamnifolia]であった。
【0033】
プロットに適用されるのは、潅漑水に希釈されたNaNの水性製剤であり、0g、0.5g、1.0g、1.5g、2.0g、3.0g、4.0gおよび5.0gのアジ化ナトリウム/プロットの量で投薬[2L/プロット]することにより供給される。このプロットを、標準的なポリエチレン[1mil]で被覆し、10日後にカバーを外し、雑草の数を調べ、線虫分析のために土壌サンプルをとり、各プロットに2本の3週齢“Black Beauty”ナス[Solanum melongena]の苗木を植えた。この植物を2ヶ月間生育させ、収量、雑草発生、および線虫の個体数についてデータを集めた。NaNの溶液で処理したプロットの植え付けの際のサンプルには線虫は全く存在しなかった。対称的に、対照のプロットからの土壌には全ての線虫種が発生していた。植え付けの際に、二つの最も低い比率のNaN以外で処理した全てのプロットで雑草は存在しなかった。収量および果実の数が、0−1.5g/プロットのNaN比率に対して直接的に増加し、より高い比率に対してはさらなる増加は得られず横這いになった。この実験の最後には、最も高い方の3つの比率の化学物質ではプロットに植物寄生線虫および有意な雑草発生は見られなかったが、≦2.0gのNaNで処理したプロットでは有意な個体数の寄生虫および雑草が存在した。実施例1の結果を図1−4に示す。
【0034】
実施例2:根瘤の制御
実施例2では、綿の立枯れ病(wilt complex)の抑制に対するNaN溶液の価値[Fusarium oxysporum f.sp.vasinfectum x Meloidogyne incognita]を、深刻な立枯れ病の問題を有するフィールドの土壌を用いた温室実験において調べた。この土壌を、4Lのプラスチックバッグに1kgの量で配分し、10、20、30、40、50、60、70、80、90および100mg a.i./kg(土壌)の比率となるようにNaNの水性製剤で処理した。この水性製剤は、pH=9.8を有し、0.5%ラウリル硫酸ナトリウムを含み、水中に1%[w/v]NaNを含有する溶液であった。よく混合した後に、バッグの内容物を、1Lの容量の、10cm径の柱状プラスチックポットに注ぎ、標準的なポリエチレンで被覆した[1ml]。各比率および未処理コントロールを、無作為化された完全なブロックデザインにアレンジした7つの複製[ポット]により表した。化学物質溶液の適用から10日後に、ポットのカバーを外し、“Rowden”綿[Gossypium hirsutum]の5つの種を各ポットに植えた。得られた植物を8週間生育させた。植物を8週間後に除いたときに、土壌サンプルを線虫分析のために回収した。植物の苗条および根の重量を量り、根系を調べ、疾患の深刻さについて指標をつけた。調べた後に、線虫の個体数を調べるために根をインキュベートした。
【0035】
分析結果は、全てのNaN投与量において、植物寄生線虫が土壌および根から排除されたことを示した。苗条および根の重量の急激な増加が、10−60mg/kg(土壌)の範囲のNaN適用比率に応答して記録されたが、さらなる重量増加は≧70mg/kg(土壌)の比率では得られなかった。綿の根の健康[根状態インデックス]は、全てのNaN投与量に応答して顕著に改善され、10mgの比率のポットの植物の根系は、別の全ての化合物投与量で処理したポットのものと同じ健康状態に見えた。この結果は、NaNがFusarium立枯れ病の抑制に有益であり、立枯れ病抑制に必要な比率が広域スペクトルの除草薬活性に必要な比率以下であることを示している。実施例2の結果は、図5および6においてさらに例示されている。
【0036】
実施例3:線虫および雑草の制御におけるアミン-タンパク質安定化剤
実施例3は、トマト[Lycopersicon esculentum]を用いたマイクロプロット実験における植物寄生線虫および雑草の制御のための、NaNの水性製剤の植え付け前の適用の効果を示す。NaNを、アミンと、商業的に入手可能なタンパク質、カゼインとの混合物により製剤において安定化した。この製剤は、エタノールアミンにおける10%[w/v]カゼイン溶液の2%[v/v]を含む脱塩水に溶かした5%[w/v]NaNを含む。マイクロプロットにおける土壌は、砂質ローム[pH=6.2;有機物質含量<1.0%;C.E.C<10meq/100g土壌]であり、線虫Meloidogyne incognita、Paratrichodorus minor、Tylenchorhynchus claytoni、およびHelicotylenchus dihysteraを寄生させた。プロットにおける雑草は、主にメヒシバ[Digitaria sanguinalis]、黄色ハマスゲ(yellow nutsedge)[Cyperus esculentum]、ヒユ・アカザの類の雑草[Amaranthus spp.]、およびアサガオ[Ipomea spp., Jacquemontia tamnifolia]であった。
【0037】
NaNを、1-ftマイクロプロットに、0g、0.5g、1.0g、1.5g、2.0g、3.0g、4.0gおよび5.0g/プロットの量で投薬[2L/プロット]することにより、適用した。このプロットを、化学物質の適用後直ちに、標準的なポリエチレン[1mil]タープで被覆した。10日後にカバーを外し、雑草の数を調べ、線虫分析のために土壌サンプルをとり、各プロットに2本の4週齢“Huskie”トマト苗木を植えた。この植物を3ヶ月間生育させ、収量、果実の数、雑草発生、および線虫の個体数についてデータを集めた。
【0038】
NaNで処理したプロットの土壌サンプルには線虫が含まれていなかったが、コントロールプロットからの土壌サンプルは有意な数の全線虫種が存在していた。植え付けの際に、3つの最も低い比率のNaN以外で処理した全てのプロットで雑草は存在しなかった。収量および果実の数が、0−4g/プロットのNaN比率に対して直接的に増加した。この実験の最後には、全ての比率の適用に関して、NaNで処理したプロットに植物寄生線虫は存在しなかった。
【0039】
最終的な雑草数は、W=−0.32X+5.82[R=0.95**]により記述されるパターンで、NaNの比率に反比例する[式中、Wは全雑草固体数密度/マイクロプロット、XはNaN gms/プロットで表されるアジド比率]。この結果は、このアミン−タンパク質製剤が、無機バッファーで安定化された製剤と比べて、優れた線虫制御性および同等の除草活性を有することを示す。また、このデータは、植物栄養として機能することができ、また、有益な土壌微生物活性を刺激し得る有機化合物と共に土壌中にNaNを送達することが可能であることも示唆する。実施例3の結果は図7−9に図示されている。
【0040】
実施例4:ピーマンおよびトマトの根瘤線虫および雑草の制御
実施例4は、ペッパー[Capsicum annum]およびトマト[Lycopersicon esculentum]における、根瘤線虫[Meloidogyne incognita]、沿岸性バミューダグラス[Cynodon dactylon]、黄色ハマスゲ[Cyperus esculentum]、および他の雑草の制御についての、NaNの植え付け前の適用の効力を示す。土壌は、pH7.8で、<1%有機物質の、石灰質のシルト質粘土ロームであった。NaNを、ラウリル硫酸ナトリウム中のアジ化ナトリウムの溶液を用いて、100および200kg/haの適用比率で適用した。各投与比率を酸性化前の土壌および酸性化しない土壌にまき、3つの異なる水量レベル3、10および15L/mを用いて投与した。酸性化にはHSOを用い、土壌のpHを7.00未満に低下させた。NaN適用後直ちに、標準的なポリエチレンタープで土壌を被覆した。3週間後に、土壌のカバーを外し、土壌サンプルを線虫分析のために取り出し、雑草を測定した。トマトおよびペッパーの苗を、NaN適用後6週間目に植えた。
【0041】
アジドの適用は、100および200kgの投与量で、90%より多くの線虫、および全ての雑草を効果的に制御した。この化合物は、ハマスゲに対して特に効果的であった。NaNは、3つの水量レベルのいずれを用いた場合でもよく機能した。NaNを用いて処理されたいずれのプロットにおいてもペッパーまたはトマトに対して植物毒性の証拠は存在しなかった。
【0042】
実施例5:アジ化カリウムの殺線虫および除草特定
この実施例では、ニセフクロセンチュウ(reniform nematode)(Rotylenchulus reniformis)が寄生した綿畑の土壌を用いて、液状アジ化カリウムKNの殺線虫特性を示す。この液状アジ化カリウム化合物を、土壌のkg当たり1、2、3、4および5mgのKN量の水溶液で土壌に適用した。この実験で用いられた製剤は、1%KNおよび0.5%ラウリル硫酸ナトリウムである。サラダボウルインキュベーション技術のような技術を用いて線虫分析を行うために、土壌サンプルをKN溶液の適用後1週間で回収した。この分析から、KNの増加に応答して、指数関数的にニセフクロセンチュウの数が減退することが示された。土壌のkg当たり4−5mgのKNの比率では、ニセフクロセンチュウのほぼ100%の制御を示した。ミクロビボラス(microbivorous)線虫の数は、KNの増加する投与量に応答してほぼ直線的に減退した。
【0043】
メヒシバ(Digitaria sanguinalis)、紫ハマスゲ(purple nutsedge)[Cyperus rotundus]、シロバナヨウシュチョウセンアサガオ(Datura stramonium)およびその他の種々の雑草が繁殖した土壌に、20−200mg/kg(土壌)のKN比率で適用すると、使用した比率に比例して雑草の数が減退した。140mg/kg(土壌)より大きい比率は、雑草の80%以上の制御率をもたらした。
【0044】
特定の実施態様を上述したが、開示した実施態様に対して変更することができると認識される。それゆえ、本発明はいくつかの形態のみが開示されているが、当業者には、本発明の精神および範囲から離れることなく、多くの付加、欠失、および変更を行うことができることは明らかであろうし、また、特許請求の範囲の記載を除いて過度の制限を受けるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 アジ化ナトリウムの水溶液の増大する投与量で処理した土壌において生育したナスの収量を示す。
【図2】 アジ化ナトリウムの水溶液の増大する投与量で処理した土壌における雑草数または発生を示す。
【図3】 アジ化ナトリウムの水溶液の増大する投与量で処理した土壌における線虫Helicotylanchus dihysteraの数を示す。
【図4】 アジ化ナトリウムの水溶液の増大する投与量で処理した土壌における線虫Dorylaimidaの数を示す。
【図5】 アジ化ナトリウムの水溶液の増大する投与量で処理した土壌において生育した綿の新鮮な苗条および新鮮な根の重量を比較するグラフを示す。
【図6】 アジ化ナトリウムの水溶液の増大する投与量で処理した土壌において生育した綿の綿量(cotton count)の根コンディションインデックス(root condition index)を示す。
【図7】 アミンおよびタンパク質の混合物中に安定化されたアジ化ナトリウムの水溶液の増大する投与量で処理した土壌における線虫Meloidogyne incognitaのカウントを示す。
【図8】 アミンおよびタンパク質の混合物中に安定化されたアジ化ナトリウムの水溶液の増大する投与量で処理した土壌における雑草数または発生を示す。
【図9】 アミンおよびタンパク質の混合物中に安定化されたアジ化ナトリウムの水溶液の増大する投与量で処理した土壌において生育したトマトの果実数と収量を比較するグラフを示す。

Claims (15)

  1. 以下の成分:
    アジ化カリウムおよびアジ化ナトリウムからなる群から選択されるアジド;ならびに
    シリアルミールに由来するタンパク質、ゼイン、グルテン、ゼラチン、カゼイン、およびホエーから得られるタンパク質からなる群から選択されるタンパク質を含むアジド安定化剤
    を含む、有害な生物の個体数を制御するために土壌に適用するための農薬組成物。
  2. さらに分散媒体を含む、請求項1記載の農薬組成物。
  3. 分散媒体が液状媒体である、請求項2記載の農薬組成物。
  4. 液状媒体が水を含む、請求項3記載の農薬組成物。
  5. 分散媒体が固体状分散媒体である、請求項2記載の農薬組成物。
  6. アジ化リチウムをさらに含む、請求項記載の農薬組成物。
  7. アジ化アンモニウムをさらに含む、請求項1記載の農薬組成物。
  8. 以下の成分:
    水性液状媒体;
    アジ化ナトリウムおよびアジ化カリウムからなる群から選択されるアジド塩;ならびに
    シリアルミールに由来するタンパク質、ゼイン、グルテン、ゼラチン、カゼイン、およびホエーから得られるタンパク質からなる群から選択されるタンパク質を含むアジド安定化剤
    を含む有害な生物の個体数を制御するために土壌に適用するための農薬組成物であって、8.7より高いpHを示す農薬組成物。
  9. 以下の工程:
    土壌に、アジ化ナトリウムおよびアジ化カリウムからなる群から選択されるアジド、液状媒体、ならびにシリアルミールに由来するタンパク質、ゼイン、グルテン、ゼラチン、カゼイン、およびホエーから得られるタンパク質からなる群から選択されるタンパク質を含むアジド安定化剤を含む農薬組成物を適用する工程、
    を含む、土壌における有害な生物の個体数を制御する方法であって、土壌におけるアジドの量がそこに存在する有害な生物の個体数を制御するのに有効な量である方法。
  10. 前記有害な生物の個体数を制御するのに有効な土壌におけるアジドの量が、土壌の1kg当たり1から200mgの範囲である、請求項9記載の方法。
  11. 農薬組成物が8.7より高いpH値を有する、請求項9記載の方法。
  12. 農薬組成物がアジ化リチウムをさらに含む、請求項11記載の方法。
  13. 以下の工程:
    8.7より高いpH値を示す、有害な生物の個体数を制御するための農薬組成物であって、水性液状媒体、アジ化カリウムおよびアジ化ナトリウムからなる群から選択されるアジド、ならびにシリアルミールに由来するタンパク質、ゼイン、グルテン、ゼラチン、カゼイン、およびホエーから得られるタンパク質からなる群から選択されるタンパク質を含むアジド安定化剤を含む農薬組成物を土壌に適用する工程、
    を含む、農薬組成物を送達する方法。
  14. アジ化カリウムおよびアジ化ナトリウムからなる群から選択されるアジド、シリアルミールに由来するタンパク質、ゼイン、グルテン、ゼラチン、カゼイン、およびホエーから得られるタンパク質からなる群から選択されるタンパク質を含むアジド安定化剤、ならびに農薬組成物を調製し、当該農薬組成物を土壌に適用し、そこにいる有害な生物の個体数を低減させるための説明書を収容および保持することを含む、有害な生物の個体数を制御するための農薬組成物を調製するためのキット。
  15. 液状媒体である分散媒体をさらに含む、請求項14記載のキット。
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