JP4120002B2 - miRNAを用いた癌の予後判定方法、癌の遺伝子治療ベクター及び癌治療用医薬組成物 - Google Patents

miRNAを用いた癌の予後判定方法、癌の遺伝子治療ベクター及び癌治療用医薬組成物 Download PDF

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本発明は、miRNAを用いた癌の予後判定方法、癌の遺伝子治療ベクター及び癌治療用医薬組成物に関する。
マイクロRNA(以下、「miRNA」という)は、タンパク質に翻訳されない約22ヌクレオチドの小さな非コードRNAである。miRNAは、ヒトを含む生物に多数存在することが確認されており、系統的に十分に保存されている(非特許文献1〜3)。これまで、ヒトを含む様々な生物において、約300種類のmiRNAが発見されている(非特許文献4〜8)。
miRNAは、単一又はクラスター化されたmiRNA前駆体に転写される遺伝子から生成される。すなわち、まず、遺伝子から一次転写産物であるpri-miRNAが転写される。次いで、pri-miRNAから成熟型miRNAへの段階的プロセシングにおいて、pri-miRNAから特徴的なヘアピン構造を有する約70塩基のpre-miRNAが生成される。さらに、Dicer介在プロセシングによりpre-miRNAから成熟型miRNAが生成される(非特許文献9〜11)。
今日、シーエレガンス(C. elegans)のlet-7 miRNA及びlin-4 miRNAが、最も研究が進んでいる(非特許文献12〜15)。これらlet-7 miRNA及びlin-4 miRNAは、発生タイミングに欠陥がある突然変異体線虫の遺伝的分析により同定された。線虫において、let-7 miRNAは後期発生段階の間に発現し始める。そして、let-7 miRNAは、lin-41などの標的遺伝子の転写後リプレッサーとして作用する。具体的には、標的遺伝子から転写されるmRNAの3’非翻訳領域上にあるlet-7 miRNAに相補的な配列にlet-7 miRNAが結合することで、その後のmRNAからタンパク質への翻訳を阻害する。
一方、ヒトlet-7遺伝子は、様々な成体組織において確認されている。ヒトlet-7遺伝子の発現レベルは、組織により異なる。発現レベルが高い組織としては、肺が報告されている(非特許文献16)。
少数のmiRNA(非特許文献12〜15及び17〜18)を除いては、miRNAの生理学的及び病理学的役割はほとんど知られていない。しかしながら、miRNAの発癌を含む疾患への関与が現在研究されている。例えば、Gemin3及びGemin4は、miRNAを含有するリボ核タンパク質(以下、「マイクロRNP」という)の構成要素であることが知られている(非特許文献7)。またGemin3及びGemin4は、脊髄性筋萎縮症に関与するタンパク質複合体の構成要素でもある。一方、fragile X mental retardation protein(FMRP)は、脆弱X症候群に関与するタンパク質である。FMRPのショウジョウバエ相同体は、RISC/マイクロRNPの構成要素であることが示されている(非特許文献19及び20)。このように、miRNAを含む複合体においては、脊髄性筋萎縮症や脆弱X症候群などの神経筋変性疾患に関与するタンパク質が存在する。従って、確たる証拠はないものの、miRNAの脊髄性筋萎縮症や脆弱X症候群などの疾患への関与の可能性が示唆されている。また、癌とmiRNAとの関連について、Calinらは、リンパ性白血病において、miRNAであるmiR15及びmiR16が頻繁にダウンレギュレーションしていることを報告している(非特許文献21)。また、最近では、Michaelらは、ヒト大腸癌においてmiRNAであるmiR-143及びmiR-145の発現が低下していることを報告している(非特許文献22)。しかしながら、let-7 miRNAの発現は、大腸癌では変化していないと報告されている(非特許文献22)。さらに、これらの文献においてmiRNAの発現低下が臨床病理学的特性に影響を及ぼすか否かについては示されていない。
Ambros V, ハエ及び線虫におけるマイクロRNA経路:成長、死、脂肪、ストレス及びタイミング(MicroRNA pathways in flies and worms: growth, death, fat, stress, and timing), Cell, 2003年, 113巻, p.673-6 Grosshans H, Slack FJ, マイクロRNA:小さいものは豊富である(Micro-RNAs: small is plentiful), J Cell Biol, 2002年, 156巻, p.17-21 Nelson P, Kiriakidou M, Sharma A, Maniataki E, Mourelatos Z, マイクロRNAワールド:小さいことはすばらしい(The microRNA world: small is mighty), Trends Biochem Sci, 2003年, 28巻, p.534-40 Lagos-Quintana M, Rauhut R, Lendeckel W, Tuschl T, 発現される小さいRNAをコードする新規遺伝子の同定(Identification of novel genes coding for small expressed RNAs), Science, 2001年, 294巻, p.853-8 Lau NC, Lim LP, Weinstein EG, Bartel DP, カエノラブディティス・エレガンスにおける調節的役割の可能性を有する小さいRNAの豊富なクラス(An abundant class of tiny RNAs with probable regulatory roles in Caenorhabditis elegans), Science, 2001年, 294巻, p.858-62 Lee RC, Ambros V, カエノラブディティス・エレガンスにおける小さいRNAの広範なクラス(An extensive class of small RNAs in Caenorhabditis elegans), Science, 2001年, 294巻, p.862-4 Mourelatos Z, Dostie J, Paushkin Sら, miRNP:多数のマイクロRNAを含有するリボ核タンパク質の新規なクラス(miRNPs: a novel class of ribonucleoproteins containing numerous microRNAs), Genes Dev, 2002年, 16巻, p.720-8 Lim LP, Glasner ME, Yekta S, Burge CB, Bartel DP, 脊椎動物マイクロRNA遺伝子(Vertebrate microRNA genes), Science, 2003年, 299巻, p.1540 Hutvagner G, McLachlan J, Pasquinelli AE, Balint E, Tuschl T, Zamore PD, let-7の小さな一時的RNAの成熟におけるRNA干渉酵素Dicerの細胞機能(A cellular function for the RNA-interference enzyme Dicer in the maturation of the let-7 small temporal RNA), Science, 2001年, 293巻, p.834-8 Ketting RF, Fischer SE, Bernstein E, Sijen T, Hannon GJ, Plasterk RH, シーエレガンスにおける、RNA干渉及び発生タイミングに関与する小さいRNAの合成におけるDicer機能(Dicer functions in RNA interference and in synthesis of small RNA involved in developmental timing in C. elegans), Genes Dev, 2001年, 15巻, p.2654-9 Lee Y, Jeon K, Lee JT, Kim S, Kim VN, マイクロRNA成熟:段階的プロセシング及び細胞小器官局在化(MicroRNA maturation: stepwise processing and subcellular localization), Embo J, 2002年,21巻, p.4663-70 Lee RC, Feinbaum RL, Ambros V, シーエレガンス異時性遺伝子lin-4はlin-14に対するアンチセンス相補性を有する小さいRNAをコードする(The C. elegans heterochronic gene lin-4 encodes small RNAs with antisense complementarity to lin-14), Cell, 1993年, 75巻, p.843-54 Wightman B, Ha I, Ruvkun G. lin-4による異時性遺伝子lin-14の転写後調節はシーエレガンスにおいて一時的なパターン形成を介在する(Posttranscriptional regulation of the heterochronic gene lin-14 by lin-4 mediates temporal pattern formation in C. elegans), Cell, 1993年, 75巻, p.855-62 Reinhart BJ, Slack FJ, Basson Mら, 21ヌクレオチドlet-7 RNAはカエノラブディティス・エレガンスにおいて発生タイミングを調節する(The 21-nucleotide let-7 RNA regulates developmental timing in Caenorhabditis elegans), Nature, 2000年, 403巻, p.901-6 Slack FJ, Basson M, Liu Z, Ambros V, Horvitz HR, Ruvkun G, lin-41 RBCC遺伝子はlet-7調節RNAとLIN-29転写因子との間のシーエレガンス異時性経路において作用する(The lin-41 RBCC gene acts in the C. elegans heterochronic pathway between the let-7 regulatory RNA and the LIN-29 transcription factor), Mol Cell, 2000年, 5巻, p.659-69 Pasquinelli AE, Reinhart BJ, Slack Fら, let-7異時性調節RNAの配列保存及び一時的発現(Conservation of the sequence and temporal expression of let-7 heterochronic regulatory RNA), Nature, 2000年, 408巻, p.86-9 Brennecke J, Hipfner DR, Stark A, Russell RB, Cohen SM, bantamは細胞増殖を制御する発生調節マイクロRNAをコードし、またショウジョウバエにおいて隠されたプロアポトーシス遺伝子を調節する(bantam encodes a developmentally regulated microRNA that controls cell proliferation and regulates the proapoptotic gene hid in Drosophila), Cell, 2003年, 113巻, p.25-36 Xu P, Vernooy SY, Guo M, Hay BA, ショウジョウバエマイクロRNA Mir-14は細胞死を抑制し、または正常な脂肪代謝に必要とされる(The Drosophila MicroRNA Mir-14 Suppresses Cell Death and Is Required for Normal Fat Metabolism), Curr Biol, 2003年, 13巻, p.790-5 Caudy AA, Myers M, Hannon GJ, Hammond SM, Fragile X関連タンパク質とVIGはRNA干渉機構に関連する(Fragile X-related protein and VIG associate with the RNA interference machinery), Genes Dev 2002年, 16巻, p.2491-6 Ishizuka A, Siomi MC, Siomi H, ショウジョウバエfragile Xタンパク質はRNAiの構成要素及びリボソームタンパク質と相互作用する(A Drosophila fragile X protein interacts with components of RNAi and ribosomal proteins) Genes Dev, 2002年, 16巻, p.2497-508 Calin GA, Dumitru CD, Shimizu Mら, 慢性リンパ球白血病における13q14に位置するマイクロRNA遺伝子miR15及びmiR16の頻繁な欠失及びダウンレギュレーション(Frequent deletions and down-regulation of micro- RNA genes miR15 and miR16 at 13q14 in chronic lymphocytic leukemia), Proc Natl Acad Sci U S A, 2002年, 99巻, p.15524-9 Michael MZ, SM OC, van Holst Pellekaan NG, Young GP, James RJ, 結腸直腸新生物における特異的なマイクロRNAの蓄積低下(Reduced accumulation of specific microRNAs in colorectal neoplasia) Mol Cancer Res, 2003年, 1巻, p.882-91
上述したように、miRNAの生理学的及び病理学的役割はほとんど知られていない。さらに、特定の癌において、miRNAの発現低下が見られるものの(非特許文献21及び22)、miRNAの発現低下が癌の臨床病理学的特性に影響を及ぼすか否かについては定かではない。
そこで、本発明は、miRNAと癌の関連を分析し、例えばmiRNAを用いた癌患者の予後判定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、let-7 miRNAの発現が肺癌において低下しており、このlet-7 miRNAの発現低下が肺癌の有意な予後因子であることを見出した。さらに、let-7 miRNAが肺癌の増殖抑制効果を有すること見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下を包含する。
(1)癌患者由来の生物学的サンプルにおいて、配列番号1に示される塩基配列を含むDNAから転写されるmiRNA、pre-miRNA及びpri-miRNAからなる群から選択されるいずれか1つの発現量を測定することを特徴とする癌患者の予後判定方法。
(2)上記癌患者が肺癌患者であることを特徴とする、(1)記載の癌患者の予後判定方法。
(3)上記癌患者由来の生物学的サンプルが癌組織であることを特徴とする、(1)記載の癌患者の予後判定方法。
(4)上記miRNAが、配列番号2〜7に示される塩基配列からなるDNAの群から選択されるいずれか1つのDNAから転写されるものであることを特徴とする、(1)記載の癌患者の予後判定方法。
(5)上記pre-miRNAが、配列番号8〜16に示される塩基配列からなるDNAの群から選択されるいずれか1つのDNAから転写されるものであることを特徴とする、(1)記載の癌患者の予後判定方法。
(6)上記pri-miRNAが、配列番号17〜25に示される塩基配列からなるDNAの群から選択されるいずれか1つのDNAから転写されるものであることを特徴とする、(1)記載の癌患者の予後判定方法。
(7)配列番号1に示される塩基配列を含むDNAを有する、癌の遺伝子治療ベクター。
(8)上記配列番号1に示される塩基配列を含むDNAが、配列番号2〜25に示される塩基配列からなるDNAの群から選択されるいずれか1つのDNAであることを特徴とする、(7)記載の癌の遺伝子治療ベクター。
(9)治療対象の癌が肺癌であることを特徴とする、(7)記載の癌の遺伝子治療ベクター。
(10)(7)〜(9)のいずれか1記載の癌の遺伝子治療ベクターを有効成分として含有する癌治療用医薬組成物。
(11)治療対象の癌が肺癌であることを特徴とする、(10)記載の癌治療用医薬組成物。
(12)配列番号1に示される塩基配列を含むDNAを有効成分として含有する癌治療用医薬組成物。
(13)上記配列番号1に示される塩基配列を含むDNAが、配列番号2〜25に示される塩基配列からなるDNAの群から選択されるいずれか1つのDNAであることを特徴とする、(12)記載の癌治療用医薬組成物。
(14)治療対象の癌が肺癌であることを特徴とする、(12)記載の癌治療用医薬組成物。
(15)配列番号1に示される塩基配列を含むDNAから転写されるmiRNA、pre-miRNA及びpri-miRNAからなる群から選択されるいずれか1つを有効成分として含有する癌治療用医薬組成物。
(16)上記miRNAが、配列番号2〜7に示される塩基配列からなるDNAの群から選択されるいずれか1つのDNAから転写されるものであることを特徴とする、(15)記載の癌治療用医薬組成物。
(17)上記pre-miRNAが、配列番号8〜16に示される塩基配列からなるDNAの群から選択されるいずれか1つのDNAから転写されるものであることを特徴とする、(15)記載の癌治療用医薬組成物。
(18)上記pri-miRNAが、配列番号17〜25に示される塩基配列からなるDNAの群から選択されるいずれか1つのDNAから転写されるものであることを特徴とする、(15)記載の癌治療用医薬組成物。
(19)治療対象の癌が肺癌であることを特徴とする、(15)記載の癌治療用医薬組成物。
本発明により、簡単で、かつ高い信頼性を有する癌患者の予後判定方法が提供される。さらに、本発明により、癌の治療に使用することができるmiRNAを用いた遺伝子治療ベクター及び医薬組成物が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る癌患者の予後判定方法によれば、癌患者由来の生物学的サンプルにおいて、特定のmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAの発現量を測定することで、癌患者の予後を判定することできる。
本発明に係る癌患者の予後判定方法は、手術後の肺癌患者に関して、カプラン-マイヤー(Kaplan-Meier)法を用いてlet-7 miRNAの発現低下と当該患者の生存期間との相関性を分析したところ、let-7 miRNAの発現低下と当該患者の生存期間との間に有意な相関性があることを見出し、また、コックス回帰分析により分析したところ、let-7 miRNAの発現低下が肺癌患者の生存に対する独立した予後因子であるという知見に基づく。ここで、「予後」とは、癌の経過及び結末を予め知ることをいう。
本発明に係る癌患者の予後判定方法により、予後を判定することができる癌としては、特に限定されないが、例えば、肺癌、肝臓癌、神経膠芽腫、骨髄腫、胃癌、膵臓癌、脳腫瘍、大腸癌、腎癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌及び白血病等が挙げられる。特に肺癌が好ましい。肺癌としては、いずれの組織型の肺癌であってもよいが、例えば、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、大細胞神経内分泌癌及び腺扁平上皮癌などの非小細胞癌並びに小細胞癌が挙げられる。
なお、癌患者由来の生物学的サンプルとは、例えば、癌患者から採取した癌組織または血漿及び血清などの血液を意味する。特に癌患者から採取した癌組織が好ましい。生物学的サンプルが癌組織である場合には、例えば手術中に摘出される癌部の組織が挙げられる。なお、比較として用いる健常者由来の生物学的サンプルとは、健常者から採取した正常な肺組織または血漿及び血清などの血液を意味する。
本発明に係る癌患者の予後判定方法における測定対象は、特定のmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAである。miRNAは、タンパク質に翻訳されない小さな非コードRNAである。miRNAの生成段階は、以下の通りである。遺伝子から一次転写産物であるpri-miRNAが転写される。次いで、pri-miRNAから成熟型miRNAへの段階的プロセシングにおいて、pri-miRNAから特徴的なヘアピン構造を有する約70塩基のpre-miRNAが生成される。さらに、Dicer介在プロセシングによりpre-miRNAから成熟型miRNAが生成される。
ここで、特定のmiRNA(以下、「本発明に係るmiRNA」という)とは、配列番号1に示される塩基配列からなるDNAから転写されるmiRNAを意味する。なお、配列番号1において、nはt又は塩基なしを表す(存在位置:22)。具体的には、本発明に係るmiRNAは、let-7 miRNAである。let-7 miRNAは6種のアイソフォーム(let-7a、let-7b、let-7c、let-7d、let-7e及びlet-7f)が存在する。これらlet-7 miRNAアイソフォームは、それぞれ配列番号2〜7に示される塩基配列からなるDNAから転写されるものである。なお、本発明に係る癌患者の予後判定方法において測定する本発明に係るmiRNAは、配列番号1に示される塩基配列からなるDNAから転写されるいずれのmiRNA、すなわち、上述した6種のアイソフォームのうちいずれでもよい。
一方、特定のpre-miRNA及びpri-miRNA(以下、それぞれ「本発明に係るpre-miRNA」及び「本発明に係るpri-miRNA」という)とは、配列番号1に示される塩基配列を含むDNAによって転写されるものを意味する。具体的には、本発明に係るpre-miRNA及びpri-miRNAは、let-7 miRNAに対応するlet-7 pre-miRNA及びpri-miRNAである。各let-7 miRNAアイソフォームに対応するlet-7 pre-miRNA及びpri-miRNAが存在する。各let-7 miRNAアイソフォームに対応するlet-7 pre-miRNA及びpri-miRNAは、以下の表1に示す配列番号に示される塩基配列からなるDNAから転写されるものである。
Figure 0004120002
let-7 miRNAアイソフォームのうち、let-7a及びlet-7fは、複数のpri-miRNA又はpre-miRNAからプロセシングにより生成される。
なお、本発明に係る癌患者の予後判定方法において測定する本発明に係るpre-miRNA又はpri-miRNAは、配列番号1に示される塩基配列を含むDNAから転写されるいずれのpre-miRNA又はpri-miRNAであってよい。
本発明に係る癌患者の予後判定方法では、まず、癌患者由来の生物学的サンプルから全RNAを抽出する。全RNAの抽出方法としては、例えば、グアニジン-塩化セシウム超遠心法やAGPC(Acid Guanidinium-Phenol-Chloroform)法が挙げられる。
次いで、上記生物学的サンプルから得られた全RNA中の本発明に係るmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAを検出する。検出方法は、本発明に係るmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAの発現量を測定できる方法である限り特に限定されないが、例えば、ノーザンブロット分析及びリアルタイムRT-PCR検出法などが挙げられる。ノーザンブロット分析では、電気泳動により、全RNAを鎖長に応じて分離し、ニトロセルロースメンブレンやナイロンメンブレンに転写する。このメンブランを、本発明に係るmiRNA、pre-mRNA又はpri-miRNAと相補的な配列を有し、かつ放射性標識(例えば、32P)などにより標識されたプローブとバッファー中でインキュベートする。その結果、プローブに付した標識に基づいて、プローブとハイブリダイズした本発明に係るmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAを検出することができる。なお、プレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション並びに洗浄ステップは、ストリンジェントな条件で行う。ここで、ストリンジェンな条件とは、例えば、32P標識したDNAをプローブとして用いる場合には、0.25M リン酸ナトリウム(pH7.2)、7%SDS及び0.5%ピロリン酸ナトリウムからなるハイブリダイゼーションバッファー中で温度37℃である。また洗浄ステップにおいては、2 X SSC及び1%SDSからなる洗浄バッファー中で温度37℃、さらに0.1 X SSCからなる洗浄バッファー中で温度が室温である。その他の場合にはその検出法の標準的な条件であってよい。放射性標識したプローブを用いた場合には、オートラジオグラフィーを用いて、バンド密度に基づいて、プローブとハイブリダイズした本発明に係るmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAを定量することができる。
また、リアルタイムRT-PCR検出法によれば、全RNAに対応するランダムプライミングcDNA及び本発明に係るmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAに相補的なプライマーを用いたPCRにより、例えばSYBR Greenなどの二本鎖DNAに特異的に結合する蛍光色素を介して、本発明に係るmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAを定量的に検出することができる。リアルタイムRT-PCR検出法は、公知の方法又は検出機器や試薬の製造業者のマニュアル(例えば、ABI Prism 7900 Sequence Detection System(Perkin-Elmer Applied Biosystems)やSYBR Green PCR マスターミックス(Perkin-Elmer Applied Biosystems)など)に従って実施することができる。
次いで、癌患者由来の生物学的サンプル中の本発明に係るmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAを、健常者由来の生物学的サンプル中の本発明に係るmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAの発現量と比較する。比較により、癌患者由来の生物学的サンプル中の本発明に係るmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAが、健常者由来の生物学的サンプル中の本発明に係るmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAの発現量よりも有意に低下している場合に、予後不良であると判定することができる。例えば、予後不良な癌患者由来の生物学的サンプル中の本発明に係るmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAは、健常者由来の生物学的サンプル中の本発明に係るmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAの発現量よりも50%、より好ましくは80%低下している。
以上に説明した本発明に係る癌患者の予後判定方法によれば、癌患者の治療後(例えば、手術後)の予後が良好か否か、再発がないか否かを、簡単にかつ高い信頼性をもって判断することができる。さらに、治療前(例えば、手術前)の癌患者由来の生物学的サンプルに対して本発明に係る癌患者の予後判定方法を適用することで、手術を含む治療そのものの方針、手術後の治療方針の決定に対する重要な情報が提供される。
一方、本発明に係る癌の遺伝子治療ベクターは、配列番号1に示される塩基配列を含むDNAを有する遺伝子治療ベクターである。換言すれば、本発明に係る癌の遺伝子治療ベクターは、本発明に係るmiRNA、pre-miRNA又はpri-miRNAに転写されるDNA(配列番号1〜25に示される塩基配列からなるDNAの群から選択されるいずれか1つのDNA)(以下、「本発明に係るDNA」という)を有する遺伝子治療ベクターである。
本発明に係る癌の遺伝子治療ベクターを用いた治療対象となる癌は、特に限定されないが、例えば、肺癌、肝臓癌、神経膠芽腫、骨髄腫、胃癌、膵臓癌、脳腫瘍、大腸癌、腎癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌及び白血病等が挙げられる。特に肺癌が好ましい。肺癌としては、いずれの組織型の肺癌であってもよいが、例えば、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、大細胞神経内分泌癌及び腺扁平上皮癌などの非小細胞癌並びに小細胞癌が挙げられる。
適当なベクターに本発明に係るDNAを挿入することにより、本発明に係る癌の遺伝子治療ベクターを得ることができる。本発明に係るDNAを挿入するためのベクターは、非ウイルスベクターとウイルベクターに大別される。例えば、非ウイルスベクターとしては、pCAGGS、pBK-CMV、pcDNA3.1、pZeoSV(インビトロゲン社、ストラタジーン社)、及びH1-RNAプロモーター又はU6プロモーターなどを有するベクター(例えば、pSilencer3.0-H1及びpSilencer2.0-U6(アンビオン社)など)が挙げられる。
一方、ウイルスベクターとしては、例えば、組換えアデノウイルス、レトロウイルス等が挙げられる。より具体的には、例えば、無毒化したレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンビスウイルス、センダイウイルス、SV40及び免疫不全症ウイルス(HIV)等のDNA又はRNAウイルスのウイルスベクターが挙げられる。
ベクターに本発明に係るDNAを挿入するには、まず適当な制限酵素で本発明に係るDNAを切断し、次いで適当なベクターの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法が用いられる。
本発明に係る癌の遺伝子治療ベクターの癌患者への導入法としては、直接癌患者の癌組織に導入するin vivo法、及び、癌患者から標的細胞、すなわち癌細胞を取り出して体外で本発明に係る癌の遺伝子治療ベクターを該細胞に導入し、その細胞を体内に戻すex vivo法がある。
本発明に係る癌の遺伝子治療ベクターの投与量は、癌患者の病期、年齢、体重等により適宜調節することができ、例えば、有効量として1〜20mg、より好ましくは10〜20mgであることが望ましい。かかる投与量を1〜10回、より好ましくは5〜10回投与することが望ましい。
一方、本発明に係る癌治療用医薬組成物は、有効成分として本発明に係る癌の遺伝子治療ベクターを含有する医薬組成物である。さらに、本発明に係る癌治療用医薬組成物は、有効成分として本発明に係るDNA又は本発明に係るmiRNA、pre-miRNA若しくはpri-miRNAを含有する医薬組成物である。
本発明に係る癌治療用医薬組成物を用いた治療対象となる癌は、特に限定されないが、例えば、肺癌、肝臓癌、神経膠芽腫、骨髄腫、胃癌、膵臓癌、脳腫瘍、大腸癌、腎癌、膀胱癌、卵巣癌、子宮頸癌、前立腺癌及び白血病等が挙げられる。特に肺癌が好ましい。肺癌としては、いずれの組織型の肺癌であってもよいが、例えば、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、大細胞神経内分泌癌及び腺扁平上皮癌などの非小細胞癌並びに小細胞癌が挙げられる。
本発明に係る癌治療用医薬組成物の製造に用いる本発明に係るmiRNA、pre-miRNA若しくはpri-miRNAの生成方法において、例えば、本発明に係るDNAを大腸菌等に由来するベクターに組込み、次に得られた組換えベクターで大腸菌を形質転換する。その後、大腸菌内で合成されたRNAを抽出することで、本発明に係るmiRNA、pre-miRNA若しくはpri-miRNAを得ることができる。
本発明に係る癌治療用医薬組成物の形態としては、例えば注射剤及びリポソーム製剤が挙げられる。例えば、本発明に係る癌治療用医薬組成物が注射剤である場合には、注射剤を常法により調製することができる。例えば、適切な溶剤(PBS等の緩衝液、生理食塩水、滅菌水等)に溶解した後、場合によっては、フィルター等で濾過滅菌し、次いで無菌的な容器に充填することにより調製することができる。当該注射剤には必要に応じて慣用の担体等を加えても良い。一方、リポソーム製剤の場合には、HVJ-リポソーム等のリポソームにおいて、懸濁剤、凍結剤、遠心分離濃縮凍結剤とすることができる。なお、本発明に係る癌治療用医薬組成物は、癌患者の癌組織に直接局所投与することができる。
また、癌組織の周囲に本発明に係る癌の遺伝子治療ベクター、本発明に係るDNA、又は本発明に係るmiRNA、pre-miRNA若しくはpri-miRNAを存在し易くするために、徐放性の製剤(ミニペレット製剤等)を調製し、癌組織近くに埋め込むことも可能である。あるいは、オスモチックポンプなどを用いて癌組織に連続的に徐々に投与することも可能である。
本発明に係る癌治療用医薬組成物が本発明に係る癌の遺伝子治療ベクターを有効成分として含有する場合、本発明に係る癌の遺伝子治療ベクターの含量は、例えば、1〜20mg、より好ましくは10〜20mgであることが望ましい。さらに本発明に係る癌の遺伝子治療ベクターを有効成分として含有する本発明に係る癌治療用医薬組成物の投与量は、癌患者の病期、年齢、体重等により適宜調節することができ、例えば、1〜20mg、より好ましくは10〜20mgであることが望ましい。かかる投与量を1〜10回、より好ましくは5〜10回投与することが望ましい。
一方、本発明に係る癌治療用医薬組成物が本発明に係るDNAを有効成分として含有する場合、本発明に係るDNAの含量は、例えば、2〜50mg、より好ましくは20〜50mgであることが望ましい。さらに本発明に係るmiRNA、pre-miRNA若しくはpri-miRNAを有効成分として含有する本発明に係る癌治療用医薬組成物の投与量は、癌患者の病期、年齢、体重等により適宜調節することができ、例えば、2〜50mg、より好ましくは20〜50mgであることが望ましい。かかる投与量を1〜10回、より好ましくは5〜10回投与することが望ましい。
また、本発明に係る癌治療用医薬組成物が本発明に係るmiRNA、pre-miRNA若しくはpri-miRNAを有効成分として含有する場合、本発明に係るmiRNA、pre-miRNA若しくはpri-miRNAの含量は、例えば、100〜500mg、より好ましくは300〜500mgであることが望ましい。さらに本発明に係るmiRNA、pre-miRNA若しくはpri-miRNAを有効成分として含有する本発明に係る癌治療用医薬組成物の投与量は、癌患者の病期、年齢、体重等により適宜調節することができ、例えば、100〜500mg、より好ましくは300〜500mgであることが望ましい。かかる投与量を1〜10回、より好ましくは5〜10回投与することが望ましい。
本発明に係る癌の遺伝子治療ベクター又は癌治療用医薬組成物は、例えば、以下のようにin vitro又はin vivoで薬理評価を行なうことができる。
in vitroでの薬理評価としては、例えば、癌細胞系を用いたコロニー形成アッセイが挙げられる。本発明に係る癌の遺伝子治療ベクター又は本発明に係るDNAを含まない空ベクター(ベクター対照)を、A549肺腺癌細胞系などの癌細胞系にトランスフェクトする。次いで、トランスフェクトした細胞を培養し、培養後、細胞をギムザ染色することで、耐性コロニー数を計数する。本発明に係るDNAを含まない空ベクターをトランスフェクトした細胞に比べて、本発明に係る癌の遺伝子治療ベクターをトランスフェクトした細胞においてコロニー数が低下した場合、in vitroレベルで、癌の治療ができたことを示す指標とすることができる。
in vivoでは、癌マウスモデルに適切な用量の本発明に係る癌の遺伝子治療ベクター又は癌治療用医薬組成物を適当な投与回数投与する。同時に、腫瘍径の変化を観察する。本発明に係る癌の遺伝子治療ベクターに対する対照群として、本発明に係るDNAを含まない空ベクターを投与した群を用いる。また、癌治療用医薬組成物に対する対照群として、本発明に係る癌の遺伝子治療ベクター、本発明に係るDNA、本発明に係るmiRNA、pre-miRNA若しくはpri-miRNAを含まない医薬組成物を投与した群を用いる。さらに投与量、投与回数などを評価する場合、適宜投与量、投与回数を変えた群を用いる。本発明に係る癌の遺伝子治療ベクター又は癌治療用医薬組成物を投与した群(投与群)と対照群のそれぞれにおいて、腫瘍の形成を確認し、腫瘍サイズを測定する。これにより、投与群において、より腫瘍の退縮が見られた場合、動物実験レベルで癌の治療ができたことを示す指標となる。
以上に説明したように、本発明に係る癌の遺伝子治療ベクター又は本発明に係る癌治療用医薬組成物を癌患者に投与することで、癌細胞の増殖を抑制することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。
〔材料及び方法〕
実験対象集団
82人の肺非小細胞癌(以下、「NSCLC」という)組織検体(54人の腺癌の組織検体、18人の扁平上皮癌の組織検体、5人の大細胞癌の組織検体、1人の大細胞神経内分泌癌の組織検体及び4人の腺扁平上皮癌の組織検体)を、愛知県がんセンターの審査会の承認のもと取得した。
let-7 miRNAの予後有意性研究に使用した肺癌組織検体は、1996年1月〜1998年1月の間の2年間内に、26歳女性及び40歳男性の肺癌患者から得られたものであった。なお、これら2人の肺癌患者は、愛知県がんセンター(愛知県名古屋市)において、手術による治療的切除を受けていた。
なお、組織検体が由来する患者の平均年齢は、62歳(32〜80歳の範囲)であり、病期は37 pStageI、12 pStage II、17 pStageIIIであった。
細胞及び組織サンプルの調製
分析すべき全てのヒトNSCLC細胞系を、5%(v/v)FCS含有RPMI-1640中、37℃、5%CO2で培養した。また、BEAS-2B細胞(不死化ヒト正常気管支上皮細胞系)及びHPL1D細胞(不死化ヒト末梢肺上皮細胞系)を、ウシインシュリン(5μg/ml)、トランスフェリン(5μg/ml)、10-7Mヒドロコルチゾン、2 x 10-10Mトリヨードチロニン、ペニシリン(100 IU/ml)及びストレプトマイシン(100μg/ml)を補足した1%FCS含有Ham’s F-12中、37℃、5%CO2で培養した(Reddel RR, Ke Y, Gerwin BIら, Cancer Res, 1988年, 48巻, p.1904-9、及びMasuda A, Kondo M, Saito Tら, Cancer Res, 1997年, 57巻, p.4898-904参照)。腫瘍検体を、切除直後にグアニジンイソチオシアネートホモジナイゼーションバッファー中でホモジナイズし、上記審査会の承認により使用するまで-30℃で保存した。なお、RNA抽出に用いる全ての細胞系及び組織サンプルの処理は、既に記載したように実施した。
ノーザンブロッティング
RNA10μgを、15%変性ポリアクリルアミドゲル中で分離した。次いで、分離したRNAをZeta-Probe GTブロッティングメンブレンに電気泳動的に一晩転写した。
一方、プローブ(let-7; 5’-TACTATACAACCTACTACCTCAATTTGCC-3’(配列番号26)及び5S; 5’-AAAGCCTACAGCACCCGGTA-3’(配列番号27))を、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biolabs, Beverly, MA)を介し、[γ-32P]ATPで末端標識したDNAオリゴヌクレオチドにより作製した。プレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーションバッファー(0.25Mリン酸ナトリウム(pH 7.2)、7% SDS及び0.5%ピロリン酸ナトリウム)を用いて実施した。次いで、最もストリンジェントな洗浄を、2 x SSC及び1%SDS中で、37.5℃で実施した。
リアルタイムRT-PCR
リアルタイムRT-PCRを、ABI Prism 7900 Sequence Detection System (Perkin-Elmer Applied Biosystems)、SYBR Green PCRマスターミックス(Perkin-Elmer Applied Biosystems)及びランダムプライミングcDNA (組織サンプルから抽出した全RNA20ngに対応する)を用いて実施した。
使用したプライマー対は、以下の通りである:
・let-7a-1S(センス; 5’-CCTGGATGTTCTCTTCACTG-3’)(配列番号28)及びlet-7a-1AS(アンチセンス; 5’-GCCTGGATGCAGACTTTTCT-3’)(配列番号29)
・let-7a-2S(センス; 5’-TTCCAGCCATTGTGACTGCA-3’)(配列番号30)及びlet-7a-2AS(アンチセンス; 5’-CTCACCATGTTGTTTAGTGC-3’)(配列番号31)
・let-7a-3S(センス; 5’-ACCAAGACCGACTGCCCTTT-3’)(配列番号32)及びlet-7a-3AS(アンチセンス; 5’-CTCTGTCCACCGCAGATATT-3’)(配列番号33)
・let-7f-1S(センス; 5’-TGTACTTTCCATTCCAGAAG-3’)(配列番号34)及びlet-7f-1AS(アンチセンス; 5’-TAATGCAGCAAGTCTACTCC-3’)(配列番号35)
・let-7f-2S(センス; 5’-TGAAGATGGACACTGGTGCT-3’)(配列番号36)及びlet-7f-2AS(アンチセンス; 5’-CAGTCGGAGAAGAAGTGTAC-3’)(配列番号37)
・5S-S(センス; 5’-TACGGCCATACCACCCTGAA-3’)(配列番号38)及び5S-AS(アンチセンス; 5’-TAACCAGGCCCGACCCTGCT-3’)(配列番号39)
PCR増幅条件は、最初の変性ステップ(95℃:10分間)並びに95℃:30秒、56℃〜60℃:30秒(各プライマーセットに応じて最適化)及び72℃:15秒の55サイクルであった。
let-7 pri-miRNAの発現レベルを定量するために、標準曲線を、各PCR産物をEcoRV部位に挿入したpBluescriptIISK(-)の連続希釈物を用いて作成した。また、5SリボソームRNA対照を、全RNAの初期投入量を標準化するために使用した。let-7 pri-miRNAの発現レベルは、5SリボソームRNA対照と比較した際の標的メッセージ量に基づいた。
階層的クラスタリング
階層的クラスタリング及びデータセットの視覚化のために、CLUSTER及びTREEVIEWプログラムを使用した(Eisen MB, Spellman PT, Brown PO, Botstein D, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 1998年, 95巻, p.14863-8)。各発現に対する蛍光比率を対数変換し、次いで全てのサンプルに対するデータを平均センタリングした。さらに、得られたデータをクラスタリングアルゴリズムに供した。凝縮型階層的クラスタリングを、完全連結法を用いて行い、遺伝子発現プロファイル間の相関性に基づく腫瘍サンプルの本来のグルーピングの証拠が存在するか否かを調査した。
統計分析
カプラン−マイヤー(Kaplan-Meier)法を用いて、時間の関数として生存を評価し、生存差異を対数順位検定により分析した。また、生存に関連する可能性がある因子のコックス回帰分析を行い、独立した因子が組み合わさって生存に対して有意に影響を及ぼすか否かを確認した。
コロニー形成アッセイ
let-7 miRNA発現構築物及び対照プラスミドを、let-7a(センス; 5’-GATCCCCTGAGGTAGTAGGTTGTATAGTTTTT-3’(配列番号40)及びアンチセンス; 5’-AGCTAAAAACTATACAACCTACTACCTCAGGG-3’(配列番号41))、let-7f(センス; 5’-GATCCCCTGAGGTAGTAGATTGTATAGTTTTT-3’(配列番号42)及びアンチセンス; 5’-AGCTAAAAACTATACAATCTACTACCTCAGGG-3’(配列番号43))、又は対照(センス; 5’-GATCCCCTTTTTTTTGGAAA-3’(配列番号44)及びアンチセンス; 5’-AGCTTTTCCAAAAAAAAGGG-3’(配列番号45))のアニーリングオリゴヌクレオチドをpH1-RNApuroにクローニングすることによって構築した。なお、pH1-RNApuroにおいては、遺伝子の発現は、ヒトゲノムDNAのPCR増幅により調製したRNAポリメラーゼIII H1-RNA遺伝子プロモーターの制御下にあった。let-7a及びlet-7f miRNA発現構築物をA549肺腺癌細胞系に、製造業者の取り扱い説明書に従い、FuGENE6試薬(Roche, Inc.)を用いてトランスフェクトした。トランスフェクションから3日後に、細胞をピューロマイシン(1μg/ml)添加により選択し、次いで37℃で2週間培養した。ピューロマイシン選択の2週間後に、プレートをギムザ染色し、耐性コロニー数を計数した。
〔結果〕
in vitro及びin vivoの双方におけるヒト肺癌中のlet-7 miRNA発現の低下
まず、ノーザンブロット分析を、16種のヒト肺癌細胞系並びに2種の不死化ヒト正常肺上皮細胞系(以下、「HNLEC」と呼ぶ)においてlet-7発現を分析するために実施した。代表的な9種のヒト肺癌細胞系に関する結果を図1Aに示す。図1Aにおいて、5Sは、ローディング対照である5SリボソームRNAを示す。
図1Aから判るように、let-7 miRNAの成熟型は、2種の不死化HNLEC双方において、正常な肺組織における発現レベルと匹敵するレベルで容易に検出できた。一方、著しく対照的に、肺癌細胞系のうち56%(18種のうち10種)において、let-7 miRNAの発現レベルの有意な低下(>80%)が観察された。さらに、手術による外科的処置を行った患者から直接採取したヒト原発性肺癌組織におけるlet-7 miRNAの発現レベルを、ノーザンブロット分析により分析した。代表的な12症例に関する結果を図1Bに示す。図1Bにおいて、「5S」は、ローディング対照である5SリボソームRNAを示す。さらに、「Case XX」は症例番号であり、「N」は正常肺組織、「T」は肺癌組織を意味する。
図1Bから判るように、検査した症例のうち44%(16症例のうち7症例)が、対応する正常肺組織におけるlet-7 miRNAの発現レベルと比較して80%以上低下していることが観察された。
in vitroでの細胞系におけるlet-7 miRNA発現低下の発生頻度の高さは、in vivoでの腫瘍組織における正常間質細胞/炎症性細胞の必然的な混在に関係している可能性がある。あるいは、上記発生頻度の高さは、細胞系の確立過程におけるlet-7 miRNAが低下した細胞のin vitro選択を反映している可能性がある。従って、これらの知見は、肺癌におけるlet-7 miRNA発現の有意な低下の発生頻度の高さを明確に示すものであった。
外科的処置を行った患者におけるlet-7 miRNA発現低下の予後効果
次に、let-7 miRNA発現低下が肺癌の臨床病理学的特性と関連するか否かをpri-miRNAレベルで調査した。この目的のために、NSCLCの手術による治療的切除を受けた肺癌患者の66症例を、let-7 pri-miRNAアイソフォーム特異的オリゴヌクレオチドプライマーを用いたリアルタイムRT-PCR分析により検査した。その結果として、let-7 pri-miRNAの発現レベルが、肺癌の症例によりかなり変動することが示された。一方、let-7 pri-miRNAの発現レベルは、肺癌の症例の間で同様に調節されている傾向にあった。なお、最も多量のlet-7 pri-miRNAアイソフォームは、let-7a-1(let7a pri-miRNAのうちの1つ)及びlet-7f-1(let7f pri-miRNAのうちの1つ)であった。これらlet-7a-1及びlet-7f-1は、ヒトゲノムにおいて数百塩基内にクラスター化されていることが知られている(非特許文献4)。
さらに、NSCLCの手術による治療的切除を受けた肺癌患者の66症例の階層的クラスタリング分析を行った。結果を図2に示す。図2において、「HNBE」は正常ヒト気管支上組織由来のRNAであり、「HNPL」は38種の正常ヒト末梢肺組織由来のRNA混合物である。また、「Case XX」は、症例番号である。
図2から判るように、pri-miRNAレベルでのlet-7発現に従って、2つの主要なクラスター(クラスター1及び2)が存在することが明らかにされた。クラスターと様々な臨床病理学的特徴(年齢、性別、組織型、原発性腫瘍状態(pT)、結節性併発(pN)、病期、分化グレード及び喫煙歴を含む)との有意な関連性を見出すことはできなかった。しかしながら、クラスター1は、クラスター2よりも高い病期にある患者を含む傾向にあった(p=0.104 (λ2検定による))。
さらに、カプラン−マイヤー法を用いて、時間の関数として生存を評価し、生存差異を対数順位検定により分析した(図3)。また、生存に関連する可能性がある因子のコックス回帰分析を行い、独立した因子が組み合わさって生存に対して有意に影響を及ぼすか否かを確認した(表2)。
Figure 0004120002
図3から判るように、カプラン−マイヤー生存曲線により、let-7発現が低下しているクラスター1に属する患者は、クラスター2として分類された患者よりも早期死のリスクが有意に高いことが示された(p=0.0005(対数順位検定による))。このように、クラスター1とクラスター2との間には、患者の手術後の生存に著しい差異が見られた。
また、表2に示すように、1変量コックス回帰分析により、let-7発現の特徴的な低下を示すクラスター1への分類は、病期(p=0.005)に加えて予後不良の有意な予後因子(p=0.002)であることが示された。次いで、コックス比例ハザードモデルによる多変量分析を行い、独立した因子が組み合わさって生存に対して有意に影響を及ぼすか否かを確認した(表2)。可能性のある予後因子と生存との相互関連性を、変数として年齢、性別、組織型、喫煙歴、病期及び上記で規定したlet-7クラスターを用いて分析した。表2に示すように、治療的切除後の外科的処置を行ったNSCLC患者において、上記で規定したlet-7クラスターは、病期(p=0.006)に加えて、有意に独立した予後因子であることが確認された(p=0.002)。早期死のハザード率は、クラスター2に対するクラスター1において6.16(95%信頼区間:1.95-19.4)であり、またpStage Iに対するpStage II/IIIにおいて4.42(95%信頼区間:1.53-12.7)であった。従って、let-7の発現レベルは、NSCLC患者の手術後の生存に有意な影響を及ぼすと考えられた。
外因性let-7 miRNAの過剰発現による肺癌細胞の増殖抑制
肺癌患者の生存の短さと関連して肺癌におけるlet-7の発現低下を確認したことから、肺癌発生におけるlet-7 miRNAの生物学的有意性の可能性を調べることにした。
まず、let-7 miRNA発現構築物を、RNAポリメラーゼIII H1-RNA遺伝子プロモーターの制御下で、2種の主要なlet-7 miRNAアイソフォーム、let-7a及びlet-7fの成熟型miRNAを合成するように設計した。次いで、let-7a及びlet-7f発現構築物をA549肺腺癌細胞系にトランスフェクトした。細胞をピューロマイシン(1μg/ml)選択後、37℃で2週間培養した。ピューロマイシン選択の2週間後に、プレートをギムザ染色し、耐性コロニー数を計数した。結果を図4A及びBに示す。なお、図4A及びBにおいて、「モック」はトランスフェクトしていない細胞、「VC」は空ベクター(ベクター対照)をトランスフェクトした細胞、「let-7a」及び「let-7f」は、それぞれlet-7a、let-7f発現構築物をトランスフェクトした細胞である。
図4A及びBから判るように、A549肺腺癌細胞系にlef-7fを過剰発現させることで、コロニー数が78.6%低下した。一方、let-7aを過剰発現させると、lef-7fの場合と同様にコロニー数の低下が示されたが、その増殖抑制効果はlet-7fほど大きくはなかった。なお、実験結果は、上記発現構築物の3つの独立した調製物を用いて、3重で行った5回の独立した実験において同様の結果であった。
図1Aは、in vitroでの肺癌細胞系におけるlet-7 miRNA発現のノーザンブロット分析の結果を示す。 図1Bは、in vivoでの原発性肺癌の検体におけるlet-7 miRNA発現のノーザンブロット分析の結果を示す。 図2は、let-7 pri-miRNAアイソフォームの発現に従った、原発性肺癌の66症例の階層的クラスタリングを示す。 図3は、図2に示すクラスター1又は2のいずれかに分類された肺癌患者のカプラン−マイヤー生存曲線を示す特性図である。 図4Aは、外因的に導入したlet-7 miRNAの過剰発現によるA549肺腺癌細胞系の典型的なコロニー形成アッセイの結果を示す特性図である。 図4Bは、外因的に導入したlet-7 miRNAの過剰発現によるA549肺腺癌細胞系のコロニー形成の低下を示す典型的なプレートである。
配列番号1において、nはt又は塩基なしを表す(存在位置:22)。
配列番号26及び27は、プローブである。
配列番号28〜39は、プライマーである。
配列番号40〜45は、オリゴヌクレオチドである。

Claims (4)

  1. 肺癌患者由来の肺癌組織サンプルにおいて、配列番号1に示される塩基配列を含むDNAから転写されるmiRNA、pre-miRNA及びpri-miRNAからなる群から選択されるいずれか1つの発現量を測定することを特徴とする、肺癌患者における予後を判定するための検査方法。
  2. 上記miRNAが、配列番号2〜7に示される塩基配列からなるDNAの群から選択されるいずれか1つのDNAから転写されるものであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 上記pre-miRNAが、配列番号8〜16に示される塩基配列からなるDNAの群から選択されるいずれか1つのDNAから転写されるものであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  4. 上記pri-miRNAが、配列番号17〜25に示される塩基配列からなるDNAの群から選択されるいずれか1つのDNAから転写されるものであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
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