JP4118720B2 - 帯電防止性通気性多孔体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体製品を捕集し、あるいは粉体原料を回収するフィルター材料として用いられる通気性多孔体で、帯電防止性を有する通気性多孔体に関する。特に、フィルターの表面は勿論、裏面や多孔体内部の空隙にも帯電防止効果を保持する帯電防止性通気性多孔体に関する。
【0002】
【従来の技術】
フィルター材料は、濾過能力に優れるとともに、簡易に作製ができ、材料費が安く、機械的強度に優れることが望まれている。また、帯電し易い粉体を対象とした通気性フィルターでは、通気性多孔体として帯電防止性能が優れたものを使用する必要がある。
【0003】
ポリエチレンを用いる通気性多孔体は、分子量が中程度のポリエチレン粉末と分子量が数百万の超高分子量ポリエチレン粉末とを混合して金型に充填し、加熱することにより作製することができる。このようにして作製された通気性多孔体に帯電防止能を付与する場合には、その表面に通気孔を閉塞しない程度にアセチレンブラックなどの導電性カーボンブラック分散液の適当量を塗布することにより、表面抵抗率が109Ω以下になるような導電層を形成するのが一般的な方法であった(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−213831号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の帯電防止性通気性多孔体では、通気性多孔体表面に導電性カーボンブラックと接着剤を分散媒に懸濁した液を塗布したり、または吹き付けたりした後に、分散媒を散逸させることにより通気性多孔体の表面に導電性カーボンブラックの帯電防止層を形成させているが、導電性カーボンブラックと接着剤により通気性多孔体表面の通気孔が狭められたり、閉塞させられたりすることがあり、その場合フィルターとしての能力が低下してしまう。
【0006】
また、通気性多孔体には表面に付着した粉体を払い落とすためにエアパルスや機械的振動が与えられるが、時間の経過とともに導電性カーボンブラックが剥落して帯電防止効果が低下したり、剥落した導電性カーボンブラックが捕集した粉体製品または回収した粉体原料中に混入したりすると言う欠点がある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、通気性、機械的強度、帯電防止効果に優れた耐久性の高い帯電防止性通気性多孔体を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、架橋ポリオレフィンと、導電性粒子を均一に分散させた導電性粒子含有熱可塑性ポリオレフィンとからなる混合物を、前記導電性粒子含有熱可塑性ポリオレフィンの溶融温度より低い温度で剪断力によって粉砕して得られた、部分的にポリマーアロイ状に複合させた複合体粉末を、加熱焼結してなることを特徴とする帯電防止性通気性多孔体によって解決される。
【0009】
前記のようにして得られた、架橋ポリオレフィンと導電性粒子含有熱可塑性ポリオレフィンとを部分的にポリマーアロイ状に複合させた複合体粉末を加熱焼結すると、複合体粉末粒子の導電性粒子含有熱可塑性ポリオレフィン部分が溶融し他の粒子と融着し、架橋ポリオレフィンは溶融せずに形状を維持するので、微細な通気孔が均一に分布した構造を有し、機械的強度に優れ、帯電防止能を有する通気性多孔体を形成することができる。導電性粒子が予め複合体粉末に用いる熱可塑性ポリオレフィンに分散されているので、通気性多孔体を形成後にあらためて導電性粒子の分散液を塗布または吹き付けたりする必要がなく適正な通気性を維持できる。また、導電性粒子の剥落が起こりにくく、耐久性にも優れる。
【0010】
帯電防止性通気性多孔体として表面抵抗率は1010Ω以下であることが好ましく、107Ω以下であることが特に好ましい。これにより帯電防止性能がさらに向上する。
【0011】
架橋ポリオレフィンと導電性粒子含有ポリオレフィンとが部分的にポリマーアロイ化して複合した複合体粉末は、架橋ポリオレフィンと導電性粒子含有熱可塑性ポリマーとからなる混合物を、導電性粒子含有熱可塑性ポリオレフィンの溶融温度より低い温度で剪断力によって粉砕することで得ることができる。
【0012】
ここで、複合体粉末の架橋ポリオレフィンと導電性微粒子含有熱可塑性ポリオレフィンとの原料比率は50対50質量%〜90対10質量%であることが好ましい。この比率の架橋ポリオレフィンと導電性微粒子含有熱可塑性ポリオレフィンとを部分的にポリマーアロイ状に複合させて得た複合体粉末を加熱焼結することにより、適正な通気性と十分な機械的強度を有する帯電防止性通気性多孔体を形成することができる。
【0013】
なお、10℃/分の昇温温度で測定したDSC測定の溶融挙動で、複合体粉末の吸熱ピーク温度が導電性粒子含有熱可塑性ポリオレフィン単体よりも1℃以上低下するのが好ましく、3℃以上低下するのがより好ましい。示差熱分析計を用いたDSC測定の溶融挙動により、複合体粉末が部分的にポリマーアロイ化していることを確認することができる。ポリマーアロイ化されていると、溶融にともなう吸熱ピーク温度が導電性粒子含有熱可塑性ポリオレフィンの吸熱ピーク温度よりも低下し、このピーク温度の低下はアロイ化するほど大きい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
本発明に用いられる架橋ポリマーには、架橋ポリオレフィン、架橋ゴム、架橋ポリウレタンなどを挙げることができる。
【0015】
架橋ポリオレフィンとしては、架橋ポリエチレン、架橋エチレン・酢酸ビニル共重合体、架橋エチレン・エチルアクリレート共重合体等が好ましい。これらの架橋ポリオレフィンは、既に架橋されたものを使用してもよいし、有機過酸化物やシラン化合物などによる化学的方法や電子線照射による方法などでポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンを架橋したものでもよい。また、既に架橋されたポリエチレン絶縁電線等を用いると、廃棄物の再利用ができ、製品のコストを抑えるとともに、機械粉砕するだけで簡便に原料を調製することができる。
【0016】
架橋ゴムとしては、一般に加硫ゴムと言われる硫黄架橋ゴムと、炭素−炭素架橋である非硫黄架橋ゴムなどが挙げられる。具体的な架橋ゴムの例としては、ポリイソブレン、ポリブチレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンポリマー、エチレン−プロピレンポリマー、ポリクロロプレンなどの合成ゴム及び天然ゴムの1種あるいは2種以上を硫黄又は炭素架橋したものを挙げることができる。
【0017】
架橋ポリウレタンとしては、例えば、グリコール化合物とジイソシアネート化合物の中に、分子中に3個以上の水酸基を有するポリオール化合物、および/または3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を一部含んでいるモノマーから得られる架橋されたポリウレタン、または側鎖にイソシアネート基が残存するポリウレタンを水などで架橋したものを挙げることができる。
【0018】
架橋ポリマーは、クラッシャー等の破砕機で粗粒体にしたもので、その形状は好ましくはペレット状で、平均粒径は10mm以下、望ましくは5mm以下である。
【0019】
本発明に用いられる熱可塑性ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ABS樹脂などのスチレン樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル樹脂、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテルなどのエンジニアリング樹脂が挙げられ、目的に応じて選択することができる。
【0020】
本発明に用いられる導電性粒子は、アセチレンブラック、ランプブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラックや銅、アルミニウムなどの金属粉末が挙げられる。
【0021】
本発明では、導電性粒子を均一に分散させた導電性粒子含有熱可塑性ポリマーは、導電性粒子と熱可塑性ポリマーとの混合物を混練機により混練し、導電性粒子を熱可塑性ポリマーに練り込み、均一に分散させることにより得られる。混練機としては、2軸混練押出機などを用いることができる。導電性微粒子含有熱可塑性ポリマーは、混練後、造粒機などでペレット状にすることが好ましく、ペレットとしては、直径1〜5mm程度の球状または円筒状であることが好ましい。
【0022】
導電性粒子含有熱可塑性ポリマーに添加する導電性粒子の添加量は、通気性多孔体の表面低効率が好ましくは1010Ω以下、より好ましくは107Ω以下、体積抵抗率が好ましくは1012Ω・cm以下、より好ましくは109Ω・cm以下となるように調整することが、通気性多孔体として十分な帯電防止効果を得る上では好ましい。
【0023】
具体的には、熱可塑性ポリマーとして低密度ポリエチレン(0.92g/cm3程度)、導電性粒子としてアセチレンブラックを用いる場合に、カーボンブラックは15質量%以上であることが好ましい。また、カーボンブラックが35質量%以下であると、通気性多孔体の機械的強度が十分発揮されるように複合体粉末を加熱焼結させ易いので、好ましい。つまり、カーボンブラックと低密度ポリエチレンとの比率は、15対85質量%〜35対65質量%であることが好ましい。
【0024】
同様な理由で、熱可塑性ポリマーとしてエチレン・酢酸ビニル共重合体、導電性粒子としてファーネスブラックの一種で導電性の高い商品名ケッチェンブラックEC(三菱化学株式会社製)を用いる場合には、ケッチェンブラックECとエチレン・酢酸ビニル共重合体との比率は、3対97質量%〜10対90質量%であることが好ましい。
【0025】
本発明で用いる複合体粉末は、前述の架橋ポリマー粒子に、前述の導電性粒子含有熱可塑性ポリマー粒子を添加して混合した後、石臼型混練押出機、または一軸あるいは二軸混練押出機を用いて、熱可塑性ポリマーの溶融温度より好ましくは30〜80℃低い温度に制御し、剪断力によって粉砕することによって得ることができる。
複合体粉末の粒径は、粉末化の条件や方法によって変えることができ、本発明の通気性、機械的強度に優れる帯電防止性通気性多孔体を得るためには、100〜450μm程度であることが好ましい。
【0026】
本発明の帯電防止性通気性多孔体は、上記のようにして得られた複合体粉末を金型に充填し、加熱焼結することにより得られる。金型への複合体粉末の充填は、可能な限り細密な充填が実現されるようにすればよく、この場合、先ず、複合体粉末を貯槽から配管内を空気輸送により金型まで送りこみ、続いて金型に密に充填するため金型の壁面を木槌などにより強い衝撃を与える、また、振動機により金型を激しく振動させるなどすることにより細密に充填させることができる。細密に充填できれば、振動条件などは、金型の大きさ・形状などにより適宜変更可能であり、限定されるものではない。
【0027】
次に、複合体粉末を充填した金型を、熱可塑性ポリマーの溶融温度より50〜100℃高い所定の焼結温度に保ってある電気炉に移し、1〜6時間保持した後、金型を電気炉より取出し、冷却後、金型を分解して目的とする通気性多孔体を得る。本発明の帯電防止性通気性多孔体は、焼結時の焼結温度がある程度変動しても、十分な通気度と機械的強度を有し、焼結時の温度制御は従来に比べ緩やかでよく、製造し易いものである。
また、通気度と機械的強度などが悪化しなければ、焼結時に圧力をかけてもよいし、雰囲気を制御してもよく、圧力・雰囲気等の諸条件は特に限定されるものではない。
【0028】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0029】
〔実施例1〕
有機過酸化物で架橋した使用済みの6KV架橋ポリエチレン絶縁塩化ビニル外装電力ケーブルから銅撚線とポリ塩化ビニルを取除いて得られたゲル分率が85%の白色の架橋ポリエチレンを破砕機で破砕した粒径が約3mmの架橋ポリエチレン粗粒子70質量部に、密度0.92(g/cm3)、メルトフローレート3.5g/10分の低密度ポリエチレンにアセチレンブラック15質量%を均一に分散させた粒径が3mmのペレット30質量部を加え、ブレンダーを用いて均一に混合して、両ポリマーの混合物を得た。なお、ゲル分率は、架橋ポリマーを120℃のキシレンに5時間浸漬して未架橋分を抽出し、不抽出分と抽出前のポリマーとの質量比から算出した。
【0030】
多段石臼型押出機(KCK社製KCK EX80×6:ブレード段数は6段、ブレードクリアランスは3mm、2mmおよび1mmの3段階)に対して、ブレードクリアランスを前段が広く後段が狭くなるようにセットし、ブレード前段部の温度を70℃に、後段部は40℃に制御し、また、回転数は60rpmに設定し、上記で得た混合物を投入して剪断粉砕を行うことにより、平均粒径155μmの複合体粉末を得た。
【0031】
この複合体粉末を顕微鏡で観察したところ、図1に示したように、白色の架橋ポリエチレンを、アセチレンブラックを分散させた低密度ポリエチレンの黒色粒子が取り囲んでいるのが認められた。
【0032】
また、この複合体粉末粒子につき、示差熱分析計にて10℃/分の昇温速度で溶融挙動を測定したところ、吸熱ピーク温度が低密度ポリエチレンよりも7℃低下していることから、架橋ポリエチレン粒子とそれを取り囲んでいるカーボンブラック含有低密度ポリエチレンは部分的にポリマーアロイ状の複合体を形成していることが確認された。
【0033】
この複合体粉末粒子は、顕微鏡観察下で温度を上げていくと、低密度ポリエチレンの溶融温度114.2℃を越えたところで、粒子の外側が溶融を開始し、次第に隣接する同様に外側が溶融している粒子と融着するのが認められた。但し、図2に示すように融着し連結したこれらの粒子は変形や流動することがなく、空隙を保持した多孔体を形成する様子が観察された。
【0034】
次に、上記の剪断粉砕により調製した平均粒径155μmの複合体粉末を、断面が3mm×100mm、深さ150mmの金型に、少量ずつ木槌で叩きながら充填し、最後に、振動機にかけて可能な限り細密に充填した。複合体粉末を充填した金型を175℃の電気炉に1時間保持して焼結し、厚さ3mm、幅100mm、長さ150mmの帯電防止性通気性多孔体を得た。
【0035】
帯電防止性通気性多孔体の表面および裏面を顕微鏡で観察したところ、全て黒色のアセチレンブラックで覆われており、また、帯電防止性通気性多孔体の切断した断面を顕微鏡で観察したところ、空隙内部も全て黒色のアセチレンブラックが均一に分散されたポリエチレンで覆われていることが分った。
【0036】
更に、レジステビティ・チェンバ・R12704(Advantest Corporation社製)を用いて、JIS K 6911、5.13項に準拠して、温度23℃、相対湿度50%の恒温恒湿実験室において表面抵抗率および体積抵抗率を測定した。帯電防止性通気性多孔体の顕微鏡観察結果および抵抗率測定結果は、表1に示す。
【0037】
次に、この帯電防止性通気性多孔体を、JIS K 7111に準拠して、「繰り返し振動試験機」(東洋精機社製)を用いて、両持ち曲げ試験片に、2kgfの引張荷重をかけた26万回振動後の外観の変化と表面抵抗率および体積抵抗率を測定した。測定結果を表1に示す。
【0038】
〔実施例2〕
実施例1における低密度ポリエチレンにアセチレンブラック15質量%を分散させたポリマー30質量部の代わりに、酢酸ビニル12質量%、メルトフローレート8.0g/10分のエチレン−酢酸ビニル共重合体にケッチェンブラックEC4質量%を均一に分散させた粒径が約3mmのペレット30質量部を用いて複合体粉末を製造し、この複合体粉末について、実施例1と同様の条件にて帯電防止性通気性多孔体を作製して性能を評価した。評価結果は表1に示す。
【0039】
〔比較例1〕
粒子径150μm、分子量200万の超高分子量ポリエチレン粉末70質量部に、粒径330μm、メルトフローレート0.8(g/10分)の高密度ポリエチレン粉末30質量部を加え、ブレンダーにて均一に混合させて、両ポリマーの混合物を得た。
【0040】
この混合粉末を、実施例1と同様の方法で焼結することによって通気性多孔体を作製し、次に、表面にアセチレンブラックと酢酸ビニル系接着剤を水に分散させた液を塗布して後、50℃に2時間保持して帯電防止層を形成した帯電防止性通気性多孔体を得た。この帯電防止性通気性多孔体について実施例1と同様に性能を評価し、結果を表1に示した。
【0041】
〔比較例2〕
比較例1と同様の方法で通気性多孔体を作製し、本通気性多孔体をアセチレンブラックと酢酸ビニル系接着剤を水に分散させた液を浸漬した後、50℃に2時間保持して帯電防止層を形成した帯電防止性通気性多孔体を得た。この帯電防止性通気性多孔体について実施例1と同様に性能を評価し、結果を表1に示した。
【0042】
〔比較例3〕
粒子径150μm、分子量200万の超高分子量ポリエチレン粉末70質量部に、密度0.92g/cm3、メルトフローレート3.5g/10分の低密度ポリエチレンにアセチレンブラック15質量%を均一に分散させた粒径330μmの粉末30質量部を加え、ブレンダーにて均一に混合させて、両ポリマーの混合物を得た。この混合粉末を、実施例1と同一条件で加熱焼結することにより帯電防止性通気性多孔体を作製し、その性能を実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示した。
【0043】
【表1】
Figure 0004118720
【0044】
表1に示される評価結果から以下のことが分かる。
実施例1および実施例2の帯電防止性通気性多孔体は、表面抵抗率が1010Ω以下、体積抵抗率が1012Ω・cm以下で、実用上十分な帯電防止効果があると言える。また、26万回振動させても表面抵抗率、体積抵抗率ともに上昇せず、帯電防止性が保たれている。
【0045】
比較例1の通気性多孔体は、表面抵抗率の初期値は小さく、帯電防止効果を有しているが、「繰返し振動疲労試験機」による26万回の振動により、アセチレンブラックの剥落により、表面抵抗率が著しく上昇し、帯電防止効果を喪失している。表面のみに帯電防止層が形成されているので体積抵抗率は大きく、通気性多孔体の裏面及び内部空隙には帯電防止性は付与されていない。
【0046】
比較例2の通気性多孔体は、表面抵抗率および体積抵抗率がともに小さく、通気性多孔体の表面、裏面のみならず、多孔体内部空隙も帯電防止効果を有しているが、「繰返し振動疲労試験機」による26万回の振動により、アセチレンブラックが剥落し、表面抵抗率と体積抵抗率が共に著しく上昇し、帯電防止効果が低下する。
【0047】
比較例3の通気性多孔体は、超高分子量ポリエチレンと、導電性粒子を分散させた熱可塑性ポリマーとを単純に混合した混合物を加熱焼結して得たものであるが、表面抵抗率、体積抵抗率ともに初期値が大きく、帯電防止性が不十分である。
【0048】
〔実施例3〕
有機過酸化物で架橋した使用済みの5kV架橋ポリエチレン絶縁塩化ビニル外装電力ケーブルから銅撚線とポリ塩化ビニルを取除いて得られるゲル分率が85%の白色の架橋ポリエチレンを破砕機で破砕した粒径約3mmの架橋ポリエチレン粗粒体と、密度0.92g/cm3、メルトフローレート3.5g/10分の低密度ポリエチレンにアセチレンブラック15質量%を均一に分散させた粒径が約3mmのペレットを、95対5質量%、90対10質量%、50対50質量%、40対60質量%比率でブレンダーを用いて均一に混合して、混合物を得た。
【0049】
これらの混合物を、実施例1と同一の方法で剪断粉砕して複合体粉末を調製し、更に、実施例1と同一の条件で加熱焼結することにより帯電防止性通気性多孔体を得た。得られた帯電防止性通気性多孔体について、光学顕微鏡にて通気孔の閉塞の有無を観察し、引張強さ及び通気性を測定して、結果を表2に示した。通気性は、JIS L 1004に準拠した通気性試験機(東洋精機製作所製)によって測定した。
通気性多孔体として実用上、引張強さは2MPa以上、通気性は1cm3/cm2・秒以上保持することが好ましい。
【0050】
【表2】
Figure 0004118720
【0051】
表2から以下のことが分かる。
架橋ポリエチレンが95質量%、アセチレンブラックを分散させた低密度ポリエチレン5質量%の混合物を用いた場合には引張強さがやや小さく、一方、架橋ポリエチレンが40質量%、アセチレンブラックを分散させた低密度ポリエチレン60質量%の混合物を用いた場合では通気性がやや小さいことが判明した。したがって、引張強さ、通気性の双方を良好なものとする上では、架橋ポリエチレンの低密度ポリエチレンに対する比率を50〜90質量%とすることが好ましいことが分かる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、架橋ポリオレフィンと導電性粒子を均一に分散させた熱可塑性ポリオレフィンとからなる混合物を、前記導電性粒子含有熱可塑性ポリオレフィンの溶融温度より低い温度で剪断力によって粉砕して得られた、部分的にポリマーアロイ状の複合体粉末を加熱焼結することによって得られる帯電防止性通気性多孔体は、その表面、裏面および内部の空隙が全て導電性粒子を均一に分散させた熱可塑性ポリオレフィンによって覆われている。したがって、本発明による通気性通気性多孔体をフィルター材料として用いて、粉体製品を捕集しまたは粉体原料を回収する場合、導電性粒子を表面に塗布する必要がなく、フィルターの表面、裏面および内部の空隙に帯電防止効果が付与され、それによって放電による粉塵爆発を防止できる。また、帯電性粒子が剥落することがないので、混入物がなく商品価値の高い捕集粉体製品や回収粉体原料を得ることが可能となる。
更に、微細な通気孔が均一に分布し、機械的強度に優れる通気性多孔体を得ることができる上に、架橋ポリマーとして廃棄処分される架橋ポリエチレン絶縁電線から回収した架橋ポリエチレンの活用により、原料コストの低減と資源の再利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】架橋ポリマーと導電性粒子含有熱可塑性ポリマーからなる複合粉末の断面図である。
【図2】本発明の帯電防止性通気性多孔体の断面図である。
【符号の説明】
1 架橋ポリマー(架橋ポリエチレン)
2 導電性粒子を分散させた熱可塑性ポリマー(低密度ポリエチレン)

Claims (3)

  1. 架橋ポリオレフィンと、導電性粒子を均一に分散させた導電性粒子含有熱可塑性ポリオレフィンとからなる混合物を、前記導電性粒子含有熱可塑性ポリオレフィンの溶融温度より低い温度で剪断力によって粉砕して得られた、部分的にポリマーアロイ状に複合させた複合体粉末を、加熱焼結してなることを特徴とする帯電防止性通気性多孔体。
  2. 前記複合体粉末の前記架橋ポリオレフィンと前記導電性粒子含有熱可塑性ポリオレフィンとの原料比率が、50対50質量%〜90対10質量%であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性通気性多孔体。
  3. 10℃/分の昇温速度で測定したDSC測定の溶融挙動で、前記複合体粉末の吸熱ピーク温度が、該複合体粉末を構成する前記導電性粒子含有熱可塑性ポリオレフィンの吸熱ピーク温度よりも1℃以上低いことを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性通気性多孔体。
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