JP4118697B2 - Vリブドベルトの製造方法及び加硫スリーブの予備加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Vリブドベルトの製造方法及び加硫スリーブの予備加工装置に係わり、詳しくは加硫スリーブの表面にV状溝を研削する前に、予め加硫スリーブの粗皮層を除去して平坦面とし、更にそのスリーブを小幅加硫スリーブに分割カットする予備加工の後、そのスリーブをV状溝に研削してなるVリブドベルトの製造方法及び加硫スリーブの予備加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、下記特許文献1のように、表面にカバー帆布を積層した伸張ゴム層と、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、接着ゴム層に隣接した圧縮ゴム層にベルトの周方向に延びる複数のリブ部を有するVリブドベルトの製造方法において、少なくとも接着ゴム層に心線を巻き付け、その上に圧縮ゴム層を積層したゴム成形体を作製し、得られたゴム成形体を加硫して加硫スリーブに仕上る成形工程と、加硫スリーブの粗皮層を刃物によって切削した後、その表面を粒度の粗い砥石を用いて平坦に研削し、更に所定幅の小幅加硫スリーブに分割する予備加工工程と、小幅加硫スリーブを1つもしくは複数個のV状溝に研削するV溝加工工程と、からなるVリブドベルトの製造方法が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−36384号公報(段落0008、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献による予備加工工程により、Vリブドベルトの品質の向上と生産性の向上が図れるものの、ベルト材質によって、切削及び研削が期待通りに行われない場合があり、上記予備加工工程において、更に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みなされたものであり、Vリブドベルトの予備加工を効率的に行うことにより、形状精度に優れ且つ研削延べ加工時間の短縮を図ったVリブドベルトの製造方法及び加硫スリーブの予備加工装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1に係る発明は、少なくとも、心線が巻き付けられた接着ゴム層と、その上に積層された圧縮ゴム層を含むゴム成形体を作製し、得られたゴム成形体を加硫して加硫スリーブに仕上る成形工程と、前記加硫スリーブを回転ロールに巻掛けて回転走行させ、前記回転ロールに巻掛けた部分において前記加硫スリーブの外周面を刃物によって切削する予備加工工程であって、前記刃物は、外周に多数の掻き取り刃が形成された円盤状の回転刃であり、この回転刃を前記回転ロールの軸方向に沿う軸心回りに回転させて行う予備加工工程と、予備加工された加硫スリーブを所定幅の小幅加硫スリーブに分割する分割工程と、前記小幅加硫スリーブを1つもしくは複数個のV状溝に研削するV溝加工工程とを備え、
更に、前記予備加工工程の前記回転刃を前記回転ロールの軸方向に沿う軸心回りに回転させるにあたり、一対の前記回転ロールに加硫スリーブが巻回されない無負荷時と、一対の前記回転ロールに特定の加硫スリーブが巻回された負荷時との、前記回転刃を前記一方の回転ロールの軸方向に沿って平行移動させるに伴う加硫スリーブ外周の前記一方の回転ロールの径方向差を求める差検出工程と、目標加工量と、前記回転刃による実際の加工量との関係から切り込み深さの補正率を求める補正率検出工程とを備え、
前記特定加硫スリーブを前記一対の回転ロールに亘って巻掛け、前記差検出工程にて求められた値に前記補正率検出工程にて求められた補正率を乗じて算出された径方向差だけ前記回転刃を前記一方の回転ロールの径方向に移動させながら前記加硫スリーブの外周を予備加工することを特徴とするVリブドベルトの製造方法である。
【0007】
上記構成によると、予備加工工程で用いる前記刃物は、外周に多数の掻き取り刃が形成された円盤状の回転刃であり、この回転刃を前記回転ロールの軸方向に沿う軸心回りに回転させて予備加工を行うと、ベルト材質に関わらず、所定の加工代を1パスで削り取ることができる。すなわち、回転刃による加工では、高速で移動する掻き取り歯が加硫スリーブの外周面を一瞬にして削り取る動作が連続するような状況となり、強い摩擦や発熱が生じないとともに、スプリングバックも生じないので、設定値に近い加工代を一度に実現できる。
また、上記構成によると、加硫スリーブにおける回転ロールに巻回された部分の外径寸法として、ベルト緊張力の作用しない自由状態のときの外径と、特定のベルト緊張力が作用して回転ロールが撓んでいる撓み状態のときの外径との差を求める差検出工程を行い、ベルト緊張力に起因した回転ロールの各部における撓み量を予め検出しておく。そして、次に行う予備加工工程では、差検出工程にて求められた径方向差だけ回転刃を一方の回転ロールの径方向に移動させながら加硫スリーブの外周を切削するので、ベルト緊張力に起因した撓み量を相殺しながら切削できるようになり、前記終了後に回転ロールから外されて自由状態となった加硫スリーブの厚みを、その幅方向の如何に拘らずに均一化することが可能になる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記予備加工工程は、前記回転刃による切削だけで行われることを特徴とする。
上記構成によると、一つの回転刃の切削だけで予備加工を高精度に行うことができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、加硫した加硫スリーブの表面にV状溝を研削する前に、予め加硫スリーブの粗皮層を除去して平坦面を有する小幅加硫スリーブに予備加工する加硫スリーブの予備加工装置において、(1)加硫スリーブを回転ロール間に張架して回転走行させる二軸張架ユニットと、(2)加硫スリーブの外表面になる粗皮層に、外周に多数の掻き取り刃が形成された円盤状の回転刃を押し当てて、この回転刃を前記回転ロールの軸方向に沿う軸心回りに回転させてながら前記軸方向に横送りして粗皮層を切削する回転刃手段と、加硫スリーブを個々に分割して小幅加硫スリーブにする切断手段とから成るカッターユニットと、(3)上記カッターユニットの回転刃手段と切断手段を共有設置したカッターベースと、(4)該カッターベースを上記二軸張架ユニットに張架された加硫スリーブへ近接離反する方向(X軸方向)と、加硫スリーブの幅方向(Y軸方向)に沿って移動させる移動手段とからなるサーボテーブルユニットと、前記移動手段を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記加硫スリーブの緊張力による前記回転ロールの撓み量を求めるため、前記回転刃と前記回転ロールとのX方向での間隔を、Y方向に互いに離れた複数箇所にて検出する距離検出手段と、目標切削量と、前記回転刃による実際の切削量との関係から切り込み深さの補正率を求める削り取り量補正手段と、前記切り込み深さの補正率と、前記回転ロールの撓み量とを加味し、前記回転刃をY方向に平行移動させるに伴うX方向での押し込み量を記憶する記憶手段と、前記記憶手段によって記憶されているルートを辿るよう、前記記憶手段の記憶情報に基づいて前記移動手段を制御する再現制御手段とを、備えることを特徴とする加硫スリーブの予備加工装置である。
【0012】
請求項3の構成は、請求項1の方法を装置化したものであり、請求項1の方法による前記作用効果と同等の作用効果を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わるVリブドベルトの製造方法及び加硫スリーブの予備加工装置について各実施の形態を説明する。
まず、加硫スリーブに仕上げる成形工程、加硫スリーブの外周面を切削する予備加工工程、小幅スリーブに分割する分割工程と、V状溝に研削するV溝加工工程とからなるVリブドベルトの製造方法を説明する。
【0015】
〔成形工程〕
加硫スリーブに仕上げる成形工程は、以下の様に成型ドラム101にベルト構成材を順次積層した積層体を加硫して、加硫スリーブ108を形成する工程である。図9に示すように、円筒状の成型ドラム101の周面にカバー帆布102が1枚から複数枚巻き付けて伸張ゴム層103を、ついで接着ゴム層104、そして同層104に螺旋状に巻き付けられたロープからなる心線105,更に圧縮ゴム層106を順次積層する。この積層体107が下記の如く加硫されて、加硫スリーブ108となる。上述の圧縮ゴム層106には、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、綿等からなる長さ1〜10mmのカット繊維が1〜15vol%混入され、加硫スリーブの幅方向に配列されている。
【0016】
この加硫スリーブ108は、以下の加硫工程で形成される。図10に示す様に、前述の積層体107の円筒外面に筒状の加硫用ゴムジャケット145(以下、単にジャケットとよぶ)を外挿して、次に加硫缶内の平底板に立設密封して上面も上蓋で密封して缶内に蒸気を充圧する。積層体107には外側のジャケット145から温度と圧力が加わり同時に内側の成型ドラム101の内部からは温度が加わる。同時に積層体7の内面側は成型ドラム101の外表面を固定面にして、積層体107の外面側はジャケットの内面で均等に圧縮加硫成形される。缶から取り出し、ジャケット145が抜かれ、さらに成型ドラム101から離型されて円筒状の加硫スリーブ108となる。
【0017】
ところで、加硫成形された円筒状の加硫スリーブ108の表面層は真円に近いが、積層体107やジャケット145の厚みバラツキのため、凹凸は避けられず、最終製品厚みからやや厚め0.05〜1.0mmに成形されている。
【0018】
〔予備加工工程及び分割工程〕
次に、本発明の要部である予備加工工程及び分割工程は、上述の加硫スリーブ8を次工程でリブベルトとして小幅でV溝加工する工程に先立って、下加工する工程である。その下加工の内容は、前述の加硫スリーブ8の粗皮層9を切削し平坦化する予備加工工程と、小幅に切断分割する分割工程とから成る。
先ず、加硫スリーブ8の表面層である粗皮の除去方法について説明する。この除去方法は、外周に多数の掻き取り刃が形成された円盤状の回転刃50を、駆動ロール1の軸方向に沿う軸心回りに回転させて行う切削工程だけで構成される。
【0019】
図11(イ)と図12に示すように、加硫スリーブ108は圧縮ゴム層106が表面側に位置するように駆動ロール1と従動ロール2に張架され所定の張力を保持して、従動ロール2の一端部の固定フランジで加硫スリーブ108の回転寄りを止めて回転走行させる。切削工程115は、加硫スリーブ108表面に円盤状の回転刃50をX方向に押し付けてY方向に横移動させながら、加硫スリーブ108の表面である粗皮層109(図12参照)を1パスで切削し除去する。これにより、加硫スリーブ108の全幅にわたる切削面が平坦化される。この結果、加硫スリーブ108の外表面である粗皮層109を軽い切削負荷で、しかもその横送り速度を早く切削して除き、最終研削仕上げ代0.03〜0.1mmを残して平坦化を終える。従って、加硫スリーブ108に切削の過大な加工熱を与えることなく、早く短時間で粗皮層109の除去が出来る。
【0020】
ついで、図11(ロ)に示す、分割工程116は、丸刃11を走行回転中の加硫スリーブ108に押し込み、所要サイズに応じて加硫スリーブ108を1〜複数回の分割カットをおこない、10〜400mm幅の小幅な加硫スリーブを得る。この分割工程は、加硫スリーブ108の所定幅切断の前に、加硫スリーブ108の耳部を切除する工程を含む。この分割工程は、前述の切削工程に組み込まれている。
【0021】
〔V溝加工工程〕
最後にV溝加工工程は、前述の予備加工工程で粗皮層109を除去し平坦化され、前述の分割工程で小幅に切断された加硫スリーブ108にV状溝を研削してV溝を仕上げる工程である。例えば特公平07−037084号公報にも記される様に、小幅に切断された加硫スリーブ108を図13に示す様に駆動ロール146と従動ロール147に掛架して所定の張力下で回転走行しながら、同時に図14に示す研削ホイール148を加硫スリーブ108と逆方向又は順方向に1500〜2000rpmで回転させて、加硫スリーブ108に当接させて、その表面に50〜150個の溝状部149を一度にV状溝に研削する工程である。
【0022】
つぎに、本発明の要部である予備加工工程及び分割工程、これら工程に用いられる予備加工装置をより詳細に説明する。まず、予備加工装置Aを説明する。
【0023】
予備加工装置Aは、図1、図2に示すように、駆動ロール(回転ロール)1と従動ロール(回転ロール)2とに巻回して加硫スリーブ108を回転駆動自在な駆動部aと、駆動部aによって回転駆動される加硫スリーブ108の外周を切削する回転刃手段bと切削後のベルトスリーブを小幅に切断する切断手段cからなるカッターユニットUと、を備える。
【0024】
駆動部aは、主軸3を介して第1主軸受け4と第1副軸受け5とで回転自在に支承された駆動ロール1と、テンション軸6を介して第2主軸受け7と第2副軸受け8とに支承されたベルト緊張用の従動ロール2と、主軸3を駆動するためのベルト伝動機構9と駆動モータ10とを設けて構成されている。駆動ロール1は、その外周面にエラストマーライニングによって表面材1aが施されている。
【0025】
回転刃手段bは、回転刃50と、これを駆動ロール1の軸方向に沿うY方向と、駆動ロール1の径方向に沿うX方向とに駆動移動自在な移動手段12とから構成されている。即ち、Y方向に長い長尺状の基台13と、横送りモータ15とネジ送り機構16とレール支持機構42とによって基台13に対してY方向に駆動移動自在に支持された移動台(サーポテーブルユニット)14と、回転刃50が支承された台(カッターベース)26を移動台14に対してX方向に移動自在とするための電動モータ17と、回転刃50を駆動回転させる駆動モータ18(駆動手段の一例)と、を設けてある。前記回転刃50は、駆動ロール1に対向する部分を露出して集塵カバーで覆われており、回転刃50の集塵カバー側の側面にはレーザセンサ30が設けられている。回転刃50の回転方向は、加硫スリーブ108に対して逆方向又は順方向のいずれでも良い。
【0026】
21は、回転刃50用の軸受け、23は、回転刃50用のベルト伝動機構である。基台13における横送りモータ15存在側の反対側には、ネジ軸16aの回転数から移動台14の基台13に対する横送り位置を検出するための横送りエンコーダ25が装備されている。叉、電動モータ17には、台26の移動台14に対する縦送り位置を検出するためのロータリエンコーダ等の位置センサ28が内装されている。これら縦送りや横送り位置の検出は、電動モータ15,17にサーボモータを用いて、サーボシステムによって直接コントロールすることができる。
【0027】
切断手段cは、丸刃11と、その切り刃が加硫ベルトスリーブ108の走行方向となるように丸刃11を支持する支持箱22と、支持箱22を台(カッターベース)26の上でX方向にスライド自在とするスライド台24と、このスランド台24を進退させる進退駆動手段としてのシリンダ19と、このシリンダ19によるスライド台24の進退端を検出するリミットスイッチ等の進退端検出手段29とを備えて成る。丸刃11は、回転しないもの、フリー回転するもの、駆動回転されるもののいずれでも良い。
【0028】
支持箱22は、回転しない丸刃11の場合、切り刃の位置をときどき変更できるように、丸刃11の軸を所定の回転位置で固定できるようになっている。シリンダ19による退出状態では、丸刃11は回転刃50により退出した待機状態になる。シリンダ19による進出状態では、丸刃11は回転刃50より更に加硫スリーブ108の側に進出した作動状態となる。この作動状態における丸刃11の加硫スリーブ108に対する切り込み量は、台26の移動台14に対する縦送りを行う電動モータ17と、台26の移動台14に対する縦送り位置を検出するためのロータリエンコーダ等の位置センサ28とによるサーボシステムでコントロールされる。そのため、丸刃11の進退状態を検出するために、前述した検出手段29が設けられている。
このように、回転刃手段bと切断手段cとからなるカッターユニットUは、台26(カッターベース)上に共有設置されている。特に、回転刃手段bと切断手段cのX方向への切り込み量の設定は共通のサーボシステムで行うようになっている。
【0029】
主軸3及びテンション軸6は、夫々基本的には第1主軸受け4、第2主軸受け7による片持ち支持状態であり、反対側端を補助的に第1副軸受け5、第2副軸受け8で支持している。従って、両副軸受け5,8を外して各ロール1,2を片持ち状態として側方にスライドさせることにより、加硫スリーブ108を駆動ロール1及び従動ロール2に巻回したり外したりすることができる。
【0030】
図示は省略するが、第2主軸受け7と第2副軸受け8とを支持する移動台を、加硫スリーブ108の緊張方向(X方向)に移動及び所要の張力で伸張させる伸縮機構を備えてあり、これによって従動ロール2を第2方向における反駆動ロール1側に移動させて、加硫スリーブ108を緊張させることができるように構成されている。
【0031】
図3に示すように、回転刃50を覆う集塵カバーの側面にレーザセンサ30が装備してあり、このレーザセンサ30と測定用加硫スリーブ108a(特定の加硫スリーブの一例)とにより、切削対象となる加硫スリーブ108を駆動ロール1と従動ロール2とに亘って巻回したときの駆動ロール1と回転刃50との台方向での間隔(クリアランス)を検出する距離検出手段36を構成してある。これは、ベルト緊張力による駆動ロール1の撓み量が求まる手段でもある。
【0032】
測定用加硫スリーブ108aは、切削対象となる加硫スリーブ108に、Y方向に適宜の間隔(例:50mm)を空けて多数の貫通孔31が一直線上に形成されたものであり、実際に切削する加硫後の加硫スリーブ108と同じ寸法、形状といった同条件のものを用いる。従って、貫通孔31が丁度回転刃手段bを向く位置にて測定用加硫スリーブ108aを停止させた状態で、横送りモータ15を駆動させて移動台14を横送り移動させることにより、加硫スリーブ108の張力によって撓む駆動ロール1の外面と回転刃50との間隔を、レーザセンサ30によって検出してゆくことができるのである。なお、この間隔の測定は、レーザセンサ30に代わるダイヤルゲージで簡便に行うこともできる。
【0033】
つまり、切削対象となる加硫後の加硫スリーブ108を切削するには、先ず予め、Y方向に均等間隔毎に多数の測定用貫通孔31が開けられ、かつ、加硫スリーブ108と同じ材料、形状、寸法のものとして作成された測定用加硫スリーブ108aを用いて伸張させ貫通孔31を通しての間隔測定を行った値と、ベルト108が巻回されない状態において駆動ロール1と回転刃50との第1方向での間隔をレーザセンサ30を用いて測定した値との差を求める差検出工程を行うことにより、加硫スリーブ108の緊張力による駆動ロール1の撓み量を求めることができる。
【0034】
図4に予備加工装置Aに使用される制御回路Bが示されている。即ち、横送りエンコーダ25、位置センサ28、リミットスイッチ(進退端検出手段)29、レーザセンサ30、駆動モータ10、横送りモータ15、電動モータ17、駆動モータ18、位置補正量を制御ソフト上に設定するための入力手段であるタッチパネル32の各要素を制御装置33に接続して制御回路Bを構成してある。
制御装置33には、位置補正量を記憶し、必要に応じて切込位置を自動的に微調整する制御ソフトである制御手段34が組み込まれている。
【0035】
制御回路Bには、回転刃50をY方向に平行移動させるに伴うX方向での押し込み量を記憶する記憶手段35と、その記憶を行うために、回転刃50と駆動ロール1とのX方向での間隔を、Y方向に互いに離れた複数箇所にて検出する距離検出手段36とが設けてある。又、研磨作動時に、記憶手段35によって記憶されているルートを辿るよう、記憶手段35の記憶情報に基づいて移動機構12を制御する再現制御手段37を備えてある。
【0036】
次に、予備加工装置Aによる制御動作の手順、即ち加硫スリーブ切削及び切断方法を、図5を参照して説明する。図5には、制御回路Bによる制御フロー図を示してある。先ず、加硫スリーブ108を駆動ロール1と従動ロール2に亘って巻回させるスリーブセットを行う(ステップ♯1)と、加硫スリーブ108の耳部(スリーブ端)をスクラップとして除去することが行われる。
【0037】
ステップ♯1のスリーブセットの後、スタートボタンを押し(ステップ♯2)、テールストック(第1及び第2副軸受け5,8)入りによる主軸3及びテンション軸6のX方向の拡張が行われ(ステップ♯3)、この従動ロール2と駆動ロール1との反対側への伸張移動により加硫スリーブ108が伸長状態となる(ステップ♯4)。
【0038】
駆動ロール1の回転による主軸回転開始(ステップ♯5)の後、切断手段cの丸刃11が左耳端位置になるように、移動機構12を作動させる(ステップ♯6)。つぎに、シリンダ19を伸長させ、丸刃11を前進させる(ステップ♯7)。つぎに、電動モータ17を作動させるサーボシステムにより、丸刃11を切り込み位置までX方向前進させる(ステップ♯8)。所定のカット時間を経過させてから(ステップ♯9)、丸刃11を切り込み位置からX方向に後退させる(ステップ♯10)。つぎに、シリンダ19を短縮させ、丸刃11を待機位置まで後退させる(ステップ♯11)。つぎに、加硫スリーブ108の伸長状態を戻し(ステップ♯12)、切断された耳端を除去した後に再スタートさせる(ステップ♯13)。
【0039】
つぎに、加硫スリーブ108を伸長状態にした後(ステップ♯20)、回転刃50が自動的にY軸切削開始位置に移動される自動原点移動(ステップ♯21)が行われる。
なお、測定用ベルトスリーブ108aを用い、測定開始位置までY方向に移動し、測定位置まで高速前進し、レーザによる距離測定・演算しながらのY方向に移動させる差検出工程は予め行われている。
回転刃50の回転が開始され(ステップ♯22)、それから再現制御手段37(記憶手段35)によって回転刃50が切削位置に向かうべく、X方向における駆動ロール1に近づく方向へ前進移動し(ステップ♯23)、次いでY方向の切削終了位置に向けて回転刃50が横行する(ステップ♯24)。これにより、ベルトスリーブ108外周(背面)の切削工程が開始される。再現制御手段37の機能により、移動台14が第2方向へ移動しながら、例えば50mm間隔で横送りされるに伴って、その時点での駆動ロール1とのX方向での間隔(切込位置)が補正され(ステップ♯26,27)、横送りエンコーダ25の作動にも基づき、切削終了位置まで横送りされたか否かの判断が為される(ステップ♯26)。切削終了位置まで横送りされたら、移動台14の横行が停止される(ステップ♯28)。
【0040】
すると、回転刃50は切り込み位置から後退し(ステップ♯30)、回転刃50の回転が停止される(ステップ♯31)。つぎに、移動台14が小幅加硫スリーブの予備カット位置へとY方向に横行する(ステップ♯31)。
つぎに、シリンダ19を伸長させ、丸刃11を前進させる(ステップ♯33)。つぎに、電動モータ17を作動させるサーボシステムにより、丸刃11を切り込み位置までX方向前進させる(ステップ♯34)。所定のカット時間を経過させてから(ステップ♯35)、丸刃11を切り込み位置からX方向に後退させる(ステップ♯36)。全てのカットが終了するまで(ステップ♯37)、次に予備カット位置まで移動させ(ステップ♯38)、ステップ♯34からステップ♯38を繰り返す。全てのカットが終了すると(ステップ♯37,NO)、シリンダ19を短縮させて丸刃11を後退させ(ステップ♯39)、さらに駆動ロール1の回転を停止させる(ステップ♯40)。
【0041】
つぎに、移動台14が原点位置へ戻り(ステップ♯41)、小幅に切断された加硫スリーブ108を伸長戻り状態に戻し(ステップ♯42)、テールストック(第1及び第2副軸受け5,8)も戻る(ステップ♯43)。そして、終了ブザーが鳴り(ステップ♯44)、切断された小幅加硫スリーブの取り出しが行われる(ステップ♯45)。切断された耳端を除去した後に再スタートさせる(ステップ♯1)。
これら一連の動作は、ベルト厚さbを同時に個々に切り込み送り制御させることにより、1回のサイクル、すなわち1パス加工によって行われる。
【0042】
説明は前後するが、制御回路Bによる上述の工程に先立って、駆動ロール1の外周を研磨するロール研磨工程が行なわれる。これは、駆動ロールの入替や定修の際に行うもので、即ち、一対の回転ロール1,2に加硫スリーブ108が巻掛けされない無負荷状態での駆動ロール1の表面材1aを、砥石等をY方向に移動させて研磨するロール研磨工程が、差検出工程に先立って行うようになっている。これにより、駆動ロール1の外径がほぼ完全に均一化でき、駆動ロール1の寸法誤差や製品誤差に起因したベルト厚さ均一化精度への悪影響は生じないようになる。
【0043】
上記の予備加工装置Aを用いて、位置補正(研磨位置補正)を実施した。図6は、前述の差検出工程に基づいて、距離検出手段36のレーザセンサ30などで測定した無伸張の値と測定用ベルトスリーブ108aを用いた伸張時の値をもとに補正して切削したベルトを、小幅にカットして軸方向の同等位置のベルト厚みを測定した結果である。加硫スリーブ108の巻回時(伸長時)の測定曲線はグラフ左端から右端へ撓み量を増す傾向線となり、更に細かく見れば中間部がより撓みを増した曲線を示している。
【0044】
何故なら、駆動ロール1の両端支持機構(軸受け4,5)の差と両端支持軸ではその中央部の撓みが最大となるからである。先ず、グラフ左端部側では、固定軸受け4端に主軸3が挿入支持してあって撓み難いが、グラフ右端部側では、無端状の加硫スリーブ108の掛架に当り、主軸支持機構(第1副軸受け5)は開放構造を採っており、主軸3側に設けた嵌合部(図示省略)に、円錐状の伸縮する芯出し軸(第1副軸受け5)を内蔵して首振り自在の主軸支持機構(テールストックと呼ぶ)としてある。つまり、可動部の多い支持機構構造であるため、どうしても撓み量が多くなる傾向にある。しかし、補正後の値は全体にバラツキを抑えたものとすることが出来た。
【0045】
上記の回転刃50の切り込み深さの補正手順について説明する。
次の▲1▼〜▲5▼の各処理を行うことで回転刃切り込み深さを補正することができる。
【0046】
▲1▼ 駆動ロール1の外径ばらつきと、ベルト巻回時の駆動ロール1の撓み量を、レーザセンサ30を用いて実測する。
▲2▼ 移動台14上に装着されたレーザセンサ30を用いて、レーザ走査線を回転刃50の駆動ロール1への当接点で軸方向に構成される接線上の離間距離を測定する。
▲3▼ 測定が、1つは駆動ロール1自体の外径差を離間距離で測定し、もう1つは加硫スリーブ巻回時の駆動ロール1の撓み量を測定する。
【0047】
▲4▼ 前者の測定は、レーザ走査線を駆動ロール1外面に直接照射して行い、後者測定は前述の走査接線上の測定箇所に断続的な孔(貫通孔31)を開けた実際の加硫スリーブ(測定用加硫スリーブ108a)を用いてベルト巻回による緊張状態を付与する。
▲5▼ 駆動ロール1自体の外径差とベルト緊張時の駆動ロール1の撓み量の測定値を基に、回転刃切り込み原点からの距離量を加算して、回転刃切り込み補正値を駆動ロール1の軸長の横送り方向で算出してプログラムとする。
【0048】
上記の駆動ロール1撓み補正量の例について説明する。
次の(イ)、(ロ)の処理を行うことで回転刃50の切込み量補正を行うことが可能である。
(イ) シーケンサ(制御装置33)の内部には、図6に示すグラフの「補正内容」を、存在する必要な条件数に相当するセットとして制御ソフト内に持たせる。 (ロ) 図6の切込み補正に当っては、例えば、厚みを現在より0.1mm薄く仕上げるには、砥石を0.1mm以上切込まなければならないことが分かっており、位置補正係数として取扱い重要なパラメータであり、実験データにより求められるその係数は材料配合等の要因により変動する。
【0049】
本発明は、回転刃50のX方向への移動を、エアシリンダ及びストッパによる手段から、ACサーボモータによって自在に位置調節できる構造に変更してあり、電気的に位置決めを行うことにより、回転刃50による加硫スリーブ108への切込位置を自由に設定できるようにしてある。そして、予め駆動ロール1の撓み量を位置補正量に変換して制御プログラム内(制御装置33内)に記憶させておき、軸方向トラバース(横送り)の現在位置によって切込位置の自動補正を行うことにより、撓みの厚みへの影響を排除出来るようにしてある。また、位置補正量のデータセットを、プログラム内に複数持ち、加工条件が変わればこれを自動的に切換えることで、撓み量の変化に対応させることも可能である。
【0050】
次に、回転刃50による切削工程について更に説明する。この切削工程においては、切り込み代が増加するに伴って削取率も増えるので、その補正が加味された自動切り込み制御を行う必要があるからである。
【0051】
図7(a),(b),(c)に回転刃50を示してある。電気カンナ刃として用いられることの多い回転刃50は、中心に装着用孔51を有した取付け周部52、板厚の薄い中間周部53、及び最も外径側となる刃部54を有した円盤状に形成されている。刃部54は多数の掻き取り歯55から成るものであり、掻き取り歯55は、外周側ほど回転方向上手側に寄る傾斜と、左右方向の傾斜との双方による複合傾斜した左右幅の広い先端切削部56と、これに続く支持部57とで形成されているとともに、先端切削部56の内径側に続いて湾入形成された逃がし部58を有している。また、先端切削部56には、すくい角αと、リード角βとが設けられている。なお、掻き取り歯55の歯数は、8〜16程度が好ましい。歯数が24を超えると、振動が発生することがある。
【0052】
回転刃50を用いることによる利点は次のようである。従来の円盤砥石で研削する手段では、これを加硫スリーブに強く押し付けての強大な摩擦によって擦り取るような状態で研磨することから、砥石を回転させるに必要なトルクが大きくなって駆動モータに大電流が必要であり、加硫スリーブが発熱するとともに、加硫スリーブの弾性によるスプリングバックによって削り残しが生じるものであった。加硫スリーブや砥石の温度上昇は、製品としてのベルトの物性に悪影響を与えるおそれがあるため、好ましくない。これに対して、回転刃50で研磨する本発明の切削手段では、高速で移動する掻き取り歯55が加硫スリーブ108の外周面を一瞬にして削り取る動作が連続するような状況となり、強い摩擦や発熱が生じないとともに、スプリングバックも生じないので、設定値に近い切削代を実現できるのである。
【0053】
回転刃50による切削工程では、前述のように、削り残しが少なく、駆動電流が少なくて済み、ベルトの発熱も殆ど無い好ましいものであるが、切り込み量によって削り残り量が変化するため、切削前の加硫スリーブの厚みをレーザセンサ30で測定し、切り込み量補正値を求め、さらに予めベルト種毎に求められている撓み補正値を加味した自動演算を行い、適切な切り込み位置を最適に制御することが必要である。そこで、前述の記憶手段35を、回転刃50による切削時には、目標切削量と、回転刃50による実際の切削量との関係から求められた切り込み深さの補正率が加味されるように構成してある。すなわち、制御装置33に、削取り量補正手段43を含んだ自動切込み制御手段44を装備してあり、切削工程においては、自動切り込み制御手段44が加味されるように記憶手段35が機能する。回転刃50による切削工程では、前述のように、削り残しが少なく、駆動電流が少なくて済み、ベルトの発熱も殆ど無い好ましいものであるが、切り込み量によって削り残り量が変化するため、切削前のベルトスリーブの厚みをレーザセンサ30で測定し、切り込み量補正値を求め、更に予めベルト種毎に求められている撓み補正値を加味した自動演算を行い、最適な切り込み位置を最適に制御することが必要である。そこで、前述の記憶手段35を、回転刃50による切削時には、目標切削量と、回転刃50による実際の切削量との関係から求められた切り込み深さの補正率が加味されるように構成してある。すなわち、制御装置33に、削取り量補正手段43を含んだ自動切り込み制御手段44を装備してあり、切削工程においては、自動切り込み制御手段44が加味されるように記憶手段35が機能する。
【0054】
回転刃50による切削を高精度に行うので、研削ホイール148では0.1mm程度の切り込みで抑えることができ、駆動電流、ベルト発熱の面で有利に加工できる。回転刃50による切削によって厚みばらつきが少なくなっているので、研削ホイール148については切り込み位置の自動演算は行わず、前述の撓み補正だけとすることを実現している。
【0055】
削取り量補正手段43は、設定された目標切り込み量に基づいて、そのときの実際の切削量を補正して算出する補正率検出工程に必要な手段であり、目標切削量と、回転刃50による実際の切削量との関係から切り込み深さの補正率を求める実験(目標切削量と、回転刃50による実際の切削量との関係から切り込み深さの補正率を求める補正率検出工程に相当する)を予め行い、その実験データにより求められて設定されている。そして、記憶手段35は、切削工程時に、削取り量補正手段43により、目標切削量と、回転刃50による実際の切削量との関係から求められた切り込み深さの補正率が、前述の撓み補正に加味された切り込み制御が機能するように、自動切り込み制御手段44に発令するのである。
【0056】
ここで、自動切り込み制御手段44の作動に必要となる削残率Kや、荒削設定値、或いは仕上げ削設定値Lについて説明する。
【0057】
−削残率Kの算出−
ベルトスリーブ厚みの測定値をH(mm)、ベルトスリーブ厚みの目標値をI(mm)とすると、目標削取り量Jは、J=H−I(mm)である。
【0058】
削残率とは次のように定義される。すなわち、被削材が弾性に富むゴム製の加硫スリーブ108であるため、刃物50を被削材に押し付けて切り込む際に、加硫スリーブ108が変形して逃げ変位するようになり、設定された切り込み量を100%切削することはできず,切り残しが発生する。そこで、その切り残し分を予め加算して切り込む対応が必要であり、この切り込み量に対する加算切り込み量の比率を削残率という。
【0059】
−荒削設定値、或いは仕上げ削設定値L(mm)の算出−削残率をK、加硫スリーブ厚みの測定値をH(mm)、加硫スリーブ厚みの目標値をI(mm)とすると、(全切り込み量)=H−Lであり、(目標値からさらに切込む量)=I−Lであるため、(H−L)K=I−Lという方程式が導かれる。これを順次変形していくと、KH−KL=I−L、L−KL=I−KH、(1−K)L=I−KHとなる。よって、L=(I−KH)/(1−K)(mm)となる。実際の計算では、桁合わせや負数処理、ゼロ除算処理等、もう少し複雑なものになる。参考として、図8に、削残率Kや仕上げ削設定値(製品としてのベルトの厚み)L等の関係を示す概念モデルを示す。
【0060】
従来の丸刃、荒砥石、仕上げ砥石等の砥石、及び回転刃50それぞれの削取率を比較すると、次のような傾向がある。砥石を用いた場合は、切り込み代(切り込み量)の如何に拘らずに削取率はほぼ40(%)という低い値に一定であることが分かる。丸刃を用いた場合は、切り込み代の増加に伴って削取率がほぼ線形に増加するものの、その勾配は急カーブとなる。これは、切り込み代が多くなると効率良く研磨できるが、その反面として、微妙な削取量の調節制御は行い難いことを意味する。回転刃50を用いた場合では、切り込み代の増加に伴って削取率も増加するが、切り込み代が大になる程、削取率の増加率は小さくなるので、丸刃を用いる場合に比べて、切り込み代が大きくなれば微妙な削取量の調節制御は行い易くなる利点を有している。
【0061】
荒砥石、仕上げ砥石等の砥石、及び回転刃50を用いた場合のベルト温度(加硫スリーブ温度)を比較すると、次のような傾向がある。すなわち、切り込み代(切り込み量)の増加に伴ってベルト温度が上昇するとともに、その温度自体が高い(発熱量が多い)砥石に比べて、回転刃50を用いた場合には、切り込み代を増やしてもベルト温度は殆ど変化しないとともに、その温度自体も明確に低く、研磨に伴う発熱量は著しく少ない。
【0062】
荒砥石、仕上げ砥石等の砥石、及び回転刃50を用いた場合の駆動モータ18に供給される電流値を比較すると、次のような傾向がある。砥石を用いた場合には、切り込み代(切り込み量)の増加に伴って電流値がほぼ線形に増加するが、回転刃50を用いた場合には、切り込み代の如何に拘わらずに低い値の電流値で一定している。つまり、回転刃50による研磨は省電力で済む経済的なものであると言える。
【0063】
(別実施形態)
(1)数値補正には、駆動ロール1外径の基準差と、ベルト伸張時(緊張時)の駆動ロール1の撓みの基準差とロール研磨工程後の厚み測定結果差の全体補正に加え、切削時の回転刃50を加硫スリーブ108に押し付けることによる押圧による駆動ロール1の撓み増分や、表面材1aや加硫スリーブ108のゴム弾性による切り込み効率の補正等を明確にして、よりきめ細かに補正することにより、ベルト厚みの均一化精度をより一層向上させる方法に適用できる。
【0064】
(2)回転刃50の回転方向は、加硫スリーブ108に当接する掻き取り歯55部分が、加硫スリーブ108の移動方向と反対向き移動するように設定(アップカット)するのが望ましいが、回転刃50の回転速度が十分に速ければ、加硫スリーブ108に当接する掻き取り歯55部分が、加硫スリーブ108の移動方向と同じ方向に移動するように設定(ダウンカット)しても良い。
【0065】
(3)回転刃50に加えて、ダイヤモンドホイール又は多孔質砥石を仕上げ用研削部材として用いることもできる。また、ロール研磨工程において、無負荷状態で駆動ロール1の表面材1a(ウレタン材)を研磨させるようにしても良い。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によるVリブドベルトの製造方法及び加硫スリーブの予備加工装置によれば、全削り量の大部分を、外周に多数の掻き取り歯が形成された円盤状の回転刃を用いて行うようにしたので、砥石などによる研削を行う場合によりもさらに厚み精度の向上が図れる。そのため、V状溝に研削するV溝加工工程の溝研削時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。また、研削効率に優れて電力消費が少なくて済む省エネルギー化、並びに研削時の発熱も軽減されてベルト製品としての品質向上にも寄与可能となる利点がある。
【0067】
また、切削時の回転刃や砥石の外面と、回転刃や砥石に対面する回転ロール外面との間隔(クリアランス)を測定できて、主軸全幅に亘って砥石の切り込み深さを最適プログラムで補正できるから、即ち、切削工程に介在する切削バラツキの全てのばらつき要因を数値評価できて、かつ、その数値制御に基づいてプログラム制御ができるから、あらゆるベルトをその最適条件を用いて制御することができる。その結果、加硫スリーブの厚み均一化精度を飛躍的に向上させることができた。叉、切削速度を精密に最適の状態でプログラムすることにより、最小時間で切削できる等、切削時間の短縮化が図れる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】加硫スリーブ予備加工装置の概略構造を示す平面図である。
【図2】切削機構の要部を示す一部切欠き側面図である。
【図3】3距離検出手段による距離検出作用を示す斜視図である。
【図4】制御回路を示すブロック図である。
【図5】制御の動作フローチャートを示す図である。
【図6】駆動ロールの撓み測定グラフを示す図である。
【図7】回転刃を示す図であり、(a)は回転刃の側面図を示す図であり、(b)は回転刃の断面図であり、(c)は回転刃の掻取り歯先端を示す正面図である。
【図8】回転刃による切り込み量の補正制御概念を示す。
【図9】本発明において使用されるVリブドベルトの加硫スリーブの断面構成図である。
【図10】積層体の加硫概略図である。
【図11】加硫スリーブの予備加工と切断の機器構成を示す図である。
【図12】加硫スリーブの予備加工工程と切断工程とを示す図である。
【図13】加硫スリーブを研削ホイールで研削している状態を示す図である。
【図14】研削ホイールの断面図である。
【図15】Vリブドベルトの斜視図である。
【符号の説明】
1 回転ロール(駆動ロール)
2 回転ロール
11 丸刃
12 移動手段
14 移動台(サーポテーブルユニット)
26 台(カッターベース)
35 記憶手段
36 距離検出手段
50 回転刃
55 掻き取り歯
108 加硫スリーブ
a 駆動部
b 回転刃手段
c 切断手段
U カッターユニット
Claims (3)
- 少なくとも、心線が巻き付けられた接着ゴム層と、その上に積層された圧縮ゴム層を含むゴム成形体を作製し、得られたゴム成形体を加硫して加硫スリーブに仕上る成形工程と、前記加硫スリーブを回転ロールに巻掛けて回転走行させ、前記回転ロールに巻掛けた部分において前記加硫スリーブの外周面を刃物によって切削する予備加工工程であって、前記刃物は、外周に多数の掻き取り刃が形成された円盤状の回転刃であり、この回転刃を前記回転ロールの軸方向に沿う軸心回りに回転させて行う予備加工工程と、予備加工された加硫スリーブを所定幅の小幅加硫スリーブに分割する分割工程と、前記小幅加硫スリーブを1つもしくは複数個のV状溝に研削するV溝加工工程とを備え、
更に、前記予備加工工程の前記回転刃を前記回転ロールの軸方向に沿う軸心回りに回転させるにあたり、一対の前記回転ロールに加硫スリーブが巻回されない無負荷時と、一対の前記回転ロールに特定の加硫スリーブが巻回された負荷時との、前記回転刃を前記一方の回転ロールの軸方向に沿って平行移動させるに伴う加硫スリーブ外周の前記一方の回転ロールの径方向差を求める差検出工程と、目標加工量と、前記回転刃による実際の加工量との関係から切り込み深さの補正率を求める補正率検出工程とを備え、
前記特定加硫スリーブを前記一対の回転ロールに亘って巻掛け、前記差検出工程にて求められた値に前記補正率検出工程にて求められた補正率を乗じて算出された径方向差だけ前記回転刃を前記一方の回転ロールの径方向に移動させながら前記加硫スリーブの外周を予備加工することを特徴とするVリブドベルトの製造方法。 - 前記予備加工工程は、前記回転刃による切削だけで行われることを特徴とする請求項1に記載のVリブドベルトの製造方法。
- 加硫した加硫スリーブの表面にV状溝を研削する前に、予め加硫スリーブの粗皮層を除去して平坦面を有する小幅加硫スリーブに予備加工する加硫スリーブの予備加工装置において、
(1)加硫スリーブを回転ロール間に張架して回転走行させる二軸張架ユニットと、(2)加硫スリーブの外表面になる粗皮層に、外周に多数の掻き取り刃が形成された円盤状の回転刃を押し当てて、この回転刃を前記回転ロールの軸方向に沿う軸心回りに回転させてながら前記軸方向に横送りして粗皮層を切削する回転刃手段と、加硫スリーブを個々に分割して小幅加硫スリーブにする切断手段とから成るカッターユニットと、(3)上記カッターユニットの回転刃手段と切断手段を共有設置したカッターベースと、(4)該カッターベースを上記二軸張架ユニットに張架された加硫スリーブへ近接離反する方向(X軸方向)と、加硫スリーブの幅方向(Y軸方向)に沿って移動させる移動手段とからなるサーボテーブルユニットと、前記移動手段を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記加硫スリーブの緊張力による前記回転ロールの撓み量を求めるため、前記回転刃と前記回転ロールとのX方向での間隔を、Y方向に互いに離れた複数箇所にて検出する距離検出手段と、
目標切削量と、前記回転刃による実際の切削量との関係から切り込み深さの補正率を求める削り取り量補正手段と、
前記切り込み深さの補正率と、前記回転ロールの撓み量とを加味し、前記回転刃をY方向に平行移動させるに伴うX方向での押し込み量を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段によって記憶されているルートを辿るよう、前記記憶手段の記憶情報に基づいて前記移動手段を制御する再現制御手段とを、備えることを特徴とする加硫スリーブの予備加工装置。
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