JP4118336B2 - メルトリン - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、細胞、特に筋原細胞の融合又は接着又は凝集活性を有するメルトリン及びその各領域ポリペプチド、それらをコードするDNA、該DNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、これらメルトリン及びその各領域ポリペプチドに対する各種抗体、該DNAを含む発現ベクター、該発現ベクターによる形質転換体、該形質転換体を使用する上記メルトリン及びその各領域ポリペプチドの製造方法及びメルトリンもしくはメルトリンアンタゴニストを有効成分として含有する医薬組成物に関するものである。
背景技術
筋形成において、未分化中胚葉細胞由来の筋肉形成細胞から分裂・増殖して分化した筋原細胞は、最終回の分裂以後、ミオシンやアクチン等の筋肉特異的物質の合成を開始するとともに、隣接する同種の細胞との間でお互いの細胞質膜が接着・癒合し、接着面での細胞境界を失って、筋管と呼ばれる多核のシンシチウムに変わる。
これまでに、N−カドヘリン(Knudsen, K.A. et al., Expl. Cell Res., 188, 175-184(1990), Merge, R.M. et al., J.Cell Sci., 103, 897-906(1992)),及びM−カドヘリン(Donalies,M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A. 88, 8024-8028(1991),N−CAMs(Merge, R.M. et a1., J.Cell Sci., 103, 897-906(1992)及びその他),V−CAMs及びインテグリン類(Rosen,G.D. et al., Cell 69, 1107-1119(1992)その他)等を含む幾種類かの膜蛋白質がこの筋管形成に関与していることが報告されている。
しかしながら、筋原細胞同士のお互いの細胞質膜が接着・癒合して筋管と呼ばれる多核のシンシチウムに変わる過程の分子的な機序については、未だ充分に理解されてはいない。
一方、ウイルスが細胞に感染する際に関与する接着因子として、「融合ペプチド」と呼ばれる物質も知られている(Morrison,T.G. Virus Res., 10, 113-136(1988)その他)。卵と精子との接着に関与する分子として最近単離されたファーテリンは、ルベラウイルスの融合ペプチドに類似する配列を含んでいることが判った(Biobel,C.P. et al., Nature 356, 248-252(1992)その他)。
このように、接着活性を有する分子は多く知られており、インテグリン類等については、それを阻害する物質が医薬品として開発・研究されている。
今回、本発明者は新規な接着に係わる分子の単離を試みた。特に上記筋管形成の過程に於ける筋原細胞同士の接着・融合には、卵と精子との接着と同様に、融合ペプチド様の接着因子が関与しているのではないかとの仮定に立って、ファーテリンαおよびβで保存性の高い配列をプローブとして使用して、細胞の接着にかかわる新規な物質のクローニングに成功して、これをメルトリンと命名し本発明を完成させた。
発明の開示
即ち、本発明は、新規な物質であるメルトリンに係わる。メルトリンの1つの特徴は筋細胞の分化誘導過程で発現され、ファーテリンα、βと保存性の高い配列を有することである。また、メルトリンの他の特徴は細胞の融合または接着または凝集に関わる蛋白質であるということにある。すなわち、メルトリンを介して筋細胞等ある種の細胞では、細胞間の融合、接着もしくは凝集が生じる。
細胞の融合とは、2つ以上の細胞が互いに1つの細胞のように融合し、多核細胞が形成されることである。細胞の接着とは、2つ以上の細胞が互いに接着することである。また、凝集とは2つ以上の細胞(特に液体中に存在している細胞)が集合し細胞塊を形成することである。細胞間で接着が生じ、それに引き続く現象として、融合および凝集が観察されるとも考えられる。
本発明のメルトリンは、その起源は特に限定されない。したがって、特記しない限り、本明細書においてメルトリンとは、前記特徴を有するいかなる動物由来のポリペプチドをも含む。また、後の実施例で示すように、同一の動物種から前記特徴を有する少なくとも3種の分子種(α、β、γ)が単離されている。本明細書においては、メルトリンとは、特記しない限り、これらのいずれの分子種をも含む。
本発明のメルトリンの具体例はマウスのメルトリンα、β及びγであり、それらは、それぞれ、図2a〜図2j、図3a〜図3j及び図4a〜図4iに示されるアミノ酸配列、もしくはその部分配列で特徴づけることができる。
その他の具体例として、ヒトのメルトリンα、β、γがある。ヒトのメルトリンα、β、γは、それぞれ、図12a〜図12bまたは図15a〜図15fまたは図23a〜図23bのいずれか、図16または図17a〜図17cのいずれか、図13a〜図13dに示されたアミノ酸配列もしくはその部分配列を含有することを特徴とする。
尚、上記のアミノ酸配列は、本発明のメルトリンの一具体例にすぎず筋細胞で発現しファーテリンα、βと保存性の高い配列を有する、もしくは、細胞の融合または接着または凝集に関わる限り、上記アミノ酸配列において、アミノ酸の欠失、変更、追加及び挿入等によって、その一部が異なるものも、本発明のメルトリンに含まれるものである。今回、本発明者が明らかにしたように、図2a〜図2jに示したマウス由来のアミノ酸配列のデイスインテグリン領域からシステイン・リッチ領域にかけての部分と図12a〜図12bのヒト由来のアミノ酸配列とは高いホモロジーをしめす。このように、上記のアミノ酸配列と約80%以上、好ましくは約90%以上のホモロジーを示す物質は、メルトリンとしての機能を残していると考えられる。特にマウスもしくはヒトのメルトリンα、β、γのメタロプロテアーゼ領域からデイスインテグリン領域にかけての領域と、約80%以上、好ましくは約90%以上のホモロジーを示す配列を有する物質は、その前後の配列が全て異なっていても同様の活性を有するものと考えられる。したがって、上記アミノ酸配列もしくはその一部と高いホモロジーを示し、ヒトもしくはマウスメルトリンと同様の活性を示す物質は本発明のメルトリンに含まれる。
いいかえると、本発明のメルトリンは、図2a〜図2j、図3a〜図3jおよび図4a〜図4i、図12a〜図12b、図13a〜図13d、図15a〜図15f、図16、図17a〜図17cまたは図23a〜図23bのいずれかのアミノ酸配列をコードする塩基配列に相補的な配列と、ハイブリダイズする塩基配列によってコードされるアミノ酸配列を有するものとして特徴づけることができる。
メルトリンは、後に記載する実施例に示されるように、細胞内領域、膜貫通領域、細胞外領域からなる膜蛋白質および膜貫通領域を持たない可溶型蛋白質として生体内に存在している。細胞外領域には、前駆体領域、メタロプロテアーゼ領域、ディスインテグリン領域、システイン・リッチ領域が含まれており、メルトリンαについては、そのシステイン・リッチ領域中に、融合ペプチド様配列が含まれている(図8参照)。
このうち、ディスインテグリン領域は、細胞の接着、融合もしくは凝集というメルトリンの機能に必要不可欠な領域である。一方、前駆体領域やメタロプロテアーゼ領域は、メルトリンが特定の臓器や組織、条件下において活性を発揮するために、調節的な働きをする配列であると考えられる。ヘビ毒中に発見されたディスインテグリンは、血小板IIb/IIIaに結合することが知られている。したがって、メルトリンのディスインテグリン領域もそれ自体、細胞に結合する作用を有することが予想される。また、メタロプロテアーゼ領域はそれ自体で、その名の通り、蛋白分解酵素としても働きうる。
したがって、本発明は、メルトリンの任意の一部を含むポリペプチドにも係わる。当該ポリペプチドには、メルトリンの各領域部分そのもの、メルトリンの各領域を少なくとも含むポリペプチド、メルトリンの任意の一部分、メルトリンの任意の一部分の配列を少なくとも含むポリペプチド、およびメルトリンの任意の各領域もしくはメルトリンの任意の一部分が任意の順番で結合した配列を少なくとも含むポリペプチドが含まれる。また、本発明には、上記ポリペプチドに化学的修飾を施したり、塩を形成させたものも含まれる。
本発明のポリペプチドの好ましい例は、ディスインテグリン領域の一部からなるポリペプチド、ディスインテグリン領域そのものからなるポリペプチド、少なくともディスインテグリン領域を含むポリペプチド、少なくともディスインテグリン領域とシステインリッチ領域を含むポリペプチドである。他の好ましい例は、メタロプロテアーゼ領域とディスインテグリン領域とシステインリッチ領域を少なくとも含むポリペプチドである。また、メルトリンのメタロプロテアーゼ領域の一部からなるポリペプチド、メタロプロテアーゼ領域そのものからなるポリペプチドも好ましい例である。
また、他の好ましい例は、メルトリンのディスインテグリン領域とシステインリッチ領域を少なくとも含み、かつ膜貫通領域もしくは膜貫通領域と細胞内領域の両方を含まないポリペプチド、および、メタロプロテアーゼ領域とディスインテグリン領域とシステインリッチ領域を少なくとも含み、かつ膜貫通領域もしくは膜貫通領域と細胞内領域の両方を含まないポリペプチドである。このような膜貫通領域を含まないポリペプチドは、細胞膜を通り、細胞外へ分泌される可溶型ポリペプチドである。可溶型ポリペプチドは、細胞の培養上清中から回収することが可能であり、たとえば、必要に応じて、適当なシグナル配列の下流に接続させて遺伝子工学的に細胞に発現させると、可溶型ポリペプチドは、培養上清中に分泌され、培養上清中から効率よく回収することができるという利点がある。
マウスおよびヒトのメルトリンα、β、γにおいて、前駆体領域、メタロプロテアーゼ領域、ディスインテグリン領域、システインリッチ領域、膜貫通領域、細胞内領域が、図2a〜図2j、図3a〜図3j、図4a〜図4i、図12a〜図12b、図13a〜図13d、図15a〜図15f、図16、図17a〜図17c、図23a〜図23bに示したアミノ酸配列のどの部分にあたるかは実施例で考察した。しかしながら、それらのアミノ酸配列で規定されたポリペプチドは、本発明のポリペプチドの一具体例にすぎず、それらのアミノ酸配列を本質的に含むポリペプチドも本発明に属する。即ち、例えば、各領域の境目は、これに限定されるものでなく実施例で考察した各領域の境目から、1個〜約20個分N末端方向またはC末端方向、もしくはその両方にずれた領域を含むポリペプチドも、それが上記アミノ酸配列で規定したポリペプチドと同様の機能を有する限り、本発明のポリペプチドに含まれる。同様に、各領域と同様の機能を有する限り、該アミノ酸配列において、アミノ酸の欠失、変更、追加及び挿入等によって、その一部が異なるものも、本発明のポリペプチドに含まれるものである。
例えば、上記図中の各領域のアミノ酸配列と80%以上のホモロジーを有するアミノ酸配列、より好ましくは90%以上のホモロジーを有するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、本発明のポリペプチドと同様の機能を有すると予測され、本発明のポリペプチドに含まれる。
本発明のメルトリンは、細胞同士や細胞とプレート等の器具を接着させるために使用することができる。また、本発明のメルトリンと他の任意の物質を融合して、筋細胞の培養系や組織、生体に投与すれば、その成分を筋細胞へ効率的に運搬させることができる。
一方、メルトリンの一部を少なくとも含むポリペプチドは、培養系に添加することによって、細胞同士の接着、または凝集、もしくは融合を競合的に阻害することが可能である。特にディスインテグリン領域の一部、ディスインテグリン領域そのもの、もしくはディスインテグリンを含む可溶型のポリペプチドは、細胞の接着を阻止するための医薬組成物の有効成分として使用することができる。例えば、血小板の接着を阻止し、血栓形成や血液凝固を抑制する抗凝固剤として、血栓症やDIC、多臓器不全の治療薬として使用することが可能である。また、癌細胞の転移にはインテグリンファミリーをはじめとする接着因子が関与していると考えられているので、当該ディスインテグリン領域を含むポリペプチドは、癌の発育を抑制したり癌細胞が他の細胞へ接着するのを抑制して転移を予防するための薬剤としても使用しうる。さらに、破骨細胞の形成においても細胞同士の接着が重要な役割を担っていることが知られている。実施例で示すように、本発明者等は、その接着を担う分子の1つがメルトリンであり、抗メルトリン抗体によって、破骨細胞の形成を抑制し、骨吸収の亢進を抑制できることを明らかにしている。したがって、本発明のメルトリンのディスインテグリン領域を含むポリペプチド、特にメルトリンαもしくはβのディスインテグリン領域を含むポリペプチドは、抗メルトリン抗体と同様に、骨吸収を抑制するための医薬組成物の有効成分として使用することが可能である。
また、メルトリンの一部を少なくとも含むポリペプチドのうち、メタロプロテアーゼ領域を含むポリペプチドは、それ自身蛋白分解酵素として、もしくは生体内で他の蛋白分解酵素を競合的に阻害するポリペプチドとして使用することができ、炎症性疾患の治療薬として利用することが可能である。
本発明のメルトリンおよびポリペプチドは、これらの利用法のみでなく、抗体作成の際の抗原としても使用できる。
本発明は、また、本発明のメルトリンまたはメルトリンの任意の一部を含むポリペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むDNAにも係わる。かかるDNAは、染色体DNA、cDNA等のいかなるDNAをも包含する。
本発明のDNAは、その起源は特に限定されない。本発明のDNAの具体例はマウスのメルトリンα、β及びγもしくはそれらの一部を含むポリペプチドをコードするDNAであり、それらは、それぞれ、図5a〜図5j、図6a〜図6h、図7a〜図7eのコーディング領域もしくはその部分配列で特徴づけることができる。その他の具体例としては、ヒトのメルトリンα、β、γもしくはそれらの一部を含むポリペプチドをコードするDNAであり、それぞれ図12a〜図12bまたは図15a〜図15fまたは図23a〜図23bのいずれか、図16または図17a〜図17cのいずれか、図13a〜図13dに示された塩基配列のコーディング領域もしくはその部分配列で特徴づけることができる。
なお、これらの図において、前駆体領域、メタロプロテアーゼ領域、ディスインテグリン領域、システインリッチ領域の各領域、膜貫通領域、細胞内領域をコードする塩基配列が、図の配列のどの部分に相当するかについては実施例で考察した。しかしながらそこで規定した部分は一具体例に過ぎず、それらの塩基配列を本質的に含むDNAも本発明に属する。即ち、各領域の境目はこれらに限定されるものではなく、例えば、リーディングフレームがはずれない限り、実施例で考察した各領域の境目から1個〜約60個分、5’末端方向、3’末端方向、もしくはその両方にずれた塩基配列で規定されたDNAも、それが、前駆体領域、メタロプロテアーゼ領域、ディスインテグリン領域、システインリッチ領域、膜貫通領域、細胞内領域と実質的に同様の機能を有するポリペプチドをコードするものであれば本発明のDNAに含まれる。
さらに、上記図で示された塩基配列以外にも、遺伝暗号の縮重を考慮して化学合成や遺伝子工学的手法によって作成される同一アミノ酸配列をコードする塩基配列もしくはその一部を含むDNAも本発明のDNAに含まれる。また、今回発明者らが明らかにしたように、マウスとヒトのメルトリンとは、互いに高いホモロジーを有することから、上記アミノ酸配列と約80%以上、好ましくは90%以上のホモロジーを示す物質はメルトリンとしての機能を残していると考えられる。そして、このようなホモロジーのあるポリペプチドをコードするDNAは、互いにハイブリダイズすることが予想される。したがって、上述の図で示した塩基配列に相補的な塩基配列を有するDNAをプローブとして用い、ハイストリージェンシーな条件下でハイブリダイゼーションを行った場合に得られるDNA断片は本発明のDNAに含まれる。
マウスメルトリンα、β、γ、ヒトメルトリンα、β、γをコードするDNAもしくはその一部は、後述の実施例に記載されているように、プラスミドベクターに組み込まれ、それで形質転換した大腸菌は工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。
本発明のDNAは公知の方法で作成することが可能である。例えば、該cDNAは、従来公知の方法によって、cDNAライブラリーを作成し、図2a〜図2j、図3a〜図3j、図4a〜図4i、図12a〜図12b、図13a〜図13d、図15a〜図15f、図16、図17a〜図17cもしくは図23a〜図23bに示したアミノ酸配列の一部のポリペプチドに対する重鎖プライマーを使用してPCR(例えば、Michael A.I.等, PCR Protocols, a guide to method and application, Academic Press, 1990,参照)により得ることが出来る。例えば、ディスインテグリン領域のアミノ酸配列をコードする重鎖プライマーを使用してPCRを行う。または、得られた増幅断片の塩基配列をもとにプローブを作製し、ハイブリダーゼション法によっても、本発明のDNAを得ることができる。cDNAライブラリーを得るための材料としては、実施例で示すように、筋芽細胞を分化誘導させたもの、骨髄、胎児肺細胞が好ましい。また、この他に、cDNAライブラリーとしては、胎盤や絨毛細胞、胎児細胞から作製した公知のライブラリー等を利用することも可能である。
本発明のDNAのうち、メルトリンの任意の一部を任意の順序で結合させたポリペプチドをコードするDNAは、例えば以下の方法で作成することができる。すなわち、メルトリンの任意の一部をコードする各DNA断片をPCRにより増幅させる。このとき、必要があれば適当な制限酵素認識配列を有するようにプライマーを設定しても良い。リーディングフレームがずれないように注意し、得られた断片をDNAリガーゼを使用して連結させる。
本発明のDNAは、本発明のメルトリンもしくは本発明のポリペプチドを、遺伝子工学的に生産するために使用することができる。当該DNAを使用した、本発明のメルトリンもしくはポリペプチドの生産は、公知方法を参考にして行うことができる(例えば、(Sambrook J.)等、Molecular Cloning a Laboratory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1989参照)。
本発明のDNAは、適当なベクターに組み込んで遺伝子治療等に使用することも可能である。例えば、任意の生理活性物質をコードする塩基配列を本発明のDNAの下流に融合させたDNAを作成し、適当なウイルス由来のベクターに組み込んで、生体内の細胞を形質転換させると、該生理活性物質は、本発明のメルトリンとの融合蛋白質として発現される。そして、該生理活性物質は、メルトリンが接着する生体内の細胞の周辺に集積させることができる。
更に、本発明は、本発明のメルトリンまたはメルトリンの任意の一部を含むポリペプチドをコードするDNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその誘導体に係わるものである。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその誘導体は、メルトリンをコードする塩基配列もしくはその一部に相補的な塩基配列を有するか、メルトリンもしくはその一部を含むポリペプチドの発現を阻止する機能を有することで特徴づけられる。後者のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその誘導体には、メルトリンをコードする塩基配列もしくはその一部に相補的に結合して発現を阻止するものの他、メルトリンのコーディング領域の上流、下流のノンコーディング領域に相補的に結合するものも含まれる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその誘導体の具体例は、本発明のDNAもしくはその一部に相補的な塩基配列を有する。特に好ましくは、図5a〜図5j、図6a〜図6h、図7a〜図7e、図12a〜図12b、図13a〜図13d、図15a〜図15f、図16、図17a〜図17cおよび図23a〜図23bのいずれかに記載のDNAもしくはその一部の相補鎖を有するオリゴヌクレオチドもしくはその誘導体である。アデニン(A)に対する相補的塩基としてはチミン(T)のかわりにウラシル(U)であってもよい。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体には、その立体構造や機能がオリゴヌクレオチドと類似するものすべてが含まれる。たとえば、オリゴヌクレオチドの3’末端もしくは5’末端に他の物質が結合した物や、オリゴヌクレオチドの塩基、糖、リン酸の少なくともいずれか1つにおいて、置換や、修飾が生じた物質、天然には存在しないような、塩基、糖、リン酸を有する物や、糖−リン酸骨格以外の骨格(バックボーン)を有するもの等である。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体のは、公知方法で製造することができる(例えば、スタンレー T.クルーク(Stanley T. Crooke)およびベルナルド レブロー(Bernald Lebleu)編、in Antisense Research and Applications, CRC出版、フロリダ,1993年)。
天然のDNAやRNAであれば、目的とする本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド配列の5’末端、3’末端に相補的な配列をもつセンスプライマー、アンチセンスプライマーを化学合成し、メルトリン遺伝子もしくはメルトリンをコードするRNAを鋳型としてPCR法により本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを得ることができる。また、メチルフォスフォネート型やフォスフォロチオエート型等、誘導体の中には、化学合成機(たとえばパーキンエルマージャパン(株)、394型)を使用して合成できるものもある。この場合には、化学合成機に添付されたマニュアルに従って操作を行い、得られた合成産物を逆相クロマトグラフィー等を用いたHPLC法により精製することによっても、目的のアンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体を得ることができる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその誘導体はラジオアイソトープや蛍光物質、酵素、発光物質で標識して、試料中にメルトリンもしくはその一部が存在するか否かを測定するためのプローブとして使用することができる。また、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその誘導体は、生体におけるメルトリンの発現を阻止するための医薬品として使用することができる。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体を用いて、メルトリンもしくはその一部の発現を阻止するには、それらを直接適当な溶媒に溶解もしくは懸濁して使用してもよいし、リポソーム中に封入したり、適当なベクターに組み込んだ形にして使用する。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体を医薬用途に使用する場合には、医薬品として使用するのに適した純度のものを、薬理学的に許容されうる使用方法で使用することが好ましい。
前述のように、メルトリンは骨格筋形成に加え破骨細胞の形成や癌の発育・転移に関与すると考えられる。したがって、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその誘導体を用いてメルトリンの発現を阻止することにより、癌の治療及び癌転移の予防や、骨吸収を抑制して骨粗鬆症や高カルシウム血症を治療することが可能である。
更に、本発明は、本発明のメルトリンもしくはその任意の一部を少なくとも含む本発明のポリペプチドを認識する抗体に係わる。言い換えると、該抗体は、本発明のメルトリンのみを認識する抗体、本発明のポリペプチドのみを認識する抗体、もしくはそれらの両方を認識する抗体である。
該抗体には、本発明のメルトリンもしくは本発明のポリペプチドを特異的に認識する抗体に加え、他のポリペプチドと交叉反応するような抗体も含まれる。また、メルトリンα、β、γのいずれかの分子種を特異的に認識する抗体、メルトリンα、β、γの2つ以上の分子種を認識する抗体のいずれもが含まれる。さらに、特定の動物種(例えばヒトもしくはマウス)由来のメルトリンもしくはその一部を少なくとも含むポリペプチドのみを認識する抗体、2つ以上の動物種由来のメルトリンもしくはその一部を少なくとも含むポリペプチドを認識する抗体いずれもが含まれる。
本発明の抗体は、好ましくは、図2a〜図2j、図3a〜図3j、図4a〜図4i、図12a〜図12b、図13a〜図13d、図15a〜図15f、図16、図17a〜図17cおよび図23a〜図23bのいずれかに記載のアミノ酸配列もしくはその一部を認識する抗体である。
さらに好ましくは、図2a〜図2j、図3a〜図3j、図4a〜図4i、図12a〜図12b、図13a〜図13d、図15a〜図15f、図16、図17a〜図17cおよび図23a〜図23bのいずれかに記載のアミノ酸配列もしくはその一部を少なくとも有するポリペプチドを、必要があれば適当なキャリアと結合させて投与抗原として動物に免役して得られる抗体である。例えば、図5a〜図5j、図6a〜図6h、図7a〜図7e、図12a〜図12b、図13a〜図13d、図15a〜図15f、図16、図17a〜図17c、図23a〜図23bに記載の塩基配列もしくはその一部を有するDNAを適当な発現ベクターに組み込み、該ベクターで適当な宿主を形質転換して、該メルトリンを生産させる。そして、形質転換体の菌体もしくは培地からメルトリンを精製して、それを投与抗原として得られる抗体である。更に、該形質転換体の菌体そのものもしくはメルトリンを発現している任意の細胞そのものを投与抗原として得られたものであってもよい。このような形質転換体および細胞は、メルトリンα、メルトリンβ、メルトリンγのいずれか1種を発現しているものであっても、2種以上を発現しているものであってもよい。また、メルトリンの一部のアミノ酸配列からなるポリペプチドを化学合成し、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)等のキャリアと結合させ、それを投与抗原として得られる抗体であってもよい。
抗原としてメルトリンの一部を使用しても、メルトリンの全体を認識する抗体を得ることができるし、マウスメルトリンもしくはその一部を抗原として使用しても、ヒトメルトリンもしくはその一部を少なくとも含むポリペプチドを認識する抗体を得ることが可能である。
本発明の抗体にはモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれもが含まれる。また、該抗体は、いずれのクラス、サブクラスに属するものであってもよい。
該抗体は、公知方法によって((例えば、免疫実験操作法、日本免疫学会編、日本免疫学会発行、参照)作製することができる。以下に、その一例を簡単に説明する。
まず、図5a〜図5j、図6a〜図6h、図7a〜図7e、図12a〜図12b、図13a〜図13d、図15a〜図15f、図16、図17a〜図17c、図23a〜図23bに記載の塩基配列のコーディング領域もしくはその一部を組み込んだ発現ベクターで、適当な宿主を形質転換して、これを抗原とするか、もしくは当該形質転換体に該メルトリンを生産させ、形質転換体の菌体もしくは培地からメルトリンを精製し、これを抗原とするか、上記図に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドを化学合成し、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)等のキャリアと結合させ、精製して抗原とする。抗原を、もしくはフロイントの完全アジュバント(FCA)や不完全アジュバント(FIA)等の適切なアジュバントと抗原とを、動物に接種し、2〜4週間の間隔で追加免疫する。追加免疫後、採血を行い抗血清を得る。免疫する動物は、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ウマ、ニワトリ、ヤギ、ブタ、ウシ等から、目的の抗体を産生しうる動物種を選択して使用する。ポリクローナル抗体は、得られた抗血清を精製することによって得る事が出来る。精製は、塩析、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の公知方法を適宜組み合わせて行えば良い。
モノクローナル抗体を得るには以下のように行う。すなわち、免疫した動物から脾細胞もしくはリンパ球等の抗体産生細胞を採取し、ポリエチレングリコール、センダイウイルス、電気パルス等を用いる公知方法によって、ミエローマ細胞株等と融合し、ハイブリドーマを作製する。その後、本発明のメルトリンに結合する抗体を産生しているクローンを選択して培養する。選択されたクローンの培養上清から、塩析、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の公知方法を適宜組み合わせてモノクローナル抗体を生成する。
本発明の抗体は、さらに、メルトリンが有する、細胞の融合または接着または凝集活性を阻害する、所謂、中和抗体であり得る。該中和抗体には、メルトリンの活性を完全に抑制するもの、部分的に抑制するもののいずれもが含まれる。
中和抗体のスクリーニングの1つの方法は、抗血清や、ハイブリドーマの培養上清を、メルトリン発現細胞の培養系に加え、細胞の融合や凝集の阻害を指標に行う方法である。スクリーニングの結果、選別された血清やハイブリドーマ培養上清から公知方法を組み合わせて目的の抗体を精製する。
本発明の抗体には、本発明のポリペプチドもしくはその一部を認識して結合するものであれば、Fab、F(ab’)、F(ab’)2もしくはFvも含まれる。また、H鎖とL鎖のFvを一本鎖となるように連結させたシングルチェインFvをコードするような遺伝子を構築し、これを適当な宿主細胞で発現させて得られるシングルチェインFvも本発明の抗体に含まれる。さらに、本発明のポリペプチドもしくはその一部を認識するものであれば、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体も本発明に含まれる。
例えば、キメラ抗体は、本発明のメルトリンまたはポリペプチドを認識するマウス抗体の定常部をコードする遺伝子を、ヒト抗体の定常部をコードする遺伝子と置きかえ、再構成された遺伝子を動物細胞で発現させることにより得ることができる。ヒト抗体はin vitro sensitization法(Borrebaeck, C.A.K.J. Immunol, Meth., 123, 157, 1989参照)やSCIDマウスを用いた方法(工藤俊雄,組織培養,19, 61-65, 1993参照)等の方法で得ることができる。また、ヒト化抗体は、相補性決定部位(CDR)がマウス抗体のCDRと置き換えられた抗体をコードするように遺伝子を再構成させ、それを動物細胞で発現させることにより得ることができる(Carter等、Pro. Nat. Acad. Sci.89巻、4285頁、1992年)。
必要に応じ、再構成されたヒト化抗体のCDRが適切な抗原結合部位を形成するするように可変領域のフレームワークを、マウスのフレームワークとホモロジーが高い配列となるようにアミノ酸の置換をしても良い。このようなヒト化抗体の好ましい例は、後述の中和抗体F932−15−2やF937−9−2と同一のCDRを有するものである。当該好ましいヒト化抗体を得るには、実施例で示したハイブリドーマF932−15−2やF937−9−2から抗体をコードするDNAを作製し、CDR部分以外がヒト由来の配列となるようにヒト抗体をコードするDNAと連結させる。さらに必要に応じてフレームワーク部分をコードするDNAに変異を導入する。得られたDNAを適当な発現ベクターに組み込んで、適当な細胞を形質転換させ、形質転換体の培養上清から精製する。
本発明の抗体は、蛍光物質、酵素、発光物質もしくはラジオアイソトープで標識して体液中や組織中に存在するメルトリンもしくはその分解産物を検出するために使用することができる。先述のように、メルトリンは、筋管形成、骨吸収、癌の転移と係わっていると考えられるので、各組織や体液中におけるメルトリンの有無を検出できれば、疾患の進行度や、予後の予測、治療効果の確認をすることが可能になる。該抗体は、また、メルトリンを精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中のメルトリンを検出するために使用することができる。
また、本発明の抗体のうち中和抗体は、細胞の融合または接着または凝集を阻害するため、更に、骨吸収の抑制や、炎症の抑制、血液凝固の抑制、癌転移の抑制を目的とした医薬組成物の有効成分となる。又、培養中の細胞のアグリゲーションを阻止する培養用の試薬としても使用可能である。抗体を医薬組成物の有効成分として用いる場合には、抗原性の点から前述のようにして得られるヒト抗体やヒト化抗体が好ましい。
又、本発明は、先述した本発明のDNAを含有するベクターに係わる。本発明のベクターは、上記DNAに加え、必要に応じて、エンハンサーの配列、プロモーターの配列、リボゾーム結合配列、コピー数の増幅を目的として使用される塩基配列、シグナルペプチドをコードする塩基配列、他のポリペプチドをコードする塩基配列、ポリA付加配列、スプライシング配列、複製開始点、選択マーカーとなる遺伝子の塩基配列等を含んでいてもよい。
該ベクターは、先述した本発明のDNAを、当業者に公知の方法(例えばサムブルックJ.(Sambrook J.)等、Molecular Cloning, a Laboratory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory,ニューヨーク(New York),1989年、参照)で、任意のベクターに組み込むことにより作製できる。メルトリンもしくはその一部をコードするDNAの好適な例は、本発明のDNAに対する説明の欄ですでに開示している。当該DNAを組み込むベクターは、プラスミドベクター、ファージベクター、ウイルスベクター等から適宜選択して使用しうるが、その好適な例は、pUC118、pBR322、pSV2−dhfr、pBluescript II、PHIL−S1、λZap II、λgt10、pAc700、YRP17、pEF−BOS、pEFN−II等である。
本発明のベクターの好適な例は、メルトリンもしくはその一部を少なくとも含有するポリペプチドをコードするDNAに加え、必要に応じて複製開始点、選択マーカー、プロモーターを含み、当該メルトリンもしくはポリペプチドの発現に使用しうるベクターである。複製開始点は、大腸菌用ベクターの場合は、ColE1、R因子、F因子等を使用し、動物細胞用のベクターにはSV40やアデノウイルス由来のもの等を使用し、酵母用にはARS1由来のもの等を使用することができる。プロモーターとしては、大腸菌用にはtrp、lac、tacプロモーター等が利用でき、動物細胞用にはSV40由来のもの、サイトメガロウイルス由来のもの、アデノウイルス由来のもの、エロンゲーションファクター1αのプロモータ領域などヒトや動物の遺伝子上に本来存在するプロモーター配列が利用できる。また、酵母用にはαプロモーター等が使用でき、ピキア属酵母の場合にはAOX1プロモーターが使用できる。当該ベクターを真核細胞の形質転換に使用する場合には、上記配列に加え、必要に応じて、RNAスプライス部位、ポリアデニル化シグナル等を付加する。該発現ベクターは、メルトリンもしくはその一部を遺伝子工学的に生産するために使用することができる他、メルトリンが関与する疾患の遺伝子治療にも利用できる。
本発明は、上記ベクターを使用して形質転換させた形質転換体に係わる。
該形質転換体は、適当な宿主細胞を公知方法(実験医学臨時増刊、遺伝子工学ハンドブック1991年3月20日発行、羊土社、参照)に従い、上記ベクターで形質転換することによって得ることができる。使用する宿主細胞は、大腸菌や枯草菌等の原核細胞、もしくは酵母や昆虫細胞、動物細胞等の真核細胞から適宜選択することができる。本発明の形質転換体の好適な例は、大腸菌または酵母、またはCHO細胞を宿主として得られた形質転換体であり、本発明のメルトリンもしくは本発明のポリペプチドを発現する形質転換体である。
本発明は更に、かかる形質転換体を培養する工程を含む、本発明のメルトリンもしくはその一部を少なくとも含むポリペプチドの製造方法に係わる。
該製造方法では、まず、本発明の形質転換体を培養し、必要に応じて、遺伝子の増幅や発現誘導をおこなう。形質転換体の培養や発現誘導は、公知方法(たとえば、「微生物実験法」社団法人日本生化学会編、株式会社東京化学同人、1992年、参照)に従って行うことができる。次に、培養混合物、すなわち培養上清もしくは細胞を回収し、それらを材料として、必要に応じて濃縮、可溶化、透析、各種クロマトグラフィー等の操作を行い、本発明のメルトリンもしくはその一部を含むポリペプチドを精製する。当該ポリペプチドの精製は、上記のような通常の蛋白質の精製方法を適宜組み合わせて行うことができるが、本発明の抗体を用いたアフィニティーカラムを使用すれば効率的に精製することができる。
当該製造方法において、本発明のポリペプチドはβ−ガラクトシダーゼ等の他のポリペプチドとの融合蛋白として形質転換体に生産させてもよい。当該蛋白質を他の蛋白質との融合蛋白として発現させた場合には、精製工程のいずれかのステップにおいて、融合蛋白質をブロムシアン等の化学物質やプロテアーゼ等の酵素で処理して当該蛋白質を切り出す操作を行う。
本発明は、また、新規な有効成分を含有する医薬組成物に係わる。本発明の医薬組成物は本発明のメルトリンを有効成分とするか、メルトリンアンタゴニストを有効成分とするものである。ここでいうメルトリンアンタゴニストとは、メルトリンを介した細胞の融合、接着または凝集を阻害できる分子のことである。例えば、メルトリンを認識する本発明の抗体のうち中和活性を有するもの、もしくは該抗体のフラグメント、メルトリンの一部もしくはメルトリンの任意の一部が任意の順序で結合したポリペプチド、メルトリンをコードするDNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはその誘導体である。
メルトリンを認識する抗体は、本発明の抗体の説明の欄で既に説明した方法で得ることができるので、その中から筋細胞、破骨細胞もしくは癌細胞の接着、融合もしくは凝集を完全もしくは部分的に中和する抗体を選択し、本発明の医薬組成物の有効成分とする。該抗体は、ヒトメルトリンを認識し、ヒトの筋細胞もしくは破骨細胞、癌細胞の接着、融合もしくは凝集を阻止するものであれば、いかなるポリペプチドを投与抗原をとして得られた抗体であってもよく、またいかなる動物を免疫して得られたものであってもよい。さらにポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれであってもよい。本発明の医薬組成物をヒトに投与することを考えると、当該医薬組成物の有効成分とする抗体は、好ましくは、ヒト抗体もしくはヒト化抗体である。メルトリンを認識するヒト抗体もしくはヒト化抗体の作成方法は、既に記載した通りである。
本発明の医薬組成物の有効成分として使用する上記抗体のフラグメントとしては、上記中和抗体のFabやF(ab’)、F(ab’)2、Fvが挙げられる。
本発明の医薬組成物の有効成分として使用するメルトリンの一部もしくはメルトリンの任意の一部が任意の順序で結合したポリペプチドは、細胞の接着もしくは融合、もしくは凝集を阻止する活性を有するものであれば、メルトリンのいかなる一部を含むポリペプチドであってもよい。好適な例は、メルトリンのディスインテグリン領域の一部もしくはディスインテグリン領域の全体、もしくはメルトリンのメタロプロテアーゼ領域とディスインテグリン領域およびシステインリッチ領域を有するポリペプチド、メルトリンのディスインテグリン領域を含みかつメルトリンの膜貫通領域を含まないポリペプチド、メルトリンのメタロプロテアーゼ領域とディスインテグリン領域を少なくとも含みかつメルトリンの膜貫通領域を含まないポリペプチドである。これらのポリペプチドは化学合成して得ることもできるし、本発明のポリペプチドについての説明の欄で示したように、遺伝子工学的に生産することもできる。
本発明の医薬組成物の有効成分として使用するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその誘導体は、メルトリンをコードする遺伝子に相補的に結合し、その発現を完全もしくは部分的に抑制するもので、ヒトに投与するのに適したものであれば、いかなる塩基配列を有するものであってもよく、いかなる構造を有する者であっても良い。
既に述べたように、メルトリンは破骨細胞の形成や癌細胞の転移に関与すると考えられる。したがって、メルトリンアンタゴニストを有効成分とする医薬組成物は、骨吸収の抑制や癌の転移抑制の目的で使用できる。骨吸収抑制のための医薬の有効成分としてより好ましいものは、ヒトメルトリンαもしくはβに対するアンタゴニストであり、癌転移抑制のための有効成分としてより好ましいものはヒトメルトリンγに対するアンタゴニストである。
なお、本発明の医薬組成物が有効成分とするメルトリンおよびメルトリンアンタゴニストは、その基本的な活性を失わない限り、薬理学的に許容されうる化学修飾が施されたものや塩を形成させたものであってもよい。例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸との塩や、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸等の有機酸との塩などである。
本発明の医薬組成物には、経口投与、経皮投与、静脈内投与、筋肉内投与、腹空内投与、皮下投与、皮内投与、経腸投与等、あらゆる投与経路で使用される医薬組成物が含まれる。
また、投与方法や、投与期間も特に限定されない。本発明の医薬組成物は投与経路に応じ、薬理学的に許容されうる補助成分(賦形剤、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤、保存剤、安定化剤等)を含むことが可能である。例えば、当該医薬組成物が注射剤である場合には、ゼラチンやヒト血清アルブミン(HSA)、ポリエチレングリコール等の安定化剤、D−マンニトール、D−ソルビトール、ブドウ糖などのアルコールや糖類、ポリソルベート80(TM)等の界面活性剤を含んでいてもよい。
本発明の医薬組成物は、主として、骨粗鬆症や高カルシウム血症の治療・予防、癌の浸潤や転移を予防するために使用することができる。
本発明の医薬組成物のヒトに対する投与量は患者の病態、年齢、あるいは投与方法により異なるが、例えば、約0.1〜100mg/kg/日の用量、好ましくは、1〜50mg/kg/日、特に好ましくは約1〜10mg/kg/日の用量で使用することができ、患者の病態に応じて、点滴等で持続的に投与したり、適当な回数に分割して投与したり、単回投与したりすることができる。
本発明の医薬組成物は定法にしたがって製剤化することが可能である。例えば、注射用製剤であれば、薬理学的に許容されうる程度に精製され、無菌状態で調整されたメルトリンもしくはメルトリンアンタゴニストを生理食塩水、緩衝液等に溶解し、必要があればゼラチンやヒト血清アルブミンを添加する。また、このような液剤を凍結乾燥して、使用時に注射用蒸留水や、生理食塩水に溶解しても良い。
本発明のメルトリン、各種ポリペプチド、及びそれらをコードするDNA等を使用して、メルトリンに結合する物質やメルトリンの活性を阻害する物質、メルトリンの発現を調節する物質のスクリーニングを実施することも出来る。
【図面の簡単な説明】
図1a〜図1bは、マウスメルトリンα、β、γ(それぞれMα、Mβ、Mγ)の一部と公知の配列(macrophage specific antigen(MS2)、Jararhagin(JR)、fertilin−α(fα))との比較を示す図である。
図2a〜図2jは、マウスメルトリンαのアミノ酸配列と対応するDNA配列を示す図である。
図3a〜図3jは、マウスメルトリンβのアミノ酸配列と対応するDNA配列を示す図である(図中、Nはその部位の塩基が未確定であることを示す)。
図4a〜図4iは、マウスメルトリンγのアミノ酸配列と対応するDNA配列を示す図である。
図5a〜図5jは、pBSMelα中に組み込まれている、マウスメルトリンαをコードする塩基配列を含むDNAのDNA配列の解析結果を示す図である(図中、N、M、W、Sはその部位の塩基が未確定であることを示す。)
図6a〜図6hは、pBSMelβ中に組み込まれている、マウスメルトリンβをコードする塩基配列を含むDNAのDNA配列の解析結果を示す図である(図中、N、M、W、Sはその部位の塩基が未確定であることを示す。)
図7a〜図7eは、pBSMelγ中に組み込まれている、マウスメルトリンγをコードする塩基配列を含むDNAのDNA配列の解析結果を示す図である(図中、N、M、W、Sはその部位の塩基が未確定であることを示す。)
図8は、メルトリンα、β、γ、δMP、δProの構造を模式的に示した図である。
図9は、ウエスタンブロッティングの結果を示す電気泳動の写真である。
図10は、ノーザンブロッティングの結果を示す電気泳動の写真である。
図11a〜図11bは、筋芽細胞におけるメルトリンの融合促進活性を示す図である。
図12a〜図12bは、pBShuMα300に組み込まれた、ヒトメルトリンαをコードするDNAの塩基配列の解析結果を示す図である(図中、Nはその部位の塩基が未確定であることを示し、Xはその部位のアミノ酸が未確定であることを示す)。
図13a〜図13dは、pBShuMγG238に組み込まれた、ヒトメルトリンγをコードするDNAの塩基配列の解析結果を示す図である。
図14aは、ヒトメルトリンαのクローニングにおける、クローニング領域を模式的に示す図である。
図14bは、ヒトメルトリンβのクローニングにおける、クローニング領域を模式的に示す図である。
図15a〜図15fは、pMelα-26N、pMelα-25Cに組み込まれたDNAの解析結果をもとに決定したヒトメルトリンαの部分アミノ酸配列と対応する塩基配列を示す図である。
図16は、ヒトメルトリンβ部分のアミノ酸配列と対応する塩基配列を示す図である。
図17a〜図17cは、pMelβ-24C、pMelβ-24Nに組み込まれたDNAの解析結果をもとに決定したヒトメルトリンβの部分アミノ酸配列と対応する塩基配列を示す図である。
図18aは、投与抗原に使用したペプチドの、マウスメルトリンαにおける部位を模式的に示す図である。
図18bは、投与抗原に使用したペプチドのアミノ酸配列を示す図である。
図19は、抗マウスメルトリンα抗体を使用したウエスタンブロティングの結果を示す電気泳動の写真である。
図20は、抗マウスメルトリン抗体による筋管形成の抑制を示す図である。
図21は、抗マウスメルトリン抗体の、マウス全骨細胞による骨吸収窩形成に及ぼす作用を示す図である。
図22は、抗マウスメルトリン抗体の低Ca食マウスにおける血清Ca値に対する作用を示す図である。
図23a〜図23bは、ヒトメルトリンαの膜貫通領域を含むアミノ酸及びそれに対応する塩基配列を示す図である。
図24a〜図24eは、pMelβ-24C、pMelβ-24Nに組み込まれたDNAの塩基配列の解析結果を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の最良の実施の形態を示す実施例により、本発明をより詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を何等限定するものではない。
実施例
以下の記載において用いる略号は、当該技術分野における慣用略号に基づくものである。
なお、以下に示す実施例中の諸操作は、主にサムブルック等編〔モレキュラークローニング,ア ラボラトリーマニュアル 第2版〕コールドスプリングハーバーラボラトリー,1989年;ハーロー・レイン著[抗体 ア ラボラトリーマニュアル]コールドスプリングハーバー等を参考として実施した。
実施例1: RT−PCRによるマウスメルトリンをコードするDNAの取得
(1)RNA、cDNAの調製
胎児性線維芽細胞C3H10T1/2由来の筋芽細胞(筋分化制御因子myogenin遺伝子をトランスフェクトし、発現させたクローン)を10%ウシ胎児血清(モアゲート)を含むDMEM中で106細胞/φ10cmプレートまで増殖させ、分化培地(2%ウマ血清ギブコを含むDMEM)で37℃にて2日間培養し、分化誘導した。グアニジンイソチオシアネート/アシッドフェノール法(コムシンスキーP.(Chomczynski P.)およびサシーN.(Sacchi N.), Anal. Biochem., 162巻、156-159頁、1987年)によって総RNAを分離した後、オリゴ(dT)−セルロースカラムクロマトグラフィーを2回繰り返しポリ(A)RNAを選択的に分離した。このポリ(A)RNAを鋳型として、ランダムプライマー(N6,ファルマシア)を用い、cDNAを合成した。合成にはGibco BRLのMLV逆転写酵素を用い、その合成マニュアルに従った。このcDNAを次のPCRの鋳型として用いるとともに、さらに二重鎖DNAを合成し、ファージ(λZapII(stratagene))に組み込み、cDNAライブラリーを作成した。
(2)RT−PCR
(1)で調製したcDNAを鋳型として以下の手順でRT−PCRを行った。センスプライマーとしてアミノ酸配列EDCDCGもしくはEECDCGをコードする重複プライマー(degenerative primer)を合成して使用した。また、アンチセンスプライマーとして、アミノ酸配列(KCGKLIC)をコードする重複プライマーを合成して使用した。
まず、プライマーと前述のcDNA、Taqポリメラーゼ、およびその反応試薬(ベーリンガーマンハイム)と混合し、DNAサーマルサイクラー(パーキン・エルマー・シータス)にて95℃で1分間、55℃で2分間、72℃で3分間反応させ、この操作を36サイクル行い、450bp付近の増幅産物を1.5%アガロースゲルで電気泳動して回収した。
得られた増幅断片をプラスミドpBS−SKII(−)(Stratagene)のSmaIサイトに組み込み、DNAシーケンサー(370A型、アプライドバイオシステムズ)を使用して、DNA配列を解析した。その結果、3種の分子種が存在することが判明した(図1参照)ので、これら3種のDNAフラグメントをプローブとして、先に述べたcDNAライブラリーをスクリーニングし、それぞれ903,920,845アミノ酸残基のオープンリーディングフレーム(図2a〜図2j、図3a〜図3j、図4a〜図4i)を有するcDNAを単離し、それぞれの遺伝子産物(図5a〜図5j、図6a〜図6h、図7a〜図7e)をメルトリン(meltrin)−α、β、γと命名した。これらのcDNAをpBS−SKII(−)に挿入したプラスミドをそれぞれpBSMelα、pBSMelβ、pBSMelγと命名した。
公知方法で大腸菌株JM109をpBSMelα、pBSMelβ、pBSMelγで形質転換し、得られた形質転換体JM109(pBSMelα)、JM109(pBSMelβ)、JM109(pBSMelγ)を、1996年2月19日付で日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号305)の工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託した(受託番号FERM P−15451、FERM P−15452、FERM P−15453)。尚、それらは、1996年10月8日付でブタペスト条約に基づく寄託に移管され、夫々、受託番号FERM BP−5701、FERM BP−5702及びFERM BP−5703が付されている。
(3)メルトリンの構造の解析
上記(2)で決定したDNA配列をもとに、メルトリンの構造を解析した。その結果、メルトリンα、β、γは、膜貫通型蛋白質と推定され、細胞外ドメイン、膜貫通(Transmembrane, TM)領域、細胞内ドメインからなり、細胞外ドメインはシグナルペプチド様配列を含む前駆体様領域(Pro region)と、メタロプロテアーゼ(Metalloproteinase)領域、ディスインテグリン(Disintegrin)領域とそれに続くCysteinに富むシステイン・リッチ(Cystein Rich)領域からなり、メルトリンαの場合は、システイン・リッチ領域の中に融合ペプチド(Fusion peptide, FP)様配列をもつことがわかった(図8参照)。
ヘビ毒Jararhagin等との相同性に基づき、メルトリンαでは、前駆体様領域は図2a〜図2jのN末端から205番目のArgまで(対応する塩基配列は、塩基番号221〜835)、メタロプロテアーゼ領域は、206番目のGluから414番目Proまで(対応する塩基配列は、塩基番号836〜1462)、ディスインテグリン領域は、420番目のPheから509番目Glyまで(対応する塩基配列は、塩基番号1478〜1747)、システイン・リッチ領域は、510番目のHisから706番目のGlyまで(そのうち融合ペプチド様配列は585番目Glyから607番目のGluまで)(対応する塩基配列は、それぞれ塩基番号1748〜2338、1973〜2041)、膜貫通領域は707番目のLeuから727番目のLeuまで(対応する塩基配列は、塩基番号2339〜2401)と考えられた。
メルトリンβでは、前駆体様領域はN末端から204番目のArgまで(対応する塩基配列は、塩基番号63〜674)、メタロプロテアーゼ領域は205番目のGluから409番目Proまで(塩基番号675〜1289)、ディスインテグリン領域は415番目のTyrから504番目のGlyまで(塩基番号1305〜1574)、システイン・リッチ領域は505番目のThrから706番目のProまで(塩基番号1575〜2180)、膜貫通領域は707番目のValから729番目のArgもしくは707番目のValから724番目のLeuまで(塩基番号2181〜2249もしくは2181〜2234)と考えられた。
メルトリンγでは、前駆体様領域はN末端から205番目のArgまで(塩基番号69〜683)、メタロプロテアーゼ領域は206番目のAlaから406番目のProまで(塩基番号684〜1292)、ディスインテグリン領域は412番目のTyrから502番目のGlyまで(塩基番号1302〜1574)、システイン・リッチ領域は503番目のTyrから694番目のAlaまで(塩基番号1575〜2150)、膜貫通領域は695番目のLeuから714番目のIleまで(塩基番号2151〜2210)と考えられた。
実施例2: 抗メルトリンα抗体の取得
(1)投与抗原の調製
グルタチオン−S−トランフェラーゼ(GST)(Smith, D. B. & Johnson, K. S.、Gene、67巻、31-40、1988年)のC末端に、図2a〜図2jに示したメルトリンαのアミノ酸配列のN末端より数えて483番目のSerから635番目のLysまでを有するキメラポリペプチドを以下の方法で作成した。まず、GSTに対するcDNAを含むプラスミドpGEX2T(ファルマシア)をBamHIで消化し、ベクターとした。一方、PCRにより、図2a〜図2jのメルトリンαの483番目のSerから635番目のLysに対応するcDNAをpBSMelαから増幅させ、BamHIリンカーを、DNAリガーゼを使用してライゲーションした。これと、先に得られたベクターをDNAリガーゼを使用してライゲーションし、プラスミドを作成した。このプラスミドを使用して、公知の方法で大腸菌株NM522を形質転換した。
得られた大腸菌トランスフォーマントを0.1mMIPTGを含むL−ブロスで培養し、発現誘導することによって、菌内で大量のキメラペプチドを産生させた。この菌をMTPBS(150mMNaCl、16mMNa2HPO4、4mMNaH2PO4、0.1mMPMSF)に懸濁し、超音波処理したのち、1%Tritonにて溶解し、上清を回収した。その上清にグルタチオンアガロース(シグマ)を加えてキメラペプチドを吸着させ、溶出バッファー(50mMTris−HCl、pH8.0、5mMグルタチオン)で溶出し抗原とした。
(2)抗血清の調製
(1)で作成した投与抗原1mg/0.5mlPBSと等量のRIBIをPBSでもどしたもの(MPL+TDM+CWS Emulsion フナコシ)とを混合し、ウサギ(12週齢、雌)の皮下・皮内に投与した。その4週間後さらに4週間間隔で2回、500μg追加投与を行い、抗血液を採取し、血清を分離して、抗血清を得た。
(3)抗血清のアフィニティー精製
(1)において大腸菌で発現させ可溶化したキメラポリペプチド、あるいはペプチドを融合していないGSTをグルタチオン−アガロースビーズに結合させたあと、0.2Mのホウ酸ナトリウム(pH9.0)で洗浄し、ディメチルピメリミデート(終濃度20mM)を加え、抗原をビーズに不可逆的に結合させて、夫々、キメラポリペプチド−アフィニティービーズおよびGST−アフィニティービーズを作成した。
次に、10mMTris−HCl(pH7.5)で10倍希釈した抗血清を、まず、GST−アフィニティービーズと混合し、抗GST抗体を吸着除去したのち、上清をキメラペプチド−アフィニティビーズと混合し、抗メルトリンα抗体を吸着させた。これを10mM Tris pH7.5 500mM NaClで洗浄ののち100mMグリシンで溶出し、精製抗メルトリンα抗体を回収した。
(4)ウエスタンブロッティング
C2細胞を15%ウシ胎児血清を含むDMEMで106細胞/φ10cmプレートまで増殖させた。さらに分化培地(2%のウマ血清を含むDMEM)で37℃にて培養し、2日目の細胞(C2DM d2)、および4日目の細胞(C2DM d4)を回収した。
また、以下の実施例5(3)の方法で作成したpBOSMelα(+)の形質転換体C2を、15%ウシ胎児血清を含有するDMEM中で、37℃、3日間培養した。培養後、直径6cmのプラスチックディッシュに2×105/ディッシュとなるように植え込み、さらに1日培養したのち前述の分化培地に交換し、分化誘導を行った。2日間培養後、細胞を回収した。
回収したC2DM d2、C2DM d4およびpBOSMelα(+)の形質転換体をSDS可溶化バッファー(100mMトリス塩酸(pH6.8)、4%SDS、20%グリセロール)と混合後、超音波破砕を行い、遠心してその上清をサンプルとして用いた。
次にメンブレンを洗浄液で2回洗浄した。TBS−Tにとかした5%スキムミルクで、(3)で得られた抗血清を20倍に希釈し、これにメンブレンを浸してと37℃で1時間反応させた。反応終了後、洗浄液で2回洗浄した。上記スキムミルクで、ビオチン標識抗ウサギイムノグロブリンズ抗体(ダコ)を4000倍に希釈し、これにメンブレンを浸して37℃で1時間反応させた。メンブレンを洗浄液で2回、洗浄ののち5000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビシンで1時間反応させ、2回洗浄し、MB試薬(Cat.TM912、シック)で発色させ、ECLシステム(アマーシャム)で測定した。
結果を図9に示した。
ウエスタンブロッティングの結果、約115KD、86KD、67KD、58kDの位置にバンドが認めれた。分子量から、メルトリンαは糖蛋白として発現されていると推定された。また、86KDの分子は、前駆体様領域配列が欠損したもの、67kD、56kDの分子は、更にメタロプロテアーゼ領域までが欠損したものと考えられた。
実施例3: ノーザンブロッティング
ファルマシアのmRNA分離キットを用い、マウス各組織(成年マウスの骨、脳、肝臓、心臓、骨格筋および新生児マウスの骨、骨格筋、胎児マウスの骨、骨格筋)から実施例1の方法でポリ(A)RNAを調製した。50%ホルムアミド中で65℃5分間加熱しRNAを変性させ、6.6%のホルマリンを含む1.5%アガロースゲルで電気泳動を行い、ナイロン膜(ハイボンド−N、アマーシャム)に転写させた。
一方、実施例1で得られたメルトリンα、β、γのディスインテグリン領域及びシステイン・リッチ領域の一部(図2a〜図2jのN末端から数えて434番目のGluから583番目のCys、図3a〜図3jのN末端から数えて429番目のGluから578番目のCys、図4a〜図4iのN末端から数えて426番目のGluから575番目のCysをコードするcDNAをPCRにより調製し、ランダムプライマーラベリングキット(Megaprime、アマーシャム)によって32P標識した。また、コントロール用のプローブとしてG3PDH(glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase,グリセルアルデヒド 3−フォスフェート デハイドロゲナーゼ)に対するcDNAを同様に32P標識した。これらプローブを使用し、前述の各組織からのmRNAに対してノーザンブロッティングを行った。ブロッティングの操作は、ハイストリンジェンシー(high stringency)の条件下でサムブルック J.(Sambrook J.)らの方法(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory,ニューヨーク(New York), 1989年)を用いた。
結果を図10に示した。メルトリンα、βは成年および新生児マウスの骨、新生児マウス、胎児マウスの骨格筋でのみ発現していた(胎児マウスの結果は図10には示していない)。またメルトリンγの発現は、組織特異性は認められず、普遍的に発現していた。
実施例4: メルトリンの接着活性の確認
(1)プラスミドpBOSMelαδMP(+)およびpBOSMelαδMP(−)の作成
メルトリンαの細胞外ドメインのうち、前駆体様領域とメタロプロテアーゼ領域部分を欠失させた、欠失型メルトリンδMPを以下の方法で作成した。
まず、プラスミドpBSMelαをMscIで部分消化し、1%アガロースゲル電気泳動に供し、直鎖状プラスミドDNAを得た。これをNheIで部分消化したのち、DNAポリメラーゼKlenowフラグメントにて平滑末端としたのち、分子内ライゲーションを行なった。そして、正しい欠失をもつものを選択し、DNA配列を確認した。ベクターのマルチクローニングサイトのEcoRVおよびNotIで消化し、約5.8kbの欠失型δMPフラグメントを得た。
一方、プラスミドpEFBOS(Mizushima S. & Nagata S、Nucleic Acid Res. 18巻、5322頁、1990年)を制限酵素XbaIで消化し、脱リン酸化し、Klenowフラグメントにて平滑末端としたのち、1%アガロースゲル電気泳動に供して直鎖型ベクターDNAを得た。これと、先述の5.8kbpの断片とを、DNAリガーゼを使用してライゲーションし、プラスミドpBOSMelαδMP(+)およびpBOSMelαδMP(−)を得た。これらは、メルトリンαアミノ酸配列のN末端より数えて55番目のIleから399番目Gluの欠失したδMPをコードするインサートDNAを、それぞれセンス方向、アンチセンス方向に組み込んだコンストラクトである。
(2)プラスミドpBOSMelα(+)の作成
プラスミドpBSMelαをEcoRVおよびNotIで消化し、約7kbのフラグメントを得た。先述のプラスミドpEFBOSを制限酵素XbaIで消化し、脱リン酸化し、Klenowフラグメントにて平滑末端としたのち、1%アガロースゲル電気泳動に供して直鎖型ベクターDNAを得た。これと、先述の約7kbpの断片とを、DNAリガーゼを使用してライゲーションし、得られた発現プラスミドpBOSMelα(+)と命名した。
(3)プラスミドpBOSMelαδPro(+)の取得
メルトリンαの前駆体様領域とメタロプロテアーゼ領域の境界付近にはAflIIサイトがあり、メタロプロテアーゼ領域とディスインテグリンドメインの境界付近にはNheIサイトがある。一方、(1)で作成したpBOSMelαδMP(+)において、シグナルペプチド様領域とディスインテグリン領域の境界にはNheI部位が残してある。そこで、pBOSMelαをAflIIで消化し、メタロプロテアーゼドメインの直前にNheIリンカーを結合したのち、NheIで消化してメタロプロテアーゼドメインを切り出した。これを、pBOSMelδMP(+)のシグナルペプチド様配列とディスインテグリンドメインの間のNheI部位に挿入し、前駆体様領域付近(メルトリンαのアミノ酸配列のN末端より数えて55番目のIleから206番目のGluまで)が欠失したδProに対する発現プラスミドpBOSMelαPro(+)を得た。
(4)筋芽細胞融合促進活性の確認
プラスミドpBOSMelα(+)あるいはpBOSMelαδMP(+)とプラスミドpSV2NEOとをモル比で20:1に混合したものを、リポフェクトアミン(ギブコBRL)を用いてそのプロトコールに従って、筋芽細胞C2に導入し、トランスフェクション後の細胞を、直径10cmのコラーゲンコートしたプレート(イワキ)あたり10−20個の形質転換体が得られるように希釈して蒔き、これを20%のウシ胎児血清および5ng/mlのbFGF(ギブコBRL)を含有するDMEM中で12日間培養し、形質転換体を単離した。
筋芽細胞の融合活性を調べるため、得られたトランスフォーマント及び親株のC2細胞をbFGF非存在下で3−4日間培養した後、直径6cmのプラスティックディッシュに2X105/ディッシュとなるように植え込み、さらに一日培養した。これを前述の分化培地に移して分化誘導を行い、さらに4日間培養した。分化誘導を行うとC2は筋管を形成し始めた。4日後、メタノールで固定し、ギムザ、ライトの染色液(メルク)にて染色後、各ディッシュ中の任意の4カ所について1mm2あたりの核数を測定し、以下の式によって融合率を求めた。
Figure 0004118336
また、分化誘導後、1日ごとに5日間、細胞融合率の時間経過を調べた。
これらの実験結果を図11a〜図11bに示した。図から明らかなように、メルトリンαの全長を発現させた形質転換体(pBOSMelα(+)、図中full length)は、親株に比べてその融合能が低下し、従って何らかの形で細胞融合に阻害的にはたらくと考えられたが、これに対し、pBOSMelαδMP(+)(図中δMP)を発現させた場合には、融合能の顕著な促進がみられた。なお、pBOSMelαδPro(+)でC2細胞を形質転換し、得られた形質転換体でも融合促進活性が認められた。
一方、メルトリンβの全長を(3)の要領でpEFBOSに組み込んだプラスミドpBOSMelβ(+)でC2細胞を形質転換して、メルトリンβを発現させた場合、筋細胞の融合能に大きな変化はみとめられなかった。しかし、pBOSMelα(+)とpBOSMelβ(+)をC2細胞にコトランスフェクトして得られた形質転換体を調べると、親株に比べて細胞融合が促進されることがわかった。
これに対し、メルトリンγの全長を(3)の要領でpEFBOSに組み込んだプラスミドpBOSMelγ(+)でC2細胞を形質転換して、メルトリンγを発現させた場合、あるいは、pBOSMelα(+)とpBOSMelγ(+)をC2細胞にコトランスフェクトして得られた形質転換体は、いずれも筋細胞の融合能に大きな変化はみとめられなかった。
以上の結果から、メルトリンαは筋細胞融合に関与し、そのプロセシングによって細胞融合を促進する活性を示すことが明らかになった。さらに、メルトリンαとβとをともに発現するような形質転換体で筋細胞の融合が促進されたことから、メルトリンαおよびβは単独で機能しているのではなく、メルトリンαとβがヘテロマーを形成して機能するものと推定された。
(5)非筋細胞におけるメルトリンの機能の検討
マウス線維芽細胞L929をpBOSMelα(+)あるいはpBOSMelβ(+)で形質転換し、メルトリンαあるいはβを発現する形質転換体を単離した。これらの形質転換体では、いずれの場合も同種細胞同士の凝集あるいは融合は認められなかった。また、メルトリンαおよびメルトリンβの両方を発現させた細胞でもこうした変化はみられなかった。
これに対し、L929をpBOSMelγ(+)で形質転換した形質転換体は、カルシウムイオンを含まない培地で細胞をプレートからはがし、これをカルシウムイオン添加培地に戻すと、顕著な凝集活性を示した。
この結果から、メルトリンγには細胞凝集能のあることが示されるとともに、分子の相同性から考えて、メルトリンα、βの筋芽細胞融合促進活性も、筋芽細胞凝集活性によって引き起こされたことが示唆された。
実施例5: アンチセンスによる接着活性の抑制
実施例4(1)で作成したプラスミドpBOSMelαδMP(−)を、プラスミドPSV2NEOとモル比で20:1に混合し、実施例4(4)に述べた方法でC2細胞を形質転換し、アンチセンスRNAを発現している形質転換体を単離した。この形質転換体の接着活性を実施例4の方法で測定した。結果を図11a〜図11bに示した(図中のAS)。その結果、δMPに対するアンチセンスRNAの発現により、C2細胞の融合が抑制されることが確認された。
このことから、メルトリンαが筋細胞の融合には不可欠な役割を示すことが明らかとなった。
実施例6: ヒトメルトリンαおよびγをコードするcDNA断片の取得方法
ヒト骨髄細胞から精製されたmRNA(クローンテック)を鋳型として、実施例1(1)に記載の方法でcDNAを合成し、これを鋳型として、実施例1(2)で作製した重複プライマーを用いて36サイクルのPCRを行った。増幅産物をクローニングし、pBS−SKII(−)のEcoRVサイトに挿入し、pBShuMα300と命名した。解析したDNA配列を図12a,図12bに示した。
解析の結果、ヒトメルトリンαのディスインテグリンの途中からシステインリッチ領域の途中までをコードする塩基配列を含むことがわかった(図12a〜12b中のアミノ酸配列のうち、36番目のGlyまでがディスインテグリン領域であり、37番目以降はシステインリッチ領域である)。
一方、マウスメルトリンγと相同性を有する機能不明のヒト配列がデータベースに登録されていた(D−14665)ため、その一部の配列を利用して、センスプライマー(5′−CACGATGATGGGAGAGATTG−3′)およびアンチセンスプライマー(3′−CACTCTGATTTCCTATGCCTC−5′)を合成した。上述の方法でPCRを行い、増幅産物をクローニングし、pBS−SKII(−)のEcoRVサイトに挿入し、pBShuMγG238と命名した。解析したDNA配列を図13a,図13bに示した。
解析の結果、ヒトメルトリンγのメタロプロテアーゼ領域の途中からシステインリッチ領域の途中までをコードする塩基配列が含まれていることがわかった(図13a〜図13b中のN末端からアミノ酸番号40番目のProまでがメタロプロテアーゼ領域、41番目のLysから136番目のGlyもしくは46番目のTyrから136番目のGlyまでがディスインテグリン領域、137番目のTyr以降がシステインリッチ領域である)。公知方法に従い、大腸菌株JM109を、これらのプラスミドで夫々形質転換し、得られた形質転換体JM109(pBShuMα300)及びJM109(pBShuMγG238)を1996年2月19日付で日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号305)の工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託した(受託番号 FERM P−15454およびP−15455)。尚、それらは、1996年10月8日付でブタペスト条約に基づく寄託に移管され、夫々、受託番号FERM BP−5704およびFERM BP−5705が付されている。
実施例7: ヒト胎盤由来cDNAライブラリーを使用したヒトメルトリンαをコードするcDNA断片の取得−1
(1)1stスクリーニング
実施例6で得られたメルトリンαcDNAの配列をもとに、センスプライマーMA-1、アンチセンスプライマーMA-2(表1参照)を合成した。ヒト胎盤λgt 11 cDNAライブラリー(クローンテック社code No. CLHL1008b)をLBプレート(φ10cm)上に1万プラーク/plateになるよう播種した。プラーク形成後、SMバッファーを5ml加え、室温下4時間静置することでプレートごとにファージを回収した(プレートライセート法)。回収したそれぞれのファージ溶液を鋳型としてPCRを行った。即ち、先に合成したMA-1、MA-2プライマーと、Ex Taqポリメラーゼ(TaKaRa社)、およびその反応試薬(TaKaRa社)を混合し、DNAサーマルサイクラー(パーキン・エルマー社)にて94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間反応させ、この操作を35サイクル行った。増幅産物の一部をアガロースゲル電気泳動に供することにより、メルトリンαcDNAが組み込まれたクローンを含むファージ液を選択した。
(2)2nd.スクリーニング
1stスクリーニングで得られた、目的とするクローンを含むファージ液を400プラーク/plateになるよう播種した。プラーク形成後、上記と同様の手法によりファージを回収し、目的クローンを含むファージ液を選択した。
(3)3rd.スクリーニング
2ndスクリーニングで得られた、目的とするクローンを含むファージ液を40プラーク/plateになるよう播種した。プラーク形成後、上記と同様の手法によりファージを回収し、目的クローンを含むファージ液を選択した。
(4)4th.スクリーニング
3rdスクリーニングで得られた、目的とするクローンを含むファージ液を10プラーク/plateになるよう播種した。プラーク形成後、上記と同様の手法によりファージを回収し、目的クローンを含むファージ液を選択した。
(5)finalスクリーニング
4thスクリーニングで得られた、目的とするクローンを含むファージ液を20プラーク/plateになるよう播種し、プラークを形成させた。単一プラークそれぞれを楊枝で穿刺し、鋳型としてPCR反応液中に懸濁した。MA-1,MA-2プライマーによる35サイクルのPCRにより、目的プラークの判別を行ったところ、最終的に2つの陽性クローンが得られた。この目的クローンを含む単一の陽性プラークをSM Buffer中に回収し、ファージを溶出させた。
更に、このファージを鋳型として、λgt11 Forward primer、同Reverse primer(表1参照)によりPCRを行いファージベクター中のヒトメルトリンαcDNA断片を回収した。
この断片の末端塩基配列を一部解析したところ、実施例6で得られたヒトメルトリンαをコードする塩基配列を含んでおり、マウスメルトリンの約650アミノ酸(clone 23)と約500アミノ酸(clone 25)に対応するヒトcDNA断片であることが予想された(図14参照)。
実施例8: ヒト胎盤由来cDNAライブラリーを使用したヒトメルトリンαをコードするcDNA断片の取得−2
実施例7で明らかとなったclone 23中のcDNA配列のN末端側の配列をもとにセンスプライマーMel α-5’S(表1参照)を設定した。センスプライマーMel α-5’SとアンチセンスプライマーMA-2を用いて、ヒト胎盤λgt 11 cDNAライブラリーをスクリーニングした。その結果、約700アミノ酸をコードするcDNA(clone 26)が得られた。(図14a参照)。
メルトリン遺伝子の塩基配列解析のためにλgt11 Forward-Eco、λgt11 Reverse-Eco、MA-1-Eco、MA-2-Eco、計4種のプライマーを合成した。(表1参照)
Figure 0004118336
Clone 25をtemplateとし、MA-1-Eco、λgt11 Reverse-Ecoプライマーを用いたPCRによりメルトリン遺伝子の後半部を、Clone 26をtemplateとし、MA-2-Eco、λgt11 Forward-Ecoプライマーを用いたPCRにより、メルトリン遺伝子の前半部を増幅した。これらのcDNA断片をEcoRI消化後、それぞれpUC 118のEco RI siteにクローニングし、それぞれ、pMelα-26N、pMelα-25Cと命名した。これらのプラスミドについて常法により塩基配列解析を行いメルトリンαcDNA配列を決定した。
これらのプラスミドで、大腸菌JM109株をハナハン等の方法で形質転換し、得られた形質転換体(大腸菌JM109(pMelα-26N)、大腸菌JM109(pMelα-25C))を日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号 305)の工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センターにブタペスト条約に基づき1996年10月3日付で寄託した(受託番号:BP−5689、BP−5688)。
pMelα-25CおよびpMelα-26Nの塩基配列の解析から明らかになった、ヒトメルトリンαの塩基配列及び対応するアミノ酸配列を図15a〜図15fに示す。
実施例6で得られたDNAの塩基配列と比較したところ4カ所において塩基が異なっていた。そのうちの3カ所はサイレントミューテーションであり、残りの1カ所については、対応するアミノ酸が実施例6ではグルタミン酸であったのに対し、今回解析した配列ではアスパラギン酸(図15a〜図15fに示したアミノ酸番号の505番目)であった。
また、得られた塩基配列の構造を解析したところ、今回得られたDNAはヒトメルトリンαの前駆体領域の途中からC末端までをコードするものであると思われた。すなわち、図15a〜図15fに示したアミノ酸配列のうち、N末端のGlyから155番目のArg(対応する塩基配列は、塩基番号1〜465)までが前駆体領域のC末端側部分配列であり、156番目のGluから364番目のPro(対応する塩基配列は塩基番号466〜1092)までがメタロプロテアーゼ領域であり、365番目のGluから459番目のGlyもしくは370番目のPheから459番目のGly(対応する塩基配列は塩基番号1093〜1377もしくは1108〜1377)までがディスインテグリン領域であり、460番目のHisから656番目のGlnもしくは460番目のHisから652番目のAla(対応する塩基配列は塩基番号1378〜1968もしくは1378から1956)までがシステイン・リッチ領域(そのうち融合ペプチド様配列は535番目のGlyから557番目のGln(対応する塩基配列は塩基番号1603〜1671))である。一方、今回得られたヒトメルトリンαには膜貫通領域が存在していなかった。これはヒトメルトリンαが、生体内で、膜貫通領域を持たない可溶型蛋白質として存在することを示唆している。すなわち、図15a〜図15fのアミノ酸配列を有するメルトリンαは、生体内で細胞外に分泌され血液や体液中に存在するものと考えられる。このような可溶型のメルトリンαは、生体内で、細胞の接着、融合、凝集を調節する役割を担っていると考えられる。
図15a〜図15fのアミノ酸配列を有するメルトリンは、遺伝子のオルタネイティブスプライシングによって生じたものと考えられる。おそらく今回得られた配列のシステインリッチ領域よりも後の部分をコードするDNAと、膜貫通領域から細胞内領域をコードするDNAとは異なるエクソン上にあって、それらのいずれかがスプライシングアウトすることで可溶型メルトリンと、膜結合型メルトリンが生じるのであろう。
実施例9: ヒトメルトリンβをコードするcDNA断片の取得
(1)ヒトメルトリンβをコードするcDNA断片のディスインテグリン領域の一部の取得
ヒト骨髄細胞から精製されたmRNA(クローンテック)を鋳型として実施例1(1)に記載の方法でcDNAを合成し、これを鋳型として実施例1(2)で作製した重複プライマーを用いて36サイクルのPCRを行った。増幅産物をクローニングし、pBS−SKII(−)に挿入した。得られたDNA配列を解析したところ、メルトリンβの部分配列であることが確認された。解析したDNA配列を図16に示した。
(2)ヒト胎児肺由来cDNAライブラリーを使用した1stスクリーニング
(1)で得られたメルトリンβcDNA部分配列をもとに、センスプライマーMA-3、アンチセンスプライマーMA-4(表2参照)を合成した。ヒト胎児肺λgt 11 cDNAライブラリー(クローンテック社 code No. CLHL1072)をLBプレート(φ10cm)上に1万プラーク/plateになるよう播種した。プラーク形成後、SMバッファーを5ml加え、室温下4時間静置することでプレートごとにファージを回収した(プレートライセート法)。回収したそれぞれのファージ溶液を鋳型とし、先に合成したMA-3、MA-4プライマーと、Ex Taqポリメラーゼ(TaKaRa社)、およびその反応試薬(TaKaRa社)を混合し、DNAサーマルサイクラー(パーキン・エルマー社)にて94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間反応させ、この操作を35サイクル行った。増幅産物の一部をアガロースゲル電気泳動に供することにより、メルトリンβcDNAが組み込まれたクローンを含むファージ液を選択した。
(3)2nd.スクリーニング
1stスクリーニングで得られた、目的とするクローンを含むファージ液を1000プラーク/plateになるよう播種した。プラーク形成後、上記と同様の手法によりファージを回収し、目的クローンを含むファージ液を判別した。
(4)3rd.スクリーニング
2ndスクリーニングで得られた、目的とするクローンを含むファージ液を100プラーク/plateになるよう播種した。プラーク形成後、上記と同様の手法によりファージを回収し、目的クローンを含むファージ液を判別した。
(5)4th.スクリーニング
3rdスクリーニングで得られた、目的とするクローンを含むファージ液を10プラーク/plateになるよう播種した。プラーク形成後、上記と同様の手法によりファージを回収し、目的クローンを含むファージ液を判別した。
(6)cDNA部分配列を含むDNA断片の回収および確認
4thスクリーニングで得られた目的クローンを含むファージ液(#24)を鋳型として、λgt11 Forward primer(表1参照)とMA-4プライマーによるPCR、およびλgt11Reverse primer(表1参照)とMA-3プライマーによるPCRを行い、それぞれ約500bp(24-F/4)および約2kbp(24-R/3)の増幅産物を得た。これら2種のDNAフラグメントの末端塩基配列を一部解析したところ、(1)で得られた配列を含むことが確認された。
(7)塩基配列解析
ヒトメルトリンβcDNA部分配列を含むDNAフラグメントをサブクローニングするために、新たにMA-3-Eco、MA-4-Eco、計2種のプライマーを合成(表2参照)した。ファージ液#24をtemplateとして、MA-4-Eco、λgt11 Forward-Ecoプライマー(表1参照)を用いたPCR、およびMA-3-Eco、λgt11 Reverse-Ecoプライマー(表2参照)を用いたPCRを行い、それぞれ得られた増幅産物をEcoRI消化後、pUC 118のEco RI siteにクローニングした(図14b参照)。これらのプラスミドpMelβ-24C、pMelβ-24Nについて常法により塩基配列解析を行いメルトリンβcDNA配列を決定した。
なお、これらのプラスミドで大腸菌JM109株をハナハン等の方法で形質転換し、得られた形質転換体を、日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号305)の工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センターにブタペスト条約に基づき1996年10月3日付で寄託した(微生物識別のための記号大腸菌JM109(pMelβ-24C)受託番号BP−5690、微生物識別のための記号JM109(pMelβ-24N)受託番号BP−5691)。pMelβ-24CおよびpMelβ-24Nに組み込まれたDNAの塩基配列から明らかになったヒトメルトリンβの塩基配列および対応するアミノ酸配列を図24a〜図24eに示す。
(1)で得られたDNAの塩基配列と比較したところ1カ所において塩基が異なっていたが、これはサイレントミューテーションであり、対応するアミノ酸に違いはなかった。
また、得られた塩基配列の構造を解析したところ、今回得られたDNAはヒトメルトリンβのメタロプロテアーゼ領域の途中からC末端までをコードするものであると思われた。すなわち、図24a〜図24eに示したアミノ酸配列のうち、N末端のGlyから36番目のPro(対応する塩基配列は、塩基番号2〜109)までがメタロプロテアーゼ領域のC末端側部分配列であり、37番目のAspから131番目のGlyもしくは42番目のTyrから131番目のGly(対応する塩基配列は塩基番号110から394もしくは125〜394)までがディスインテグリン領域であり、132番目のThrから330番目のPro(対応する塩基配列は塩基番号395〜991)までがシステイン・リッチ領域であり、331番目のValから348番目のMetもしくは331番目のValから353番目のArg(対応する塩基配列は塩基番号992〜1045もしくは992〜1060)は膜貫通領域である。349番目のTyr以降もしくは354番目のGln以降からC末端のHisまでが細胞内領域に相当すると考えられるが、マウスメルトリンβとのホモロジー検索によると、395番目のPro以降でホモロジーが極めて低くなることから、ヒトメルトリンβの細胞外領域としての機能に係わる配列は394番目のLysまでであろうと予測された。この部分(すなわち、図24a〜図24eのアミノ酸番号395のProまで)を、別図として図17a〜図17cに示した。
Figure 0004118336
実施例10: 抗メルトリンαモノクローナル抗体の作製
(1)ペプチド配列の選択
実施例1で決定したマウスメルトリンαのアミノ酸配列に基づき、エピトープの解析を行った。メルトリンαとβでアミノ酸配列の異なる部分、またnon-RGD領域と推定される領域、メタロプロテアーゼが切断されると考えられる領域から、二次構造を考慮し、エピトープ領域と推定されるペプチド配列8種類を選択した(図18a、18b参照)。キャリアーと結合させるために、選択した配列のC末端にシステインを有するよう、これら8種のペプチドをペプチド合成機(ABI 432A)を用いて合成し、クリベージ後、逆相カラム(YMC−ODS)によりHPLCで精製した。
(2)抗血清の作製
(1)で得られたペプチドを凍結乾燥した後、各々のペプチド0.55mgを0.1M リン酸バッファー(pH7.0)55μlに溶解した。また、マレイミド化KLH(ベーリンガーマンハイム社)0.77mgを蒸留水77μlで溶解した。両者を混合し、室温にて2時間反応させた後、生理食塩水で平衡化したNickカラム(ファルマシア社)で精製し、これを投与抗原として、以下の実験に使用した。
各投与抗原50μgを生理食塩水で0.1mlに希釈し等量のフロイント完全アジュバント(DIFCO社)と混合し,Wistar rat(5週令、雌)の腹腔に投与した。2週間後、同量をフロイント不完全アジュバント(DIFCO社)と混合し同様に投与した。
(3)抗血清の評価(プレートアッセイ)
投与1週間後眼底より採血し、投与したペプチドに対する抗体価の上昇を固相化したペプチドと抗血清との反応性を以下の方法でプレートアッセイにより確認した。まず、アミノプレート(住友ベークライト社)に0.5mg/mlのSulfo-SMCC(Pierce社)を0.9%NaClを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.2)に溶解し各ウエルに分注した。37℃で2時間反応後イオン交換水で5回洗浄し各ペプチドを同じ緩衝液を用いて0.5μg/mlに溶解したものを添加した。37℃で1時間反応後0.1%BSAと4mg/mlシステアミンを0.45%NaClを含む0.076Mリン酸緩衝液(pH6.4)(以下、PBSと記載する)でブロッキングした。ブロッキング剤を除去後、各抗血清をPBSで1000倍から10000倍に希釈し各ウエルに添加して37℃で1時間反応させた。次に0.005%Tween20を含む0.9%NaClで2回洗浄し、10%ウサギ血清を含むPBSで1000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識抗ラットイムノグロブリン抗体(ダコ社)を各ウエルに添加し37℃で1時間反応させた。反応終了後、洗浄液で5回、イオン交換水で2回洗浄し、3mg/mlオルトフェニレンジアミンと0.027%過酸化水素を含む0.1M マッキルベインバッファー(pH5.0)を添加し5分間反応後、1N塩酸で反応を停止し490nmの吸光度を測定した。結果を表3に示す。表3において、(++)は強く反応したことを示し、(+)は弱く反応したことを示す。
Figure 0004118336
(4)抗血清の評価(ウエスタンブロッティング)
(2)で作製した抗血清がメルトリンに結合するか否かを確認するため、ウエスタンブロッティングを行った。
まず、実施例4と同様に、マウス筋芽細胞(C2)をpBOSMelαδPro(+)とpBOSMelβ(+)で形質転換させた細胞(以後、#9−3と称する)とC2細胞をpBOSMelαδMP(+)で形質転換させた細胞(以後、#3−5と称する)を準備した。各細胞1×107個をPBS−(GIBCO BRL社)で遠心洗浄し細胞を回収した。回収した細胞をPBS−で5×106cells/mlに調製し、蛋白分解阻害剤Cφmplete(ベーリンガーマンハイム社)を25分の1量添加し、さらに最終濃度0.2%となるようにSDSを添加した。室温で30分間放置し、4℃下で10秒間(1秒×10回)ソニケーションを行い、遠心後の上清を回収し、細胞抽出液とした。陰性コントロールとして繊維芽細胞L929(ATCC No.CCL-1)より同様の方法で細胞抽出液を調製した。
得られた細胞抽出液10μlをゲルローディングバッファー(0.25M Tris-HCl、2%SDS、30%Glycerol、0.01%BPB(pH6.8))と等量混合し、この溶液6μlを4〜20T%のSDS-PAGE(テフコ社)にアプライし、25mAにて室温で約1時間泳動した。泳動終了後、PVDFメンブレン(ミリポア社)に4℃にて150mA、45分の条件で転写した。メンブレンを4%スキンミルク(明治乳業(株))で室温1時間振とうしブロッキングを行ったのち、各レーンを裁断した。各レーンを4%スキンミルクを添加した0.05%Tween20を含む50m M Tris-HCl(pH7.2)(以下、T-TBSと記す)で500倍に希釈した抗血清1mlに浸し、室温にて1時間振とうした。反応終了後、各レーンをT-PBSで2回洗浄し、次に4%スキンミルクを添加したT-PBSで500倍に希釈したHRPO標識抗ラットイムノグロブリン抗体(ダコ社)1mlに浸し、室温にて1時間反応させた。T-PBSで5回洗浄後、ECLシステム(アマーシャム社)で検出した。結果を表4に示す。ウエスタンブロッティングでは3種類の抗血清でバンドが検出された。
Figure 0004118336
(5)モノクローナル抗体の作製
投与抗原(ProA、MP−B、DC−C、DEA)それぞれ50μgを生理食塩水400μlに希釈し、(3)(4)で抗体価の上昇が確認されたラットの尾静脈に投与した。3日後、公知方法(「単クローン抗体実験操作入門、安東民衛・千葉丈著、講談社サイエンティフィク」参照)に従い、ミエローマP3X63Ag8U.1を使用して細胞融合を行った。6日後、培養上清を回収して、(3)の方法でプレートアッセイを行った。ここで抗原ペプチドとの反応性の得られたウェルを限界希釈法(「単クローン抗体実験操作入門、安東民衛・千葉丈著、講談社サイエンティフィク」参照)によりクローニングした。クローニング後、再度、プレートアッセイによるスクリーニングを行い、抗原ペプチドと反応する抗マウスメルトリンαモノクローナル抗体を産生ハイブリドーマ27クローンを得た。表5に得られたクローンの内訳を記した。
Figure 0004118336
樹立した抗メルトリンモノクローナル抗体産生ハイブリドーマから以下の方法により精製抗体を得た。
ハイブリドーマを1ng/mlのヒトIL6を含む10%牛胎児血清/RPMI1640中で培養し、2×105cells/mlになった時点で無血清培地(Hybridoma-SFM, GIBCO BRL)に交換し細胞が死ぬまで培養を行った。得られた培養上清を濾紙で濾過して細胞を除去した後プロテインGカラムProsep-G(Bioprocessing INC)を用いて精製した。すなわち培養上清1LをProsep-Gカラム(20ml)に10ml/minの流速で添加し、次に0.15MのNaClを含む0.1Mりん酸緩衝液(pH7.5)でカラムを洗浄した。280nmの吸光度が低下した後、0.lMクエン酸緩衝液(pH3.0)により結合したモノクローナル抗体を溶出した。溶出液のpHを中性に戻した後、ダイアフロー(グレースジャパン社)により濃縮し、0.45%のNaClを含む0.076Mりん酸緩衝液(pH6.4)で透析した。得られた精製抗体の蛋白濃度を280nmの吸光度より算出した。
(6)モノクローナル抗体の評価
#9−3細胞の抽出液を使用し、(4)の方法に準じてウエスタンブロッティングを行い、(6)で得られた精製抗体7ロット(抗体濃度10μg/ml)のメルトリンに対する結合活性を確認した。結果を図19に示す。F933-4-3(サブクラスIgG2a)、F933-10-26(サブクラスIgG2a)、F934-17-6(サブクラスIgG2a)、F934-3-23(サブクラスIgG2a)、F934-4-33(サブクラスIgG2a)、F934-6-3(サブクラスIgG2a)、F934-20-5(サブクラスIgG2C)でそれぞれ約67kDa付近に、#9−3細胞抽出液に特異的なバンドが検出された。L929の抽出液ではこれらのバンドは確認されなかったことから、(6)で得られたモノクローナル抗体はメルトリンと結合していることが確認された。
実施例11: 抗マウスメルトリンモノクローナル抗体の作製
(1)投与抗原の調製及び及びラットの免疫
#9−3細胞と#3−5細胞を投与抗原として、以下の方法でラットを免役した。投与抗原として使用した各細胞は、それぞれ、bFGF非存在下で次のように培養した。まず、約5×105cells/直径10cmのデイッシュの細胞を4枚から20枚に分配し、この細胞密度に達した時点で、40枚の直径15cmのデイッシュに分配し、約5〜6×106cells/デイッシュになるまで培養した。これを、分化培地(2%の馬血清を含むDMEM)で更に2日間培養し、筋管を形成させた。これらをシリコン性ラバーポリスマンで剥がし、PBSで2回洗浄した後10%DMSOを含む培地で懸濁し−80℃で保存した。
まず、初回投与として#9−3細胞、#3−5細胞をそれぞれ1×107cells/ラットとなるよう、200μlの生理食塩水に懸濁し、等量のフロイント完全アジュバント(DIFCO社)と混合し,Wistar Rat(5週令、雌)の腹腔に投与した。2週間後、同量を等量のフロイント不完全アジュバント(DIFCO社)と混合し同様に投与した。
(2)抗血清の評価
追加投与1週間後に眼底より採血し、抗血清とメルトリンの結合を、細胞抽出液を使用し、実施例10(3)の方法に準じたプレートアッセイにより測定した。#9−3、#3−5またはL929の細胞の細胞抽出液は実施例10(4)の方法で調整した。ただし、界面活性剤としてはNP−40(ナカライテスク社)最終濃度0.5%を使用した。
まず、各細胞抽出液をPBSで40μg/mlに希釈し、各50μl/ウエルづつイムノプレート(Maxisorp、Nunc社)に分注し、56℃で30分間処理し抗原を結合した。イオン交換水で5回洗浄後、20%ブロックエース(雪印乳業社)/PBS100μlを各ウエルに添加し室温で30分間ブロッキングした。ブロッキング液を廃棄した後、培養上清50μlを添加し、37℃で1時間反応後2回洗浄液で洗浄した。次に10%ブロックエース/PBSで1000倍に希釈したHRPO標識抗ラットイムノグロブリン抗体(ダコ社)を50μl添加し37℃で1時間反応した。洗浄液で5回洗浄後、さらにイオン交換水で2回洗浄し、0.027%過酸化水素を含む3mg/mlのオルトフェニレンジアミン/0.1Mマッキルベインバッファー(pH5.0)を50μl添加し10分間反応させ、1N塩酸50μlで反応を停止した。吸光度計により490nmの吸光度を測定した。
また、以下の(4)に示したL4−3細胞の細胞抽出液を用いてウエスタンブロティングを行いメルトリンとの結合を確認した。結果を表6に示した。
#9−3および#3−5で免役したラットから得られた抗血清はそれぞれの細胞抽出液と反応し、ウエスタンブロティングでメルトリンと結合することが確認された。
Figure 0004118336
(3)モノクローナル抗体の作製
1×107cellsの#9−3細胞、#3−5細胞をそれぞれ、生理食塩水200μlに懸濁し、抗体価の上昇が認められたラットの腹腔内に投与し、3日後、公知方法(「単クローン抗体実験操作入門、安東民衛・千葉丈著、講談社サイエンティフィク」参照)に従い、ミエローマP3X63Ag8U.1を使用して細胞融合を行った。6日後、固相化した細胞抽出液との反応性により培養上清のスクリーニングを行った。細胞抽出液と反応の認められたウェルを限界希釈法(「単クローン抗体実験操作入門、安東民衛・千葉丈著、講談社サイエンティフィク」参照)によりクローニングし、再度上記方法でスクリーニングを行いメルトリンと反応するハイブリドーマ13クローンを得た。内訳は#9−3(δPro)投与ラットから5クローン(ハイブリドーマ番号F932)、#3−5(δMP)投与ラットから8クローン(ハイブリドーマ番号F937)であった。
(4)モノクローナル抗体の評価
(3)で得られたモノクローナル抗体のうち、細胞抽出液との反応性が高かった抗体F932−15−2(サブクラスIgG1)とF937−9−2(サブクラスIgG1)を用いて抗体の評価を行った。
まず、細胞蛍光染色法を用いてC2細胞に形成させた筋管が染色されるか検討した。C2細胞を3×104cells/mlとなるように10%FCS/DMEMに懸濁し各100μlをチャンバースライド(Lab−TEK,Nunc社)のウエルに分注した。37℃、5%CO2下で2日間培養後培地を2%馬血清/DMEMに交換し2日後に形成された筋管を用いて細胞染色を行った。細胞をPBS-で2回洗浄後、4%ホルムアルデヒドを添加し室温で30分間反応させ細胞を固定した。次にPBS-で3回洗浄後20%ブロックエース/T−PBSでブロッキングを行った。ブロッキング剤を除去し、20%ブロックエース/T−PBSで10μg/mlに希釈した抗体を添加し室温で1時間反応させた。PBS-で3回洗浄し、10%ウサギ血清/T−PBSで20倍に希釈した抗ラットイムノグロブリンFITC(ダコ社)を添加し室温で1時間反応させた後、PBS-で3回洗浄し蛍光を蛍光顕微鏡により観察した。その結果、両抗体とも筋管が染色され、陰性コントロールに用いたラットIgG(ZYMED社)では染色は認められなかった。
次に抗体の特異性を確認するため、L929細胞にマウスメルトリンαまたはβを発現させた細胞を作製し、細胞染色により特異性の確認を行った。細胞は以下のように調製した。すなわち、実施例4で作製したプラスミドpBOS Melα(+)およびpBOS Melβ(+)とプラスミドpSV2NEOとをモル比で12:12:1に混合したものを、リポフェクトアミン(GIBCO BRL社)を用いそのプロトコールにしたがって繊維芽細胞L929に導入し、L4−3(マウスメルトリンα、βを発現)を単離した。同様にpBOS Melβ(+)とプラスミドpSV2NEOとをモル比で20:1に混合したものをL929に導入し、L2−10(マウスメルトリンβを発現)を単離した。同様な方法でL929にプラスミドpBOS Melα δPro(+)を導入し、L8−5(Meltrin α δProを発現)を単離した。
各細胞はコラーゲンコートしたデイッシュ中で10%FCS/DMEMにより培養し、チャンバースライドに継代した。L929、L4−3、L2−10、L8−5を用いて特異性の確認を細胞染色により行った。結果を表7に示した。この結果により、F932−15−2はメルトリンαおよびβと、F937−9−2はメルトリンαと結合するものと考えられた。
尚、モノクローナル抗体F932−15−2を産生するハイブリドーマは、日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号305)の工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センターにブタペスト条約に基づき1996年10月3日付で寄託した(受託番号BP−5687)。
Figure 0004118336
(5)中和活性の測定
(3)で得られたモノクローナル抗体の中和活性を確認するため、C2細胞の筋管の形成を抑制するか否かを検討した。C2細胞を10%FCS/DMEMでコラーゲンコートディッシュで培養し80%コンフルエントになったとき、0もしくは400μg/mlの抗体を含む2%馬血清/DMEMに培地を交換し、筋管が形成されるか観察し、筋管中の核の割合を算定した。図20に示すように2日後の筋管形成は抑制されF932−15−2およびF937−9−2ともに中和活性を有していた。
実施例12: メルトリン中和抗体のマウス全骨細胞における骨吸収窩形成抑制作用
13日齢ICRマウスより摘出した大腿骨および頚骨を5%牛胎児血清含有MEM α培地(GIBCO)中で細切した。2分間静置して沈んだ骨片を除去後、上清の細胞浮遊液を1×107cells/mlに調整し、象牙片をセットした96穴マイクロプレートに100μlずつ添加した。象牙片は、象牙を薄切し6mm径に打ち抜いた後、70%エタノールで洗浄、滅菌したものを用いた。実施例11で得られたマウスメルトリン中和抗体(F932−15−2)あるいはラットIgGを、終濃度がそれぞれ5、50、500μg/mlとなるように5%牛胎児血清含有MEM α培地で希釈し、各ウェルに100μlずつ添加した。5%CO2下37℃にて3日間培養した後、ポリスマンで細胞を除去し、酸ヘマトキシリン溶液(SIGMA)で約7分間染色した後、染色された吸収窩を接眼ミクロメーターを用いて顕微鏡下計数した。計数は吸収窩の含まれるマス目をカウントした。
結果を図21に示す。図から明らかなように、形成された吸収窩数はマウスメルトリン中和抗体により用量依存的に抑制された。
この結果より、メルトリン中和抗体が破骨細胞に直接あるいは間接的に作用し、骨吸収を抑制することが示唆された。
実施例13: 骨吸収亢進モデルマウスにおけるメルトリン中和抗体の血清Ca値低下作用
7週齢ICR雄性マウスにCa含有量0.02%以下の低Ca食を与えて5日間飼育した。これを1群5匹として、実施例11で作製したマウスメルトリン中和抗体(F932−15−2)を0.1、1mg/匹、あるいは対照としてラットIgGを1mg/匹あるいはリン酸緩衝生理食塩水のみを尾静脈注射により投与した。投与前および1日後に眼下静脈より採血し、血清分離後にカルシウム測定用キット(カルシウムHR−II、和光純薬)を使用し、自動分析装置(COBAS FARAII、ROCHE)で血清中Ca値を測定した。結果を図22に示す。
図から明らかなように、投与1日後のマウスメルトリン中和抗体投与群の血清Ca値は、リン酸緩衝生理食塩水あるいはラットIgG投与群に比べて低値を示した。これらの結果から、メルトリン中和抗体は副甲状腺機能の亢進や悪性高Ca血症などにより病的に亢進した骨吸収を抑制することが示唆された。
実施例14: 膜貫通領域を含むヒトメルトリンαをコードするcDNA断片の取得
実施例8で得られたヒトメルトリンαcDNA部分配列をもとに、センスプライマーS−hMelα−TM5′(表1参照)を、マウスメルトリンαcDNAをもとに、アンチセンスプライマーA−mMelα−3′(表1参照)を合成した。
ヒト胎盤λgt 11 cDNAライブラリー(クローンテック社code No. CLHL 1008b)を鋳型とし、先に合成したS−hMelα−TM5′、A−mMelα−3′プライマーと、Ex Taqポリメラーゼ(TaKaRa)、およびその反応試薬(TaKaRa)を混合し、DNAサーマルサイクラー(パーキン・エルマー社)にて94℃で5分間加熱後、94℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で1分間反応させ、この操作を35サイクル行った。得られた増幅断片(clone TM)の塩基配列を解析したところ、マウスメルトリンの膜貫通領域を含む約220アミノ酸に対応するヒトcDNA断片であることが予想された。
得られた塩基配列および対応するアミノ酸配列を図23a〜図23bに示した。
実施例15: 急性毒性試験
7週齢ICR雄性マウスを1群5匹とし、実施例11で作製した抗マウスメルトリン中和抗体(F932−15−2)を、それぞれ1mg/匹、3mg/匹の用量で各群のマウスに投与した。またコントロール群にはリン酸緩衝生理食塩水を投与した。投与後、各群のマウスの状況を観察したが、いずれの群においても、著しい体重減少や顕著な副作用、死亡例は認められなかった。
参考例1 ヒトメルトリンを認識するモノクローナル抗体の作製
(1)ヒトメルトリン由来のアミノ酸配列を有するペプチドを抗原とした抗体の作製
実施例10の結果を参考にして、実施例8で得られたヒトメルトリンαのアミノ酸配列からDC−Cに相当する部分の配列GKVSKSSFAKCEMRDAKCを実施例10(1)と同様に合成し、精製後マレイミド化KLHと結合し投与抗原を調製した。投与抗原20μgを0.1mlの生理食塩水に溶解し等量のFCAと混合してddyマウス(5週齢、メス)に投与した。2週間後同量をFLAと混合後投与した。1週間後眼底より採血し抗血清を得た。得られた抗血清のペプチドとの反応性を測定するため、実施例10(3)にしたがって抗血清を評価したところ投与したペプチドと特異的に反応した。したがって、該ペプチドを投与抗原として、マウス、ラット、ハムスター等を免疫し、実施例10(5)の方法でモノクローナル抗体を作成することができる。また、このような抗体はウエスタンブロッティングにも使用することができる。
なお、図15a〜図15fに示したアミノ酸配列は可溶型のメルトリンαであると予想されるので、C末端付近のアミノ酸配列から作製したペプチドを抗原とした場合には、生体内の可溶型メルトリンを測定するのに有効な抗体を得ることができる。
同様に、図17a〜図17cもしくは図13a〜図13dで示したアミノ酸配列から適当な部位を選択して、そのアミノ酸配列を有するペプチドを化学合成し、それで動物を免役することにより、それぞれヒトメルトリンβ、ヒトメルトリンγを認識する抗体をえることができる。いずれの場合もアミノ酸配列は、細胞外領域から選択する。
また、α、β、γにそれぞれ特異的な抗体を作製する場合には、当然のことながら、3者でホモロジーの低い部分を選び出し、その部分に相当するアミノ酸配列を有するペプチドを合成して、実施例10(2)と同様に動物を免役する。動物としては、マウス、ラット、ハムスターが適している。
上記いずれの場合も、モノクローナル抗体は、実施例10(5)と同様の方法で作成する。
(2)ヒトメルトリン発現細胞を抗原とした抗メルトリンモノクローナル抗体の作成方法
図15a〜図15fに示したアミノ酸配列のメタロプロテアーゼ領域もしくはディスインテグリン領域からシステイン・リッチ領域までの配列の下流に、図23a〜図23bに示したアミノ酸配列の膜貫通領域以降のアミノ酸配列が融合したアミノ酸配列をコードするDNAを作製し、発現ベクターpEFBOSに組み込み、得られたベクターでC2細胞を形質転換する。得られた形質転換を実施例11(1)と同様に処理し、それを抗原として動物を免役する。動物は、ラット、マウス、ハムスターが適している。実施例11(2)と同様の方法で、目的とするヒトメルトリンαを認識する抗体をスクリーニングし、実施例11(3)と同様にモノクローナル抗体を作製する。
同様に図17a〜図17cに示したアミノ酸配列もしくはディスインテグリン領域以降の配列をコードするDNAを作製し、発現ベクターpEFBOSに組み込み、得られたベクターでC2細胞を形質転換する。得られた形質転換を実施例11(1)と同様に処理し、それを抗原として動物を免役する。動物は、ラット、マウス、ハムスターが適している。実施例11(2)と同様の方法で、目的とするヒトメルトリンβを認識する抗体をスクリーニングし、実施例11(3)と同様にモノクローナル抗体を作製する。
同様に図13a〜図13dに示したアミノ酸配列もしくはディスインテグリン領域以降の配列をコードするDNAを作製し、発現ベクターpEFBOSに組み込み、得られたベクターでC2細胞を形質転換する。得られた形質転換を実施例11(1)と同様に処理し、それを抗原として動物を免役する。動物は、ラット、マウス、ハムスターが適している。実施例11(2)と同様の方法で、目的とするヒトメルトリンβを認識する抗体をスクリーニングし、実施例11(3)と同様にモノクローナル抗体を作製する。
配列表
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Claims (9)

  1. 以下の何れかのポリペプチドからなる可溶型メルトリンα:
    1)配列番号11に示されるGlu(156)からIle(686)のアミノ酸配列を含有するポリペプチド、
    2)配列番号11に示されるGly(1)からIle(686)のアミノ酸配列を含有するポリペプチド。
  2. 請求項1のポリペプチドをコードする塩基配列を含有するDNA。
  3. 以下の何れかのDNA:
    1)配列番号11に示される塩基番号1から2058の塩基配列を含有するDNA、
    2)配列番号11に示される塩基配列を含有するDNA。
  4. 請求項2または3のDNAを含有するベクター。
  5. 請求項2または3のDNAを含有する形質転換体。
  6. 請求項2もしくは3のDNA、請求項4のベクターまたは請求項5の形質転換体を用いる、請求項1のポリペプチドの製造方法。
  7. 請求項5の形質転換体によって産生される、請求項2または3のDNAによってコードされるポリペプチド。
  8. 請求項1のポリペプチドのC末端領域である、配列番号11に示されるGlu(653)からIle(686)のアミノ酸配列部分を特異的に認識する抗体。
  9. 骨粗鬆症または高カルシウム血症の予防または治療剤である、メルトリンαを特異的に認識する中和抗体を有効成分として含有する医薬組成物。
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