JP4117413B2 - 2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールおよび2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル、ポリウレタン、アルキッド樹脂などの製造原料として有用なジメチロールアルカン酸またはトリメチロールアルカン原料の2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナール、及び2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸を工業的有利に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドとを、塩基性物質の存在下に反応させ2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造する方法は良く知られている。
上記製法において、使用する塩基物質として、水酸化ナトリウム(特公昭52−20965号、特開昭62−263141号)、炭酸ナトリウム(米国特許3,312,736号)、トリエチルアミン(特公平4−55181号)、あるいはジメチルアミノネオペンタノール(ドイツ特許2507461号)などを用いる方法が提案されている。
【0003】
かかる方法において、脂肪族アルデヒドに対するホルムアルデヒドの使用量が化学量論付近、即ち、モル比で2付近の条件では、2−置換アクロレインの副生量が著しく多く、目的とする2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを工業的に製造することは困難である。
また、2−置換アクロレイン等の副生を抑制するため、アルデヒドに対するホルムアルデヒドの使用量を10当量以上使用した場合には、目的とする2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを高収率で得ることができるが、この場合、ホルムアルデヒドが過剰に残存し、過剰ホルムアルデヒドの分離、リサイクル等の煩雑な操作が必要となり、コスト高になる欠点を有する。目的生成物であるアルカナール中に、ホルムアルデヒドが過剰に残存すると、後段の酸化工程において、高価な酸化剤を多量必要としたり、副反応を誘起するという問題点もある。
【0004】
即ち、塩基の存在下、脂肪族アルデヒド:ホルムアルデヒド仕込み比が1:2〜10未満の条件では、目的とする2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールのほかに、副生物として2−置換アクロレインが相当の量生成する。2−置換アクロレインの生成量は、アルデヒドの種類、用いる塩基の種類及び量、反応温度などの条件により支配される。例えば、n−ブチルアルデヒドとホルムアルデヒドの反応を、トリエチルアミンの存在下、60℃付近で行うと、約20%の2−エチルアクロレインが生成する。2−置換アクロレインは、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールの前駆体である2−ヒドロキシメチルアルカナールの脱水反応により生成すること、また2−ヒドロキシメチルアルカナールと2−置換アクロレインとは平衡関係が存在することが知られており、アルデヒド:ホルムアルデヒド仕込み比の低い条件では2−置換アクロレインが副生することは避けられない。
【0005】
一方、2−置換アクロレインは、塩基と水の存在下、ホルムアルデヒドとの反応により、目的生成物の2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールに変換されるが、この目的生成物を収率良く得るために2−置換アクロレイン1モルに対し、ホルムアルデヒドを10〜30モルと大過剰に用いることが必要とされるが、過剰量のホルムアルデヒドの分離が必要であるため、工業的に不利な方法である。
【0006】
副生する2−置換アクロレインを2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールに変換する方法として、以下の方法が提案されている。特開昭52−124213号公報は、トリエチルアミンを用い2−エチルアクロレインとホルムアルデヒド水溶液との反応により、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールを得る方法を例示している。しかし、この方法では2−エチルアクロレインに対して大過剰のホルムアルデヒドを必要とすることからコスト高になることは避けられない。
【0007】
ドイツ特許2507461号公報は、例えばN,N−ジメチルアミノネオペンタノールの存在下、n−ブチルアルデヒドとホルムアルデヒドとを1段目の反応器で反応させた後、反応液から未反応のn−ブチルアルデヒドと副生した2−エチルアクロレインを蒸留により分離し、得られた留分に、更にホルムアルデヒドとアミンを添加して2段目の反応を行う方法を提案している。しかし、この方法では、ホルムアルデヒド使用量として化学量論付近を使用としているため、収率が低く、工業的に有用な方法とは言えない。
【0008】
2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールは、酸化によりジメチロールアルカン酸、水素化によりトリメチロールアルカンに変換されることが知られている。
2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを酸化して、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸を得る方法として、過酸化水素により酸化する方法(例えば米国特許3,312,736号)、セリウム、チタン、ジルコニウム、スズ、ニオブ、モリブデン及びタングステンからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素の化合物触媒の存在下、過酸化水素により酸化する方法(特開昭62−263141号公報)、あるいは過イソ酪酸により酸化する方法(有機合成化学協会誌、36,1095(1978))が知られている。しかし、公知方法で製造した2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナール原料を用い、酸化する場合、そもそも該2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナール収率が低く、また残存ホルムアルデヒド含有量が多いため、多量の酸化剤が必要となる等の欠点を有するため、高純度の製品を収率良く得ることはできない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、従来法においては、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを高収率で得ることができ、且つ、ホルムアルデヒドの残存量を抑制できる方法は見出されていなかった。
本発明は上述のように、未反応ホルムアルデヒドの回収工程のプロセス上の多大な負荷をおうことなく、かつ、ホルムアルデヒド残存量を抑制でき、目的とする2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを工業的に高収率で得る方法の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(I)
【0011】
【化4】
RCH2 CHO (I)
(式中、Rは置換されていてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)
で表される脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドとを、塩基の存在下に反応させて、一般式(II)
【0012】
【化5】
(式中、Rは置換されていても良い脂肪族炭化水素基を示す。)
で表される2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造する方法において、少なくとも、一般式(I)で表される脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドを含有する液とを塩基の存在下で反応させて2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造するアルデヒド反応工程、および該アルデヒド反応工程で副生した一般式(III)
【0013】
【化6】
(式中、Rは置換されていてもよい脂肪族炭化水素基を表す。)
で表される2−置換アクロレインを含む液を、塩基の存在下で2−置換アクロレインとホルムアルデヒドのモル比が、1:3〜1:100の範囲でホルムアルデヒドと反応させて2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造する2−置換アクロレイン反応工程を含み、かつ、全工程中の脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドの総仕込みのモル比が、1:1〜1:5となるように反応を行うことを特徴とする2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールの製造方法に存する。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に本発明を詳細に説明する。
本発明は、一般式(I)
【0015】
【化7】
RCH2 CHO (I)
(式中、Rは置換されていてもよい脂肪族炭化水素基を示す。)
で表される脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドとを、塩基の存在下に反応させる際、少なくとも、一般式(I)で表される脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒド含有液とを塩基の存在下で反応させて2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造するアルデヒド反応工程(i)、および、該アルデヒド反応工程(i)で副生した一般式(III)
【0016】
【化8】
(式中、Rは置換されていても良い脂肪族炭化水素基を表す。)
で示される2−置換アクロレインを含む液を、塩基の存在下で2−置換アクロレインとホルムアルデヒドのモル比が、1:3〜1:100の範囲でホルムアルデヒドと反応させて2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造する2−置換アクロレイン反応工程を含み、
かつ、全工程中の脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドの総仕込みのモル比が、1:1〜1:5となるように反応を行うことを特徴とする、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールの製造方法であり、少なくとも、上記(i)及び(iii)の反応工程を含み、且つ、全工程中の脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドの総仕込みのモル比が、1:1〜1:5になるような方法であれば、どのような方法も採用できるものである。
【0017】
具体的には、下記の方法、例えば、
(a)一般式(I)で表される脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドを含有する液とを塩基の存在下で反応させて2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造するアルデヒド反応工程(i)と、
(b)該アルデヒド反応工程(i)から抜き出された反応液から、一般式(III)
【0018】
【化9】
(式中、Rは置換されていても良い脂肪族炭化水素基を示す。)
で表される副生した2−置換アクロレインを含む成分を分離する工程(ii)と、
【0019】
(c)前記2−置換アクロレインを含む成分を、塩基の存在下で、2−置換アクロレインとホルムアルデヒドのモル比が1:3〜1:100の範囲でホルムアルデヒドと反応させて2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造する2−置換アクロレイン反応工程(iii)と、
(d)該2−置換アクロレイン反応工程(iii)で得られたホルムアルデヒドを含む反応液の少なくとも一部と、一般式(I)で表される脂肪族アルデヒドとを、塩基の存在下に反応させて2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造する工程(iv)からなる方法が挙げられる。中でも、工程(iv)が、該2−置換アクロレイン反応工程(iii)で得られたホルムアルデヒドを含む反応液を、該アルデヒド反応工程(i)のホルムアルデヒドを含有する液として使用する工程であり、工程(i)〜(iii)の操作を繰り返して行う方法を採用するのが、プロセスを簡略化でき、建設コストを低減できるという点で好ましい。
【0020】
一般式(I)〜(III)中の置換基(R)は、炭素数が1〜16まで、特に1〜7までの炭化水素基で、直鎖または分岐アルキル基である。また、これらのアルキル基は、反応条件下で不活性な1−4の炭化水素原子を有するアルコキシ基を有していても構わない。置換基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ基が挙げられる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、isoーヘキシル、ドデシルおよびペンタデシルである。特に、好ましいアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピルおよびiso−プロピル基である。
【0021】
本発明において用いられる式(I)で示される脂肪族アルデヒドは、α−炭素原子に2個の水素原子を有するアルデヒドで、例えばプロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、iso−ブチルアルデヒド、n−ペンチルアルデヒド、iso−ペンチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、iso−ヘキシルアルデヒド、n−ヘプチルアルデヒド、iso−ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、iso−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、iso−ノニルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、ペンタデシルアルデヒド等が好適に用いられる。中でも、炭素数3〜9の脂肪族アルデヒドが特に好ましい。
【0022】
ホルムアルデヒドとしては取り扱いの面から水で希釈したものが好ましく、その濃度が5〜60重量%の水溶液を使用するのが好ましく、さらに30〜55重量%の水溶液がより好ましく、特にホルマリン水溶液が好適である。
本発明の工程(i)、(iii)、(iv)で用いられる塩基としては例えば、特開昭52−124213号、特開平4−55181号、ドイツ特許947,419号、同2,507,461号、米国特許3,312,736号、および英国特許1,317,106号公報に例示されているものが挙げられる。例えば、アルカリ金属の水酸化物または炭酸塩、およびアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩、第3級アミン及び塩基性イオン交換体などが挙げられる。これらの塩基性物質は、単独で、あるいは2種以上混合して使用する。
【0023】
アルカリ金属の水酸化物と炭酸塩としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどを使用することができる。各工程で使用する塩基は、同じでも異なっていても良い。
第3級アミン化合物としては、炭素数が3〜20まで、好ましくは3〜15まで有する脂肪族、脂環式および複素環式アミンが挙げられ、なかでも脂肪族第3級アミンを用いるのが好ましい。第3級アミンの例として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−isoープロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−iso−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、のような対称トリアルキルアミン;メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、エチルジ−iso−プロピルアミン、ジメチル−tert−ブチルアミンのような非対称トリアルキルアミン;N,N−テトラメチル−エチレンジアミン、トリエチレンジアミンのようなジアミン;N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−シクロヘキシルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルフォリン;そして、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノネオペンタノールのような置換基を有するアミン;トリベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミンのような芳香環を有するアミン;トリエチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)−メチルアミンのような第3級アミノ基を有するポリアミン、テトラエチルアンモニウム・ヒドロキシドのようなテトラアルキルアンモニウム・ヒドロキシドを使用することができる。中でもトリアルキルアミンが好ましい。
【0024】
上記脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドとを塩基性触媒の存在下で縮合反応させることより得られる式(II)で表されるジメチロールアルカナール[2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナール]は、原料の脂肪族アルデヒドがプロピオンアルデヒドの場合にはジメチロールプロパナールが、また、n−ブチルアルデヒドの場合にはジメチロールブタナールが生成する。
【0025】
一般式(III)で表される2−置換アクロレインとしては、一般式(I)で表されるアルデヒドとホルムアルデヒドとの反応により副生する、2−アルキルアクロレインであり、例えば、2−メチルアクロレイン、2−エチルアクロレイン、2−プロピルアクロレイン、2−ブチルアクロレイン、2−ペンチルアクロレイン、および2−ヘキシルアクロレイン等が挙げられる。
【0026】
本発明においては、式(I)で表される脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドとの反応は、脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドとの全工程における総仕込み比が、モル比で1:1ないし1:5の範囲とするが、総仕込みモル比が、1:1〜1:3の範囲を用いるのが目的物2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナール中に残存するホルムアルデヒドの量を低減できるという点で好ましい。
【0027】
本発明方法の一例としては、アルデヒドの反応工程(i)後、反応液を抜き出し、目的物である2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールと副生した2−置換アクロレインとを分離塔で分離し、分離した2−置換アクロレインを別の反応釜に導入する。この反応釜に塩基とホルムアルデヒドを供給して、2−置換アクロレインとホルムアルデヒドとを反応させ、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールと過剰のホルムアルデヒドを含む反応液を得る(反応工程(iii))。ここで得られた反応液は分離塔に供給して、目的生成物である2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを分離してもよいし、アルデヒド反応工程(i)に供給して、繰り返し反応に使用してもよい。一方、分離塔から抜き出された目的生成物の2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールに富む反応液は、次の酸化工程に廻す。
【0028】
2−置換アクロレインを含む成分とホルムアルデヒドとの反応工程(iii)は、2−置換アクロレインに対するホルムアルデヒド仕込み比が、モル比で1:3ないし1:100の範囲が好ましく、特に1:3ないし1:50の範囲が好ましい。
本発明の反応工程(i)における、脂肪族アルデヒド仕込み量に対する2−置換アクロレイン生成比は、脂肪族アルデヒド(I)に対するホルムアルデヒド仕込み比に影響を受けるので、本発明の反応工程(i)において、脂肪族アルデヒドと2−置換アクロレインとの存在比が1:0.01ないし1:2の範囲となるようにするのが好ましく、特に1:0.05ないし1:1の範囲になるようにするのが好ましい。
【0029】
2−置換アクロレインの生成量が少ない条件では、反応工程(iii)において、2−置換アクロレインからの目的生成物への生成量が少なくなるため、本発明の効果は期待できない。
一方、2−置換アクロレインの生成量が少ない条件では、必然的に脂肪族アルデヒドに対するホルムアルデヒド使用量が多くなるため、過剰ホルムアルデヒドの除去に負荷がかかるので、工業的に有用な方法となり得ない。
【0030】
本発明の工程(iii)で用いる塩基の使用量は、2−置換アクロレイン1モルに対し、0.01〜1.0モルの範囲、好ましくは0.02から0.5モルの範囲である。また、(i)または(iv)の工程におけるアルデヒド1モルに対する塩基の使用量は、0.01〜1.0モルの範囲、好ましくは0.02から0.5モルの範囲である。
【0031】
本発明の方法における反応は、脂肪族アルデヒド、または2−置換アクロレインのホルムアルデヒド水溶液への溶解性を高めるため、不活性有機溶媒を加えて実施することも可能である。不活性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールおよびiso−プロパノールのような低級脂肪族アルコール、およびジエチルエーテル、テトラハイドロフラン、ジオキサンのような脂肪族、脂環式エーテルが挙げられる。
【0032】
工程(i)、(iii)、(iv)の反応条件としては、ほぼ同じ条件を採用することができる。
反応温度は、用いる塩基の種類および使用量に依存するが、例えば塩基としてアルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物のような無機化合物を使用する場合には、反応温度は約−10℃〜100℃、好ましくは10℃から80℃である。第3級アミンあるいは塩基性イオン交換体を用いる場合には、約−10℃〜120℃、好ましくは10℃〜100℃の範囲である。また、反応は常圧下で実施されるが、減圧下または加圧下で実施することもできる。
【0033】
本発明の方法では、アルデヒド反応工程(i)の反応液からの副生物の2−置換アクロレインを分離する方法としては、蒸留あるいは溶媒抽出法、あるいはこれを併用することができる。中でも蒸留法を採用するのが好ましい。2−置換アクロレインを含む成分は、2−置換アクロレインが30〜100重量%、好ましくは50〜100重量%の濃度である。2−置換アクロレインを含む成分として、2−置換アクロレインのほか、未反応の脂肪族アルデヒド、ホルムアルデヒド、水、メタノール、触媒を含んでいても良い。
【0034】
本発明の方法は、バッチ方式、セミ連続方式、または連続的方式のいずれも採用することができる。
セミ連続法は、例えば、まず脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドの反応(工程(i))を行った後、反応液より2−置換アクロレインを含む成分を分離し(工程(ii))、2−置換アクロレインを含む成分をホルムアルデヒドと反応させ(工程(iii))、得られた過剰のホルムアルデヒドを含む反応液を脂肪族アルデヒドと反応させる各工程(バッチ方式又は連続方式)の操作を繰り返す方法を意味する。
【0035】
連続法は、各工程の反応を連続的に行う方法である。
連続反応方法又はセミ連続法の一例を、図1を用いて説明する。アルデヒド反応釜(5)に脂肪族アルデヒド(6)と反応開始時に使用するホルムアルデヒド(12)を仕込み、塩基(7)の存在下反応させる。反応液は配管(8)を経由し、分離工程塔(9)で、2−置換アクロレインに富む液(10)と目的生成物の2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールに富む液(11)に分けられ、2−置換アクロレインを含む液(10)とホルムアルデヒド(1)及び塩基触媒(2)は、アクロレイン反応釜(3)に供給される。一方、目的生成物に富む液(11)は次の工程、例えば、精製、酸化、水素化工程に供給される。アクロレイン反応釜(3)から抜き出された反応生成液は、目的生成物である2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールと余剰のホルムアルデヒドを含み、配管(4)を経由して前記アルデヒド反応釜(5)に供給される。アルデヒド反応釜(5)には、脂肪族アルデヒド(6)、塩基触媒(7)が供給され、反応が継続される。
【0036】
本発明により生成した2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールは、公知方法により、トリメチロールアルカンまたはジメチロールアルカン酸に変換することができる。
2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを酸化して、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸を得る方法として、前述の公知方法、即ち、過酸化水素により酸化する方法(例えば米国特許3,312,736号)、セリウム、チタン、ジルコニウム、等の触媒の存在下、過酸化水素により酸化する方法(特開昭62−263141号公報)、あるいは過イソ酪酸により酸化する方法(有機合成化学協会誌、36,1095(1978))を使用することができるが、なかでも、過酸化水素による酸化が好ましい。
2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを水素化して、トリメチロールアルカンを製造する方法として、前述のNi、Cu、PtやPdの様な水素化触媒の存在下、水素化する方法を用いることができる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を挙げて具体的に説明する。
実施例1
還流冷却器を備えた100ml丸底フラスコ内に、35%ホルムアルデヒド水溶液42.9g(500mmol)、n−ブチルアルデヒド12g(167mmol)仕込み、40℃に加温しながらトリエチルアミン1.7g(16.8mmol)を滴下後、液温40℃で1時間反応を実施した(反応工程(i))。このときのn−ブチルアルデヒド:ホルムアルデヒド:トリエチルアミン仕込み比は、モル比で1:3:0.1であった。
【0038】
n−ブチルアルデヒドの転化率は99.8%、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールと2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルムアルデヒド付加体の合計収率は62.4%、 選択率は62.5%であった。ここで、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルムアルデヒド付加体とは、後段の酸化工程等において、目的物であるジメチロールブタン酸に変化しうる成分である。
このときの2−エチルアクロレイン収率は17.2%であった。また、n−ブチルアルデヒドを基準とした、ホルムアルデヒド残存量は45.4モル%であった。
【0039】
更に、n−ブチルアルデヒドとホルムアルデヒドとの反応により得られた反応液を90℃、常圧の条件で蒸留し、2−エチルアクロレインを含む留分(98%)を分離した。
次に、35%ホルムアルデヒド水溶液35.7g(416mmol)に前記分離した2−エチルアクロレインを含む留分(2−エチルアクロレイン量2.33g、27.7mmol)を加え、40℃に加温しながら、トリエチルアミン0.28g(2.77mmol)を滴下した後、液温40℃で、1時間保持して、2−エチルアクロレインの反応を行った((反応工程(iii))。このときの2−エチルアクロレイン:ホルムアルデヒド:トリエチルアミン仕込み比は、モル比で1:15:0.1であった。
【0040】
2−エチルアクロレイン基準の収率は、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナール収率が55.2%、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルムアルデヒド付加体の収率が8.8%、合計収率が63.9%であった。次に、反応工程(iii)で得られた反応液を40℃に保持しながら、n−ブチルアルデヒド10g(139mmol)を加えた後、トリエチルアミン1.12g(11mmol)を滴下し、n−ブチルアルデヒドと未反応ホルムアルデヒドとの反応を40℃、1時間実施した(反応工程(iv))。この反応工程(iv)は、工程(iii)で得られた反応液を工程(i)のホルムアルデヒド成分として使用した場合と見なすことができる。
【0041】
工程(iv)におけるn−ブチルアルデヒドの転化率は97.5%、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールと2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルアルデヒド付加体の合計収率は75.8%、同合計選択率は77.7%であった。このときの2−エチルアクロレインの収率は16.6%であり、反応工程(i)のみの場合と同等であった。また、n−ブチルアルデヒドを基準としたホルムアルデヒドの残存量は58モル%であった。
【0042】
工程(iii)と工程(iv)におけるn−ブチルアルデヒド:2−エチルアクロレイン:ホルムルデヒド:トリエチルアミンの総仕込みモル比は、1:0.2:3:0.1であった。ここで、2−エチルアクロレインとホルムアルデヒドの総仕込みモル比とは、工程(iv)におけるn−ブチルアルデヒド仕込みに対する、工程(iii)における2−エチルアクロレインとホルムアルデヒドの総仕込みモル比を示す。
【0043】
以後、工程(iv)を工程(i)と見なし、工程(i)〜工程(iii)の操作を繰り返し行った場合、工程(i)と工程(iii)におけるn−ブチルアルデヒド:2−エチルアクロレイン:ホルムルデヒド:トリエチルアミンの総仕込みモル比は上述した比率で維持され、定常状態で反応が進行すると考えられる。
このように少なくとも反応工程(i)(又は反応工程(iv))と反応工程(iii)を含む工程により反応を行うことで、ホルムアルデヒド/n−ブチルアルデヒド総仕込みモル比が低い条件で、目的生成物の収率向上が達成された。
【0044】
実施例2
還流冷却器を備えた100ml丸底フラスコ内に、35%ホルムアルデヒド水溶液17.8g(208mmol)、n−ブチルアルデヒド10g(139mmol)仕込み、40℃に加温しながらトリエチルアミン1.4g(14mmol)を滴下後、液温40℃で1時間反応を実施した(反応工程(i))。このときのn−ブチルアルデヒド:ホルムアルデヒド:トリエチルアミン仕込み比は、モル比で1:1.5:0.1であった。
【0045】
n−ブチルアルデヒドの転化率は92.4%、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールと2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルムアルデヒド付加体の合計収率は53.0%、同合計選択率は57.5%であった。2−エチルアクロレインの収率は、20%であった。また、n−ブチルアルデヒド基準のホルムアルデヒド残存量は23モル%であった。
この後、反応液を90℃、常圧の条件で蒸留し、2−エチルアクロレインを含む留分(98%)を分離した。
【0046】
次に、35%ホルムアルデヒド水溶液17.8g(208mmol)に前記の分離した2−エチルアクロレインを含む留分(2−エチルアクロレイン量1.65g、20.8mmol)を加え、40℃に加温しながら、トリエチルアミン0.21g(2.08mmol)を滴下した後、液温を40℃で、1時間保持して、2−エチルアクロレインの反応を行った(反応工程(iii))。このときの2−エチルアクロレイン:ホルムアルデヒド:トリエチルアミン仕込み比は、モル比で1:10:0.1であった。
【0047】
2−エチルアクロレイン基準の収率は、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールの収率が60.8%、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルムアルデヒド付加体の収率が9.5%、合計収率が70.3%であった。
次に、反応液を40℃に保持しながら、n−ブチルアルデヒド10g(139mmol)を加えた後、トリエチルアミン1.19g(11.8mmol)を滴下し、n−ブチルアルデヒドと未反応ホルムアルデヒドとの反応を40℃、1時間実施した(反応工程(iv))。
【0048】
反応工程(iv)における、n−ブチルアルデヒドの転化率は76.6%、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールと2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルムアルデヒド付加体の合計収率は68.4%、同合計選択率は89.3%であった。このときの2−エチルアクロレイン収率は13.4%であった。また、n−ブチルアルデヒド基準のホルムアルデヒド残存量は21.6モル%であった。
工程(iii)と工程(iv)におけるn−ブチルアルデヒド:2−エチルアクロレイン:ホルムルデヒド:トリエチルアミンの総仕込みモル比は、1:0.15:1.5:0.1であった。
【0049】
実施例3
還流冷却器を備えた100ml丸底フラスコ内に、35%ホルムアルデヒド水溶液59.5g(693mmol)、n−ブチルアルデヒド10g(139mmol)仕込み、40℃に加温しながらトリエチルアミン1.4g(14mmol)を滴下後、液温40℃で1時間反応を実施した(反応工程(i))。このときのn−ブチルアルデヒド:ホルムアルデヒド:トリエチルアミン仕込み比は、モル比で1:5:0.1であった。
【0050】
n−ブチルアルデヒドの転化率は100%、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールと2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルムアルデヒド付加体の合計収率は65.8%であった。2−エチルアクロレインの収率は、12%であった。また、n−ブチルアルデヒド基準のホルムアルデヒド残存量は300モル%であった。
その後、反応液を常圧の条件で蒸留し、2−エチルアクロレインを含む留分(98%)を分離した。
【0051】
次に、35%ホルムアルデヒド水溶液59.3g(693mmol)に前記の分離した2−アルキルアクロレインを含む留分(2−エチルアクロレイン量1.1g、13.9mmol)を加え、40℃に加温しながら、トリエチルアミン0.14g(1.37mmol)を滴下した後、液温を40℃で、1時間保持して、2−エチルアクロレインの反応を行った(反応工程(iii))。このときの2−エチルアクロレイン:ホルムアルデヒド:トリエチルアミン仕込み比は、モル比で1:50:0.1であった。
【0052】
2−エチルアクロレイン基準の2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールと同付加体の合計収率は48.1%であった。
次に、反応液を40℃に保持しながら、n−ブチルアルデヒド10g(139mmol)を加えた後、トリエチルアミン1.26g(12.5mmol)を滴下し、n−ブチルアルデヒドと未反応ホルムアルデヒドとの反応を40℃、1時間実施した(反応工程(iv))。
【0053】
反応工程(iv)におけるn−ブチルアルデヒドの転化率は100%、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールと2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルムアルデヒド付加体の合計収率は78.9%であった。このときの2−エチルアクロレインの収率は14.2%であった。また、n−ブチルアルデヒド基準のホルムアルデヒド残存量は300モル%であった。
工程(iii)と工程(iv)におけるn−ブチルアルデヒド:2−エチルアクロレイン:ホルムルデヒド:トリエチルアミンの総仕込みモル比は、1:0.1:1.5:0.1であった。
【0054】
比較例1
還流冷却器を備えた100ml丸底フラスコ内に、35%ホルムアルデヒド水溶液119g(1.39mol)、n−ブチルアルデヒド10g(139mmol)仕込み、40℃に加温しながらトリエチルアミン1.4g(14mmol)を滴下後、液温40℃で1時間反応を実施した(反応工程(i))。このときのn−ブチルアルデヒド:ホルムアルデヒド:トリエチルアミン仕込み比は、モル比で1:10:0.1であった(反応工程(i))。
【0055】
n−ブチルアルデヒドの転化率は100%であり、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールと2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルムアルデヒド付加体の合計収率は88.7%であった。2−エチルアクロレインの収率は、8%であった。しかし、反応液中には、n−ブチルアルデヒド基準で約850モル%の多量の未反応ホルムアルデヒドが残存しており、その除去に煩雑な操作を必要とするため、多大な負荷がかかり、コスト的に不利である。
【0056】
実施例4
n−ブチルアルデヒド72g(1mol)、30%ホルムアルデヒド水溶液300g(3mol)を反応器に仕込み、40℃に加温しながら20%NaOH水溶液20g(0.1mol)を滴下後、液温60℃で1時間反応を実施した(反応工程(i))。このときのn−ブチルアルデヒド:ホルムアルデヒド:NaOH仕込み比は、モル比で1:3:0.1であった(反応工程(i))。
【0057】
n−ブチルアルデヒドの転化率は94.4%、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールと2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルムアルデヒド付加体の合計収率は59.5%、同合計選択率は63.0%であった。このときの2−エチルアクロレインの収率は20.6%であった。また、n−ブチルアルデヒド基準のホルムアルデヒド残存量は105モル%であった。次に、反応液を90℃、常圧の条件で蒸留し、2−エチルアクロレインを含む留分(98%)を分離した。
【0058】
30%ホルムアルデヒド水溶液300g(3mol)に前記の分離した2−アルキルアクロレインを含む留分(2−エチルアクロレイン量17g、0.2mol)を加え、40℃に加温しながら、20%NaOH水溶液4g(0.02mol)を滴下した後、液温を40℃で、1時間保持して、2−エチルアクロレインの反応を行った(反応工程(iii))。このときの2−エチルアクロレイン:ホルムアルデヒド:NaOH仕込み比は、モル比で1:15:0.1であった。
【0059】
2−エチルアクロレイン基準の2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールと2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルムアルデヒドのホルムアルデヒド付加体の合計収率は65.5%であった。
次に、反応液を60℃に保持しながら、n−ブチルアルデヒド72g(1mol)を加えた後、20%NaOH16g(0.08mol)を滴下し、n−ブチルアルデヒドと未反応ホルムアルデヒドとの反応を実施した(反応工程(iv))。
【0060】
反応工程(iv)における、n−ブチルアルデヒドの転化率は95%、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールと2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルムアルデヒド付加体の合計収率は72.2%、同合計選択率は76%であった。このときの2−エチルアクロレインの収率は22.0%であった。また、n−ブチルアルデヒド基準のホルムアルデヒド残存量は99.9モル%であった。
工程(iii)と工程(iv)におけるn−ブチルアルデヒド:2−エチルアクロレイン:ホルムルデヒド:NaOHの総仕込みモル比は、1:0.2:3:0.1であった。
【0061】
上述した2−エチルアクロレイン分離工程の蒸留塔の塔底から回収した25重量%2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナール溶液380gを60℃に加温し、31重量%過酸化水素154g(1.4モル)を2時間で滴下した後、更に5時間反応させた。酸化反応後、反応工程(iv)において消費されたn−ブチルアルデヒド基準の2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸の収率は、47モル%であった。
【0062】
実施例5
n−ブチルアルデヒド72g(1mol)、30%ホルムアルデヒド水溶液170g(1.7mol)を反応器に仕込み、40℃に加温しながら20%NaOH水溶液16g(0.08mol)を滴下後、液温60℃で1時間反応を実施した(反応工程(i))。このときのn−ブチルアルデヒド:ホルムアルデヒド:NaOH仕込み比は、モル比で1:1.7:0.08であった。
【0063】
n−ブチルアルデヒドの転化率は76.6%、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールと2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルムアルデヒド付加体の合計収率は49.9%、同合計選択率は65.1%であった。このときの2−エチルアクロレインの収率は22%であった。また、n−ブチルアルデヒド基準のホルムアルデヒド残存量は35モル%であった。
次に、反応液を90℃、常圧の条件で蒸留し、2−エチルアクロレインを含む留分(98%)を分離した。
【0064】
30%ホルムアルデヒド水溶液170g(1.7mol)に前記の分離した2−アルキルアクロレインを含む留分(2−エチルアクロレイン量16.8g,0.2mol)を加え、40℃に加温しながら、20%NaOH水溶液6g(0.03mol)を滴下した後、液温を40℃で、1時間保持して、2−エチルアクロレインの反応を行った(反応工程(iii))。このときの2−エチルアクロレイン:ホルムアルデヒド:NaOH仕込み比は、モル比で1:8.5:0.1であった。
2−エチルアクロレイン基準の2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールと同付加体の合計収率は69.7%であった。
【0065】
次に、反応液を60℃に保持しながら、n−ブチルアルデヒド72g(1mol)を加えた後、20%NaOH10g(0.05mol)を滴下し、n−ブチルアルデヒドと未反応ホルムアルデヒドとの反応を実施した(反応工程(iv))。
反応工程(iv)における、n−ブチルアルデヒドの転化率は68.2%、2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールと2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)ブタナールのホルムアルデヒド付加体の合計収率は53.1%、同合計選択率は77.9%であった。このときの2−エチルアクロレインの収率は14.6%であった。また、n−ブチルアルデヒド基準のホルムアルデヒド残存量は22モル%であった。
工程(iii)と工程(iv)におけるn−ブチルアルデヒド:2−エチルアクロレイン:ホルムルデヒド:NaOHの総仕込みモル比は、1:0.2:1.7:0.08であった。
【0066】
【発明の効果】
本発明においては、副生物の2−置換アクロレインを有効に利用することにより、脂肪族アルデヒドと縮合反応させるのに用いるホルムアルデヒドの使用量が少なくても、高収率に目的とする2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを得ることができるため、未反応ホルムアルデヒドの回収工程の負荷を低減する事ができるため、工業的な利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を連続反応方式で製造するフローを示す図である。
【符号の説明】
1 ホルムアルデヒド原料
2 塩基触媒
3 2−置換アクロレイン反応工程
4 反応液配管
5 アルデヒド反応工程釜
6 脂肪族アルデヒド原料
7 塩基触媒
8 反応液配管
9 分離工程塔
10 2−置換アクロレインを含む液
11 目的生成物に富む液
12 最初に使用するホルムアルデヒド原料
Claims (3)
- 一般式(I)
で表される脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドとを、塩基の存在下に反応させて、一般式(II)
で表される2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造する方法において、少なくとも、一般式(I)で表される脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドを含有する液を、塩基の存在下で反応させて2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造するアルデヒド反応工程、及び、該アルデヒド反応工程で副生した一般式(III)
で表される2−置換アクロレインを含む液を、塩基の存在下で2−置換アクロレインとホルムアルデヒドのモル比が、1:3〜1:100の範囲でホルムアルデヒドと反応させて2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造する2−置換アクロレイン反応工程を含み、全工程中の脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドの総仕込みのモル比が、1:1〜1:5となるように反応を行い、かつ、上記2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造する方法が、(a)一般式(I)で表される脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドを含有する液とを塩基の存在下で反応させて2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造するアルデヒド反応工程(i)と、(b)該アルデヒド反応工程(i)から抜き出された反応液から、一般式(III)で表される副生した2−置換アクロレインを含む成分を分離する工程(ii)と、(c)該2−置換アクロレインを含む成分を、塩基の存在下で、2−置換アクロレインとホルムアルデヒドのモル比が1:3〜1:100の範囲で、ホルムアルデヒドと反応させて2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造する2−置換アクロレイン反応工程(iii)と、(d)該2−置換アクロレイン反応工程(iii)で得られたホルムアルデヒドを含む反応液の少なくとも一部と、一般式(I)で表される脂肪族アルデヒドとを、塩基の存在下に反応させて2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造する工程(iv)、からなり、工程(iv)が、2−置換アクロレイン反応工程(iii)で得られたホルムアルデヒドを含む反応液を、アルデヒド反応工程(i)のホルムアルデヒドを含有する液として使用する工程であり、工程(i)〜(iii)の操作を繰り返して行うことを特徴とする2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールの製造方法。 - 脂肪族アルデヒドとホルムアルデヒドとを塩基性触媒の存在下にアルデヒド反応工程で縮合反応させて得た反応液の一部を抜き出し、これを分離塔に導き、この分離塔で2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールに富む液と2−置換アクロレインを含む液に分離し、この分離された2−置換アクロレインを含む液にホルムアルデヒドを導入し、塩基性触媒の存在下に反応させ、得られた反応液を前記アルデヒド反応工程に導入することにより連続的に2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを製造することを特徴とする請求項1に記載の2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールの製造方法。
- 請求項1又は2に記載の方法で2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを得る工程と、得られた2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカナールを酸化する工程とから成る2,2’−ビス(ヒドロキシメチル)アルカン酸の製造方法。
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