JP4117346B2 - 動物肥料からのアンモニア放出を軽減する方法、上記方法を実施するためのプラント、及びそのようなプラントの使用 - Google Patents

動物肥料からのアンモニア放出を軽減する方法、上記方法を実施するためのプラント、及びそのようなプラントの使用 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、動物肥料からのアンモニア放出を軽減する方法に関する。前記肥料は、アンモニウム・イオン NH4 +を含み、かつ、7以上のpH値を有し、そして上記肥料に7以下のpH値を有する酸性化合物が添加され、ここで、上記酸性化合物は、上記肥料を肥料樋(manure gutter)から収集容器(collection vessel)に移した後にこの肥料に添加される。本発明は、前記方法を実施するためのプラント、及びそのようなプラントの使用にも関する。
【0002】
EP 0 850 561は、同時にアンモニア粉塵と臭気の放出を軽減するためのシステムを記載している。硫酸のような酸を保存容器中の肥料の液体部分への添加による酸性化を伴う保存容器を提供する。それによって肥料は、6未満のpHに酸性化され、そして肥料収集水路(collection channels)に戻される。その後、収集水路に入る新しい肥料は、酸性の環境に入り、それによってアンモニア NH3の排出を制限する。同様に、記載は、動物小屋から換気された空気をきれいにするために動物小屋の空気と酸性化した液状の肥料と混合するための空気除去水路(air removal channel)である。
【0003】
EP 0 498 084は、また一方で、肥料が家畜小屋の浄化に使用されるような肥料のpHにするための、肥料の液体部分の酸性化の可能性をも記載する。あるいは、肥料の液体部分を酸性化し、そしてろ過する前に、液体部分と固体部分を組み合わせたものは、家畜小屋中の通気により乾燥するかもしれない。それにより、この固体部分が30%以上になる。糞便部分の含水量と尿の量を減らすために、エアレーションの間に大量の流体を尿及び糞便から抽出する。
【0004】
WO 95/12971は、肥料に酸を添加し、その後酸性化肥料をその家畜小屋の樋のフラッシュに使う手段を提供する家畜小屋をさらに記載している。この刊行物に記載された家畜小屋の目的の1つは、アンモニアの放出を軽減することである。7.0超のpH値を有する肥料に、pH値を6.0以下まで下げるために酸を添加する。肥料中のアンモニア・イオンが、酸の陰性荷電イオンに結合することにより、結合していないアンモニア・イオンの減少により、樋からの遊離アンモニアの量が制限される。
【0005】
しかし、前記の刊行物に記載の方法及びシステムを使用する場合、いくつかの問題点が生じる。最初に、酸性化肥料による樋のフラッシングは、アンモニアのエアゾールの発生を生じるかもしれない。アンモニアの小さな飛沫であるこれらのエアゾールは、通常発生する単なるアンモニア蒸気よりも家畜小屋にいる動物及びヒトをより刺激するかもしれない。第二に、酸を肥料の液体部分に添加し、その後酸性化肥料を収集水路に戻すことにより、動物小屋のアンモニアの蒸発を減らすことは、アンモニアの蒸発を同じ、低いレベルで維持するために、添加される硫酸の量を絶えず増やすという結果をもたらす。肥料の化学組成が同じであれば、常に、肥料を樋から肥料容器に移し、次に同量の酸を添加しなければならず、従って、酸の大量消費に終わる。
【0006】
第三に、例として、硫酸が酸として使われる場合に、形成される硫化水素 H2Sの大きな危険が存在する。硫酸は製造が簡単で購入が安価であるため、当業者に対して、硫酸は肥料に添加するために強く推薦される酸である。しかし、硫化水素 H2Sは、非常な悪臭を伴い、もし着火すれば、非常に可燃性の化合物である。同様に、硫化水素は空気より重いので、硫化水素が発生した場合、家畜小屋の動物が窒息する危険がある。
【0007】
本発明の目的は、先行技術の欠点を改善し、そして効率的なやり方だけでなく、経済的なやり方で、肥料による放出を軽減しうる方法、並びにこの方法を実施するためのプラントを提供することである。アンモニアの放出を減らし、かつ、肥料中での植物が利用しやすい窒素の変換を最適化することが同時にできる方法及びプラントを提供することが目的でもある。
【0008】
この目的は、肥料が肥料樋から送られた後に、肥料に酸素がさらに添加され、そして酸性化合物と酸素の両方が添加された酸性化・酸化された肥料がその後肥料樋に戻される方法により達成される。
【0009】
同様に、酸素を肥料に加えることにより、いくつかの利点があることを示した。新しい肥料に酸素だけが添加された場合、利点の一部は存在しないが、しかし酸素が酸性化肥料に添加された場合、ようやくそれが存在する。1つの利点は、有機物質の無機物質への転換が高められることである。しかし、前記転換を酸性化肥料のような酸性環境で行う時以外、これは当業者を裏切った。本発明において、肥料を酸性化することによるアンモニウムの放出を軽減する効果の結果、当業者は、植物が有機態窒素を利用しにくいために、もし農業の分野に広がる場合、これが有機的なアンモニアの量の増加をもたらし、その結果としてこの肥料の汚染効果の危険性を増加させると考えている。しかし、意外にも、この効果がないことが示された。これは、肥料への酸素の添加により、ある程度の尿素の形成をもたらす酸化であり、上記尿素は、有機態窒素を含む化合物であるにもかかわらず植物が利用しやすい。
【0010】
同様に、肥料への酸素の添加により、アミノ酸が尿素に転換される。これに反して、酸化が確立されない時、その後有機的で、かつ、利用しにくい窒素の量がずっと多くなる。
【0011】
よって、処理した肥料において酸性化合物の添加がもたらす窒素量の増加と酸素の添加がもたらす肥料から放出されるアンモニア量の増加の間には、実際相異が存在する。しかし、本発明の方法により、2つの化合物を組み合わせ、そして驚異的な相乗効果の利点を達成することが可能である。
【0012】
他の利点は、発生する硫化水素 H2Sの危険性が除かれるか、あるいは硫化水素の悪臭に起因する迷惑のレベルを下回り、かつ、着火した場合に、出火する危険性に起因する脅威のレベルを下回るレベルに少なくとも制限されることである。家畜小屋における試験の間に意外にも発見された、よりさらなる利点は、添加される酸性化合物の量が、回数に従って絶えず減少することであり、肥料は、家畜小屋を通り抜け収集容器、例えば収集タンク又は環状の用水路(annular canals)に送られ、そしてこのタンク又は用水路の中で上記肥料は短期間又は長期間にとどまり、酸性化・酸化された肥料は肥料樋に戻される。
【0013】
しかし、理論的には、硫酸が酸性化合物として使用され、かつ、肥料に添加された酸素が十分でなければ、発生する硫化水素の危険性が常に存在する。硫化水素の発生に関する化学的過程は、以下のとおりである。
【0014】
SO4 2- + デスルホビブリオ(Desulfovibrio)(細菌) → H2S
従って、本発明によるプラントは、硫化水素の量が十分に低いレベルに比べて高くなった場合に、警戒するための警報を含むかもしれない。この警報は、家畜小屋及び家畜小屋の装置を監視するのに関連した他の警報と組み合わされる。
【0015】
好ましい方法により、肥料が収集容器に送られた後で、かつ、酸性化された肥料が肥料樋に戻される前に、酸性化合物を収集容器に添加し、そして肥料が収集容器から送られた後で、かつ、酸性化、及び酸化された肥料が肥料樋に戻される前に、酸素が肥料に添加される。
【0016】
収集容器中に酸性化合物を添加することにより、肥料が安定し、pH値の測定が正確にされる条件下で、酸を添加する。これに対して、酸素の添加は、酸素が効果的に酸性化肥料と混合されるような、酸性化肥料が分配手段を流れ抜ける時に最もよく実施される。酸素の添加は、分配手段に提供されるイジェクターによるか、あるいは分配手段内の空気を吹き込む加圧装置により行われもする。
【0017】
肥料樋に送られる酸化・酸性化された肥料は、3.0〜7.0、好ましくは4.0〜6.0のpH値、より好ましくは5.5のpH値を持ち、そして0.4 mg/l〜5.0 mg/l、好ましくは0.5 mg/l〜2.0 mg/l、より好ましくは1.0 mg/lの酸素含量を持つ。
【0018】
これらの値の範囲内で、前記利点及び所望の技術的な効果を得ることができると保証される。前記利点はより顕著であり、技術的な効果は、好ましい値又はより好ましい値を使用した時に大きくなる。
【0019】
好ましい方法により、肥料樋からの肥料を、最初に収集された肥料と収集容器内で混合し、続いて酸性化及び酸化した、並びに酸性化・酸化された肥料と合わせた、酸性化・酸化されていない混合物を、酸性化合物及び酸素を添加するために肥料樋から収集容器に移し、続いて収集容器から肥料樋に移す、そして上記混合物が収集容器から肥料樋に移される前に添加した酸性化合物の量は、この混合物が肥料樋から収集容器に移されることにより循環する回数に比例して減少する。
【0020】
好ましくは、2度以上、肥料は、肥料樋から収集容器まで移され、続いて酸性化及び酸化され、最後に肥料樋に戻される。これは、肥料の最初の循環後に、肥料樋から得られた肥料が、新しい肥料と酸性化・酸化された循環肥料の混合物となることをもたらす。しかし、意外にも、肥料が肥料樋に送られるごとに循環した肥料に新しい肥料が混合されるにもかかわらず、特定の低いpH値で収集容器内の肥料を保持するために添加しければならない酸の量が、肥料を肥料樋と収集容器の間を循環させる回数に比例して減少していることを発見した。
【0021】
この理由は、目下正確に知られているわけではないが、しかし、1つの見解は、有機物質を無機物質に変換するために使われる好気性の微生物が、それらの呼吸及び転換の間に1以上の酸性化合物を産生することである。微生物により産生されたこれらの酸性化合物は、pH値を下げもし、そしてアンモニア・イオンに結合するために使用されもし、それによりアンモニアの放出を軽減する。微生物により産生された酸性化合物は、おそらく乳酸、CH3CH(OH)COOH、酢酸、CH3COOH、及びギ酸、HCOOHである。好気性微生物の産生する補足の酸性化合物による、減少した収集容器に添加された酸性化合物の効果は、酸化が好気性の微生物の活性を高めるので、おそらく肥料が酸化させている時に限り得ることができる。
【0022】
本発明によるプラントは、家畜小屋の肥料樋から送られる動物肥料を集めるための収集容器を含む、さらに上記プラントは、酸性化合物を肥料に加えるための酸供給手段と酸素を肥料に加えるための酸素供給手段をさらに含む、そして上記プラントは、酸性化・酸化された肥料を、家畜小屋の肥料樋に戻す分配のための分配手段をさらに含み、上記分配方法は、収集容器と分配手段の多数の排出口の間に位置する。
【0023】
酸性化合物を添加するための、及び酸素を添加するための両方の手段を備えるプラントは、プラントにより分配された肥料の技術的な効果に対する、まだ予測できない相乗効果を含む。上記相乗効果は、前記の、本発明による方法の簡単な説明に関連してより詳細に記載される。本発明の理論的な根拠は、単純な化学反応にある。溶解しているアンモニウム NH4 +とアンモニア NH3の大気中の含量の間には平衡が常にある。この平衡は、pH値の変更の下で移動する。試験の間、pH値を下げて実験を行った。結果は、5,0のpH値で取り出されたアンモニアの放出を示す。5,5のpH値で唯一の最小のアンモニア放出が生じる。試験の間、動物からの肥料が畜舎の床に落ちた直後にアンモニアの放出の一部が生じると予測した。化学過程は以下である:
CO(NH2)2 + H2O + ウレアーゼ → (NH4)2CO3 → 2NH3 + CO2 + H2O
ウレアーゼを産生する細菌により構成された微生物は、pH値に敏感で、5.5未満のpH値では非常にわずかな活性しかない。よって、この化学過程は、5.5未満のpH値にpH値の底を下げることにより制限される。
【0024】
プラントの好ましい態様は、収集容器に、そして好ましくは収集容器の底に酸性化合物を添加するための酸供給手段を伴って提供される、そしてこのプラントは、酸性化合物のリザーバと肥料の収集容器の間に設置されている弁を含む酸供給手段を伴って提供され、上記弁を通って収集容器への、リザーバからの酸性化合物の添加は、収集容器内に設置されたpHセンサーにより調節される。
【0025】
調節のためにpHセンサーを使用することにより、酸供給源からの酸性化合物の添加は、酸性化合物の添加を制御するか、あるいは監視する必要のない、酸性化合物の添加を完全に自動化することを可能にさせた。酸性の供給手段、例えば酸性化合物を含んでいる大きな容器が、空のまま作動しないように制御する必要性だけがある。
【0026】
プラントの分配手段の好ましい態様は、収集容器内に設置されたポンプ、好ましくは収集容器の底に設置されたエマージド・ポンプ(emerged pump)を含み、そしてここで、この分配手段は、集められた液状の肥料の表面下で水中に沈んでいる、及び肥料樋中のある深さに位置する排出口を含む。
【0027】
例えば収集タンクから肥料樋に、酸性化肥料を汲み上げるために水中ポンプを使用すること、及び肥料樋内の液状の肥料の部分の表面下に位置する分配手段の排出口を有することは、肥料が肥料樋に分配されるとき、エアゾルが形成されずに、そして家畜小屋に広がらないことを保証し、よって家畜小屋の環境を改善する。
【0028】
プラントの分配手段のより好ましい態様は、分配手段のメイン・パイプから分配手段の排出口への流路を構成する多数の輸送パイプを含み、そして上記輸送パイプは、メイン・パイプから上方に上限の高さまでカーブに沿って伸び、そしてこの上限の高さから下方に排出口までカーブに沿って伸びている、そして排出口における酸性化・酸化された肥料の液体の圧力を同じくするために、全ての輸送パイプの上限の高さは、同じ水平面に存在する。
【0029】
メイン・パイプからの輸送パイプを有し、このパイプが上方に向いたカーブに沿って、そして下方へ排出口まで及び、さらに同じ水平面で上限の高さの輸送パイプの数を維持することが、異なる肥料樋に送られる同量の酸性化・酸化された肥料を有することを単純で、簡単にする。これは、どこで酸性化・酸化された肥料をメイン・パイプを通すかに関係なく行われ、そのため、弁、異なる寸法の輸送パイプ、又は異なる肥料樋に送られる等量の酸性化・酸化された肥料を確実にする他の手段によるメイン・パイプから排出口への酸性化・酸化された肥料の輸送を調節する必要性はない。
【0030】
家畜小屋の施肥範囲からのアンモニアの放出を軽減するためのプラントは、水に酸性化合物を添加するための酸供給手段を含み、そして上記プラントは、酸性化された水を家畜小屋の施肥範囲に分配するための分配手段をさらに含む、ここで上記分配手段は、吸水口とこの分配手段の多くの排出口の間に設置される。このプラントの好ましい態様において、送水管は、床の上と特定の高さで畜舎の上方に走っている。これは、畜舎の上方の空気中の粉塵の粒子が畜舎をフラッシュしている酸性化された水により捕獲されるという有利な影響を持つ。前記水による塵粒の捕獲は、酸性化した水の飛沫が塵粒と衝突することにより「機械的に」、あと酸性化水の陰性荷電イオンが、多くの場合陽性荷電した塵粒を引き付けることにより「電気的に」行われる。
【0031】
図1は、本発明による方法を実施するための予定されるプラントを示す。このプラントは、肥料樋からのアンモニアの放出を軽減するための手段を有する第1の部分1、及び施肥範囲からのアンモニアの放出を軽減するための手段を有する第2の部分2を提供する。このプラントは家畜小屋に設置される。前記家畜小屋は、家畜のための畜舎3を含む。この畜舎3は、床を提供し(図2を参照のこと)、好ましくはこの床は、床下で提供される肥料樋に対して高くなっていて、さらにこの床は、動物からの肥料を床下の肥料樋の中に流す砂を提供する(図2を参照のこと)。
【0032】
肥料樋は、前記樋から排水パイプ5を通って共通の収集容器6に肥料を送るための排水管4を提供し、この容器は、示された態様においてタンクである。あるいは、収集容器は、家畜小屋を通り抜けている用水路網であるかもしれず、肥料は用水路の排出口に送られるまでの期間、用水路に滞在する。示された家畜小屋の態様において、各々の2組の樋だけが排出口4を提供する。排出口がない樋を排出口がある樋と連絡し、それにより排出口がない樋からも肥料が抜かれるように、排出口4がある樋と排出口がない樋の間の、流路7を樋の間に設置する。樋から抜かれた新しい肥料を共通の収集タンク6に送る。
【0033】
プラントの第1の部分1は、酸性化合物を肥料に添加するための手段を提供し、そして肥料に酸素を添加するための手段をも提供する。収集タンク6にまとめられたとき、新しい肥料は、酸性化合物を添加される。酸性化合物のリザーバ8は、収集タンク6の近くに設置される。チューブ9は、酸性化合物をリザーバ8から収集タンク6、好ましくは収集タンクの底に送る。弁10、好ましくはモーター調節された弁は、リザーバ8と収集タンク6の間の、収集タンクに送るチューブ9の直前、又はそれに沿って設置される。pHセンサー11は、pHセンサーが収集タンク内の肥料のpH値を検出できる適正レベルで収集タンク6に設置される。最初に収集タンクに送られるとき、肥料は7.0超のpH値を有し、そのためpH値を7.0未満の値に下げることを目標とする。酸性化合物を肥料に添加することによりこれは達成される。
【0034】
酸性化合物の添加を、pHセンサー11、及び弁10により調節する。このpHセンサー11を、3.0〜7.0、好ましくは4.0〜6.0の特定のpH値に、より好ましくは5.5のpH値にプログラムする。pH値が、pHセンサー11にプログラムされているpH値を上回っている限り、リザーバ8からチューブ9を通って収集タンク6に酸性化合物を添加するために弁10は開けられる。pH値が、pHセンサー11にプログラムされたpH値に達すると、その時、弁10が閉じられる。収集タンク6において、新しい肥料は直ちに酸性化された。その後この肥料は酸化されることになっている。
【0035】
分配手段は、酸性化肥料の収集タンク6から肥料樋への分配を提供する。前記分配手段は、収集タンクから、そして畜舎に沿って通じるメイン・パイプ12を含んでいる。排出口13を通り、収集タンク6からの肥料がメイン・パイプ12から肥料樋に送られる。このメイン・パイプ12は、収集タンク6からの酸性化肥料に酸素を添加するための手段14を提供する。酸素を添加するための手段14は、メイン・パイプ中に酸素又は空気を吸い込むためのメイン・パイプ12に提供されたイジェクターかもしれない。同様に、酸素を添加するための手段14は、メイン・パイプ中に酸素又は空気を吹き込むための加圧装置であるかもしれない。
【0036】
言及されるように、プラントは、家畜が立ち、そして横たわる床の施肥範囲からの肥料の放出を軽減するための手段2を含む。これらの手段は、酸性化合物のリザーバ8を越えて、さらに家畜小屋の施肥範囲まで通じる送水パイプ15から成る。この水は、水と混合された大量の酸性化合物を得るためにリザーバ8を通り過ぎて送られる。それにより、水が酸性化されて、各畜舎3に設置された排出口16に送られる。この排出口16は、床の特定の範囲を酸性化した水でフラッシュするために、畜舎の床の上に設置される。
【0037】
畜舎で立ち、そして休息する動物は、畜舎に特定の施肥範囲を持たない。しかし、おそらくその範囲がぬれているため、酸性化した水でフラッシュされる畜舎の床の部分は、多くの種類の家畜に関して施肥範囲としてしばしば選ばれる。このように、動物がそれら自身の選択した施肥範囲を持っていなければ、その後フラッシュされた範囲が施肥に好ましい範囲になるかもしれない。
【0038】
図2は、プラントの第1の部分及び第2の部分を設置した家畜小屋の写真である。プラントの第1の部分は、家畜小屋の一方の壁に沿って走るメイン・パイプ12、メイン・パイプ12と排出口13の間に設置された排出口(図示せず)、及び輸送パイプ17(図3も参照のこと)から成る分配手段を含む。
【0039】
プラントの第2の部分は、家畜小屋の畜舎の上方に走っている送水パイプ15、及び排出口16(図4も参照のこと)を含む。この排出口16は、メイン・パイプ15から伸びている側面のパイプに沿って提供される、そしてこの排出口が畜舎の上方に提供される理由は、第一に、各々の畜舎の床の比較的に広い範囲が、排出口からの酸性化した水によりフラッシュされるからである。第二に、畜舎の上方の位置からフラッシュすることは、畜舎の上方の空気中の塵粒が畜舎をフラッシュしている水により捕獲されるという効果を持つ。前記水による塵粒の捕獲は、酸性化した水の飛沫が塵粒と衝突することにより「機械的に」、あと酸性化水の陰性荷電イオンが、多くの場合陽性荷電した塵粒を引き付けることにより「電気的に」行われる。
【0040】
図3は、プラントの第1の部分のメイン・パイプ12、並びにメイン・パイプ12から排出口(図示せず)に通じた輸送パイプ17を示す写真である。メイン・パイプ12は、収集タンク6から、そして家畜小屋の異なる畜舎に沿って通じている(図1を参照のこと)。輸送パイプ17は、メイン・パイプ12の上部から上限の高さのULへのカーブに沿って上方へ、そして排出口(図示せず)へのカーブに沿って下方に伸びる。排出口は、畜舎の床Fの下に配置され、そして好ましくは床下の肥料樋の、特定の高さにある液状の肥料の表面下に配置される。よって、酸性化・酸化された肥料が排出口に送られるとき、フラッシング、又は肥料の飛沫の発生を引き起こすかもしれない他の行動の危険性はない。
【0041】
輸送パイプの上限の高さのULは、特定の水平面で設置される。異なる畜舎への全ての輸送パイプ(図2を参照のこと)は、同じ水平面で設置された上限の高さを有する(図2を参照のこと)。輸送パイプがメイン・パイプの上部から通じているという特徴と組み合わせたこの特徴は、メイン・パイプから輸送パイプ及び排出口を介して肥料樋まで送られる酸性化・酸化された肥料の量が、収集タンクから通じるメイン・パイプの場所から肥料樋が近くにあるか、遠くにあるかどうかに係わらず同じであるという効果を有する。
【0042】
図4は、プラントの第2の部分の送水パイプ15からの排出口を表す。この排出口16は、メイン送水パイプの側枝18に設置され、スプリンクラー19が排出口として提供される。このスプリンクラー19は、畜舎の床の選ばれた区域をフラッシュするように設計される。メイン・パイプ15、及びスプリンクラー19は、畜舎越しに特定の高さで提供され、この高さは少なくともヒトの身長である。このように、畜舎をフラッシュした酸性化された水により捕獲された塵粒は、家畜小屋にいるヒト及び豚の高さを上回る高さで捕獲される。
【0043】
本発明によるプラントで行った試験の結果を、ここに示し、そして以下の表及び議論を参照して議論する。
【0044】
計測及び解析:
第1の試験を、実験室にて、空気を約2lの巨大な計測グラス内に含まれた肥料に吹き込んで行う。吹き込みを、15分間の間の2分の吹き込みにより瞬間的に行う。肥料のpH値は絶えず制御され、そして5.0のpH値に調節される。続く解析は、試験されたとおりこの方法が可能であり、そして処置後の肥料中の窒素の91%が無機であること測定し、よってたった65%の未処理肥料中の無機状態の窒素に比べ、植物が利用しやすい。
【0045】
実物の試験も行った。試験を、25頭の豚のための空間を有する畜舎で行う。前記畜舎は、コンクリートで作られた遮蔽物を有するコンクリート格子のある畜舎である。肥料は格子の下の肥料樋に留められる。前記肥料樋は、0.5 mの深さがあり、そして3.25 m3の肥料収容能力がある。肥料樋中で、3週間の肥料受け入れ能力がある。対照として、試験畜舎と大きさ及びレイアウトが一致する隣接している畜舎を使用する。同様に、床も同じものである。対照畜舎の豚は、試験畜舎と同じサイズである。肥料の一部を1時間に2回、1分間の間樋から排出する。ポンプは、水中ポンプ「Flygt(登録商標)3000」である。それにより、肥料を樋の底から排水管を通して収集タンクまで汲み出す。同時に、硫酸を収集タンクに添加する。添加した硫酸、H2SO4 (96%)の量は、肥料の量に対して0.675重量パーセントである。硫酸を添加した肥料をノズルを通して畜舎の施肥範囲にフラッシュする。このように、2つの利点が、同じ方法で達成される。
【0046】
1.施肥範囲のウレアーゼ産生細菌は阻害される。それにより、望まれない過程:CO(NH2)2 + H2O + ウレアーゼ → (NH4)2CO3 → 2NH3 + CO2 + H2O
2.肥料樋内の肥料は、約5.0のpH値に保持される。
【0047】
試験期間中、アンモニアの放出を、測定法装置Drager Accuraにより試験畜舎全体で絶えず計測する。全て計測の平均値である、1 ppmの試験畜舎の床の上のアンモニア(NH3)の含量は、空気1 m3につき0.71 mgのNH3に相当する。対照畜舎において、平均13 ppmは、空気1 m3につき9.23 mgのNH3に相当する。このように、前記の処理は、アンモニアの放出が13倍小さい結果となった。
【0048】
それぞれ試験畜舎と対照畜舎の肥料樋が満たされた後に、代表サンプルを採取し、そして分析する。前記の空気の試験により、未処理畜舎に対して処理された畜舎からの肥料中のより高い窒素含量、すなわち5100 mg(N)/lと比べて6400 mg(N)/lが存在する。
【0049】
試験の間、硫化水素、H2Sの含量をDrager Accura測定法装置で計測する。その間、硫化水素の存在は計測されなかった。
【0050】
肥料中の酸素、O2の量を、試験畜舎、並びに対照畜舎において絶えず計測する。この計測を、酸素センサーYSI 55を用いて行う。3週間の期間にわたる毎日の計測の平均は、試験畜舎における酸素含量は、肥料1リットルあたり0.45 mg酸素、O2であり、一方対照畜舎における酸素含量は、肥料1リットルあたり0.09 mg酸素、O2である。このように、酸素含量の注目すべき相違が2つの畜舎の間にある。技術文献に共通する試験について、酸素、O2の含量は、肥料1リットルあたり1.00 mg酸素、O2であると見なした。
【0051】
【表1】
Figure 0004117346
【0052】
畜舎で行った試験とは別に、耕地(fields)においてさらなる試験を2001年5月17日〜2001年7月24日にデンマークの北部で行った。各々が全長約17 m、幅約3 m、及び深さ平均0.5 mを有する2つの池を耕地に設置した。一方の池、試験池は、本発明の方法に従って処理された肥料の試験を実施するための池で、もう一方の池、対照池は全く処理していない肥料の試験を実施するための池である。結果は、試験池中のアンモニウムの量が対照池中より多いことを示し、植物に対する栄養価が、本発明に従い処理された肥料中で全く処理されていない肥料中よりさらに高いことを意味している。同様に、結果も試験池からのアンモニアの気化が対照池より少ないことを示している。
【0053】
【表2】
Figure 0004117346
【0054】
さらなる試験は、68日間、試験池においてアンモニアの蒸発が全く生じなかった一方で、対照池において蒸発が生じたことを示した。これは、本発明による方法により処理された肥料中の窒素の総量が、耕地に移された後でも、無機の結合窒素として肥料中に存在し続ける一方、処理されていない肥料中の窒素量は、耕地に移されたときに減少することをはっきりと示す。
【0055】
耕地におけるさらなる試験の結果は、33トンの処理されていない肥料が、小麦畑1ヘクタールにつき65,67 hkgの穀物をもたらすことを示す。しかし、たった20トンの本発明により酸性化及び酸化させる方法により処理された肥料は、同じ小麦畑1ヘクタールにつき73,33 hkgの穀物をもたらす。
【0056】
ここで、本発明を、添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 家畜小屋の動物に対する肥料バター(manure butters)からの、そして床の施肥範囲からのアンモニアの放出を軽減するためのプラントの概略図である。
【図2】 豚舎に設置されたプラントを表す写真であり、このプラントは、アンモニアの放出を軽減するための両手段を含んでいる。
【図3】 プラントの詳細を表す写真であり、この詳細は、処理された肥料を肥料樋に分配するための上記プラントの一部である。
【図4】 プラントの詳細を表す写真であり、この詳細は、処理された水を家畜小屋の床の施肥範囲に分配するためのプラントの一部である。

Claims (25)

  1. 動物糞尿からのアンモニア放出の軽減方法であって、上記糞尿が、NH4イオンを含み、かつ、7超のpH値を有し、該方法が糞尿樋から収集容器(6)に糞尿を送ることを含んで成り、そして上記糞尿に7未満のpH値を有する酸性化合物を添加し、ここで、上記糞尿糞尿樋から収集容器(6)に送った後、かつ糞尿を糞尿樋に戻す前に酸性化合物用のリザーバ(8)から収集容器(6)の底に導かれるチューブ(9)により上記酸性化合物を収集容器(6)中の糞尿に添加し、そして上記糞尿糞尿樋から送った後に、さらに酸素を上記糞尿に添加し、その後上記酸性化合物及び酸素の両方を添加した酸性化・酸化された糞尿糞尿樋に戻す方法であり、そして上記酸性化・酸化された糞尿樋に送られる糞尿が、3.0〜7.0のpH値を有する、上記方法。
  2. 前記酸素を、前記糞尿を収集容器(6)から送った後、かつ、上記糞尿糞尿樋に戻す前に上記糞尿に添加する、請求項1に記載の方法。
  3. 糞尿樋に送られる前記酸性化・酸化された糞尿、4.0〜6.0のpH値を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 糞尿樋に送られる前記酸性化・酸化された糞尿が5.5のpH値を有する、請求項3に記載の方法。
  5. 糞尿樋に送られる前記酸化・酸性化された糞尿が、0.4mg/l〜5.0mg/lの酸素含量を有する、請求項1又はに記載の方法。
  6. 糞尿樋に送られる前記酸化・酸性化された糞尿が、0.5mg/l〜2.0mg/lの酸素含量を有する、請求項5に記載の方法。
  7. 糞尿樋に送られる前記酸化・酸性化された糞尿が、1.0mg/lの酸素含量を有する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記酸性化合物が、硫酸(HSO)、塩酸(HCl)、酢酸(CHCOOH)、ギ酸(HCOOH)、硫酸水素ナトリウム(NaHSO)、硫酸水素カリウム(KHSO)、及び亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)の中から選ばれる、請求項1、3又は4に記載の方法。
  9. 糞尿樋からの糞尿を、最初に収集容器(6)に集め、その後酸性化及び酸化された糞尿と混合し、そして上記酸性化・酸化された糞尿とともに酸性化・酸化されていない糞尿の混合物を再循環し、この再循環は、酸性化合物を添加し、そして酸素を添加し、その後収集容器(6)から糞尿樋に送るために、多数回、上記混合物を糞尿樋から収集容器(6)に送る方法で行われる、請求項1、3、4又は8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記混合物を収集容器から糞尿樋に送る前に添加された酸性化合物の量が、上記混合物を糞尿樋から収集容器(6)に送った回数に比例して減少する、請求項に記載の方法。
  11. 上記糞尿が、NH イオンを含み、かつ、7超のpH値を有し、ここで、約7のpH値の水に7未満のpH値を有する酸性化合物を添加し、そして酸性化された水を家畜小屋の糞尿範囲に送る、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 家畜小屋の糞尿樋から送られる動物糞尿を集めるための収集容器(6)を含み、酸性化合物を収集容器(6)中の上記糞尿に添加するための酸供給チューブ(9)であって、該酸供給チューブ(9)が酸性化合物用のリザーバー(8)から収集容器の底に導かれるチューブ、及び酸素を収集容器(6)中の上記糞尿に添加するための酸素供給手段(14)をさらに含み、そして上記収集容器(6)と分配手段(15)の多数の排出口(13)の間に配置された、前記酸性化・酸化された糞尿を家畜小屋の糞尿樋に分配するための分配手段(15)をさらに含む動物糞尿からのアンモニア放出を軽減するためのプラント。
  13. 前記酸素供給手段(14)が、収集容器(6)の後にある分配手段への酸素の添加を提供する、請求項12に記載のプラント。
  14. 前記酸供給チューブ(9)が、酸性化合物のリザーバ(8)糞尿の収集容器の間に設置された弁(10)を含み、かつ、上記リザーバ(8)から弁(10 を経て上記収集容器(6)への酸性化合物の添加が、上記収集容器(6)にあるpHセンサー(11)により調節される、請求項12又は13に記載のプラント。
  15. 前記酸素供給手段(14)が、糞尿の収集容器(6)と分配手段の多数の排出口(13)の間の分配手段に設置されたイジェクターを含み、かつ、上記イジェクターを経る上記分配手段への酸素の添加が、酸性化された糞尿が分配手段を流れるときに達成される、請求項13に記載のプラント。
  16. 前記酸素供給手段(14)が、糞尿の収集容器(6)と分配手段の多数の排出口(13)の間の分配手段に接続した状態で提供される加圧装置を含み、かつ、上記加圧装置による上記分配手段への酸素の添加が、酸性化された糞尿が分配手段を流れるときに達成される、請求項13に記載のプラント。
  17. 前記分配手段が、収集容器に設置されたポンプを含む、請求項12〜16のいずれか1項に記載のプラント。
  18. 前記収集容器に設置されたポンプが、収集容器の底に設置されたエマージド・ポンプである、請求項17に記載のプラント。
  19. 前記分配手段が、集められた液状の糞尿の表面下に沈められ、及び糞尿樋の特定の深さに据えられている排出口(13)を含む、請求項12〜18のいずれか1項に記載のプラント。
  20. 前記分配手段が、分配手段のメイン・パイプ(12)から分配手段の排出口(13)への流路を構成する多数の輸送パイプ(17)を含み、かつ、上記輸送パイプ(17)が上記メイン・パイプ(12)から上限の高さ(UL)までカーブに沿って上方へ伸び、そして上記上限の高さ(UL)から排出口(13)までカーブに沿って下方に伸びる、請求項12〜19のいずれか1項に記載のプラント。
  21. 前記輸送パイプ(17)が、前記メイン・パイプの円周の上部から導かれ、上記メイン・パイプ(12)が、実質的に水平面に伸び、そして上記輸送パイプ(17)が、実質的に垂直面に伸びる、請求項20に記載のプラント。
  22. 前記排出口(13)における酸性化・酸化された糞尿の液体圧を同じくするために、全ての輸送パイプ(17)の上限の高さ(UL)が同じ水平面にある、請求項20又は21に記載のプラント。
  23. 家畜小屋の糞尿樋中の動物糞尿からのアンモニア放出を軽減するための、請求項12〜22のいずれか1項に記載のプラントの使用。
  24. 家畜小屋の糞尿範囲の動物糞尿からのアンモニア放出を軽減するための、請求項12〜22のいずれか1項に記載のプラントの使用。
  25. 有機態窒素を含む化合物の無機態窒素を含む化合物への転換を増加させるための、請求項12〜22のいずれか1項に記載のプラントの使用。
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