JP4116208B2 - 可動k字クロッシング用転換鎖錠装置 - Google Patents

可動k字クロッシング用転換鎖錠装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、へ形基本レールの頂点部分で対向して設けられる一対の可動レールを転換し、かつ、鎖錠することのできる可動K字クロッシング用転換鎖錠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、へ形基本レールRの頂点部分で対向して設けられる一対の可動レールr1 ,r2 を有する従来の可動K字クロッシング用転換鎖錠装置(以下、「転換鎖錠装置」という。)の平面図である。この従来の転換鎖錠装置は、後述する2本の鎖錠かん110,111を有するNS−B形と呼ばれる特殊な電気転てつ機100が用いられている。
【0003】
電気転てつ機100は、動作かん101,その動作かん101に接続されたスイッチアジャスタ102、及びそのスイッチアジャスタ102に接続された転てつ棒103を介して一方の可動レール(第1可動レール)r1 を定位又は反位に転換するように構成されているとともに、上述のスイッチアジャスタ102の先端に設けられたリンク104、そのリンク104の力の作用方向を変更する第1の直角クランク105、その第1の直角クランク105にリンク106を介して接続され、さらに、力の作用方向を変更する第2の直角クランク107、その第2の直角クランク107に接続されたスイッチアジャスタ108、及びそのスイッチアジャスタ108に接続された転てつ棒109を介して他方の可動レール(第2可動レール)r2 を反位又は定位に転換するように構成されている。
【0004】
図5中、110,111は、一対の鎖錠かんであって、このうち、一方の鎖錠かん110は、接続かん112を介して一方の可動レールr1 の先端に設けられているフロントロッド113に接続されていて、その一方の可動レールr1 の定位又は反位の移動に応じて移動することができるように構成されている。そして、その定位又は反位の位置で鎖錠できるように構成されている。なお、図5において、一方の可動レールr1 が上方に移動しているときを定位、下方に移動しているときを反位、また、他方の可動レールr2 が下方に移動しているときを定位、上方に移動しているときを反位としている。後述する図6及び図1においても同じである。
【0005】
他方の鎖錠かん111は、接続かん114を介して他方の可動レールr2 の先端に設けられているフロントロッド115に接続されていて、その他方の可動レールr2 の定位又は反位の移動に応じて移動することができるように構成されている。そして、その定位又は反位の位置で鎖錠できるように構成されている。
【0006】
上述のNS−B形の電気転てつ機を用いた転換鎖錠装置は、一対の直角クランク105,107にリンク104やスイッチアジャスタ108等が接続される構成のため、接続点数が6箇所にも及び、しかも、接続箇所に設けられるジョーピンやジョーピン穴が摩耗しやすいという欠点がある。この摩耗が進行すると、他方の可動レールr2 の転換が一方の可動レールr1 より遅れ気味となる不都合が発生する。さらに、一対の直角クランク105,107の設定角度が正規に調整されていないと、一対の可動レールr1 ,r2 の転換動作に差が生じてしまう等の問題が発生するので、機器の調整には、熟練した作業員が長時間を要するという欠点があった。
【0007】
このような欠点を解決するために、現在では、図6に示されるような、一つの筐体内に1本の動作かん及び1本の鎖錠かんを内蔵した、周知のNS形の電気転てつ機を2台設けた転換鎖錠装置が普及している。
【0008】
このNS形の電気転てつ機を2台設けた転換鎖錠装置は、1台目の電気転てつ機200で一方の可動レールr1 を他方の可動レールr2 と独立して転換鎖錠し、2台目の電気転てつ機300で他方の可動レールr2 を一方の可動レールr1 と独立して転換鎖錠するように構成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の2台のNS形の電気転てつ機を用いた転換鎖錠装置は、NS−B形の電気転てつ機を用いたときのような一対の直角クランク等の調整作業を必要とすることなく、NS形の電気転てつ機を用いたときのような簡便な調整作業で足りる特長を有しているが、高価な電気転てつ機を2台必要とし、設備費がかさむという欠点がある。
【0010】
また、2台のNS形の電気転てつ機を用いる転換鎖錠装置は、一対の可動レールを転換するのに1台の電気転てつ機で十分であるにもかかわらず、その一対の可動レールを2台の電気転てつ機で転換するので、転換力が強すぎてしまうおそれがあった。この転換力が強すぎる場合は、へ形基本レールと可動レールとの間に異物が挾まったときに、鎖錠かんのロック機構によりその異物が検知できなくなるおそれがあった。
【0011】
そこで、本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、1台の電気転てつ機を用い、かつ、調整作業が極めて簡単な転換鎖錠装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る転換鎖錠装置は、上記目的を達成するために、鉄道の分岐点の線路が交差する箇所に敷設される可動K字クロッシングの転換・鎖錠を行う転換鎖錠装置において、動力によって線路に対して略平行方向に往復運動する動作かんを持つ転換機、スイッチアジャスタと転てつ棒を介して第1可動レールを転換・鎖錠する第1エスケープクランク、フロントロッドと接続かんを介して第1可動レールと第2可動レールの先端を照査するための2組の鎖錠かんとその鎖錠かん切り欠きに挿入するロックピースの動作を制御する駆動かんを内蔵した鎖錠機、第1エスケープクランクとは転換方向が逆の構造を持ち、スイッチアジャスタと転てつ棒を介して第2可動レールを転換する第2エスケープクランクで基本構成し、転換機、第1エスケープクランク、鎖錠機、第2エスケープクランクの順に線路に対して略平行に配置し、それぞれをリンク接続して、転換機の動作かんによる往復運動を第1エスケープクランク、鎖錠機、第2エスケープクランクの順に直列に伝動させ、可動K字クロッシングの転換・鎖錠を行うようにしたことを特徴としている。
また、1枚の敷板上に転換機、第1エスケープクランク、鎖錠機、第2エスケープクランクの順に取付けて、あたかも1台の電気転てつ機のように構成したことを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、一実施の形態に係る転換鎖錠装置の平面図である。
【0014】
敷板Bは、頂点部分で対向して設けられる一対の可動レールr1 ,r2 を有するへ形基本レールR,Rの一方側(図1では上方側)の軌間外の枕木上に設けられている。そして、この敷板B上には、へ形基本レールR,Rの長手方向(列車の進行方向)に沿って、かつ、所定の間隔を保って転換機10、第1エスケープクランク20、鎖錠機30及び第2エスケープクランク40が設けられている。
【0015】
転換機10は、周知のNS形の電気転てつ機と同様に交流のモータMを駆動源として駆動かん11をへ形基本レールR,Rの長手方向と平行する方向に往復移動できるように構成されている。
【0016】
図2は、転換機10がモータMの回転力をリンク11の往復動に転換するための機構図を示していて、この転換機10には、転換ローラ12を有する転換歯車13が設けられている。
【0017】
転換歯車13は、周知の電気転てつ機と同様に、モータMの回転力を図示しない摩擦クラッチ、減速歯車を介して時計方向又は反時計方向に回転することができるように構成されている。
【0018】
上記転換ローラ12は、へ形基本レールR,Rの長手方向にしか移動できないように設けられた動作かん14に設けられた窓15に移動自在に挿入されている。そして、この窓15は、動作かん14の移動方向と直交するように設けられた長孔に形成されている。したがって、転換ローラ12が転換歯車13の回転により回動させられると、動作かん14をへ形基本レールR,Rの長手方向に沿って移動させることができ、結局、この動作かん14の先端に接続されているリンク11をもへ形基本レールR,Rの長手方向に沿って移動させることができる。
【0019】
第1エスケープクランク20及び第2エスケープクランク40は、周知のエスケープクランクから構成されていて、その機構図は、図3に示されている。すなわち、これらエスケープクランク20,40は、一端(図3では上端)が上記リンク11に回動自在に連結され、他端(図3では下端)がエスケープ面21を有するL字状のエスケープ片22に当接される直線上のレバー23がほぼ中央部分で軸支されている。
【0020】
L字状のエスケープ片22は、その屈曲部で軸支され、また、エスケープ面21と反対側の端部には、後述するスイッチアジャスタが回動自在に接続されるように構成されている。なお、第1エスケープクランク20のL字状のエスケープ片22の向きと第2エスケープクランク40のL字状のエスケープ片22の向きは、対称となるように決められている(図1参照)。
【0021】
第1エスケープクランク20のエスケープ片22には、スイッチアジャスタ24及び転てつ棒25を介して一方の可動レールr1 が接続されている。また、第2エスケープクランク40のエスケープ片22には、スイッチアジャスタ26及び転てつ棒27を介して他方の可動レールr2 が接続されている。
【0022】
したがって、両エスケープクランク20,40は、リンク11の移動により一対の可動レールr1 ,r2 を定位又は反位に転換したときに、エスケープ面21により、その状態を鎖錠することができる。
【0023】
鎖錠機30は、上記図5で示したNS−B形の電気転てつ機100の鎖錠部分と同様に構成されていて、その機構図は図4に示されている。すなわち、この鎖錠機30は、一方の可動レールr1 にフロントロッド31及び接続かん32を介して接続される第1鎖錠かん33と、他方の可動レールr2 にフロントロッド34及び接続かん35を介して接続される第2鎖錠かん36と、これら両鎖錠かん33,36に設けられた切欠33a,33b、36a,36bに嵌合する突起37a,37bを有するリンク11に設けられたロックピース37とから構成されている。
【0024】
上記構成の転換鎖錠装置において、図1に示される状態は、駆動かん11が左側に移動した状態として示されている。すなわち、この状態において、第1エスケープクランク20は、一方の可動レールr1 を定位に保って鎖錠するとともに、第2エスケープクランク40は、他方の可動レールr2 を定位に保って鎖錠している。そして、この状態における2本の鎖錠かん33,36は、ロックピース37によって鎖錠された状態にあり、その鎖錠状態は、図示しない機械的なスイッチにより検出されている。
【0025】
図1に示される状態からリンク11が右側に移動すると、第1エスケープクランク20は、一方の可動レールr1 を反位に保って鎖錠するとともに、第2エスケープクランク40は、他方の可動レールr2を反位に保って鎖錠している。そして、この状態における2本の鎖錠かん33,36は、ロックピース37によって鎖錠された状態にあり、その鎖錠状態は、図示しない機械的なスイッチにより検出されている。
【0026】
【発明の効果】
本発明に係る転換鎖錠装置は、動力によって線路に対して略平行方向に往復運動する動作かんを持つ転換機、スイッチアジャスタと転てつ棒を介して第1可動レールを転換・鎖錠する第1エスケープクランク、フロントロッドと接続かんを介して第1可動レールと第2可動レールの先端を照査するための2組の鎖錠かんとその鎖錠かん切り欠きに挿入するロックピースの動作を制御する駆動かんを内蔵した鎖錠機、第1エスケープクランクとは転換方向が逆の構造を持ち、スイッチアジャスタと転てつ棒を介して第2可動レールを転換する第2エスケープクランクで基本構成し、転換機、第1エスケープクランク、鎖錠機、第2エスケープクランクの順に線路に対して略平行に配置し、それぞれをリンク接続して、転換機の動作かんによる往復運動を第1エスケープクランク、鎖錠機、第2エスケープクランクの順に直列に伝動させ、可動K字クロッシングの転換・鎖錠を行うようにしたから、実質的に1台の電気転てつ機で構成されるので、設備コストを下げることができるとともに、保守点検も1台分の電気転てつ機で足りる特長がある。しかも、エスケープクランクは、スイッチアジャスタで鎖錠された状態に保たれるので、ジョーピン及びジョーピン穴の摩耗の心配がなく、一度の機器調整で、常時、所定の転換状態を維持することができる。
また、1枚の敷板上に転換機、第1エスケープクランク、鎖錠機、第2エスケープクランクの順に取付けて、あたかも1台の電気転てつ機のように構成したときは、保守管理等が極めて便利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る転換鎖錠装置の平面図である。
【図2】転換機の機構図である。
【図3】エスケープクランクの機構図である。
【図4】鎖錠機の機構図である。
【図5】従来の転換鎖錠装置の平面図である。
【図6】従来の他の転換鎖錠装置の平面図である。
【符号の説明】
10 転換機
20 第1エスケープクランク
24 スイッチアジャスタ
25 転てつ棒
26 スイッチアジャスタ
27 転てつ棒
30 鎖錠機
31 フロントロッド
32 接続かん
33 第1鎖錠かん
34 フロントロッド
35 接続かん
36 第2鎖錠かん
40 第2エスケープクランク
B 敷き板
R,R へ形基本レール
r1 一方の可動レール
r2 他方の可動レール

Claims (2)

  1. 鉄道の分岐点の線路が交差する箇所に敷設される可動K字クロッシングの転換・鎖錠を行う転換鎖錠装置において、動力によって線路に対して略平行方向に往復運動する動作かんを持つ転換機、スイッチアジャスタと転てつ棒を介して第1可動レールを転換・鎖錠する第1エスケープクランク、フロントロッドと接続かんを介して第1可動レールと第2可動レールの先端を照査するための2組の鎖錠かんとその鎖錠かん切り欠きに挿入するロックピースの動作を制御する駆動かんを内蔵した鎖錠機、第1エスケープクランクとは転換方向が逆の構造を持ち、スイッチアジャスタと転てつ棒を介して第2可動レールを転換する第2エスケープクランクで基本構成し、転換機、第1エスケープクランク、鎖錠機、第2エスケープクランクの順に線路に対して略平行に配置し、それぞれをリンク接続して、転換機の動作かんによる往復運動を第1エスケープクランク、鎖錠機、第2エスケープクランクの順に直列に伝動させ、可動K字クロッシングの転換・鎖錠を行うようにしたことを特徴とする可動K字クロッシング用転換鎖錠装置。
  2. 1枚の敷板上に転換機、第1エスケープクランク、鎖錠機、第2エスケープクランクの順に取付けて、あたかも1台の電気転てつ機のように構成したことを特徴とする請求項1記載の可動K字クロッシング用転換鎖錠装置。
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