JP4115247B2 - 義肢装具作成のための石膏模型用組成物及び義肢装具作成のための石膏模型の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、義肢装具作成のための石膏模型用組成物及び義肢装具作成のための石膏模型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
義肢装具は、石膏を主材料とした模型上に樹脂を積層し固化することによって製造される。その義肢装具作成のための石膏模型は、焼石膏から形成される。焼石膏には、通常、二水石膏から容易に製造することができるβ−半水石膏が使用されている。ここで、義肢装具作成のための石膏模型を焼石膏のみで形成すると、その模型が重くなり、作業者の負担が大きくなる。このため、義肢装具作成のための石膏模型の軽量化が要求される。
【0003】
義肢装具作成のための石膏模型を軽量化する方法としては、軽量骨材を石膏泥漿に混練する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、軽量骨材を石膏に混練して製造した義肢装具作成のための石膏模型は、骨材が石膏に結合してしまって互いに分離することができない。このため、このような義肢装具作成のための石膏模型を使用して義肢装具を製造した後、模型に使用した石膏を回収して再利用することができず、義肢装具作成のための石膏模型を廃棄処分せざるを得ない。
【0004】
そこで、再利用することができる軽量化された義肢装具作成のための石膏模型を得る方法として、発泡剤を使用して、気泡を石膏泥漿中に一様に分散させて導入する方法がある。石膏に添加する発泡剤としては、a)アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、特許文献2参照)、b)高級アルコールの硫酸エステル塩(例えば、特許文献3参照)、C)一つの長鎖アルキル基又は長鎖アルケニル基を有する第三級アミンオキシド(例えば、特許文献4参照)、d)分子内にオキシエチレン基及びスルホン酸基を有する界面活性剤(例えば、特許文献5参照)、e)
【0005】
【化1】
のような一般式で表される第四級アンモニウム塩の界面活性剤(式中、R1は、炭素数8〜16の脂肪族炭化水素基、R2は、メチル基又はベンジル基を表す)及び
【0006】
【化2】
のような一般式で表されるピリジニウム塩の界面活性剤(式中、R3は、水素又はメチル基、Xは、水酸基又はハロゲンを表す)(例えば、特許文献6参照)、f)ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル(例えば、特許文献7参照)などが知られている。
【0007】
また、義肢装具作成のための石膏模型を硬化させた後には、通常、ヤスリ等での切削加工や補修用の石膏の盛り付けなどによって、義肢装具作成のための石膏模型の表面における細部の形状を整えたり修正したりする整形の作業が必要になる。
【0008】
しかしながら、β−半水石膏及び発泡剤を混練した材料で義肢装具作成のための石膏模型を製造する場合には、模型を充分に乾燥させないと、ヤスリの目に湿った状態の石膏が詰まり、義肢装具作成のための石膏模型の整形に関する切削加工性に問題が生じる。
【0009】
また、β−半水石膏及び発泡剤を混練した材料で製造し硬化させた模型は、吸水性が高い。よって、硬化させた模型に補修用の石膏を盛り付けて整形する際に、模型が補修用の石膏から水を吸収して、補修用の石膏が収縮するという問題が生じる。
【0010】
【特許文献1】
特開昭52−026524号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開昭50−041943号公報(第1頁)
【特許文献3】
特開昭54−001324号公報(第2頁)
【特許文献4】
特公昭45−007198号公報(第1頁)
【特許文献5】
特公昭45−007197号公報(第1頁)
【特許文献6】
特公昭47−051086号公報(第1頁)
【特許文献7】
特開昭48−094723号公報(第1頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、切削加工性を向上させると共に吸水性を低減させた、再利用可能で軽量な義肢装具作成のための石膏模型用組成物を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、切削加工性を向上させると共に吸水性を低減させた、再利用可能で軽量な義肢装具作成のための石膏模型の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様は、下記のいずれも常温で粉末である(A)乃至(D)成分からなり、
(A)JIS−R9112の試験方法で規定された標準混水量が25〜40%のα−半水石膏粉体100重量部、
(B)発泡剤0.001重量部乃至1重量部、
(C)泡安定剤0.001重量部乃至1重量部、及び
(D)硬化促進剤及び/又は硬化遅延剤の所定量、
且つ、軽量骨材を含まないことを特徴とする義肢装具作成のための石膏模型用組成物である。
【0014】
本発明の第一の態様によれば、下記のいずれも常温で粉末である(A)乃至(D)成分からなり、
(A)JIS−R9112の試験方法で規定された標準混水量が25〜40%のα−半水石膏粉体100重量部、
(B)発泡剤0.001重量部乃至1重量部、
(C)泡安定剤0.001重量部乃至1重量部、及び
(D)硬化促進剤及び/又は硬化遅延剤の所定量、
且つ、軽量骨材を含まないので、切削加工性を向上させると共に吸水性を低減させた、再利用可能で軽量な義肢装具作成のための石膏模型用組成物を提供することができる。
【0015】
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様による石膏模型用組成物に対し、前記(A)成分のα−半水石膏粉体100重量部当たり、そのα−半水石膏粉体の標準混水量より過剰の水40重量部乃至70重量部を加え混練して発泡石膏スラリーを調製するステップ、及び前記材料の発泡スラリーを前記義肢装具用模型の型において硬化させるステップを含むことを特徴とする義肢装具作成のための石膏模型の製造方法である。
【0016】
本発明の第二の態様によれば、下記のいずれも常温で粉末である(A)乃至(D)成分からなり、
(A)JIS−R9112の試験方法で規定された標準混水量が25〜40%のα−半水石膏粉体100重量部、
(B)発泡剤0.001重量部乃至1重量部、
(C)泡安定剤0.001重量部乃至1重量部、及び
(D)硬化促進剤及び/又は硬化遅延剤の所定量、
且つ、軽量骨材を含まない義肢装具作成のための石膏模型用組成物に対し、前記(A)成分のα−半水石膏粉体100重量部当たり、そのα―半水石膏粉体の標準混水量より過剰の40重量部乃至70重量部の水で混練して前記材料の発泡スラリーを調製するステップ、並びに前記材料の発泡スラリーを前記義肢装具作成のための石膏模型の型において硬化させるステップを含むので、切削加工性を向上させると共に吸水性を低減させた、再利用可能で軽量な義肢装具作成のための石膏模型の製造方法を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
まず、本発明による義肢装具作成のための石膏模型用組成物を説明する。本発明の義肢装具作成のための石膏模型用組成物は、下記のいずれも常温で粉末である(A)乃至(D)成分からなり、
(A)JIS−R9112の試験方法で規定された標準混水量が25〜40%のα−半水石膏粉体100重量部、
(B)発泡剤0.001重量部乃至1重量部、
(C)泡安定剤0.001重量部乃至1重量部、及び
(D)硬化促進剤及び/又は硬化遅延剤の所定量、
且つ、軽量骨材を含まない。
【0019】
本発明においては、義肢装具作成のための石膏模型用組成物の主成分として、従来使用してきたβ−半水石膏に代えてα−半水石膏を用いる。ここで、α−半水石膏の標準混水量は、β−半水石膏の標準混水量よりも少ない。なお、標準混水量とは焼石膏に用いる最適量の水の量を指し、JIS−R9112「陶磁器型材用せっこうの物理試験方法」で規定されている数値である。標準混水量を決定するには、約300mlの乾燥したビーカーに15〜25℃の水100mlを入れ、次に試料をビーカー中に少量ずつ散布しながら水中に沈め、余剰の上澄水が全くなくなった時に投入した試料の質量をはかり、式(1)により小数1位まで求め、小数1位を四捨五入し、標準混水量を定める。
【0020】
標準混水量(%)=100g(=使用した水の質量)
/使用した試料の質量(g)×100 ・・・式(1)
このため、義肢装具作成のための石膏模型を製造するときに、石膏に対する混水量は、β−半水石膏を使用する場合よりも少なくすることができる。よって、α−半水石膏を使用すれば、義肢装具作成のための石膏模型用組成物が未乾燥でも、ヤスリの目に湿った石膏が詰まることを低減して、硬化した義肢装具作成のための石膏模型の整形に関する切削加工性を向上させることができる。また、本発明によるα−半水石膏を含む材料を用いて製造し硬化させた義肢装具作成のための石膏模型に、補修用の石膏を盛り付けて整形する際にも、硬化した石膏の吸水性が、β−半水石膏を使用する場合よりも低く、模型が補修用の石膏から吸水することにより、補修用の石膏が収縮することを低減させることができる。
【0021】
本発明における義肢装具作成のための石膏模型用組成物は、製造する義肢装具作成のための石膏模型を軽量化するために、発泡剤を含む。これにより、義肢装具作成のための石膏模型用組成物用に軽量骨材を使用する必要がなく、使用した石膏を回収して再利用することができる。また、本発明における発泡剤は、α−半水石膏等に粉末として予め混合するために、常温で粉末状であることが必要である。具体的な発泡剤としては、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、ロジン石鹸等の界面活性剤が挙げられる。
【0022】
本発明の義肢装具作成のための石膏模型用組成物における発泡剤の添加量は、α−半水石膏100重量部に対して0.001重量部〜1重量部である。発泡剤の添加量が0.001重量部よりも少ない場合には、充分な発泡量を得ることができず、義肢装具作成のための石膏模型の重量を効果的に減少させることができない。逆に、発泡剤の添加量が1重量部よりも多い場合には、義肢装具作成のための石膏模型用組成物の硬化時間が長くなるため、多量の硬化促進剤が必要となる。よって、発泡剤及び硬化促進剤の増加により、製造する義肢装具作成のための石膏模型の強度が低下する。
【0023】
また、本発明の義肢装具作成のための石膏模型用組成物には、発泡剤によって生じた泡の破泡を低減するために、発泡剤に加えて泡安定剤を添加する。本発明における泡安定剤は、α−半水石膏及び発泡剤等に粉末として予め混合するために、常温で粉末状であることが必要である。具体的な泡安定剤としては、ポリエチレングリコール、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0024】
本発明の義肢装具作成のための石膏模型用組成物における泡安定剤の添加量は、α−半水石膏100重量部に対して0.001重量部〜1重量部である。泡安定剤の添加量が0.001重量部よりも少ない場合には、泡安定剤の効果を十分に発揮することができず、発泡剤により泡立てた泡がすぐに破泡してしまう。逆に泡安定剤の添加量が1重量部よりも多い場合には、発泡剤の量に対する泡安定剤の量が過剰になる。よって、泡安定剤による泡を安定化させる効果が飽和し、余分な泡安定剤によって製造する義肢装具作成のための石膏模型の強度が低下する。
【0025】
なお、本発明の義肢装具作成のための石膏模型用組成物には、石膏の硬化時間を調整するために、硬化促進剤及び/又は硬化遅延剤を粉末としてさらに添加してもよい。また、硬化促進剤及び/又は硬化遅延剤は、本発明の義肢装具作成のための石膏模型用組成物に予め添加する代わりに、本発明の義肢装具作成のための石膏模型用組成物を水で混練する際に添加してもよい。硬化促進剤としては、塩化ナトリウム及び硫酸カリウムなどの無機酸塩類、並びに二水石膏などが挙げられる。また、硬化遅延剤としては、酒石酸、クエン酸、及びコハク酸などの有機酸、それらの有機酸の塩、ペプトン及びデンプンなどの有機物、並びにホウ砂及びリン酸ナトリウムなどの無機塩などが挙げられる。
【0026】
本発明による義肢装具作成のための石膏模型用組成物は、少なくともα−半水石膏、発泡剤、及び泡安定剤を予め混合した粉末であるので、義肢装具作成のための石膏模型を製造する直前にその粉末と水とを混練すればよく、粉末の混合等の作業は不要である。
【0027】
次に、本発明による義肢装具作成のための石膏模型の製造方法を説明する。本発明の義肢装具作成のための石膏模型の製造方法は、上述したように下記のいずれも常温で粉末である(A)乃至(D)成分からなり、
(A)JIS−R9112の試験方法で規定された標準混水量が25〜40%のα−半水石膏粉体100重量部、
(B)発泡剤0.001重量部乃至1重量部、
(C)泡安定剤0.001重量部乃至1重量部、及び
(D)硬化促進剤及び/又は硬化遅延剤の所定量、
且つ、軽量骨材を含まない義肢装具作成のための石膏模型用組成物に対し、前記(A)成分のα−半水石膏粉体100重量部当たり、そのα―半水石膏粉体の標準混水量より過剰の40重量部乃至70重量部の水で混練して前記材料の発泡スラリーを調製するステップ、並びに前記材料の発泡スラリーを前記義肢装具作成のための石膏模型の型において硬化させるステップを含む。
【0028】
本発明による義肢装具作成のための石膏模型の製造方法は、上述した本発明の義肢装具作成のための石膏模型用組成物に、100重量部のα−半水石膏に対してそのα−半水石膏粉体の標準混水量より過剰の40重量部〜70重量部の水を混練する。即ち、本発明においては、α−半水石膏に対する混水量が40〜70%であり、α−半水石膏の標準混水量25〜40%よりも多い。
【0029】
ここで、義肢装具作成のための石膏模型用組成物に対する混水量が40重量部より小さい場合には、水を混練した義肢装具作成のための石膏模型用組成物の発泡スラリーにおける流動性が低く硬化時間が短いため、この発泡スラリーを義肢装具作成のための石膏模型の型へ流し込むことが困難になる。また、硬化した義肢装具作成のための石膏模型における水分が少ないため、硬化した義肢装具作成のための石膏模型に補修用の石膏を盛り付けて整形する際に、模型が補修用の石膏から水を吸収して、補修用の石膏の収縮が生じてしまう。
【0030】
逆に、義肢装具作成のための石膏模型用組成物に対する混水量が70重量部より多い場合には、硬化した義肢装具作成のための石膏模型における水分が多いため、ヤスリの目に湿った状態の石膏が詰まり、硬化した義肢装具作成のための石膏模型の整形に関する切削加工性が低下する。また、硬化した義肢装具作成のための石膏模型の強度も低下する。
【0031】
従って、本発明の義肢装具作成のための石膏模型の製造方法によれば、α−半水石膏100重量部に対する混水量を40〜70重量部とすることによって、未乾燥でも切削加工性に優れると共に吸水による収縮が低減された義肢装具作成のための石膏模型を得ることができる。
【0032】
次に、本発明の義肢装具作成のための石膏模型の製造方法による義肢装具作成のための石膏模型の製造の具体的な手順を説明する。
【0033】
まず最初に、本発明における義肢装具作成のための石膏模型用組成物の使用量に対して必要な量の水を用意する。次に、この水に義肢装具作成のための石膏模型用組成物を添加し、攪拌機で攪拌して、義肢装具作成のための石膏模型用組成物を水で混練すると共に泡立てる。次に、発泡剤による泡によって増量した発泡スラリーを、予め布などを固めて作製された義肢装具作成のための石膏模型の型に流し込み、この発泡スラリーを義肢装具作成のための石膏模型の型中で硬化させる。次に、硬化させた義肢装具作成のための石膏模型の表面(の一部)を覆う義肢装具作成のための石膏模型の型を除去する。最後に、硬化した義肢装具作成のための石膏模型の表面を、ヤスリ等で切削加工する、及び/又は補修用の石膏を盛り付けるなどして整形する。以上の手順によって、所望の義肢装具作成のための石膏模型を製造することができる。
【0034】
【実施例】
次に、本発明の好適な実施例を比較例と共に説明する。
(1)義肢装具作成のための石膏模型用組成物
本発明の好適な実施例における義肢装具作成のための石膏模型用組成物の組成、及び比較例における義肢装具作成のための石膏模型用組成物の組成を表1に示す。
【0035】
【表1】
表1に示すように、本発明の好適な実施例における義肢装具作成のための石膏模型用組成物は、100重量部の、標準混水量が35%であるα−半水石膏に対して、発泡剤である0.02重量部のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム、泡安定剤である0.2重量部のポリエチレングリコール、硬化促進剤である0.1重量部の二水石膏及び0.25重量部の硫酸カリウム、並びに硬化遅延剤である0.02重量部のクエン酸ソーダを含む。本発明の実施例として製造した義肢装具作成のための石膏模型を、この義肢装具作成のための石膏模型用組成物を60重量部の水で混練することによって製造した。
【0036】
また、比較例における義肢装具作成のための石膏模型用組成物は、表1に示すように、100重量部の、標準混水量が70%であるβ−半水石膏に対して、14重量部の、嵩比重が0.13である軽量骨材を含む。比較例として製造した義肢装具作成のための石膏模型を、この義肢装具作成のための石膏模型用組成物を70重量部の水で混練することによって製造した。
(2)義肢装具作成のための石膏模型の比重
本発明の実施例として製造した義肢装具作成のための石膏模型及び比較例として製造した義肢装具作成のための石膏模型の比重を、未乾燥状態及び乾燥状態で測定した。実施例及び比較例における義肢装具作成のための石膏模型の比重の測定結果を表2に示す。ここで、未乾燥状態とは、各義肢装具作成のための石膏模型の硬化が終了した後、1時間以内における状態を示し、乾燥状態とは、各義肢装具作成のための石膏模型の硬化が終了した後、40℃の乾燥機内で水分が恒量に達するまで乾燥させた状態を示す(以下、同じ)。
【0037】
【表2】
表2に示すように、本発明の実施例としての義肢装具作成のための石膏模型の比重は、未乾燥状態及び乾燥状態のいずれの状態においても、比較例としての義肢装具作成のための石膏模型の比重よりも小さい。よって、本発明の実施例として製造した義肢装具作成のための石膏模型は、比較例としての義肢装具作成のための石膏模型よりも軽量であることがわかる。
(3)義肢装具作成のための石膏模型の強度
本発明の実施例として製造した義肢装具作成のための石膏模型及び比較例として製造した義肢装具作成のための石膏模型の圧縮強度及び引張強度を、それぞれ、未乾燥状態及び乾燥状態で測定した。実施例及び比較例における義肢装具作成のための石膏模型の圧縮強度及び引張強度の測定結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
表3に示すように、本発明の実施例としての義肢装具作成のための石膏模型の圧縮強度及び引張強度は、それぞれ、未乾燥状態及び乾燥状態のいずれの状態においても、比較例としての義肢装具作成のための石膏模型の圧縮強度及び引張強度よりも小さい。義肢装具作成のための石膏模型の圧縮強度及び引張強度は、切削加工性の目安と考えられ、圧縮強度及び引張強度が小さいほど、切削加工が容易である、即ち切削加工性が良いと思われる。よって、本発明の実施例として製造した義肢装具作成のための石膏模型の切削加工性は、比較例としての義肢装具作成のための石膏模型よりも高いと予想される。実際、本発明の実施例における義肢装具作成のための石膏模型の切削を実施したところ、切削加工性は良好であるという結果が得られた。
(4)義肢装具作成のための石膏模型の吸水性
本発明の実施例として製造した義肢装具作成のための石膏模型及び比較例として製造した義肢装具作成のための石膏模型の未乾燥状態における水滴吸収時間を、義肢装具作成のための石膏模型の吸水性の尺度として測定した。ここで、未乾燥状態における水滴吸収時間とは、各義肢装具作成のための石膏模型の表面に滴下した0.04gの水滴が、それぞれの義肢装具作成のための石膏模型に吸収されるまでに要した時間を示す。実施例及び比較例における義肢装具作成のための石膏模型の未乾燥状態における水滴吸水時間の測定結果を表4に示す。
【0039】
【表4】
表4に示すように、本発明の実施例としての義肢装具作成のための石膏模型の未乾燥状態における水滴吸収時間は、比較例としての義肢装具作成のための石膏模型の未乾燥状態における水滴吸収時間よりも長い(約4.5倍)。よって、本発明の実施例として製造した義肢装具作成のための石膏模型の吸水性は、比較例としての義肢装具作成のための石膏模型よりも低い。
【0040】
【発明の効果】
本発明の第一の態様によれば、切削加工性を向上させると共に吸水性を低減させた、再利用可能で軽量な義肢装具作成のための石膏模型用組成物を提供することができる。
本発明の第二の態様によれば、切削加工性を向上させると共に吸水性を低減させた、再利用可能で軽量な義肢装具作成のための石膏模型の製造方法を提供することができる。
Claims (2)
- 下記のいずれも常温で粉末である(A)乃至(D)成分からなり、
(A)JIS−R9112の試験方法で規定された標準混水量が25〜40%のα−半水石膏粉体100重量部、
(B)発泡剤0.001重量部乃至1重量部、
(C)泡安定剤0.001重量部乃至1重量部、及び
(D)硬化促進剤及び/又は硬化遅延剤の所定量、
且つ、軽量骨材を含まないことを特徴とする義肢装具作成のための石膏模型用組成物。 - 請求項1記載の石膏模型用組成物に対し、前記(A)成分のα−半水石膏粉体100重量部当たり、そのα−半水石膏粉体の標準混水量より過剰の水40重量部乃至70重量部を加え混練して発泡石膏スラリーを調製するステップ、及び
前記材料の発泡スラリーを前記義肢装具作成のための石膏模型の型において硬化させるステップを含むことを特徴とする義肢装具作成のための石膏模型の製造方法。
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