JP4114866B2 - 飲料ディスペンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料ディスペンサ、詳しくは水とビールそのものを蓄冷剤とする蓄冷方式によりビール樽のビールを効率よく冷やし、冷やしたビールを提供することができる飲料ディスペンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビール樽のビールを冷やしてディスペンサからビールを注出させる飲料ディスペンサとして、ビール樽に炭酸ガスのボンベを接続し、ボンベ内の炭酸ガスをビール樽内に加圧供給し、注出タップを開放することにより、ビールはビール樽から押出されディスペンサ内の冷却コイル内で冷却され、グラスやジョッキに冷えたビールを注出することができるようになっている所謂瞬間冷却式ビールディスペンサが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−236099号公報(第2―3頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の瞬間冷却式ビールディスペンサは、ビール樽自体は常温の環境下におき、ビール樽に炭酸ガスを加圧供給して押出されたビールをディスペンサ内の冷却コイルを通過中に冷却し、冷却コイルで冷却されたビールを供給バルブから注出させているために冷却コイルは全長が10メートル以上と長く、その中には常にビールが滞留することになる。そのため毎日営業終了後に冷却コイルの洗浄をしなければならず、その維持管理は煩雑になる問題があった。冷却コイルは細く長いため注出量が少なく、時間が掛かるため販売量が増加した時の対応ができない問題もあった。
【0005】
また、氷蓄熱量が少ないため冷却に限界があり、販売量が能力を上回ると冷却不足のためビールが温度上昇し、正常に注出できなくなった。
【0006】
本発明は上記問題点を解消し、装置の維持管理が楽になるとともに、一定温度での販売と販売量の増加に円滑に対応することができる飲料ディスペンサを提供することをその課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明に係る飲料ディスペンサは、貯蔵容器内の飲料を炭酸ガスの加圧供給により押出し、押出した飲料を注出タップからグラスやジョッキなどの飲料容器に注ぐ飲料ディスペンサにおいて、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)上記貯蔵容器は有底筒状の容器に冷却水とともに収容され、該冷却水は容器と冷却装置との間を循環し、容器内の貯蔵容器を冷却することにより貯蔵容器内の飲料を冷却すること
(ロ)上記容器は上下に積み重ね可能に形成され、上段の容器内の冷却水は一定の水位を超えるとオーバーフロー管を通して下段の容器内に流入すること
(ハ)最下段の容器の冷却水は上記冷却装置に導入されて再度冷却され、冷却された冷却水を最上段の容器に再流入させること
(二)上記貯蔵容器の少なくとも1つにはディスペンサヘッドが取り付けられ、該ディスペンサヘッドを介して炭酸ガスが加圧供給されると、該貯蔵容器より押し出された飲料は上記ディスペンサヘッドに接続された注出タップから注出されること
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る飲料ディスペンサの一例を示す概略説明図で、この飲料ディスペンサ(以下、ディスペンサという)は貯蔵容器であるビール樽1(1a、1b、1c)を収容する容器2(2a、2b、2c)を上下方向に積み重ね、最下段の容器2cの下には各容器2内のビール樽1を冷やす水を冷却するための冷却装置3が配置され、この冷却装置3で冷やされた冷却水はチューブ4で最上段の容器2aに流入させ、その冷却水は順次オーバーフロー管10を通して下段の容器2b、2cに流入し、冷却水は冷却装置3と容器2との間を循環するようになっているものである。
【0009】
なお、本発明の実施の形態では、飲料ディスペンサの供給する飲料をビールの場合について説明するが、この飲料はビールに限定されるものではなく清涼飲料であっても構わない。
【0010】
そして、最上段のビール樽1には周知のディスペンサヘッド5が取り付けられ、このディスペンサヘッド5には炭酸ガスボンベ6と注出タップ7とがそれぞれチューブ8、9を介して接続され、炭酸ガスボンベ6の炭酸ガスがディスペンサヘッド5からビール樽1内に注入されると、その圧力で樽内のビールはディスペンサヘッド5からチューブ9を介して注出タップ7に送られ、注出タップ7からジョッキやグラスに注ぐことができるようになっている。
【0011】
ところで、上記容器2は断熱性を有する素材で有底筒状に形成され、内部にはオーバーフロー管10が立設している。このオーバーフロー管10は容器2に収容するビール樽1の高さよりもやや低めの長さのパイプで構成され、下端は容器2の底面から下方に開口し、容器2内に流入した冷却水の水位が一定の高さ(オーバーフロー管10の長さ)を越えると、冷却水はオーバーフロー管10の上から流入し、オーバーフロー管10を通して下段に配置された容器2内に流入するようになっている。
【0012】
なお、ビール樽1は容量に応じて高さが異なるため、容器2の高さ及びオーバーフロー管10の長さはビール樽1の高さに応じたサイズのものを作成すればよい。
【0013】
冷却装置3の直上の容器2cは、貯水槽を兼ねた容器で、オーバーフロー管10は設置されておらず、底面に形成された開口部11と後述するポンプ20の吸込み口22とはチューブ12で接続されている。
【0014】
冷却装置3はポンプ20と冷却器21とで構成され、吸込み口22から吸込んだ冷却水は送出口23から冷却器21に送られ、冷却器21で冷却された冷却水はチューブ4を通して最上段の容器2aに放出されるようになっている。
【0015】
なお、上記容器2内の冷却水は一定期間使用したら図示しない排水コックを開いて排出すればよく、入れ替える場合は近傍の水道の蛇口からホースで水道水を最上段の容器に注入するか、バケツやポリタンクのようなもので水を注ぎ込んでもよい。
【0016】
注入した水で最上段の容器2aが満水になり、一定の水位を越えると、オーバーフロー管10を通して下段の容器2bに流入し、順次容器2cが水で満たされるようになっている。
【0017】
冷却装置3の直上の容器2cには図示しない水位計を設け、この水位計から容器2内の水位をチェックし、又はオーバーフロー口を設け冷却水の注入量を加減すればよい。
【0018】
上記構成のディスペンサによれば、先ず、冷却装置3の上に、貯水槽を兼ねた容器2cを重ね、その容器2にビール樽1cを収容する。さらに、容器2bを重ね、その中にビール樽1bを収容し、その容器2bにさらに他の容器2aを重ねてビール樽1 aを収容し、図1に示すような、冷却装置3の上に容器2を3段重ねにした状態にし、最上段の容器2aに水を注入する。
【0019】
この水の注入は、上述したように、バケツやポリタンクのようなもので水を注ぎ込んでもよいし、水道の蛇口にホースの一端を接続し、そのホースの先端から流出する水を最上段の容器2aに直接注ぎ込めんでもよい。
【0020】
最上段の容器2aに注ぎ込んだ水の水位が上昇しオーバーフロー管10より高くなるとオーバーフロー管10を通して下段の容器2b内に流入する。その容器2bに流入した水の水位が上昇すると、上段の容器2aと同様にオーバーフロー管10から下段の貯水槽兼容器2cに水が流入する。貯水槽兼容器2cの水位計又はオーバーフロー口で容器2c内の水位を確認しながら最上段の容器2aに注水すればよい。
【0021】
各容器2に水が注入されるとポンプと冷却器を作動させ冷却した水をポンプ20、冷却器21、チューブ4、容器2a、2b、2c、の順に循環させればよい。
【0022】
そして、最上段の容器2aのビール樽1aにはディスペンサヘッド5を取り付け、このディスペンサヘッド5には炭酸ガスを充填したボンベ6に接続されたチューブ8と、注出タップ7に接続されたチューブ9とが接続され、ボンベ6内の炭酸ガスをビール樽1aに加圧供給すると、ビール樽1a内のビールは押し出され、チューブ9を経由して注出タップ7に導かれ、タップ7を開くとジョッキやグラスなどの飲料用容器25に注出することができる。
【0023】
従来の瞬間式冷却ビールディスペンサと異なり、ビール樽1と注出タップ7との間は太く短いチューブ9で接続されているだけなので、そのチューブ9は取り外して洗浄するも、新品に交換することもでき、維持管理を楽にすることができる。
【0024】
しかも、瞬間冷却式ビールディスペンサに使用されている冷却コイルは細く、長いので注出タップ7を開いてもビールの注出量が少ないため、1回の注出に係る時間が長くなるが、本発明の飲料ディスペンサによれば、注出タップ7とビール樽1の間は、冷却コイルよりも太目で短いチューブ9を使用することができるので注出にかかる時間を短縮することができ、繁忙時にも効率よくビールの供給を行なうことができる。
【0025】
さらに、従来の瞬間冷却式等の冷却方式では、冷却コイルの冷却に氷の融解潜熱を利用しているためビールを連続注出すると注出温度が上昇する傾向があり、氷の残量が少なくなると、抽出できなくなる問題があったが、本発明のディスペンサによれば、ビール樽全体が冷却されているので一定温度で安定したビールの供給ができる。
【0026】
そして、最上段のビール樽1aが空になれば、最上段の容器2aを取り外し下段の容器2bのビール樽1bにディスペンサヘッド5を取り付けてもよいし、下段の容器2b、2c内のビール樽1b、1cを順次上段の容器2a、2bに順次移し替え、最下段の容器2cに新しいビール樽1を収容するようにしてもよい。
【0027】
なお、図1では容器のサイズは全て同じで、同じ容量のビール樽を冷却する場合について説明しているが、容量が大きいビール樽を収容する容器と容量が小さいビール樽を収容する容器とを混在させて構成してもよいし、大きなビール樽を収容する容器のみで構成しても構わない。
【0028】
また、容器の積み重ねは3段に限定されることはなく2段重ねであってもよいし、4段重ねであってもよい。
【0029】
そして、本実施の形態ではディスペンサヘッドを最上段の容器のビール樽に取り付けた場合について説明したが、下段の容器のビール樽にもディスペンサヘッドを取り付け、複数種類のビール(例えば、ドラフトビールと黒ビール)に対応できるようにし、同種類のビールや異種類のビールを同時にまたは任意に注出することができるようにしてもよいし、ビールの貯蔵容器を入れた容器と清涼飲料の貯蔵容器を収容した容器とを混在させ、それぞれの貯蔵容器にディスペンサヘッドを取り付けることにより、ビールだけではなく清涼飲料も併せて供給することができる。
【0030】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、ビール樽を収容した容器を縦方向に積み重ね、容器内に冷却装置で冷却した冷却水を循環させ、ビール樽を冷やすようにしたので、ビール樽にディスペンサヘッドを取り付け、炭酸ガスを加圧供給することにより、ビール樽内のビールを押し出し、注出タップから冷えたビールを注出させることができる。そして、ビール樽と注出タップの間に冷却コイルを設ける必要がないので、営業終了後に細く長い冷却コイルの清掃作業をする必要がなくなり、煩雑さから開放される。
【0031】
また、冷却コイルを経由させないので、ビール樽とタップの間のチューブを短く、且つ太くすることができ、ビールの注出量を増加させることができるので、グラスやジョッキへの注出時間がより短くなり、販売量の増加に対し容易に対応することができる。
【0032】
そして、ビール樽ごと冷やしているので、品質維持に優れ、ビール樽が空になるまで一定温度で連続注出ができる優れたディスペンサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る、飲料ディスペンサの一例を説明する断面図
【符号の説明】
1 貯蔵容器(ビール樽)
2 容器
3 冷却装置
4 チューブ
5 ディスペンサヘッド
6 炭酸ガスボンベ
7 注出タップ
10 オーバーフロー管
Claims (1)
- 貯蔵容器内の飲料を炭酸ガスの加圧供給により押出し、押出した飲料を注出タップからグラスやジョッキなどの飲料容器に注ぐ飲料ディスペンサにおいて、以下の要件を備えることを特徴とする飲料ディスペンサ。
(イ)上記貯蔵容器は有底筒状の容器に冷却水とともに収容され、該冷却水は容器と冷却装置との間を循環し、容器内の貯蔵容器を冷却することにより貯蔵容器内の飲料を冷却すること
(ロ)上記容器は上下に積み重ね可能に形成され、上段の容器内の冷却水は一定の水位を超えるとオーバーフロー管を通して下段の容器内に流入すること
(ハ)最下段の容器の冷却水は上記冷却装置に導入されて再度冷却され、冷却された冷却水を最上段の容器に再流入させること
(二)上記貯蔵容器の少なくとも1つにはディスペンサヘッドが取り付けられ、該ディスペンサヘッドを介して炭酸ガスが加圧供給されると、該貯蔵容器より押し出された飲料は上記ディスペンサヘッドに接続された注出タップから注出されること
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