JP4111558B2

JP4111558B2 - Water repellent glass manufacturing method

Info

Publication number: JP4111558B2
Application number: JP15196596A
Authority: JP
Inventors: 佳則赤松; 佳弘西田; 滋生浜口
Original assignee: Central Glass Co Ltd
Current assignee: Central Glass Co Ltd
Priority date: 1996-06-13
Filing date: 1996-06-13
Publication date: 2008-07-02
Anticipated expiration: 2016-06-13
Also published as: JPH101333A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば凹凸状表層の形状および大きさ等を適宜種々にコントロールすることができ、かつ短く簡便な調合方法でもってより簡便に得ることができる優れたコ─ティング溶液で表面形状とその発現をより安定せしめてより比表面積を増大でき、コントロ−ルした凹凸の程度を特定したものとしたことにより、高硬度で高機械的強度、かつ耐久性に優れた酸化物被膜となる微細な凹凸状表層を有するゾルゲル膜となり、さらにガラス基板上に被膜積層する多層膜において、例えば撥水性ガラスの下地層膜として用いた際に、当該特異なゾルゲル膜上に被覆する撥水膜の付着効率と密着性を高め、耐光性能を向上し、しかも格段にその性能を発揮し、光学特性を損なうことなく高透視性であって、長期的に強固な密着力で撥水性能、耐摩耗性あるいは耐久性等が優れたものとして維持することができ、建築用もしくは自動車用等の窓材、船舶や航空機の窓材などの各種ガラス物品において有用な撥水性のガラスを提供するものである。
【０００２】
【従来の技術とその課題】
一般に金属酸化物被膜の表面に凹凸状を形成する方法としては、例えば金属酸化物被膜をフッ酸やフッ硝酸等でエッチングする方法、あるいは加熱処理により燃焼分解する有機高分子を金属アルコキシド溶液中に添加する方法等が知られている。また簡単な工程で凹凸状等を形成する方法としては、本出願人は出発原料の異なる金属アルコキシドを加水分解ならびに脱水縮合させたゾル溶液を混合することによる方法を見い出している。
【０００３】
ところが金属酸化物被膜をフッ酸やフッ硝酸等でエッチングする方法では、エッチング用溶液であるフッ酸やフッ硝酸等が人体に対し極端に危険な物質であってその取り扱いが厄介で作業性が劣るとともに、エッチング工程を付加することでの生産性の低下等があり、また加熱処理により燃焼分解する有機高分子を金属アルコキシド溶液中に添加する方法では、例えば一度形成されたマイクロピット状表面が400 ℃以上の加熱焼成により、被膜の緻密化が起こるため、その加熱処理条件を種々制御する必要があるという制約があり、この制約により頑固な被膜を得ることが困難であって、必ずしも容易にとは言い難いものである。
【０００４】
そこで、本出願人が既に出願している例えば特開平5-147976号公報に記載のマイクロピット状表層を有する酸化物薄膜および該薄膜を用いた多層膜、ならびにその形成法、また同じく例えば特開平6-298545号公報に記載のゾルゲル膜およびその形成法、さらに同じく例えば特開平7-138050号に記載の撥水性酸化物被膜およびその形成法等が上記の点を解決するに際し有用であることを提案し、さらにまた同じく例えば特願平7-132268号に記載のゾルゲル膜およびその形成法によって、調合方法が複雑でなくより簡便で長時間を要せず、またポットライフも優れたコ−ティング溶液で、表面形状の発現がより安定かつより優れしかも長期間の過酷な条件下でも機械的膜強度あるいは耐薬品性等耐久性に優れるゾルゲル膜を提案している。
【０００５】
自動車用窓ガラス等において各種機能性膜が実用されるようになってきている最近では、特に下地層としての表面形状の発現がより安定かつより優れしかも長期間の過酷な条件下でも機械的膜強度あるいは耐薬品性等耐久性に優れるゾルゲル膜がさらにますます望まれつつある。
【０００６】
また本出願人が既に出願している例えば特願平6-180295号に記載の撥水性ガラスおよびその製造方法において、下地層の表面表層形状を３次元的に把握し、例えば R_max（最大高さ）＝5 〜60nm、 R_a（中心線平均粗さ）＝2 〜20nm、 R_z（10点平均粗さ）＝5 〜55nm、 S_m（凹凸の平均間隔）＝5 〜700nm でなるように凹凸の程度を定量的に規定し特定することで従来に比しその機能を数段高め安定せしめることができたものの、これらのフアクタ−、特にJIS B 0601における R_a（中心線平均粗さ）で特定したとしても、ことに大面積でかつ複雑な形状基板に施した上層の機能性膜を含む積層成膜での耐光性能等に対し、より過酷な厳しい環境においてはバラツキを減じよりさらに充分にその機能を向上しより安定したものになるまでには到っていなかった。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来のかかる課題に鑑みてなしたものであって、特定の金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランと、特定のアルキルトリアルコキシシランとをそれぞれ加水分解ならびに脱水縮合させたそれぞれのゾルゲル溶液を混合するとともに、特定の溶剤とジオ−ル類を混在せしめて調製することでコーティング溶液とし、ガラス基板に被膜し薄膜を成膜することで、その性能が優れるコーティング溶液を簡便に得ることができるとともに、得られたゾルゲル膜が高硬度かつ高密着性であって耐久性や耐摩耗性とを併せ持ち、例えば独立してしっかりした特異な微細な凹凸状表面表層を３次元的に把握し、凹凸の程度を平均面で定量的に規定し特定することにより制御性よく極めて安定して発現し、より比表面積の増大による被覆膜の付着効率と密着性の向上をもたらし、格段に優れた下地層となり、しかも高安全で厄介な工程なく、安価に効率よく機械的膜強度および耐久性ならびに各種機能を発揮する酸化物薄膜で成るゾルゲル膜を下地層とし、該下地層上に撥水膜層を被覆することにより、耐摩耗性ならびに耐光性能を格段に向上し、より長期的に優れた撥水性能を維持することができ、かつそのバラツキ幅をよりコントロ−ルよく低減することができたものとなる等、有用な撥水性のガラスを提供するものである。
【０００８】
すなわち、本発明は、ガラス基板の表面上に、アセチルアセトンで安定化した金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合させたゾル溶液Ａと、１つの官能基をアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Ｂとを混合した混合物と、イソプロピルアルコ−ルを主成分とする溶媒と、これらに混在するジオール類からなるコーティング溶液を被覆し、加熱焼成することで得る微細な凹凸状表層を有するゾルゲル膜上に、撥水膜層を被覆形成しで成ることを特徴とする撥水性のガラスの製法である。
【０００９】
ならびに、前記金属アルコキシドの金属が、Ti、Al、Zrまたはこれらの複合金属であることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
また、前記テトラアルコキシシランに対するアルキルトリアルコキシシランの混合割合が、酸化物換算で２〜６倍であることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
【００１０】
さらに、前記イソプロピルアルコ−ルを主成分とする溶媒が、イソプロピルアルコ−ルにブタノ−ルを添加した溶媒であることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
【００１１】
またさらに、前記コ−ティング溶液における固形分濃度が、酸化物換算で0.2 〜5.0 wt％であることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
またさらに、前記ジオ−ル類の混在量が、コ−ティング溶液中の全ての金属アルコキシドの合計固形分に対し、0.5 〜30wt％であることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
【００１２】
さらにまた、ガラス基板表面に形成する前記ゾルゲル膜が、３次元測定によって該ゾルゲル膜の中心線平均粗さを面拡張した平均面粗さRa’値が2.5nm 以上15.8nm以下である微細な凹凸状表層を有する金属酸化物薄膜でなることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
【００１３】
さらに、前記撥水膜層が、フルオロアルキルシラン系化合物で成ることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
さらに、前記撥水膜層が、アルキルシラン系化合物で成ることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法である。
【００１４】
さらに、前記撥水膜層が、フッ素樹脂系化合物で成ることを特徴とする上述した撥水性のガラスの製法を提供するものである。
【００１５】
【発明の実施の形態】
ここで、上述したような、ガラス基板の表面上に、アセチルアセトンで安定化した金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合させたゾル溶液Ａと、１つの官能基をアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Ｂとを混合した混合物を、イソプロピルアルコ−ルを主成分とする溶媒と、これらに混在するジオール類からなるコーティング溶液を被覆し、加熱焼成することで得る微細な凹凸状表層を有するゾルゲル膜上に、撥水膜層を被覆形成しで成る撥水性のガラスを得る方法としては次のようにする。
【００１６】
先ず、前記ガラス基板としては、建築用窓ガラスや自動車用窓ガラス等に使用されているフロ−トガラス等各種無機質の透明性がある板ガラスであって、無色または着色、ならびにその種類あるいは色調、形状等に特に限定されるものではなく、さらに曲げ板ガラスとしてはもちろん、各種強化ガラスや強度アップガラス、平板や単板で使用できるとともに、複層ガラスあるいは合せガラスとしても使用できる。
【００１７】
また、ゾルゲル膜としては、ガラス基板の表面上に、アセチルアセトンで安定化した金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合させたゾル溶液Ａと、１つの官能基をアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Ｂとを混合し、ジオ−ル類を含有させて混在せしめたアルコ−ル系溶媒で希釈し、約10乃至50℃の保持温度で０〜24時間攪拌した混合物を作製し、該混合物をイソプロピルアルコ−ルを主成分とする溶媒で希釈調製してなるコ−ティング溶液を被覆し、乾燥加熱焼成し微細な凹凸状表層を有する酸化物薄膜で成るようにすることで形成する。
【００１８】
さらにまた、前記テトラアルコキシシランに対するアルキルトリアルコキシシランの混合割合が、酸化物換算で２〜６倍になるようにし、前記コーティング溶液は１〜10cP程度になるよう粘度調製することで得る。
【００１９】
またここで、前記したように、アセチルアセトンで安定化した金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合させたゾル溶液Ａと、１つの官能基がアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランを加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Ｂとを混合した混合物を用いることとしたのは、容易に溶液調製することができかつポットライフを長くでき、成膜した前記微細な凹凸状表層の表面形状を有するものとなり、かつ機械的膜強度、耐薬品性に優れ、酸化物薄膜の透明性や硬度が高く、耐久性にも優れたものとなり、比較的安価で入手し易いものであるので該二つのゾル溶液を用いることとした。
【００２０】
また、二つのゾル溶液の一つが、アセチルアセトンで安定化した金属アルコキシドを添加したテトラアルコキシシランである金属アルコキシド系化合物を用い、加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Ａと、ゾル溶液のもう一つが１つの官能基をアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランである金属アルコキシド系化合物を用い、加水分解ならびに脱水縮合したゾル溶液Ｂとしたのは、ゾル溶液Ａでは例えばーSiーO ーSiー（但し、Siの上下方向の線は省略する）三次元構造が発達しやすいものと該骨格が生成しにくいものを共存させる。一方、ゾル溶液Ｂでは、加水分解および脱水縮合反応が起こらないアルキル基が存在するため、三次元構造のSiーO ーSi結合等の骨格が生成しにくい。よってゾル溶液Ａとゾル溶液Ｂとを混合することにより被膜した際に種々の表層が発現するようになり、数％程度の異種金属元素が加わることにより、同一金属元素からなる薄膜を緻密化させる働きが生じ、機械的膜強度および耐薬品性等耐久性に優れる、しかも制御されかつ再現性よく安定した形状と性能の微細な凹凸状表層薄膜となる。
【００２１】
さらに、前記金属アルコキシドの金属金属としては、格別特定するものではないが、Ti、Al、Zrまたはこれらの複合金属を選択するのが好ましく、具体的なものとしては、例えばチタンテトラノルマルブトキシド〔Ti(O-n-Bu)₄Bu:C₄H₉〕、アルミニウムトリノルマルブトキシド〔Al(0-n-Bu)₃〕、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド〔Zr(O-n-Bu)₄ 〕、またはTi、Al、Zrのアセチルアセトネ−ト塩等が好適である。
【００２２】
またさらに、前記１つの官能基をアルキル基化したアルキルトリアルコキシシランとしては、具体的には例えば、メチルトリエトキシシラン〔MeSi(OEt)₃〕、メチルトリメトキシシラン〔MeSi(OMe)₃〕等が好適である。
【００２３】
また、微細な凹凸状表層における形状ならびにその制御については、先ず前記ゾル溶液Ａおよびゾル溶液Ｂの官能基ならびに分子量であり、特に前記したような現象を発現する異種官能基、ことに４と３の官能基のものが主であり、また例えば分子量としてはその範囲が100 〜100,000 であり、100 未満では原料の加水分解が不充分なため被膜時に膜ハジキが生じやすく、成膜性が悪く、また100,000 を超えるとゾル溶液がゲル化を生じ、ゾル溶液の安定性が悪くなる。好ましくは1,000 〜50,000程度のものがよい。
【００２４】
もしくはならびに前記ゾル溶液を調製する際の溶剤の種類であり、イソプロピルアルコ−ル、ブタノ−ル、エタノ−ルのアルコ−ル溶媒、アセチルアセトン等であり、ことにイソプロピルアルコールを主成分としてなるアルコールであって、なかでもコ−ティング溶液の調製における希釈溶媒としては、イソプロピルアルコールにブタノ−ルを添加した溶媒、ことに約10wt％程度添加した希釈溶媒がよく、得られる薄膜の微細な凹凸状表層の表面形状の発現の安定性に役立つこととなる。
【００２５】
もしくはならびにゾル溶液における酸化物換算での固形分の混合比であり、例えばゾル溶液Ａの固形分１ｇに対してゾル溶液Ｂの固形分は２〜６ｇ程度であり、２ｇ未満では得られた薄膜の表層が平坦状になり、また６ｇを超えると得られる薄膜の表層は粗大化することとなり、所期のめざすものとはならない。好ましくはゾル溶液Ａの固形分１ｇに対してゾル溶液Ｂの固形分は2.5 〜5.5 ｇ程度である。
【００２６】
また、前記ジオ−ル類〔一般式:R(OH)₂、DO類という。〕としては、例えば一般式:C_nH_2n(OH)₂（n ≧2 ）であるエチレングリコ−ル（メチレン基:2）、1,3-プロパンDO、1,2-プロパンDO（以上、メチレン基:3）、1,4-ブタンDO（1,4-BDO という。）、1,3-BDO 、1,2-BDO （以上、メチレン基:4）、1,5-ペンタンDO、1,4-ペンタンDO、1,3-ペンタンDO、1,2-ペンタンDO（以上、メチレン基:5）、1,6-ヘキサンDO（以上、メチレン基:6）、プロピレングリコ−ル、1,8-オクタンDO、1,9-ノナンDO等の直鎖ジオ−ルまたは鎖状ジオ−ルが挙げられ、またさらに例えば一般式:C_nH_2n-2(OH)₂（n ≧3 ）であるシクロペンタン-1,2-DO 、シクロヘキサン-1,2-DO 、シクロヘキサン-1,4-DO 等の環式ジオ−ルが挙げられる。
【００２７】
またさらに、前記ジオ−ル類の混在量が、コ−ティング溶液中の全ての金属アルコキシドの合計固形分に対し、0.5 〜30wt％になるように調製することとしたのは、混在量が0.5 wt％未満では例えば比表面積を増大する作用を抑制するようなこととなり、また30wt％を超えるような含有混在をしたとしても、その混在量のわりに比表面積を増大する作用効果等が得られず経済的でなく、むしろ例えば膜の緻密性が最高な状態から多少下がり、機械的膜強度などが低下するような傾向が見られるためである。好ましい前記ジオ−ル類の混在量としては１〜20wt％程度、より好ましくは２〜15wt％程度である。
【００２８】
さらに、被膜する際の環境については、前記ジオ−ル類の混在によってコ−ティング溶液の安定性が増し、より確実に制御されかつ極めて再現性よくより安定した形状と性能の微細な凹凸状表層表面薄膜をうることができ、原則的に格別限定する必要がなくなるものの、温度と相対湿度を室温で例えば45〜70％HR程度にコントロ−ルすることによって、種々の表層表面形状ならびにその径などをより再現性よく安定かつ確実に制御し得ることもある。
【００２９】
さらに、前記コーテイング溶液の粘度を１〜10cPに調製するのは、１cP未満では粘性が低すぎて膜となり難く、また10cPを超えると被膜した際に過剰に塗膜され加熱乾燥過程で膜中にクラツク等が生じてしまうためである。
【００３０】
またさらに、前記コーテイング溶液の酸化物換算固形分濃度を0.2 〜5.0 wt％が好ましく、0.2 wt％未満では希薄すぎるため膜の形態となり難く、また5.0 wt％を超えると濃度が濃くなるようになって高すぎるため膜厚が厚くなり、前記平均面粗さRa' 値をうることが次第に難しく、さらに膜中にクラツクの発生を生じたりあるいは成膜時に白濁を生じたりして良質な薄膜が得られないこととなるものである。
【００３１】
さらにまた、ガラス基板への膜付け法としては、ノズルフロ−コ−ト法、ディッピング法、スプレー法、リバ−スコ−ト法、フレキソ法、印刷法、フローコート法あるいはスピンコート法、ならびにそれらの併用等既知の塗布手段が適宜採用し得るものである。
【００３２】
また、前記下地層であるゾルゲル膜の成膜する際における風乾等の乾燥後の加熱温度については、100 ℃以上700 ℃以下程度、好ましくは約500 ℃程度以上680 ℃以下程度、さらに薄膜をより強固にするため、例えば600 ℃程度あるいは以上の温度による焼成であって、具体的にはガラス板の曲げあるいは／および強化工程における温度であり、該温度でも消失することもなく、種々の前記表面形状表層とすることができるものである。
【００３３】
さらに、前記した３次元測定によって該ゾルゲル膜の中心線平均粗さを面拡張した平均面粗さRa’値が2.5nm 以上15.8nm以下である微細な凹凸状表層を有する金属酸化物薄膜でなるゾルゲル膜としたのは、走査型プロ−ブ顕微鏡のAFM （原子間力顕微鏡）モ−ド（セイコ−電子製、SPI3700 、５μｍ四方スキャン）で観察し、JIS B 0601で定義されている中心線平均粗さRa' 値を、測定面に対し適用し三次元に拡張したもので、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」と表現でき、次式で与えられる。
【００３４】
【数１】

【００３５】
式中、Ra' 値：平均面粗さ（nm）。S₀：測定面が理想的にフラットであるとした時の面積｜X _R−X _L｜×｜Y _T−Y _B｜。F(X,Y)：測定点（X,Y)における高さ。X _L、X _R、Y _B、Y _T：X 座標、Y 座標の測定範囲。Z₀：測定面内の平均高さを表す。
【００３６】
これにより、前述した下地膜層としての所期の微細な凹凸状表層の表面形状となる前記ジオ−ル類の混在量が、コ−ティング溶液中の全ての金属アルコキシドの合計固形分に対し0.5 〜30wt％であり、これに対して該ゾルゲル膜の平均面粗さRa' 値が2.5 〜15.8nmであって下地膜層として好ましいものであるものであった。より好ましいRa' 値としては４〜15nm程度、最も好ましいRa' 値としては６〜10nm程度である。
【００３７】
なお、上記したジオ−ル類の混在量では、膜厚が約120 〜135nm 程度でRa' 値が2.5 〜15.8nmであって、例えばヘイズメ−タ−による測定で初期ヘイズ（曇価）値Ｈ％が約0.1 〜0.3 ％程度でガラス基板並で良好であり、またテ−バ−摩耗試験機（摩耗輪CS-10F、荷重500g）で20回転後のヘイズ値の増加分△Ｈが約0.1 〜0.3 程度でガラス基板並の耐摩耗性の膜強度を示し極めて良好であった。
【００３８】
撥水性のガラスにおいて、上述したゾルゲル膜の平均面粗さRa' 値が2.5nm 未満では例えば後述する実施例で示すように、トラバ−ス摺動試験に対する接触角θが約112 °から約90°以下となって優れた撥水性能をより長期的に維持し難く、また耐光性に対する接触角θが約112 °から約50°以下となって優れた撥水性能を到底長期的に維持することができず、特に撥水機能の耐光性能が充分ではなく劣化が大きく、所期の優れた撥水性〔例えば、接触角θ（°）：初期接触角θ₀約110 °程度に対し、上記耐久性試験後で好ましくは約70°程度以上、より好ましくはトラバ−ス摺動試験で約 100°程度以上、耐光性で約1000時間S-UV照射後約80°程度以上〕とはなり難くなり、平均面粗さRa' 値が15.8nmを超えると所期のめざす透明性〔例えば、初期ヘイズＨ₀（％）が約0.3 ％程度以下〕とは次第になり難く、しかも前述したように経済的でなくなるためである。
【００３９】
さらに、好ましい平均面粗さRa' 値としては約４nm以上15nm以下程度であって、上述した初期接触角θ₀ならびに透明性が例えば自動車用窓ガラス等よりシビアな厳しい環境に対しても好適な微細な凹凸状表層を有する金属酸化物薄膜でなるゾルゲル膜となる。さらにより好ましくは平均面粗さRa' 値が約６nm以上10nm以下程度であって、Super-UV照射時間を約1000時間程度行った後の接触角が約90°程度以上、かつ初期ヘイズＨ₀が約0.3 ％程度以下を満足するものとなる。
【００４０】
またさらに、本発明の撥水性のガラスにおいて、下地層であるゾルゲル膜表面に被膜したフルオロアルキルシラン系化合物、またはアルキルシラン系化合物を用いた撥水膜層について光劣化による存在形態を推測すると図５に示すようになり、図中（ａ）は下地層（Ｂ）に直接化学的結合をした極薄い（例えば単分子レベル）撥水膜層（F₁）を示し、図中（ｂ）は前記撥水膜層（F₁）と凹部に入り込んだ撥水剤の重合体からなる撥水膜層（F₂）との２層構造を示し、さらに図中（ｃ）は前記撥水膜層（F₁）までの光劣化状態を示すものである。
【００４１】
このように、撥水膜層は異なる２つの撥水膜層F₁とF₂が積層した２層構造と考えられ、F₁層は下地膜表面の例えばシリカと直接化学的結合し、極薄い単分子層に近い膜が下地膜全体を覆っており、F₂層は撥水剤である例えばフルオロアルキルシランがある程度重合した多くの重合体がF₁層に化学結合し、特に凹部に多く入り込んだ状態で存在し、F₂層は撥水剤量（重合体の大きさと数）に比例した「みかけの厚み」を持ち、該F₂層の厚みが耐光性に大きく影響を及ぼすものである。
【００４２】
また、下地層と直接反応しない例えばPTFE微粒子のような撥水剤においてもF₂層として凹部に入り込んだ状態で存在するので、同様に上記したような耐光性の向上に有効な働きをするものである。
【００４３】
平均面粗さRa' 値が大きいほど撥水剤の含有量が増えるため、撥水膜層の「みかけの厚み」も増加して耐光性が向上することとなり、下地膜と直接化学的結合をしていない凹部に蓄積された撥水膜層は、撥水剤（例えばフルオロアルキルシラン）の重合体の塊状物であり、初期の光照射でこの撥水膜層が先に劣化し、ついで下地膜と化学的結合した強固な下地の撥水膜層が光劣化することとなる。
【００４４】
さらに、前記フルオロアルキルシラン系化合物としては、例えばCF₃CH₂CH₂Si(OMe)₃、CF₃CH₂CH₂SiCl₃、CF₃(CF₂)₅CH₂CH₂Si(OMe)₃、CF₃(CF₂)₅CH₂CH₂SiCl₃、CF₃(CF₂)₅CH₂CH₂SiMe(OMe)₂、CF₃(CF₂)₇CH₂CH₂SiMeCl₂、CF₃(CF₂)₇CH₂CH₂Si(OMe)₃ 、CF₃(CF₂)₇CH₂CH₂SiCl₃、CF₃(CF₂)₇CH₂CH₂SiMe(OMe)₂、CF₃(CF₂)₈CH₂CH₂Si(NC0)₃等が挙げられる。
【００４５】
さらに、前記アルキルシラン系化合物としては、例えば[(CH₃)₃Si-O]₃Si-CH₂CH₂-Si(OCH₃)₃｛トリストリメチルシロキシ・エチル・トリメトキシシラン｝、CH₃(CH₂)₁₇Si(OCH₃)₃、CH₃(CH₂)₁₇Si(CH₃)(OCH₃)₂ 、CH₃(CH₂)₁₇SiCl₃等が挙げられる。
【００４６】
さらに、前記フッ素樹脂系化合物としては、主に炭素とフッ素からなる重合体であり、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、低分子量PTFE〔セントラル硝子（株）製等〕、ポリクロロフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの重合体、テトラフルオロエチレンとエチレン共重合体、テトラフルオロエチレンとパ−フルオロアルキルビニルエ−テル共重合体、クロロトリフルオロエチレンとエチレンの共重合体などが挙げられる。なお、フッ素樹脂系化合物は、溶媒に分散した懸濁液として用い、例えばシリカゾル溶液中に混合してもよい。またフッ素樹脂系化合物の粒径としては1.0 μm 程度以下であればよく、例えば約0.1 〜1.0 μm 程度が好ましいものである。
【００４７】
前述したとおり、本発明の撥水性のガラスにより、特定した２種類のゾル溶液を、特定の希釈溶媒と混在する特定量のジオ−ル類で希釈して特定選択し組み合わせて調製し用いることによってコーテイング溶液を得て成膜することで、コーテイング溶液として簡便に調合調製ができしかも優れた安定性とその性能を有するものとでき、被膜で特異な挙動を発現せしめて特異な形状構造をもたらし、加熱乾燥または焼成および高温焼成等を行うことにより、緻密化して平坦化することなく、従来より独立性等があって深見のある、明確でしっかりし安定した、３次元測定によって該ゾルゲル膜の中心線平均粗さを面拡張した平均面粗さRa' 値が2.5nm 以上15.8nm以下である微細な凹凸状表層となるものとし、膜強度の高い酸化物薄膜となり、しかも表面表層をよりよく制御でき、付着性も向上し強固な薄膜とすることができ、ガラス基板との界面はもちろん、多層膜での被覆膜との膜と膜の界面においても密着性を格段に向上せしめ、被覆含浸した撥水性薄膜等機能性薄膜を含め、より均質化し安定性がある優れた耐光性ならびに機械的強度、耐候性、耐久性を有するものとなり、従来より格段に長期的に及ぶ優れた耐久性を有するものとなり、透明で硬度が高い、しかも光学特性等も充分に満足できるものとでき、屋外でも使用できることはもちろんであり、高安全で厄介な工程なく、例えば前記Ra' 値を耐光性能のパロメ−タ−として採用することも可能であって、安価に効率よく得られることとなるものであり、建築用はもちろん、ことに自動車用等の車輌用の窓材として格段に有用である。
【００４８】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし本発明は係る実施例に限定されるものではない。
【００４９】
実施例１
大きさ約600mm ｘ900mm 、厚さ約3.5mm のクリア・フロ−トガラス基板を中性洗剤、水すすぎ、アルコ−ルで順次洗浄し、乾燥した後、アセトンで払拭し被膜用ガラス基板とした。
【００５０】
テトラエトキシシラン（Si（OC₂H₅)₄：TE0S）の重合ゾル（平均分子量 Mv=約1000〜3000）とアセチルアセトンで安定化したテトラブトキシチタン（Ti(O-Bu)₄ ）との混合ゾル（アセチルアセトンで安定化したテトラブトキシチタンの含有量は酸化物換算でSiO₂に対して約0.25wt％、モル比で約 20mol％である）を、イソプロピルアルコ−ル（iPA ）、ブタノ−ル、エタノ−ルのアルコ−ル溶媒を加え、固形分濃度として酸化物換算で約５wt％になるまで希釈したものをゾル溶液Ａとした。〔例えば、大八化学工業（株）製、CG19-Ti-1 〕
メチルトリメトキシシラン（CH₃Si(OCH₃)₃：MTMS）の重合ゾル（平均分子量 Mv=約1,000 ）にイソプロピルアルコ−ル（iPA ）を加え、固形分濃度として酸化物換算で約20wt％になるまで希釈したものをゾル溶液Ｂとした。〔例えば、大八化学工業（株）製、MTS-2 〕
上記ゾル溶液Ａ20ｇとゾル溶液Ｂ20ｇと、加水分解および脱水縮合反応の反応速度を調整し、かつコ−ティング溶液中の分相をし易くするため、1,3-ブタンジオ−ル（以下、1,3-BDO という。） 0.4wt％存在せしめ修飾した調合用ブタノ−ル（以下、調合用BuOHという。BuOH50ｇ中に1,3-BDO を0.2 ｇ含有したもの、水分量200ppm、なお水分量は例えば０〜3500ppm の範囲であればよい）約50ｇを約50℃で約3 時間密栓状態で混合攪拌し、さらに90wt％iPA ／10wt％BuOHの混合系溶媒で希釈してコ−テイング溶液を得た。この際の固形分濃度は酸化物換算で約1.0 〜1.2 wt％程度であった。また1,3-BDO の含有量としては、コ−ティング溶液中の全ての金属アルコキシドの合計固形分に対し４wt％である。
【００５１】
なお上述したなかで、ゾル溶液Ａとゾル溶液Ｂとの比は固形分の重量比で約１：４程度、より好ましい当該比は約１：3.5 〜5.5 程度である。またなお混合後の攪拌時間は、例えば好ましい当該攪拌時間は約50℃の温度であれば１〜６時間（蜜栓）程度乃至約30℃の温度であれば３〜６時間（蜜栓）程度である。またなお、該溶液を短期間で使用する際あるいは膜のグレ─ド等によっては、微細な経時変化を考慮する必要がなく、室温で攪拌をしないでもよい場合もある。
【００５２】
次いで、スピン成膜条件として、スピンコ−タ−上にガラス基板をセットし、先ずスピン回転を開始後1 〜３秒で回転速度が約150rpm（例えば約50〜250rpm程度、高速スピン回転）し、上記した各コーティング溶液（塗布液）を約100ml 程度滴下し、約19〜17秒程度回転速度を維持し被膜した。次に被膜化した塗布液が渇きはじめて流動性を失うようになる前に、スピン回転を一旦停止し約60秒間程度静止してレベリングせしめ、再度スピン回転を始め、約50rpm 程度（例えば約20〜100rpm程度）の低速回転で約40秒間程度維持し、塗膜の乾燥促進とセッティングを行うスピンコ−ト法により、前記ガラス基板表面に、約25〜26℃、相対湿度約58〜60％RH程度の環境で塗布被膜し、微細な凹凸状表層を発現形成しているゲル膜を成膜性よく得た。
【００５３】
続いて約250 ℃で約30分間加熱仮焼成した後、さらに雰囲気温度約720 ℃（ガラス温度約620 ℃程度）で約４分間加熱本焼成し、膜厚が約120nm のSiO₂-TiO₂薄膜（ゾルゲル膜）を得た。なお当該仮焼成段階で溶媒や有機物が蒸発または分解し膜の硬さが増大し、さらに本焼成で有機物、アルキル基、アルコキシル基等の分解が進み、膜硬度は飛躍的に増大するが、場合によっては前記仮焼成段階は必ずしも必要としない。
【００５４】
得られたSiO₂-TiO₂薄膜（下地層）の評価を下記のように行った。
〔表層表面形状の観察〕
前述した走査型プロ−プ顕微鏡のAFM （原子間力電子顕微鏡）モ−ド（セイコ−電子製、SPI3700 、5 μm 四方スキャン）によって表面形状状態を観察し、写真に撮影するとともに、前記した平均面粗さRa’値（nm）を求めた。
【００５５】
その結果、SiO₂-TiO₂薄膜における平均面粗さRa’値は約6.5nm 程度であり、また該SiO₂-TiO₂薄膜の表面形状をAFM の写真である図１に示す。
〔初期ヘイズ（曇価）値Ｈ₀（％）〕
ヘイズメ−タ−による測定でSiO₂-TiO₂薄膜における初期ヘイズ値Ｈ₀が約0.1 ％であり、ガラス基板並で良好であった。なおガラス基板としては初期ヘイズ値Ｈ₀が約0.1 ％程度である。
〔耐摩耗性〕
テ−バ−摩耗試験において、摩耗輪CS-10Fで20回転後のヘイズ値の増加分△Ｈを求めた。 SiO₂-TiO₂薄膜は試験後のヘイズ値の増加分△Ｈが約0.2 ％程度であってガラス基板並で良好であり、耐摩耗性もガラス基板並の膜強度を示しきわめて良好であった。なおガラス基板としては約0.1 〜0.2 ％程度である。
【００５６】
その結果、明らかに所期のめざす微細な凹凸状表面表層となっていた。
さらに次いで該 SiO₂-TiO₂薄膜を下地層として当該薄膜上に、予めヘプタデカトリデシルフルオロアルキルシラン〔CF₃(CF₂)₇CH₂CH₂Si(OCH₃)₃〕１ｇとiPA 約５ｇ、60％硝酸１ｇをビーカーに入れ、常温で充分に混合攪拌し、フルオロアルキルトリメトキシシランの部分加水分解溶液を調製したコ−ティング溶液を塗布し、約140 ℃ならびに約250 ℃に設定された電気炉に約30分間入れ焼成し、撥水処理を行い、撥水性酸化物膜を得た。
【００５７】
得られた撥水性のガラスについて下記のような評価を行った。
〔撥水性試験〕
該被膜の大気中（約25℃）での水に対する接触角θ（°）を、協和界面科学製CA-A型を用いて測定した。初期接触角θ₀（°）ならびに後述する各試験後の接触角θ₀（°）を求めた。
【００５８】
さらに初期転落角は45μl の水滴で求めた。
その結果、初期接触角θ₀は約110 〜115 °程度、初期転落角は約30°程度と良好であった。
〔トラバ−ス摺動試験〕
試験機：トラバ−ス式摩耗試験機（図２）による摺動耐久性により
耐摩耗性を評価した。
【００５９】
摩擦布とその荷重：キャンバス布に荷重0.1kg ／cm²（JIS L 3102-1961-1206）。
ストロ−ク：100mm の往復摺動（摺動回数は往復の回数）。
【００６０】
摺動速度：30往復／分。
接触角θの測定：1000回目、2000回目、3000回目の各接触角θ（°）。
測定値：図３に、本実施例１と各比較例を下記のように示す。
【００６１】
＊本実施例１（1,3-BDO を4.0wt ％存在下で得た下地層上に撥水膜を被覆した撥水性のガラス。図１のAFM の写真に相当しRa' 値が約6.5nm ）を図中○印で示す。
【００６２】
＊比較例１（1,3-BDO の無存在下で得た下地層上に撥水膜を被覆した撥水性ガラス。Ra' 値が約2.0nm 程度）を図中△印で示す。
【００６３】
＊比較例２（ガラス基板表面に直接撥水処理した撥水性ガラス）を図中×印で示す。
その結果、例えば初期接触角θ₀が約112 °程度のものが、約３千回摺動後の接触角θは、比較例１では約90°程度になり、また比較例２では約30°前後程度に極端に低下するのに対し、本実施例１の撥水性のガラスでは約３千回摺動後の接触角θがほぼ不変で約110 °程度であり、格段の耐摩耗性を示し長期的に撥水性能を維持し耐久性が高いものであった。また摺動後のサンプルにはキズの発生はなかった。
〔耐光性試験〕
該被膜をスーパーUV（S-UV）耐光促進試験機〔イワキエレクトリック製、EYE SUPER UV TESTER 、SVU-W11 型〕により評価した。
【００６４】
条件：約75mW／cm²、ランプとサンプル間距離約25mm、温度約35℃、湿度約50％RHで、SUV 照射時間約 150時間、約450 時間、約800 時間、約1000時間、約1500時の耐久性試験を行った。
【００６５】
測定値：図４に、本実施例１と各比較例を下記のように示す。
＊本実施例１（1,3-BDO を4.0wt ％存在下で得た下地層上に撥水膜を被覆した撥水性のガラス。図１のAFM の写真に相当しRa' 値が約6.5nm ）を図中○印で示す。
【００６６】
＊比較例１（1,3-BDO の無存在下で得た下地層上に撥水膜を被覆した撥水性ガラス。Ra' 値が約2.0nm 程度）を図中△印で示す。
＊比較例２（ガラス基板表面に直接撥水処理した撥水性ガラス）を図中×印で示す。
【００６７】
その結果、撥水性のガラス膜面の接触角θ（°）〔耐光性〕と上記S-UV照射時間（hr）の関係について求めたところ図４に示すようになり、例えば初期接触角θ₀が約112 °程度のものが、比較例１では約1000時間S-UV照射後の接触角θは約50°程度になり、また比較例２では約500 時間S-UV照射後の接触角θは約50°前後程度に極端に低下するのに対し、本実施例１の撥水性のガラスでは約800 時間S-UV照射後の接触角θは約100 °程度、約1000時間S-UV照射後の接触角θは約95°程度、約1500時間S-UV照射後の接触角θが約70°程度であり、格段の耐光性を示し長期的に撥水性能を維持し耐久性が高いものであった。
【００６８】
なお、Ra’値として４〜15nm程度、特にRa’値が６〜10nm程度であれば、本実施例１と同等かそれ以上の耐摩耗性ならびに耐光性を示し長期的に撥水性能を維持し耐久性がより高くなり、より安定かつ確実なものであった。例えば耐摩耗性についてはもとより約３年間程度あるいはそれ以上優れた撥水性能を保持することに相当し、また例えば耐光性については仮に接触角θが約70°程度になるまでを合格とすれば、S-UV照射時間が約1500時間程度となり、これは約３乃至５年間程度高い撥水性能を保持することに相当する等格段に優れた耐久性を有するものとなり、自動車用フロント、ドアならびにサイドまたはバックの窓ガラスに対して極めて有用な耐摩耗性と耐光性を有する撥水性のガラスとなる。
【００６９】
さらに、ヘイズメ−タ−の測定によって、下地層であるゾルゲル膜の平均面粗さRa’値（nm）と撥水性ガラス膜面の初期ヘイズ値Ｈ₀（％）との関係を求めたところ、例えば平均面粗さRa’値が約20nm以下であれば、初期ヘイズ値Ｈ₀が約0.6 ％程度以下とななり、さらに平均面粗さRa’値が約16nm以下であれば、初期ヘイズ値Ｈ₀が約0.4 ％程度以下となって好ましいものとなり、さらにまた平均面粗さRa’値が約14nm以下であれば、初期ヘイズ値Ｈ₀が約0.3 ％程度以下となってより好ましいものとなるものであった。
【００７０】
【発明の効果】
以上前述したように、本発明によれば、コ−ティング溶液としてより簡単に調合調製ができかつ飛躍的な安定性および性能を発揮し、より簡便に容易な膜形成手段でもって特異な薄膜を安価に効率よく得られ、特定の二つを選択したゾル溶液ならびに希釈溶液をジオ−ル類の存在下で巧みに組み合わせることによって、制御性よく特定できた特異な形状を有する強固な微細な凹凸状表層表面となすものとなって多層膜の下地層薄膜として格段にその性能を発揮し、その優れた表面に撥水性酸化物薄膜を被膜して、品質の均質化を向上し得て管理でき、光学特性を損なうことなく、撥水性能等各種性能が優れることはもとより、密着性、ことに耐摩耗性などの機械的強度、耐光性能等の耐久性に優れ、しかも長期的に維持できるものとなり、建築用はもとより自動車用窓材に格段に安定した品質で供給でき、船舶や航空機の窓材、種々のミラ−等各種ガラス物品等、種々の分野に広く採用できる利用価値の高い、有用な撥水性のガラスを提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】実施例１の本発明の撥水性のガラスにおいて、1,3-BDO を４wt％含有するコ−ティング溶液で塗膜し成膜した下地膜層であるゾルゲル膜（SiO₂-TiO₂ 薄膜）の表層表面を、原子間力電子顕微鏡（AFM ）により観察処理した写真であって、Ra' 値が約6.5 程度である微細な凹凸状表層の状態を示す図である。
【図２】実施例１において、本発明の撥水性のガラスにおける撥水膜層の長期的な撥水性能について評価する一つとして、トラバ−ス摺動試験（耐摩耗性）を実施したトラバ−ス式摩耗試験機を示す図である。
【図３】トラバ−ス摺動試験において、本発明の実施例１〔○印〕と、1,3-BDO の無存在下で得たRa' 値が約2.0nm 程度の下地層上に撥水性酸化物膜を被覆した撥水性ガラスを比較例１〔△印〕とし、さらにガラス基板表面に直接撥水処理した撥水性ガラスを比較例２〔×印〕として、摺動回数（往復、すなわちその回数）に対する接触角（°）〔耐摩耗性〕の関係を示す説明図である。
【図４】 S-UV耐光促進試験において、本発明の実施例１〔○印〕と、1,3-BDO の無存在下で得たRa' 値が約2.0nm 程度の下地層上に撥水性酸化物膜を被覆した撥水性ガラスを比較例１〔△印〕とし、さらにガラス基板表面に直接撥水処理した撥水性ガラスを比較例２〔×印〕として、S-UVの照射時間（hr）に対する接触角（°）〔耐光性〕の関係を示す説明図である。
【図５】本発明の撥水性のガラスにおいて、下地層であるゾルゲル膜表面に被膜した撥水膜層について光劣化による存在形態の変化を推測した説明図である。
図中（ａ）はゾルゲル膜である下地膜に直接化学的結合した極薄い撥水膜層（F₁）を示し、図中（ｂ）はF₁層と凹部に入り込んだ撥水剤の重合体からなる撥水膜層（F₂）との２層構造を示し、図中（ｃ）はF₁層の光劣化状態を示すものである。
【符号の説明】
１トラバ−ス式摩耗試験機
２台
３モ−タ
４減速機
５クランクディスク
６摩擦布
７荷重
８ガラス基板
９撥水性酸化物膜[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention is an excellent coating solution that can control the shape and size of the concavo-convex surface layer and the like in various ways, and can be obtained more easily with a short and simple preparation method. By making the expression more stable and increasing the specific surface area, and by specifying the degree of unevenness that has been controlled, a fine oxide film with high hardness, high mechanical strength, and excellent durability can be obtained. In a multilayer film that becomes a sol-gel film having a concavo-convex surface layer and is further laminated on a glass substrate, for example, when used as an underlayer film of water-repellent glass, the adhesion efficiency of the water-repellent film coated on the specific sol-gel film In addition to improving the light resistance, improving the light resistance, exhibiting the performance remarkably, high transparency without damaging the optical properties, water repellent performance and abrasion resistance with a long-term strong adhesion It is possible to maintain water-repellent glass useful for various glass articles such as window materials for construction or automobiles, window materials for ships and aircraft, etc. .
[0002]
[Prior art and its problems]
In general, as a method of forming irregularities on the surface of the metal oxide film, for example, a method of etching the metal oxide film with hydrofluoric acid or hydrofluoric acid, or an organic polymer that is combusted and decomposed by heat treatment is added to the metal alkoxide solution. Methods of adding and the like are known. As a method for forming irregularities and the like by a simple process, the present applicant has found a method by mixing a sol solution obtained by hydrolysis and dehydration condensation of metal alkoxides having different starting materials.
[0003]
However, in a method of etching a metal oxide film with hydrofluoric acid or hydrofluoric acid, etc., hydrofluoric acid or hydrofluoric acid, which is an etching solution, is an extremely dangerous substance for the human body, which is difficult to handle and inferior in workability. In addition, there is a reduction in productivity due to the addition of an etching process, and in the method of adding an organic polymer that is burnt and decomposed by heat treatment to a metal alkoxide solution, for example, a micropit-like surface once formed is 400 Since the film is densified by heating and baking at a temperature of ℃ or higher, there is a restriction that it is necessary to control the heat treatment conditions in various ways, and it is difficult to obtain a stubborn film due to this restriction. Is hard to say.
[0004]
Therefore, for example, an oxide thin film having a micropit-like surface layer, a multilayer film using the thin film, and a method for forming the same described in Japanese Patent Application Laid-Open No. 5-147976 have been filed by the present applicant. The sol-gel film described in JP-A-6-298545 and the method for forming the sol-gel film, and also the water-repellent oxide film described in JP-A-7-1338050 and the method for forming the same are useful in solving the above-described points. In addition, according to the proposed sol-gel film described in, for example, Japanese Patent Application No. 7-132268 and its formation method, the preparation method is not complicated, it is simple and does not require a long time, and the coating has an excellent pot life. It has proposed a sol-gel film that is more stable and superior in surface shape in solution and has excellent durability such as mechanical film strength or chemical resistance even under severe conditions for a long period of time.
[0005]
In recent years, various functional films have been put to practical use in automotive window glass and the like, and in particular, the appearance of the surface shape as a base layer is more stable and superior, and even under severe conditions for a long period of time. A sol-gel film having excellent durability such as strength and chemical resistance is increasingly desired.
[0006]
In addition, in the water-repellent glass and the manufacturing method thereof described in Japanese Patent Application No. Hei 6-180295, for example, the surface surface layer shape of the underlayer is grasped three-dimensionally._max(Maximum height) = 5-60nm, R_a(Center line average roughness) = 2 ~ 20nm, R_z(10-point average roughness) = 5 to 55 nm, S_mAlthough the average interval between the irregularities was defined and specified quantitatively so as to be 5 to 700 nm, the function could be improved by several steps compared to the conventional method. Especially R in JIS B 0601_aEven if it is specified by (centerline average roughness), it is particularly severe in harsh environments with respect to light resistance, etc., in laminated film formation that includes an upper functional film on a large area and complicated shape substrate. Has not yet reached a point where the function has been improved more sufficiently by reducing variation and becoming more stable.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
The present invention has been made in view of such conventional problems, and each sol-gel solution is obtained by hydrolyzing and dehydrating and condensing a tetraalkoxysilane added with a specific metal alkoxide and a specific alkyltrialkoxysilane, respectively. It is possible to easily obtain a coating solution with excellent performance by coating a glass substrate and forming a thin film by preparing a mixture by mixing a specific solvent and diols. In addition, the obtained sol-gel film has high hardness and high adhesion, and has both durability and wear resistance. For example, it is possible to three-dimensionally grasp a specific fine uneven surface layer that is solid independently, By defining and specifying the degree of unevenness quantitatively on the average surface, it can be expressed very stably with good controllability, and coverage by increasing the specific surface area. It is an oxide thin film that improves the adhesion efficiency and adhesion of the film, becomes an exceptionally superior underlayer, and exhibits mechanical film strength and durability and various functions efficiently and inexpensively without high safety and troublesome processes. By using a sol-gel film as a base layer and coating the base layer with a water-repellent film layer, the wear resistance and light resistance performance can be greatly improved, and excellent water-repellent performance can be maintained over a longer period of time. In addition, the present invention provides a useful water-repellent glass such that the variation width can be reduced in a more controllable manner.
[0008]
  That is, the present invention relates to a sol solution A obtained by hydrolyzing and dehydrating and condensing a tetraalkoxysilane added with a metal alkoxide stabilized with acetylacetone on the surface of a glass substrate, and an alkyltrimethyl group in which one functional group is alkylated. A mixture obtained by mixing sol solution B obtained by hydrolyzing and dehydrating and condensing alkoxysilane, a solvent mainly composed of isopropyl alcohol,To theseCoating solution consisting of mixed diolsCoatingA water-repellent film layer formed on a sol-gel film having a fine uneven surface layer obtained by heating and baking.This is a glass manufacturing method.
[0009]
  In addition, the above-described water-repellent glass, wherein the metal of the metal alkoxide is Ti, Al, Zr, or a composite metal thereof.Is the manufacturing method.
  The water-repellent glass described above, wherein the mixing ratio of alkyltrialkoxysilane to tetraalkoxysilane is 2 to 6 times in terms of oxideIs the manufacturing method.
[0010]
  Further, the water-repellent glass as described above, wherein the solvent containing isopropyl alcohol as a main component is a solvent obtained by adding butanol to isopropyl alcohol.Is the manufacturing method.
[0011]
  Furthermore, the water-repellent glass described above, wherein the solid content concentration in the coating solution is 0.2 to 5.0 wt% in terms of oxideIs the manufacturing method.
  Furthermore, the water repellent glass is characterized in that the amount of the diols mixed is 0.5 to 30 wt% with respect to the total solid content of all the metal alkoxides in the coating solution.Is the manufacturing method.
[0012]
  Further, the sol-gel film formed on the surface of the glass substrate has fine irregularities having a mean surface roughness Ra ′ value of 2.5 nm or more and 15.8 nm or less obtained by extending the center line average roughness of the sol-gel film by three-dimensional measurement. The above-mentioned water-repellent glass characterized by comprising a metal oxide thin film having a surface layerIs the manufacturing method.
[0013]
  Further, the water repellent glass is characterized in that the water repellent film layer is made of a fluoroalkylsilane compound.Is the manufacturing method.
  Further, the water repellent glass is characterized in that the water repellent film layer is made of an alkylsilane compound.Is the manufacturing method.
[0014]
  Further, the water-repellent glass described above, wherein the water-repellent film layer is made of a fluororesin compound.Manufacturing methodIs to provide.
[0015]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
  Here, on the surface of the glass substrate as described above, sol solution A obtained by hydrolyzing and dehydrating and condensing tetraalkoxysilane added with metal alkoxide stabilized with acetylacetone and one functional group are alkylated. Mixture mixed with sol solution B obtained by hydrolysis and dehydration condensation of alkyltrialkoxysilaneTheA solvent based on isopropyl alcohol;To theseCoating solution consisting of mixed diolsCoatingA method for obtaining water-repellent glass formed by coating a water-repellent film layer on a sol-gel film having a fine uneven surface layer obtained by heating and baking is as follows.
[0016]
First, as the glass substrate, it is a plate glass with various inorganic transparency such as float glass used for architectural window glass, automobile window glass, etc., and is colorless or colored, and its type or color tone, shape In addition to the bent plate glass, various tempered glass, strength-enhanced glass, flat plate and single plate can be used as well as multi-layer glass or laminated glass.
[0017]
  Further, as the sol-gel film, a sol solution A obtained by hydrolyzing and dehydrating and condensing tetraalkoxysilane added with a metal alkoxide stabilized with acetylacetone on the surface of a glass substrate and an alkyl having one functional group alkylated. The sol solution B obtained by hydrolysis and dehydration condensation of trialkoxysilane is mixed, diluted with an alcohol solvent mixed with diols and mixed at 0 to 24 at a holding temperature of about 10 to 50 ° C. A coating solution prepared by diluting the mixture with a solvent containing isopropyl alcohol as a main component was prepared.CoatingThen, it is formed by being dried and heated and made of an oxide thin film having a fine uneven surface layer.
[0018]
Furthermore, the mixing ratio of the alkyltrialkoxysilane to the tetraalkoxysilane is 2 to 6 times in terms of oxide, and the coating solution is obtained by adjusting the viscosity to be about 1 to 10 cP.
[0019]
Here, as described above, sol solution A obtained by hydrolyzing and dehydrating and condensing tetraalkoxysilane to which metal alkoxide stabilized with acetylacetone is added, and alkyltrialkoxysilane having one functional group alkylated are hydrolyzed. The use of the mixture of the decomposed and dehydrated condensed sol solution B enables easy preparation of the solution and a longer pot life, and has a surface shape of the fine uneven surface layer formed. The two sols are excellent in mechanical film strength and chemical resistance, have high transparency and hardness of the oxide thin film, have excellent durability, and are relatively inexpensive and readily available. It was decided to use a solution.
[0020]
Further, one of the two sol solutions is a sol solution A hydrolyzed and dehydrated and condensed using a metal alkoxide compound which is a tetraalkoxysilane added with a metal alkoxide stabilized with acetylacetone, and another sol solution is 1 A sol solution B obtained by hydrolysis and dehydration condensation using a metal alkoxide compound which is an alkyltrialkoxysilane in which two functional groups are alkylated is used as the sol solution B, for example, -Si-O-Si- (however, (The vertical lines of Si are omitted.) The one in which the three-dimensional structure is easy to develop and the one in which the skeleton is hard to be formed coexist. On the other hand, in the sol solution B, since an alkyl group that does not undergo hydrolysis and dehydration condensation reaction is present, a skeleton such as a three-dimensional Si—O—Si bond is hardly generated. Therefore, when the sol solution A and the sol solution B are mixed to form a coating, various surface layers are developed, and a thin film made of the same metal element is densified by adding about several percent of different metal elements. Thus, a fine rugged surface thin film having excellent shape and performance with excellent durability such as mechanical film strength and chemical resistance, and stable and controlled reproducibility is obtained.
[0021]
Further, the metal metal of the metal alkoxide is not particularly specified, but it is preferable to select Ti, Al, Zr or a composite metal thereof, and specific examples thereof include, for example, titanium tetranormal butoxide [Ti (On-Bu)_FourBu: C_FourH₉], Aluminum tri-normal butoxide [Al (0-n-Bu)_Three], Zirconium tetranormal butoxide [Zr (O-n-Bu)_Four Or an acetylacetonate salt of Ti, Al, or Zr is suitable.
[0022]
Still further, examples of the alkyltrialkoxysilane in which the one functional group is alkylated include methyltriethoxysilane [MeSi (OEt)]._Three], Methyltrimethoxysilane [MeSi (OMe)_Three] Is suitable.
[0023]
Regarding the shape and control of the fine uneven surface layer, first, the functional groups and molecular weights of the sol solution A and the sol solution B, particularly different functional groups that express the phenomenon as described above, especially 4 and 3 For example, the molecular weight ranges from 100 to 100,000, and if it is less than 100, the raw material is not sufficiently hydrolyzed, so that film repellency is likely to occur during coating, and the film formability is poor. On the other hand, if it exceeds 100,000, the sol solution is gelled and the stability of the sol solution is deteriorated. Preferably about 1,000-50,000 is good.
[0024]
Or the kind of solvent used for preparing the sol solution, such as isopropyl alcohol, butanol, ethanol alcohol solvent, acetylacetone, etc. In particular, as a diluting solvent in the preparation of the coating solution, a solvent obtained by adding butanol to isopropyl alcohol, particularly a diluting solvent added by about 10 wt% is preferable. It will be useful for the stability of the expression of the surface shape.
[0025]
Alternatively, it is a mixing ratio of solid content in terms of oxide in the sol solution. For example, the solid content of the sol solution B is about 2 to 6 g with respect to 1 g of the solid content of the sol solution A. If the surface layer of the film becomes flat and exceeds 6 g, the surface layer of the obtained thin film becomes coarse, which is not the intended one. The solid content of the sol solution B is preferably about 2.5 to 5.5 g with respect to 1 g of the solid content of the sol solution A.
[0026]
  Also,The diols(General formula: R (OH)₂, DO. ], For example, the general formula: C_nH_2n(OH)₂(N ≧ 2) ethylene glycol (methylene group: 2), 1,3-propane DO, 1,2-propane DO (more methylene group: 3), 1,4-butane DO (1,4 -BDO), 1,3-BDO, 1,2-BDO (Methylene group: 4), 1,5-pentane DO, 1,4-pentane DO, 1,3-pentane DO, 1,2 -Linear geometries such as pentane DO (above, methylene group: 5), 1,6-hexane DO (above, methylene group: 6), propylene glycol, 1,8-octane DO, 1,9-nonane DO, etc. -Or chain diols, and for example, the general formula: C_nH_2n-2(OH)₂And cyclic diols such as cyclopentane-1,2-DO, cyclohexane-1,2-DO, cyclohexane-1,4-DO and the like (n ≧ 3).
[0027]
Furthermore, it was decided that the amount of the diol mixed was 0.5 to 30 wt% with respect to the total solid content of all the metal alkoxides in the coating solution. If it is less than wt%, for example, the action to increase the specific surface area will be suppressed, and even if it contains more than 30wt%, the effect of increasing the specific surface area will not be obtained instead of the amount of mixture. This is because it is not economical, and rather, for example, there is a tendency that the denseness of the film is somewhat lowered from the highest state and the mechanical film strength is lowered. The amount of the diols preferably mixed is about 1 to 20 wt%, more preferably about 2 to 15 wt%.
[0028]
Furthermore, with respect to the environment for coating, the coating solution is more stable due to the mixture of the above-mentioned diols, and the finely concavo-convex surface layer having a more stable and highly reproducible and stable shape and performance. Although it is possible to obtain a surface thin film and it is not necessary to limit it in principle, it is possible to control various surface surface shapes and diameters by controlling the temperature and relative humidity to, for example, about 45 to 70% HR at room temperature. Can be controlled stably and reliably with higher reproducibility.
[0029]
Furthermore, the viscosity of the coating solution is adjusted to 1 to 10 cP. If the coating solution is less than 1 cP, the viscosity is too low to form a film, and if it exceeds 10 cP, it is excessively coated when coated, and is heated and dried in the film. This is because cracks and the like occur.
[0030]
Furthermore, the oxide-converted solid content concentration of the coating solution is preferably 0.2 to 5.0 wt%, and if it is less than 0.2 wt%, it is too dilute to form a film, and if it exceeds 5.0 wt%, the concentration increases. Therefore, it is difficult to obtain the average surface roughness Ra ′ value. Further, cracks are generated in the film or white turbidity is generated during film formation, thereby obtaining a high-quality thin film. It will not be possible.
[0031]
Furthermore, the film deposition method on the glass substrate includes a nozzle flow coating method, a dipping method, a spray method, a river coating method, a flexo method, a printing method, a flow coating method or a spin coating method, and their methods. Known application means such as combined use can be appropriately employed.
[0032]
The heating temperature after drying such as air drying when forming the sol-gel film as the underlayer is about 100 ° C. or more and 700 ° C. or less, preferably about 500 ° C. or more and about 680 ° C. or less. In order to strengthen, for example, firing at a temperature of about 600 ° C. or higher, specifically, a temperature in a bending or / and strengthening process of a glass plate, and the above-mentioned various surfaces without disappearing at the temperature. It can be used as a shape surface layer.
[0033]
Further, it is a metal oxide thin film having a fine concavo-convex surface layer having an average surface roughness Ra ′ of 2.5 nm or more and 15.8 nm or less obtained by expanding the center line average roughness of the sol-gel film by the above-described three-dimensional measurement. The sol-gel film was observed with the scanning probe microscope AFM (Atomic Force Microscope) mode (Seiko Electronics, SPI3700, 5 μm square scan), and the center line defined in JIS B 0601 The average roughness Ra ′ value is applied to the measurement surface and expanded in three dimensions. It can be expressed as “average value of absolute values of deviation from the reference surface to the specified surface” and is given by the following equation.
[0034]
[Expression 1]

[0035]
In the formula, Ra ′ value: average surface roughness (nm). S₀: Area when the measurement surface is ideally flat | X_R−X_L｜ × ｜ Y_T−Y_B｜. F (X, Y): Height at the measurement point (X, Y). X_L, X_R, Y_B, Y_T: Measurement range of X and Y coordinates. Z₀: Indicates the average height in the measurement plane.
[0036]
As a result, the amount of the diols having the surface shape of the desired fine irregular surface layer as the undercoat layer described above is 0.5% of the total solid content of all the metal alkoxides in the coating solution. On the other hand, the average surface roughness Ra ′ value of the sol-gel film was 2.5 to 15.8 nm, which was preferable as the undercoat film layer. A more preferable Ra ′ value is about 4 to 15 nm, and a most preferable Ra ′ value is about 6 to 10 nm.
[0037]
In the above-described amount of diols mixed, the film thickness is about 120 to 135 nm and the Ra ′ value is 2.5 to 15.8 nm. For example, the initial haze (cloudiness value) value H can be determined by measuring with a haze meter. % Is about 0.1 to 0.3%, which is as good as a glass substrate, and the increase ΔH in haze value after 20 rotations with a taber wear tester (wear wheel CS-10F, load 500 g) is about 0.1 The film strength was as good as that of a glass substrate at about .about.0.3.
[0038]
In the water-repellent glass, when the average surface roughness Ra ′ value of the sol-gel film is less than 2.5 nm, the contact angle θ with respect to the traverse sliding test is about 112 ° to about 90 ° as shown in the examples described later. It is difficult to maintain excellent water repellency in the long term at a temperature of less than °, and the excellent water repellency is maintained over the long term with a contact angle θ with respect to light resistance of about 112 ° to about 50 ° or less. In particular, the light repellency of the water repellent function is not sufficient and the deterioration is large, and the expected excellent water repellency [eg, contact angle θ (°): initial contact angle θ₀About 110 °, preferably about 70 ° or more after the durability test, more preferably about 100 ° or more in the traverse sliding test, and about 80 hours after S-UV irradiation for light resistance for about 1000 hours. Transparency to be expected when the average surface roughness Ra ′ value exceeds 15.8 nm (for example, initial haze H)₀(%) Is less than about 0.3%] because it is difficult to gradually become more economical as described above.
[0039]
Further, a preferable average surface roughness Ra ′ value is about 4 nm or more and 15 nm or less, and the initial contact angle θ described above.₀In addition, the sol-gel film is formed of a metal oxide thin film having a fine concavo-convex surface layer suitable for a severe environment where the transparency is severer than that of, for example, an automobile window glass. Even more preferably, the average surface roughness Ra ′ value is about 6 nm to 10 nm, the contact angle after about 1000 hours of Super-UV irradiation time is about 90 ° or more, and the initial haze H₀Satisfies about 0.3% or less.
[0040]
Furthermore, in the water-repellent glass of the present invention, it is assumed that the presence of the fluoroalkylsilane compound coated on the surface of the sol-gel film as the underlayer or the water-repellent film layer using the alkylsilane compound is estimated due to photodegradation. 5, (a) is an extremely thin (for example, single molecule level) water-repellent film layer (F) that is directly bonded to the underlayer (B).₁(B) in the figure shows the water repellent film layer (F₁) And a water-repellent film layer (F)₂), And (c) in the figure is the water repellent film layer (F).₁This shows the light degradation state up to).
[0041]
Thus, the two water-repellent film layers F are different.₁And F₂Is considered a two-layer structure in which₁The layer is directly chemically bonded to, for example, silica on the surface of the base film, and a film close to an extremely thin monomolecular layer covers the entire base film.₂The layer is a water repellent.For example, many polymers in which fluoroalkylsilane is polymerized to some extent are F₁It exists in a state where it is chemically bonded to the layer and in particular in the recesses, F₂The layer has an “apparent thickness” proportional to the amount of water repellent (size and number of polymers).₂The thickness of the layer greatly affects the light resistance.
[0042]
F is also used in water repellents such as PTFE fine particles that do not react directly with the underlayer.₂Since it exists in the state of entering the recess as a layer, it also works effectively for improving the light resistance as described above.
[0043]
As the average surface roughness Ra ′ value increases, the water repellent content increases, so the “apparent thickness” of the water repellent film layer also increases, improving the light resistance, and direct chemical bonding with the underlying film. The water repellent film layer accumulated in the concave portions is a polymer lump of a water repellent (for example, fluoroalkylsilane), and the water repellent film layer deteriorates first by the initial light irradiation. The strong water-repellent film layer that is chemically bonded to the base film is photodegraded.
[0044]
Further, examples of the fluoroalkylsilane compound include CF._ThreeCH₂CH₂Si (OMe)_Three, CF_ThreeCH₂CH₂SiCl_Three, CF_Three(CF₂)_FiveCH₂CH₂Si (OMe)_Three, CF_Three(CF₂)_FiveCH₂CH₂SiCl_Three, CF_Three(CF₂)_FiveCH₂CH₂SiMe (OMe)₂, CF_Three(CF₂)₇CH₂CH₂SiMeCl₂, CF_Three(CF₂)₇CH₂CH₂Si (OMe)_Three , CF_Three(CF₂)₇CH₂CH₂SiCl_Three, CF_Three(CF₂)₇CH₂CH₂SiMe (OMe)₂, CF_Three(CF₂)₈CH₂CH₂Si (NC0)_ThreeEtc.
[0045]
Further, as the alkylsilane compound, for example, [(CH_Three)_ThreeSi-O]_ThreeSi-CH₂CH₂-Si (OCH_Three)_Three{Tristrimethylsiloxy / ethyl / trimethoxysilane}, CH_Three(CH₂)₁₇Si (OCH_Three)_Three, CH_Three(CH₂)₁₇Si (CH_Three) (OCH_Three)₂ , CH_Three(CH₂)₁₇SiCl_ThreeEtc.
[0046]
Further, the fluororesin-based compound is a polymer mainly composed of carbon and fluorine, such as polytetrafluoroethylene (PTFE), low molecular weight PTFE (manufactured by Central Glass Co., Ltd.), polychlorofluoroethylene, polyvinylidene. Fluoride, polyvinyl fluoride, tetrafluoroethylene and hexafluoropropylene polymer, tetrafluoroethylene and ethylene copolymer, tetrafluoroethylene and perfluoroalkyl vinyl ether copolymer, chlorotrifluoroethylene and ethylene A copolymer etc. are mentioned. The fluororesin-based compound is used as a suspension dispersed in a solvent, and may be mixed, for example, in a silica sol solution. The particle size of the fluororesin compound may be about 1.0 μm or less, and for example, about 0.1 to 1.0 μm is preferable.
[0047]
As described above, by using the water-repellent glass of the present invention, the two specified sol solutions are prepared by diluting with a specific amount of diols mixed with a specific diluting solvent, selected, combined, and used. By obtaining a coating solution and forming a film, it can be easily prepared and prepared as a coating solution, and has excellent stability and performance. The center of the sol-gel film is obtained by three-dimensional measurement that is clear, firm, and stable, with independence and the like from the past, without performing densification and flattening by performing heat drying or baking and high-temperature baking. The average surface roughness Ra ′ obtained by extending the line average roughness is a fine uneven surface layer having a surface roughness Ra ′ value of 2.5 nm or more and 15.8 nm or less. The surface layer can be better controlled, adhesion can be improved, and a strong thin film can be obtained. Adhesion is marked not only at the interface with the glass substrate but also at the film-to-film interface with the coating film in the multilayer film. Including functional thin films such as water-repellent thin films impregnated with coatings, they are more uniform and stable and have excellent light resistance, mechanical strength, weather resistance, and durability. It has excellent durability, can be transparent and high in hardness, and can be sufficiently satisfied with optical properties, etc., and can be used outdoors. The value can also be used as a light resistance parameter, and it can be obtained efficiently at low cost, and it is particularly useful as a window material for vehicles such as automobiles as well as buildings. Useful to is there.
[0048]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described specifically by way of examples. However, the present invention is not limited to the embodiment.
[0049]
Example 1
A clear float glass substrate having a size of about 600 mm × 900 mm and a thickness of about 3.5 mm was washed with a neutral detergent, water rinse, alcohol successively, dried and then wiped with acetone to obtain a glass substrate for coating.
[0050]
Tetraethoxysilane (Si (OC₂H_Five)_Four: TE0S) polymerized sol (average molecular weight Mv = approx. 1000-3000) and tetrabutoxytitanium (Ti (O-Bu)) stabilized with acetylacetone_Four The content of tetrabutoxytitanium stabilized with acetylacetone is SiO in terms of oxide₂Isopropyl alcohol (iPA), butanol, ethanol alcohol solvent, and the solid content concentration in terms of oxides. A solution diluted to about 5 wt% was designated as sol solution A. [For example, CG19-Ti-1 manufactured by Daihachi Chemical Industry Co., Ltd.]
Methyltrimethoxysilane (CH_ThreeSi (OCH_Three)_Three: MTMS), a sol solution B was prepared by adding isopropyl alcohol (iPA) to a polymerization sol (average molecular weight Mv = about 1,000) and diluting the solid content concentration to about 20 wt% in terms of oxide. [For example, MTS-2 manufactured by Daihachi Chemical Industry Co., Ltd.]
In order to adjust the reaction rate of hydrolysis and dehydration condensation reaction with 20 g of the sol solution A and 20 g of the sol solution B and to facilitate phase separation in the coating solution, 1,3-butanediol (hereinafter, 1, 3-BDO) 0.4% by weight modified butanol for preparation (hereinafter referred to as BuOH for preparation; 50g BuOH containing 0.2g 1,3-BDO, water content 200ppm, About 50 g was mixed and stirred at about 50 ° C. for about 3 hours in a sealed state, and further diluted with a mixed solvent of 90 wt% iPA / 10 wt% BuOH to obtain a coating solution. . At this time, the solid content concentration was about 1.0 to 1.2 wt% in terms of oxide. The content of 1,3-BDO is 4 wt% with respect to the total solid content of all metal alkoxides in the coating solution.
[0051]
In the above description, the ratio of the sol solution A to the sol solution B is about 1: 4, more preferably about 1: 3.5 to 5.5 in terms of the weight ratio of the solid content. The mixing time after mixing is preferably about 1 to 6 hours (honey plug) if the temperature is about 50 ° C. or about 3 to 6 hours (honey plug) if the temperature is about 30 ° C. It is. In addition, when the solution is used in a short period of time or depending on the grade of the film, it is not necessary to consider a minute change with time, and stirring may not be performed at room temperature.
[0052]
Next, as a spin film formation condition, a glass substrate is set on a spin coater, and the rotation speed is about 150 rpm (for example, about 50 to 250 rpm, high-speed spin rotation) in 1 to 3 seconds after starting spin rotation. About 100 ml of each of the above coating solutions (coating solutions) was dropped, and the coating was performed while maintaining the rotation speed for about 19 to 17 seconds. Next, before the coated coating solution starts to thirst and loses its fluidity, the spin rotation is temporarily stopped, and it is allowed to stand still for about 60 seconds and leveled again, and then the spin rotation is started again to about 50 rpm (for example, about 20 to It is maintained for about 40 seconds at a low-speed rotation of about 100 rpm), and about 25 to 26 ° C. and a relative humidity of about 58 to 60% RH on the surface of the glass substrate by a spin coating method for promoting drying and setting of the coating film. In this environment, the coating film was applied to obtain a gel film having a fine concavo-convex surface layer with good film forming properties.
[0053]
Subsequently, after pre-baking at about 250 ° C. for about 30 minutes, it is further heated and baked for about 4 minutes at an atmospheric temperature of about 720 ° C. (glass temperature of about 620 ° C.).₂-TiO₂A thin film (sol-gel film) was obtained. In addition, the solvent or organic substance evaporates or decomposes in the preliminary baking stage, and the hardness of the film increases.In addition, the decomposition of organic substance, alkyl group, alkoxyl group, etc. progresses in the main baking, and the film hardness increases dramatically. Depending on the case, the preliminary firing step is not necessarily required.
[0054]
Obtained SiO₂-TiO₂The thin film (underlayer) was evaluated as follows.
[Observation of surface surface shape]
The surface shape state was observed with the AFM (Atomic Force Electron Microscope) mode of the scanning probe microscope described above (manufactured by Seiko Denshi, SPI3700, 5 μm square scan), photographed, and averaged as described above The surface roughness Ra ′ value (nm) was determined.
[0055]
As a result, SiO₂-TiO₂The average surface roughness Ra ′ value in the thin film is about 6.5 nm, and the SiO 2₂-TiO₂The surface shape of the thin film is shown in FIG.
[Initial haze (cloudiness) value H₀(%)]
SiO measured by haze meter₂-TiO₂Initial haze value H in thin film₀Was about 0.1%, which was as good as a glass substrate. As a glass substrate, the initial haze value H₀Is about 0.1%.
(Abrasion resistance)
In the taber abrasion test, the increase ΔH in haze value after 20 rotations with the wear wheel CS-10F was determined. SiO₂-TiO₂The thin film had a haze value increase ΔH of about 0.2% after the test and was as good as a glass substrate, and the wear resistance was very good with the same film strength as a glass substrate. The glass substrate is about 0.1 to 0.2%.
[0056]
As a result, it was apparent that the surface layer was a fine uneven surface as intended.
Next, the SiO₂-TiO₂Using a thin film as an underlayer, heptadecatridecylfluoroalkylsilane [CF_Three(CF₂)₇CH₂CH₂Si (OCH_Three)_Three] 1 g, about 5 g of iPA, and 1 g of 60% nitric acid were placed in a beaker, mixed and stirred thoroughly at room temperature, and coated with a coating solution prepared from a partially hydrolyzed solution of fluoroalkyltrimethoxysilane. It was fired in an electric furnace set at 250 ° C. for about 30 minutes, subjected to water repellent treatment, and a water repellent oxide film was obtained.
[0057]
The obtained water repellent glass was evaluated as follows.
[Water repellency test]
The contact angle θ (°) with respect to water in the atmosphere (about 25 ° C.) of the coating was measured using a CA-A type manufactured by Kyowa Interface Science. Initial contact angle θ₀(°) and contact angle θ after each test described later₀(°) was determined.
[0058]
Furthermore, the initial falling angle was determined with 45 μl of water droplets.
As a result, the initial contact angle θ₀Was about 110 to 115 °, and the initial sliding angle was about 30 °.
[Traverse sliding test]
Testing machine: By sliding durability by traverse wear tester (Fig. 2)
Abrasion resistance was evaluated.
[0059]
Friction cloth and its load: 0.1kg / cm on canvas cloth²(JIS L 3102-1961-1206).
Stroke: 100mm reciprocating sliding (sliding frequency is the number of reciprocations).
[0060]
Sliding speed: 30 reciprocations / minute.
Measurement of contact angle θ: Each contact angle θ (°) at the 1000th, 2000th, and 3000th times.
Measurement Value: FIG. 3 shows Example 1 and each comparative example as follows.
[0061]
* This Example 1 (water-repellent glass having a water-repellent film coated on the underlayer obtained in the presence of 4.0 wt% of 1,3-BDO. Corresponding to the AFM photograph in FIG. 1, the Ra ′ value is about 6.5. nm) is indicated by a circle in the figure.
[0062]
* Comparative Example 1 (water-repellent glass having a water-repellent film coated on a base layer obtained in the absence of 1,3-BDO. Ra 'value is about 2.0 nm) is indicated by Δ in the figure.
[0063]
* Comparative Example 2 (water-repellent glass having a water-repellent treatment directly applied to the glass substrate surface) is indicated by a cross in the figure.
As a result, for example, the initial contact angle θ₀Is about 112 °, the contact angle θ after sliding about 3,000 times is about 90 ° in Comparative Example 1 and is extremely reduced to about 30 ° in Comparative Example 2. On the other hand, in the water-repellent glass of Example 1, the contact angle θ after sliding about 3,000 times is almost unchanged and is about 110 °, which shows remarkable wear resistance and maintains water-repellent performance for a long time. It was highly durable. Moreover, there was no scratch on the sample after sliding.
(Light resistance test)
The coating film was evaluated by a super UV (S-UV) light resistance acceleration tester (manufactured by Iwaki Electric, EYE SUPER UV TESTER, SVU-W11 type).
[0064]
Condition: Approximately 75mW / cm²Durability tests were performed at a distance of about 25 mm between the lamp and the sample, a temperature of about 35 ° C., a humidity of about 50% RH, and an SUV irradiation time of about 150 hours, about 450 hours, about 800 hours, about 1000 hours, and about 1500 hours. .
[0065]
Measurement Value: FIG. 4 shows the present Example 1 and each comparative example as follows.
* This Example 1 (water-repellent glass having a water-repellent film coated on the underlayer obtained in the presence of 4.0 wt% of 1,3-BDO. Corresponding to the AFM photograph in FIG. 1, the Ra ′ value is about 6.5. nm) is indicated by a circle in the figure.
[0066]
* Comparative Example 1 (water-repellent glass having a water-repellent film coated on a base layer obtained in the absence of 1,3-BDO. Ra 'value is about 2.0 nm) is indicated by Δ in the figure.
* Comparative Example 2 (water-repellent glass having a water-repellent treatment directly applied to the glass substrate surface) is indicated by a cross in the figure.
[0067]
As a result, the relationship between the contact angle θ (°) [light resistance] of the water-repellent glass film surface and the S-UV irradiation time (hr) was determined as shown in FIG.₀However, in Comparative Example 1, the contact angle θ after about 1000 hours of S-UV irradiation is about 50 °, and in Comparative Example 2, the contact angle θ after about 500 hours of S-UV irradiation. In contrast, the water-repellent glass of Example 1 has a contact angle θ of about 100 ° and about 1000 hours of S-UV irradiation after about 800 hours of S-UV irradiation. Later contact angle θ is about 95 °, contact angle θ after about 1500 hours S-UV irradiation is about 70 °, shows outstanding light resistance, maintains water repellency in the long term, and has high durability It was a thing.
[0068]
In addition, if the Ra ′ value is about 4 to 15 nm, especially the Ra ′ value is about 6 to 10 nm, the wear resistance and light resistance equivalent to or higher than those of Example 1 are exhibited and the water repellency performance is maintained for a long time. Durability is higher and it is more stable and reliable. For example, it is equivalent to maintaining excellent water repellency for about 3 years or more in terms of wear resistance, and for example, for light resistance, if the contact angle θ is about 70 ° , S-UV irradiation time is about 1500 hours, which is equivalent to maintaining high water repellency for about 3 to 5 years. It becomes a water-repellent glass having abrasion resistance and light resistance extremely useful for the side or back window glass.
[0069]
Further, by measuring the haze meter, the average surface roughness Ra ′ value (nm) of the sol-gel film as the underlayer and the initial haze value H of the water-repellent glass film surface are measured.₀When the average surface roughness Ra ′ value is about 20 nm or less, the initial haze value H is obtained.₀If the average surface roughness Ra ′ value is about 16 nm or less, the initial haze value H is about 0.6% or less.₀When the average surface roughness Ra ′ value is about 14 nm or less, the initial haze value H is about 0.4% or less.₀Is about 0.3% or less, which is more preferable.
[0070]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, a unique thin film can be easily prepared as a coating solution, can exhibit a dramatic stability and performance, and can be easily and easily formed by a film forming means. Strong fine irregularities with a unique shape that can be identified with good controllability by skillfully combining a sol solution and a dilute solution with a specific two selected in the presence of diols. It can be used as a surface layer surface of a multilayered film and exhibits its performance as an underlayer thin film of a multilayer film. A water-repellent oxide thin film can be coated on the excellent surface to improve and control the quality. In addition to excellent water repellent performance and other properties without impairing optical properties, adhesion, especially mechanical strength such as abrasion resistance, durability such as light resistance, and long-term maintenance And then Highly useful and useful water repellency that can be widely used in various fields such as glass materials such as window materials for ships and aircraft, various mirrors, etc. The glass is provided.
[Brief description of the drawings]
1 is a sol-gel film (SiO 2) which is a base film layer formed by coating with a coating solution containing 4 wt% of 1,3-BDO in the water-repellent glass of the present invention of Example 1;₂-TiO₂ FIG. 2 is a photograph of a surface of a thin film) observed by an atomic force electron microscope (AFM), showing a state of a fine uneven surface layer having a Ra ′ value of about 6.5.
FIG. 2 is a diagram illustrating a travaper in which a traverse sliding test (abrasion resistance) was performed as one example for evaluating the long-term water-repellent performance of the water-repellent film layer in the water-repellent glass of the present invention. It is a figure which shows a soot type abrasion tester.
[Fig. 3] In the traverse sliding test, Example 1 of the present invention (marked with ○) and repellent on an underlayer having a Ra ′ value of about 2.0 nm obtained in the absence of 1,3-BDO. The water-repellent glass coated with the aqueous oxide film is referred to as Comparative Example 1 [Δ mark], and the water-repellent glass directly subjected to water repellency treatment on the glass substrate surface is referred to as Comparative Example 2 [× mark]. It is explanatory drawing which shows the relationship of the contact angle (degree) [wear resistance] with respect to the frequency | count).
[Fig. 4] In the S-UV light resistance acceleration test, Example 1 [circles] of the present invention and an underlayer having a Ra 'value of about 2.0 nm obtained in the absence of 1,3-BDO were repelled. The water-repellent glass coated with an aqueous oxide film is referred to as Comparative Example 1 [Δ mark], and the water-repellent glass directly subjected to the water-repellent treatment on the glass substrate surface is referred to as Comparative Example 2 [× mark]. It is explanatory drawing which shows the relationship of the contact angle (degree) [light resistance] with respect to hr).
FIG. 5 is an explanatory diagram inferring a change in the presence form of the water-repellent film coated on the surface of the sol-gel film, which is the base layer, due to light degradation in the water-repellent glass of the present invention.
In the figure, (a) shows an extremely thin water-repellent film layer (F₁) In the figure, (b) is F₁Water-repellent film layer (F₂) In the figure, (c) is F₁It shows the photodegradation state of the layer.
[Explanation of symbols]
1 Traverse wear tester
2 units
3 Motor
4 Reducer
5 Crank disc
6 Friction cloth
7 Load
8 Glass substrate
9 Water repellent oxide film

Claims

A sol solution A obtained by hydrolysis and dehydration condensation of a tetraalkoxysilane to which a metal alkoxide stabilized with acetylacetone is added, and a sol solution B obtained by hydrolysis and dehydration condensation of an alkyltrialkoxysilane in which one functional group is alkylated. a mixture obtained by mixing, isopropyl alcohol - a solvent composed mainly of Le, a coating solution consisting of diols mixed thereto, the total solids of all metal alkoxide mixed amount of the diols in the coating solution The coating solution of 0.5 to 30 wt% is coated on the surface of the glass substrate and heated and fired to form a sol-gel film having a fine uneven surface layer, and a water-repellent film layer is formed on the sol-gel film. A method for producing a water-repellent glass , characterized by forming a coating.

The method for producing a water-repellent glass according to claim 1, wherein the metal of the metal alkoxide is Ti, Al, Zr, or a composite metal thereof.

The method for producing a water-repellent glass according to claim 1 or 2, wherein a mixing ratio of the alkyltrialkoxysilane to the tetraalkoxysilane is 2 to 6 times in terms of oxide.

The method for producing a water-repellent glass according to any one of claims 1 to 3, wherein a solid content concentration in the coating solution is 0.2 to 5.0 wt% in terms of oxide.

The sol-gel film formed on the surface of the glass substrate is a fine concavo-convex surface layer having an average surface roughness Ra ′ value of 2.5 nm or more and 15.8 nm or less obtained by extending the center line average roughness of the sol-gel film by three-dimensional measurement. The method for producing water-repellent glass according to any one of claims 1 to 4, wherein the method comprises a metal oxide thin film.

The method for producing a water-repellent glass according to any one of claims 1 to 5, wherein the sol-gel film has a thickness of 120 to 135 nm .