JP4110700B2 - 直流変換電源の短絡検出回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は床下換気装置などの低圧直流電源を内蔵し、床下に配置された換気扇に駆動用の直流電力を送出する直流電源装置における、配線工事ミスなどにより短絡が発生した場合、これを検出し表示するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来の商用電源から低圧直流電源に変換して換気扇を駆動する床下換気装置の回路構成図、図7は直流変換電源の内部の回路構成を示す図である。図において、1は商用電源、2は低圧直流電源で駆動される換気扇、3は直流電源装置であり、商用電源1から換気扇2を駆動する直流電力を変換する。直流電源装置3は直流変換電源4、開閉器5、時計部6、時計部6はマイクロコンピュータを使用していてその作動電源を得る電源回路7及び停電補償用電池8から構成される。また、開閉器5は時計部6からの信号をトランジスタ5cを介して開閉器コイル5bにより開閉器接点5aを開閉して換気扇2を設定時刻に入り・切りする。開閉器接点5aは通常はバネ等の付勢力でオフされているのを開閉器コイル5bへの通電励磁でオンするようになっている。時計部6と開閉器5はタイムスイッチを形成している。
【0003】
図7において、41は整流回路、42はトランス、43は制御IC、44はスイッチング素子である。トランス42の二次側回路は制御IC43、スイッチング素子44によりスイッチング変換された矩形波電圧を整流平滑して直流電圧に変換する回路である。45は過電圧保護回路であり、出力電圧が所定電圧を超えるとトランジスタ46を断にして直流電源装置の作動を一次停止させる。47は出力電圧制御用の電圧検出回路であり、検出電圧に応じてトランジスタ48のコレクタ・エミッタ間の電流変化させて制御IC43を通じてスイッチング素子44入り・切りして出力電圧を予め設定した一定電圧に制御する。49は過電流検出端子、50はトランス42の二次側に挿入された平滑回路である。
【0004】
上記のような床下換気装置は商用電源1を直流変換電源4で12Vの直流に変換して換気扇2を駆動させる。そして、時計部6に予め設定している時刻制御により昼間は換気扇2を作動して床下へ乾燥した空気を送り換気を行い、夜間は換気扇2を停止させて床下への空気を送り込みを停止する。
【0005】
ところで、従来の床下換気装置は上記のように構成されているが、取付配線時に誤接続が生じた場合、とくに、直流出力端子から換気扇2までの配線のどこかの個所が短絡した場合は(例えば図6のA地点)、開閉器接点5aが振動現象を起こし、最後には軽い溶着を生じて接点同士がくっついた閉状態となってしまう。この振動現象の継続時間は数秒程度であるが、開閉器の寿命にとって好ましい事ではない。
このような誤接続による短絡は、現象面では直流変換電源4の過電流保護機能が働いて直流出力電圧を低下させ電圧出力が得られないため、直流電源装置3の故障と誤認されていた。
【0006】
次に開閉器接点5aが振動現象を起こすメカニズムを図8を加えて説明する。図6においてA点が短絡すると、トランス42の二次側インピーダンスが零オーム近くになるため、トランス42の一次側に大電流がスイッチング素子44と、スイッチング素子44に直列接続された抵抗50に流れる。抵抗50での電圧降下により過電流検出端子49の電位が上昇し、制御IC43は過電流が発生したと認識し、スイッチング素子44のスイッチング波形のパルス幅を狭くして電流を抑制するので、トランス42の二次側出力電圧が低下する。
【0007】
開閉器5の開閉器コイル5bはこのトランス42の二次側電圧の励磁力により開閉器接点5aをオンとしているが、電圧の低下は開閉器コイル5bの励磁力を弱め開閉器接点5aを開放する。従って、短絡状態が解除されることになり、トランス42の二次側インピーダンスが高くなるためトランス42の一次側のスイッチング素子44に直列接続された抵抗50を流れる電流が減少する。
【0008】
これにより過電流検出端子49の電位が低下して、制御IC43は過電流状態が解除されたと認識して、通常のスイッチング状態に復旧し直流変換電源4の送出直流電圧は復帰する。電圧の復帰により開閉器5の開閉器コイル5bは励磁力を復帰して開閉器接点5aをオンする。A点の短絡状態はそのままであるので、再び短絡電流が流れ、直流変換電源4の出力電圧が低下する。以上の動作を繰り返して最終的に開閉器接点5aが軽い溶着を起こすため直流変換電源4の出力電圧が低下しても、開閉器接点5aはくっついたままとなり、オフしない状態となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の直流変換電源で駆動される床下換気装置は上記のように構成されるが、取付配線時の負荷回路に誤接続による短絡が生じた場合、原因の究明が困難であり、直流変換電源の過電流保護回路が働いて出力電圧が得られないため、直流電源装置の故障と見做され、代品交換をするなどに時間と手間を要する。また、短絡の修理結果が確認できないといった課題があった。
さらに、負荷の開閉を制御している開閉器が通電状態での振動現象を起こし開閉器接点が溶着するといった課題もあった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、直流変換電源から負荷である換気扇間の配線に生じた短絡を検出し、これを表示するようにして換気扇取付け作業者に知らしめ、これによって不動作の原因の切り分けを容易にし、直流電源装置の故障と見做されることを防止すると共に、開閉器の振動現象を防止して、開閉器接点の溶着を防止すことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る請求項1の直流流変換電源の短絡検出回路は、過電流を検知したとき自己の出力電圧を絞る制御手段を有する直流変換電源からの正常出力電圧のときは負荷回路との接続をオンし出力電圧が不足のときは接続をオフにする開閉器と、出力電圧低下を検出する電圧検出手段と、出力電圧の低下継続時間が所定時間以上のとき停電と判定する停電判定手段と、判定された停電の繰り返し回数を計数して、停電回数が予め定められた回数に達したとき負荷回路に短絡発生であることを表示する表示手段とを備えたものである。
【0013】
また、上記のものに直流変換電源と開閉器の間に電圧保持コンデンサを設けたものである。
【0014】
さらに、解除指令を入力する操作設定手段からの短絡表示の解除指令により短絡表示の解除を行うとともに開閉器をオンするようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1の直流変換電源で換気扇を駆動する床下換気装置の構成図、図2は本発明の実施の形態1の動作を説明するフローチャートである。図において、1〜8は上記従来例の説明と同様である。9は電圧保持コンデンサ、10はダイオード、11は直流変換電源4の出力電圧の低下を検出する不足電圧検出部、12は不足電圧検出部11での電圧低下持続時間tを計時する停電時間計測部、13は停電回数計数部であり、リセットタイマー14で設定された所定時間T内の停電回数を計数する。15は接点駆動制御部であり、開閉器5の開閉器コイル5bへの通電を制御して開閉器接点5aを開閉する。接点駆動制御部15は他に時計部6からの負荷(換気扇2)のオン・オフ信号により開閉器5を制御することも兼ねている。16は表示部であり、LCD素子等からなり時計装置の時刻数字、注意警報文字を表示する。17は設定操作部であり、現在時刻、負荷の入・切り時刻設定、注意警報の解除操作を入力する設定入力キーを備える。
【0016】
次に動作を図2のフローチャートで説明する。まずイニシャル処理時に回数カウンタn及び延時間カウンタtをゼロセットする(n=0、t=0)。不足電圧検出部11は直流変換電源4の出力電圧を監視しており、例えば電圧がDC2.0V以上を復電、DC2.0V未満になったときを停電と判定する(ステップ21)。停電と判定した場合はその停電継続時間が所定時間(例えば25ms)以上継続しているかどうかを停電時間計測部12で計測する。計測結果が25ms未満ではノイズや過渡的な短絡であり停電ではなく、これを無視する(ステップ22)。停電継続時間が25ms以上は停電とみなして停電回数計数部13が停電回数をカウントアップし、停電初期からの延時間を積算する。(ステップ23)。延時間が所定時間(例えば10秒)以上では、電源切断などであり、上記従来例の説明の振動現象ではないとして初期状態へ戻す(ステップ24)。
【0017】
そして、回数カウンタが所定数M(例えば3回)未満であれば出力電圧監視状態へ戻す(ステップ25)。この時、回数カウンタはそれまでの累計が記憶されている。直流負荷回路が依然として短絡状態にある場合は再び直流変換電源4に内蔵の過電流保護回路の働きにより、出力電圧の低下、復帰を繰り返すのでステップ21〜ステップ25を繰り返し回数カウンタ累計は所定数Mに至る。回数カウンタが所定数M以上になったときは、直流負荷回路の短絡による振動と判定して、開閉器5の励磁をオフにして直流負荷回路を遮断するとともに、表示部16へ短絡状態にあることを示すメッセージを表示する(ステップ25〜27)。
これにより、ユーザーは直流負荷回路の短絡を認識して配線の点検を実施することができる。
【0018】
配線のチェックや修理を行い、短絡が解消できたかどうかチェックを行いたい要求がある。このときは、設定操作部17からのキイー操作等で短絡メッセージ解除の指令入力がなされる。短絡メッセージ表示は一旦表示されると、そのままの表示状態が維持されるが、短絡メッセージ解除の指令入力を検知すると短絡メッセージ表示を解除するとともに開閉器5をオンにして直流負荷回路への給電を再開する(ステップ28〜30)。そして、短絡検出の各ステップが再始動する。
【0019】
従って、短絡状態が解消されていなかった場合は、前記と同様の動作を行い、再び開閉器5をオフにして短絡メッセージが表示されることになる。短絡メッセージの表示がないときは配線が正常であることが確認できる。また、電圧低下、復帰に伴う開閉器接点5aの開閉回数を停電の回数計数で限定しているので開閉器接点5aの溶着を防止することができる。
【0020】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2の直流変換電源で換気扇を駆動する床下換気装置の構成図、図4は本発明の実施の形態2の動作を説明するフローチャート、図5は直流変換電源電圧と開閉器接点のタイムチャートである。図において、1〜17は上記実施の形態1の説明と同様である。18はオン・オフ手段の一定時間を保持して開閉器5をオンにするタイマーである。
【0021】
次に動作を図4のフローチャート及び図5のタイムチャートを用いて説明する。まずイニシャル処理時に回数カウンタn及び時間カウンタtをゼロセットする(n=0、t=0)。直流変換電源4の出力電圧の監視により、例えば電圧がDC2.0V以上を復電、DC2.0V未満になったときを停電と判定する(ステップ21)。停電と判定した場合はその停電継続時間が所定時間(例えば25ms)以上継続しているかどうかを計測し、電圧復帰が25ms未満ではノイズや瞬時停電であり、これを無視する(ステップ22)。停電継続時間が25ms以上は停電と見做すが、直流変換電源4から換気扇2間の配線に短絡を生じているときは上記説明のように直流変換電源4の電圧は復帰する。この電圧復帰は直流変換電源4の構造にもよりほぼ一定の時間で復帰する。ここでは50ms未満で復帰する場合を一例として説明する。停電継続時間が50ms以上では、商用電源1の連続停電と判定して停電処置を行う(ステップ31、34)。50ms未満で電圧復帰した場合は、開閉器コイル5bの励磁をオフにして、停電回数をカウントアップ(n=n+1)して、タイマー18にセットされた一定時間(T)待ちする(ステップ31〜33)。回数カウンタはそれまでの累計が記憶されている。
【0022】
そして、停電回数カウンタが所定数M(例えば3回)未満であれば開閉器コイル5bの励磁をオンにして、出力電圧監視状態へ戻す(ステップ25、35)。
この時、直流負荷回路が依然として短絡状態にある場合は図5のタイムチャートに示すように再び直流変換電源4に内蔵の過電流保護回路の働きにより、出力電圧の低下が生ずるので、ステップ21からステップ25を繰り返し回数カウンタ累計は所定数Mに至る。回数カウンタが所定数M以上になったときは、直流負荷回路が短絡していると判定して、開閉器5の励磁をオフにして直流負荷回路を遮断するとともに、表示部16へ短絡状態にあることを示すメッセージを表示する(ステップ25〜27)。
これにより、ユーザーは直流負荷回路の短絡を認識して配線の点検を実施することができる。以下、ステップ28〜30は上記実施の形態1と同じであり説明を省略する。
【0023】
実施の形態2の構成は、停電検出・電圧復帰時に開閉器5の励磁を電圧の有無に依存しないで、タイマー18からなるオン・オフ手段により開閉器5の接点5aを開閉させるようにしたので、接点振動がなくなり、接点溶着を未然に防ぐことができる。
【0024】
上記の処理フローを実行する不足電圧検出部11、停電時間計測部12、停電回数計数部13、リセットタイマー14、タイマー18等は個々に電子部品等の回路で構成してもよいが、時計部6のマイクロコンピュータを利用してソフトウエアの処理で実現してもよい。
【0025】
ここで電圧保持コンデンサ9の働きについて説明する。直流負荷回路での短絡発生による直流変換電源4の出力電圧低下により開閉器コイル5bの励磁が解けて開閉器接点5aが勝手にオフされて、直流負荷回路が遮断されることにより直流変換電源4の出力電圧の電圧回復の周期が短くなる。電圧低下の継続時間を停電時間計測部12で計測して停電と判定する時間t内に電圧回復があれば、短絡発生が検出できない。これに対し、電圧保持コンデンサ9を設けることで、直流変換電源4の出力電圧低下があっても、電圧保持コンデンサ9の蓄積電荷で開閉器コイル5bの励磁を停電判定時間以上に保持させることで短絡発生が確実に検出できるようになる。ダイオード10は電圧保持コンデンサ9の蓄積電荷が開閉器コイル5b以外へ流出するのを防いでいる。
【0026】
なお、短絡表示の解除を設定操作部17からのキイー操作等で行っているが、これをタイムスイッチ機能の入時刻または切時刻に現在時刻が到達したときに解除指令入力を発生させるようにすることも可能である。また、開閉器5はフォトモス開閉器などの半導体素子を使用しても同等の効果を奏する。
【0027】
また、表示部16は時計部6の時刻表示と兼用させて、通常は現在時刻、オン・オフ時刻の表示をしているが、短絡発生時は短絡状態であることを示すメッセージを点滅表示するようにしてもよく、短絡表示用のLEDなどのランプとしてもよい。
【0028】
なお、この発明では床下換気装置の直流変換電源について説明したが、床下換気装置に限定されることなく、商用電源を直流に変換して電力供給する直流変換装置へ利用できることは明白である。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、直流変換電源と負荷(換気扇2)間の配線短絡時に直流変換電源4の過電流保護機能の作動による出力電圧低下と、これによる開閉器5の励磁オフによる電圧復帰の振動現象を不足電圧検出部11、停電時間計測部12、停電回数計数部13等で捉え、短絡と判定されたときは表示部16へ短絡であることを表示させて取付け作業者に知らしめる。そして、設定操作部17等からの表示解除指令の入力により、開閉器5のオンと短絡検出を再始動させるので、短絡修理の結果を確認することができる。
【0030】
また、負荷短絡時の開閉器接点5aの開閉回数を制限するので開閉器接点5aが溶着等の損傷を受けることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の直流変換電源で換気扇を駆動する床下換気装置の構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態1の動作を説明するフローチャートである。
【図3】 本発明の実施の形態2の直流変換電源で換気扇を駆動する床下換気装置の構成図である。
【図4】 本発明の実施の形態2の動作を説明するフローチャートである。
【図5】 実施の形態2の直流変換電源電圧と開閉器接点のタイムチャートである。
【図6】 従来の直流変換電源駆動の床下換気装置の回路構成図である。
【図7】 直流変換電源の内部の回路構成を示す図である。
【図8】 開閉器接点が振動現象を起こすメカニズムを説明する図である。
【符号の説明】
1 商用電源、2 換気扇、3 直流電源装置、4 直流変換電源、5 開閉器、
5a 開閉器接点、5b 開閉器コイル、6 時計部、9 電圧保持コンデンサ、
11 不足電圧検出部、12 停電時間計測部、13 停電回数計数部、
16 表示部、18 タイマー、41 整流回路、42 トランス、
43 制御IC、44 スイッチング素子、45 過電圧保護回路、
46、48 トランジスタ、47 電圧検出回路。
Claims (3)
- 過電流を検知したとき自己の出力電圧を絞る制御手段を有する直流変換電源と、この直流変換電源の正常出力電圧で励磁され負荷回路との接続をオンにし出力電圧が不足のときには接続がオフとなる開閉器と、上記直流変換電源の出力電圧低下を検出する電圧検出手段と、この電圧検出手段で検出した電圧低下時間が所定時間以上の継続のとき停電と判定する停電判定手段と、この停電判定手段で判定した停電の回数を計数する回数計数手段と、停電回数が予め定められた回数に達したとき上記負荷回路に短絡発生であることを表示する表示手段とを備えたことを特徴とする直流変換電源の短絡検出回路。
- 直流変換電源と開閉器の間に電圧保持コンデンサを設けたことを特徴とする請求項1に記載の直流変換電源の短絡検出回路。
- 解除指令を入力する操作設定手段と、短絡表示の解除指令により短絡表示の解除を行うとともに上記開閉器をオンにするようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の直流変換電源の短絡検出回路。
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