JP4108541B2 - 組立学習具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば比較的月齢の低い乳幼児や機能障害のある人について、手指や肘肩及び手首を含めた運動を適切に学習または訓練することができる組立学習具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、比較的月齢の低い乳幼児等について、形状への関心をひき、それにともない動作の学習また訓練を行うものに、本出願人が提案した「口唇トレーナー」がある(特許文献1参照)。
【0003】
図23において、口唇トレーナー1は、長い形状の本体4と、本体4の両端にそれぞれ設けられ、本体4の中心軸に対して交差する方向に拡がった、くわえるための部分2及び3を有している。
図24に示すように、幼児Iは、本体4を掴んで、くわえるための部分2を口唇で挟むことによって、口唇の動きを訓練することができるようになっている。
【0004】
図25は、幼児用の玩具の例を示している(特許文献2参照)。
この玩具は、構成素子Aと構成素子Bの2つの単位で構成されている。
構成素子Aは、全体が可撓性のある材料で形成されており、棒状の部分5の先端に嵌合体6を備えている。嵌合体6からは外方へ向かって複数の嵌合片7,7,7が延びている。
構成素子Bは、軟質材料で形成したマット状の基体8に、適宜複数の嵌合孔9を穿設した構成である。
図25の玩具では、幼児(図示せず)が、構成素子Aの棒状の部分5を保持して、構成素子Bの所望の嵌合孔9に、構成素子Aの嵌合片7を差し込むことで、組み立てて、所望の構造をつくるものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−279487
【特許文献2】
実開平5−21999号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図23の口唇トレーナー1や、従来より広く使用されている「おしゃぶり」、「歯がため」といった製品は、主として口や口唇の動きを訓練する目的で使用されるものであり、たとえば、月齢が8か月程度の乳幼児等に必要とされる手の動き、すなわち、手指や肘肩及び手首を含めた運動を適切に学習させるものではなかった。
【0007】
また、手の動きを伴うものであっても、例えば、所謂「ガラガラ」は、握って、手を大きく振る動作をさせるものであるが、その動きは極端に単純なものにとどまっている。
これに対して、図25で説明した玩具は、構成素子Aの嵌合片7を構成素子Bの嵌合孔に正確に位置決めして挿入する構造である。つまり、構成素子Aと構成素子Bの組立てには、複雑な手指,腕,肩の動きを必要とするものである。このため、1年6月程度の月齢の低い乳幼児には、構造的に難しい作業が要求されるため扱えない。
このような玩具ないし学習具が、上述の欠点を有しているのは、乳幼児が以下の発達段階をたどることを認識していないか、その発達段階に適合した組立学習具が開発されてこなかったことによるものと考えられる。
【0008】
月齢の低い乳幼児にあっては、手は、他の五感とともに、自己の外界の事物を検知もしくは検出するための機能を果たし、手に触れたものと検知することが、発達途上の脳に刺激を与え、さらに脳はこれらの検知結果を学習し、検知結果に基づいた判断を下して、手の機能を用いて、種々の作業を行う。このような過程を通じて、脳それ自体の発達が促される。
【0009】
発達の初期段階においては、このような検知手段としては、手よりも口が先に発達する。口は哺乳運動を通じて、外部から栄養源となるものを取り入れるための不可欠な手段であり、自己の外界にあって自己に必要なものを判断する最も初期の手段である。
この時期には、口唇の発達が促され、母乳やミルク以外の食品を摂取するのに必要な運動を訓練する「歯がため」等の口唇を閉じるための練習具を用いると好ましい。またこの時期から、手は、口に取り込む物を運搬する手段として、徐々に手と口の共働が行われる。口唇の訓練とともに、手と口唇との共働を訓練するための口唇トレーナー等を用いることが好ましい。
【0010】
個人差は存在するが、月齢8か月頃からは、歯が生えはじめ、口(口唇)は、それまで手によって口に運んだものが全て食べ物ではなかった経験から、口は食べ物を摂取する際の検知手段として特化してくる。そして、手は食品を口に運ぶ手段にとどまらず、次第に、外界の事物に触ってこれを検知する上述した検知手段としての役割を果して来る。そして、次第に、手で触れた触感により事物を判断することが行われるようになる。しかしながら、月齢8か月ないし14か月頃においては、未だ手に触れて運べるものを口に含む習慣が残っているために、この時期に用いられる組立学習具は口に入れても危険でないものであることが必要とされる。また、この時期の乳幼児の関心を引くためには、口に入れることも可能な形態であることが考慮されるべきである。
【0011】
さらに、検知手段としての手は、自己の手近にある物に触れて、その感触によりその物の性質等を判断する。このため、このような機能の発達を促すためには、様々な物に触れて体験する必要があるが、この時期においては、特に丸い形状や柔らかい物に対して反応することが多く、このような形態を備えたものがものであることが好ましい。
【0012】
また、手は、このような検知手段としての機能から、次第に上述した脳からの命令に基づく役割を果たす道具としての機能を持ちはじめる。
このような道具としての手の機能を分析すると、いくつかの種類に分類できる。このような機能の詳細は別として、例えば、食事の訓練にように、食品を口に運ぶ意味で、手が口と協調するための訓練を行うものや、包帯を巻くときのように、口が手の補助を行う意味で、口と手が協調するための訓練が行えるものが道具としてあれば好ましい。
【0013】
さらに手を道具として用いる中で、操作の対象となる物への関心の向け方にも変化が生じる。つまり、外界にある物がバラバラに多く存在すると、関心を向けるべき物が多いことに「おもしろさ」を感じ、これが発展して、ある物をバラバラに分解することが「おもしろい」と感じるようになる。このため、道具としての手による操作は、対象物を「バラバラ」にすることに向けられる(バラバラ期)。このような乳幼児による「遊び」は、やがて、例えば、月齢18か月頃から、バラバラに存在する物を組み合わせたりして、構成することに関心が向けられるようになる(構成期)。
【0014】
したがって、この構成期においては、複数の対象物を扱って、これらを組み合わせることで、なんらかの構成物を構築する作業に対する欲求は生じるのの、未だ、手や指の機能の発達は途上にあることから、例えば、複数の対象物を接合する作業を行う場合に、持ちやすい構造で、接合に要する力がかけやすく、さらには、嵌め合い等の点である程度の自由度を考慮した学習具が望まれる。
すなわち、大きさの点は勿論であるが、持って保持した状態で力をかけやすいことを考慮して、ある程度の硬度が要求される。さらに、両手を使用した際に、両手の位置が困難な状態であるため、嵌合させにくいことを考慮して、連結部の位置決めを行い易い構成であることも必要となる。また、組立てを嵌め合いで行う場合に、自由度があり、やっと構築した立体構造が容易に崩壊しない嵌合強度を持つ嵌合構造が必要である。
そして、組立て作業により構成される構造物が、平面的な構造に止まらず、好ましくは立体的な造形を呈するものが好ましい。
【0015】
また、以上の手や指による操作の訓練は、特定の月齢の乳幼児に限らず、例えば「手」の機能や「脳」の機能に障害がある人に対する訓練具,組立学習具においても行われるようにされることが好ましい。
【0016】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、対象を組み立てる操作を通じて、主として構成期にある乳幼児の手や指等の動きを中心とした機能を適切に訓練するための学習をすることができる組立学習具を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1の発明にあっては、少なくとも2以上の組立部材を有しており、 前記組立部材が、本体と、この本体に設けられた連結手段とを有しており、前記連結手段が、前記本体から外方に延びる軸部を有し、この軸部より先端側に延びる球状の挿入部と、前記本体から外方に延びて、前記挿入部の少なくとも一部を受容する凹部を備える受容部および前記本体の中央部において、厚み方向に設けた中央受容部と、前記球状の挿入部を係止するために前記凹部に形成された係止手段とを備え、前記組立部材の少なくとも一つの組立部材の前記本体の表面の一部には、弾性体が配置されるとともに、少なくとも前記連結手段が前記弾性体よりも剛性の高い材料により形成されていて、かつ前記連結手段の前記軸部が、前記挿入部の球状部分の直径よりも細い外径となるように構成されており、前記受容部は、一端が開放された筒状であり、前記係止手段が、筒状の受容部の対向する壁面に形成され、前記球状の挿入部の球面の一部を受容する貫通孔とされていて、前記受容部が前記挿入部を受容した状態で、前記軸部側が前記受容部の仮想の中心線に関して、25度ないし45度の傾斜角度の範囲内で、全ての方向に変位可能に保持するとともに、前記凹部の奥側の壁部に当接部を有しており、該当接部が該凹部の開口端側に突出する凹面当接部とされていて、さらに、前記中央受容部に形成した係止片が、該中央受容部の凹部の内周面において、互いに対向する位置で爪状に隆起する係止片またはリブ片とされている、組立学習具により、達成される。
【0018】
請求項1の構成によれば、複数の組立部材どうしを用いて、これらの連結手段によって、互いに組み立てることにより、「構成期」にある乳幼児の組立操作を中心とした手の動き、指の動き等を訓練することができる。
すなわち、複数の組立部材の一方の挿入部を他方の組立部材の受容部に受容させる操作を通じて、手の動き、指の動き等を学習させることが可能である。具体的には、手や指の機能の発達が十分でない状態の乳幼児等にとって、バラバラに存在する対象としての各組立部材を互いに連結もしくは結合させることが、行い易い連結手段を備えている。つまり連結手段は、比較的剛性の高い材料により形成されているから、保持しやすい上に、多少無理な力や、斜めの力がかかっても撓むことがなく、扱いやすい。連結手段の挿入部は球状の部分を備えており、受容部に挿入する際に、特定の方向性が無いので、嵌め合いにおける厳密な位置合わせができなくても挿入することが可能である。この点で、両手が完全に協調して動かない段階の乳幼児でも取り扱うことができる。
【0019】
さらに、挿入部の球状部分を支持する軸部は、球状部分の直径よりも細い外径となるように構成されているので、挿入部は、軸心の方向に沿って正確に移動させて受容部に挿入しなくても、受容部に対して、軸心がある程度傾斜した状態でも挿入できるようにしたことから、不完全な協調状態を繰り返しながら、両手の協調した動きが実現できるように学習することができる。
このことは、連結を解除する場合にも役立ち、連結状態とされた各組立部材を両手にそれぞれ保持して引っ張ることで簡単に連結を解除でき、さらに、連結状態で上記軸心に対して傾斜角度を可変としたことで、梃子の原理を利用して解除することができる。
そして、その表面の少なくとも一部に弾性体を配置することで、持って操作しやすいだけでなく、手で触れた際における感触の相違が得られることから、触れることに対する興味を与えることで、手に取って上述した操作を促す動機を与えることができる。
これらの点より、乳幼児だけでなく、痴呆等を原因として、手や指の動きに障害を負った人のリハビリ用の訓練具としても使用できる。
また、連結を保持した状態で、前記軸部側が25度ないし45度の傾斜角度の範囲内でいろいろな方向に変位できるので、組立状態で立体的な形態を容易に形成することができる。また、この角度範囲で捩じったり回転させたりという操作のバリエーションが可能である。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記受容部が前記挿入部を受容した状態で、前記軸部側が前記受容部の仮想の中心線に関して、25度ないし35度の傾斜角度の範囲内で、全ての方向に変位可能に保持する構成としたことを特徴とする。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1または2のいずれかの構成において、前記挿入部は、前記受容部に挿入した際に、前記凹部の前記係止手段の位置を超えて、凹部の奥側に当接する構成としたことを特徴とする。
請求項3の構成によれば、挿入作業の際に、挿入部を受容部に押し込むと、係止手段を超える手応えと、凹部の奥側に当接する際に生成される音により、確実な挿入を認識でき、手応えと音によって、乳幼児の興味を強く引いて、作業に対する意欲を促進することができる。
【0022】
請求項4の発明は、請求項1または3のいずれかの構成において、前記受容部の底面が前記係止手段との間で前記挿入部を緊密に保持する構成としたことを特徴とする。
請求項4の構成によれば、挿入部を受容部に受容した状態における保持力を向上させることができる。の、前記「緊密な保持」とは、挿入部を受容部に挿入して連結した際に、使用者である乳幼児が連結手段の位置で角度を変えられるとともに、一方の組立部材を保持した状態で、他方の組立部材が自重等により容易に保持された角度がすぐに変わってしまうことのない程度の連結状態をいう。
【0023】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの構成において、前記組立部材が、前記本体の中央部において、厚み方向に設けた中央受容部を形成し、さらに、前記中央受容部と直交する方向に沿った同一の平面に形成され、前記中央受容部に関して互いに対称の位置に、それぞれ前記挿入部と前記受容部とを互いに交差する方向で少なくとも二組配置したことを特徴とする。
請求項5の構成によれば、中央受容部に他の組立部材の挿入部を受容させることで、ひとつの組立部材の本体の厚み方向に他の組立部材を連結させることで、立体的な形態を形成できる。そして、本体の厚み方向と直交する方向には、前記挿入部と前記受容部とを互いに交差する方向で少なくとも二組配置したので、中央受容部を中心として、放射方向に他の組立部材を連結することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る組立学習具を構成するための単位となる組立部材10を示す概略斜視図であり、図2は、図1の組立部材の概略正面図、図3は図2の組立部材の概略平面図、図4は図2の組立部材の概略左側面図である。この実施形態の組立学習具は、図示の組立部材10を2以上用いて構成されるものである。
【0026】
図1において、組立部材10は、中央受容部17と、この中央受容部17両側にそれぞれ一体に配置された双曲線状の第1の曲線部分11bと第2の曲線部分11cと、第1の曲線部分11bと第2の曲線部分11cとが、中央受容部17から外方に向かって延びる各先端付近を繋ぐように一体に配置された枠状のリング部18とを有する本体11を備えている。リング部18は円環状である。
これにより、組立部材10は、全体として、リング状もしくは円状の基本形状を呈している。
【0027】
本体11は、斜線で示すように、比較的柔軟な弾性体11aにより被覆されている。つまり、本体11は、剛性を備えた成形材料で基本形態を形成し、その上に、これより柔軟な弾性体を覆うようにしたもので、基本形態の成形体は、例えば、ある程度剛性が高く、僅かな弾性を備えた合成樹脂材料として、例えば、ポリプロピレンや、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネイト、ポリアミド等で形成し、その上に被覆される弾性材料としては、例えば、熱可塑性のエラストマーやシリコーン等を使用することができる。
この場合、上記した剛性の高い樹脂材料は、曲げ弾性率が通常状態で7000kg/平方センチメートル以上のものとされており、弾性材料としては、その硬度がJIS−K6253におけるタイプAデュロメータ試験において、10度ないし70度、好ましくは20度ないし50度の範囲とすることで、適切な変形を行いやすく、使用者が変形させて手指の操作を行う上で適している。この実施形態では、硬度40度のものを使用している。
なお、リング部18は、上記した剛性の高い合成樹脂材料よりなる骨格(基本構造)に露出部18aとなる突起を設けて、弾性体11aで被覆しており、露出部18aの表面と弾性体11aの表面は同じ高さで、ほぼ同一のレベルとなるようにされている。
また、弾性体11aの部分に適宜に着色することにより、乳幼児の注意を強く引く色彩とすることができる。好ましくは、複数の組立部材10を色分けすることで、全体としてカラフルで、乳幼児に色の認識を持たせる学習に役立つだけでなく、操作の関心を好適に引きつける組立学習具とすることができる。
【0028】
組立部材10は、互いに連結するための連結手段15を備えている。
連結手段15は、ひとつの組立部材10の挿入部と、この挿入部を嵌合させるための他の組立部材10の受容部とから構成されるが、組立部材10どうしを互いに連結できるようにするために、ひとつの組立部材10は、図1に示すように挿入部13と受容部14とを少なくとも一組有している。
この実施形態では、本体11の第1の曲線部分11bの両先端にそれぞれ軸部12及び挿入部13が形成されており、本体11の第2の曲線部分11cの両先端にそれぞれ受容部14が形成されている。
これにより、組立部材10は、中央受容部17と直交する方向に沿った同一の平面に形成され、中央受容部17に関して互いに対称な位置に、それぞれ挿入部13,13と受容部14,14とを互いに交差する方向で二組配置した構成とされている。
【0029】
挿入部13は球状に形成されており、連結の際に挿入部の挿入方向に自由度を有するようにされている。挿入部13は、図1に示すように、本体11から延びる軸部12の先端に形成されている。軸部12は、所定の長さとして、L1の長さを有し、図3に示すL2の外径を備えており、このL2は挿入部13の外径L3よりも小さくなるように設定されている。
ここで、L1は例えば、5.0mm、L2は例えば、5.0mm、L3は例えば、直径10.0mm程度である。
なお、挿入部13の球状とは、真球に限るものではなく、嵌合の方向性に自由度を備えるような曲面形状とされていればよい。例えば、長円状とされた形態も含まれる。
【0030】
受容部14は、一端が開放された筒状で、外方に向けて開口した凹部16を備えている。凹部16は、図4のA−A線部分切断端面図(図5(a))およびB−B線部分切断端面図(図5(b))を示した図5に詳しく示されている。
受容部である凹部14は、その端面開口径W1が球状の挿入部13の外径よりも大きく、かつ端面開口に向かって開口面積が大きくなるように形成されており、凹部14の奥行きD1の中間付近に係止手段21が形成されている。係止手段21が形成されている箇所の内径W2は端面開口径W1よりも小さく、かつ球状の挿入部13の外径よりも僅かに小さく形成されている。
【0031】
この実施形態では、係止手段21は、内径W2の位置で凹部14の対向する壁面に形成された貫通孔であり、受容部としての凹部14に挿入される挿入部13を凹部14内に弾性的に受容した状態で、容易に抜けないように係止するものである。すなわち、球状の挿入部13が凹部14に挿入されると、貫通孔である係止手段21付近が僅かに弾性変形して挿入部13の球面の一部の受容し、これが係止手段である貫通孔に受容されて保持されるようになっている。このため貫通孔の孔径SLは、挿入部13の外径L3よりも小さく設定されることが必要で、SLは例えば直径4.0mm程度である。
この場合、挿入部13を受容部である凹部14内に挿入する際に必要とされる力と、挿入部13を凹部14から引き抜く力は、寸法W2と挿入部13の外径L3との関係で決めることにより調整することができる。
この実施形態では、W1は例えば、直径14.0mm、W2は例えば、直径9.4mm、D1は例えば9.5mm程度であり、球状の挿入部13の直径L3に対して、端面開口径W1は140パーセント程度に形成されており、係止手段21となる壁面の内径W2は球状の挿入部13の直径L3に対して、ほぼ93ないし95パーセント程度、この実施形態では94パーセントとなるように形成されている。
このように構成することで得られた組立部材10では、その挿入部13と凹部14との嵌合強度は、オートグラフ(島津製作所社製、AGS−5kNG)を使用し、一方の組立部材10の凹部14を固定側として固定し、他方の組立部材10の挿入部13を移動させて、300mm/分のスピードで移動させて、挿入時と離脱時の測定を行うと、この場合、挿入時、離脱時ともに5N(ニュートン)ないし30Nの範囲内となるようにすることができ、好ましくは5Nないし15Nに調整でき、この場合、離脱時の力が、挿入時の力を僅かに大きくなる。
このような嵌合強度とすることで、乳幼児が使用する際に嵌合や離脱を行い易い。すなわち、挿入と取り外しがしやすいだけでなく、挿入した場合に、後述するように、その挿入角度を維持して保持されることができ、このため、乳幼児は挿入時の角度を決めることで意図した形態で嵌合,保持させることができ、このようなこと行うための手や指の操作を適切に促すことができる。
【0032】
図6は、挿入部13を受容部である凹部14内に挿入した状態を示している。挿入部13は、凹部14内に収容された状態で、係止手段21(図5参照)の機能により、抜け止めがされるだけでなく、仮固定状態で保持される。この場合、挿入部13は、その仮想の軸線JCが、受容部である凹部14側の仮想の中心線(軸線)LCに対して角度θだけ傾斜した状態で、それ以上軸線JCの倒れがないように保持されることができる。
つまり、挿入部13は球状であるから、互いの軸線が一致しなくても受容部14内に挿入することができる。そして、軸部12が挿入部13の外径よりも細いために、挿入部13が凹部14内に受容された状態では、軸部12の外径が受容部14の開口周縁に当接するまで矢印Pの方向に沿って変位することができ、挿入部13の中心Oに関して、角度θの範囲で規制される円錐状の空間に含まれる全ての方向において変位した所望の位置で係止手段21の機能により、その位置を維持した状態で保持されるようになっている。そして、このましくは、角度θは軸部12の外径(図3のL2)と、凹部14の端面開口径W1の決定寸法等に基づいて、25度ないし45度、好ましくは25度ないし35度程度とすることができ、本実施形態ではほぼ30度とされている。
角度θを25度ないし45度、好ましくは25度ないし35度程度としたのは、乳幼児が円形を好む傾向を考慮し、異なる数の組立部材10を使用しても組み合わせた形態において円形を構成することができるようにするためである。さらに、θが上記の範囲とされることで、θの角度範囲内で任意の角度で嵌合させることで、異なる角度に応じて組み立てられる形状もしくは形態の変化を学習することができる。そして、この角度θが45度を超えると、可変角度範囲が大きくなり過ぎることにより、嵌合により形成される形態に変化が出すぎてしまい、かえってこのような認識を得るための学習効果が阻害されてしまう。
また、一定強度を有するように軸部12の太さを調整した場合に、角度θが25度より小さくなるように、凹部14の深さを深くすると、嵌合強度が強くなって、乳幼児による嵌合・離脱がしにくくなり、角度θが35度より大きくなるように、凹部14の深さを浅くすると、こんどは十分な嵌合強度を得られず、組立てにより実現される形態を損なうおそれがある。このため、角度θは上記範囲とされている。
【0033】
さらに、図7の部分拡大断面図に示されているように、受容部である凹部14は、奥側の壁部23が、この壁部を曲面とした場合の符号22の位置よりも開口端側に位置するように形成された当接部23aとされている。
つまり、当接部23aは、挿入部13の球状の外面に相当する曲面22に対して、僅かに突出した当接面とされており、その頂部が挿入部13の球状の外面とほぼ同等の曲面よりなる凹面形状を有する凹面当接部23bとされている。これにより、凹部14内に図2に示すように挿入部13を嵌入した際に、挿入部13がこの壁部23に当接した際の衝撃が大きくなり、これに起因して、装着の際に音を発生する構成とすることができる。
しかも、壁部23が曲面22と比較して、当接部23aの突出分だけ凹部14の開口端側に僅かに変位して位置することで、係止手段21と壁部23とに、共に当接した状態で収容される挿入部13に対して、緊密な保持力を与えることができ、しかも凹面当接部23bが挿入部13とほぼ同等の曲面を有するため、挿入部13との接触面積が確保されていることにより、図6のような傾斜状態における位置で、図示のような姿勢を維持したまま保持しやすくなる。
このように構成することにより、挿入部13を凹部14に挿入して連結した際に、使用者である乳幼児が連結手段15の位置で、連結角度を変えられるとともに、一方の組立部材10を保持した状態で、他方の組立部材10が自重等により容易に保持された角度がすぐに変わってしまうことのない程度の連結状態を維持することができる。
【0034】
図8は、図1の中央受容部17の構成を示しており、受容部の異なる構成例を示している。中央受容部17は、図1に示されているように、組立部材10の厚み方向、すなわち図2におけるZ方向(紙面背後向き)に開口した凹部とされている。すなわち、他の受容部14は、このZ方向と直交する図2のXY平面に沿って開口していて、開口方向が90度交差している。
また、中央受容部17の係止手段は、凹部の内周面において、互いに対向する位置で爪状に隆起する係止片21−1,21−1もしくはリブ片とされている。この場合、凹部16の内径は挿入部13の外形とほぼ同等の大きさで形成されており、係止片21−1,21−1間の距離が挿入部13の外形よりも僅かに小さく形成されていることにより、挿入部13を挿入した際に僅かに弾性変形して受容することができるようになっている。
また、中央受容部17の開口は、受容部14と同様に端面開口が最大径となり、内側に向かって僅かに縮径され、底面(奥側の面)には底面(奥側)開口17aが設けられることで貫通しており、係止片21−1,21−1が容易に成形されるとともに、挿入部13の着脱が容易に行われるようになっている。
この場合、係止片21−1,21−1から、中央受容部17の底面までの距離を調整することにより、中央受容部17における挿入部13の嵌合強度を適切な強度に調整することができる。
これにより、中央受容部21においても、他の受容部14と同様に、挿入部13を受容した状態で係止することができる。また、他の受容部14の係止手段も図8のように構成してもよい。
【0035】
本実施形態の組立学習具は以上のように構成されており、例えば、次のように使用される。
図9ないし図13は、乳幼児等が組立学習具の組立部材10を操作している様子を示す図である。
この組立学習具は、同じ構造の組立部材10を複数用意することで構成されている。これら組立部材10はリング状の円形の外観を基本形態としており、月齢1年6か月程度の乳幼児にとっては、円形はきわめて関心を引く傾向が確認されている。したがって、複数の組立部材10がバラバラに存在している状態では、円形をした個々の組立部材10は乳幼児の関心を引きやすい。
【0036】
そして、バラバラに存在する組立部材10−1,10−2がある場合に、乳幼児が、これら2つの組立部材10−1と組立部材10−2とを連結する上で、最も簡単な方向が図9に示されている。
すなわち、図9に示すように、例えば、乳幼児(図示せず)は、右手F1でひとつの組立部材10−1の本体11を床等(図示せず)の平面に上から押しつけるように押さえ、組立部材10−1と同じ向きとした組立部材10−2の本体11を左手F2で押さえ、矢印方向に移動させると、組立部材10−2の軸部12の先端にある挿入部を組立部材10−1の対向する受容部としての凹部14内に差し込むことができる。
【0037】
これにより、図2で示した状態と同様に、挿入部13は受容部である凹部14内に挿入され、球面が図7の当接部23に当接することで音を発するので、乳幼児は連結されたことが容易に認識できる。また、このような音が乳幼児の連結作業に対する興味を増加させ、操作を行わせるように促す効果がある。この状態においては、係止手段21,21が挿入部13の球面を両側から挟むようにして係止するので、容易に抜けない状態で保持される。
このように、平面に押さえつけながら水平に移動させる動きで挿入できるため、手や指でうまく両手でそれぞれの組立部材10−1と組立部材10−2とをそれぞれ高い位置で保持した状態で、三次元的な位置の調整ができない乳幼児にとって、これら組立部材10−1と組立部材10−2とを同一平面上で位置合わせすればよいことから、容易に装着することができる。
【0038】
また、このような作業を行う上で、組立部材10の本体11は所定の剛性のある材料で形成されているので、柔らかい材料で形成されている場合と比べて、保持した状態で力を加え易く、位置ずれ等を生じないで連結作業を行うことができる。
つまり、組立部材10は、表面の少なくとも一部に弾性体11aを配置することで、持ちやすいだけでなく、露出部18aの箇所(剛性のある材料が露出している)や連結手段15と比べて、手で触れた際における感触の相違が得られることから、触れることに対する興味を与えることで、手に取って上述した操作を促す動機を与えることができる。そして、本体11は、乳幼児が手にとった時には、図1で説明したように表面の弾性体11aの弾性ある感触により、安心感が得られ、かつ、上述のような操作を行う上では、剛性を備えているので、作業がし易い。
なお、母親等の介助者が、早めな使用開始時期にあたる月齢6か月程度の乳幼児に本実施形態の組立部材10を与えて使用させる場合において、乳幼児が着脱操作を行うことはできないものの、ひとつの組立部材10を手にとると、リング部18が外方に湾曲して張り出していて、表面が弾性体11aで覆われていることで、これを口唇に含むと、所謂「歯がため」として口腔を閉じる練習を行うことができる。この場合、リング部18では、弾性体11aと剛性の高い材料が露出した露出部18aとが形成されているので、乳幼児に異なった感触を与えることができる。
【0039】
図10は、2つの組立部材10−1と組立部材10−2を床等の上に置かないで、それぞれ左手F2と右手で保持した状態で、空中で連結する作業を示している。
この場合、両手の動きを協調させて作業する能力が発達途上にある乳幼児にとって、左手F2と右手で別々に保持した組立部材10−1と組立部材10−2とを共に同一平面に保持して接近させ、連結作業を行うことはかなり難しい。あるいは、組立部材10−1と組立部材10−2を、個々に水平に保持することも困難である。図示の場合は、組立部材10−1の連結に使用する受容部14はやや下を向き、組立部材10−2の連結に使用する挿入部(軸部12)もより大きく傾斜して下を向いている。
【0040】
この状態で、挿入部を受容部14に差し込んでも、既に図6で説明したように、挿入部は球状であるから、互いの軸線が、最大30度程度の傾斜範囲で、一致しなくても受容部14内に挿入することができる。特に、受容部14の端部開口径W1が大きく形成され、内部で縮径されているので、受容部14の開口に挿入部13を配置しやすく、一旦、挿入部13を開口に配置した後で、力をこめて受容部14の奥側の壁部23に向かって押すことで、挿入部13は受容部14内に簡単に挿入することができる。そして、軸部12が球状の挿入部の外径よりも細いために、図示のように傾斜していても、挿入部が凹部14内に受容されるので、両手の動きをうまく協調させることができない段階の乳幼児でも、図10のように受容部14に挿入部13を嵌入した後で、図11に示すように、組立部材10−1と組立部材10−2とを連結することができる。
この場合、組立部材の本体11は、多少無理な力や、斜めの力がかかっても撓むことがなく、扱いやすい。このようにして、操作の練習をしながら、構成期の乳幼児の遊びの関心に適合して、個々の組立部材をひとつの構成体とすることができる。
【0041】
しかも、このようない連結した状態から、図9の矢印の方向と逆の方向に操作することで連結は簡単に解除することができる。
また、このような動きを床等の上でなく、空中で行う場合、挿入部13と受容部14の軸線が一致する方向に離間させれば、連結を解除できるが、乳幼児には、上述したとおりこのような動作は難しい。
そこで、図10に示すように、挿入部13と受容部14の軸線を傾斜させ、さらにこれを大きく傾斜させれば、図6に示す構造に基づいて、受容部14の開口周縁が、軸部12の外周に当接して、さらに傾斜を大きくすると、梃子の原理により容易に連結を解除することができる。したがって、乳幼児は、本実施形態の組立学習具を使用することで、不完全な協調状態を繰り返しながら、両手の協調した動きが実現できるように学習することができる。
このように使用した場合、特に、手や指を使用して対象物を把持し、その把持した物の位置を任意に変化させながら付与する力の調整を行う練習をすることができる。なお、この場合における手や指による握り方は、組立部材10が略円形状とされているために、様々な握り方が可能であり、握り方と力の入れ方により対象物の挙動の違いも体験することができる。
さらに、バラバラに存在している対象物を組み合わせ、まとまった他の構成物に変化させるという認識を身につけることもできる。
【0042】
図12は、組立部材10−1を床等の平面上に置いた状態で、例えば右手F1で他の組立部材10−2の本体を持ち、組立部材10−1の中央受容部17に、手に持った組立部材の挿入部13を嵌入させる様子を示している。
この場合には、組立部材10−1は、床等に水平に保持されているので、手に持った組立部材の挿入部13を組立部材10−1の中央受容部17に当てて、上から力をかけやすく、簡単に連結することができる。
これにより、図13に示すように、組立部材10−1の厚み方向に、他の組立部材10−2を連結することができ、立体的な形態を構成することができる。
そして、例えば、右手F1の指先で、起立状態の組立部材10−2の上を向いた受容部14付近を摘んで、矢印方向に回転もしくは回動させることで、動きを伴う遊びを楽しむことができる。かくして、連結に必要とされる手の動作だけでなく、指先をつかった細かい回転等の操作の学習をすることもできる。
【0043】
図14ないし図17は、複数もしくは多数の組立部材を用いて、これらを連結することで実現できる形態のいくつかの例を示したものである。
図14は、6つの組立部材を用いて、輪状に連結させた形態を示している。図15は、3つの組立部材を互いに連結した形態を示している。図16は3つの組立部材を連鎖状に連結し、これを水平に保持して、水平な各組立部材の各中央受容部を利用して、連鎖状に連結した3つの組立部材を起立状態にした、立体的な形態を示している。
図17は互いに連結された2組の組立部材を、平行に立てた状態で配置し、これらの間に交差する方向に、平行に配置した2つの組立部材を連結した立体的な形態を示している。
この実施形態の組立学習具は、様々な連結の方法により、図14ないし図17に示した形態の他、きわめて多様な形態を構成することができるので、構成期の乳幼児の興味がつきることなく、作業に取り組むことができ、効果的な学習を行うことができる。
特に、図14または図15に示すように、各組立部材を組立てることで、略円形を構成することができ、前述したように、この時期の乳幼児は円や球形に関心を示す傾向があるために好ましい。また、連結手段15が角度変化を許容する構成であることから、異なる数の組立部材を使用して、ほぼ相似した円形を構成することができるという認識を得ることができる。
さらに、図17に示される組立構成は、図14に示す輪状の連結状態と同じ連結で構成されており、同じ連結状態でも異なる形状を構成することができるという認識を得ることができる。
なお、これらの他、自動車や飛行機、花等の形態を模した組立構成も可能であり、この点においても効果的な学習をすることができる。
【0044】
図18及び図19は組立部材の変形例を示している。組立部材は種々の形態が考えられるが、主として、本体の形態を変更し挿入部と受容部を設けることで、種々の変形例が考えられる。
図18は組立部材の変形例1であり、図示の組立部材30は、図1の場合と比べると、本体11−1が1/4円状の本体とされている。本体11−1の一方の端部に軸部12及び挿入部13が設けられており、他端部に受容部14が設けられている。そして、図示した形状の相違を除き、図1の実施形態と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから重複する説明は省略する。
図19は組立部材の変形例2であり、図18の例と比べると本体11−2が直線的に形成され、特に角柱状とされている点が相違する。その他の点は図18と同じである。
このような異なる外形形状の組立部材がそれぞれ複数個ずつセットとされていることで、様々な形状を構成することができ、乳幼児の興味を引いて学習を促すだけでなく、手や指による把持の仕方や感触、力の入れ方が変わるため、手や指、腕による操作の練習としても様々な体験を積むことができる。
【0045】
図20および図21は、組立学習具の第2の実施形態を示している。図20は第2の実施形態の組立学習具の分解斜視図であり、図21は第2の実施形態の組立学習具の組立図である。
第2の実施形態の組立学習具50において、図1で説明した組立部材の各構成と共通する箇所には同一の符号を付して、重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
第1の実施形態の組立学習具が、構成部品である組立部材の連結の仕方や使用個数により形態が変化するのに対して、第2の実施形態の組立学習具は、全体として、人の形態もしくはロボット,あるいは人形といった形態を模して形成されている点が異なる。
【0046】
図20において、組立学習具50の胴部51は、この場合、例えば、厚みの薄い矩形のブロック体であり、上部にひとつの孔52、手前に表れている側面にも同様の孔52が形成され、他の側面にも図示しないが同様の孔が穿設され、胴部51の下面には2つ並列的に同様の孔が形成されている。
この孔52は、第1の実施形態で説明した受容部である凹部14と同じ構造となっている。
【0047】
頭部31は、例えば球形で、人やロボットの頭部に似せて形成されており、その下端には、軸部12を介して挿入部13が設けられている。
そして、両手に相当するものは図18で説明した組立部材30,30であり、両足に相当するものは図19で説明した組立部材40,40である。ただし、組立部材40,40の本体は角柱ではなく円柱に変更されている。
【0048】
第2の実施形態は以上のように構成されているので、図21に示すように、第1の実施形態で説明したように各構成部材30,30,40,40を対応する孔52に連結することができる。また、頭部31もその挿入部13を利用して対応する孔52に連結することできる。
これにより、乳幼児は、第1の実施形態と異なり、形状の違う組立部材を決められた箇所に連結する作業を学習することができる。そして、連結が終了すると、より具体的な形態の完成体を構成することができるので、構成期の乳幼児にとって、さらに発展した遊びと手や指の訓練を行うことができる。
また、腕に相当する組立部材30,30の連結されていない端部には、凹部14が配置されているため、他の図示しない組立部材30,30を連結して、なにかを持った状態を構成することができる等、発展性のある構造を形成することができる。
なお、胴部51に挿入部13を形成し、逆転した連結を行える構成としてもよいし、第1の実施形態の組立部材10等と一緒に使用してもよい。
それ以外の作用効果は第1の実施形態と同じである。
【0049】
図22は、組立部材の変形例3を示しており、図1の組立部材10と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図22の組立部材60において、図1の組立部材10と異なるのは、本体11−1が人の体(手,足,首等の一部を含む)の形態に似せて形成した点である。また、頭部32は本体11−1から突出するように一体に形成されている。
このように変形例3の組立部材60は、図1の組立部材10と比べて、人を具象化した形態とされている点が相違する。そして、この組立部材60では、両手の先に挿入部13,13が備えられ、両足の先に受容部14,14が設けられて、手や足を連結する形態とされている。
【0050】
したがって、変形例3の組立部材60は、組立部材10と同等の作用効果を発揮する他、人の姿に似せて、その手や足の部分で連結を行うようにしたので、乳幼児に対して、さらに異なる興味を与えることができ、手を繋いだ形態等の認識をさせることができ、ゲーム等の社会的要素に対応した遊びを取り込むことができる。
【0051】
この発明は上述の実施形態に限定されない。
本発明の組立学習具は、乳幼児だけでなく、障害を負った人等の手指の機能訓練等にも利用することができる。
また、例えば、本体11の表面に形成された弾性体11aを持つ組立部材10−1に対して、他の組立部材10−2は、このような弾性体を備えない全体として剛性の高い材料だけで形成したものを組み合わせてもよく、さらに、弾性体の剛性や弾性等の材質の種類を変えたものを複数個ずつセットとしても良い。
さらに、受容部14の壁面における一部に、切欠き部を形成することで、切欠き部に対応した位置では軸部12が接触しないように構成し、使用者が切欠き部では35度もしくは45度を超えて90度程度まで角度を変えられるように構成してもよい。
組立部材は、本体と連結手段を備えれば、いかなる形態に形成することもできる。
上述の実施形態の各部の構成は、必要に応じてその一部を省略し、もしくは説明しない他の構成や、実施形態相互の部分的構成と適宜組み合わせることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、対象を組み立てる操作を通じて、主として構成期にある乳幼児の手や指等の動きを中心とした機能を適切に訓練するための学習をすることができる組立学習具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による組立学習具の第1の実施の形態における組立部材の構成例を示す概略斜視図。
【図2】図1の組立部材の概略正面図。
【図3】図1の組立部材の概略平面図。
【図4】図1の組立部材の概略左側面図。
【図5】受容部(凹部)の構造を示す図であり、(a)は図4のA−A線部分切断端面図、(b)は図4のB−B線部分切断端面図。
【図6】図1の組立部材どうしの連結の様子を示す部分断面図。
【図7】受容部(凹部)の部分概略断面図。
【図8】中央受容部の概略斜視図。
【図9】組立学習具の組立部材を用いて手指の操作の練習(学習)をする様子を示す概略斜視図。
【図10】組立学習具の組立部材を用いて手指の操作の練習(学習)をする様子を示す概略斜視図。
【図11】組立学習具の組立部材を用いて手指の操作の練習(学習)をする様子を示す概略斜視図。
【図12】組立学習具の組立部材を用いて手指の操作の練習(学習)をする様子を示す概略斜視図。
【図13】組立学習具の組立部材を用いて手指の操作の練習(学習)をする様子を示す概略斜視図。
【図14】組立学習具において、6つの組立部材を連結した形態の一例を示す図。
【図15】組立学習具において、3つの組立部材を連結した形態の一例を示す図。
【図16】組立学習具において、6つの組立部材を連結した形態の一例を示す図。
【図17】組立学習具において、6つの組立部材を連結した形態の一例を示す図。
【図18】組立学習具を構成する組立部材の変形例1を示す概略斜視図。
【図19】組立学習具を構成する組立部材の変形例2を示す概略斜視図。
【図20】本発明の組立学習具の第2の実施形態の概略分解斜視図。
【図21】本発明の組立学習具の第2の実施形態の概略斜視図。
【図22】組立学習具を構成する組立部材の変形例3を示す概略正面図。
【図23】口唇トレーナーの概略断面図。
【図24】図22の口唇トレーナーの使用状態を示す概略斜視図。
【図25】従来の玩具の構成例を示す図。
【符号の説明】
10,30,40,60・・・組立部材、11・・・本体、12・・・軸部、13・・・挿入部、14・・・受容部、15・・・連結手段、16・・・凹部、17・・・中央受容部、18・・・リング部。

Claims (5)

  1. 少なくとも2以上の組立部材を有しており、
    前記組立部材が、
    本体と、
    この本体に設けられた連結手段とを有しており、
    前記連結手段が、
    前記本体から外方に延びる軸部を有し、この軸部より先端側に延びる球状の挿入部と、
    前記本体から外方に延びて、前記挿入部の少なくとも一部を受容する凹部を備える受容部および前記本体の中央部において、厚み方向に設けた中央受容部と、前記球状の挿入部を係止するために前記凹部に形成された係止手段と
    を備え、
    前記組立部材の少なくとも一つの組立部材の前記本体の表面の一部には、弾性体が配置されるとともに、少なくとも前記連結手段が前記弾性体よりも剛性の高い材料により形成されていて、
    かつ前記連結手段の前記軸部が、前記挿入部の球状部分の直径よりも細い外径となるように構成されており、
    前記受容部は、一端が開放された筒状であり、前記係止手段が、筒状の受容部の対向する壁面に形成され、前記球状の挿入部の球面の一部を受容する貫通孔とされていて、
    前記受容部が前記挿入部を受容した状態で、前記軸部側が前記受容部の仮想の中心線に関して、25度ないし45度の傾斜角度の範囲内で、全ての方向に変位可能に保持するとともに、前記凹部の奥側の壁部に当接部を有しており、該当接部が該凹部の開口端側に突出する凹面当接部とされていて、
    さらに、前記中央受容部に形成した係止片が、該中央受容部の凹部の内周面において、互いに対向する位置で爪状に隆起する係止片またはリブ片とされている
    ことを特徴とする、組立学習具。
  2. 前記受容部が前記挿入部を受容した状態で、前記軸部側が前記受容部の仮想の中心線に関して、25度ないし35度の傾斜角度の範囲内で、全ての方向に変位可能に保持する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の組立学習具。
  3. 前記挿入部は、前記受容部に挿入した際に、前記凹部の前記係止手段の位置を超えて、凹部の奥側に当接する構成としたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の組立学習具。
  4. 前記受容部の底面が前記係止手段との間で前記挿入部を緊密に保持する構成としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の組立学習具。
  5. 前記組立部材が、前記本体の中央部において、厚み方向に設けた中央受容部を形成し、さらに、前記中央受容部と直交する方向に沿った同一の平面に形成され、前記中央受容部に関して互いに対称な位置に、それぞれ前記挿入部と前記受容部とを互いに交差する方向で少なくとも二組配置したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の組立学習具。
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