JP4107391B2 - 宇宙用固体推進剤推進機 - Google Patents

宇宙用固体推進剤推進機 Download PDF

Info

Publication number
JP4107391B2
JP4107391B2 JP2005144489A JP2005144489A JP4107391B2 JP 4107391 B2 JP4107391 B2 JP 4107391B2 JP 2005144489 A JP2005144489 A JP 2005144489A JP 2005144489 A JP2005144489 A JP 2005144489A JP 4107391 B2 JP4107391 B2 JP 4107391B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solid propellant
adhering
laser beam
propellant
propulsion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005144489A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006321292A (ja
Inventor
均 國中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Aerospace Exploration Agency JAXA
Original Assignee
Japan Aerospace Exploration Agency JAXA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Aerospace Exploration Agency JAXA filed Critical Japan Aerospace Exploration Agency JAXA
Priority to JP2005144489A priority Critical patent/JP4107391B2/ja
Priority to US11/435,521 priority patent/US7641150B2/en
Publication of JP2006321292A publication Critical patent/JP2006321292A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4107391B2 publication Critical patent/JP4107391B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B64AIRCRAFT; AVIATION; COSMONAUTICS
    • B64GCOSMONAUTICS; VEHICLES OR EQUIPMENT THEREFOR
    • B64G1/00Cosmonautic vehicles
    • B64G1/22Parts of, or equipment specially adapted for fitting in or to, cosmonautic vehicles
    • B64G1/40Arrangements or adaptations of propulsion systems
    • B64G1/405Ion or plasma engines
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B64AIRCRAFT; AVIATION; COSMONAUTICS
    • B64GCOSMONAUTICS; VEHICLES OR EQUIPMENT THEREFOR
    • B64G1/00Cosmonautic vehicles
    • B64G1/22Parts of, or equipment specially adapted for fitting in or to, cosmonautic vehicles
    • B64G1/40Arrangements or adaptations of propulsion systems
    • B64G1/411Electric propulsion
    • B64G1/413Ion or plasma engines
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B64AIRCRAFT; AVIATION; COSMONAUTICS
    • B64GCOSMONAUTICS; VEHICLES OR EQUIPMENT THEREFOR
    • B64G1/00Cosmonautic vehicles
    • B64G1/22Parts of, or equipment specially adapted for fitting in or to, cosmonautic vehicles
    • B64G1/40Arrangements or adaptations of propulsion systems
    • B64G1/411Electric propulsion
    • B64G1/415Arcjets or resistojets
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F03MACHINES OR ENGINES FOR LIQUIDS; WIND, SPRING, OR WEIGHT MOTORS; PRODUCING MECHANICAL POWER OR A REACTIVE PROPULSIVE THRUST, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F03HPRODUCING A REACTIVE PROPULSIVE THRUST, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F03H1/00Using plasma to produce a reactive propulsive thrust
    • F03H1/0006Details applicable to different types of plasma thrusters
    • F03H1/0012Means for supplying the propellant

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Plasma & Fusion (AREA)
  • Remote Sensing (AREA)
  • Aviation & Aerospace Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)

Description

本発明は宇宙用推進機に関し、より詳しくは、固体推進剤を小分け供給して使用する宇宙用固体推進剤推進機に関する。
宇宙用推進装置としては、気体、液体、固体の燃料や推進剤が利用されてきている。気体は収納容積が嵩むため、高圧化して高密度にして保持することが一般的である。そのために、保持容器(タンク)、配管、バルブ等に十分な耐圧性や構造強度が必要であり、その結果、重量が嵩むという問題がある。また、バルブからの漏れやバルブの不動などの故障を伴うことも多い。液体は、元来、高密度であるが、移送のために高圧システムを用いるので、上記の気体推進剤と同様の問題点を有している。高圧システムを使用する推進器は、危険作業である注気を打ち上げ前に実施する必要があるという問題もある。固体推進剤はもともと高密度であり、高圧システムが不要で保持性に優れるものの、一度点火されると燃料が無くなるまで運転を中止できず、推力の断続(動作中断と再着火)や調整を行うことができないという問題がある。固体燃料である火薬は、取扱においては火気厳禁であり、地上取り扱い性が悪い。固体燃料のそのような欠点を改善するために、固体燃料を使用単位に分割して保持し、必要に応じて着火するという方式が研究されている(例えば、非特許文献1参照)。しかしそれらの方式は、燃焼数に応じて比較的大きな面積を占有するという欠点を有している。
小型推進器は比推力が高くないため、要求されるΔVを発生するためには、より多くの推進剤が必要になる。推進剤を保管する部分の重量などは、一般的に、その量に比例する傾向がある。したがって、推進器の燃料以外部分の構造の乾燥重量を低減させることは、小型スラスタにとっては重要である。そのような背景から、フィルム表面に塗布された固体推進剤にレーザーを照射してアブレーション噴射する機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。そこに示されているようなレーザー照射をフィルム裏面から実施する方式は、噴射物質によってレーザー本体や光学系が汚染されることが防止されるため、ある程度有効である。しかし、フィルム重量は推進剤量に比例することになる。このフィルム重量は推力に寄与しないにもかかわらず、推進剤保管部の重量に含まれるため、推進装置の乾燥重量を増加させるという欠点がある。
また、特許文献1の装置ではアブレーション噴射にノズルを用いないため、効率的な推力発生ができない。さらに、蒸発した推進剤が拡散し再固化して周辺を汚染する可能性もある。人工衛星の表面は赤外線特性を綿密に調整して温度調節を行うため、表面汚染は重大な弊害を発生させるため、これは大きな問題である。
化学反応を利用しない固体推進剤を用いる推進機として、Pulsed Plasma Thruster (PPT)という方式がある(例えば、特許文献2参照)。固体推進剤として多種の材料が試されているが、PTFE(テフロン(登録商標))が一般的である(例えば、非特許文献2参照)。この方式ではパルス放電が完了後、遅延して昇華するガスのために比推力をあまり向上させることができないという短所があった。このため推進剤は、遅延発生ガスの少ない種類に制限されている。他には、液体推進剤を用いたり(例えば、非特許文献3参照)、レーザーアブレーションによって昇華量を制御する(例えば、非特許文献4参照)などのような技術開発の努力がなされている。
米国特許第6530212号明細書 米国特許出願公開第2003/0033797号明細書 S. Tanaka, R. Hosokawa, S. Tokudome, K. Hori, H. Saito, M. Watanabe and M. Esaka, , "MEMS-based Solid Propellant Rocket Array Thruster", ISTS 2002-a-02, Proceedings of the 23 International Symposium on Space Technology and Science, Matsue, 2002, pp.6-11. H. Kamhawi, E. Pencil and T. Haag, "High Thrust-to-Power Rectangular Pulsed Plasma Thruster", AIAA 2002-3975, Joint Propulsion Conference, Indianapolis, July 2002. A. Kakami, H. Koizumi and K. Komusasaki, "Performance Study on Liquid Propellant Pulsed Plasma Thruster", AIAA 2003-5021, Joint Propulsion Conference, Huntsville, July 2003. M. Kawakami, W. Lin, A. Igari, H. Horisawa and I. Kimura, "Plasma Behaviors in a Laser-Assisted Plasma Thruster", AIAA 2003-5028, Joint Propulsion Conference, Huntsville, July 2003.
上記のように、高密度であって保管や移送に高圧力が不要で取り扱いの容易な固体推進剤を宇宙用推進器推進機に使用しようとする試みがなされて来たが、いずれの技術も、推進機の重量を増加させたり、表面汚染を発生したり、比推力をあまり向上させることができないといった欠点を有しており、問題が多いものであった。本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、固体推進剤を小分け供給することが可能な、宇宙用固体推進剤推進機を提供するものである。
上記の課題は以下の特徴を有する本発明によって解決される。すなわち、請求項1に記載の発明は、固体推進剤を保持する固体推進剤保持手段と、前記固体推進剤保持手段が保持している前記固体推進剤の一端から前記固体推進剤をその表面に付着させる固体推進剤付着面と、前記固体推進剤保持手段に保持されている前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面側に送ることによって、それを前記固体推進剤付着面上に付着させる場所である付着位置に給送する固体推進剤給送手段と、給送によって前記固体推進剤付着面上の付着位置に接触あるいは近接させられた部分の前記固体推進剤を加熱して溶解あるいは昇華させ、それによって前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面に付着させる付着エネルギー供給手段と、前記固体推進剤付着面の前記固体推進剤の付着部分を移動させることによって、前記固体推進剤を、それを放出させる場所である放出位置に移送する固体推進剤移送手段と、前記放出位置に移送された前記固体推進剤にエネルギーを与えることによって前記放出位置における前記固体推進剤付着面からそれとほぼ垂直な方向に加速し、推進ジェットとして下流に放出させる推進エネルギー供給手段と、を有し、前記固体推進剤付着面の前記固体推進剤の付着部分は、前記固体推進剤移送手段による前記固体推進剤付着面の移動によって、前記固体推進剤保持手段に保持された前記固体推進剤の前記一端の近傍に反復的に復帰させられることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記放出位置において発生した推進ジェットを上流端から取り入れ下流端から噴出させる管状の噴出部をさらに有し、前記噴出部は、それの上流端が前記固体推進剤付着面に近接して配置されており、前記放出位置は、前記固体推進剤付着面の前記噴出部の上流端に囲まれた領域内にあることをさらに特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記噴出部は、末広ノズル形状であることをさらに特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記固体推進剤は棒状に成形されており、前記固体推進剤給送手段は前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面側に直線的に移動させることによって給送することをさらに特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記固体推進剤給送手段は、前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面側に押し付ける力を与えることによって給送するように構成されたバネであることをさらに特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記固体推進剤付着面は少なくとも一部が透明材料で構成されており、前記付着エネルギー供給手段はレーザ光線発振器であり、レーザ光線発振器である前記付着エネルギー供給手段は、レーザ光線を発生して前記付着位置における前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面の裏面から透明材料を通して照射し、それによって前記固体推進剤を加熱して溶解あるいは昇華させることにより前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面に付着させることをさらに特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記固体推進剤は加熱により昇華する物質であり、前記固体推進剤付着面は少なくとも一部が透明材料で構成されており、前記推進エネルギー供給手段はレーザ光線発振器であり、レーザ光線発振器である前記推進エネルギー供給手段は、レーザ光線を発生して前記放出位置内の前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面の裏面から透明材料を通して照射し、それによって前記固体推進剤を加熱して昇華させることにより放出させることをさらに特徴とする。
請求項8に記載の発明は、前記固体推進剤は加熱により昇華する物質であり、前記推進エネルギー供給手段は前記噴出部の内部に対向配置された主放電電極とそのための主放電電源であり、前記主放電電源は高電圧を発生させて前記主放電電極間にそれを印加して主放電を発生させ、近傍の前記固体推進剤を加熱して昇華させることによって放出させることをさらに特徴とする。
請求項9に記載の発明は、前記主放電電極間の主放電を開始させるためのトリガ放電を行うための、前記噴出部の内部の前記固体推進剤付着面に近接して設けられたトリガ放電電極を含むイグナイタと、前記トリガ放電のためのトリガ放電電源と、をさらに含み、前記主放電電極は、末広状に対向配置された棒状の電極であり、前記イグナイタによるトリガ放電によって前記主放電電極間に主放電が発生させられ、前記主放電電極間の前記主放電によって昇華させられた前記固体推進剤の少なくとも一部は前記主放電によってさらにプラズマ化され、前記主放電電極間に発生させられたプラズマ化した前記固体推進剤に前記主放電によって流される電流と、前記主放電によって発生する磁場との電磁的相互作用によって、前記プラズマ化した前記固体推進剤は前記噴出部の下流に噴出させられることをさらに特徴とする。
請求項10に記載の発明は、前記主放電電極は、前記噴出部の少なくとも一部を構成していることをさらに特徴とする。
請求項11に記載の発明は、前記固体推進剤付着面の形状は円柱形であり、前記固体推進剤移送手段は、前記固体推進剤付着面を円柱形の中心軸を中心にして回転させることによって前記固体推進剤を前記放出位置に移送することをさらに特徴とする。
請求項12に記載の発明は、前記固体推進剤付着面の形状は底面が扇形である部分的な円柱形であり、前記固体推進剤移送手段は、前記固体推進剤付着面を円柱形の中心軸を中心にしてスイングさせることによって前記固体推進剤を前記放出位置に移送することをさらに特徴とする。
請求項13に記載の発明は、前記固体推進剤付着面の形状は平面であり、前記固体推進剤移送手段は、前記固体推進剤付着面を直線的に往復させることによって前記固体推進剤を前記放出位置に移送することをさらに特徴とする。
請求項14に記載の発明は、前記固体推進剤は加熱により昇華する物質であり、前記固体推進剤付着面の形状は円柱形あるいは底面が扇形である部分的な円柱形であり、前記固体推進剤付着面は少なくとも一部が透明材料で構成されており、前記推進エネルギー供給手段は前記固体推進剤付着面のそれぞれ異なる複数の位置にレーザ光線を照射する複数のレーザ光線発振器であり、前記放出位置は前記のレーザ光線が照射される異なる複数の位置にそれぞれ対応して設けられており、レーザ光線発振器である前記推進エネルギー供給手段は、レーザ光線を発生して前記放出位置内のいずれかの位置の前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面の裏面から透明材料を通して照射し、それによって前記固体推進剤を加熱して昇華させることにより放出させることをさらに特徴とする。
請求項15に記載の発明は、前記固体推進剤は加熱により昇華する物質であり、前記固体推進剤付着面の形状は円柱形あるいは底面が扇形である部分的な円柱形であり、前記固体推進剤付着面は少なくとも一部が透明材料で構成されており、前記推進エネルギー供給手段はレーザ光線の照射方向を変化させるレーザ光線照射方向可変手段を備えたレーザ光線発振器であり、前記放出位置は前記のレーザ光線が照射される位置に対応して設けられており、レーザ光線発振器である前記推進エネルギー供給手段は、レーザ光線を発生して前記放出位置内のいずれかの位置の前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面の裏面から透明材料を通して照射し、それによって前記固体推進剤を加熱して昇華させることにより放出させることをさらに特徴とする。
本発明によると、高密度であって取り扱いの容易な固体推進剤を消費量を管理しつつ必要量だけ小分け供給して推進ジェットとして噴出させることが可能となるため、宇宙用推進機の性能、特に燃費(比推力)を向上させることができるという効果が得られる。また本発明によると、一般には動作中断と再着火を行うことができない固体燃料推進機において、動作中断と再着火を行うことができるという効果が得られる。
これから図面に従って本発明の実施形態に係る宇宙用固体推進剤推進機の説明を行う。本発明に係る宇宙用固体推進剤推進機は、容器に貯蔵された固体推進剤を付着面に付着させて移送し、それにエネルギーを与えて放出させることによって推進ジェットを得るものである。固体推進剤の移送のための付着面への付着は、レーザ光線による加熱により溶解あるいは昇華させての付着面への転移(レーザ加熱)の形態で実施される。また固体推進剤の放出は、レーザ光線による加熱により昇華させて自身の圧力により加速(レーザ加熱)、放電による加熱により昇華させて自身の圧力により加速(放電加熱)、放電によりプラズマ化して電磁的に加速(PPT(Pulsed Plasma Thruster)電磁加速)、などの形態で実施される。以下、本発明の代表的な実施形態として、固体推進剤の放出機構がそれぞれ異なる、第1の実施形態(レーザ加熱)、第2の実施形態(PPT電磁加速)、第3の実施形態(放電加熱)の説明を行う。
またレーザ加熱の場合、レーザ光線が照射される領域を複数レーザの切替、可変レーザ照射方向などの方法により変化させることにより推進ジェットの方向を変化させることができる。固体推進剤の放出機構がレーザ加熱の場合について、第4の実施形態(複数レーザの切替)、第5の実施形態(可変レーザ照射方向)として推進ジェットの方向を変化させる実施形態の説明をする。
(第1の実施形態:レーザ加熱)
まず、本発明の第1の実施形態の説明を行う。図1は、本発明の第1の実施形態に係る宇宙用固体推進剤推進機100の概略構成を表わす概略斜視図である。宇宙用固体推進剤推進機100は、固体推進剤の放出にレーザ加熱を利用する実施形態である。まず、宇宙用固体推進剤推進機100の構成について説明する。宇宙用固体推進剤推進機100は、固体推進剤保持容器102、固体推進剤付着ドラム103、固体推進剤付着ドラム回転モータ104、付着用レーザ光線発振器105A、推進用レーザ光線発振器105B、ノズル107、および固体推進剤給送バネ109から構成される。宇宙用固体推進剤推進機100は、図示しないが、上記の構成要素を適切な位置関係に保持しつつ収容するハウジングも構成として有する。また宇宙用固体推進剤推進機100は、図示しないが、固体推進剤付着ドラム回転モータ104、付着用レーザ光線発振器105A、および推進用レーザ光線発振器105Bの動作をそれぞれ関連させて制御するコントローラ112も構成として有する。また、宇宙用固体推進剤推進機100は、固体推進剤101を推進剤として使用する。
固体推進剤101は、宇宙用固体推進剤推進機100から放出させられることによって推力を生じさせる、エネルギー(推進エネルギー)を与えられて加熱されることによって昇華する物質からなる推進剤である。固体推進剤101は、放出させるための推進エネルギーより相対的に小さいエネルギー(付着エネルギー)を与えられて加熱されることによって溶解あるいは昇華する物質であり、これによって固体推進剤を固体推進剤付着ドラム103に付着させてそこに転移させることができる。推進剤の形態は好適には棒状に成形された固体であり、高密度であって収納効率が高く地上取り扱い性や保管性に優れ、移送に高圧系を必要としないという固体の特徴を有する。固体推進剤101は、好適には単一の形状に成形された固体であるが、複数に分割して成形された固体であってもよい。宇宙用固体推進剤推進機100はほぼ真空中で動作するので、固体推進剤101は雰囲気の圧力がほぼ真空の状態で加熱によって昇華する物質であればよい。固体推進剤101は推進エネルギーが与えられると昇華して高温高圧の気体となり自身の圧力によって加速されて放出させられ、推進ジェット108として放出させられてその反作用として推力を生じる。このような推力の発生方法をレーザアブレーションという。
固体推進剤101は、移送のために、付着力あるいは接着力などの密着した物質間の引力によって固体推進剤付着ドラム103に付着する。固体推進剤101は、付着エネルギーによって溶解させられて液体になって、より低温の固体推進剤付着ドラム103に接触し、その上で固化してそれに付着するか、付着エネルギーによって固体から気体へと昇華して、より低温の固体推進剤付着ドラム103に接触し、その上で固化してそれに付着する。
固体推進剤101の材料としては、従来から推進剤として使用されていたPTFE(テフロン(登録商標))などに限られず、広範な物質を使用することができる。固体推進剤101としては、ガス化しやすいものであればよく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニールなどを使用することができる。
固体推進剤保持容器102は、推進剤である固体推進剤101を保持する機構を有する固体推進剤保持手段の一形態である。固体推進剤保持容器102は、固体推進剤101を貯蔵のために保持するとともに、固体推進剤付着ドラム103上で固体推進剤101がそれに付着させられる位置である付着位置110に固体推進剤101の一端が接するように固体推進剤付着ドラム103の表面に対する位置を固定する。図1の例では、固体推進剤保持容器102は、棒状の固体推進剤101を収容する円筒状の構成である。固体推進剤保持容器102は、固体推進剤101の固体推進剤付着ドラム103の表面に対する位置を固定できれば、必ずしも固体推進剤101のほぼ全体を収容する必要はない。しかし、固体推進剤保持容器102の固体推進剤付着ドラム103側の一端がその近傍まで伸びており、付着位置110を覆うようになっていると、固体推進剤付着ドラム103への付着時に周囲への飛散を防止することができ、好適である。この場合、固体推進剤保持容器102の固体推進剤付着ドラム103側の一端は、付着位置110から固体推進剤付着ドラム103の回転方向側においては、それと固体推進剤付着ドラム103とのクリアランスが他の部分より大きくなっており、固体推進剤付着ドラム103に付着した固体推進剤101が固体推進剤保持容器102と干渉することなく移送することができるようになっているとより好適である。後述の固体推進剤給送バネ109が固体推進剤101の固体推進剤付着ドラム103の表面に対して垂直方向の位置を固定している場合は、固体推進剤保持容器102は固体推進剤101の固体推進剤付着ドラム103の表面に対して水平方向の位置を固定する。
固体推進剤付着ドラム103は、固体推進剤101をその表面に付着させる固体推進剤付着面の一形態である。固体推進剤付着ドラム103は、固体推進剤保持容器102に保持された固体推進剤101の一端に近接あるいは接しており、そこから溶解あるいは昇華によって固体推進剤101をその表面に転移させて付着させる構成である。固体推進剤付着ドラム103は付着位置110において固体推進剤101を付着する。付着位置110は、固体推進剤付着ドラム103と固体推進剤保持容器102などの他の構成要素との位置関係として決定される位置の領域であり、固体推進剤付着ドラム103上で、それに接している固体推進剤101の断面のある領域に相当する。図1では円状に描写しているが、固体推進剤101の断面の形状により、他の形状であってもよい。固体推進剤付着ドラム103は、好適には円柱のドラム形状である。固体推進剤付着ドラム103は、後述の付着用レーザ光線106Aや推進用レーザ光線106Bを透過するような透明材料で形成された円柱形のドラムである。固体推進剤付着ドラム103は透明であるために付着用レーザ光線106Aによってはほとんど加熱されず、付着用レーザ光線106Aがそれを通じて固体推進剤101に照射されても自身は低温のままである。このため、付着用レーザ光線106Aによって溶解あるいは昇華した固体推進剤101をその表面で冷却して固化させることによってその上に付着させることができる。固体推進剤付着ドラム103は、中空が好適であるが、中実であってもよい。
固体推進剤付着ドラム103の固体推進剤101を付着する表面の形状は、完全な円柱でなく、底面が扇形であるような部分的な円柱形(部分円筒形、鎧型)であってもよい。図1において破線の四角形で囲んだ部分は、部分的な円柱形の形状をした固体推進剤付着ドラム103の例である。さらにはその形状は、円柱に限られるものでもなく、他の形状の曲面や平面などのドラム以外の形状であってもよい(円柱形以外の固体推進剤付着ドラムを使用する実施形態)。
固体推進剤付着ドラム回転モータ104は、コントローラ112の制御に基づき、固体推進剤付着面である固体推進剤付着ドラム103を回転させ、それの固体推進剤101の付着部分を移動させることによって、固体推進剤101をそれを放出させる場所である放出位置111に移送する固体推進剤移送手段の一形態である。固体推進剤付着ドラム回転モータ104は、固体推進剤付着ドラム103と一体的に構成されていてもいい。固体推進剤付着ドラム回転モータ104は、必要量だけ回転させられるように制御され、また、回転速度や回転方向も適切に制御される。固体推進剤付着ドラム103が部分的な円柱形の場合は、固体推進剤付着ドラム回転モータ104はそれの回転方向を切り換え、また、固体推進剤付着ドラム103が平面の場合は、固体推進剤付着ドラム回転モータ104はそれを往復運動させる(円柱形以外の固体推進剤付着ドラムを使用する実施形態)。
また、固体推進剤付着ドラム103の固体推進剤101の付着部分は、固体推進剤付着ドラム回転モータ104による固体推進剤付着面である固体推進剤付着ドラム103の移動によって、固体推進剤保持容器102に保持された固体推進剤101の一端の近傍の付着位置110に反復的に復帰させられる。これによって、固体推進剤101を付着した固体推進剤付着面を固体推進剤付着面として繰り返し利用することができるため、固体推進剤付着面の面積を小さくすることができ、宇宙用固体推進剤推進機100を小型軽量にすることが可能となる。
固体推進剤付着ドラム回転モータ104が固体推進剤付着ドラム103を回転させる方向は一方向であってもいいし、交互に両方の方向に回転させてもいい。固体推進剤付着ドラム103の固体推進剤101を付着する表面の形状が、底面が扇形であるような部分的な円柱形の場合は、それを交互に両方の方向に円柱形の中心軸を中心にして回転させることによってスイングさせるとよい。固体推進剤付着ドラム103の固体推進剤101を付着する表面の形状が、平面の場合は、それを直線的に往復させるとよい(円柱形以外の固体推進剤付着ドラムを使用する実施形態)。
付着用レーザ光線発振器105Aは、付着位置110における固体推進剤101の一端に付着エネルギーを与えることによって加熱し、溶解あるいは昇華させ、それによって固体推進剤101を固体推進剤付着ドラム103の表面に付着させる付着エネルギー供給手段の一形態である。付着用レーザ光発振器105Aは、固体推進剤付着ドラム103の固体推進剤101の付着部分の裏面に付着用レーザ光線106Aを照射できるような位置に設置され、好適には、固体推進剤付着ドラム103を挟んで付着位置110と反対側において、発振して放射する付着用レーザ光線106Aの光軸が付着位置110に合致するように設置される。付着用レーザ光発振器105Aは付着用レーザ光線106Aを発振し、それを付着位置110における固体推進剤101の固体推進剤付着ドラム103側の一端に照射して加熱する。なお、付着用レーザ光線発振器105Aは、特定の場所にエネルギーを集中させるために、発振したレーザ光線を集光するためのレンズを付着用レーザ光線106Aを放射する部分の下流の位置に備えていてもよい。
推進用レーザ光線発振器105Bは、付着後、放出位置111に移送された固体推進剤101に推進エネルギーを与えることによって加速し、推進ジェットとして放出させる推進エネルギー供給手段の一形態である。推進用レーザ光発振器105Bは、固体推進剤付着ドラム103の固体推進剤101の付着部分の裏面に推進用レーザ光線106Bを照射できるような位置に設置され、好適には、固体推進剤付着ドラム103を挟んで放出位置111と反対側において、発振して放射するレーザ光線106の光軸が放出位置111に合致するように設置される。付着用レーザ光発振器105Bを放出位置111と反対側に設置することにより、昇華した固体推進剤101によって汚染されることがなくなる。推進用レーザ光発振器105Bは推進用レーザ光線106Bを発振し、それを放出位置111に移送された固体推進剤101に照射して加熱する。なお、推進用レーザ光線発振器105Bは、放出位置111上の特定の場所にエネルギーを集中させるために、発振したレーザ光線を集光するためのレンズを推進用レーザ光線106Bを放射する部分の下流の位置に備えていてもよい。放出位置111は、固体推進剤101の放出を遮るような構成要素がない位置である。放出位置111は、固体推進剤付着ドラム103と固体推進剤保持容器102などの他の構成要素との位置関係として決定される位置の領域であり、図1では円状に描写しているが、他の形状、例えば帯状であってもよい。
ノズル107は、噴出部の一形態であり、昇華して高圧となった固体推進剤101を推進ジェット108を上流端から取り入れ下流端から噴出させるように外部に導く噴出部の一実施形態である。ノズル107は、好適には末広の管状の形状である。ノズル107の2つの開口部のうち、狭い開口部が上流端の開口部であり、広い開口部が下流端の開口部である。ノズル107の上流端の開口部は放出位置111を囲むようにそれに近接して配置されている。ノズル107の上流端の開口部の中心から下流端の開口部の中心を結んだ方向がノズル107の開口方向であり、その方向に推進剤101が推進ジェット108として放出させられる。昇華して高圧となった固体推進剤101が最も大きい力を受けて加速されやすい方向が開口方向となるようにノズル107は配置される。そのような方向は、固体推進剤101が昇華して高圧となる放出位置111における固体推進剤付着ドラム103の表面からそれと垂直な方向である。ノズル107は、シールドとして機能することにより昇華した固体推進剤101が周囲に拡散して機器等に再固化して付着して周辺を汚染させることを防ぐとともに、推進ジェット108の噴出方向や噴出速度が適切になるように制御することにより、効率的な推力が得られるようにする。
固体推進剤給送バネ109は、固体推進剤保持容器102に保持されている固体推進剤101を固体推進剤付着ドラム103に給送することによって、それを固体推進剤付着ドラム103に付着させる場所である付着位置110に給送する固体推進剤給送手段の一形態である。固体推進剤給送バネ109は、それのバネの復元力によって固体推進剤101を固体推進剤付着ドラム103側に直線的に送り出すことによって給送する。バネはつるまきバネなどの形態である。固体推進剤給送バネ109の一端が固体推進剤101の固体推進剤付着ドラム103の反対側の一端に接しており、固体推進剤101を固体推進剤付着ドラム103側に給送するとともに、それの固体推進剤付着ドラム103の表面に対して垂直方向の位置を固定してもよい。固体推進剤給送手段は、固体推進剤101を必ずしも直線的に送り出す必要があるのではなく、円弧状に給送したり、あるいは、固体推進剤101の他の貯蔵場所から固体推進剤101を固体推進剤付着ドラム103上の付着位置110に相対する位置にまで移動させた後に固体推進剤付着ドラム103側に送り出すような構成であってもよい。
固体推進剤給送手段の固体推進剤給送バネ109の他の形態としては、固体推進剤101を固体推進剤付着ドラム103側に給送するリニアアクチュエータ等の駆動機構などを使用することができる。この場合、リニアアクチュエータと固体推進剤101の間にバネを設置して、固体推進剤101にかかる力を平滑にすることもできる。
コントローラ112は、給送用レーザ光線発振器105Aを動作させて固体推進剤101を固体推進剤付着ドラム103上に付着させ、固体推進剤付着ドラム回転モータ104を適切に作動させて固体推進剤付着ドラム103上に付着した固体推進剤101を移送させ、固体推進剤101が放出位置111まで移送されてくると、推進用レーザ光線発振器105Bに推進用レーザ光線106Bを発振させて放射させ、それが固体推進剤101に適切に照射されるような制御を行う制御回路である。コントローラ112は、固体推進剤101の固体推進剤付着ドラム103上の位置などを検出するためにセンサー等の入力を受け、それに基づいて固体推進剤101にレーザ光線を照射させる。
次に、宇宙用固体推進剤推進機100の動作について説明する。固体推進剤101が固体推進剤保持容器102によって保持され、それの一端に接して配置されている固体推進剤給送バネ109によって、固体推進剤付着ドラム103側への力を受けて給送される。コントローラ112が、人工衛星の姿勢制御コンピュータなどから推進ジェット108を放出させる指示を受けると、付着用レーザ光線発振器105Aに付着用レーザ光線106Aを発振させて放射させ、それを付着位置110における固体推進剤101の一端に対して固体推進剤付着ドラム103を通して裏面から照射させる。固体推進剤101を連続的に付着させて移送する場合は、付着用レーザ光線106Aも連続的に照射される。コントローラ112は、好適には、付着用レーザ光線発振器105Aが発振する付着用レーザ106Aの発振タイミングのみならず、発振強度も制御し、固体推進剤101の必要量を小分けして付着させるようにする。
付着用レーザ光線106Aが照射された固体推進剤101の一端は、加熱されて溶解あるいは昇華し、その一端が接していた、低温の固体推進剤付着ドラム103の表面によって冷却されて固化し、そこに付着する。
固体推進剤付着ドラム回転モータ104は、コントローラ112の制御により、それの回転によって固体推進剤付着ドラム103を回転させ、固体推進剤付着ドラム103の固体推進剤101の付着部分を、付着位置110から、それを放出させる場所である放出位置111に移送する。固体推進剤101の移送は、固体推進剤101を連続的に付着させながら移送すると好適である。コントローラ112は、固体推進剤101の必要量を小分けして固体推進剤付着ドラム103に付着させて移送するように、固体推進剤付着ドラム回転モータ104の回転を適切に制御する。
コントローラ112は、固体推進剤付着ドラム103上に付着した固体推進剤101が放出位置111に移送されてきたことを、センサーや固体推進剤付着ドラム回転モータ104の回転量などから検知し、推進用レーザ光線発振器105Bに推進用レーザ光線106Bを発振させて放射させ、それを放出位置111に移送されてきた固体推進剤付着ドラム103の固体推進剤101の付着部分に対して固体推進剤付着ドラム103を通して裏面から照射させる。固体推進剤101が連続的に移送されてくる場合は、推進用レーザ光線106Bも連続的に照射される。推進用レーザ光線106Bが照射された固体推進剤101は、推進用レーザ光線106Bのエネルギーを吸収して加熱されて昇華し、高温高圧のガスとなる。その高圧化したガスは、放出位置111における固体推進剤付着ドラム103の表面に向かって垂直に圧力を及ぼし、その反作用としては固体推進剤付着ドラム103の表面から垂直方向に同じ大きさの圧力を受けてその方向に加速される。それは、ノズル107に導かれて推進ジェット108としてノズル107の開口方向の下流に向けて放出させられ、その反作用として推力を生じさせる。
このように、所定の時間のレーザ光線106の照射によって推進ジェット108となる固体推進剤101の量を適切に制御、管理することができるため、固体推進剤101の遅延昇華を防止することができる。これによって、宇宙用固体推進剤推進機100の性能の低下を防止できるとともに、固体推進剤101の材料物質としてPTFE(テフロン(登録商標))に限定されない広範囲の材料物質を採用することが可能となり、さらに性能を向上させることが可能となる。
コントローラ112は、固体推進剤付着ドラム回転モータ104に固体推進剤付着ドラム103を適切に回転させ、固体推進剤付着ドラム103の推進用レーザ光線106Bが照射された固体推進剤101の付着部分を移動させて、それが固体推進剤保持容器102に保持された固体推進剤の固体推進剤付着ドラム103側の一端の近傍の付着位置110に反復的に復帰させられるようにする。例えば、固体推進剤付着ドラム103を一方向に回転させることによって、固体推進剤付着ドラム103の推進用レーザ光線106Bが照射された固体推進剤101の付着部分は、付着位置110に一回転ごとに反復的に復帰させられることになる。固体推進剤付着ドラム103の形状が部分的な円柱形である場合は、回転方向を逆方向に切り換えることによって、固体推進剤付着ドラム103の推進用レーザ光線106Bが照射された固体推進剤101の付着部分を付着位置110に一往復ごとに反復的に復帰させることができる(円柱形以外の固体推進剤付着ドラムを使用する実施形態)。固体推進剤付着ドラム103を一方向に連続して回転させる場合は、連続的に固体推進剤101を供給して噴出させることが可能となる。コントローラ112は、固体推進剤付着ドラム回転モータ104の速度などを制御することによって、固体推進剤101の供給量を制御することができる。
(第2の実施形態:PPT電磁加速)
次に、本発明の第2の実施形態の説明を行う。図2は、本発明の第2の実施形態に係る宇宙用固体推進剤推進機200の概略構成を表わす概略斜視図である。宇宙用固体推進剤推進機200は、固体推進剤の放出にPPT電磁加速を利用する実施形態である。
まず、宇宙用固体推進剤推進機200の構成について説明する。他の実施形態の構成要素と対応する構成要素の符号は、10の位以下の数字を同じとしている。宇宙用固体推進剤推進機200は、固体推進剤保持容器202、固体推進剤付着ドラム203、固体推進剤付着ドラム回転モータ204、付着用レーザ光線発振器205A、固体推進剤給送バネ209、およびノズル231から構成される。ノズル231は、主放電電極231a、主放電電極231b、およびイグナイタ231cを含む。宇宙用固体推進剤推進機200は、図示しないが、上記の構成要素を適切な位置関係に保持しつつ収容するハウジングも構成として有する。また宇宙用固体推進剤推進機200は、図示しないが、固体推進剤付着ドラム回転モータ204、付着用レーザ光線発振器205A、およびイグナイタ231cの動作をそれぞれ関連させて制御するコントローラ212も構成として有する。宇宙用固体推進剤推進機200は、第1の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機100と比較すると、推進用レーザ光線発振器105Bおよびノズル107に対応する構成を有しておらず、ノズル231を追加的な構成として有している点が相違する。宇宙用固体推進剤推進機200は、固体推進剤201を推進剤として使用する。
固体推進剤201は、宇宙用固体推進剤推進機200から放出させられることによって推力を生じさせるために、放電によって昇華し、さらに電離してプラズマ化する物質からなる推進剤である。固体推進剤201は、放出させるときより相対的に小さいエネルギー(付着エネルギー)を与えられて加熱されることによって溶解あるいは昇華する物質であり、これによって固体推進剤を固体推進剤付着ドラム203に付着させてそこに転移させることができる。
固体推進剤保持容器202、固体推進剤付着ドラム203、固体推進剤付着ドラム回転モータ204、付着用レーザ光線発振器205A、固体推進剤給送バネ209、およびコントローラ212は、第1の実施形態などの対応する構成要素と同じ構造を有する。ただし、コントローラ212はイグナイタ231cのトリガ放電電源に接続されている点が相違する。
ノズル231は、昇華した固体推進剤201を推進ジェット208として外部に導く噴出部と固体推進剤201に推進エネルギーを供給する推進エネルギー供給手段の一実施形態であり、それらを組合わせた実施形態である。ノズル231は、噴出部としては、高圧ガス化した固体推進剤201が周囲に拡散して機器等に再固化して付着し、周辺を汚染させることを防ぐとともに、推進ジェット208の噴出方向や噴出速度を適切にすることにより、効率的な推力が得られるようにする。ノズル231に含まれる主放電電極231a及び主放電電極231bは、好適には、推進ジェット208の下流側になるほど両者の間隔が広がるように末広状に対向配置される棒状の電極である。ノズル231は好適には2枚の同じ形状の側面壁を有しており、それが対向配置された主放電電極231aと主放電電極231bとをサンドイッチ状に挟み込むように配置されることによって、ノズル231の内部に末広の空洞を画定する。ノズル231をこのような末広の直方体のような形態とすることによって、主放電電極231aと主放電電極231bとの間に直線的な空間が形成されるため安定した主放電を行わせることができ、末広の空洞となっているのでできるだけ高速な推進ジェット208を下流方向に集中的に噴出させることが可能となる。主放電電極231aと主放電電極231bは、図示しない主放電電源から高電圧の電力の供給を受け、固体推進剤201を昇華させてプラズマ化し、それを電磁的に加速する主放電を行うための電極である。
イグナイタ231cは、図示しないトリガ放電電源から電力の供給を受け、主放電を開始させるためのトリガ放電を行うためのトリガ放電電極を含むプラグである。イグナイタ231cは、その本体がいずれかの主放電電極(ここでは主放電電極231c)を貫通して埋め込まれており、ノズル231の内部の空洞にトリガ放電電極を露出させる。イグナイタ231cは、1つ又は2つの電極を有しており、トリガ放電電極が1つの場合はそれと主放電電極231cとの間で、トリガ放電電極が2つの場合はそれらの間でトリガ放電を起こさせる。コントローラ212は、トリガ放電電源がイグナイタ431cにおいて放電を起こさせるタイミングを制御する。
次に、宇宙用固体推進剤推進機200の動作について説明する。宇宙用固体推進剤推進機200の動作は第1の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機100などの動作と共通する部分があるが、以下のように、固体推進剤201を放出させるための構成や動作がそれとは異なっている。
固体推進剤付着ドラム203は、第1の実施形態と同様に、付着用レーザ光線発振器205Aから照射された付着用レーザ光線206Aによって、その表面に固体推進剤201が付着させられている。固体推進剤付着ドラム203に付着した固体推進剤201は、コントローラ212の制御により、固体推進剤付着ドラム回転モータ204によって放出位置211まで移送される。主放電電極231aと主放電電極231bとの間には図示しない主放電電源により高電圧が印加されている。ここで行われる放電は瞬間的なものであるため、主放電電源は、瞬間的に大電流を供給できるような、例えば充電されたコンデンサとすると好適である。主放電電極231aと主放電電極231bとの間で主放電を開始させようとするときに、コントローラ212の制御により、イグナイタ231cがそれのトリガ放電電極を用いて小さいトリガ放電を起こす。このトリガ放電によってイオンと電子とからなるプラズマがトリガ放電電極の周囲に発生するが、これが主放電電極231aと主放電電極231bとの間の間の電界で加速されて衝突した分子をさらに電離させることによって、主放電を誘起する。
主放電で発生する熱によって放出位置211近傍の固体推進剤201は昇華し、昇華した固体推進剤201は、主放電の電流による電子やイオンとの衝突や熱によって電離してプラズマ化し、それがさらに主放電の電流を流れやすくする。こうして、パルス的な主放電が行われる。
主放電電流が主放電電極231aと主放電電極231bとの間で流れることにより、その主放電電流の周りに環状に自己誘起磁場が発生する。主放電電流はプラズマの中を流れるが、このプラズマ電流と自己誘導磁場との相互作用によって、プラズマが電磁的に下流に向かって加速される。加速されたプラズマはノズル231にも導かれて推進ジェット208としてノズル231の開口方向の下流に向けて放出させられ、その反作用として推力を生じさせる。このプラズマの加速機構は、パルス型プラズマスラスタ(PPT,Pulsed Plasma Thruster)の加速機構と同じであり、ここではPPT電磁加速と呼んでいる。以下、第1の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機100と同じ動作を行って、コントローラ212は、固体推進剤付着ドラム203の固体推進剤201の付着部分が付着位置210に反復的に復帰させられるように制御する。
(第3の実施形態:放電加熱)
次に、本発明の第3の実施形態の説明を行う。図3は、本発明の第3の実施形態に係る宇宙用固体推進剤推進機300の概略構成を表わす概略斜視図である。宇宙用固体推進剤推進機300は、固体推進剤の放出に放電加熱を利用する実施形態である。
まず、宇宙用固体推進剤推進機300の構成について説明する。他の実施形態の構成要素と対応する構成要素の符号は、10の位以下の数字を同じとしている。宇宙用固体推進剤推進機300は、固体推進剤保持容器302、固体推進剤付着ドラム303、固体推進剤付着ドラム回転モータ304、付着用レーザ光線発振器305A、ノズル307、および固体推進剤給送バネ309から構成される。ノズル307は、主放電電極307a及び主放電電極307bを含む。宇宙用固体推進剤推進機300は、図示しないが、上記の構成要素を適切な位置関係に保持しつつ収容するハウジングも構成として有する。また宇宙用固体推進剤推進機300は、図示しないが、固体推進剤付着ドラム回転モータ304、付着用レーザ光線発振器305A、、ならびに主放電電極307aおよび主放電電極307bの動作をそれぞれ関連させて制御するコントローラ312も構成として有する。宇宙用固体推進剤推進機300は、第2の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機200と比較すると、ノズル231に対応する構成を有しておらず、ノズル307を有している点が相違する。
固体推進剤301は、第1の実施形態における固体推進剤101と同様に、宇宙用固体推進剤推進機300から放出させられることによって推力を生じさせるために、加熱によって昇華する物質からなる推進剤である。固体推進剤301は、放出させるときより相対的に小さいエネルギー(付着エネルギー)を与えられて加熱されることによって溶解あるいは昇華する物質であり、これによって固体推進剤を固体推進剤付着ドラム303に付着させてそこに転移させることができる。
固体推進剤保持容器302、固体推進剤付着ドラム303、固体推進剤付着ドラム回転モータ304、付着用レーザ光線発振器305A、固体推進剤給送バネ309、およびコントローラ312は、第2の実施形態などの対応する構成要素と同じ構造を有する。ただし、コントローラ312が主放電電極307a及び主放電電極307bの主放電電源に接続されている点が相違する。
ノズル307は、昇華した固体推進剤301を推進ジェット308として外部に導く噴出部と固体推進剤301にエネルギーと供給する推進エネルギー供給手段の一実施形態であり、それらを組合わせた実施形態である。ノズル307は、噴出部としては、高圧ガス化した固体推進剤301が周囲に拡散して機器等に再固化して付着し、周辺を汚染させることを防ぐとともに、推進ジェット308の噴出方向や噴出速度を適切にすることにより、効率的な推力が得られるようにする。ノズル307に含まれる主放電電極307a及び主放電電極307bは、好適には、固体推進剤付着ドラム303上の放出位置311の直上にそれらの間隙が位置するように配置される。このように配置することによって、主放電電極307aと主放電電極307bの間で発生させられる主放電が固体推進剤付着ドラム303上の固体推進剤301を放電のエネルギーによって効率的に加熱することができるようになる。主放電電極307aと主放電電極307bは、図示しない主放電電源から高電圧の電力の供給を受け、固体推進剤301を昇華させるための電極である。
次に、宇宙用固体推進剤推進機300の動作について説明する。宇宙用固体推進剤推進機300の動作は第2の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機200などの動作と共通する部分があるが、以下のように、固体推進剤301を放出させるための構成や動作がそれとは異なっている。
固体推進剤付着ドラム303は、第1の実施形態と同様に、付着用レーザ光線発振器305Aから照射された付着用レーザ光線306Aによって、その表面に固体推進剤301が付着させられている。固体推進剤付着ドラム303に付着した固体推進剤301は、コントローラ312の制御により、固体推進剤付着ドラム回転モータ304によって放出位置311まで移送される。主放電電極307aと主放電電極307bとの間で主放電を起こさせようとするときに、コントローラ312の制御により、主放電電源がそれらの間に超高電圧を印加する。ここで行われる放電は瞬間的なものであるため、主放電電源は、瞬間的に大電流を供給できるような、例えば充電されたコンデンサに超高電圧発生のためのコイルを接続したものとすると好適である。主放電電源から超高電圧が印加されると、主放電電極307aと主放電電極307bとの間で瞬間的な放電が発生し、それが固体推進剤301を加熱する。放電経路内に固体推進剤301が入るようにし、固体推進剤301自身に放電電流を流して発熱させるようにすると好適である。加熱された固体推進剤301は、昇華して高温高圧のガスとなる。そのガスは、ノズル307に導かれて推進ジェット308としてノズル307の開口方向の下流に向けて放出させられ、その反作用として推力を生じさせる。以下、第1の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機100と同じ動作を行って、コントローラ312は、固体推進剤付着ドラム303の固体推進剤301の付着部分が付着位置310に反復的に復帰させられるように制御する。
なお、ノズル307内に、第2の実施形態におけるイグナイタ231cに対応する構成を配置してもよい。この場合、主放電電極307aと主放電電極307bとの間にはある程度の高電圧をあらかじめ印加しておく。そして、イグナイタ331cがそれのトリガ放電電極を用いて小さいトリガ放電を起こさせる。このトリガ放電が、主放電電極307aと主放電電極307bとの間の主放電を誘起し、固体推進剤301を高圧ガス化する(イグナイタを使用する実施形態)。
(第4の実施形態:レーザ加熱、複数レーザの切替)
次に、本発明の第4の実施形態の説明を行う。図4は、本発明の第4の実施形態に係る宇宙用固体推進剤推進機400の概略構成を表わす概略斜視図である。宇宙用固体推進剤推進機400は、固体推進剤の放出はレーザ加熱を利用し、複数のレーザ光線発振器を切り換えて使用することによって、推進ジェットの方向を変化させる実施形態である。まず、宇宙用固体推進剤推進機400の構成について説明する。他の実施形態の構成要素と対応する構成要素の符号は、10の位以下の数字を同じとしている。宇宙用固体推進剤推進機400は、固体推進剤保持容器402、固体推進剤付着ドラム403、固体推進剤付着ドラム回転モータ404、付着用レーザ光線発振器405A、推進用レーザ光線発振器405B1、推進用レーザ光線発振器405B2、推進用レーザ光線発振器405B3、および固体推進剤給送バネ409から構成される。宇宙用固体推進剤推進機400は、図示しないが、上記の構成要素を適切な位置関係に保持しつつ収容するハウジングも構成として有する。また宇宙用固体推進剤推進機400は、図示しないが、固体推進剤付着ドラム回転モータ404、付着用レーザ光線発振器405A、推進用レーザ光線発振器405B1、推進用レーザ光線発振器405B2、および推進用レーザ光線発振器405B3、の動作をそれぞれ関連させて制御するコントローラ412も構成として有する。宇宙用固体推進剤推進機400は、第1の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機100と比較すると、ノズル107に対応する構成を有しておらず、推進用レーザ光線発振器を複数有している点が相違する。宇宙用固体推進剤推進機400は、固体推進剤401を推進剤として使用する。
固体推進剤401は、第1の実施形態における固体推進剤101と同様に、宇宙用固体推進剤推進機400から放出させられることによって推力を生じさせるために、加熱によって昇華する物質からなる推進剤である。固体推進剤401は、放出させるときより相対的に小さいエネルギー(付着エネルギー)を与えられて加熱されることによって溶解あるいは昇華する物質であり、これによって固体推進剤を固体推進剤付着ドラム403に付着させてそこに転移させることができる。
固体推進剤保持容器402、固体推進剤付着ドラム403、固体推進剤付着ドラム回転モータ404、付着用レーザ光線発振器405A、固体推進剤給送バネ409、およびコントローラ412は、第1の実施形態などの対応する構成要素と同じ構造を有する。ただし、コントローラ412が推進用レーザ光線発振器405B1、推進用レーザ光線発振器405B2、および推進用レーザ光線発振器405B3に接続されており、推力を得ようとする方向に対応して動作させる推進用レーザ光線発振器を切り換える点が相違する。
推進用レーザ光線発振器405B1、405B2、および405B3は、それぞれが第1の実施形態の推進用レーザ光線発振器105Bと同じ構造を有するが、それぞれが発振するレーザ光線406B1、406B2、および406B3を、それぞれ固体推進剤付着ドラム403上の異なる放出位置411B1、411B2、および411B3に対して固体推進剤付着ドラム403を通じて裏面から照射するように配置される点が相違する。この実施形態では3つの推進用レーザ光線発振器が用いられているが、推進用レーザ光線発振器の個数は任意の複数とすることができる。宇宙用固体推進剤推進機400は、第1の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機100のノズル107に対応する構成は必ずしも必要ない。この場合、放出位置411B1、411B2、および411B3の間隔を大きくすることができ、推進ジェットの方向、すなわち推力の向きを大きく変えることができる。なお、図示しないが、第1の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機100のノズル107と同様に位置に配置されるノズル432を有するようにすることもできる。ノズル432は、ノズル432の上流端の開口部が放出位置411B1、411B2、および411B3のすべてを囲むようにそれに近接して配置される。ノズル432の上流端の開口部は円形ではなく、放出位置411B1、411B2、および411B3に沿った帯状あるいは楕円形が好適であり、ノズル432の断面も帯状あるいは楕円形が好適である。ノズル432は、昇華した固体推進剤401が周囲に拡散して機器等に再固化して付着し、周辺を汚染させることを防ぐとともに、推進ジェット408の噴出方向や噴出速度が適切になるように制御することにより、効率的な推力が得られるようにする。
次に、宇宙用固体推進剤推進機400の動作について説明する。宇宙用固体推進剤推進機400の動作は第1の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機100などの動作と共通する部分があるが、以下のように、固体推進剤401を放出させるための構成や動作がそれとは異なっている。
固体推進剤付着ドラム403は、第1の実施形態と同様に、付着用レーザ光線発振器405Aから照射された付着用レーザ光線406Aによって、その表面に固体推進剤401が付着させられている。固体推進剤付着ドラム403に付着した固体推進剤401は、コントローラ412の制御により、固体推進剤付着ドラム回転モータ404によって、所望の推進ジェット408の噴出方向に応じた放出位置411B1、411B2、および411B3Cのいずれかまで移送される。ここでは、放出位置411B1が所望の推進ジェット408の噴出方向に応じた放出位置とする。
コントローラ412は、固体推進剤401が推進ジェットの噴出方向に応じた放出位置411B1に移送されてきたことを、センサーや固体推進剤付着ドラム回転モータ404の回転量などから検知し、推進用レーザ光線発振器405B1に推進用レーザ光線406B1を発振させて放射させ、それを放出位置411B1に移送されてきた固体推進剤付着ドラム403上の固体推進剤401の付着部分に対して固体推進剤付着ドラムを通じて裏面から照射させる。固体推進剤401が連続的に移送されてくる場合は、推進用レーザ光線406B1も連続的に照射される。推進用レーザ光線406B1が照射された固体推進剤401は、推進用レーザ光線406B1のエネルギーを吸収して加熱されて昇華し、高温高圧のガスとなる。その高圧化したガスは、放出位置411B1における固体推進剤付着ドラム403の表面から垂直方向に同じ大きさの圧力を受けてその方向に加速される。それは、ノズル432に導かれて推進ジェット408としてノズル432の開口方向の範囲内の所望の方向の下流に向けて放出させられ、その反作用として推力を生じさせる。コントローラ412は、所望の方向に応じて、推進用レーザ光線発振器405B1、405B2、および405B3の内のいずれかを動作させ、放出位置411B1、411B2、および411B3の対応するいずれかの位置にある固体推進剤401を加熱させ、所望の方向に推進ジェット408を噴出させる動作を継続する。以下、第1の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機100と同じ動作を行って、コントローラ412は、固体推進剤付着ドラム403の固体推進剤401の付着部分が付着位置410に反復的に復帰させられるように制御する。
(第5の実施形態:レーザ加熱、可変レーザ照射方向)
次に、本発明の第5の実施形態の説明を行う。図5は、本発明の第5の実施形態に係る宇宙用固体推進剤推進機500の概略構成を表わす概略斜視図である。宇宙用固体推進剤推進機500は、固体推進剤の放出はレーザ加熱を利用し、レーザ光線発振器が発生するレーザ光線の照射方向を変化させることによって、推進ジェットの方向を変化させる実施形態である。まず、宇宙用固体推進剤推進機500の構成について説明する。他の実施形態の構成要素と対応する構成要素の符号は、10の位以下の数字を同じとしている。宇宙用固体推進剤推進機500は、固体推進剤保持容器502、固体推進剤付着ドラム503、固体推進剤付着ドラム回転モータ504、付着用レーザ光線発振器505A、推進用レーザ光線発振器505B、固体推進剤給送バネ509、および推進用レーザ光線発振器アクチュエータ571から構成される。宇宙用固体推進剤推進機500は、図示しないが、上記の構成要素を適切な位置関係に保持しつつ収容するハウジングも構成として有する。また宇宙用固体推進剤推進機500は、図示しないが、固体推進剤付着ドラム回転モータ504、付着用レーザ光線発振器505A、推進用レーザ光線発振器505B、および推進用レーザ光線発振器アクチュエータ571の動作をそれぞれ関連させて制御するコントローラ512も構成として有する。宇宙用固体推進剤推進機500は、第1の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機100と比較すると、ノズル507に対応する構成を有しておらず、推進用レーザ光線発振器アクチュエータ571を有している点が相違する。宇宙用固体推進剤推進機500は、固体推進剤501を推進剤として使用する。
固体推進剤501は、第1の実施形態における固体推進剤101と同様に、宇宙用固体推進剤推進機500から放出させられることによって推力を生じさせるために、加熱によって昇華する物質からなる推進剤である。固体推進剤501は、放出させるときより相対的に小さいエネルギー(付着エネルギー)を与えられて加熱されることによって溶解あるいは昇華する物質であり、これによって固体推進剤を固体推進剤付着ドラム503に付着させてそこに転移させることができる。
固体推進剤保持容器502、固体推進剤付着ドラム503、固体推進剤付着ドラム回転モータ504、付着用レーザ光線発振器505A、固体推進剤給送バネ509、およびコントローラ512は、第1の実施形態などの対応する構成要素と同じ構造を有する。ただし、コントローラ512が推進用レーザ光線発振器アクチュエータ571にも接続されている点が相違する。
推進用レーザ光線発振器アクチュエータ571は、レーザ光線照射方向可変手段の一形態であり、好適にはそれの可動部が推進用レーザ光線発振器505Bに接続されたリニアアクチュエータあるいはロータリーアクチュエータである。コントローラ512は、所望の推進ジェットの噴出方向に基づいて推進用レーザ光線発振器アクチュエータ571の可動部の動作量を決定し、推進用レーザ光線発振器アクチュエータ571がその動作量だけ可動部を動作させるように制御する。これによって、推進用レーザ光線発振器アクチュエータ571は推進用レーザ光線発振器505Bの向きを変化させ、推進用レーザ光線506Bの照射方向を変化させる。推進用レーザ光線506Bが照射される放出位置511は噴出方向に応じて変化させられる。
宇宙用固体推進剤推進機500は、第1の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機100のノズル107に対応する構成は必ずしも必要ない。この場合、放出位置511の変化し得る範囲を大きくすることができ、推進ジェットの方向、すなわち推力の向きを大きく変えることができる。なお、図示しないが、第1の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機100のノズル107と同様に位置に配置されるノズル532を有するようにすることもできる。ノズル532は、ノズル532の上流端の開口部が放出位置511の変化し得る範囲のすべてを囲むようにそれに近接して配置される。ノズル532の上流端の開口部は円形ではなく、放出位置511の変化し得る範囲に沿った帯状あるいは楕円形が好適であり、ノズル532の断面も帯状あるいは楕円形が好適である。ノズル532は、昇華した固体推進剤501が周囲に拡散して機器等に再固化して付着し、周辺を汚染させることを防ぐとともに、推進ジェット508の噴出方向や噴出速度が適切になるように制御することにより、効率的な推力が得られるようにする。
次に、宇宙用固体推進剤推進機500の動作について説明する。宇宙用固体推進剤推進機500の動作は第1の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機100などの動作と共通する部分があるが、以下のように、固体推進剤501を放出させるための構成や動作がそれとは異なっている。
固体推進剤付着ドラム503は、第1の実施形態と同様に、付着用レーザ光線発振器505Aから照射された付着用レーザ光線506Aによって、その表面に固体推進剤501が付着させられている。固体推進剤付着ドラム503に付着した固体推進剤501は、コントローラ512の制御により、固体推進剤付着ドラム回転モータ504によって、所望の推進ジェット508の噴出方向に応じて推進用レーザ光線発振器アクチュエータ571により向きが変化させられた推進用レーザ光線発振器505Bが放射する推進用レーザ光線506Bの照射方向にある放出位置511まで移送される。
コントローラ512は、固体推進剤501が推進用レーザ光線506Bの照射方向にある放出位置511に移送されてきたことを、センサーや固体推進剤付着ドラム回転モータ504の回転量などから検知し、推進用レーザ光線発振器905Bに推進用レーザ光線506Bを発振させて放射させ、それを放出位置511に移送されてきた固体推進剤付着ドラム503上の固体推進剤501の付着部分に対して固体推進剤付着ドラム503を通じて裏面から照射させる。固体推進剤501が連続的に移送されてくる場合は、推進用レーザ光線506Bも連続的に照射される。推進用レーザ光線506Bが照射された固体推進剤501は、推進用レーザ光線506のエネルギーを吸収して加熱されて昇華し、高温高圧のガスとなる。その高圧化したガスは、放出位置511における固体推進剤付着ドラム503の表面から垂直方向に同じ大きさの圧力を受けてその方向に加速される。それは、ノズル532に導かれて推進ジェット508としてノズル532の開口方向の範囲内の所望の方向の下流に向けて放出させられ、その反作用として推力を生じさせる。コントローラ512は、所望の方向に応じて、推進用レーザ光線発振器アクチュエータ571を動作させて推進用レーザ光線発振器505Bの向きを変化させて放出位置511を変化させ、所望の方向に推進ジェット508を噴出させる動作を継続する。以下、第1の実施形態における宇宙用固体推進剤推進機100と同じ動作を行って、コントローラ512は、固体推進剤付着ドラム503の固体推進剤501の付着部分が付着位置510に反復的に復帰させられるように制御する。
これまで各種の実施形態を説明してきたが、まとめると、以下に示すように種々の部分的構成について種々のバリエーションが存在する。宇宙用固体推進剤推進機においては、以下に示すように、それらのバリエーションを可能な範囲で自由に組み合わせてそれを構成することができる。
1.固体推進剤の化学的特性
(1)熱昇華性
(2)熱昇華性かつ放電によりプラズマ化
この項の「(1)熱昇華性」は、3項において「(1)レーザ加熱」または「(2)放電加熱」の場合において使用することができる。この項の「(2)熱昇華性かつ放電によりプラズマ化」は、3項において「(3)PPT電磁加速」の場合において使用することができる。
2.固体推進剤付着ドラムの形状
(1)円柱形
(2)部分的な円柱形
(3)平面
この項のバリエーションを自由に選択して使用することができる。
3.固体推進剤の加速方法
(1)レーザ加熱
(2)放電加熱
(3)PPT電磁加速
上述の1項で述べた対応関係のものを使用することができる。
4.レーザ加熱における推進ジェットの噴出方向
(1)単一の推進用レーザ光線発振器による単一の噴出方向
(2)複数の推進用レーザ光線発振器の切り換えによる可変噴出方向
(3)単一の可変照射方向推進用レーザ光線発振器による可変噴出方向
この項のバリエーションを自由に選択して使用することができる。
本発明の第1の実施形態に係る宇宙用固体推進剤推進機100の概略構成を表わす概略斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る宇宙用固体推進剤推進機200の概略構成を表わす概略斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る宇宙用固体推進剤推進機300の概略構成を表わす概略斜視図である。 本発明の第4の実施形態に係る宇宙用固体推進剤推進機400の概略構成を表わす概略斜視図である。 本発明の第5の実施形態に係る宇宙用固体推進剤推進機500の概略構成を表わす概略斜視図である。
符号の説明
100,200,300,400,500 宇宙用固体推進剤推進機
101,201,301,401,501 固体推進剤
102,202,302,402,502 固体推進剤保持容器
103,203,303,403,503 固体推進剤付着ドラム
104,204,304,404,504 固体推進剤付着ドラム回転モータ
105A,205A,305A,405A,505A 付着用レーザ光線発振器
105B,205B,305B,405B1,405B2,405B3,405B 推進用レーザ光線発振器
106,206,306,406B1,406B2,406B3,506 レーザ光線
107,207,307,432,532 ノズル
307a 主放電電極
307b 主放電電極
108,208,308,408,508 推進ジェット
110,210,310,410,510 付着位置
111,211,311,411B1,411B2,411B3,511 放出位置
112,212,312,412,512 コントローラ
231 ノズル
231a 主放電電極
231b 主放電電極
231c イグナイタ
571 推進用レーザ光線発振器アクチュエータ

Claims (15)

  1. 固体推進剤を保持する固体推進剤保持手段と、
    前記固体推進剤保持手段が保持している前記固体推進剤の一端から前記固体推進剤をその表面に付着させる固体推進剤付着面と、
    前記固体推進剤保持手段に保持されている前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面側に送ることによって、それを前記固体推進剤付着面上に付着させる場所である付着位置に給送する固体推進剤給送手段と、
    給送によって前記固体推進剤付着面上の付着位置に接触あるいは近接させられた部分の前記固体推進剤を加熱して溶解あるいは昇華させ、それによって前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面に付着させる付着エネルギー供給手段と、
    前記固体推進剤付着面の前記固体推進剤の付着部分を移動させることによって、前記固体推進剤を、それを放出させる場所である放出位置に移送する固体推進剤移送手段と、
    前記放出位置に移送された前記固体推進剤にエネルギーを与えることによって前記放出位置における前記固体推進剤付着面からそれとほぼ垂直な方向に加速し、推進ジェットとして下流に放出させる推進エネルギー供給手段と、を有し、
    前記固体推進剤移送手段によって前記放出位置に移動させられた前記固体推進剤付着面の前記固体推進剤の付着部分は、前記固体推進剤移送手段による前記固体推進剤付着面の移動によって、前記固体推進剤保持手段に保持された前記固体推進剤の前記一端の近傍に帰させられることを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
  2. 請求項1に記載の宇宙用固体推進剤推進機において、
    前記放出位置において発生した推進ジェットを上流端から取り入れ下流端から噴出させる管状の噴出部をさらに有し、
    前記噴出部は、それの上流端が前記固体推進剤付着面に近接して配置されており、
    前記放出位置は、前記固体推進剤付着面の前記噴出部の上流端に囲まれた領域内にあることを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
  3. 請求項2に記載の宇宙用固体推進剤推進機において、
    前記噴出部は、末広ノズル形状であることを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
  4. 請求項1に記載の宇宙用固体推進剤推進機において、
    前記固体推進剤は棒状に成形されており、
    前記固体推進剤給送手段は前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面側に直線的に移動させることによって給送することを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
  5. 請求項4に記載の宇宙用固体推進剤推進機において、
    前記固体推進剤給送手段は、前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面側に押し付ける力を与えることによって給送するように構成されたバネであることを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
  6. 請求項1に記載の宇宙用固体推進剤推進機において、
    前記固体推進剤付着面は少なくとも一部が透明材料で構成されており、
    前記付着エネルギー供給手段はレーザ光線発振器であり、
    レーザ光線発振器である前記付着エネルギー供給手段は、レーザ光線を発生して前記付着位置における前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面の裏面から透明材料を通して照射し、それによって前記固体推進剤を加熱して溶解あるいは昇華させることにより前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面に付着させることを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
  7. 請求項1に記載の宇宙用固体推進剤推進機において、
    前記固体推進剤は加熱により昇華する物質であり、
    前記固体推進剤付着面は少なくとも一部が透明材料で構成されており、
    前記推進エネルギー供給手段はレーザ光線発振器であり、
    レーザ光線発振器である前記推進エネルギー供給手段は、レーザ光線を発生して前記放出位置内の前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面の裏面から透明材料を通して照射し、それによって前記固体推進剤を加熱して昇華させることにより放出させることを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
  8. 請求項2に記載の宇宙用固体推進剤推進機において、
    前記固体推進剤は加熱により昇華する物質であり、
    前記推進エネルギー供給手段は前記噴出部の内部に対向配置された主放電電極とそのための主放電電源であり、
    前記主放電電源は高電圧を発生させて前記主放電電極間にそれを印加して主放電を発生させ、近傍の前記固体推進剤を加熱して昇華させることによって放出させることを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
  9. 請求項8に記載の宇宙用固体推進剤推進機において、
    前記主放電電極間の主放電を開始させるためのトリガ放電を行うための、前記噴出部の内部の前記固体推進剤付着面に近接して設けられたトリガ放電電極を含むイグナイタと、 前記トリガ放電のためのトリガ放電電源と、をさらに含み、
    前記主放電電極は、末広状に対向配置された棒状の電極であり、
    前記イグナイタによるトリガ放電によって前記主放電電極間に主放電が発生させられ、 前記主放電電極間の前記主放電によって昇華させられた前記固体推進剤の少なくとも一部は前記主放電によってさらにプラズマ化され、
    前記主放電電極間に発生させられたプラズマ化した前記固体推進剤に前記主放電によって流される電流と、前記主放電によって発生する磁場との電磁的相互作用によって、前記プラズマ化した前記固体推進剤は前記噴出部の下流に噴出させられることを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
  10. 請求項8または9に記載の宇宙用固体推進剤推進機において、
    前記主放電電極は、前記噴出部の少なくとも一部を構成していることを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
  11. 請求項1に記載の宇宙用固体推進剤推進機において、
    前記固体推進剤付着面の形状は円柱形であり、
    前記固体推進剤移送手段は、前記固体推進剤付着面を円柱形の中心軸を中心にして回転させることによって前記固体推進剤を前記放出位置に移送することを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
  12. 請求項1に記載の宇宙用固体推進剤推進機において、
    前記固体推進剤付着面の形状は底面が扇形である部分的な円柱形であり、
    前記固体推進剤移送手段は、前記固体推進剤付着面を円柱形の中心軸を中心にしてスイングさせることによって前記固体推進剤を前記放出位置に移送することを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
  13. 請求項1に記載の宇宙用固体推進剤推進機において、
    前記固体推進剤付着面の形状は平面であり、
    前記固体推進剤移送手段は、前記固体推進剤付着面を直線的に往復させることによって前記固体推進剤を前記放出位置に移送することを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
  14. 請求項1に記載の宇宙用固体推進剤推進機において、
    前記固体推進剤は加熱により昇華する物質であり、
    前記固体推進剤付着面の形状は円柱形あるいは底面が扇形である部分的な円柱形であり、
    前記固体推進剤付着面は少なくとも一部が透明材料で構成されており、
    前記推進エネルギー供給手段は前記固体推進剤付着面のそれぞれ異なる複数の位置にレーザ光線を照射する複数のレーザ光線発振器であり、
    前記放出位置は前記のレーザ光線が照射される異なる複数の位置にそれぞれ対応して設けられており、
    レーザ光線発振器である前記推進エネルギー供給手段は、レーザ光線を発生して前記放出位置内のいずれかの位置の前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面の裏面から透明材料を通して照射し、それによって前記固体推進剤を加熱して昇華させることにより放出させることを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
  15. 請求項1に記載の宇宙用固体推進剤推進機において、
    前記固体推進剤は加熱により昇華する物質であり、
    前記固体推進剤付着面の形状は円柱形あるいは底面が扇形である部分的な円柱形であり、
    前記固体推進剤付着面は少なくとも一部が透明材料で構成されており、
    前記推進エネルギー供給手段はレーザ光線の照射方向を変化させるレーザ光線照射方向可変手段を備えたレーザ光線発振器であり、
    前記放出位置は前記のレーザ光線が照射される位置に対応して設けられており、
    レーザ光線発振器である前記推進エネルギー供給手段は、レーザ光線を発生して前記放出位置内のいずれかの位置の前記固体推進剤を前記固体推進剤付着面の裏面から透明材料を通して照射し、それによって前記固体推進剤を加熱して昇華させることにより放出させることを特徴とする宇宙用固体推進剤推進機。
JP2005144489A 2005-05-17 2005-05-17 宇宙用固体推進剤推進機 Expired - Fee Related JP4107391B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005144489A JP4107391B2 (ja) 2005-05-17 2005-05-17 宇宙用固体推進剤推進機
US11/435,521 US7641150B2 (en) 2005-05-17 2006-05-16 Solid propellant-based space propulsion device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005144489A JP4107391B2 (ja) 2005-05-17 2005-05-17 宇宙用固体推進剤推進機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006321292A JP2006321292A (ja) 2006-11-30
JP4107391B2 true JP4107391B2 (ja) 2008-06-25

Family

ID=37541284

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005144489A Expired - Fee Related JP4107391B2 (ja) 2005-05-17 2005-05-17 宇宙用固体推進剤推進機

Country Status (2)

Country Link
US (1) US7641150B2 (ja)
JP (1) JP4107391B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20110274134A1 (en) * 2010-05-04 2011-11-10 Alexander Rubenchik Solar pumped laser microthruster
US20110302906A1 (en) * 2010-06-15 2011-12-15 John Elihu Sinko Laser Tractor Beam
US10047731B2 (en) * 2015-04-06 2018-08-14 The United States Of America, As Represented By The Secretary Of The Navy Plasma propellant ablation/sublimation based systems
WO2018094504A1 (en) * 2016-11-23 2018-05-31 Institut National De La Recherche Scientifique Method and system of laser-driven impact acceleration
DE102017117316B4 (de) * 2017-07-31 2020-04-02 Technische Universität Dresden Feldemissionsantriebssystem sowie Verfahren zum Kalibrieren und Betreiben eines Feldemissionsantriebssystems
US20220081133A1 (en) * 2019-01-21 2022-03-17 Sky Perfect Jsat Corporation Propulsion strengthening member
CN115092422B (zh) * 2022-05-23 2023-03-10 中国人民解放军战略支援部队航天工程大学 一种用于激光微推力器双层靶带的供给盘制备方法及其生产装置

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3392527A (en) * 1966-05-13 1968-07-16 Cornell Aeronautical Labor Inc Method of ionic propulsion utilizing a laser-stimulated ionic emission
US3825211A (en) * 1972-06-19 1974-07-23 Phaser Telepropulsion Inc Laser rocket
US4142088A (en) * 1973-08-17 1979-02-27 The United States Of America As Represented By The United States Department Of Energy Method of mounting a fuel pellet in a laser-excited fusion reactor
US4036012A (en) * 1976-02-18 1977-07-19 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Army Laser powered rocket engine using a gasdynamic window
ATE376122T1 (de) * 1995-12-09 2007-11-15 Matra Marconi Space France Steuerbarer hall-effekt-antrieb
US5924278A (en) * 1997-04-03 1999-07-20 The Board Of Trustees Of The University Of Illinois Pulsed plasma thruster having an electrically insulating nozzle and utilizing propellant bars
US6530212B1 (en) * 2000-02-25 2003-03-11 Photonic Associates Laser plasma thruster
WO2003007311A1 (en) * 2001-07-09 2003-01-23 W.E. Research Llc Description of methods to increase propellant throughput in a micro pulsed plasma thruster

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006321292A (ja) 2006-11-30
US7641150B2 (en) 2010-01-05
US20070075190A1 (en) 2007-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4448935B2 (ja) 宇宙用粉体推進剤推進機
JP4107391B2 (ja) 宇宙用固体推進剤推進機
Levchenko et al. Space micropropulsion systems for Cubesats and small satellites: From proximate targets to furthermost frontiers
EP1640608B1 (en) Spacecraft thruster
RU2620880C2 (ru) Двигатель на эффекте холла
CA2998508C (en) Internal wire-triggered pulsed cathodic arc propulsion system
US4821509A (en) Pulsed electrothermal thruster
EP3938653B1 (en) Spacecraft propulsion devices and systems with microwave excitation
US20130067883A1 (en) Spacecraft thruster
US20130061571A1 (en) Laser propelled flight vehicle
US5439191A (en) Railgun thruster
US20050001102A1 (en) System and method for attitude control and station keeping
RU2644798C1 (ru) Импульсный детонационный ракетный двигатель
US11465784B2 (en) Modular micro-cathode arc thruster
AU2003304728A8 (en) Dual-mode chemical-electric thrusters for spacecraft
JP2013137024A (ja) スラスタ及びそのシステム、そして推進発生方法
JP2013174204A (ja) パルス型推進機ユニット
WO2019176187A1 (ja) 噴射装置及び推進システム
RU2756147C1 (ru) Лазерный двигатель космического летательного аппарата
JP7212212B2 (ja) 吐出装置および吐出方法
RU2757615C1 (ru) Способ работы двигателя космического летательного аппарата
Nardini et al. I‐2d: Propulsion Systems
RU2072447C1 (ru) Способ создания тяги в электрическом ракетном двигателе
JP2006037824A (ja) 放電プラズマ反応型スラスタ
JP2014194220A (ja) スラスタ及び推進発生方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071225

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080317

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080325

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110411

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140411

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees