JP2013174204A - パルス型推進機ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間に亘って高い推進効率を維持しつつ動作可能である、パルス型推進機ユニットを提供する。
【解決手段】上流電極、下流電極、及び高融点絶縁性部材により放電室を形成し、更に放電室の内部へ推進剤を供給する供給部を備えた、パルス型推進機ユニットを提供する。固体推進剤自体により放電室壁を形成するという構成をとらないため、固体推進剤が不均一に消耗されたとしても放電室が変形せず、高い推進効率が保たれる。
【選択図】図5

Description

本発明は、パルス型推進機ユニットに関する。より詳細には、本発明は、固体推進剤が消耗されても放電室が変形せず、高い密閉性を保つことにより、推進効率の経時的な低下を抑えることを可能とする、パルス型推進機ユニットに関する。
人工衛星等、宇宙機の運用においては、地表からの打ち上げが完了して軌道運動に移行した後であっても、推進機による姿勢制御、軌道修正等が必要となる場合がある。一例としては、通信衛星に搭載されたアンテナを目的方向に向けるための姿勢制御や、長期間の運用に伴って生じる本来の軌道からのずれを補償するための軌道修正が挙げられる。
そのような目的に使用される推進機の1つに、パルス型プラズマスラスタ(PPT:Pulsed Plasma Thruster)がある。パルス型プラズマスラスタは、典型的にはテフロン(登録商標。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の商品名。)等の固体推進剤を用いて、10μs程度の短時間に亘り推力を発生させる推進機である。PPTは、放電室内でガス化された推進剤を加速させるために利用する現象に応じて、電磁加速型PPT(図1)と空力加速型PPT(図2)とに分類することができる。これらは、以下の原理により動作して推力を発生させる。
(1)外部電源回路(不図示)によってスパークプラグ2にパルス型の高電圧が印加され、微小放電が発生する。この放電エネルギーにより固体推進剤3のうち少量が昇華し、さらに電離(プラズマ化)する。
(2)電離したガス状推進剤により、電極4,5が短絡される。スパークプラグ2への上記高電圧の印加に同期して、スイッチ6がオン状態とされる。これにより、キャパシタ7に蓄えられた電荷が上記両電極間を一斉に流れる(主放電)。
(3)主放電により放出されたエネルギーによって、固体推進剤3は更に昇華、電離する。電離したガス状推進剤は、両電極間を流れる放電電流と自己誘起磁場とにより加速される(「電磁加速」)とともに、特に放電室8の密閉性が高い場合には、空気力学的作用により加速される(「空力加速」)。
(4)加速されたガス状推進剤が、推進剤ジェットとして放電室8からスラスタ外へと噴出し、これにより生じる反力が推力として利用される。
なお、固体推進剤3が消耗されるに伴い、放電室8側の表面が後退して放電室8が変形するが、これに応答して、固体推進剤3は押出しバネ9から受ける力により前進する。したがって、当該放電室8側の表面内で固体推進剤3が不均一に消耗され、当該表面が変形することによる影響を無視すれば、放電室8は元の形状に復帰する。
電磁加速を利用するよう設計されたPPTが電磁加速型PPTであり、空力加速を利用するよう設計されたPPTが空力加速型PPTである。電磁加速型PPTにおいて、放電室8の密閉は必須ではない。また、推進剤ジェットが噴出する方向は放電電流の方向と直交する。これに対し、空力加速型PPTにおいては、ガス状推進剤を閉じ込めて高圧化する必要があるため、推進剤ジェットの噴出口11を除いて放電室8の密閉が必須である。噴出口11を設ける位置に応じて、推進剤ジェットが噴出する方向を放電電流の方向と平行にすることも、直交させることも可能であるが、一方の電極4又は5に噴出口を設けて噴出方向を放電電流の方向と平行にすることが多い。
放電室に固体推進剤を供給するための機構としては、図1に示す構成と同様に、ブロック状に成形された固体推進剤を、推進剤ジェットの上流側から、その消耗量に応じてバネで押出す構成(特許文献1)や、1本、又は複数本の、棒状に成形された固体推進剤を放電室の側面から供給する構成(特許文献2)が提案されている。しかしながら、例えばブロック状に成形された固体推進剤の、放電室壁を形成する同一面内においてさえ、面内位置により固体推進剤の消耗速度は異なるのであり、バネで押出すことにより固体推進剤を追加供給しても放電室の形状を完全に維持することはできない。棒状の固体推進剤を供給する構成も、同様の問題を有している。その他、図3に示すとおり、2本の棒状に成形された固体推進剤を左右から突き合わせて放電室を形成することも提案されているが、このような放電室を用いた場合、使用開始当初は放電室の密閉性も高く十分な推進性能が示されるものの、継続的使用に伴い放電室が変形して密閉性も損なわれ、性能が低下することが報告されている(非特許文献1)。
さらに、放電室の密閉性を高めるべく、放電室に対する固体推進剤の追加供給を廃止した構成も提案されているが(特許文献3)、この場合には使用できる推進剤総量が減少し、推力のインパルスビットが小さくなる。また放電室の形状、サイズが大きく変化するため、継続的使用に伴い性能は著しく低下する(非特許文献2。図4参照)。
米国特許出願公開第2003/0033797号明細書 米国特許第5924278号明細書 特開2008−169779号
枝光、田原「電熱加速型パルスプラズマスラスタの性能向上に関する研究」高温学会誌31(5),2005年9月 池田、尾崎、荒木、西澤、井上、井口、田原、渡辺 "Research and Development of Nano-Satellite PROITERES Series at Osaka Institute of Technology" ISTS-j-21 28th International Symposium on Space Technology and Science (ISTS) Okinawa Convention Center, in Ginowan City, Okinawa June 5-10, 2011
本発明は、以上の状況に鑑みなされた。本発明の目的は、昇華により消耗される固体推進剤を追加供給することが可能であり、且つ、継続的に使用されても放電室が変形せず、高い密閉性が保たれ、これにより長期間に亘り高い推進効率を維持しつつ動作することが可能である、パルス型推進機ユニットを提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は、第1の電極と、第2の電極と、高融点絶縁性部材と、により形成される放電室と、放電室の内部に推進剤を供給する、推進剤供給部と、放電室の内部に供給された推進剤に、パルス型放電エネルギーを供給する、点火装置とを備え、点火装置によるパルス型放電エネルギーの供給に誘発されて第1の電極と第2の電極との間で起こる主放電により主放電エネルギーを供給された、推進剤を、放電室に設けられた噴出口を通じて噴出させることにより、推力を発生させるよう構成されたパルス型推進機ユニット、を提供する。
本発明のパルス型推進機ユニットにおいて、放電室は、第1,第2の電極、及び高融点絶縁性部材から形成される。したがって、従来のように固体推進剤が放電室の1つの壁面、又は放電室の全体形状を規定するために、固体推進剤の消耗に伴って放電室が変形し、密閉性も損なわれる、という問題は起こらない。
なお、放電室の内部に推進剤を供給するためには、後述のとおりスリットや供給孔等を設けて推進剤の供給経路を確保する必要があるが、これらスリット等の大きさを十分小さくしても、そこを通って供給される推進剤の速度を十分高くすることにより、単位時間に放電室の内部へと供給される推進剤の量を任意に選択することが可能である。したがって、実質的には第1,第2の電極と高融点絶縁性部材のみによって、放電室の形状を規定することが可能である。
また、上記記載中、「高融点絶縁性部材」とは、推進剤に主放電エネルギーが供給されて高温ガス化等した場合であっても、放電室が変形する程の溶融が起こらない程度に融点が高く、且つ、当該部材を介して第1,第2の電極間で起こる漏電が無視できる程度に導電性が低い部材を意味する。固体推進剤としてテフロンを用いる場合、当該部材として典型的にはセラミックスやガラス等が用いられるが、これらに限らず、推進剤として用いられる物質の昇華点や、放電室の変形及び漏電をどの程度許容するのか、等の具体的実施状況に応じて任意の部材を採用することが可能である。推進剤も固体テフロンに限られるわけではなく、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニールの粉体等、ガス化可能なものであればどのようなものを用いてもよい。
本発明のパルス型推進機ユニットにおいては、多くの空力加速型PPTに採用されている構成に従い、噴出口を第1の電極と第2の電極のいずれか一方に設けることができる。ただし、このように噴出口を配置することは必須ではなく、放電室の任意の位置に噴出口を設けてよい。
本発明のパルス型推進機ユニットにおいては、推進剤供給部を、シート状に成形された固体推進剤を放電室に設けられたスリットを通じて放電室の内部へと送り出すシート状固体推進剤送出部、として構成することができる。後述の実施例において説明するとおり、一例としては、シート状に成形された固体推進剤を電動ローラにより放電室の内部へと送り出すことが可能である。このような構成を採用すれば、主放電により高圧ガス化した推進剤がシート状の固体推進剤を放電室の壁面へと圧迫することによる、放電室の密閉性の更なる向上が達成される。
上述のシート状固体推進剤送出部を備える態様においては、シート状に成形された固体推進剤を巻回された状態で収容してシート状固体推進剤送出部に供給する、シート状固体推進剤収容部、を更に備えることが好ましい。宇宙機内で推進剤を収容するために使用できるスペースは限られているが、上記のとおりシート状固体推進剤を巻回して省スペース化を図れば、限られたスペース内に、より多量の推進剤を収容することが可能となる。
上述のシート状固体推進剤送出部を備える態様においては、放電室の内部へと送り出される固体推進剤の送出量を決定し、決定された送出量の固体推進剤を送出するようシート状固体推進剤送出部を制御する、シート状固体推進剤送出部制御手段、を更に備えることが好ましい。一例としては、上述の電動ローラの回転量を制御する制御回路として、シート状固体推進剤送出部制御手段を構成することができる。この場合、点火装置によるパルス型放電が1ショット行われる度に所定の量だけ電動ローラを回転させるよう、制御回路により電動ローラを制御すれば、放電室の内部に存在する固体推進剤の量を概ね一定に維持することが可能となる。
また、放電室の壁面内、所定の位置に近接するシート状に成形された固体推進剤の層数を検出する、シート状固体推進剤層数検出部を、上述のシート状固体推進剤送出部制御手段に備えた上で、当該制御手段により、シート状固体推進剤層数検出部により検出された層数に基づき、放電室の内部へと送り出される固体推進剤の送出量を決定し、決定された送出量の固体推進剤を送出するようシート状固体推進剤送出部を制御することが可能である。一例としては、放電室の壁面内にフォトダイオード等の光検出器を設置し、上述の電動ローラの制御回路と接続して、点火装置のパルス型放電時、又は主放電時に光検出器により検出される光強度に応じて固体推進剤シートの層数を検出した上で(層数が多いほど、検出される光強度は低下する。)、この層数が常に一定に保たれるよう、固体推進剤の送出量を決定することが可能である。
特に、スリットの近傍にある所定の位置に近接する、シート状に成形された固体推進剤の層数を検出するよう、シート状固体推進剤層数検出部を構成し、さらに、シート状固体推進剤送出部制御手段によって、シート状固体推進剤層数検出部により検出される層数が1以上となるよう、放電室の内部へと送り出される固体推進剤の送出量を決定し、決定された送出量の固体推進剤を送出するようシート状固体推進剤送出部を制御することが有効である。このような構成をとることにより、スリットの近傍にシート状の固体推進剤が1層以上存在する状態を維持すれば、上述のとおり高圧ガス化した推進剤がシート状の固体推進剤を放電室の壁面へと圧迫することによりスリットが塞がれて、放電室の密閉性は更に向上する。
上述のシート状固体推進剤送出部を備える態様においては、放電室の内部からスリットを通って放電室外部へと向かう流体の移動を妨げる漏洩防止弁を設けることが好ましい。漏洩防止弁を設けることにより、放電室の密閉性は更に向上する。
また、推進剤供給部として、上述のシート状固体推進剤送出部ではなく、線状に成形された固体推進剤を放電室に設けられた供給孔を通じて放電室の内部へと送り出す、線状固体推進剤送出部を用いてもよい。線状の固体推進剤を用いれば、放電室の壁面に僅かな開口部を設けて推進剤を供給することが可能となり、これにより密閉性の低減を最小限に抑えることができる。一例としては、シート状の固体推進剤を送り出すために用いたものと同様の電動ローラにより、線状に成形された固体推進剤を放電室の内部へと送り出すことが可能である。
上述の線状固体推進剤送出部を備える態様においては、線状に成形された固体推進剤を収容して線状固体推進剤送出部に供給する、線状固体推進剤収容部、を更に備えることが好ましい。シート状固体推進剤を用いる場合と同様に、所定の収容部へと線状固体推進剤を収容することにより省スペース化を図ることが可能である。
上述の線状固体推進剤送出部を備える態様においては、放電室の内部へと送り出される固体推進剤の送出量を決定し、決定された送出量の固体推進剤を送出するよう線状固体推進剤送出部を制御する、線状固体推進剤送出部制御手段、を更に備えることが好ましい。一例としては、シート状固体推進剤を用いる場合と同様に、上述の電動ローラの回転量を制御する制御回路として、線状固体推進剤送出部制御手段を構成することができる。
上述の線状固体推進剤送出部を備える態様においても、放電室の内部から供給孔を通って放電室外部へと向かう流体の移動を妨げる漏洩防止弁を設けることが好ましい。これにより、放電室の密閉性は更に向上する。
なお、放電室の形状を円筒状にすれば、特にシート状固体推進剤を用いる態様において放電室壁面の各々の位置を覆うシートの層数が等しくなるよう、シート状固体推進剤を供給することが可能となる。ただし、放電室の形状としては、円錐状等、任意の形状を採用してよい。
本発明のパルス型推進機ユニットは、固体推進剤自体により放電室の形状を規定するという構成をとっておらず、推進剤が不均一に消耗された場合であっても放電室の形状及び密閉性を維持することが可能である。さらに、本発明のパルス型推進機ユニットは、放電室の内部に推進剤を追加供給する推進剤供給部を備えている。これらの構成を備えた本発明のパルス型推進機ユニットにより、長期間に亘る高い推進効率での推進動作が可能となる。
従来の電磁加速型PPTである。 従来の空力加速型PPTである。 固体推進剤により形成された放電室の、継続的使用に伴う変形を示す図である。 固体推進剤により形成された放電室の、継続的使用に伴う拡張を示す図である。 本発明の一実施形態であるパルス型推進機ユニットの模式図である。 本発明の一実施形態であるパルス型推進機ユニットと、キャパシタ、各種の制御回路等との接続関係を示す図である。 放電室の内部にフォトダイオードを設置し、検出された光強度に基づいて電動ローラを制御するための構成を描いた図である。 図7a中、放電室に送り出されたテフロンシートの形状を描いた図である。 スリットに漏洩防止弁を設けることにより、ガス化した推進剤が漏洩することを防止するための構成を描いた図である。 本発明の更なる一実施形態であるパルス型推進機ユニットの模式図である。 本発明の更なる一実施形態であるパルス型推進機ユニットと、キャパシタ、各種の制御回路等との接続関係を示す図である。 供給孔に漏洩防止弁を設けることにより、ガス化した推進剤が漏洩することを防止するための構成を描いた図である。
これより図面を用いて、本発明に係るパルス型推進機ユニットの構成及び動作を説明する。ただし、本発明に係るパルス型推進機ユニットの構成及び動作は、各図面、及び関連する説明により示される特定の具体的構成及び動作へと限定されるわけではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能である。一例として、放電室の形状は任意であるし、噴出口、イグナイタも放電室内の任意の位置に設けることが可能である。また、イグナイタやスイッチ、電動ローラは、後述の制御と同様の制御を行うことができる任意のシステムによって動作させることができる。
パルス型推進機ユニット100の構成
図5は、本発明の一実施形態であるパルス型推進機ユニット100の模式図である。パルス型推進機ユニット100は、モリブデン、タングステン等の導電物質から作製された上流電極101及び下流電極102と、セラミックスやガラス等の高融点絶縁性材料から作製された高融点絶縁性部材103と、を備える。これらは溶接処理等により一体化されて(図5中では分離した状態で示されている。)、主放電を行うための放電室104を形成している。また、下流電極102には、主放電によりガス化された推進剤を噴出するための噴出口105が設けられるとともに、主放電を誘発するためにパルス型放電を行うイグナイタ106が設置されている。
さらに、パルス型推進機ユニット100は電動ローラ107を備える。電動ローラ107は、電動ローラ制御回路(図6参照)の制御の下、推進剤であるテフロンシート108を、スリット109を通じて放電室104内部へと送り出す。なお、テフロンシート108は、省スペース化のために任意の容器(図6中、テフロンシート収容部110)に巻回された状態で収容されているものとする。
なお、図解の都合上、各々の要素を明示する必要があるため、図5中では電動ローラ107及びスリット109の、下流電極102側の端部が露出しているように描かれている。実際には、放電室の密閉性を確保するべく、これらを高融点絶縁性部材103の内部に設けることが好ましい。
パルス型推進機ユニット100の動作
以下、図6を用いて、パルス型推進機ユニット100の動作を説明する。なお、上流電極101と下流電極102は、あらかじめ充電されたキャパシタ111、及びMOSFET等のスイッチ112を介して接続されており、動作開始時点でスイッチ112はオフ状態にされている。
まず、パルス型放電制御回路から、イグナイタ106のスパークプラグにパルス型の高電圧(1kV〜2kV程度)が印加される。スパークプラグの中心電極と接地電極と(これらは、噴出口105側に露出している。)の間で微小放電が起こり、この放電エネルギーによって放電室104の内部に送り出されたテフロンシート108の一部が昇華し、さらに電離する。
引き続き、電離したガス状のテフロンにより、上流電極101、下流電極102が短絡される。イグナイタ106のスパークプラグへの、上記高電圧の印加に同期して、スイッチ制御回路(不図示)によりスイッチ112がオン状態とされる。これにより、キャパシタ111に蓄えられた電荷が上記両電極間を一斉に流れる(主放電)。
主放電により放出されたエネルギーによって、放電室104の内部に送り出されたテフロンシート108は更に昇華、電離する。電離したテフロンは、前述のとおり電磁気的作用及び空気力学的作用により加速される。
加速されたガス状のテフロンが、推進剤ジェットとして放電室104から噴出口105を通ってスラスタ外へと噴出し、これにより生じる反力が推力として利用される。
さらに、パルス型放電制御回路による高電圧の印加が行われたことに応答して、典型的には電圧印加から10μs程度(実験的、又は理論的に決定された、主放電の持続時間に対応する時間)が経過した後、パルス型放電制御回路から電動ローラ制御回路に対してトリガ信号が送信される。トリガ信号を受信した電動ローラ制御回路は、主放電により昇華して失われた量のテフロンシート108を放電室104内に供給するべく、電動ローラ107に対して制御信号を送信する。制御信号を受信した電動ローラ107は、昇華により消耗されたテフロンシート108の長さ(パルス型推進機ユニット100の実運用前に、動作試験等により1ショットあたりの消耗量が測定されており、且つ消耗量に対応する長さが電動ローラ制御回路に入力されているとする。)に対応する量だけ回転することにより、放電室104内にテフロンシート108を送り出す。
外部回路(不図示)からパルス型放電制御回路に対して、推力発生を要求する信号が送信される度に、以上の動作が行われる。推力発生動作が行われる度、電動ローラ107により放電室104の内部へと、テフロンシート108が新たに送り出されるため、長期間に亘る繰り返しの推力発生動作が可能となる。なお、キャパシタ111に対しては、随時、例えば外部の定電圧直流電源(不図示)により、主放電で失われた分の電荷が補充されるものとする。
なお、図6に示すとおり、動作前において、あらかじめ電動ローラ107により放電室104内へと送り出しておくテフロンシート108を十分少量にすれば、放電室104の形状に対するテフロンシート108の寄与を実質的には無視できる。したがって、パルス型推進機ユニット100は放電室104の形状を維持しつつ高効率で動作し続けることが可能である。
しかしながら、あらかじめ送り出すテフロンシート108を少量にすることは必須ではない。むしろ図7a、図7bに示すとおり、放電室の内壁に沿って1以上の層をなすよう、テフロンシート108を送り出しておけば、主放電により高圧ガス化したテフロンが、未だ消耗されていないテフロンシート108を放電室104の壁面へと圧迫するため、テフロンシート108が弁として機能し、これによりスリット付近の密閉性が向上するとともに、テフロンシート108による放電室104の形状への影響を抑えることができる。
上述のとおり、テフロンシート108を弁として利用する場合には、フォトダイオード113を放電室104の壁面内、スリット109付近に設置して、スリット109付近を覆っているテフロンシート108の層数を監視することが好ましい。スパークプラグのパルス型放電時、又は主放電時に検出される光強度は、フォトダイオード113付近を覆うテフロンシート108の層数が多いほど低下すると考えられ、検出される光強度と層数との対応関係をあらかじめ実験により決定しておくことが可能である。この対応関係は、電動ローラ制御回路にあらかじめ入力されているものとする。
一例においては、パルス型放電制御回路からイグナイタ106のスパークプラグへと、パルス型の高電圧が印加されることに同期して、フォトダイオード113の検出した光強度を表す信号が、電動ローラ制御回路へと送信される(フォトダイオード113の制御回路は不図示。パルス型放電制御回路に接続されているものとする。)。電動ローラ制御回路は、受信した光強度の値から、現在スリット109付近を覆っているテフロンシート108の層数を検出する。検出された層数が規定の数(典型的には1だが、複数層による密閉が必要な場合は2以上であってもよい。)よりも少なければ、電動ローラ制御回路は、「不足している層数×放電室104の外周長」の長さだけテフロンシート108を放電室104の内部へと送り出すことを決定し、電動ローラ107に対して、決定された長さの送出を命令する制御信号を送信する。検出された層数が規定の数よりも多ければ、電動ローラ制御回路は、「過剰である層数×放電室104の外周長」の長さだけテフロンシート108を放電室104の内部から回収することを決定し、電動ローラ107に対して、決定された長さに対応する量だけ逆回転させるための制御信号を送信する。制御信号に応じて電動ローラ107が順方向(放電室104内部にテフロンシート108を送り出す回転方向)又は逆方向に回転することにより、スリット109付近を覆うテフロンシート108の層数が規定の数へと調整される。
なお、フォトダイオードを、特にスリット109付近に設置することは必須ではない。スリット109付近に限らず、放電室104の内壁をガス化したテフロンの圧力によってテフロンシート108で圧迫すれば、放電室104全体の密閉性が向上するのであり、任意の位置にフォトダイオード114を設置してテフロンシート108の層数を監視し、検出された層数に応じてテフロンシートの送出(回収)量を決定することも有効である。その他、放電室104の密閉性を更に向上させるためには、図8に示すとおり、スリット109内に平板状の漏洩防止弁115を設けてもよい。漏洩防止弁115は、漏洩防止弁接続部116を軸として、図8中の矢印方向のみに回転するよう構成されており、放電室104内部へテフロンシート108が送り出される際には、その送出を妨げないよう回転する一方、放電室104の内部からスリット109を通って外部へと向かうガス化されたテフロン等、流体の漏洩を防止する弁として機能する。
図9は、本発明の更なる一実施形態であるパルス型推進機ユニット200の模式図である。高融点絶縁性部材に103に、スリット109ではなく供給孔117が設けられており、供給孔117を通って線状テフロン118を放電室104に供給する点が、図5に示す構成と異なる。
なお、図5に示す構成と同様に、上流電極101及び下流電極102は、それぞれ高融点絶縁部材103と溶接処理等により一体化されており、また図解の都合上、図9中では電動ローラ107の端部が露出しているように描かれているが、実際にはこれらを高融点絶縁性部材103の内部に設けることが好ましい。
図9に示すパルス型推進機ユニット200の動作は、図10に示すとおり、テフロンシート108ではなく、線状テフロン収容部119に螺旋形状、あるいはランダム形状で収容された線状テフロン118を、電動ローラ107により放電室104内部へと送り出す点を除けば、図5に示すパルス型推進機ユニット100の動作と同様である。イグナイタ106のスパークプラグにパルス型電圧が印加されてパルス放電が起こり、これにより少量の線状テフロン118が昇華する。上流電極101と下流電極102とが短絡され、またパルス型電圧の印加に同期してスイッチ112がオン状態とされることにより、キャパシタ111に蓄えられた電荷が両電極間を一斉に流れる。この主放電により、より多くの線状テフロンが昇華、電離し、電磁気的作用及び空気力学的作用により加速されて、噴出口105からスラスタ外へと噴出する。併せて、パルス型電圧の印加に応答して、パルス型放電制御回路から電動ローラ制御回路に対してトリガ信号が送信され、電動ローラ制御回路からの制御信号を受信した電動ローラ107は、昇華により消耗された線状テフロン118の長さ(パルス型推進機ユニット200の実運用前に、動作試験等により1ショットあたりの消耗量が測定されており、且つ消耗量に対応する長さが電動ローラ制御回路に入力されているとする。)に対応する量だけ回転することにより、放電室104内に線状テフロン118を送り出す。キャパシタ111に対して外部電源等から電荷が補充されることも、図5に示すパルス型推進機ユニット100の動作と同様である。
ただし、主放電により高圧ガス化したテフロンが、未だ消耗されていない線状テフロン118を放電室104の壁面へと圧迫したとしても、これにより放電室104の密閉性が向上するという効果は、テフロンシート108を用いる場合に比べれば小さい。したがって、図11に示すとおり、供給孔117内、放電室104への出口部分に同軸形状の漏洩防止弁120を設けることにより、放電室104の内部から供給孔117を通って外部へと向かうガス化されたテフロン等、流体の漏洩を防止することが好ましい。
本発明のパルス型推進機ユニットは、人工衛星等、宇宙機の姿勢制御、軌道修正等に利用することができる。一例として、ミラーを搭載した複数の小型衛星に本発明のパルス型推進機ユニットを搭載して、衛星相互間の距離を随時調整しつつフォーメーション・フライト(編隊飛行)を行えば、各々のミラーが地上へと反射する太陽光により文字等を描く等、人工衛星をエンターテインメント目的で利用することが可能となる。
1 電磁加速型PPT
2 スパークプラグ
3 固体推進剤
4 電極
5 電極
6 スイッチ
7 キャパシタ
8 放電室
9 押出しバネ
10 空力加速型PPT
11 噴出口
100 パルス型推進機ユニット
101 上流電極
102 下流電極
103 高融点絶縁性部材
104 放電室
105 噴出口
106 イグナイタ
107 電動ローラ
108 テフロンシート
109 スリット
110 テフロンシート収容部
111 キャパシタ
112 スイッチ
113 フォトダイオード
114 フォトダイオード
115 平板状漏洩防止弁
116 漏洩防止弁接続部
200 パルス型推進機ユニット
117 供給孔
118 線状テフロン
119 線状テフロン収容部
120 同軸状漏洩防止弁

Claims (13)

  1. 第1の電極と、第2の電極と、高融点絶縁性部材と、により形成される放電室と、
    前記放電室の内部に推進剤を供給する、推進剤供給部と、
    前記放電室の内部に供給された前記推進剤に、パルス型放電エネルギーを供給する、点火装置と
    を備え、前記点火装置による前記パルス型放電エネルギーの供給に誘発されて前記第1の電極と前記第2の電極との間で起こる主放電により主放電エネルギーを供給された、前記推進剤を、前記放電室に設けられた噴出口を通じて噴出させることにより、推力を発生させるよう構成された、パルス型推進機ユニット。
  2. 前記噴出口が前記第1の電極と前記第2の電極のいずれか一方に設けられた、請求項1に記載のパルス型推進機ユニット。
  3. 前記推進剤供給部は、シート状に成形された固体推進剤を、前記放電室に設けられたスリットを通じて該放電室の内部へと送り出す、シート状固体推進剤送出部として構成される、請求項1又は2のいずれか一項に記載のパルス型推進機ユニット。
  4. 前記シート状に成形された固体推進剤を巻回された状態で収容して前記シート状固体推進剤送出部に供給する、シート状固体推進剤収容部
    を更に備える、請求項3に記載のパルス型推進機ユニット。
  5. 前記放電室の内部へと送り出される前記固体推進剤の送出量を決定し、該決定された送出量の固体推進剤を送出するよう前記シート状固体推進剤送出部を制御する、シート状固体推進剤送出部制御手段
    を更に備える、請求項3又は4に記載のパルス型推進機ユニット。
  6. 前記シート状固体推進剤送出部制御手段が、
    前記放電室の壁面内、所定の位置に近接する前記シート状に成形された固体推進剤の層数を検出する、シート状固体推進剤層数検出部
    を備え、前記シート状固体推進剤層数検出部により検出された層数に基づき、前記放電室の内部へと送り出される前記固体推進剤の送出量を決定し、該決定された送出量の固体推進剤を送出するよう前記シート状固体推進剤送出部を制御する、請求項5に記載のパルス型推進機ユニット。
  7. 前記シート状固体推進剤層数検出部は、前記スリットの近傍にある前記所定の位置に近接する、前記シート状に成形された固体推進剤の層数を検出し、さらに、
    前記シート状固体推進剤送出部制御手段は、前記シート状固体推進剤層数検出部により検出される層数が1以上となるよう、前記放電室の内部へと送り出される前記固体推進剤の送出量を決定し、該決定された送出量の固体推進剤を送出するよう前記シート状固体推進剤送出部を制御する、請求項6に記載のパルス型推進機ユニット。
  8. 前記放電室の内部から前記スリットを通って該放電室外部へと向かう流体の移動を妨げる漏洩防止弁、を設けた、請求項3乃至7のいずれか一項に記載のパルス型推進機ユニット。
  9. 前記推進剤供給部は、線状に成形された固体推進剤を、前記放電室に設けられた供給孔を通じて該放電室の内部へと送り出す、線状固体推進剤送出部として構成される、請求項1又は2に記載のパルス型推進機ユニット。
  10. 前記線状に成形された固体推進剤を収容して前記線状固体推進剤送出部に供給する、線状固体推進剤収容部
    を更に備える、請求項9に記載のパルス型推進機ユニット。
  11. 前記放電室の内部へと送り出される前記固体推進剤の送出量を決定し、該決定された送出量の固体推進剤を送出するよう前記線状固体推進剤送出部を制御する、線状固体推進剤送出部制御手段
    を更に備える、請求項9又は10に記載のパルス型推進機ユニット。
  12. 前記放電室の内部から前記供給孔を通って該放電室外部へと向かう流体の移動を妨げる漏洩防止弁、を設けた、請求項9乃至11のいずれか一項に記載のパルス型推進機ユニット。
  13. 前記放電室の形状が円筒状である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のパルス型推進機ユニット。
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