JP4106819B2 - 内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料噴射弁を用いて必要な燃料量を圧縮行程中に供給している内燃機関、例えば筒内噴射型内燃機関などにおいては、所望の燃焼を行わせるためには燃料噴射弁から正確な燃料量を噴射することが必要である。この正確な燃料噴射量を実現するためには、燃料噴射弁に燃料を分配している燃料分配管内の燃料圧力を必要な圧力に維持しなくてはならない。
【0003】
この燃料圧力維持のためには、燃料分配管から燃料噴射弁へ供給される燃料噴射量を補うように、十分な燃料量を燃料ポンプから燃料分配管に供給することが必要である。これを実現するための技術として、燃料噴射弁から噴射される最大燃料噴射量以上の燃料を常に燃料分配管へ供給して、いかなる燃料噴射量となっても燃料不足による燃料圧力の低下を防止するものが存在する。この場合、燃料噴射弁により噴射されなかった余分な燃料は、燃料分配管に設けられているリリーフ弁を介して再度燃料ポンプや燃料タンクに戻される。
【0004】
しかし、このように常に必要以上の大量の燃料を燃料分配管に対して供給し循環させることは、供給燃料量に応じた大きなエネルギーを常に必要とし、内燃機関の燃費の悪化につながるものである。
【0005】
こうしたエネルギーの浪費を防止するものとして、燃料噴射弁から噴射される燃料量のみを補う分の燃料量を燃料ポンプから燃料分配管に供給する技術が提案されている(例えば、特開平4−50462号公報)。この従来技術では、燃料分配管に燃料を圧送する高圧燃料ポンプに設けられた電磁スピル弁の閉弁期間を、燃料噴射弁の燃料噴射量に基づいて調整し、これに燃圧フィードバック制御を加えて、燃料分配管に対して過不足無く燃料を供給する制御を行っている。このことにより、常に大量の燃料を燃料分配管に対して循環させる必要がなくなり、供給燃料量に応じたエネルギーも小さなものとなり、内燃機関の燃費の悪化を防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した制御では、燃料噴射量が小さくなった場合には、高圧燃料ポンプから燃料分配管に圧送される燃料量を小さくするために、電磁スピル弁の閉弁期間(燃料の圧送期間)を短くする。このため、高圧燃料ポンプの吸入行程において一旦、燃料低圧側からポンプ室内に吸入した燃料を、逆にポンプ室から燃料低圧側へ戻す燃料量が多くなる。このことにより、高圧燃料ポンプと燃料低圧側燃料経路との間で、大量の燃料が正逆反転を繰り返す事態が発生して、燃料流動に大きな脈動が発生するという問題が生じる。このように大きな燃料脈動が生じると、低圧燃料系部品の信頼性の低下や脈動音発生の問題などが派生するおそれがあり、またパルセーションダンパなどの燃料脈動低減部品の追加などといった部品増加に伴うコストアップのおそれも生じる。
【0007】
本発明は、燃料噴射量に応じて燃料圧送量を調整する内燃機関の高圧燃料ポンプにおいて、燃料噴射量が小さくなった場合にも、低圧燃料系統での燃料脈動を防止することができる内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、シリンダと該シリンダ内に配置されたプランジャとの間の相対的な往復動により、前記シリンダと前記プランジャとにより区画形成されたポンプ室内へ低圧側から燃料を吸入する吸入行程と、前記ポンプ室の燃料を加圧する加圧行程とを実行する高圧燃料ポンプにおいて、前記加圧行程中に、前記ポンプ室内の燃料を低圧側へ溢流することにより前記燃料噴射弁側への燃料圧送を行わない非圧送期間と、前記ポンプ室内の燃料を低圧側へ溢流しないことにより前記燃料噴射弁側への燃料圧送を行う圧送期間とを設け、前記燃料噴射弁における燃料噴射量に基づいて前記圧送期間の長さを調整することで、前記燃料噴射弁に対する燃料圧力を制御する内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置であって、燃料噴射量が判定値よりも小さいことに基づいて燃料脈動をまねく旨判定し、これにともない前記燃料噴射量に対応した圧送期間よりも長いものを実際の圧送期間として設定する圧送期間補正手段を備えたことを要旨としている。
【0009】
このように、圧送期間補正手段は、燃料脈動をまねく旨判定したときには、圧送期間の実際の長さを、燃料噴射量に基づいて設定される圧送期間よりも長くしている。このため、実際の圧送期間は極端に短くなることがない。したがって、高圧燃料ポンプの吸入行程において一旦燃料低圧側からポンプ室内に吸入した燃料を、再度燃料低圧側に戻す燃料量は大量になることはない。このため、高圧燃料ポンプの燃料低圧側の燃料経路において燃料の大きな脈動が発生することはない。
【0010】
さらに、このことにより燃料噴射量以上の燃料が燃料噴射弁側に圧送されるが、このような状況は燃料脈動をまねく旨判定された場合に限られる。このような限られた状況での圧送燃料量の増加あるいは維持であることから、余分な燃料を循環させるエネルギーを必要とすることに伴う内燃機関の燃費の悪化も抑制できる。
【0011】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置において、前記圧送期間補正手段は、燃料脈動をまねく旨判定したときの燃料噴射量に対応した圧送期間よりも長いもの、または前記判定値に対応した圧送期間よりも長いものを実際の圧送期間として設定することを要旨としている。
【0012】
このように、圧送期間補正手段において行われる圧送期間を長くするためのより具体的な手法としては、燃料脈動をまねく旨判定したときに、圧送期間の実際の長さを、燃料噴射量が判定値より小さくなった時に燃料噴射量に基づいて設定される圧送期間以上の長さの期間、あるいは前記判定値に基づいて設定される圧送期間以上の長さの期間に設定する手法が挙げられる。
【0013】
このようにしても、判定値に対応する圧送期間あるいは燃料噴射量が判定値より小さくなった時点での圧送期間よりも、実際の圧送期間の長さは短くなることはない。
【0014】
したがって、高圧燃料ポンプの吸入行程において燃料低圧側からポンプ室内に吸入した燃料を再度燃料低圧側に戻す燃料量は大量になることはなく、高圧燃料ポンプの燃料低圧側の燃料経路において燃料の大きな脈動は発生しない。
【0015】
さらに、このように燃料噴射量以上の燃料が燃料噴射弁側へ圧送されるのは燃料脈動をまねく旨判定された場合であり、限られた状況での圧送燃料量の増加あるいは維持であることから、余分な燃料を循環させるエネルギーを必要とすることに伴う内燃機関の燃費の悪化も抑制できる。
【0016】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置において、前記圧送期間補正手段は、内燃機関がアイドル状態にあることに基づいて燃料噴射量が前記判定値よりも小さい旨判定することを要旨としている。
【0017】
このように、内燃機関がアイドル状態にある場合を燃料噴射量が判定値よりも小さい場合と捉えることができる。したがって、内燃機関がアイドル状態であると判定されると、圧送期間補正手段は、圧送期間の実際の長さを、燃料噴射量に基づいて設定される圧送期間よりも長くする。このことにより、アイドル時においては、高圧燃料ポンプの吸入行程において一旦燃料低圧側からポンプ室内に吸入した燃料を再度燃料低圧側に戻す燃料量が大量とならず、高圧燃料ポンプの燃料低圧側の燃料経路において燃料の大きな脈動は発生しない。またアイドル状態といった限られた状況下での圧送燃料量の増加あるいは維持であることから、余分な燃料を循環させるエネルギーを必要とすることに伴う内燃機関の燃費の悪化も抑制できる。
【0018】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置において、前記圧送期間補正手段は、内燃機関が低回転低負荷状態にあることに基づいて燃料噴射量が前記判定値よりも小さい旨判定することを要旨としている。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置において、前記高圧燃料ポンプは、前記ポンプ室と前記低圧側との間を連通または遮断する開閉弁を備えるものであり、当該高圧燃料ポンプ制御装置は、前記燃料噴射量に基づく圧送期間の長さの調整として、前記開閉弁の閉弁期間を表す制御デューティを燃料噴射量に基づいて設定するものであり、前記圧送期間補正手段は、前記制御デューティが前記判定値とは別のものであるデューティ用判定値よりも小さいことに基づいて燃料脈動をまねく旨判定するものであることを要旨としている。
【0019】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置において、前記シリンダと前記プランジャとの間の相対的な往復動はカムの回転により行われるものであり、前記圧送期間補正手段は、前記シリンダと前記プランジャとの間の相対速度が燃料噴射量に対応した圧送期間の開始時期における前記シリンダと前記プランジャとの間の相対速度以下となる時期まで前記圧送期間の実際の開始時期を進角させることにより、実際の圧送期間を燃料噴射量に対応した圧送期間よりも長くするものであることを要旨としている。
【0020】
圧送期間の実際の長さは、圧送期間の開始時期を進角させることによって長くすることができる。ここで、高圧燃料ポンプがシリンダとプランジャとの間の相対的な往復動を、カムの回転により行う構成である場合には、圧送期間の開始時期の進角により、シリンダとプランジャとの間の相対速度がより高くなる時期に圧送期間の開始時期を持ってくるおそれがある。このように圧送期間の開始時期が前記相対速度がより高い時期に設定されると、溢流停止に伴う圧送開始時のショックが大きくなり、高圧燃料ポンプの作動音が高くなるおそれが生じる。
【0021】
本請求項では、圧送期間の実際の長さを長くするために、前記相対速度が高くならない時期を選択して圧送期間の開始時期を進角させている。このため高圧燃料ポンプの作動音が高くなることがない。更に、本請求項では請求項1〜5のいずれかに記載した作用効果も生じる。
【0022】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用された筒内噴射式内燃機関およびその制御装置の概略構成を表す。
【0023】
筒内噴射式内燃機関としてのガソリンエンジン(以下、「エンジン」と略す)2は、その出力により自動車を駆動するために自動車に搭載されている。このエンジン2は6つのシリンダ2aを有している。図2〜図5にも示すごとく、各シリンダ2aには、シリンダブロック4、シリンダブロック4内で往復動するピストン6、およびシリンダブロック4上に取り付けられたシリンダヘッド8にて区画された燃焼室10がそれぞれ形成されている。
【0024】
そして各燃焼室10には、それぞれ第1吸気弁12a、第2吸気弁12bおよび一対の排気弁16が設けられている。この内、第1吸気弁12aは第1吸気ポート14aに接続され、第2吸気弁12bは第2吸気ポート14bに接続され、一対の排気弁16は一対の排気ポート18にそれぞれ接続されている。
【0025】
図2はシリンダヘッド8の平面断面図であって、図示されるように第1吸気ポート14aおよび第2吸気ポート14bは略直線状に延びるストレート型吸気ポートである。また、シリンダヘッド8の内壁面の中央部には点火プラグ20が配置されている。更に、第1吸気弁12aおよび第2吸気弁12b近傍のシリンダヘッド8の内壁面周辺部には、燃焼室10内に直接燃料を噴射できるように燃料噴射弁22が配置されている。
【0026】
なお、図3はピストン6における頂面の平面図、図4は図2におけるX−X断面図、図5は図2におけるY−Y断面図である。図示されるように略山形に形成されたピストン6の頂面上には燃料噴射弁22の下方から点火プラグ20の下方まで延びるドーム形の輪郭形状を有する凹部24が形成されている。
【0027】
図1に示したごとく、各シリンダ2aの第1吸気ポート14aは吸気マニホールド30内に形成された第1吸気通路30aを介してサージタンク32に接続されている。また、第2吸気ポート14bは第2吸気通路30bを介してサージタンク32に連結されている。この内、各第2吸気通路30b内にはそれぞれ気流制御弁34が配置されている。これらの気流制御弁34は、共通のシャフト36を介して接続されていると共に、このシャフト36を介して負圧式アクチュエータ37により開閉作動される。なお、気流制御弁34が閉状態とされた場合には、第1吸気ポート14aのみから吸入される吸気により燃焼室10内には強い旋回流S(図2)が生じる。
【0028】
サージタンク32は吸気ダクト40を介してエアクリーナ42に連結されている。吸気ダクト40内にはモータ44(DCモータまたはステップモータ)によって駆動されるスロットル弁46が配置されている。このスロットル弁46の開度(スロットル開度TA)はスロットル開度センサ46aにより検出されて、スロットル弁46は運転状態に応じて開度制御される。また、各シリンダ2aの各排気ポート18は排気マニホルド48に連結されている。排気マニホルド48は触媒コンバータ49を介して排気を浄化して外部に排出している。
【0029】
図6に燃料供給系統の構成を示す。図示するごとく、第1吸気弁12aおよび第2吸気弁12b近傍のシリンダヘッド8には、燃料分配管50が設けられ、各シリンダ2aに設けられている燃料噴射弁22に接続している。成層燃焼および均質燃焼を行う際には、燃料分配管50から供給された燃料が燃料噴射弁22から直接燃焼室10内に噴射される。
【0030】
燃料噴射弁22に燃料を分配している燃料分配管50は高圧燃料通路54aを介して高圧燃料ポンプ54に接続されている。なお高圧燃料通路54aには、燃料分配管50から高圧燃料ポンプ54側に燃料が逆流することを規制するチェック弁54bが設けられている。高圧燃料ポンプ54には、低圧燃料通路54cを介して燃料タンク56内に設けられたフィードポンプ58が接続されている。
【0031】
フィードポンプ58は、燃料タンク56内の燃料を吸引して低圧燃料通路54c側に吐出することにより、フィルタ58aおよびプレッシャレギュレータ58bを介して高圧燃料ポンプ54のギャラリ54iに燃料を送出する。
【0032】
高圧燃料ポンプ54はシリンダヘッド8に取り付けられ、エンジン2の吸気弁用あるいは排気弁用のカムシャフト2bに設けられたポンプ用カム2cの回転により、ポンプシリンダ54d内のプランジャ54eを往復動させている。このプランジャ54eの往復動により、高圧ポンプ室54fの容積が増大する吸入行程では、高圧ポンプ室54f内に低圧燃料通路54c側からギャラリ54iを介して燃料を吸入する。そして、高圧ポンプ室54fの容積が減少する加圧行程では、高圧ポンプ室54fにて加圧した燃料を後述するごとく必要なタイミングで高圧燃料通路54aを介して燃料分配管50へ圧送している。
【0033】
高圧燃料ポンプ54は、内部に電磁スピル弁55が設けられている。この電磁スピル弁55はギャラリ54iと高圧ポンプ室54fとの間の連通遮断を行う開閉弁である。電磁スピル弁55が開弁している場合には、ギャラリ54iと高圧ポンプ室54fとは連通している。このため高圧ポンプ室54f内に吸入された燃料は、加圧行程となってもギャラリ54iへ溢流してしまう。したがって、燃料は高圧燃料通路54aを介して燃料分配管50側に圧送されることはなく、ギャラリ54iを介して低圧燃料通路54c側に戻される。これに対して、電磁スピル弁55が閉弁している場合には、ギャラリ54iと高圧ポンプ室54fとは連通していない。このため加圧行程では、燃料はギャラリ54iへ溢流することはなく、高圧燃料通路54aを介して燃料分配管50側へ圧送される。
【0034】
電子制御ユニット(以下、「ECU」と称する)60は、燃料分配管50に取り付けられた燃圧センサ50aにて検出された燃料圧力PとECU60により別途制御される燃料噴射量Qとを参照して、前述した電磁スピル弁55の開閉弁タイミングを制御する。このことにより、ECU60は、高圧燃料ポンプ54から燃料分配管50に加圧圧送される燃料量を調節し、燃料分配管50内の燃料圧力Pを必要な圧力に調節することができる。
【0035】
なお、燃料分配管50にはリリーフ弁54gを備えた排出経路54hが接続されている。燃料分配管50に過剰な燃料が供給されることで燃料分配管50内の燃料圧力が必要な圧力より高くなると、リリーフ弁54gが開弁して排出経路54h側へ燃料を排出して、燃料分配管50内の燃料圧力を維持する。排出経路54h側へ排出された燃料はギャラリ54i側へ戻される。このように本燃料供給系統は、燃料分配管50での過剰な燃料が燃料タンク56に戻されることがないリターンレスの燃料供給システムとして形成されている。
【0036】
このリターンレスの燃料供給システムにおいては、燃料分配管50から排出経路54hへ燃料が戻される場合には、排出経路54hから低圧燃料通路54cにかけての燃料圧力が上昇しようとする。このように低圧系の燃料圧力が上昇しようとすると、燃料タンク56内のプレッシャレギュレータ58bが開く。このことにより低圧燃料通路54c内に存在する燃料の内で、プレッシャレギュレータ58b近傍に存在する燃料、すなわちフィードポンプ58から汲み上げられたばかりの燃料が、プレッシャレギュレータ58bから燃料タンク56内に戻される。こうして、排出経路54hから低圧燃料通路54cにかけての低圧系の燃料圧力上昇が防止されるとともに、燃料タンク56内に戻される燃料は、燃料タンク56から汲み上げられたばかりの燃料であるので、燃料タンク56内の温度上昇を防止することができる。
【0037】
ECU60は、デジタルコンピュータからなり、双方向性バス62を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)64、ROM(リードオンリメモリ)66、CPU(マイクロプロセッサ)68、入力ポート70および出力ポート72を備えている。
【0038】
スロットル開度TAを検出するスロットル開度センサ46aはスロットル弁46の開度に比例した出力電圧をAD変換器73を介して入力ポート70に入力している。アクセルペダル74にはアクセル開度センサ76が取り付けられ、アクセルペダル74の踏み込み量に比例した出力電圧をAD変換器78を介して入力ポート70に入力している。上死点センサ80は例えばシリンダ2aの内の1番シリンダが吸気上死点に達したときに出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート70に入力される。クランク角センサ82は、クランクシャフトが30度回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート70に入力される。CPU68では上死点センサ80の出力パルスとクランク角センサ82の出力パルスから現在のクランク角が計算され、クランク角センサ82の出力パルスの頻度からエンジン回転数NEが計算される。サージタンク32には、吸気圧センサ84が設けられ、サージタンク32内の吸気圧PM(吸入空気の圧力:絶対圧)に対応した出力電圧をAD変換器85を介して入力ポート70に入力している。エンジン2のシリンダブロック4には水温センサ86が設けられ、エンジン2の冷却水温度THWを検出し冷却水温度THWに応じた出力電圧をAD変換器87を介して入力ポート70に入力している。排気マニホルド48には空燃比センサ88が設けられ、空燃比に応じた出力電圧をAD変換器89を介して入力ポート70に入力している。燃料分配管50に設けられた燃圧センサ50aは燃料分配管50内の燃料圧力Pに比例した出力電圧をAD変換器90を介して入力ポート70に入力している。
【0039】
出力ポート72は、対応する駆動回路92,94,96,98,100を介してイグナイタ102、各燃料噴射弁22、スロットル弁46の駆動用モータ44、負圧式アクチュエータ37、および電磁スピル弁55に接続されて、各装置102,22,44,37,55を必要に応じて駆動制御している。
【0040】
次にエンジン2において始動完了後に行われる燃料噴射制御について説明する。図7に燃料噴射制御に必要な運転領域を設定する処理のフローチャートを示す。本処理は予め設定されているクランク角毎に周期的に実行される処理である。なお、以下に説明する各フローチャート中の個々の処理ステップを「S〜」で表す。
【0041】
まず、クランク角センサ82の信号から得られているエンジン回転数NEと、アクセル開度センサ76の信号から得られているアクセルペダル74の踏み込み量(以下、アクセル開度と称する)ACCPとがRAM64の作業領域に読み込まれる(S100)。
【0042】
次に、これらエンジン回転数NEとアクセル開度ACCPとに基づいて、リーン燃料噴射量QLを算出する(S110)。このリーン燃料噴射量QLは、成層燃焼を行う際にエンジン2の出力トルクを要求トルクとするのに最適な燃料噴射量を表している。リーン燃料噴射量QLは予め実験により求められて、図8に示すごとく、アクセル開度ACCPとエンジン回転数NEとをパラメータとするマップとしてROM66内に記憶されている。ステップS110ではこのマップに基づいてリーン燃料噴射量QLが算出される。なお、マップでは離散的に数値が配置されているので、パラメータとして一致する値が存在しない場合には、補間計算により求めることになる。このような補間によるマップからの算出は、ここで述べたマップ以外のマップから必要な数値を求める場合にも同様に行われる。
【0043】
次に、こうして求められたリーン燃料噴射量QLとエンジン回転数NEとに基づいて、図9に示されるような3つの運転領域Rl,R2,R3が決定される(S115)。こうして一旦処理を終了する。
【0044】
このように運転領域Rl,R2,R3が決定されると、各運転領域Rl〜R3に応じて燃料噴射形態が制御される。すなわち、リーン燃料噴射量QLがしきい値QQ1よりも小さい運転領域R1では、リーン燃料噴射量QLに応じた量の燃料を圧縮行程末期に噴射する。この圧縮行程末期での噴射による噴射燃料はピストン6の凹部24内に進行した後、凹部24の周壁面26(図3,4)に衝突する。周壁面26に衝突した燃料は気化せしめられつつ移動して点火プラグ20近傍の凹部24内に可燃混合気層を形成する。そしてこの層状の可燃混合気に点火プラグ20によって点火がなされることにより、成層燃焼が行われる。
【0045】
また、リーン燃料噴射量QLがしきい値QQ1としきい値QQ2との間である運転領域R2では、リーン燃料噴射量QLに応じた量の燃料を吸気行程と圧縮行程末期とに2回に分けて噴射する。すなわち、吸気行程に第1回目の燃料噴射が行われ、次いで圧縮行程末期に第2回目の燃料噴射が行われる。第1回目の噴射燃料は吸入空気と共に燃焼室10内に流入し、この噴射燃料によって燃焼室10内全体に均質な稀薄混合気が形成される。また、圧縮行程末期に燃料噴射が行われる結果、前述したごとく点火プラグ20近傍の凹部24内には可燃混合気層が形成される。そしてこの層状の可燃混合気に点火プラグ20によって点火がなされ、またこの点火火炎によって燃焼室10内全体を占める稀薄混合気が燃焼される。すなわち、運転領域R2では前述した運転領域R1よりも成層度の弱い成層燃焼が行われる。
【0046】
リーン燃料噴射量QLがしきい値QQ2よりも多い運転領域R3では、理論空燃比基本燃料噴射量QBSに基づいて各種の補正を行った燃料量を吸気行程に噴射する。この噴射燃料は吸入空気と共に燃焼室10内に流入し、この噴射燃料によって燃焼室10内全体に均質な理論空燃比(後述するごとく、増量補正により理論空燃比より燃料濃度が濃いリッチ空燃比に制御される場合もある)の均質混合気が形成され、この結果、均質燃焼が行われる。
【0047】
上述した運転領域設定処理により設定された運転領域に基づいて実行される燃料噴射量制御処理のフローチャートを図10に示す。本処理は予め設定されているクランク角毎に周期的に実行される処理である。
【0048】
燃料噴射量制御処理が開始されると、まず、アクセル開度センサ76の信号から得られているアクセル開度ACCP、クランク角センサ82の信号から得られているエンジン回転数NE、吸気圧センサ84の信号から得られている吸気圧PM、および空燃比センサ88の信号から得られている酸素濃度検出値VoxをRAM64の作業領域に読み込む(S120)。
【0049】
次に、前述した運転領域設定処理にて(図7)、現在、運転領域R3が設定されているか否かが判定される(S122)。運転領域R3が設定されていると判定された場合には(S122で「YES」)、予めROM66に設定されている図11のマップを用いて、吸気圧PMとエンジン回転数NEとから、理論空燃比基本燃料噴射量QBSが算出される(S130)。
【0050】
次に、高負荷増量OTP算出処理(S140)が行われる。この高負荷増量OTP算出処理について図12のフローチャートに基づいて説明する。高負荷増量OTP算出処理では、まず、アクセル開度ACCPが高負荷増量判定値KOTPACを越えているか否かが判定される(S141)。
【0051】
ACCP≦KOTPACであれば(S141で「NO」)、高負荷増量OTPには値「0」が設定される(S142)。すなわち燃料の増量補正は行われない。こうして、高負荷増量OTP算出処理を一旦出る。
【0052】
また、ACCP>KOTPACであれば(S141で「YES」)、高負荷増量OTPには値M(例えば、1>M>0)が設定される(S144)。すなわち燃料の増量補正の実行が設定される。この増量補正は、高負荷時に触媒コンバータ49が過熱するのを防止するためになされる。
【0053】
図10に戻り、ステップS140にて高負荷増量OTPが算出された後に、次に、空燃比フィードバック条件が成立しているか否かが判定される(S150)。例えば、「(1)始動時でない。(2)燃料カット中でない。(3)暖機完了している。(例えば冷却水温度THW≧40°)(4)空燃比センサ88は活性化が完了している。(5)高負荷増量OTPの値が0である。」の条件がすべて成立しているか否かが判定される。
【0054】
空燃比フィードバック条件が成立していれば(S150で「YES」)、空燃比フィードバック係数FAFとその学習値KGの算出が行われる(S160)。空燃比フィードバック係数FAFは空燃比センサ88の出力に基づいて算出される。また、学習値KGは空燃比フィードバック係数FAFにおける、中心値1.0からのずれ量を記憶するものである。これらの値を用いた空燃比フィードバック制御技術は特開平6−10736号公報などに示されているごとく種々の手法が知られている。
【0055】
一方、空燃比フィードバック条件が成立していなければ(S150で「NO」)、空燃比フィードバック係数FAFには1.0が設定される(S170)。
ステップS160またはS170の次に、燃料噴射量Qが次式1のごとく求められる(S180)。
【0056】
【数1】
ここで、α,βはエンジン2の種類や制御の内容に応じて適宜設定される係数である。
【0057】
こうして一旦燃料噴射量制御処理を終了する。
ステップS122にて、運転領域R3以外の領域、すなわち運転領域R1,R2のいずれかの場合は(S122で「NO」)、燃料噴射量Qには、運転領域設定処理(図7)のステップS110にて求められているリーン燃料噴射量QLが設定される(S190)。こうして一旦燃料噴射量制御処理を終了する。
【0058】
次に、高圧燃料ポンプ54から燃料分配管50への燃料圧送量を制御するための電磁スピル弁制御処理について、図13のフローチャートに基づいて説明する。本処理は予め設定されているクランク角毎に周期的に実行される処理である。
【0059】
電磁スピル弁制御処理が開始されると、まず、前述した燃料噴射量制御処理にて算出されている燃料噴射量Qと、燃圧センサ50aにて検出されている燃料分配管50内の燃料圧力Pとを、RAM64の作業領域に読み込む(S210)。
【0060】
そして、この燃料噴射量Qとフィードフォワード係数Kfとの積(Kf・Q)により、フィードフォワード項FFを算出する(S220)。次に次式2に示すごとく、目標燃料圧力P0と実際の燃料圧力Pとの圧力偏差ΔPが算出される(S230)。
【0061】
【数2】
ΔP ← P0 − P … [式2]
そして、この圧力偏差ΔPと比例係数K1との積から比例項DTpが算出される(S240)。更に、次式3に示すごとく、圧力偏差ΔPと積分係数K2との積(K2・ΔP)に基づいて積分項DTiが算出される(S250)。
【0062】
【数3】
DTi ← DTi + K2・ΔP … [式3]
なお、右辺の「DTi」は前回の制御周期時に計算された積分項DTiを表しており、初期値としては例えば「0」が設定される。
【0063】
次に、燃料噴射量Qが判定値Q0以上か否かが判定される(S260)。この判定値Q0は、燃料噴射量Qが非常に小さいために低圧燃料通路54cにて大きな脈動が生じる状態を判定するための値であり、予め実験により大きな脈動が生じ始める直前の燃料噴射量の値が設定されている。エンジン2により異なるが、例えば、Kf・Q0の値が5〜7%となるような値が挙げられる。
【0064】
Q≧Q0であれば(S260で「YES」)、次式4に示すごとく、電磁スピル弁55の閉弁期間(圧送期間)を設定する制御デューティDTが算出される(S270)。
【0065】
【数4】
DT ← Ka(DTp + DTi + FF) … [式4]
ここで、Kaは補正係数である。
【0066】
また、Q<Q0であれば(S260で「NO」)、制御デューティDTとしては、デューティ値DTmが設定される(S280)。このデューティ値DTmは、今回の制御周期においてステップS220で求めたフィードフォワード項FFと前記式4にて用いた補正係数Kaとの積(Ka・FF)よりも大きい値が設定される。したがって、デューティ値DTmとしては、Ka・FFを算出してから、この値を増大補正したものを用いても良く、また、Q<Q0の状況下において、間違いなくKa・FFよりも大きいデューティ、例えば、100%あるいは50%〜100%の固定値を用いても良い。
【0067】
ステップS270またはステップS280にて、制御デューティDTが決定されると、この制御デューティDTが、高圧燃料ポンプ54の加圧行程における電磁スピル弁55の閉弁期間を表す制御デューティとして設定される(S290)。こうして一旦処理を終了する。
【0068】
上述したごとく、Q≧Q0である場合は、図14の制御デューティDTによる電磁スピル弁55の開閉タイミング例に示すごとく、加圧行程における制御デューティDTが燃料噴射量Qと燃料圧力Pとに基づいてフィードバック制御される。しかし、燃料噴射量Qが小さくなることにより、図15に示すごとく制御デューティDTが極めて小さくなることが予想されると、フィードバック制御は停止して直ちに図16のごとく制御デューティDTをデューティ値DTm(図16では100%)にする処理が行われる。
【0069】
上述した実施の形態1において、ステップS260,S280が圧送期間補正手段としての処理に相当する。
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
【0070】
(イ).図14〜16から判るように、制御デューティDTが小さい方(図15)が低圧燃料通路54c側の燃料圧力の脈動ΔPwが大きい。これは、制御デューティDTに基づく電磁スピル弁55の閉弁期間(圧送期間)Toutが短いと、高圧燃料ポンプ54の吸入行程にて、低圧燃料通路54cから高圧ポンプ室54f内に吸入された燃料の大半が、電磁スピル弁55の開弁期間(非圧送期間)Tretにて、直ちに低圧燃料通路54cに戻されるからである。
【0071】
そして、制御デューティDTが高くなるにしたがって(図15→図14→図16)、電磁スピル弁55の開弁期間Tretにて低圧燃料通路54cに戻される燃料量は小さくなり、低圧燃料通路54c側の燃料圧力の脈動ΔPwは小さくなる。
【0072】
前述したステップS260では、燃料噴射量Qの大きさを判定することにより、前記式4にて計算される制御デューティDTが小さくなって低圧燃料通路54cでの脈動が図15に示したごとく過大となる状態を推定している。そして、Q<Q0であって(S260で「NO」)、脈動が過大となることが推定されると、ステップS280にて制御デューティDTに大きいデューティ値DTm(ここでは100%)を設定している。すなわち、燃料噴射量Qに基づいて設定される場合よりも制御デューティDTを大きくしている。
【0073】
このため、電磁スピル弁55の閉弁期間Toutは長くされる。したがって、高圧燃料ポンプ54の吸入行程においては、一旦、低圧燃料通路54c側から高圧ポンプ室54f内に吸入されて再度低圧燃料通路54cに戻る燃料量は小さくなる。このため、低圧燃料通路54cにおける燃料の大きな脈動が防止される。
【0074】
なお、このことにより燃料噴射量Q以上の燃料が燃料分配管50側に圧送されるが、Q<Q0と判定される場合は限られており、このように限られた状況での圧送燃料量の増加あるいは維持であることから、余分な燃料を循環させるエネルギーを必要とすることに伴うエンジン2の燃費の悪化も抑制できる。
【0075】
(ロ).また、燃料噴射量Qが小さい場合に、燃料噴射量Qよりも多量の燃料が高圧燃料ポンプ54から燃料分配管50へ圧送されるので、燃料分配管50内に循環する燃料量が増加する。このため、燃料分配管50の温度上昇が抑制されてベーパの発生を防止することができる。
【0076】
[実施の形態2]
本実施の形態2が前記実施の形態1と異なるのは、図13に示した電磁スピル弁制御処理の代わりに、図17に示す電磁スピル弁制御処理が行われる点である。他の構成については、前記実施の形態1と同じである。
【0077】
本実施の形態2の電磁スピル弁制御処理を図17のフローチャートに基づいて説明する。本電磁スピル弁制御処理が開始されると、まず、上死点センサ80とクランク角センサ82との信号から算出されているエンジン回転数NE、燃料噴射量制御処理にて算出されている燃料噴射量Q、および燃圧センサ50aにて検出されている燃料圧力Pを、RAM64の作業領域に読み込む(S310)。
【0078】
次にステップS320〜S350の処理が行われる。これらの処理は、前記実施の形態1のステップS220〜S250の処理と同じであるので説明は省略する。
【0079】
こうして、ステップS320〜S350の処理にて求められたフィードフォワード項FF、比例項DTpおよび積分項DTiにより、前記実施の形態1にて述べた式4により制御デューティDTが求められる(S370)。
【0080】
次に、ステップS370にて求められた制御デューティDTが判定値DT0より大きいか否かが判定される(S400)。判定値DT0は、制御デューティDTが非常に小さいために低圧燃料通路54cにて大きな脈動が生じる状態を判定するための値であり、予め実験により大きな脈動が生じ始める直前の制御デューティの値が設定されている。エンジン2により異なるが、例えば、5〜7%の値が挙げられる。
【0081】
DT≧DT0(S400で「YES」)であって、低圧燃料通路54cにて大きな脈動が生じるような制御デューティDTではない場合には、この制御デューティDTが、高圧燃料ポンプ54の加圧行程における電磁スピル弁55の制御デューティとして設定される(S410)。こうして、一旦処理を終了する。
【0082】
DT<DT0(S400で「NO」)であって、低圧燃料通路54cに大きな脈動が生じるおそれのある制御デューティDTである場合には、次のような処理が行われる。
【0083】
まず、この制御デューティDTにおいて設定される電磁スピル弁55の閉弁時期に、プランジャ54eに生じている移動速度Vcが、図18に示すマップから求められる(S420)。このマップは、エンジン回転数NEと制御デューティDTとをパラメータとするものであり、予め実験により高圧燃料ポンプ54の加圧行程におけるプランジャ54eの移動速度が測定されてROM66内に格納されている。
【0084】
次に、同じ図18のマップを利用して、ステップS420にて求められた移動速度Vcとエンジン回転数NEとが共に同一であって、ステップS370で求めた制御デューティDTよりも大きい側に存在する制御デューティDTxが求められる(S430)。
【0085】
これは、図19のタイミングチャートに示すごとく、ポンプ用カム2cによりプランジャ54eが駆動されているため、同じ加圧行程において、加圧行程のほぼ中心にて最高移動速度Hpとなるからである。すなわち、最高移動速度Hpの両側に、電磁スピル弁55の閉弁時期においてそれぞれ同じ移動速度Vcを示す異なる制御デューティDT1,DTxが存在することになる。したがって、ステップS430では、図18に示したごとく、最高移動速度Hpを挟んで制御デューティが100%に近い方にも同一移動速度Vcが存在することから、このもう一つの移動速度Vcに対応する制御デューティDTxを求めることになる。
【0086】
こうして得られた制御デューティDTxを新たな制御デューティDTとして設定する(S440)。そして、この制御デューティDTが、高圧燃料ポンプ54の加圧行程における電磁スピル弁55の制御デューティとして設定されて(S410)、一旦処理を終了する。
【0087】
上述した実施の形態2の構成の内、ステップS400,S420〜S440が圧送期間補正手段としての処理に相当する。
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
【0088】
(イ).単に、燃料分配管50に対する燃料の圧送期間(電磁スピル弁55の閉弁期間)を長くするために、圧送期間の開始時期(電磁スピル弁55の閉弁時期t1)を進角させると、図19に示したごとく、電磁スピル弁55の閉弁時期は最高移動速度Hpのタイミングに近づく。したがって、単に進角したのではプランジャ54eの移動速度がより速くなる時期に電磁スピル弁55の閉弁時期を持ってくるおそれがある。このように、電磁スピル弁55の閉弁時期がプランジャ54eの移動速度が高くなるタイミングに設定されると、溢流停止のために行う電磁スピル弁55の閉弁に伴って生じるショックが大きくなり、高圧燃料ポンプ54の作動音が高くなってしまう。
【0089】
本実施の形態2では、電磁スピル弁55の閉弁期間の実際の長さを、燃料噴射量Qに基づいて設定される閉弁期間よりも長くするに際して、プランジャ54eの移動速度が高くならない時期を選択して電磁スピル弁55の閉弁時期を進角させている。このため高圧燃料ポンプ54の作動音が高くなることがない。
【0090】
(ロ).また、上記(イ)にて述べたごとく、電磁スピル弁55の閉弁期間を長くするために、制御デューティDT=100%にするのではなく、高圧燃料ポンプ54の作動音が高くならない範囲で制御デューティDTを100%よりも小さくしている。したがって、燃料圧送のエネルギーが節約でき、更に燃費の悪化が抑制できる。
【0091】
(ハ).前記実施の形態1の(イ)および(ロ)に述べた効果を生じる。
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態1においては、制御デューティDTを大きくする補正(S280)は、燃料噴射量Qの大きさで判断(S260)した。また、前記実施の形態2においては、制御デューティDTを大きくする補正(S420〜S440)は、制御デューティDT自体の大きさで判断(S400)した。これ以外に、例えば、エンジン2の運転状態がアイドル時か否かを判定して、アイドル時において制御デューティDTを大きくする補正(S280またはS420〜S440)を行っても良い。アイドル時においては、成層燃焼により燃料噴射量Qが特に小さくなることから、低圧燃料通路54cの脈動が生じやすいからである。更に、アイドル時は走行騒音も無いことから高圧燃料ポンプ54の駆動により生じる脈動騒音や前述した作動音が運転者に聞き取られ易くなるが、上述したごとく脈動や作動音が抑制されるので騒音による運転環境の悪化が防止できる。なお、燃料噴射量Qの大きさの判断は、直接、燃料噴射量Qで判断するのではなく、燃料噴射量Qの大きさに対応した物理量やエンジン2の運転状態にて判定しても良い。例えばエンジン2の運転状態が低回転低負荷時にある場合は燃料噴射量が小さくなるので、低回転低負荷時では制御デューティDTを大きくする補正(S280またはS420〜S440)を行うようにしても良い。
【0092】
・前記実施の形態1,2の例では、低圧燃料通路54cの脈動の大きさが十分に小さくされているので、パルセーションダンパなどの燃料脈動低減部品は用いなかった。しかし、より一層脈動の低下を行いたい場合には、パルセーションダンパなどの燃料脈動低減部品を低圧燃料通路54cに取り付けて用いても良い。このように本発明と燃料脈動低減部品とを組み合わせることにより、一層大きな脈動低減効果を生じさせることができる。
【0093】
・前記実施の形態1のステップS280では、デューティ値DTmとして、Ka・FFを増大補正した値や、Ka・FFよりも大きい固定値を用いたが、これ以外に、判定値Q0を利用してDTm=Ka・Kf・Q0としても良い。
【0094】
・前記実施の形態1において、ステップS280にて行われるデューティ値DTmの設定にステップS220〜S250にて行われる計算が不要な場合には、ステップS260の判定処理は、ステップS210とステップS220との間に配置しても良い。すなわち、Q≧Q0の場合はステップS220〜S250,S270,S290を実行し、Q<Q0の場合はステップS280,S290を実行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1としての筒内噴射式内燃機関およびその制御装置の概略構成を表すブロック図。
【図2】 実施の形態1におけるシリンダヘッドの平面断面図。
【図3】 実施の形態1のピストンにおける頂面の平面図。
【図4】 図2におけるX−X断面図。
【図5】 図2におけるY−Y断面図。
【図6】 実施の形態1における燃料供給系統の構成説明図。
【図7】 実施の形態1にて実行される運転領域設定処理のフローチャート。
【図8】 実施の形態1にてリーン燃料噴射量QLを求めるためのマップ構成説明図。
【図9】 実施の形態1にて運転領域を決定するためのマップ構成説明図。
【図10】 実施の形態1にて実行される燃料噴射量制御処理のフローチャート。
【図11】 実施の形態1にて理論空燃比基本燃料噴射量QBSを求めるためのマップ構成説明図。
【図12】 実施の形態1にて実行される高負荷増量OTP算出処理のフローチャート。
【図13】 実施の形態1にて実行される電磁スピル弁制御処理のフローチャート。
【図14】 実施の形態1での制御の一例を示すタイミングチャート。
【図15】 実施の形態1での制御の一例を示すタイミングチャート。
【図16】 実施の形態1での制御の一例を示すタイミングチャート。
【図17】 実施の形態2にて実行される電磁スピル弁制御処理のフローチャート。
【図18】 実施の形態2にてプランジャの移動速度Vcを求めるためのマップ構成説明図。
【図19】 実施の形態2でのプランジャの移動速度と制御デューティとの関係を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
2…エンジン、2a…シリンダ、2b…カムシャフト、2c…ポンプ用カム、4…シリンダブロック、6…ピストン、8…シリンダヘッド、10…燃焼室、12a…第1吸気弁、12b…第2吸気弁、14a…第1吸気ポート、14b…第2吸気ポート、16…排気弁、18…排気ポート、20…点火プラグ、22…燃料噴射弁、24…凹部、26…周壁面、30…吸気マニホールド、30a…第1吸気通路、30b…第2吸気通路、32…サージタンク、34…気流制御弁、36…シャフト、37…負圧式アクチュエータ、40…吸気ダクト、42…エアクリーナ、44…モータ、46…スロットル弁、46a…スロットル開度センサ、48…排気マニホルド、49…触媒コンバータ、50…燃料分配管、50a…燃圧センサ、54…高圧燃料ポンプ、54a…高圧燃料通路、54b…チェック弁、54c…低圧燃料通路、54d…ポンプシリンダ、54e…プランジャ、54f…高圧ポンプ室、54g…リリーフ弁、54h…排出経路、54i…ギャラリ、55…電磁スピル弁、56…燃料タンク、58…フィードポンプ、58a…フィルタ、58b…プレッシャレギュレータ、60…ECU、62…双方向性バス、64…RAM、66…ROM、68…CPU、70…入力ポート、72…出力ポート、73…AD変換器、74…アクセルペダル、76…アクセル開度センサ、78…AD変換器、80…上死点センサ、82…クランク角センサ、84…吸気圧センサ、85,87,89,90…AD変換器、86…水温センサ、88…空燃比センサ、92,94,96,98,100…駆動回路、102…イグナイタ。
Claims (6)
- シリンダと該シリンダ内に配置されたプランジャとの間の相対的な往復動により、前記シリンダと前記プランジャとにより区画形成されたポンプ室内へ低圧側から燃料を吸入する吸入行程と、前記ポンプ室の燃料を加圧する加圧行程とを実行する高圧燃料ポンプにおいて、前記加圧行程中に、前記ポンプ室内の燃料を低圧側へ溢流することにより前記燃料噴射弁側への燃料圧送を行わない非圧送期間と、前記ポンプ室内の燃料を低圧側へ溢流しないことにより前記燃料噴射弁側への燃料圧送を行う圧送期間とを設け、前記燃料噴射弁における燃料噴射量に基づいて前記圧送期間の長さを調整することで、前記燃料噴射弁に対する燃料圧力を制御する内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置であって、
燃料噴射量が判定値よりも小さいことに基づいて燃料脈動をまねく旨判定し、これにともない前記燃料噴射量に対応した圧送期間よりも長いものを実際の圧送期間として設定する圧送期間補正手段を備えた
ことを特徴とする内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置において、
前記圧送期間補正手段は、燃料脈動をまねく旨判定したときの燃料噴射量に対応した圧送期間よりも長いもの、または前記判定値に対応した圧送期間よりも長いものを実際の圧送期間として設定する
ことを特徴とする内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。 - 請求項1または2に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置において、
前記圧送期間補正手段は、内燃機関がアイドル状態にあることに基づいて燃料噴射量が前記判定値よりも小さい旨判定する
ことを特徴とする内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。 - 請求項1または2に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置において、
前記圧送期間補正手段は、内燃機関が低回転低負荷状態にあることに基づいて燃料噴射量が前記判定値よりも小さい旨判定する
ことを特徴とする内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。 - 請求項1または2に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置において、
前記高圧燃料ポンプは、前記ポンプ室と前記低圧側との間を連通または遮断する開閉弁を備えるものであり、
当該高圧燃料ポンプ制御装置は、前記燃料噴射量に基づく圧送期間の長さの調整として、前記開閉弁の閉弁期間を表す制御デューティを燃料噴射量に基づいて設定するものであり、
前記圧送期間補正手段は、前記制御デューティが前記判定値とは別のものであるデューティ用判定値よりも小さいことに基づいて燃料脈動をまねく旨判定するものである
ことを特徴とする内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置において、
前記シリンダと前記プランジャとの間の相対的な往復動はカムの回転により行われるものであり、
前記圧送期間補正手段は、前記シリンダと前記プランジャとの間の相対速度が燃料噴射量に対応した圧送期間の開始時期における前記シリンダと前記プランジャとの間の相対速度以下となる時期まで前記圧送期間の実際の開始時期を進角させることにより、実際の圧送期間を燃料噴射量に対応した圧送期間よりも長くするものである
ことを特徴とする内燃機関の高圧燃料ポンプ制御装置。
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